―それから―
[雪が融けるまでは街へ戻れるわけもなく、一日の半分は酒場にいただろうか。
ローザの代わりに村にいる間は手伝え、と店の親父に言われ渋々諾したのだが。
元鉱夫達の思い出話の端々から役立ちそうなものを感じ、
それはそれでいいか、と。
…たまに、店の親父をお父さんとふざけて呼んでは、
「ローザはお前にやったわけじゃない!」と怒鳴られてはいたが。
さて、そこにいるローザはどんな顔をしていただろうか]
いいか、これは絶対に言っちゃだめ…ああ、いや、お前さんそう言うと言っちまうからな…。
うん、忘れろ。これは、なかった―いいな?
[ダーヴィッドが報告書を記すために宿へ訪れたときにはそんなふうに悪知恵を働かせ、
なんとかいろいろ誤魔化しきった報告書に仕立て上げたか]