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空振りで結構。
お前さんの仕掛けと言われると、物騒な物しか思い浮かばん。
それこそ、俺諸共吹っ飛ぶ、みたいな、ねぇ。
[まさかとは思うが、と付け加えて釘を刺す]
ま。
俺が言っちゃあ難かも知れないが。
――引退には未だ早いぜ。『地獄への案内人』?
[そう言葉を投げかけると、カードを拾い上げる]
って、直進!?
[銀を避けずに突き進む、虎。
予想外が動きを鈍らせたか、圧し掛かる体躯を避ける事はできず]
……っく!
[残された足が肩を捕らえ、爪がそこを引き裂くのが感じられた。
光の羽根が、ひら、はら、と散る]
……堕ちる……もんかっ!
[衝撃に地へと叩き落されつつ、それでも。
直前の回転で体勢を整え、着地を決めたのは翼あるものの矜持か。
着地したその傍らに、手を離れていた輪ががつ、と音を立てて突き刺さる]
ったぁ……きっつい、なぁ、もぉ……。
……勝手に吹っ飛べ。
[元々、人をターゲットにしたかった訳ではない。
この廃墟となった町を吹っ飛ばしたかっただけだ。
そのついでに、策として利用できただけに過ぎない。
この廃墟の至る所に巧妙に仕組まれた爆薬は、誰かが取り除くことが無い限りいつまでも存在し、そして、いつか吹っ飛んで消えていくことだろう。
この町を題材にしたこと、そこがどうしても気に食わなかった。
仕事人として、最初であり、いまだにやらなければいけない依頼の為にも、此処───いや、この外にあるものを守りたかった。
ただ、ロボットのように一途に。
だからこそ───]
……引退など、するか。
[男は、生涯現役で、仕事人であり続ける]
そうは問屋が卸さんよ。
『猟犬』だからねぇ…俺が終わるときは、追いかけられなくなった身体に成っちまったときだけだ。
[此方もまた、まだまだ引退するつもりはない、との表明]
――なら良いがねぇ。
俺もお前さんのような男が居なくなるとつまらん。
[そう呟くとポケットにカードを仕舞い込んだ]
[羽根を散らせた氷虎は、そこが限界であるかのように霧散した。
着地する雷鳴天使の周りに漂い残り、その視界を遮る]
隠し玉、です、から。
これ、楽に避けられたら、立場、がありませ、ん。
[立ち上がり、肩で息をしながらも着地地点へと向かう。
白霧の中から左手を雷鳴天使の顔前へと突きつけた。
先には鋭い爪が光る]
もう一度言いますね。
インフィニティ・ピース、下さい。
……ふん。
逆に追われないといいがな。
[ビルへ完全に背を預け、天を見上げながら、煙を吐き出す]
精々、不慮の事故で死なないようにするんだな。
[珍しく軽口を叩きながらも、肩にぱらりと小さな石ころが落ちてきたのに気づき、そちらに視線を移し───]
───走れ!
[大声で、ブラウンに叫ぶ]
ま、そうだよねえ。
でないと、隠し玉にならないしー?
[爪が突きつけられても、ペースは崩れる事はなく。
言葉を紡ぐ声は、平時と変わらぬもの。
治癒に関しては、かなりきついハンデを帯びる体質故に。
それに関わる弱みは、可能な限り見せまい、とする虚勢ではあるのだが]
氷華ちゃん、少し、力抜いた方がいいよぉ?
張り詰めすぎると、逆に崩され易いからねー。
[冗談めかした口調で言いつつ、六枚のカードをポケットから出して差し出す。
最後の一枚──『ジャッジメント』には、もう一度、名残を惜しむよに口付けてから、同じように渡した]
『The Judgement』、確かに。
[6枚目までを受け取り懐に仕舞い。
崩れるよにその場に座り込んだ]
力抜いても勝てるなら、そうしてますー!
でもでも、異形殺しとか、までいた、しー。
おねーさんには、手の内、知られ、てるしー!
[氷の微笑が溶けた後には泣き出しそうな空色が。
相手にも虚勢があると気づけないほどに、戦闘状態の反動に飲み込まれていた]
でも、あきらめられない、もん。
他の手段、なんて。分からない、もん……。
[ぐいぐいと袖口で顔を擦る]
……。
[ブラウンがいなくなった後、がらがらと崩れだしてくるのは、先程のバトルの影響か、はたまた、計り知れない他の何者かの影響か。
ゆっくり、空を見上げると、その場に落ちてくるのは、仕掛けておいて、「落ちるはずが無い」手榴弾の束]
……は。
[動じる様子も無く、男は煙を吐き出しながら、小さく笑った]
───So as I pray "unlimited weapons works."
───(その体は、きっと破壊するもので出来ていた)
[自分のことを悲しむでもなく、卑下するでもなく、現状のままを言い表した、最後の第8節を呟き、その姿はやがて生まれる爆発により姿が見えなくなっていく。
さて、爆発の影響が先か。魂の牢獄に囚われたのが先か。
先程負けたばかりの賭けの*結果は如何に*]
[崩れだした様子に、思わず笑い出す。虚勢ではない、素の笑い方]
あっはは……。
氷華ちゃんは、ほんとっ……。
かわいいなぁ。
[笑いを帯びた声で、言って。
それから、もう一戦、という言葉に、あー、と短く声を上げる]
そーか、確か……『猟犬』のオジサンが勝ったんだっけ。
[手渡す直前に確かめた情報を思い返しつつ呟く]
ま、頑張るんだよー?
というか、負けたら、承知しないからねー。
[にっこり笑ってなんか気楽に言った後。
飴色が、ふ、と上を向く]
さて、それじゃ、ボクは……狐のおにーさん、殴りに行こうか、な?
[冗談めかした口調で言った直後、訪れるのは限界。
自分の存在が、どこかへ呼び込まれるのを感じつつ。
意識は途絶え、飴色は、閉じた。
後に残るは、真白の羽根、*一片*]
うー。
[楽しげに笑われて恥ずかしくなり、拗ねて顔を背けた]
そうなったみたいですね。
犬のオジサンかー。
[札に触れて確認すると溜息をついた]
て、そんな気楽にっ。
…まー、全力で頑張ります。
[それが勝った者の礼儀。
そっぽ向いていた顔を戻して、こくりと頷いた]
……そちらもファイトです?
[殴る理由は知らない。
引き込まれてゆくエリカを見送って深呼吸すると、最後の舞台に備えて身体を休めに*移動した*]
いい歳したオッサンを追いたいなんて物好き、そうそうおらんさ。
――不慮の事故、か。
[ようやく、落ちていた煙草を拾い上げ口へと運んだ。
煙と共に言霊を吐こうとした矢先。
空からの異変に男も気付いた]
ちっ…!
そんじゃあな。
次会うときも仕事以外だと良いンだが。
[踵を返し、その場を駆け抜ける。
男に余裕などはない。
だから、後ろを振り返る事は出来ない。
落ちる瓦礫に興味を移すことなく、男は開けた場所へと出た]
[大きく息をつけば、白い煙が口から漏れた。
先ほど、左腕から湯気を吐き出したように]
――やれやれ。
[小さく呟けば、カードを手に取った]
成る程。
お嬢ちゃんは…負けたのか。
氷華。ねぇ。
[頭を掻きつつ、小さく呟く。
ぽぅ。
カードは光を放ち、力を流転させる。
――『隠者』は眠り、『星』は輝く]
ま。やるだけやってみるかねぇ。
『ジ・タワー』のマスターとして、最後の障害となろう。
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