人狼物語 ─幻夢─

64 滄に揺らめく銀鏡


小説家 ブリジット

[真っ直ぐな瞳で問われ、困ったように微笑みながらどう答えようと考えて。
いつのまにか足元に来ていた白猫に気付き、それを抱き上げ、ふと、浮かんだ答えを口にした。]

─…王子様が、いなくなっちゃったから、かしら。

「おうじさま?」

そう、王子様。

[微笑んで頷くと、怪訝な顔で首を傾げる子の瞳がきょとと瞬いた。]

「もう、会えないの?」

さぁ…どうなのかしら。
会えないかもしれないし、会えるかもしれないわね。

「おかあさんから、会いにはいかないの?」

…そうね、今はまだ。
会いにいったら、怒られてしまいそうだから。

(1505) 2011/01/19(Wed) 21:19:15

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