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それはまだ、始まりの前でした。
始まる前の、ささやかな日常。
おや、噂好き ホラント が来たようです。
噂好き ホラントは、村人 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
[それは初夏の短い夜のこと]
[孫にせがまれた老人が読む、一冊の童話の冒頭でした]
[挿絵には人間の足と、そこから伸びる尻尾のある影が描かれています]
[開かれ陰になった表紙は、深緑の地に黒い森のシルエット]
[銀色の装飾文字で題名が綴られていました]
[そして表紙の裏には献辞が手書きで綴られていました]
「物語を綴る場と機会を下さった幻夢国国主様、
黒い森の住人を描きし坂無炳吾様、お二方へ、
心より感謝を捧ぐ」
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
おや、旅芸人 ツィンカ が来たようです。
旅芸人 ツィンカは、おまかせ を希望しましたよ(他の人には見えません)。
[暗い森の中、月明かりと蛍の光だけが道標。
か細いツィンカの声が森の中に響く。]
黒い森の暗い川の蛍火は、
宵ごとに空の兄弟に囁き続ける
我に降りかかり不幸を哀しむな
その瞬きは我の心も締め付ける
お互いの声は遠すぎて聞こえぬ
今宵もまた
天の星も瞬き続ける
地の星も瞬き続ける
そんな子守唄を思い出すわ。
[暗い小川には儚げな光を放ちつつ、蛍が乱舞している。
ツィンカの指に一匹の蛍が止まる。]
この光を見られるという事は、そろそろ黒い森はサクランボの季節ね。久し振りにシュヴァルツヴェルダー(・キルシュトルテ) を食べたいわ。
[ツィンカは手に指に止まった蛍に息を吹きかけて、蛍を飛ばす。]
本当に綺麗……。
黒い森には怖い怖い人狼がいるなんて、御伽噺を聞かされたけど、
きっと嘘よね……。
こんな綺麗な光景が見られる所でそんな怖いものがいるなんて、絶対嘘よ。
[身を翻し、村の方へ戻って行った**]
おや、旅人 ルイ が来たようです。
旅人 ルイは、村人 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
[深くかぶったとんがりぼうしを少しだけ押し上げて、旅人はたずね返しました。
黒い目がふたつ、ホラントを見つめています。
けれどもホラントはわらうばかり。
そうしてすぐに、どこかへと行ってしまいました。]
いやな話だ。
森を抜けてきたばかりだというのに。
[すぐ後ろで、ざわざわ、ざわざわ、森の木たちがないしょ話をするように音をたてます。
旅人はぼうしを被りなおしました。]
さてとツィンカ出来る機会がやっと来たヽ(・∀・)ノ
自分の企画村だと中バレ万歳だからね……orz
もう自分の趣味全開で可愛い踊り子さんをするんだい。
おや、奉公人 ドロテア が来たようです。
奉公人 ドロテアは、占い師 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
あら、ホラントさん。
……人狼?
あらら、ダメですよぉ、そんなお話をしては。
小さな子たちが怖がったり、こっそり探検に行ったりしたら、大変たいへん。
[やんわりと言った言葉に、ホラントはわらうばかり。
そうして、すぐにどこかへと。]
村中に、お話して回るのかしら?
あんまりおかしな話が広がると、だんな様の気苦労が増えてしまうのですけれど。
……あら、いけない。
早く、お買い物をすませないと。
/*
と、言うわけで。
実は全くキャラを決めていなかったくろねこですの。
男子が続いていたので、今回は女子で。
タイプ的には、審問某村でやったシャロに近いんですけど、果たして大丈夫かしら。
途中で壊れたらごめんなさいですわ。
[どこに向けて謝ってるんですか]
[日が暮れると薄絹ヴェールでは、流石に寒さから身を守るには心もとなくて、肩を震わせる。
頭のティアラが小さな金属音を鳴らす。]
静かね、この村はこんなに静かだったかしら。
もしかしたらホラントが人狼の噂を流しているせい?
それなら今度会ったら、怒らないと……。
[少し怒った様な声。
でもそれは静か過ぎる村に対しての不安な裏返し―
そしてツィンカは村の宿に向かう。
―誰かと時を一緒に過ごせる事を願って**]
ずいぶんと静かな村だ。
[旅人が歩いていると、村人に出会いました。]
失礼。
この村に宿はあるだろうか。
[旅人はたずねます。
旅人は大人の男の人にしては小柄で、声も少し高いようです。]
そうか。ありがとう。
[それからお礼を言って、教えてもらった場所へと歩いて行きました。]
今日は、いつになく静かですねぇ。
ホラントさんの噂話のせいかしら?
[買い物袋を抱えて歩きながら、小さな声で呟きます。]
こんなに静かだと、知らない場所を歩いているみたいですわ。
/*
どうしようかと思ったのですけど、やはり、書いておいた方がいいかしら、と思いましたので。
どなたかいらしてくださるといいのですけれど。
上手くお仕えできるかはともかくとして(待ちなさい。
……ところで、今見るまで気づいていなかったのですけど、独り言があと666ptでしたわ。
[また歩きはじめて少しもたたないうちに、旅人は前から歩いて来る人がいることに気がつきました。]
村人かな。
[旅人はとんがりぼうしを少しだけ押し上げます。]
……あら?
[歩いていると、村では見ないとんがりぼうしが見えました。]
旅の方、でしょうか。
[ほんの少し、首を傾げて呟きます。]
[誰とも会えない暗い夜道を小走りに歩いて、村の宿の思い木の扉を開ける。
宿の中は客人を迎える準備は整っているが、人の気配はない。]
誰もいないのかな……?
[ツィンカはキョロキョロしながら、恐る恐る宿のロビーへ。
居心地悪そうにソファに座ると、静けさに眠りの中へ誘われる。]
いかにも、旅の者だ。
宿はこちらの方向でいいだろうか。
[小さな呟きは旅人にも聞こえたみたいです。
旅人は答えたあとで、今から進もうとしている方向を指さしました。]
この村はずいぶんと静かだ。
いつもこうなのかな。
[それから、小さく首を傾げてたずねます。]
あらあら、それはようこそいらっしゃいませ。
ええ、宿はこの先ですわ。ご案内いたしましょうか?
[旅人の言葉に、にっこり笑って頷きます。]
いつもはもっと賑やかなのですけれど。
噂話のせいかしら。
頼めるならありがたい。
場所は聞いたけれど、初めて来た村だから。
[女の人のことばに、旅人はうなずきました。]
そうか。
噂話というと、人狼のことかな。
森を抜けてすぐに、そんな話を聞かされたんだ。
[そう言って、旅人は黒い森のほうを指差します。]
ええ、その噂話ですわ。
あなたも、ホラントさんに聞かされたのかしら。
本当に、みんなに話して回っているのね。
[黒い森の方を見ながら、一つ頷きます。]
さ、立ち話もなんですし、宿まで参りましょう。
こちらですわ。
名前は知らないが、古そうなランタンを持っていたな。
彼が広めているのか。
[ホラントという名前を聞いて、旅人は少し考えてからそう言いました。]
ならば世話になるとしよう。
[それから提案にうなずいて、女の人のあとをついていくことにしました。]
ランタンを持っていたのなら、間違いなくホラントさんですわね。
いつもあんな感じに、噂話を広めているんです。
楽しいお話ならいいんですけれど、こんなに静かになるお話は、色々と困ってしまいますわ。
[小さなため息を一つついて、宿屋まで歩いて行きます。
村の通りは、とても静かです]
……あらあら、宿もなんだか静かみたい。
せっかくお客様がいらしているのに。
[そんな事を言いながら、扉を開きました。]
いつものことか。
それなら、あまり心配しなくてもいいのかな。
そうだとしても、困ったことだ。
[静かな村では、小さな声でもよく聞こえます。
あとをついて歩きながら、旅人は肩をすくめました。
やがてふたりは宿に到着しました。]
ありがとう。
おや、だれか眠っているのかな。
[開いた扉から中をのぞき込んで、旅人は何度かまばたきします。]
おや、牧師 メルセデス が来たようです。
牧師 メルセデスは、智狼 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
[むかぁし、むかし
ある村のはずれ
ひっそりと佇む古ぼけた教会に
一人の牧師が住んでいました。
とん、とん
夜の帳が降りる頃
一人の訪問客が、教会の扉を叩きます]
はぁい。どちらさまでしょうか。
[軋む音を立てて、扉が開かれます]
おや、ホラントさんじゃありませんか。
お珍しい。どうしました、こんな時間に。
[訪問客の顔を確かめると、牧師は驚いたように声をあげます。
その男、ホラントさんは言いました。
「ここだけの話だけれど」
「ここだけの話だけれど」
ホラントさんは、噂好き。
今までもたくさんの噂話を村のみんなに提供してきたのです。
約半分は出鱈目で、約半分は出任せで
そうして残りの僅かは、みんながもう知っている、お話。
それでも牧師は嫌な顔ひとつせず、彼の話を聞くのです]
[ホラントさんは、噂好き。
含み笑いで囁きます。
一生懸命、囁きます]
人に化ける狼ですか?
それはそれは、気をつけなくてはいけませんね。
神様、どうかみんなをお守り下さい。
[噂を話したホラントさん
次に噂を聞く人を
探しに行ってしまいます。
牧師は聖なるシンボルを手にして、静かにお祈りを捧げます]
ええ、いつもあんな感じ。
人狼のお話は、ずっと昔から伝わる御伽噺ですし、すぐにいつもの賑やかさが戻りますわ。
[肩をすくめる旅人の言葉に、笑いながらこう言います。]
あらあら、こんな所で寝てしまったら、風邪を引いてしまいますのに。
女将さんはどうしたのかしら?
わたくし、ちょっと奥に行って、ブランケットを借りて参りますわ。
[寝ている人の姿に一つ、瞬きをして。
買い物袋をテーブルに置いて、奥へと向かいます]
/*
牧師……!
その肩書き変更は予想外でした。
ところでくろねこ、一つ間違っていましたの。
某村シャロよりはむしろ、某短期ステラでしたわ、このテンションは。
それならいいんだ。
やっぱり、賑やかなほうがいいからな。
[旅人はうなずきながら、宿の中に入ります。]
そうだな。このままでは寒そうだ。
[女の人を見送って、旅人はぼうしを取りました。
背中のまんなかあたりでそろえられた銀の髪が、ぱさりと落ちてきました。]
それにしても、主人はどこに行ったのだろう。
客を迎える準備はしてあるようだが。
[旅人は辺りをきょろきょろと見渡しました。
カウンターの上には宿帳が置いてあるようです。]
とりあえず、名前を書いておこう。
[旅人はそばにあったペンを取って、“ルイ”と書きました。
それが、この旅人の名前でした。]
おや、木こり ドミニク が来たようです。
木こり ドミニクは、村人 を希望しましたよ(他の人には見えません)。
あらら、女将さん、おでかけしているのかしら。
[人のいない奥の部屋に、困ったように呟きます。]
仕方ありませんわね、後でお話すればわかっていただけるでしょうし。
[宿屋には、何度かお手伝いにも来ていましたから、どこに何があるかはわかっていました。
ブランケットを一枚持ってロビーに戻り、寝ている女の人にかけてあげます。]
……あら?
もしかして……。
どうかしたかな。
[旅人が名前を書き終えた頃、女の人が戻ってきて眠っている人にブランケットを掛けていました。
それから首を傾げているのを見て、旅人もまた首を傾げました。]
[きぃ、きぃ
森の方からこうもりの鳴く声が聞こえます。
牧師は扉の隙間から、暗いお空を見上げます]
何でしょうか。胸騒ぎがしますね。
[扉を閉めてしばらくすると、教会の入口から大きな声が聞こえます]
今日は来客の多い日ですね。
……もしかしたら、狼さんでしょうか?
[ゆっくりと扉を開けると、そこには屈強な木こりの姿が見えました。
牧師は木こりの申し出を聞いて、たいそう喜びます]
これはこれは、ありがとうございます。
貴方に神様の祝福がありますように。
ああ、なんでもありませんわ。
こちらの方、知っている人かしら、と思ったもので。
[旅人の問いかけに、振り返ってにっこりと笑います。]
それより、女将さんがお出かけしているようなので、わたくしでよろしければお茶をご用意いたしますけど……。
そうか。
村人ではないのかな。
[旅人は一つうなずいて、あらためて眠っている人の顔を見ます。
それから、女の人がお茶をいれてくれるというので、]
それはありがたい。
ちょうど、喉が渇いていたんだ。
[そう言いながら、とんがりぼうしをカウンターに置きました。]
[牧師の言葉に、厳つい髭面が照れ臭そうに横を向きます。]
そんな礼を言われるほどじゃねえさ。
ホラントがまーた噂してたからな。
獣避けに薪はあっても困んねえだろ?
[噂が本当かはともかく狼でも十分怖い。
森に出入りする木こりはそう考えて言いました。]
村を離れて、色んな場所を回っているのですわ。
……見間違いでないのなら、以前よりもずっと綺麗になっていますけれど。
はい、かしこまりました。
少々お待ちくださいませ。
[楽しげに言いながら、キッチンへと向かいます。
お茶を淹れるのは大事なお仕事の一つでもありますから、準備はてきぱきと。]
勝手にしたお詫びは、後でお菓子を差し入れればいいかしら……?
[なんて呟きながら、ロビーへ戻るのです。]
大変に助かります。
獣避けにも、暖を取るにも。
ドミニクさんも、獣のお話、聞かれたのですね。
[牧師は薪の束を受け取りに行きます]
お礼に、中に入って何かお飲み物でも……。
[牧師はそう言ってから、生憎と紅茶を切らしていることに気がつきました。
ついでに明日の分のパンもありません。
くぅ、くぅとお腹の虫が鳴きました。
牧師は大層困って、苦笑いを浮かべるのでした]
なるほど。
たしかに、きれいな人だ。
[納得したというように、旅人はうなずきます。]
ありがとう。
[旅人はことばに甘えることにして、カウンターのいすに座りました。]
無駄になんねえならいいさ。
獣除けでも暖でも。
[木こりはぶっきらぼうに言うと、薪の小束を渡します。]
いや、急ぎで届けに行かなきゃなんねえ……
こっちもまーたか。
ほれ行くぞ。
[人のざわめきが深い眠りから、ツィンカを呼び覚まします。
気が付くと暖かい物が掛けられていました。]
誰が掛けて下さったのかしら?
[不思議そうな顔をして、首を傾げました。]
[他にも誰か来るかも知れないから、お茶は多めに用意します。]
はい、お待たせしました……あら。
[ロビーに戻ると、ちょうど女の人が目を覚ました所でした。]
えっ、えっ?
[牧師は突然のことに目を丸くします。
手足をばたつかせるも、非力な牧師が、力で木こりに敵うはずもありません。
牧師は渡された薪を抱えたまま、引きずられて行きます]
はい、そういうことでしたら、喜んで。
……それで、そのぉ。
手を、離しては頂けませんでしょう、か?
[牧師は首根っこを掴まれたまま、小さな声でお願いをしました]
おや、起きたか。
[声がするのに気がついて、旅人はソファを振り返ります。]
ブランケットは、あちらの方が。
[旅人は女の人の名前を知らなかったので、かわりにキッチンのほうを手で示します。
ちょうど当の本人がこちらに戻ってきた頃でしょうか。]
[見知らぬ旅人が指差す先には、見知ったドロテアの姿。]
ドロテア、お久し振り。
貴女の作る美味しいお菓子が恋しくて、また来たの。
そして暖かい毛布掛けてくれて有難う。
[人なつっこい笑顔を浮かべます。]
[牧師の小さな声に、木こりは足を止めました。
自分の手と牧師を見比べます。]
そうだな、靴が磨り減る。
それに薪も置いてきた方がいいな。
[のんびり言って、ようやく手を放しました。]
[木こりの手から解放されると
牧師はほっと胸を撫で下ろします。
足元を見下ろして、靴が磨り減っていないか調べました]
はい、それではしばらくお待ち下さい。
[牧師はこまねずみのように
急いで教会へ薪を置きに行くと
ぱたぱた、と木こりの元へと駈け戻って来ました。
その後、宿へと続く道を、楽しそうに
小さな歩幅で、てくてくと歩いていきます]
ふふ、久しぶりね。
きっとそうだと思っていたけれど、前よりも綺麗になっていたから確信が持てませんでしたわ。
[ツィンカの挨拶に、楽しそうに笑いながらこう返します。]
毛布は気にしないで?
せっかく戻ってきたのに、お医者様のお世話になるようでは寂しいでしょう?
それより、あなたもお茶をいかが?
[尋ねながら、まずは旅人にお茶のカップを差し出すのでした。]
旅人さんは今晩は。
旅人さんは幸運よ、黒い森のさくらんぼの季節に来るなんて。
夜の蛍もとても綺麗よ。
樵さんは、相変わらずね。
可愛いお嫁さん貰えたのかしら。
[ニコニコと笑ってます。]
ありがとう。
何から何まですまない。
[旅人はそう感謝して、ドロテアと呼ばれた女の人からカップを受け取ります。
一口飲んで、ほっと息を吐きました。]
うん、綺麗……?
どうなんでしょう。
でもドロテアが作るお菓子が恋しくて恋しくて、胸焦がれる程に恋してるから、綺麗になっているかもしれないかも。
[上目遣いでおねだりをしている。]
おう。
…ちょこまかしてんなあ。
[ぱたぱたと行って戻る牧師をそう評して。
重い荷で遅めの大きな歩幅と小さな歩幅が並びます。]
そろそろ森はサクランボの季節だがなあ。
狼がいるなら一人で行くのは危ねえな。
[食料調達法を呟いて歩けば、宿から灯りと人の気配。]
さくらんぼがあるのか。
それに蛍まで。
噂のせいで少し不安になっていたが、いい村のようだな。
[もうひとり、起きたばかりの女の人に声をかけられて、旅人は少し目を細めました。]
[お茶のカップをツィンカが取ろうとすると、宿の大時計が時を告げる。]
あら、こんな時間……。
もう寝ないと。
[残念そうにカップから手を放し、未練がましく自室へ戻っていった**]
あら、お気になさらずに。
わたくしが好きでやっている事でもありますから。
[旅人にこう言って、また、新しくお茶を注ぎます。]
あらあら、お菓子に恋してしまったの。
それじゃあ、美味しいのを作らなきゃ。
……その代わり、外の話を聞かせてくれるかしら?
[宿に着くなりかけられたツィンカの声に、髭面が歪みます。]
……まーだ独り身だよ、悪いか。
それにお前誰だ?
なんでオイラのこと知ってるみたいなことを…
そっちのも見かけねえ顔だし……。
[木こりは無愛想な顔と声で宿にいる面子を見回しました。]
[決して褒め言葉には聞こえない評価に、
牧師は少しだけ顔を膨らませます。
サクランボ、と聞けば
牧師のお腹がまたくぅと小さな音を立てます]
もうそんな季節ですか。
あ、私なら一人でも平気ですよ。神様がついてますから。
[牧師はえへん、と胸を張って見せます。
宿が見えてくれば、足取りは少し早まりました]
あら、ドミニクさん。
忘れてしまいしまたの、あの子の事?
[木こりの声に、笑いながらこんな事を言います。]
それにしても、女将さん、どこに行かれたのかしら。
御用なら、長引かなければいいのだけど……。
[中々戻ってこない女将さんがちょっと心配になってきました。**]
そうか。
礼になるかは分からないが、何かあれば言ってくれ。
[旅人はドロテアにそう言って、お茶を飲んでいます。
すると、扉が開く音がしました。]
おや、村の人だろうか。
旅の者で、ここにはつい先程来た。
ルイと言う。
[旅人は席を立って、ぺこりと挨拶しました。
たずねられましたので、きちんと名乗りもします。]
……行っちまったか。なんだったんだ?
ああ、旅人か。オイラは木こりのドミニクだ。
[残ったルイに名を返し、荷を渡すのが先と厨房へ。
薪束を下ろして戻ってテーブルに着きます。]
…あの子? ドロテアさんは知ってるのか。
女将ならさっき裏にいたから料理を頼んどいた。
食前のお祈りは神様のついてる牧師さんにまかせる。
[ドミニクと、うしろに牧師がいるならそちらにももう一度頭を下げてから、旅人は席に座りなおしました。]
そうだな。
出歩くには少し遅い時間だ。
[心配そうなドロテアの声を聞いて、旅人もかちこちと音をたてる大時計を*見上げるのでした。*]
ルイさんですか。
私はこの村で牧師をしている、メルセデスと申します。
たいして見る所がある村ではありませんけれども
……なんて言うと、村長さんに怒られてしまいますね。
住んでいるのは、良い人ばかりです。
どうぞ、ゆっくりしていってください。
[牧師は旅人にそう言うと、頭を下げました。
テーブルについた木こりの言葉が聞こえると、
牧師は苦笑を浮かべた後、神へとお祈りを*捧げ始めました*]
おや、老女 ゼルマ が来たようです。
老女 ゼルマは、おまかせ を希望しましたよ(他の人には見えません)。
[笹の葉先に夜露が結ぶ夜明け前、一人の老婆が森の中をゆっくりと歩いておりました。後ろにはやはり年老いた黒猫がまぁるい目をして従います。]
今夜は蒸すわねぇ。天気も崩れるかしらね。
[そういうと、リウマチで思うように動かなくなった右の膝頭をさすります。
痛みが治まりかけた頃、遠くにぼんやりと小さな明かりが見えてきました。]
あらまあ。はて、誰かしらねぇ。
[今度は腰を伸ばしてから明かりのほうに二、三歩近づきました。]
[やってきたのは噂好きな一人の男でした。夜明け前の森の中で、思わせぶりに、身体いっぱい使っておおかみの話を聞かせます。老婆はなぜかそれを聞いてうれしそうです。]
はいはい、ホラント。あんたの話は面白いけど、あたしの知ってる昔話も聞いておくれでないかい? まだ村の誰にも話したことのないとっておきの話さ。
あれはこのゼルマがこの村に嫁に来る前、隣村に住んでいた頃の話さね。その頃の私はこれでも美人で通っていたのさ……。
[黒猫がにゃぉん、と短く啼いてホラントが呆れ顔ですたこら行ってしまったことを知らせます。それでもしばらくしゃべり続けてから老婆は言葉を止めました。]
ふふっ、ホラントはこの手で追い払うに限るね。ああ、でも教えてくれてありがとうね、ヴァイスや。
[ゼルマはショールを掛けなおすとまたゆっくりと森の中を歩き*始めました。*]
/*
……黒猫に『ヴァイス』……!
黒にあえて白とつけるところが素敵ですわ、ゼルマ様。
……ところで、あと4人。
主人公的な立ち位置に入れる少年少女系が入ってこない、というのも寂しゅうございますね。
[そこら、自分でやる気はなかったんですか。
なかったんです]
[ゼルマは村の一軒宿でカップやらお皿をキッチンに運びます。何人か泊まりのお客がいるようです。
もう日が高く上っているというのに宿は静まり返っています。]
女将さんもいないし、ドロテアもまだかしら。静かすぎるわね。
[この村にしては普通の、けれども旅する人の目にも粗末と映るであろう朝食を用意し、ナプキンを被せておきます。]
早起きの人が居なくて助かったわ。
[老婆は洗濯を片付けようと*奥に入っていきました。*]
おや、少女 アナ が来たようです。
少女 アナは、おまかせ を希望しましたよ(他の人には見えません)。
ホラントお兄ちゃん。
きょうは、どんなおはなしをしてくれるの?
虹のねもとに埋まっている夢のうた?
ひとりきりの月の零したしずくのうわさ?
黒い森で暮らす双子のものがたり?
それとも、
それとも。
〔やがて始まるおはなしに、
まぁるい眼はきらきら光る。
楽しいことならばわくわく、
悲しいことならばしょんぼり、
こわいことならばびくびく。
それがどんなおはなしでも、何度聞いたおはなしでも、
いつでも、ちっとも、変わらない。
* アナはホラントの、いちばんの聞き手なんだから。*〕
〔朝になって、アナがやってきたのは、村の宿。
ここにはいろいろな人が集まるから、よく遊びに来るみたい。
けれども、今日は静か。
きょろきょろとしていると、ひとりの老婆が来て、机に何かを置いてくれた。〕
わあ。
ありがとう、ゼルマお婆ちゃん。
〔冷え冷えのグラスに、ほんの少しだけ緑に色づいた水。
その正体はすぐわかって、アナは頬を緩めるんだ。〕
[その少女の微かな笑顔に満足してゼルマもまた微かに笑顔を作った。]
ああ、いいんだよ。
[老描も機嫌よさそうに目を細くしている。]
〔ありがとう、
もう一度、お礼を言ってからアナはグラスに口をつける。
冷たくて甘い水は喉を通り抜け、からだの中に落ちていく。〕
今日はお天気悪くなりそう。
ヴァイスが顔を洗ってしまったから?
それとも空に悲しいことがあったから?
〔アナにとっては高い椅子。
つかない足をゆらゆらさせながら、窓の向こうの外を見る。
今にも泣きだしてしまいそうな青灰色が広がっていた。〕
[トントン、軽快な足音が階段に響きます。]
ヒールはやっぱり窮屈ね、こっちの革靴の方がとっても楽。
でも一番は裸足ね、久し振りに草原を少し走りたい気分。
[背伸びをしつつ、覗いた窓を覗くと今にも振りそうな雲行き。]
雨……?
この季節はしょうがないのかな。
[残念そうに窓の外を見て、首を傾げます。]
[ロビーには、老婆と少女がいました。
ツィンカはお辞儀をしながら、挨拶をします。]
おはようございます。
本当に静かですわ、怖いぐらいに。
男性の方で出掛けている方も多いですし、何も起こらなければればいいんですけど……。
[席に着きテーブルに用意された食事を口にしながら呟く。]
今日は少し母のお墓参りに行きますの。
帰って来るのが夕方になるかもしれませんわ。
皆さんに伝言して下されると嬉しいですの。
[朝食を指差し。]
少しパンを頂いて行きます。
ちょっとお墓がある所まで遠いので、お腹が空いた時に頂きたいので。
[バケットの中に、花とパンと紅茶の入った水袋を詰めます。]
では失礼しますわ。
あ、おはようございます。
〔きちんと足を揃えて、膝に手を突いてご挨拶。〕
あれ? ええっと……
〔はじめましてを言おうとした声が止まり、
お客の顔を見て、アナは眼をますます丸くする。
うろうろ、視線が何かを探すように、さまよった。〕
〔閉まってしまった扉をじっと見て、眉根を寄せるアナ。〕
ゼルマお婆ちゃん、あの人、旅の人?
〔質問にはどんな答えが返ってくるのやら。
空っぽになったグラスを持って床に下りると、
自分でかたづけると言い張って、
まるで自分の家のように宿の奥へ駆けていく。**〕
[やがて軋む音を立て、木はゆっくりと倒れました。
空いた隙間から曇り空が覗きます。]
天気が良くねえな。
湿気る前に運んじまおう。
[カーン、カーン。
枝葉を払う斧の音が響きました。**]
[昨夜の話です。]
牧師殿か。
村に泊めてもらうのも、ずいぶんと久しぶりだ。
おことばに甘えて、しばらくのんびりさせてもらうとしよう。
[旅人はメルセデスの丁寧なことばに、小さく頭を下げました。
そうしてお茶を飲み終えた頃、旅人はおやすみなさいを言って、泊まる部屋に向かいました。]
[次の日がやってきました。
森のほうから、木こりが木を切る音が聞こえます。]
天気が悪いな。
雨が降りそうだ。
[目を覚ました旅人は、空の色を見て言いました。]
おや、だれかいるみたいだ。
主人が帰って来たのだろうか。
[旅人が髪を梳いていると、ロビーのほうから声が聞こえます。
髪を銀色の馬のしっぽのようにまとめてから、旅人はロビーに行くことにしました。]
[旅人がロビーを覗き込むと、黒猫が一匹、椅子の上に丸くなっていました。
それと、忙しそうにしているお婆さんが一人。
小さな少女は、まだ宿の中にいるでしょうか。]
失礼。
宿の主人は帰っているだろうか。
昨夜から泊めてもらっている者だが。
[静かな宿を見回しながら、旅人は問い掛けます。]
何か手伝うことはあるかな。
[それから、そんな風に*申し出もしました。*]
―村の外れのお墓―
[サァーと広がる黒い雲は激しい雷と雨を呼び、一気に周囲の気温を下げます。
ツィンカは慌てて雨宿りの出来る近くの岩場に逃げ込みました。]
変な天気。
こんな事あまりなかったのに……。
何かの先触れ?
[頭を少し両方に振りました。]
あれはホラントのいつもの嘘。
人狼なんて、御伽噺よ。
[暫くすると激しい雷と雨は止みました。
でも暗い暗い雲はまだ空を覆ったまま。
ツィンカは急ぎ足で宿に帰ります。]
もう泥だらけになるなんて……。
[宿に帰ると靴と服の裾が泥だらけになっていました。
ツィンカは少し困った様な顔をして湯殿の方に代わりの服を持って向かいました**]
[ゼルマはちょっと不機嫌な顔で夕飯の支度を続けている。
宿の女将は「ちょっとお願いね♪」と言って出かけたまま昨夜から帰っていない…。 ]
お客さんを放ってどこに行ってしまったのかしらね。時たまあることだけども…ねぇ。まだ誰も戻ってないわよね?
[老猫は相槌を打つように にゃぅん、と啼いてロビーを巡回しにいく。
ゼルマも夕食の支度を急ぐことにしたようだ。]
[宿屋に来られた牧師様。
お使い途中だったのに、すっかり忘れていた事を思い出して。]
あらら、わたくしったら……申し訳ございませんっ!
[大慌てで謝ったり、宿屋のお手伝いをしたり。
それから、お勤め先へと帰ったのでした。]
[そして、次の日。
朝のお仕事を済ませた後、キッチンに漂うのはあまい香り。]
きっと、これが食べたいのでしょうから。
腕によりをかけて作らないといけないわね。
[作っているのは、黒い森のさくらんぼトルテ。
得意なお菓子の一つです。]
[やがて、天気は下り坂。
空は、少し不機嫌な様子。]
少し、嫌な天気ですわね。
せっかく、ツィンカが帰ってきているのに。
[小さな声で呟きながら、家の中のお仕事を済ませると。
出来上がったキルシュトルテを持って、宿屋へ向かうのです。]
/*
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ。
ぐぐる様にお伺いしたら、シュヴァルツヴェルダーの部分が場所によって違うのにくろねこが土鍋の中で転げましたわ。
それにしても、この人数ですと。
弾かれなかった時が大変ですわね。
覚悟した上での事ですけれど。
[洗った服を持って少し首を傾げて。]
早く乾かしたいのだけど……。
[と呟いて少し考えてから、宿のロビーの暖炉に薪をくべて、不器用にながらも火を起こす。
椅子を持って来て服を乾かし、ぼんやりと。]
早く乾かないかしら、
早くいい天気にならないかしら……。
[天気がよくないからでしょうか、今日も通りは静かです。]
女将さん、戻られてますかしら。
ゼルマ様がいらっしゃるから、宿は大丈夫でしょうけれど。
[そんな事を呟きながら、宿の扉を開けるのでした。]
[扉の開く音で後ろを振り向き。]
あっ、今晩は。
[暖炉で服を無造作に乾かしている自分の姿に少し照れながら、首を傾げて言いました。]
〜 宿の一室 〜
ふわあ……
〔奥の部屋を借りて眠っていたアナが目を覚ます。〕
よく寝たぁ、……まっくら?
〔彼方の太陽は泣き疲れて帰ってしまったようで、
代わりの月も今日のお仕事はおやすみみたいだ。
分厚い雲がわがもの顔で、空にでしゃばっている。
そんな窓の外を見たアナは、時計の針が追いかけっこを繰り返した回数を思ったんだろう、大慌てでベッドから起き上がり、ドアをばぁんと開けて駆け出していってしまった。〕
ママに私の姿を見せようとおめかししたら、泥だらけで雨にあって台無しよ。
[と言いながら、いい香りに笑顔を見せて。]
この匂いって、もしかしてサクランボのトルテ!!
ドロテア大好き、作って来てくれたんだ。
[乾かしていた服を置いて、駆け寄って笑顔を見せる。]
〔ロビーに着いたアナは、ぴた、と足を止めた。
上がり気味の息を隠そうと、いったん呼吸を止めてから、にっこり笑う。〕
えっと、こんばんは!
〔そう挨拶した笑顔は高得点ものだったけれど、残念ながら、寝っ転がってしわくちゃになった服や、ほどけかけたリボンは隠せやしない。〕
あらら、それは大変だったわね。
ちゃんと、温まっておいた? 風邪を引いたら、苦いお薬が待ってるわよ?
[少しだけ、意地悪な口調でいいますけれど。
笑顔で駆け寄るツィンカに、くすくすと笑って。]
ええ、きっと食べたいだろうな、って思って。
[不意に、駆け込んできた女の子。
笑顔の挨拶には、笑顔を向けます。]
はい、こんばんは、アナちゃん。
あらあら、リボンが大変な事に。
……お昼寝してたのかしら?
[ドロテアの意地悪にチロリと下を出して答えます。
そして続く言葉に少し待ちきれない表情を浮かべます。]
アナちゃん?
[ドロテアの挨拶をした方向を見ると昼に見かけた少女。]
少しお昼寝が過ぎたのかしら?
[首を傾げ、優しく微笑みを浮かべました。]
えっ、ほんとう?
〔ドロテアに言われて、アナはリボンに手を伸ばす。
でも、鏡を見ているわけでもないから、触ったのは無事だった逆側。ずれていないものを、いっしょうけんめい、直そうとしている。〕
うん……ちょっと、奥をお借りしてました。
お天気が悪いと、つい、眠くなっちゃって……。
〔良かったら良かったで、ひなたぼっこをしちゃうくせにね。〕
こんな天気だと、眠りたくなる気持ちは分かるわ。
早くいい天気になって、欲しいわ。
蛍達のダンスもあの激しい雷雨の後だとなさそう。
折角、お休み頂けたのに残念よ。
〔お客からも言われて、アナの頬は赤くなる。
でも、すぐさま、目をぱちくりさせて。〕
……お姉さん、アナのこと、知っているんですか?
少し、待っててね。
[待ちきれない表情のツィンカにくすりと笑って、持ってて来た箱をテーブルにそっと置きました。]
アナちゃん、反対、反対。
直してあげるから、ちょっと動かないで?
[反対側のリボンを引っ張る様子に、そっと手を伸ばします。]
ああ、お天気、良くなかったものね。
こんな日は、いつも楽しいお仕事も、少し憂鬱になってしまうわ。
[食事がやっと出来上がり、食堂のテーブルを整えている。]
お待たせしましたね。女将さんが遅いみたいでありもので作ることになってしまって…。ドロテアのデザートが華を添えてくれてるわね。
さて、みんなに声を掛けなくっちゃ。
[食卓にはマッシュルームとスパイシーグリーンのオリーブオイル和え、トマトのオムレツ、イカのリゾット、ミントと米のスープ、パン・ド・カンパーニュ、カルバドス酒、ワインが並ぶ。
ドロテアのキルシュトルテはテーブル中央に綺麗に切り分けられてひときわ美しい]
[アナの言葉に、]
私はたまにしか帰って来ないから、知らないのもしょうがないかも。
それに前にあった時は小さかったから、覚えてないかもしれないわ。
[クスクスと笑う。]
〔伸びてきたドロテアの手に、アナは手をひっこめて、自分の服を掴んだ。
思わず、口もきゅっと引き結んでしまう。〕
ありがとうございます、ドロテアお姉さん。
〔直された後にお礼を言って、〕
あーあ、こんなんじゃ、淑女になるなんて夢みたい。
〔後の言葉は、ちっちゃく呟いた。〕
[前掛けで手をぬぐいながらロビーにやってくる。]
お食事出来ましたよ。折角ですから冷めないうちに上がってくださいね。
ドロテアさん、アナのリボンを直し終わってたら手伝ってくださる?
[老婆は食堂にみなの食事を準備しに戻った]
雨は憂鬱になるし、お仕事が楽しめないのはいやです。
でも、雨の日だけの楽しみもあるって、お兄ちゃん、言ってました。
窓の外から聞こえる雨音の紡ぐ歌や、
地面に当たって弾ける雨粒の踊り。
それは、そのときにしかないものだからって。
〔アナは、雨についての感想を述べるふたりに、始めはおずおず、途中からは、楽しそうに言った。〕
……こわいおはなしも、あったけれど。
雨は空の涙で、雷は空の怒りだから、
何か悪いことをしたのならごめんなさい、って言うんだよ、とか。
そうしたら、きっと、晴れがくるんだって。
〔笑っている女の人。
アナは申し訳なさそうに、眉を寄せて首を振る。〕
ご、ごめんなさい!
でも、お姉さんのこと、知っている感じは、したんです。
ほんとうに。
ええと、はじめまして、じゃなくて、おかえりなさい?
〔視線をあっちこっち彷徨わせたあげく、地面を見つめながらの一言だった。
そうこうしているうちにゼルマがやってきて、食事が出来たことを告げる。
きゅるるるる。
アナが何かを言う前に、返事をしたのは、おなかの虫だった。〕
あら、ゼルマ様。
……女将さん、まだ戻られないのですか?
[食事の支度を、というゼルマの言葉に一つ、瞬きます。]
ええ、わたくしでよければ、お手伝いしますわ。
いえいえ、どういたしまして。
[アナのお礼には、にっこりと笑って。
ちっちゃな声は、ぎりぎりで聞こえましたから、ちょっと首を傾げます。]
そうね、雨の日は雨の日の良さがあるわ。
……でも、お洗濯ができないのは、本当に困ってしまうかしら。
[雨の話には、一つ、ため息をつきながら言って。
おなかの虫の返事に、少しだけ笑いました。]
/*
はΣ
そろそろ、セーブいたしませんと、プロから飴喰いになってしまいますわっ!
……喋りにくいかしら、とも思ったのですけれど、適応できるものですわねぇ……。
[ゼルマの声は聞こえた筈なのに、待ちきれない様にドロテアが持って来た箱を開け、サクランボのトルテを一足先にツマミ食いをしました。]
美味しい。
やっぱり私はこれが一番大好きよ。
[にっこりと笑います。
そして再び、箱を元通りにして食事の卓に座ります。]
[ドミニクが宿にやって来たのは、ゼルマが食事の用意を終えた頃でした。
雨避けの外套のフードから、無愛想な髭面が覗きます。]
女将さん留守だってな。
ゼルマさんが食事を用意するならと思って来た。
[そんなことを言って鼻を食堂の方に向けます。
そうして髪を直している少女たちより先に、のっしのしと向かったのでした。]
ええっと、ええと!
アナ、そろそろ帰ります!
お兄ちゃんも、きっと、お腹すかせているもの。
〔ぱたぱたと慌てるこころを表すように手を動かすアナ。
顔はりんごに負けないくらい、まっかっかだ。〕
[外套を食堂の椅子にかけ、ドミニクは綺麗に並べられた料理を見ました。
とてもいい匂いに表情が少し緩みます。]
…旨そうだな。
泊りの客もいるから腕を振るったのか?
[忙しそうなゼルマに声をかけて椅子に座ります。]
〔いい匂いに後ろ髪を引かれはしたけれど、それを振り切るように、アナはかたく目を瞑って前を向く。そのまま駆け出し、危なく扉などにぶつかりそうになりながら、家へと帰っていくんだった。**〕
やれやれ。
災難だ。
[お婆さんに声を掛けてから、旅人は一度外に出ていました。
その間にしっかり降られたようです。
ぬれて形の崩れたとんがりぼうしの下で、旅人は溜息を吐きました。]
[大皿の料理を取り分けながら問わず語りに]
アナはホラントのことが本当に好きなんだね。
ドミニク、手だけは洗ってきなさいな。ドロテアさん、一緒にいただきましょう。ツィンカもこの村の村人みたいなものだしね。
[わずかに聞こえる雨音に合わせるように黒猫が尻尾を揺らしている。]
もう、お行儀悪い。
[ツィンカの様子に、ちょっとだけ顔をしかめます。]
あら、アナちゃんはお帰りなの。
でも、ホラントさんが心配しているといけないものね。
……トルテは明日、二人分届けてあげましょうか。
[小さく呟くと、やってきた人たちに挨拶をします。]
はい、せっかくのゼルマ様のお料理ですものね。
あ、でも、牧師様……。
[宿に行ってきます、とは言ってきたけれど、遅くなるとは言っていませんでした。]
……こちらに、こられるかしら?
[奥に入るとすぐに戻って旅人にタオルを渡してやりました。外は思ったより降っているようです。]
旅人さん、お帰りなさい。丁度食事をいただくところです。
神よ、ありがとうございます。良き糧を。
[ドミニクはゼルマの言葉に今まさに飲もうとしていた杯を止めて、テーブルへと置きました。
大男は老女に従い、すごすご手を洗いに行きます。]
……ゼルマさんには敵わん。
[小さい頃のあれやこれや。
達者なおばあさんはホラントよりも物知りかもしれません。]
[女の子が駆けてくるのが見えて、旅人は道を開けました。]
こんな時間にひとりで帰るのか。
村の中なら安全かな。
[そんなことを考えながら、宿に着きました。
ぼうしやマントの水を払ってから、旅人は扉を開けました。]
[帰ってきた旅人に、お婆さんがタオルを渡してくれました。]
ありがとう。
それはちょうどよかった。
[そう言って、旅人も中に入ります。
なるほど、いい香りがただよってきます。]
[ゼルマの言葉を大人しく言う事を従うドミニクの姿にコロコロと鈴の音の様な声で笑います。
すると喉に残っていたトルテが気管に入って、激しくむせます。
ひとしきりむせた後に水を飲み、ぼやきます。]
もう、ドミニクの所為でむせちゃったじゃないの。
おう、旅人さんも出てたのか。
災難だったな。
[タオルを使っている様子にそう言って、椅子に戻ります。
ぼやくツィンカには半眼を向けました。]
なんでオイラのせいだ。
旨いからってがっついたんだろ。
おう。
……神よ、糧に感謝を。
[ゼルマの許可にドミニクは杯に手を伸ばしかけ、めずらしく食前の祈りの言葉を口にしました。
また怒られてストップされるのが嫌だったのは内緒です。]
[ゼルマはドロテアがメルセデス牧師のことを気にしているようなので一声掛けようと思いました。ドロテアの優しいところを気に入っているようです。]
ドロテア、牧師様なら気が向けばここに見えるかもしれないし、心配ないと思うわよ。
[ゼルマは女将さんが牧師にしばしば食事を振舞っていたことは知っていましたが、そのことは黙っていました。 だって、自分にとっては息子くらいの歳のメルセデス牧師が女将さんの居ない日には殆ど宿に寄り付かないことがちょっと妬ましかったのです。]
やあ。みんな来ていたのだな。
[部屋に入ると、まずは食卓を囲む人たちに挨拶をします。]
まったくだ。
まさか、あんなに急に降られるとは思わなかった。
[ドミニクのことばに苦笑を返しながら、旅人はぬれたマントとタオルを持って奥へと引っ込みます。
程なく戻ってくると、旅人も席につきました。]
私、がっつかないもん。
[プィと横を向いて拗ねた振りをします。]
ドミニクがそんなに大きくなっても変わらないからおかしかっただけよ。
[ドミニクの方を向くこと無く、自分の食べる分だけの料理を大皿から取りました。]
[黙々と食べていた木こりは旅人に頷きだけを返しました。
口の中が空になってからぼそりと呟きます。]
トマトのオムレツはゼルマさんの方が旨い。
そこのトルテは黒い森のサクランボだろう。
…たぶん、ドロテアさんのだ。
それなら、よいのですけれど。
[ゼルマの言葉に、窓の向こうを見やります。]
……遅くならなければ、大丈夫かしら。
わたくしも、いただきますわ。
[それから、また少し考えて、席につきました。
ゼルマの気遣いを、無駄にしたくなかったのです。]
手土産持って帰れば機嫌も直るんじゃねえか。
…雨じゃなけりゃ、匂いに釣られそうなもんだがなあ。
[牧師をどう認識しているのか、主を気遣うドロテアにそう言います。
荷物持ちついでに送っていけばいいと無愛想な木こりは思っているのでした。]
[ある程度、食事を口にすると食事をする手を止めます。]
食べ過ぎたら、太っちゃうから……。
もう少し食べたいけどね。
[名残惜しそうに料理を見ます。
でも目を閉じて、誘惑を断ち切る様に立ち、二階の自室へ向かいます。]
ご馳走様、美味しかった。
少し部屋の中でしないといけない事があるから。
[掛けてあった服を取り、二階に駆け上がっていきます**]
二日も続けて、お夕飯作らずじまいでしたもの。
やっぱり、申し訳なくて……。
[ドミニクの言葉に、やっぱりちょっと申し訳なさそうな口調で言います。]
雨じゃなきゃ、って。
もう、牧師様をどう思ってるんですの?
[食事を切り上げて部屋に戻るツィンカにおやすみなさい、と声を掛けました。]
食後のお茶を出してなかったわ。ちょっと用意してきますね。
[ドロテアがドミニクに言いたいことも分かるけど、ドミニクの言うことのほうが当を得ているかもしれないと思いました。]
[上がっていくツィンカを見送り、ドミニクは杯を重ねます。
日に焼けた赤ら顔には酔いの色は余り出ません。]
どうって…
[ドロテアの問いに正直に答えかけた頭に、昨日のちょこまかしてると評して膨れた牧師の顔が浮かびます。]
……………牧師さんだな。
[お茶を少しほろ酔いのドミニクに渡してやります。]
良く食べたわね。片付けはあたしが出来るからドロテアさんはドミニクに送ってもらうといいんじゃないかしら。
ホラントの噂話に送り狼は出ている様子はなかったしね。
[ヴァイスが良いタイミングでにゃぁ〜、と相槌を入れます。]
[それからしばらくの間、旅人はあまり口を聞かずに食事を続けました。
お酒には手をつけませんでしたが、その他のものは残さずきれいに食べます。]
ごちそうさま。
[食事を終えると、旅人は感謝のことばを*のべました。*]
[部屋に戻るツィンカには、お休みなさい、と挨拶をして。
妙な空白のあるドミニクの言葉に、ちょっとだけむぅ、とした表情になりました。]
え、でも。
よろしいのですか、ゼルマ様?
それに、一人でも大丈夫、ですよ?
慣れた道ですもの。
[そんな風に言いはするのですけれど。
いざ、帰る時になったなら、行く時よりも大きな荷物に困ってしまい。
結局、送っていってもらう事に*なるのですけれど。*]
[老婆はドロテアに向かって肯いてみせました。]
ええ、あたしは家に戻ってもどうせ一人だし、女将さんもじきに帰るでしょうから、それまで留守番しているわ。
[老婆は永年一緒に過ごしてきた老猫を抱き上げて目を細めます。
老猫もされるがままになっています。]
[夜が明けて、誰もいない食堂を片付けるゼルマ。
朝食の用意を済ませておくつもりのようです。
それが終わるとロビーで寝入ってしまった旅人のブランケットを掛け直してやります。見知らぬ旅人がやってくるのはいつ以来でしょうか。
老婆はちょっとだけ昔話を思い出すのでした。]
森に行ったら帰るとき、もと来た道を戻りなさい。迷ってしまえば大人でも出ては来られぬ黒い森。
後ろに気配感じても振り返ってはいけないよ。
知ってしまえば大人でも出ては来られぬ黒い森。
:
[眉間に皺を寄せて思い出そうとしましたが、その先は*思い出せませんでした。*]
ごちそうさまでした。
おや、ドロテアさん。いいえ、謝ることなんてありませんよ。
[宿屋で見かけたドロテアさんに、笑って手を振ります。
木こりの隣でくぅと鳴ったお腹を黙らせると、
宿屋から教会へと帰って行ったのは、二日前のお話でした]
[次の日、朝から牧師は
村の外れにある教会の書斎に閉じこもっていました。
赴任してくる以前からある、古い本の整理をしていたのです。
いつの間にか、牧師の手は止まっていました。
整理途中の本を読み始めてしまったのです]
お昼には、善良な人。
深夜には、人喰い狼。
物騒なお話ですね。
[そこに綴られていたのは
昔昔の物語。遠い所の物語。
ホラントさんの言っていた、狼にまつわる物語。
時間の経つのも忘れて
牧師は静かに頁を捲っていきました]
〔雨上がりの村を、アナはひとり歩いていた。
水溜りに片足をつっこんで跳ねあげると、ぱらぱら滴が散っていくんだ。
あちこちにある小さな泉を見つけるたびにそうしていたものだから、目的の場所に着くのは、だいぶん、遅くなってしまった。
普通の家とは一風変わった建物の前に到着したアナは、扉を叩いて、大きく声を張り上げる。〕
こんにちは、牧師さま!
いらっしゃいますか?
[今日も書斎に閉じこもって本を読み耽っています。
本を読み始めると、夢中になってしまうのは、牧師の悪い癖でした。
幾度か扉を叩く音と、牧師を呼ぶ少女の声に、
ようやく訪問者に気付いて、本から顔を上げるのです]
……おや。
どなたでしょうか。
[本を机の上に置いて立ち上がり、
入口へと歩いて行くと、扉をゆっくりと開けました]
〔何度か扉を叩いて、何度か声をあげて。
そろそろ疲れて帰ってしまおうかって頃に、扉は開いた。〕
わっ、こんにちは、牧師さま。
〔にっこり笑って、丁寧にお辞儀をする。〕
ええと、お忙しかったですか?
アナ、お祈りと、おはなしを聞きに、来たんです。
はい、こんにちは。
いいえ、忙しくはありませんよ。
[牧師は少女の申し出に、にっこりと微笑みを浮かべます]
それは良い心がけですね。どうぞ、お入り下さい……っと。
ああ、足元が汚れていますね。少しお待ち下さい。
確か、ドロテアさんが用意してくれていたはずです。
この辺に……ああ、ありました。
[牧師は近くの棚を漁った後、
少女に、真っ白なタオルを差し出します]
えへへ。
今度のお兄ちゃんのおはなしは、
こわいおはなしだから。
悪いことがあったらいけない、って思って。
〔メルセデスにタオルを渡れされて、アナの笑いは、照れたものから恥ずかしがるものへと変わった。
ありがとうございます、
ちっちゃくお礼を言って、ごしごしと足を拭くと、白い布に黒や茶がうつった。〕
水溜まりがたくさんあったから、つい。
汚れちゃったから、きれいに、洗います。
〔水場はどこかと、メルセデスに尋ねるアナ。〕
そうですね。怖いお話でしたけれど。
神様にちゃんとお祈りすれば、平気ですよ。
[牧師は少女が足を拭く様子を微笑んで眺めた後、
教会の入口付近に置かれた汲み水のある
場所まで案内しながら言いました]
でも、今度のホラントさんのお話は、
どこから出てきたんでしょうね。
ご存知ありませんか?
ほんとう? よかった。
お父さんもお母さんも、遠くへ行ってしまったから、
〔指さす先は、空の彼方。〕
お兄ちゃんになにかあったら、悲しいから。
〔メルセデスに連れられて水場に着いたアナは、タオルを洗って、かたくかたく絞る。力はあまりなくって、まだ、タオルはちょっと重たい。でも、汚れは取れたみたいだ。〕
うんと、お兄ちゃん、そういうことは秘密だって言うんです。
でも、最近、今までより遠くに、お出かけしているみたい。
ときどき、帰りが遅いんです。
たぶん、黒い森のほうだと思うんだけれど。
〔もう一度お礼をして、タオルを返そうとしながらアナは言う。〕
[少女の指が差した先
遠いお空を見上げます]
お父さんも、お母さんも、
ちゃんと、アナさんたちを見守っていらっしゃいますよ。
アナさんは、お兄さん思いの優しい子ですね。
[牧師は少女の頭を撫でようと、そっと手を近づけました]
黒い森の方ですか。それは心配ですね。
ドミニクさんにもお話して、
それとなく気をつけておいて頂きましょうか。
[牧師は少女から、まだ水気が残る綺麗になったタオルを受け取ると、ぎゅうっと力をこめて絞ります。
ぽたり、ぽたりと水滴が地面へと落ちていきました]
そんなこと、ないです。
だって、ふたりきりの、きょうだいだもの。
〔当然だというように言いながらも、撫でられるアナはうれしそう。〕
ありがとうございます、牧師さま。
木こりさんなら、力が強いから、きっと、だいじょうぶですよね。
〔まだ残っていたしずくが落ちていくのを目にすると、アナは自分の手を見る。握ったり開いたり、力がないのを残念に思っているみたいだ。〕
牧師さまは、人狼のこと、知ってらっしゃいますか?
兄弟で仲が良いのは、喜ぶべきことです。
そうですね、本当に。
力持ちで、優しくて頼りになる方です。
[少女の頭を撫でながら、木こりの評価を口にします。
少女の問いかけに、牧師は僅かに眉間に皺を寄せます]
ええ……。
といっても、お会いしたことはありませんけれど。
普段は人に化けて、本性を現すと人を襲う悪い生き物だそうです。
[聖なるシンボルを手に、十字を切って神に祈ります]
そういうお話でしたら、ゼルマさんが色々と詳しくご存知かもしれませんね。
〔メルセデスの話を聞きながら、アナはむずかしい顔。
ひとつひとつ聞いては頷いて見せるけれど、どこまで分かっているのやら。〕
……牧師さま、アナにもお祈りさせてください。
こわいことが、ほんとうになりませんように、って。
〔両の手を組み、暮れ始めた空を見上げて、アナは言う。
お祈りを終えたあとには、ホラントと住む自分の家へと帰っていくんだ。**〕
ええ、よろこんで。
一生懸命お祈りすれば、
きっと神様はお願いを聞いて下さいますよ。
[少女の真剣な表情に、心配ないと穏やかな笑顔を向けます]
どうか、かみさま……。
[お祈りをする少女の隣で、
牧師も同じように神へとお祈りを捧げます]
それではアナさん、
気をつけてお帰りくださいね。
[暮れ始めた空の下、牧師は家へと帰っていく少女を見送って、
再び教会の書斎へと*入るのでした*]
旅芸人 ツィンカが村を出て行きました。
−宿の裏の畑 午後−
[女将の戻らない宿の裏では老女が畑の手入れにいそしんでいました。
いつしか、遠くから黒雲が迫っていました。ゼルマは手を止めて空を仰ぎ見ました。黒猫も気配を感じて側に寄ってきます。]
雨の季節が始まるわね。
[遠くに雷鳴が響き空の片隅が一瞬だけ明るくなりました。]
ヴァイス、急いで片付けましょう。
[ゼルマと老猫は急いで野菜を収穫すると宿に戻ることにしました。]
−宿屋の帳場 日暮れ時−
[ゼルマが戻ると書き置きが残されていました。
ツィンカが宿賃を置いて発っていたようです。]
寂しくなるわねぇ。野菜取りすぎてしまったかも。
[ヴァイスの啼き声も少し寂しげです。
ゼルマは気を取り直して夕食の支度を*続けるのでした。*]
くしゅん。
[ロビーのいすの上で、旅人は小さくくしゃみをしました。
昨日の晩、そこでそのまま眠ってしまったものですから、少しだけ調子が悪いのです。]
おや、これは。
彼女は行ってしまったのか。
残念だな。
[旅人はツェンカの残していった書き置きを見つけて、つぶやきました。]
[夕食の準備が整い、料理を並べはじめたところで、誰かの気配がしました。]
あら、ルイさん。丁度夕飯ができたところですよ。
[ ゼルマが指差す食堂には料理が湯気をたてていました。
ベーコンとほうれん草のサラダ、
ナスとツナのトマトソーススパゲティ、
牛ひき肉入りガスパチョ、
フォカッチャ、
エスプレッソ、りんご風味のトルコ紅茶
ティラミス ]
一応は冷めても食べられるものにしたのですけど。
なにぶん女将が戻りませんのでご不自由をおかけしますがお許しください。私はちょっと台所で片付けをしていますので。
[老女は旅人にゆっくりと*お辞儀をするのでした。*]
そういえば、蛍がいると言っていたな。
[旅人がツェンカのことばを思い出していると、夕飯ができたと声が聞こえます。]
夕食が終わったら、外に出てみようか。
[さいわいなことに、今は雨の音は聞こえません。
旅人はそう決めて、呼ばれたほうに歩いていきました。]
[宿から戻ると、牧師様はずっと書斎にいらした様子でした。]
……あそこに入られると、時間を忘れてしまわれるのですよねぇ……。
[次の日も、朝から書斎へ向かわれ牧師様の様子に小さく呟いてから、いつものお勤めを果たします。
一通りのお仕事が済むと、雑貨屋さんへ。
それは、アナがお祈りにくる、少し前の事でした。]
/*
アナちゃんに会わなかった理由付けに悩んでいたなんて、そんな。
それにしても、どうなりますかしら。
一応、くろねこも広報はしていますけれど……。
不自由なんてとんでもない。
いつもありがとう。
[お婆さんのことばに、旅人はふるふると首をふりました。
そうして今日も、感謝のことばと一緒にご飯をいただくのです。]
[雑貨屋さんでお買い物。
お喋り好きな店主さんに聞かれるのは、ホラントの噂話や、最近訪れた旅人たちの事。
それに色々と答えている間に、いつの間にか時間は過ぎてしまいました。]
あら、いけない。
そろそろ、戻らないといけませんね。
それじゃ、また参りますわ。
[丁寧なお辞儀をしてから買い物袋を両腕で抱え、外へと出ます。]
今日こそ、ちゃんと支度をしませんと……。
[教会に戻ると、出てきた時と同じく静かでした。]
まだ、書斎にいらっしゃるのかしら。
[ちいさく呟くと、てきぱきとお夕飯の準備を始めます。
ゼルマにはまだまだ敵いませんけれど。
ずっとやっているから、こちらも得意な事の一つなのです。]
[ゆっくりと食事をとって、もちろんティラミスまできれいに食べ終えてから、旅人は食器を台所に持っていきました。]
ありがとう。おいしかった。
[旅人はお婆さんに言いました。
ヴァイスが許してくれるなら、そっと指でヴァイスののどをなでてあげます。
それから、旅人はマントを着て、宿の外に出ました。
とんがりぼうしはまだぬれているので、今日はおるすばんです。]
[森近くの小屋で、木こりは一息ついて顔を上げました。
時間を探り窓の外を見る前に腹が鳴ります。]
……ちと頑張りすぎたか。
まだゼルマさんの飯が残ってるといいが。
[ない場合を考えて、固くなったパンを齧り外に出ます。]
おや、隠居 ベリエス が来たようです。
隠居 ベリエスは、おまかせ を希望しましたよ(他の人には見えません)。
ホホホ、ホラントのやつまた騒いどるのか。
[日課になっているお散歩の途中。
ホラントの噂話を耳にしたおじいさんは、のんびりとした笑い声をあげました]
……そういえば、蛍が綺麗だと、ツィンカが言っていたわね。
[夕飯の支度が済むと、ちいさく呟いて窓の外を見ます。]
飛んでいるかはわからないけれど、お散歩がてら、見に行ってみようかしら?
/*
そしてメモでは字数制限があるのでこちらで。
ツィンカ、箱環境の件での退村はとても残念だったのですが、箱環境整わない状態での参加は精神的に辛いだろうなと思い大人しく見送ったのでした。
メモでは素っ気なさげですみません。
箱更新はトラブルなく終わればいいのですが、そうでない場合、週末に部品交換しないといけなくなったりとかもあるんですよね。そこら辺の経験談からツィンカのお気持ちは分かるのでした。
入村開始時から率先して雰囲気を作ってくださってありがとうございましたと密やかな感謝を。
またの機会があることを願っております。
人狼の影か、あの村の事を思い出すのう。
……おや、良い匂いじゃ。
[おじいさんが鼻をひくひくとさせたのは、教会の前を通り掛かった時のこと。
そういえば、そろそろ夕ご飯の時間です]
[森近くの木こり小屋から宿への道をのんびり歩きます。
遠目に森の木立の間で小さな光が過ぎりました。]
…蛍か。
いや、まーたホラントかもしれんな。
どっちでも腹の足しにはならねえが。
[外に出ると、誰かの声が聞こえました。]
……あら?
[声の方に行ってみると、そこには。]
あら、御隠居様。
こんばんわ、お散歩ですか?
[旅人はゆっくりと、黒い森のほうへとむかいます。
そこに小川が流れているのは、村に来る途中で見つけていました。]
人狼なんて聞いたから、少し不気味に思っていたけれど。
[森はもうすぐそこです。]
おや、ドロテアさんか。こんばんは。
わしゃ散歩から帰る所での。
ドロテアさんは、お使いに出るところかの。
[教会のお手伝いさんに声を掛けられて、おじいさんは白いまゆげの影の目をそちらへ向けました]
これから、お戻りになられるところでしたの。
わたくしと逆ですわね。
そろそろ、蛍が綺麗、と聞きましたので、見に行ってみようかと思ったのですわ。
[森から宿へと向かう道。
ちょうど逆にくる旅人が見えました。
とんがり帽子がないので、銀の髪がぼんやり光って見えるようでした。]
よお、こんな時間にどうした?
旅に出るにはちと遅い時間だぞ。
[小川の流れより大きな声が響きます。]
〜 村の中 〜
うぅん。
どうしよう、どうしよう。
〔背中に小さなリュックを背負ったアナは、閉まってしまったお店の前で、唇に指を当てて困り顔をしていた。〕
おとなりさんに、分けて貰えばよかったかな。
〔ぐるぐるぐるぐる回ったあと、月と星の明かり、それから家から零れる光を頼りに、人気のない暗い道を歩いていく。〕
おお、蛍か。今年ももうそんな季節なんじゃのう。
気を付けて行っておいで。変な噂も立っとる事じゃしの。
[相手が若い娘さんなので、おじいさんは心配そうです]
村の設定が変更されました。
あら、大丈夫ですわ。
奥深い所までは行きませんし、遅くなると牧師様にもご迷惑をおかけてしてしますますから。
[心配そうな御隠居に、にっこりと笑って答えます。]
変な噂……ホラントさんのお話でしょうか?
おや。
ドミニク殿か。
[大きな声が聞こえたので、旅人はぱちぱちとまばたきをしました。
そうしてそこにドミニクがいるのを見つけると、ぺこりと頭を下げました。
しばっていない銀の髪はさらさらとゆれます。]
蛍を見に行こうと思ってな。
ツィンカ殿が、きれいだと言っていたから。
彼女は今日の朝、村を発ってしまったようだけれど。
[少し首を傾けながら、旅人はそう言うのでした。]
〔仕方ない、と家のほうに戻っていこうとすると、教会のほうで話し声。
ちょっぴり心細かったらしいアナは、少しだけ急ぎ足に、そちらへと向かっていった。〕
ドロテアお姉さん、ベリエスお爺ちゃん。
こんばんは! いい夜ですね。
うむ、それなら良いのじゃよ。
[にっこり笑うドロテアを見て、安心したように頷きます]
そうじゃ、ホラントの話じゃよ。
あやつの事だからあんまり信用してはおらんのじゃが、前にもどこかで同じ話を聞いたような気がしてのう……。
[おじいさんがこの村に来たのは、歳をとってからのことです。
だからそのお話を聞いたのも、こことは違うどこかの村でのことでしょう]
あら、アナちゃんこんばんは。
[急ぎ足でやって来たアナに、まずは挨拶をして。]
どうしたの、こんな時間にひとりで?
[それから、少しだけ首を傾げてたずねました。]
おや、お嬢ちゃん。
こんばんは、こんな所でどうしたね。
夜遅くに表へ出るのは危ないぞい。
[アナの声に振り向くと、やんわりと言い聞かせるように言いました]
ホラントお兄ちゃんが、どうかしましたか?
〔聞こえたおはなしに、アナはまるい眼をぱちくり瞬かせる。〕
灯り用の油が、切れちゃったんです。
買いに来たんだけれど、お店、おしまいみたいで。
お家は、天の明かりを分けて貰うか、蝋燭を使ったらいいけれど、お兄ちゃん、きっと困ってしまうから。
[綺麗な銀の髪が流れて挨拶するのを木こりは頷き返します。
それから黙って話を聞いていましたが、ツィンカが旅立った下りで口が大きく開いて、がこんと閉じました。]
そうか。行っちまったか。
また来る時にはどれだけ化けてるんだかな。
……蛍、いる場所知ってるのか?
[つい零した呟きを気まずく思い、大男は話題を変えようとしました。
つまりは、元に戻っただけですが。]
……同じ、お話?
他の場所にも、人狼のお話はあるのですか?
[ご隠居の言葉に、一つ、瞬きます。]
ああ……ホラントさんの噂話の事を、ちょっとお話していたの。
灯り用の油なら、この間買い足したばかりだから、わけてあげましょうか?
ランタンが使えないと、ホラントさん、困ってしまうものね。
ホホ、なあに、ホラントの噂話を聞いて少々びっくりしてしまったのじゃ。
あんまりみんなを脅かさないようにと、あやつに言っておいてくれんかのう?
[そう言って、アナが事情を話すのを聞きました]
ほう、お兄ちゃんのために油をのう。
感心な話じゃが、嬢ちゃんに何かあったらホラントも悲しむぞい。
[そしてドロテアが油を分けてあげると言えば、そちらに頷くのでした]
ツィンカ殿は化けるのか。
[つぶやきはしっかり拾ったようです。
生真面目なようすで、旅人は首をかしげるのでした。]
いいや。
だけど、ここに来る途中で小川を見たから、きっとそこだろうと思ったんだ。
[話題が元に戻りましたので、旅人もかしげた首を元に戻します。]
[おじいさんは、ドロテアの言葉に頷きます]
おお、そうじゃ。
こういう怖いお話はのう、多少形は違えども、いろんな場所にあるものなのじゃよ。
ホラントの噂話は、果たして何処から仕入れてきたものなのかのう。
ドロテアお姉さん、ほんとう?
……でも、やっぱり、悪いです。
油も無料じゃないもの。
夜中にひとりで歩くのも危ないから、今日はお休みして貰って、明日、また買いに行くほうが、いいかもしれません。
〔ゆらゆら揺れる天秤は、どっちに傾くのやら。
理由をつけて、自分を納得させようとしているよう。〕
人狼の、おはなし?
確かに、こわいおはなしで、みんなを不安にさせちゃうのは、いけません。
でも、ほんとうなら、大変だから。
きっと、お兄ちゃん、気をつけて欲しくて言っていることだと思うんです。
……ホラントお兄ちゃん、いろんなおはなしをするのが好きだけれど、あんなにこわいのは、初めてかもしれません。
あっちの、
〔昼間、メルセデスに話したときと同じように、アナは黒い森を指さす。〕
遠くの方に行くようになってからだと思います。
誰かに、おはなし、聞いたのかな……?
でも……御伽噺ですわよね?
[ご隠居の言葉に、聞き返す声はちょっと不安そうです。]
ホラントさんのお話は不思議。
みんなが知っているお話だったり、誰も知らないものだったり。
本当に、どこから聞いてくるのかしら?
[しっかり拾われたらしい一言に、大男の背が揺れました。
傾げられた首から髭面を背けて小川の奥を指差します。]
そう、あっちだ。
綺麗な水が好きだからな。
……まだ足元があんま良くねえ。気いつけろ。
[元に戻った首を横目に木こりはそう継ぎ足しました。
そうして、余計なことを言ったとばかりに、むすっと口を閉じました。]
あら、困ったときはお互い様、でしょう?
油は、後で返してくれれば構わないから、大丈夫よ。
牧師様だって、わかってくださるわ。
[迷っているようなアナの様子に、にっこりと笑います。]
それに、油がないからって灯りも持たずにでかけたりしたら、その方がよっぽど危ないわ?
おや、羊飼い アルベリヒ が来たようです。
羊飼い アルベリヒは、おまかせ を希望しましたよ(他の人には見えません)。
[村はずれの小さな牧場に、一人の羊飼いが住んでおりました]
アリーにベリー、シリーにデリー、イリーにエリー、みんな揃ってるかい?
ああ、ごめん、フリーを忘れていたな。ほらほら、早く小屋に入った入った。
……それは、困っちゃう。
もう、行っちゃったり、していないかな?
〔ドロテアの一言に、アナの心配は、ほかへと移ってしまった。
あっちこっち、視線は行ったり来たりをくりかえす。〕
そうじゃのう。本当になったら大変なことだ。
じゃから、普段から気を付けておくのは大切なことじゃよ。夜に外に出ない、とかのう。
……遠くの方か……。
[一度黒い森の方を見てから、ドロテアへと向き直ります]
ホホ、勿論そうじゃよ。
わしゃ長いこと生きとるが、それでも獣に化ける人間など見たことがないからのう。
安心するのじゃよ。
[不安そうなドロテアを見て、おじいさんは明るく笑うのでした]
[羊飼いの飼う羊は七頭、最後の二頭は双子の羊で、見た目もそっくりのおちびさん。いつも片方を忘れてしまいそうになるのです]
どうした?今夜はいやに落ち着かないじゃあないか。
まさか…いやいや、狼なんか来るわけないよ。
さあさあ、安心しておやすみ。
合っていたか。よかった。
ご忠告、感謝する。
[口を閉じてしまった木こりに、旅人はぺこりと頭を下げました。]
ドミニク殿は、これから宿に行くのかな。
食事はできているよ。
冷めてもだいじょうぶなように作ってあると、お婆さんが言っていた。
[そうして、ふと、思い出したように言いました。
昨日もその前の日も宿で会いましたから、旅人はそんな風に思ったらしいのです。]
ね、そうなったら困ってしまうでしょう?
……勿論、一番いいのは夜中に出歩かない事なのだけれど……。
ちょっと、待っていてね?
[あっちこっちを見るアナにつられるように周囲を見回すと、一度、教会の中へと戻ります。]
/*
さっき出先から帰ったばかりのふかですが(笑)
あと一人で霊が出るんだなーと思ったので突入。だって狼二匹なのに村側能力者占だけとか寂しい…
……うん、気をつけます。
〔ふたりに言われて、アナは、しゅん、となってしまった。
心なしか、結んだ髪まで垂れているみたいだ。〕
夜は不思議な感じがするから、つい、外に誘われちゃうけれど。
それでも、何かがあったら、たいへんだもの。
お姉さんと、お爺ちゃんも、気をつけてくださいね。
口うるさく言ってすまなかったのう。
嬢ちゃんは賢い子じゃから、きっとわかってくれると思ってのことじゃよ。
[そう言って、しゅんとしているアナに微笑みかけます]
そうじゃな、わしも若い頃は夜が好きじゃったよ。
夜風に当たり星を眺めるのも良いものじゃ。
この歳になると夜は眠たくなってしまうがの、それでも出歩く時はよおく気を付けておるよ。
[素直に頭を下げられて、木こりは居心地悪そうに身じろぎました。
見透かされたような言葉に齧りかけのパンを握り締めます。]
木こりは食わないと動けんからな。
それに…ゼルマさんの飯は冷めても旨い。
[ぶっきらぼうに言うと、背を向けてのしのし歩き出すのでした。]
[教会の中に戻り、灯り油を小さな入れ物にわけて、しっかりと蓋をします。]
はい、お待ちどうさま。
気をつけて、もって行ってね?
[それから、外に戻ってそれをアナに差し出しました。]
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