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改めて、御挨拶を――
己等(おいら)は妖女と名の授けられしもの。
人の理にてはあまきつねとも呼ばれよう。
ゆくにしても、
かえるにしても、
己等(おんら)次第。
己等(おのら)は何れにしても、望みを叶えよう。
[――くすり、笑みを零せばいつものように]
今更ではあるけれどもね。
みえぬ心を見たきがゆえに、謀るようになって申し訳ない。
[雅詠の眼差し感じれば、潤み湛えた琥珀を向け。]
…なあに、たいしたことでない。
二度あることは三度というなれば、手間かけるはよくなかろうというだけじゃ…。
[抑揚なく淡々と。
されど哀しき笑みのまま。どこか漂泊するように。]
[むぅと、俯いて]
じゃって一緒にいたいん……
[だけれど]
[ちいねえさまがたがお別れになったときを思い出して]
[思い出してしまって]
[口をつぐむ]
[ねいろの言葉聞けば、屈みて瞳見つめ]
…望むであれば、また来られよう。
そなた、会いたき人はおらぬのか…?
[いるであれば、もう会えぬは寂しかろうと。]
あいたいひと?
[えいかの言葉に、首を傾げる]
[かかさまもおらず]
[本当のおやもおらず]
[ちいねえさまがたにとっては]
[平穏をこわしたもので]
[だけれど考えた顔にすべては消えて]
[やがてにこりと笑う]
[だけ]
[あやめの名乗りに目を向けて、小さく笑いを零してみせる]
天狗の謀りは、以前もあった。存ぜぬ振りはこちらも同じさ。
坊らは、もとより気にしますまい。
謝る事などなかろうよ。
〔巾着袋より取り出せしは小さき金の鈴、
鳴り渡るは白銀の其れよりも軽き音色。
……りぃん、……りぃん。
森の声も川のせせらぎも風のそよぎも、
澄みたる音は全てを包み込むやうに響く。〕
烏賊 ラスが「時間を進める」を選択しました。
とは言えども、
この名は気に入ってはおらぬのだが。
さてはて、刻限にはまだ幾許かあるゆえに、
今すぐに決めろとは申さぬよ。
ただ、後に悔やまぬ選択を――
[りぃん]
[りぃぃん]
[鈴の音に]
[考えるように目を閉じて]
[何一つあらぬうつしよと]
[望むがままの天狗の里と]
[どちらが良いかはわかっていても]
[よきものを選べば はできない]
そこな烏殿の言う通りじゃ。
かつての選別とはやれ異なりしが、我は気にしてはおらぬ。
迷い惑いて…己が心知ること出来たゆえの。
[そう小さく呟いて。
薄き笑みを静かに見返すのみ。]
[ちいねえさまたちを]
[ちいねえさまたちのひとりを]
[こわがって]
[ちがうものだといって]
[そのせいで]
[ころした]
やれやれ、
食えぬはいったい、何方かな。
[烏へと顔を向ければ唇の端を釣り上げる]
天狗の事をあまきつねとも言うのだよ、坊。
人にて人ならず、
獣にて獣ならず、
鳥にて鳥ならず。
左様に面妖な生き物とでも言おうかな。
―三度目があると限らぬがな。いや、俺が聞いた事がないと言うのが正確か―
[えいかの言葉にそう返し―妖女に習い居住まいを直す]
では、俺も改めて名乗ろう―
雅詠は天狗としての名―
人で在った時の名を烈琥と言う。
こちらから強制はせぬ―よくよく考えて選ぶ様頼む。
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