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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が4名、人狼が2名、占い師が1名、霊能者が1名いるようだ。
占星術師 クローディアが「時間を進める」を選択しました。
[リーンと鈴の音が広い座敷に鳴り響き、すうと音も無く襖が開く]
ようこそおいでになりました。
[現れたのは、真白の装束、紅の肩巾、真白の髪の麗人一人。莞爾として笑むと静かに人々を見渡した]
私は紅露(くろ)。この隠れ里を預かる天狗の神巫。皆様を、ほしまつりからお呼び致しましたは、我が鈴の音。人は、神隠しなどと呼び習わしておりますが、おいでになったは、皆様の御霊が我が鈴に応じてくださったため。
決して無理強いしてのことではないことを、どうぞお心に御留め置きくださいませ。
[柔らかな声音でそう告げて、手にした白銀の鈴を、リーンと鳴らす]
我らが皆様をお招きしたは、人の世を逃れて、我ら天狗の一族として暮らす方をお迎えするため。
しばしこの里に留まられ、一族にお迎え出来ると判じた方は、ここより異界の狭間を通り、我らが里に御連れ致します。
二日を過ぎると、お迎えの用意のために私は異界の狭間に下がらさせて頂きます。その後は一族の者がご案内を致しましょう。
どうぞ、その間、ごゆるりと御過ごしなさいませ。
[そうして、三度、リーン、と鈴の音が鳴くと、眠りの帳が人々を包み、後に残るは静けさばかり]
〔縁の外に放り出されし足は宙にて遊びて、
襖へと向けし紫黒は出でし者を認めるも、
鈴音が耳の奥に響く毎に瞼は下りてゆく。
麗人の声は届けども言の葉は返せず、
眠りの波に流されて意識は闇へ落つ。
りぃん、りぃん、りぃん……
*柔らかな声色は子守唄のやうに。*〕
…ゑゐか。…えいか。
[似通った姿の名を知れば、再び繰り返して自らのうちに落としこむ]
……?
[しんと響く鈴の音色に蜜色を少し翳らせ一つ瞬き、そして現われた神巫に僅かに瞳も細めよう]
…そち、は…… …
[嗚呼、と小さく声が振るえやがて鈴の音に吸い込まれるように意識は静かに──静かに落ちてゆく。
ぱたり、と細い指先は膝の海藍の上に*落ちようか*]
[天狗の神巫の告げし言葉に、琥珀はゆらりゆらと揺れ、]
神隠し…ああ、そうであったか……
[白の姿もゆらり揺れ、ふわり眠りの淵へと*誘われ*]
/中/
ひゃっほい、弾かれちゃったよw
しかも村人だよww
みんな天狗希望だったらどうしよう?
とにかく、頑張って下さい。(笑)
まあ、頑張らなくても大丈夫なようにしたいけど(笑)
行くぜ、特攻村人!w
[夢か、現か、幻か、いやいやどれも異なるよ。
此処は我らの隠れ里、此処は我らの生きる地よ。
桃源の郷の如くに平穏なる世界にて在りしかな。]
己等(おんら)の名は何だったか。
己等(おのら)の名は何だったか。
[霧の向こうに見ゆるは遠く懐かしき記憶也。
人で在りし己が名は、天狗たりし己が名は。
深く深く皆底に、潜るやうに捜し求めゆく。]
/中/
天狗、天狗!!
まったりのんびり、頑張りまっしょい。
ケイジ来るかと思ったら来ませんでしたね。
ちなみに、
おんら…(1)一人称。複数に用いられる。
(2)二人称。単数にも複数にも用いる。
おのら…一人称。おいら。われら。
と微妙に意味が異なるのですね。
己等は他に「おいら」「おれら」「おのれら」とも読むそうです。
[眠りに捕まった後、何が起きたか知るよしもなく]
[しっかと掴んだ小兄の着物]
[用意された布団に、大兄によって寝かされた]
[……顔が歪むのはどれほど後か]
[声ならぬ悲鳴が喉の奥でひきつれる]
[先は酒精による眠りであったのに、今は悪い夢精がいたづらを仕掛けたか]
[飛び起きて、首筋に手をやる]
……あらん
[かすれた声がこぼれて]
[あわてた様子であたりを見回す]
[童子たちは働いている]
[大兄、ねえや、それから小兄]
[みんな寝ている]
……ゆ、め。
[ふると震えて]
[小兄を起こさぬように]
[*再び布団へ身を戻した*]
――――。
[ゆるり、ゆるり、静かの内に、眠りの内から引き上げられる、そのさなか、幽かにみゆるは―]
――
[呼ばわりし名は何処にも*届かず*]
[音もなく睫毛が震え、ややして琥珀が現れる。
ぼんやりと身を起こせば肩から薄布が滑り、ぱさりと落ちる。
その音にびくと辺りを見やれば、昨夜のまま眠りの淵にある姿。]
……ああ。
夢か現か幻か…天狗の掌の上たれば、何処に違いがあるのじゃろ。
[諦めを帯びし声音は、かすれて小さく。
目覚めたと気付きし童たちがさざめきつつ朝餉に誘えば、逆らうことなく席へつく。]
[温かな粥が胃の腑へ落ちれば、人心地もついて。
僅か柔らかくなった眼差しで礼を言う。]
馳走になった。
…身を清めたいのじゃが、何処で…
[言い終わらぬ内に、手に手を袖を引かれて。
館の隅の一角へと誘われる。]
[*しばし小さな水の音*]
学生 エリカは、たらいに映る己の姿に琥珀を揺らし、溜息ひとつ。
[音彩が目覚めるよりも前の事。
ゆる、と夢に囚われて]
……やぁ……だよ。
[小さな小さな声がもれ、鞠抱く手には力がこもる。
目覚めに至るは*まだ先のよう*]
[ゆるり、ゆるり―浮かび上がるは過去の事。
己が人であった頃の悲しき記憶―]
――――の事は誰にも言っちゃいけないよ―
約束だよ―れく―
[その名が誰を示すものかも、もはや忘れてしまったが―]
[身を清めて戻れば、縁側へと腰掛けて。
何をするでもなく、ぼおと流るる雲を眺めやる。
いつの間なにやらその傍に、童の運んだ冷茶と干菓子。]
…かたじけない。
[見守るように、隠れるように。
さざめく笑い声は聞こえずとも、ちらりちらりと垣間見えし衣に短く礼を告げ手を伸ばす。]
[朝顔・貝殻・せせらぎと並ぶ可愛らしき一粒を口に含む。
僅か顰められし眉は甘さゆえか、袖に染みし花の香りゆえか。]
〔部屋の一つを借り和紙を貰い受けて、
右には筆を持ち左では頬杖を突きて、
外の景色を覆う真白を眺めつつ物思う。
書きしものは多様なりか、否、唯一なりて、
あやめにアヤメに菖蒲に文目に綾目にと、
同じ言の葉を幾つもの文の字にて綴れり。
けれども何れが真実なるかはわからずに、
唯ただ茫と記憶の水底を漂うばかりなり。〕
〔筆を置きて立ち上がり襖を開きて廊下ゆく。
陽は昇りしか沈みしか移ろうか、
或いは変わらずそこにありしか、
時を知らせぬ空は何の色とも見ゆる。
咲笑ふ童子らが歩む女の傍を通り抜ける。〕
[喉を潤す冷たき緑茶に、撫子色が微かに綻ぶ。
誰もいないを良い事に、やや濡れた唇に親指を押し当てて、]
…甘露じゃな。
[行儀悪く舐め取れば、も一つと花の形に手を伸ばし。]
[閉ざされていた目が開き、小柄な身体が跳ねるように起き上がる。
抱えていた鞠が手から離れ、ころり、転がるのにも気づかぬまま。
瞳はしばし、芒と周囲を見つめ]
……ぁ……れぇ?
[零れたのは、小さき声]
[妖女さま、妖女さま。
此度は誰そお呼びになる。此度は誰そ招かるる。
笑ひ声に混ざる言の葉は天狗にしか聞こゆまじ。]
その名で呼ぶのはおよしな、
好かぬと幾度も云うている。
己等の一存にては決められぬ、
月白の神巫の云いつけだ。
まだ時は移ろうわぬ、
そう焦る事もあるまいて。
[紫黒の御方がお怒りになった、お怒りになった。
童子らきゃらきゃら笑ひつつ廊下を抜けてゆく。]
[ゆる、と瞬いて。
ここはどこだったかと、しばし、悩み]
……じゃ、ない……。
[ぽつり、零れた呟きには、微かに安堵の響きもあろうか。
それから、抱えていた物の喪失に気づき、ひとつ、まばたく]
……鞠……。
[どこへ行ったかと見回せば、そこでようやく、縁側で寛ぐ姿に目に留めて]
[手を伸ばすや否や、迷う内に視界に入る藍墨茶。
琥珀の眼差しを上げれば、笑み湛えるよに細めし紫黒。]
さて、そなたもかなたのもお目覚めか。
[ぼうとした童に視線を投げて、そう呟く。]
[ゆるり、夢から目覚めればとうに見慣れた天井が視界に入る。
思わずはあと溜息を吐き]
―夢にしちゃあ流石にちと長過ぎやしないかね?
[そのままゆるりと身を起こし、遅い朝餉の席につく]
ええと……おはよう? ねえさま方。
[起き出して、礼を一つ。
音彩はまだ寝ているのかどうか、それを確かめる猶予も今はなきようで。
掛けられていた薄布を丁寧に掛けなおし、自身は転がる朱と金の華の紋を追う]
朝なのか昼なのか夜なのか、
さても目覚めの時はお早うと言えるかな。
[組んだ腕は藍墨茶の袖の内に隠される]
夢なのか現なのか幻なのか、
さても今ここにあれば何れも同じたるかな。
[庭へと落ちて汚れる前に、朱と金の華をすくいて差し出さん。]
ほれ、そなた。
迷わぬようしかと抱いておれ。
[舞扇を失くした自身を思うたか、やや眉は顰められたままに。]
[転がる華の紋は、差し伸べられし白き手に止められ。
言葉と共に差し出されたそれを、そう、と両手で受け取る]
あ、ありがとう……ええと?
[安堵の声を漏らしつ、名を呼ぼうとして。
未だ、それを聞かぬままと気づき、首を傾げる]
目覚めたであれば、お早うでよかろ。
我は先に朝餉をいただいたがの。
[誰とはなしに告げて、摘んだままの干菓子を口へと放り込む。
指を舐めるは我慢した。]
[朝餉を終えてなんともなしに縁側へと出てみればまたも見知らぬ顔が一つと知った顔が二つ]
お早う、あやめの姐さんは早起きなこって―
迷い子の多いことだね。
見つかれば好いのだけれど。
さてな、こちらは疾うに頂いた。
濃色の童、風の坊はいかがかな。
[朝餉は、と問うて、こてり、首傾げ]
お早う、象牙の旦那。
はてなさてな、
然様なつもりはなかったけれど、
其方が遅起きなのではないかな。
[返す声には悪戯な響きを帯びさせる]
ねえさま?
そなたはあやめ殿の身内かの。
…髪色は似ておるが。さてさて。
[袖を前に組むおなごと童を見比べ、やや首を傾ける。]
ああ、我か。
我はゑゐか…えいかじゃ。
[首を傾げる姿に短く告げて、冷たきびいどろに撫子色を寄せた。]
[やって来た雅詠にぺこりと礼をし。
あやめから投げられし問いに、ゆる、とまばたく]
風漣は、今、目が覚めたの。
[だからまだ、と、そう返し]
/中/
天狗って、縁故組み辛いですね(笑)
時空の歪みが云々とかやってしまえばいいかしら。
表の口調を少しずつ変えられたら好いなと思います。
えいかの……ねえさま?
[告げられた名を、首を傾げつ、呼んで。
身内か、という問いにはふるり、首を振る]
……どうなのだろ? 風漣にはわからない。
風漣は、目上のひとは、にいさま、ねえさまとお呼びしなさいといわれたから、そうお呼びしているの。
[誰に言われたか、は霞の彼方なれど、その言いつけだけは残るが故に、そう呼んでいるにすぎぬと。
童にとってはそれだけの事、特に意図などはなく]
身内。
さてな、どうだろうね。
そうであればうれしやと思うけれど。
[真似るように首を傾いで口許に笑み作る]
生憎と、生憎と。
物心のつきし頃にはひとりであったと記憶している――
はて、不思議だね、名以外にも覚えがあるとは。
遅いつもりはねぇんだがな。
[あやめの言葉に苦笑いを返し、他の二人の方に]
俺は雅詠ってんだ―何時までかはわからねぇが今しばらくの間宜しくな。
[返り来る声に潜む感情に気づきしか。]
月白の神巫の力故かな、
己等も人の頃を思い出しそう。
[さても意に介す風もなく小さく咲ふよ。]
[ぴくり、と微かに指先が振るえ、そして蜜色が光を見る。
少し眩しそうに瞳を一度二度瞬かせ]
…我は誰そ。
……我は揺藍。…揺藍。
[言葉を重ねる。小さく、小さく欠伸を一つ。ふわり。
するすると袴の裾を引きずりながら童子を探す]
…湯浴みをしたいのだが。
[梔子色の結わきを解けばくすんだ空色が風に踊ってさらりと落ちる。
童子に導かれるように奥の間へと進み]
[あたたかな湯はどうやら天然のものであるらしい。
衣を脱ぎ捨て湯に身をしずめ──
暫しすれば濡れた髪を下ろしたままふらふらと縁側に現われようか]
そうかい、それなら朝餉を貰うと好い。
育ち盛りの坊に足りるかはわからぬけれど。
[猫の如き眼細め浮かぶ微笑は柔らかく]
その前に顔を洗うた方が好いかも知れぬね。
寝惚け眼の侭ではまた鞠に逃げられてしまう。
[露に濡れたびいどろを置けば、象牙の髪のおのこの姿。
それに礼をする童の声に、琥珀の眼差しは揺れて伏せられる。]
風漣か、よい名じゃの。
[そう呟くは、せせらぎを模した菓子を見つめてか。
されど己を呼ぶ幼き声音には、ゆると頭を揺らして見上げ、]
さてさて、どうであろうの。
我はそなたに敬意を払われるものではなかろうて。
[えいかでよい、と言い置いて。
空のびいどろと干菓子を残し、袖翻して立ち上がる。]
我は、揺藍。
星に祈り、舞を捧げる白拍子。
我は揺藍。
─昔は朱蘭(しゅらん)と言う名の者であったけれど。
その名は、今の我にはもう要らぬ。
──我は、揺藍。
[遠く懐かしき過去には何を視る。
人の身で在りし頃のこと。
深い深い霧の向こうに煙るやう。
ひとりで居りし頃のこと。
唯ただ思ひ浮かぶはさみしとや。]
[朝餉を、との言葉に、ひとつ頷き]
鞠、逃げてしまう……?
[ついだ言葉に、思わず腕の中の鞠を見やり、それから、はあい、と頷いた]
……でも……よいの?
[言い置かれたえいかの言葉に、また首を傾げ。
新たに現れた空の色彩にまた、ゆる、とまばたいて]
昔は朱蘭(しゅらん)と言う名であった。
揺藍というのは妹の名であった。
母は妹を大層可愛がった。
我など要らぬとばかりに揺藍を愛した。
大人しい妹。母に従順な妹。
それゆえに母は妹を社の嫁に差し出すことを躊躇った。
故に我は舞手となった。
故に我は「揺藍」であり[朱蘭]ではないものになった。
なぁに、象牙の旦那。
其方が此方を早いと感じたように、
此方は其方を遅いと感じたのだから、
仕方なかろうて。
[言の葉にて遊ぶような物言いして眼移す]
空の君もお早うかな、
濡れた髪なればまるで海のようだけれど。
そうか、すまぬの。
[遠まわしに否と言うあやめに短く詫びて、続く言葉に瞼伏せ、]
いかな不思議も天狗の仕業。
なれば不思議も不思議にあらず。
[すいと琥珀を逸らして傍をすり抜けんとす。]
好い返事だね、風の坊。
そうそ、逃げられては大変だからね。
失くさぬよう、しっかりその手にお収めよ。
己が手に届くものは大切にしておくと好い。
離れてしまえばもうかえりはせぬのだから。
[無垢な眼差しを見つめ返せぬは、いつの頃からか。]
慕われれば情が湧く。
なれば、言い捨てられる方が良い。
[言の葉にはせず、ただ頷いて]
えいか―良い名だな。
[うんと一つ頷いて、新たな顔に目を向ける]
お早う、初めて見る顔だな―。
[と言っても他もまだ見知ったばかりだがな―と、笑い。
先ほどの名乗りを再び行うか]
…わらし。
[鞠を持つ小さな手に蜜色を微かに揺らす]
…花の君。
……湯浴みを、してきた。それ故に。
まだ、乾ききらぬので。
[腰を下ろしながら答えよう。
新たに見ゆる男の姿にちらりと蜜色を揺らす]
…そちは誰そ。
[逃げられては大変、というあやめの言葉。
それに、華の紋を抱きし手に、力がこもろうか]
うん……これは大切。大切な鞠。
[なくしてはだめ、と。その言葉は自身に言い聞かせるが如く]
……それがよいなら、風漣はえいか、とお呼びするよ。
[しかし、浮かびし陰りは刹那なるもの。
頷くえいかに、笑みつつこう返す]
否、生き別れなどという事もあるからね。
どこで縁が繋がっているかなどわからぬよ。
[朱の唇はやはり弧を描いたまま変わらず]
天狗、あまのきつねの仕業か、
確かに左様な話ではあったね。
成る程、なれば面妖でもないか。
其方は如何様に思うのかな。
[何の問いか定かならず相手に向きもせず]
…そうか。
我は揺藍と言う。…よしなに。
[言葉は少なく男に名乗る。
性の匂いを感じさせない風貌と声音の集合体は童子の持ってきた茶粥を啜る]
[こちらを見つめ、揺れる、蜜色。
それを、紅緋にてきょとり、と見つめ返し]
……だーれ?
[その訪れの時には眠りに落ちていたこともあり。
その問いは、自然に投げられて]
…ゆら。揺藍、という。
そなたの名を…我に教えてくれるか、わらし。
知らぬままではそなたの名が泣いてしまう。
[粥を掬った匙を持つ手を止めて少し首を傾げれば、くすんだ空色がさらりと落ちようか]
海は空の鏡と言うたかな、
天は彼方の世界の入り口にしか過ぎねども。
[独り言ちるは届かぬ場所を思うよう]
湯浴みか、それも好きかな、
此方も後でしにゆくとしよう。
先程から書き物をしていたものだから、
手に僅かばかり墨が移ってしまったよ。
[象牙のおのこに名を褒められれば、そうかと一つ頷いて。
あやめの問いには首を振るばかり。]
わからぬよ、我は何も。
まこと呼び声に答えし招きなら、何故に再び返すのか。
…乞うた覚えもないけれど。
[弧を描く朱を見ることなく、知らず止まりし歩を進め。
腰を下ろした揺藍とは逆に、白は廊下を歩みゆく。]
今日和じゃ。
…入れ替わりですまぬの。
[白が藍に染められるよに、青空と白夜が追いあうように。
よく似た姿と入れ替わりて*縁側から立ち去らん*]
揺藍。揺藍の……。
[どちらだろうか、と。
どちらでもあるような雰囲気より、思い悩みて]
……にいさま?
[僅かに首を傾げつ、感じたままに呼び]
風漣は、風漣。
[ついで、自身の名を告げて]
…褒めたところで何も出ぬよ、詠殿。
[名を何度も繰り返す様子に少しだけこそばゆいと表情を俯きかくして]
…左様か。
それならば手水を頼めばよいもの。
…けれど花の君が湯浴を好まれるならそれもよかろう。
海は…空の鏡などではないよ。
海には涙しか流れ着かぬと聞く。
[つぶやく。茶粥を一匙口に含み、嚥下する]
[アヤメへと返す言葉に心過ぎるは、返された時のこと。
辛い記憶は霧か霞の彼方たれど、揺れる琥珀は止められぬ。]
返したものを…今になって、何故に。
わからぬ…わからぬ…
[浮世離れた気配の藍が、瞼に浮かぶ。
――似た姿たれば、まがい物の我は要らぬであろうにと。]
/*
雅「風漣と音彩は間接的に聞いたからまあ良いとするか…しっかし本当に初期設定から変わりすぎだぜ…最初は烏みたいな『飄々としたお兄さん』だったはずじゃねぇのか?おい…」
[と、一枚の紙片が風に乗って落ちてくる。以下内容
一人称メモ
普段:僕
紅露には:私
独り言、または本性時:俺]
雅「(拾ったメモを見ながら)っつーかこんなのたった今書き上げて渡すくらいならとっとと復活しろや背後…」
何ゆえに呼んだのかは確かなれど、
何ゆえに応えたのかは定かならず。
己等が真に、
己等の共に在るべきか。
それを見るために、
今一時の刻を頂戴な。
…いえ。
時の流れを、人の定めも行くところも我には止めることはかないませぬゆえ。
[えいかの去りゆく姿を匙を加えながら眺めゆく。
ふとわらしの迷う様子にすこうしだけ蜜色を甘く揺らし]
…どちらでもよいよ。そちに任せる。
我にすら自らがどちらなのかわからぬのよ。
[空になった椀に匙を下ろし、それを童子が片付けていくのを見ながら]
…そうか、風漣と言うのか。
仲良うしてたもれ、漣坊。
[少しだけ唇が柔らかくつりあがる]
中/
贅沢を言うであれば、actとしおりの色は逆が良いな。
否、我の好みというだけじゃが。
(しおりは明るい色の方が目立って好きなのじゃ)
学生 エリカは、――やがて、一人森にて小鳥と笛で戯れようか。
左様に気が向いたのだから仕方なかろうね。
[己が事ながら他人事のように揺藍に返して]
涙しか流れ着かぬか、
なれば感情の往きどころかな。
うれしきものなれば好いけれども、
かなしきものなれば悪しものよな。
[立ち去るえいかにまたね、と声をかけ。
揺藍の返事に、こく、と頷く]
じゃあ、にいさまとお呼びする。
わからないの。風漣と同じだ。
[ふわりと笑みつ、こう言って。
仲良う、との言葉に、またひとつ、頷く]
うん、仲良くするの。
ねいろも一緒に、ね。
[未だ起き出す気配のない─先の事には気づかぬ故、未だ眠りの内と思うまま─、もう一人の童の名を呼びつ、首を傾ぐ様は嬉しげで]
さて。
此方は川でも見に往こうかな、
身を清めるにも好いだろうから。
天狗の里へ連れて往かれるなら、
それなりの準備も必要だろうてね。
[終わりの言葉は誰にともなく諧謔めかして]
濃色の子も臙脂の子も、
しっかりと食を取るようにね、
寝る子も食べる子も好く育つと言うのだから。
…何が残念なものか。
人をからかうのはそんなに楽しいか?
[次に顔をあげたときには雅詠を見ゆる蜜色は微かな憤りに満ち]
…左様か。
良し悪しなど海には解らぬ。
ただ海は受け入れて湛えるのみ。
…雨とて空の涙と聞く。
[幾分乾き始めた髪に指を絡ませ背の中ほどまである髪をゆるく編んで梔子色の布で結び]
性などわからぬ。
揺藍は女であった。
それ故に母は愛で、社は揺藍を妻に欲した。
…朱蘭は、どうであったのかなど。
もう、どうでもよい。
好きにしたらよい。
[同じ、と言う言葉。僅かに首を傾げる。
けれどそのうち頷くだろう]
ねいろ…?
…そう。その、ねいろとやらとも仲良うしたいな。
[ふむ、と呟いて童子の用意した干果を一つ摘んだ]
[立ち去るあやめの言葉に、はあい、と頷いて]
……天狗の里? 連れてゆかれる?
[神巫の言葉を聞かずに眠りに落ちた身には、それは初めて耳にする事で。
どういうことなのか、と、ゆるく瞬き]
[揺藍の首を傾げる様には気づくや否や、見た様からは計り知れず]
うん、ねいろ。
起きたら、揺藍のにいさまもお話しするとよいの。
[にこり、と笑んで、自分も寝ていた床を振り返る]
…揄うのは好きにしたらよい。
けれど…相手をよくみてされるほうがよかろう。
[淡々と紡ぐ声は少年の声。
それから蜜色の瞳でちらりと男をみたあと、もうひとつ干果をつまむ]
[はふ、と一つ欠伸をもらし。
ふと、思いついて、さざめく童子たちにととと、と近寄る。
湯殿の場所を問えば、手を引かれ。
そのまま、*汗を流しにゆくだろか*]
中/
やあやあ、またもやactの色が変化しておるの。
元の褐返?も好きであったが、この灰は落ち着いてて更に好みじゃ。
しかし不思議は、actでなく「しおり」の色変化をお願いしたはずなのじゃが。
もしやそちらは強き拘りがあられたのだろうか。
…actに紛れねば、我は構いはせぬがの。
[濃い緑茂る古木の根元に背を預け、膝の上には飴色の笛。
人を知らぬか、人より怖いもの知るか。
白を広げて座す手や肩には、思い思いに囀る小鳥達。]
ほんに、よく囀る子達じゃ。
…かの童たちのようじゃの。
[瞬くほどの間が空いて、次いで空に満ちるは羽ばたきの音。
ふわり舞い落ちる羽毛に目を眇めるも、唇には笑み浮かぶまま。]
[古木の傍には小さな祠。
きちんと手入れされたそれに琥珀を向け、しばし佇み何想う。]
[やがて伏せられし瞼は目礼か。
僅かのち、沈黙を守ったまま白翻して歩みゆく。]
[小兄の外へ向かうに、留める声は投げられず]
[童子の持った果実を頂く]
[それは誰にも気付かれぬころか]
[食べ終えたなら、再び布団に潜り]
[いつしかうとうと、眠っていたか]
…………探し、ゆかんと。
嫌われてもうたら、いやじゃぁ
[誰も見ていないその時に]
[立ち上がって、走り出した]
[唇の笑みは消え、伏せられし琥珀は物憂げに]
何故に我を…と祠に問うても答えは得られぬに。
…ほんに知りたくば、巫女に問えばよかろうて…出来ぬは我の卑小さか。
[吐息を零し、何処へともなく歩み往く。
やがて面を上げれば、そこは白き花咲き乱れる野。]
[白い花、白い花]
[どこまで見てもただの白]
[ぱたぱたと駆けて]
[どこで寝ていたのかわからずに、迷った場所で立ち尽くす]
うしのうたら、あかんのに
かかさまの……
[呼気は荒く]
[呟いて、しゃがみこむ]
[まだ思い出しはしていない、一つの言葉]
[うしのうたら――もうどこにもありはせんのよ]
[白咲く野を踏み分けて、知らず辿りしは館への道だったのか。
風吹き過ぎて琥珀が映すは、白にぽつり落とされた濃色。]
…ああ、そなたは。
[名を呼ぼうとするも思い浮かばず。
顎に袖先当てて思案して、やがて零れる言の葉は。]
…そうじゃな。
[己とは思うことなく、空を見上げて目を細め。]
[空の青にも染まらぬは、先ほど戯れた小鳥であろうか。
その鳴き声に――音色に瞬いて、それから琥珀は濃色を映し、]
ねいろ、であったかの…。
[しゃがみこむ姿に迷いつつも歩み寄り、手を差し伸べようか。]
[戸惑うねえさまの様子]
[しかし気にせず、こくりと頷く]
おらの名前じゃぁ
ねいろ、ちゅうんよ。
[差し出された手にきょとんとするも]
[意図を悟れば嬉しげに、小さな手を重ねようか]
少年 ネロは、孤児 オーフェン を能力(占う)の対象に選びました。
〔川流るるはさらさらり、
水跳ねるはぱしゃぱしゃり。
内には白の花をぐるり囲みて、
外には白の霧がゆらり広がる。
深紫は真白の中に静かに咲きて、
朱爪の白足をせせらぎに浸してゐる。
天を仰ぎしは陽のひかりを求めてか、
空を眺めしは星の煌めきを欲してか。
紫黒に映るは定かならず、定かならず。〕
[傍近く寄れば、童の呼気がようやく落ち着きつつあるとわかる。
これほどの白の中、際立つの朱についぞ気が付かずいたは、童が駆けて来たゆえかと思う。]
…いかがした。
怖き夢でも…否、誰そ探しておったのか。
[館には慕うものは誰なりとおろうと、半ばにて問いを変えて。
覗き込むように見やれば、青鈍にけぶる髪が頬を零れよう。]
ああ、やはり。
[名を肯定する姿に頷いて。
重ねられた小さな手の暖かさに、ふると睫毛を震わせた。]
〔風に舞ひて花弁の一が清流に落ち、
ゆうらりゆらり揺れるは白亜の遊覧船。
さりとて真なれば大海にも出ようが、
此は天狗の住まいし隠れ里がゆえ、
めぐりめぐれば元に戻りて同じ場所。
けれども川に流るる水ばかりに非ず、
天をゆく雲も地を歩む人もまた同じ。
他に往こうと試みれど、
あな面妖なり天狗の術か、
此岸は彼岸、彼岸は此岸、
ゆくもかへるも叶ふまじ。〕
[問われた言葉]
[こわきゆめ]
[触発されたか思い出すも、繋いだ手の温もりに]
[ただ力は少しこもるか]
違うん……
おまもり、探しとったん
怖い夢、見んようになるんよ
[だけれど心配させぬようにか]
[笑顔になって]
ねえさまは?
ねえさまのお名前、教えてくださらんか?
いきはよいよい かえりはこわい
こわいながらも とおりゃんせ
とおりゃんせ――……
[玲瓏たる声が紡ぐは幼げなわらべうた]
はてなさてな、
場には似つかわしくないかな。
[傾いだ視線の先には戯れに作りし花冠]
[重ねられた手に、やや力が篭る。
問いに返りしは否定。
されど守り無き今、悪夢を見んとの肯定でもありて。]
守りか。
我は見かけなんだが…。
[面に浮かぶは笑顔。
されど、それは作られたに似て、琥珀は惑うよにゆらゆらり。
白に塗り潰された野で探すは、いかに難しかろうかと。]
我は…我の名はゑゐか、えいかじゃ。
[迷いて零れた言の葉は、ただそれだけ。]
そうじゃよの……
[見ていないというねえさまの言葉に、少しかなしげな顔になる]
ふうれんにいさまが近うにいたんに、あかんかったけ、
お守り、うしのうてはならんかったんじゃ……
[しかしねえさまの名を聞けば]
えいかねえさま
[とても嬉しげに名を呼んで]
[ いきはよいよい かえりはこわい
こわいながらも とおりゃんせ
とおりゃんせ――…… ]
[耳に届いたわらべ歌。かつて心の内で幾度唄うたか。]
ああ、怖いのじゃ。
我は怖いのじゃ…往くも帰るも、同じよに。
[忘れたていたゆえか童に傾きかけた心が、凍りゆく。
童心は無邪気で恐ろしい。忘れようとも忘れられぬ。]
おうたじゃぁ……
ふうれんにいさまのと、ちがうんね
………ねえさま?
えいかねえさま?
どないなすった?
[ふるえに気づき、思わず手を引いた]
〔川のほとりに腰を下ろしたままに
清流に浸した足を遊ばせて、
水面に波紋を生み滴を散らす。
僅かには藍墨茶の小紋も濡れようが、
さして気にしたる風も無く。
音を奏でるのを止めれば立ち上がり、
一面白の野には紫黒の花ぞ咲かむ。〕
[小川のほとり、遠く見ゆるは深紫。
まるで心を読まれたよな、朱の弧が瞼に浮かぶ。]
…否、えいかでよい。
[嬉しげに呼ぶねいろに返す声音は、やや硬く。
親しげな「ねえさま」との言の葉を拒むかのよう。]
否、否…なにもない。なにも…ないのじゃ。
[心配るよに引く小さき手から逃れ、白の袖で抱く我を抱く。
ひとつ、ふたつと後退れば、踵返して*白の野に消えゆこう*]
学生 エリカは、さりとて白き霧は、*往くも帰るも許さずに*
ねえさま……!
[白いその手は引かれ離れ]
[離れゆくその人を追いかけようと]
[されど何のいたずらか]
[足を滑らし着物を汚す]
なんもあらんなんてなか……
ねえさま、苦しそうじゃ
〔消えゆく白の君によりてか
滑りし臙脂の子によりてか
青の天に舞ひ上がるは白の欠片。
履物をして其方に向けゆるゆると歩み出せば
揺れる深紫は童の姿を認める事が出来ようか。〕
おやまあ、臙脂の子。
着物を汚してしもうて、どうしたね。
どこぞに足を引っかけて、転びでもしたかい。
[しゃなりと歩み寄りしゃがんで視線を合わす]
此方の名前が欲しいのなら、
“あやめ”と呼ぶが好いよ。
[湯殿で汗を流した後。
何かに惹かれるように館の外へ。
巡る水車の傍らで、てん、てん、と鞠をつく]
ひいや ふうや
みいや ようや
いつやの むさし
ななやの やくし
ここのや とおや
[最後のひとつきと共に、手に還る、鞠をひょう、と空へ投げ、受け止めて]
…………。
[紅緋の瞳は、霞の向こうをじぃ、と見る]
天狗の里。
連れてゆかれる。
[先ほどきいた言葉を、繰り返す]
……連れて……行ってくださるの?
いらぬ子の風漣を。
[問いに答えは返ることなく、白はゆる、と静謐なるまま]
そうかい、怪我はないかね。
元気なのは好いけれどお気をつけ。
[空いた手を伸ばして汚れを払おうと]
おやまあ、聞えちまったかい。
そうさ、あれは此方がうたっていたよ。
音の坊はひとりかい、
風の坊が一緒かと思うたよ。
怪我はあらんよ。
おら、どんくさいけ、すぐ転んでしまうんじゃ
[汚れを払う白い手に、少しだけ驚いて]
[その手を止めようと手を伸ばす]
よごれてまうよ、あやめねえさま。
ふうれんにいさま、一緒と違うんよ
えいかねえさまが一緒じゃったけ
[妙に早くに目が覚めて、朝餉は後でと童子に断り、一人ふらりと外に出た。ふらりふらりと鎮守の森に足を踏み入れ、小さな祠の前に出る]
はてさて、天狗の祠とは、何を祀っているのやら。
[小さく笑って悪戯に、水飴ひとつ、置いてゆく]
ゆくかもどるか…今一度…
[空を見上げたその頬を、さやと撫でるは風の音か、遠く聞こえたわらべ歌か]
白の君か、
はてなさてな、
今は姿が見えぬけれども。
[伸ばされれば手を離して立ち上がり]
なぁに、
すぐ落ちるのだから気に留める事はない。
[代わりに臙脂の髪にぱさり乗せる花冠]
[華の紋を両手で抱え。
またしばし、川の向こうをじぃ、と見やる]
この川の向こうに……?
[呟く声は、霞に沈むか。
ゆる、と一度首を振り。
時折、ひょう、と鞠を空へと投げつ、川に沿って歩き出す]
あちらに走っていかれてもうたん
[反対側を指差して、あやめねえさまにそう答え]
大丈夫か、おら、しんぱいじゃぁ……
きれいな花で、まよわんじゃろか……?
[頭の上にのせられて]
[きょとんと彼女を見上げようか]
あやめねえさま?
なんじゃぁ?
あれまあ。
けれどもきっと大丈夫さ、
鈴の音が導いてくれるだろう。
それにゆくもかえるも出来ぬのだから。
[臙脂の子の貌に眼も唇も弧を描く]
花で編んだ冠だよ、
懐かしゅうて、ついついね。
坊は作ったことはないかい。
そうじゃの。
綺麗な鈴の音じゃったもの。
じゃけん、おらも迷ってもうたんじゃ
[続いた言葉に、首を傾げて]
できぬの?
ゆくも、かえるも?
[それから頭に手をやって]
[触れるはふわり、花びら]
お花のかんむり……
おらは作った事、なかぁ
小ねえさまがたがつくっとったのぅ……
[口唇から零れた言葉に、驚くは本人で]
……小ねえさま、って、だれじゃろぅ?
[白の中。
たたずむ人の影ふたつ。
遠くに見て]
…………。
[ゆる、と首を傾げた後、ふるり、首を振る。
何か、何か、浮かぼうか。
何か、何か、見えようか。
白き霞のかかりし向こう]
はてなさてな、迷うは己が心ゆえ、
鈴の音が美しゅう聞えるのも同じかな。
坊には聊か難しかろうかね。
[緩く首を傾げば深紫はふうわりと]
天狗の神巫とやらが言うておったよ、
我らが里に迎える者を選びたいのだとね。
それがゆえ、今はここに在るしか出来ぬだろう。
[音彩の言の葉に瞬きをはたりはたり]
小ねえさま。
はて、誰だろうかね。
何か思い出しそうかい。
心が迷うてしもうておるん?
[あやめねえさまの言葉は、その通り難しく]
おらにはようわからんのじゃ……あやめねえさまは、頭が良いのじゃの。
……天狗? あまかける、いぎょうのもの?
[しかしそれは難しく]
里、里。天狗の里?
選ぶというたのなら、鈴は、神巫さまが鳴らしておったんじゃろうか……?
[首を傾げて]
……ちいねえさま。
たくさんおった、ようじゃよ。
ゆめ、けさのゆめ。ちょっと、見たんじゃ……?
[どこかおぼつかない言葉]
天翔ける、異形のものか。
なにゆえにそれを望みしか。
[独り言ちれど答えは浮かばず、
天狗たれど迷いしままにふらふらり。]
ひいや ふうや
みいや ようや
いつやの むさし
ななやの やくし
ここのや とおや
[紅緋の瞳、見やるはただ、霞の先。
小さな声で、唄紡ぐ。
てん、てん、と。
華の紋がゆるりと巡り]
単に小賢しいというのだよ、
わざと謎なぞのように言うている。
そうさね、
神巫殿が鳴らしていたようだよ。
昨晩と言うかはわからぬけれど、
白銀の鈴をお持ちになっていらした。
其方はそれに応えたからここに来たのだと。
[ひょう、と。
空へと鞠を投げ上げ、受け止める。
そのまま、川辺に座り込み、確りと鞠を抱きかかえ]
…………。
[何事か呟き、紅緋を伏せる。
白の中。
僅かに色を違えるのみの白花色は飲み込まれ。
濃色のみが、居場所を知らすか]
わざと……なしてじゃぁ?
[ようわからん、と呟いて]
[次いだ神巫についての言葉に、わらいがお]
神巫さまはとてもお綺麗け?
鈴もとても綺麗じゃけ。
あやめねえさまのおうたも、とても綺麗じゃけ。
[伸ばされた手に、しっかと捕まる小さな手]
こわかったのじゃよ、ゆめは。
こわいのじゃよ。
……忘れたの、ゆるさんのじゃよ
[小さな声は聞こえたか聞こえぬか]
[次には既に笑って]
うん、ゆくんじゃ。
誰じゃろ?
何故だろね、なぜだろね。
[呟く。
その理由など、何も、わからぬのに。
何故か、わかっている事が、ひとつだけ。
『風漣はいらぬ子』]
風漣は……どちらでもない、半端の子だから……?
[問いは、何に向けて投げられたか]
〔そう言ったきり後には何もなく、
深紫と臙脂とは並びて歩を進め、
導かれるやうに白に沈む濃色目指す。
川の流れにつられて眼差し移せば、
紫苑が風に揺られるのが見ゆるか。〕
[夕暮れはとうに過ぎていた。
時折干果を口に運び、昼食も夕食もない時間をすごす。
その間やはり遠巻きにしている雅詠にかすかに視線を何度かやったところでその位置は変わらず]
…。
[さぁさぁと、風が葉を鳴かせていた]
あやめねえさま、すなおじゃなか?
[驚いたような顔をして]
やっぱり綺麗なんじゃぁ。
おらも、拝見させて、いただきたかったのぅ
[その一言にはにこにこと]
[ただ、笑うだけ]
――うん。
あたたかくて、大好きじゃぁ
[白の中、埋もれるように。
抱えた朱と金を見つめていた紅緋が、ゆる、とまばたく]
……ねいろ?
[小さく呟きつ、顔を上げ。
声の響きし方を見やり]
[川の辺に足を投げ出し、戯れに摘んだ草の葉を、くるりと輪にして、繋ぎ止め、小枝に留めれば、かざぐるま、さやけき風にくるくると、薄いみどりの輪を巻いて]
あやめねえさまは、おずるいのじゃぁ
[先ほどよりも元気なのは、小兄の姿を認めたからか]
[小兄が見上げてくるのに、もっと笑顔になって]
[だけれどその先、大兄の姿]
[にこにこ笑顔は変わらずに]
[されど考えれば、すぐに小兄のそばに向かう]
いってくるんじゃぁ
ふうれんにいさま。
どうしたんじゃ?
[どうした、と問われ、ひとつまばたき]
どうも……しないよ?
[僅か、首を傾げつ返す様は。
眠る前と大差なきようにも、どこか違うようにも見えようか]
……どうも、してん?
[ちょこんと、自分も座り込んで。]
…………ふうれんにいさま。
元気ないように見えるけ。
悲しいけん。
[顔をじぃっと見つめる]
[だけれどそれは、はっとして]
[風の音にか、水の音にか]
[どこか焦って、視線を反らす]
うん、どうもしない。
風漣は、風漣。
[それは、言い聞かせるような響きを帯びるか]
元気なく、ないよ?
……悲しいの?
[音彩の言葉に、ゆる、とまばたき。
視線を逸らす様に、僅か、首を傾げ]
ふうれんにいさま……
[問いの言葉に、再び見るか]
[しかしそれはやっぱり離れ]
むりも、しとらん?
……ふうれんにいさまが、むりしとったり、元気のうなったら、おらは悲しいと思うんよ
[そっと手を地に]
[触れた小石を、くるくるくる]
[手の中に、握る]
うん、無理もしてない……よ?
[視線を逸らす様子。
その意は悟れず。
また数度、まばたくか]
……どして、悲しい、の?
[小石を掴む様を見やりつつ。
浮かんだ疑問を、そのままに。
霞の向こうでも。
そんな言葉を投げられた事はない、と。
ふと、過ぎらせつ]
ほんとうけ?
[手を持ち上げる。]
[小石をじっと見る]
[小兄を見ることは出来ず]
じゃって、ふうれんにいさま、やさしうて。
お歌も上手じゃし。
鞠も上手じゃ。
おら、ふうれんにいさまのこと、好きじゃけぇ、
無理しとったり、おつらかったりしたら、悲しいんじゃ
[ぽつり]
[呟くような言葉]
[さらさら、さらさら]
[川の音が大きく聞こえた]
〔近くには、くうるりくるくる、かざぐるま。
遠くには、ぐうるりぐるぐる、みずぐるま。
風に揺られて、水を廻らせて、それぞれに。
真白の海の中に咲く色は、
臙脂に濃色、それから紫苑に深紫。
草の緑と川の音は心を落ち着かす。〕
[呟くような言葉に、紅緋はまた、まばたく。
不思議そに、不思議そに。
それから。
くすり、とこぼれる笑み]
ねいろは、優しいのだね。
[返す言葉は、何故か揶揄めいた響きを帯びて]
でも、大丈夫なのだよ。
風漣は、そういうものだから。
[曖昧な、曖昧な言葉。
それと共に、立ち上がり、ひょう、と鞠を空に投げ、受け止める]
こういうものは、餓鬼の頃から得意でしてねえ。
[笑み佩いたまま、立ち上がり、片手のかざぐるまを差し出して]
ひとつ、お持ちになりますか?
おらは、優しくなんてなか……
[小兄の言葉を否定して]
[まるで先のねえさまのよう]
[そんな言葉に見た先で]
[高くたかく、鞠があがる]
ふうれんにいさま……
おら、ほんま、にいさまが好きよ?
おやまあ、童の頃とは。
何かしら思い出しにでもなったのかな。
[差し出されたそれを見遣り手を伸ばす]
せっかくだから、頂くとしようかな。
此方は花の冠を作ったことはあるけれど、
其方の風の車は作ったことはないからね。
やさしいよ?
[ゆる、と首を傾げつ、言って。
再び、ひょう、と鞠を空へ。
回る、まわる、鮮やかなる朱と金の紋。
次がれた言葉は、聞いているや、否や。
紅緋が向くは、ただ、華の紋]
いらぬ子は好いてはならぬのだよ?
[それは、口にはせぬけれど]
あの子のように、なってしまうよ?
[あの子が誰か、はわからぬけれど]
それはお目出度い、
と言うべきなのかしら。
[こてりと首を倒して、くるりと回す風車]
此方は未だに霧の彼方、
深く深く煙る白の向こうに。
多少晴れて来はしたようだけれども。
おらは、ちがうんよ
おら……
おらは、
[投げられた鞠の行方は追えず]
[手のなかにある石をみて]
やさしいんは、ふうれんにいさまじゃぁ
[やがて摘むものもつなぐ言葉も何もなくなり。
ふ、と小さく息を吐けば思い出したように梔子の布を解く。
すっかり編み癖のついてしまった髪を解けばそれこそ波のようにふわりふわりと夜の風にあおられよう。
その髪を一房つまみ上げて蜜色はそれを眺めていたけれど]
…。
[ふい、と髪を後ろへと投げやり同じように頭のてんこで布でまとめた。
そしてゆるりと立ち上がる]
[伸ばした手に、華の紋を受け止める。
紅緋の瞳は、どこか困ったよな光を映そうか]
ねいろの方が、優しいよ?
[くすくすと、笑う。
それは、楽しげにも、哀しげにもとれようか]
心次第か。
確かに、その通り。
何方に向いているかは知らぬけれど。
[紫黒は同じように二つの色へと向けられて]
はてなさてな、
濃色の童はわからぬけれども、
臙脂の童は小ねえさまがどうだとか。
なにゆえ、鈴の音に応えたのだろうかね。
おらは違うんよ
[川のせせらぎ]
[笑い声]
ふうれんにいさま……
お歌、うたってけん?
[それを止めたくてか]
[それともただ聞きたくてか]
[口にして]
……違うの?
[それは、童には意外にも思えてか。
笑いは静まり、不思議そな言葉が転げ出る]
唄?
……よいよ。
[続く音彩の言葉に、ゆる、とまばたいて。
こくり、頷き、てん、と一度鞠をつく]
ひいや ふうや
みいや ようや
いつやの むさし
ななやの やくし
ここのや とおや
[響く唄。
鞠をつく、音。
霞揺らめかす風は運ぶか、幼き声を]
[なにゆえ、との言葉には、けらりと笑い]
さてさて、神隠しに遭うて帰らぬは、現と縁の薄い子でしょうかねえ?
いや、子供だけとは限らぬやも。
[悪戯めいて、女を見やる]
[雅詠の前をまっすぐに抜けていく。
襖をぱたんぱたんと開けてゆけばそれはそのまま反対側の縁側へと続く。
そこまですれば満足だったのか、月の明り煌々と落ちる板間の上で空を見揺れば白く細い手が太刀の柄へとすべり、そして──すらりと抜く。
ひと ふた み よ 。
音律はなく、かといって歌も無く。
ただそれは緩やかに太刀が月の下の空気を切り取っていたから舞とわかるようなものだろう]
違うん
じゃって……おらは、
[しかし、続きは口にのぼらず]
[てーん]
[つく鞠の音に、やさしいこえ]
……みいや ようや
[小さくちいさく、口が動いて]
……ふうれんにいさまの、お声、好きじゃぁ
/なか/
少しまとめよか
・手伝い→手伝わなければならない
・薄い着物→貧しい
・ねえさま、にいさまたち→孤児のようなものが集まっている
尼僧あたりが良いのだろうか。
[途切れた言葉は届くや否や。
紅緋はひょう、と空へ舞った華の紋を追う。
伸ばした手は、それを確りとかき抱き]
舞弥のにいさまの他に言われたのは、初めてだ。
[くすくすと、楽しげに。
ごく何気なく、誰かの名を紡いで]
はてなさてな、
縁が薄いのかも知れぬし、
未練がないかも知れぬね。
[三日月の如くに眼を細めてくすくすと]
けれども、それが好く思い出せぬというから困りもの。
[終わった歌に、今度はようやっと、その姿を見ようか]
[鞠はしっかり腕にある]
にいさま?
ふうれんにいさまも、にいさまがおられたの?
[小さく首を傾げて]
[その姿を見上げ]
/なか/
おっかぁ:うんでくれたおっかぁ。捨てられた
おとう:だれだかしらん
かかさま:拾って育ててくれたかかさま。ととさまはおらん
ちいねえさまがた:ひろわれごのなかま
おおねえさまがた:たまにくるおねえさま
ちいにいさまがた:ひろわれごのなかま
おおにいさまがた:たまにくるおにいさま
おおにい、おおねえは、お稼ぎしとるんじゃろう
本当に、困っておいでなのですかねえ?
[零れる声に、肩を竦めて、しかし咎めるふうもなく]
さて、そろそろ夕餉を頂きに戻るとしますか。
あやめ嬢はどうします?
[問いかけて、軽く首を傾げる]
/なか/
隠された秘密を、ゆめで知ってしまう能力。
ゆえに鬼の子とも言われ、秘密を見てしまうがゆえにいとまれた。
かかさまがそうせぬようにと編んでくれたおまもりだけが、
唯一それをふせげた。
だけれどかかさまはなくなってしまった
そのときに、きえたときはもうでてこないと言い残してはいるはず
[投げられた問いに、ゆる、と首を傾げ。
何か、想うように紅緋を伏せる]
……うん。
舞弥のにいさま。
風漣を、お守りしてくれ……た。
[意識の霞、その淵に。
ゆらり揺らめくは面影か。
露草色の髪の、若人の姿が揺らめいて、消えて]
/中/
舞弥で、露草色の髪ということは、マイルズくんでしょうかね。
どうでもいいけど、マイルズ×ジョエルで、印象が固定されている件。
(関係ないから!)
やさしい、にいさまね。
[どこか、思うような小兄の邪魔をせぬようにか]
[声は小さく]
ふうれんにいさまの、にいさま。
まいやにいさま、いうんね。
[にこと、笑って]
[と、視線を送られるのに気付けば]
……あやめねえさま?
なんじゃ?
[首をかしげて]
[小さな声に、うん、と頷く]
そう、舞弥のにいさま。
[名を口にする時、紅緋の瞳はどこか嬉しげか。
それは、思い出せた事への喜びか、それとも]
……あやめのねえさま?
[それから、音彩の言葉にその視線を追い。
こちらを見やる姿に、ひとつ、まばたく]
[なんともなしに黙りこくってどれほどの時が過ぎたか―
揺藍が立ち上がるのを見て、夕餉に向かうのかと腰を上げかけ―襖を開けながら通り過ぎる姿に再び腰を下ろす。
やがて始まりし剣舞にはただ*息を呑むばかり*]
良いにいさま、なんじゃねぇ?
ふうれんにいさま、嬉しそうじゃけ
[ちらと向けていたあやめねえさまのところには、大兄の姿]
からすにいさまも。
おかえりになるんかのぅ?
/*
雅「舞弥…『いいわね、いくわよ!』なペルソナ使いを思い出した馬鹿背後はほっといて(キッパリ)多分マイルズだろうな。かく言う烈琥もレッグなんだが。っつーかこれで『れく』って読ませんのは無理だろどう考えても」
お守りしてくれたから。
舞弥のにいさまだけは。
[にこり、と笑いつの言葉、それには如何ほどの意があるや。
紅緋の笑みからは、計り知れぬか]
烏のにいさま。
にいさまも、遊んでらした?
[近づいてきた烏の言葉に、ゆる、と首を傾げ]
ゆうげ。
お食事、おらも食べたか!
[にこっと笑って、立ち上がる]
からすにいさまも、お遊びじゃったん?
[それから、同じ言葉を問うた小兄を見て]
おらも、ふうれんにいさま、お守りするけ。
[にこと、笑って]
みんな、いっしょにごはんじゃの?
ほぅら、坊やたち。
烏がなくから戻ろうか。
そうそ、皆で一緒に夕餉の時間さね。
[くるくるり、かざぐるまを回しつつ*わらう*]
[お守り、という音彩の言葉に、掠めしは曖昧なる笑みか。
それには、何も答えはせずに]
そうだね、お食事。
みなで、一緒に。
[みなで、という言葉には、奇妙に力が込められて]
うん、お食事。一緒にしよ!
[嬉しそうに小兄に笑みかけて]
[はっと白の花びらを、思い出すはあやめの顔でか]
[きょろ、きょろとまわりを見て]
[小さく走ってそばに寄る]
あやめねえさま、これ。
おらより、ねえさまのほうが似合うけん
[頭から冠を取ると、背伸びして彼女の頭に乗せようとする]
[しかしやはり、届きはせずに]
ああ、遊んでいたよ。
今日は森の方に行って来た。
仔うさぎが、たくさんいたから、坊達もいつか見に行くといい。
[大人に接するそれとは異なる瞳の色は、昨日までより、更に和らいでもいようか]
[嬉しげな音彩に、笑みつ、頷き返す。
そこには、それまでの陰りめいたものはなく]
森?
いきものが、いるの?
[烏の言葉に、紅緋の瞳を好奇で煌かせつつ、続くように歩き出し]
[ねいろの言葉にけらりと笑い]
いじめないとも。いじめるように見えるかい?
[風漣の問いには頷きひとつ]
ああ、たくさんいるようだよ。みんな大人しい動物ばかりだったから、坊達でも危なくはなかろうさ。
[やがて、館の入り口をくぐれば、童子達が差し招くまま、座敷にあがって縁側の楽無き舞を目にするか]
[すう、と息を吐き出して太刀は鞘に収まろう。
ぽかんとしたような視線を背に感じたものだから、ちらりと蜜色を背にやれば雅詠の様子が目に入り、それがあまりにも不思議だったから首をひねる]
[やがて夕餉を用意する童子に元いた位置へと戻るだろう]
からすにいさまはいじめっこじゃぁ
[思い出すのは、昨夜の酒か]
危なくなかね。
嬉しかよ!
ぜったい、いってみたいと思うんじゃ
[にこと笑って]
[同じ顔の童子たちにはやはり少しおびえるも]
[ぎうと自分の袖を握って]
[舞が終わったばかりだろうか]
[その姿に、きょとんとし]
[太刀を収めた揺藍の姿に、ぱちぱちと手を打って、惚けたような雅詠の様子には、くすくすと忍び笑い]
いや、御見事。雅詠の旦那はすっかり見惚れて、魂も抜けたと見えますな。
たくさん、いるの!
[烏の言葉に、声を弾ませ。
続くようにやって来た座敷で、揺藍と、雅詠に向けて一つ、礼をする]
揺藍のにいさま、舞をなさるのだね。
[舞弥のにいさまのよう、と。
その呟きは、とても小さく]
[小兄の言葉に、その名を知るも]
[こてんと首を傾げて見やるのみ]
[大兄の言葉には、ちょっと驚く]
からすにいさま。
……うーん。ゆるすんじゃ。
じゃけ、おらもごめんなさいじゃ
ありがとうね、臙脂の童。
坊がそう言うのなら受け取っておこうかな。
けれども此方にはこれがあるものだからさ。
[言いつつ指さすは紅緋の花かんざし]
森には鳥に兎に、小さきものが大勢居るよ。
危なくはなかろうけれども、遊びすぎぬようにね。
[ゆるりと歩を進め皆の後をついてゆき]
空の君に、象牙の旦那かね。
何やら好いものを見逃しかけたよう。
さても、白の君は未だ戻らぬのかな。
[館に辿り着けば小さく呟きを洩らした]
…おや。
[烏を筆頭に人がそろそろと戻りくる様子に首をひねり]
…たいした者ではないよ、鳥殿。
…ああ、そちが「ねいろ」か。
[梔子の布を解けば羽毛のように癖のついた髪がふわりと踊る。
烏の袖を握った子供に少しだけ蜜色を緩ませ]
…ああ、我は舞うことしか知らぬ。
ほかには、なにもなかった。
[一度解いた梔子を首の裏でもう一度くすんだ空をまとめるために結わく]
…漣坊の兄君も、舞われるお方か。
それならば、そちは舞手と縁があるのじゃろうなぁ。
[くすくすと、微かな笑い声が風に揺れた]
そうかぁ、あやめねえさまには、綺麗なかんざしがあるんねぇ。
あやめねえさまも物知りじゃあ
[森の話をする彼女に、ふわふわ、小さく笑み零れ]
[それから、名を呼ばれ、その人をみやる]
おら、ねいろじゃぁ。
にいさま?
にいさまは、ゆら、にいさまとおっしゃるんじゃろか?
[烏と音彩の仲直りの様子ににこり、と笑みつ]
うん、舞弥のにいさまも、舞手であられたの。
剣も舞も、とてもお上手だったのだよ。
[揺藍の言葉に、嬉しげに返す。
記憶の淵の若人と、似て非なる揺藍の髪色は、思い出した存在をより強く意識に印象付けるのか。
紅緋の瞳は、嬉しげで]
花の君。
…それほどたいしたものではないよ。
我でなくとも、修練さえ積めば誰でも舞える。
[ふわふわとした髪の先にすこうし指を絡めようか]
…そうか、そちがねいろ。
我は…ああ。揺藍という。仲良うしてたも。
[蜂蜜色の瞳を笑ませて*微笑んだ*]
/*
雅「さて、あの自称『死の宮の御子』は誰なのかね…烏かあやめだと思うんだが。根拠?雰囲気とか入村が遅かったのは違うだろうとかそんなんだ(ぉ」
[大兄の照れた様子に、きょとんとして]
[しかし酒精の気配には、近く寄ることはないだろう]
ゆらにいさま。
おらこそ、仲ようしてほしかぁ
[嬉しそうな笑みこぼし]
……ふぁ
[ちいさくちいさく、あくびが一つ]
坊より長く生きているからね、
物知りにもなろうと言うものさ。
[かんらかんら、口許押えて笑ってみせる]
空の君、
左様に言うものではないよ。
[細める紫黒の眼に浮かぶは羨望の色か]
出来ぬ者から見れば、
出来る者というのは素晴らしい。
此方は左様な機会を持たなかったものだから。
[小兄の問いに、こくり。]
[頭をたてに動かして]
でも、寝ちゃ、あかんのじゃぁ……
みて、まうも……
[小さな小さな声は、届くか届かぬか]
[童子たちの笑い声に、かき消えてしまうやもしれず]
眠いのに、無理はいけないのだよ?
[頷く様に、僅か眉をよせつ。
ついだ言葉は、届くや否や。
ただ、眠りを拒否す、それは確りと伝わって]
眠らないのは、よくないよ。
[ただ、そう繰り返す]
眠りの時は誰にしも来るよ、臙脂の子。
佳き夢を見られるのならば好いのだが。
左様な術は知らぬから、さて、困りもの。
[半ば独り言ちるように言の葉を紡いで]
ああ、そうだね。
きっと、なれるだろうよ。
じゃけん……
いや、なん……
[小兄の言葉に、ふるふると首を振って]
きらわれてまうも……
[ちいさくちいさく]
[口の中で転げて]
……おまもりも、あらんけ……
[困ったようなあやめねえさまの言葉]
[不思議そうな小兄の言葉]
[どちらも聞けたか、聞こえざるか]
じゃって……
おらぁ……
[小さく口唇は何かの形に動き]
……みんな、一緒が、良いもの……
[その言葉は音になったか]
[*ふらり*]
[体が傾いだ]
[さてもあやめの言う通り、ゆくもかえるも出来はせぬ。
いつしか眠る森の奥、緑の香りに包まれて。]
[時は移れど星は出ぬ、眠りを覚ますはなにゆえか。]
う……。
…なんじゃ、これは。
[ゆらり琥珀が映すは膝の上、水飴ひとつ鎮座して。
かさりかさかさ小さき獣、さてさていずれの置き土産。]
……ねいろ?
[紡がれた言葉は、わからぬものの。
ついだ呟きは、かろうじて聞き取れたか。
紅緋は、刹那、苦しげな光を浮かべ]
……あ。
[傾ぐその身を止めようと、手を伸ばす。
ころり、手から逃れた鞠が転がりて]
[人ならざらぬ身にはその声も好く聞こゆ。]
一緒かえ。
ひとりはさみし、
ふたりはこいし――
[言の葉続かず途絶えれば紫黒は何を思ふ。]
おやまあ。
[暢気な声を上げきょとりと眼を瞬かせて]
余程に眠かったのだろうかね。
[転がる鞠は代わりに白い手の内に収まる]
おやおや、ねいろ坊、今日は御酒も呑んでいないというのにねえ。
[倒れるように眠りに落ちる子供の姿を目に止めて、酒杯を置いて歩み寄る]
[朱が走れど誰も見ず。
はくと水飴口にして、緑の天蓋見上げたる。]
[天狗が隠す「ほしまつり」
されど此処にも星はない。]
はてさて、何処にあるのじゃろ…
[咥えたままに立ち上がり、白き夜を流離おうか。]
[音彩が烏に抱き上げられる様子に、ほ、と息を漏らしつつ]
……一緒がよいのだと思う、風漣も。
[見やる紅緋は、やや、不安げか]
[やがて敷かれた布団の上に、そっと小さな身体を横たえ、ふうと小さな吐息を零す]
何がそんなに怖いやら。
ねいろ坊は、怖いものから逃げて、こちらへ来たのかねえ。
[リーン…リーン…鈴が鳴る。此処へ戻れというように。]
どうせ逃れは出来ぬなら、好きにさせても良かろうに…。
[天邪鬼に呟いて、鈴に逆らい歩み往く。
甘露がのうなってしまうまで、あてもなく白き野を踏み分けて、]
[ぽつり、白に落つ色に伸ばす。]
おや、これは…?
さてさて、そなた迷い子か。
[白の袂に差し入れて、ゆらり琥珀は振り返る。
見やるは遠く水車小屋、その傍にある館かな。]
川の字になってでも寝ようかい。
この人数だと河にでもなりそうかな。
逃げて来たか、はてさて。
ここが逃げ場となるのなら好いのだけれども。
安らぎの地となるのならば幸いだけれども。
[瞼に浮かぶは童の笑顔、耳に残るは哀しげな声。]
…戻るか。腹も持たぬしな。
[棒弄びて呟くは、己に言い聞かせるように。
やがて館へと歩み出せば、リーンと笑うよに鈴が鳴った。]
さて、どうなるかは、坊次第。
[あやめの言葉に応じながら、さらり、眠る子供の額を撫でる]
さて、ねいろ坊の心は、俺には解らないが…こわいものは誰にでもあるからねえ。
ふう坊にだってあるだろう?
そうだね、
誰にしもあるだろう。
なければ人というより、
心を持たぬ人形だからね。
けれども無理に思い出す事もない。
……さて、そろそろかな。
[其れは食事への言か白の君の帰還にか]
[掠れた風漣の声に首を傾げ、声をかけようとしたところで、小さな腹の虫の音が聞こえたか、入り口に目をやって、ふと笑み零す]
おや、えいか嬢、遅くまでどちらへお出かけで?
[支度に行き交う童子たちの横を通り、座敷へと歩み往く。
夕餉にか集まる姿を見れば、無言のままに頭を揺らして。
すいと琥珀を流せば、布団が敷いてあるを見やるだろうか。]
…はてさて、そなたが守りかは知らぬが。
寂しかれば寄り添うもよかろ。
[迷い子袂から取り出して、白の褥に色落とす。]
[よもや腹の虫を聞きしとは思わぬも、烏の問いに琥珀が逃げる。
ややあって返る声は、愛想なく。]
さて、何処じゃろな。
[聞いて何とする、と手に残る棒を弄ぶ。]
[えいかの手にした棒を見れば、その行き先は自ずと知れて、僅かに目を細めるも、それ以上は言うのをやめた]
どこぞで迷子になられたかと、案じましたが。そうでないなら重畳。
夕餉も出来ているようですよ。
[どうぞ、と言って、己は、道具箱を引き寄せる]
[あやめの声に、僅か揺れるも。掛けられし声には頷いて、]
ああ。腹が減ったでな。
[返す言葉は天邪鬼。理由なくば戻らなかったかのよに。]
[呟きの後、しばし物思いに落ちていたが。
えいかが色を落とすのに、我に返り。
眠る音彩の頭を撫ぜ、その側を離れる]
……あ、鞠。
[その時まで、気づかぬままだったのか。
今更のように、朱と金の華を捜してきょろきょろと]
[おのこが目を細めるには気付かぬも、続く言葉は眉根を寄せる。]
迷子とな。
隠されし皆、そうではないのかえ。
[虫の居所悪いのか。
それとも腹が減りすぎて、虫が怒っておるのやら。]
さて、そなたは迷うてはおらぬのか。
我は…
[荒れる心のままに募りかけ、黙り込んだよな風漣の様子にようやく気付いて口を噤む。]
…すまぬの。
腹が減りすぎて気が立っておるわ。
ありがたく馳走になるとしよう。
[道具箱を引き寄せるを目の端に、二人の傍を過ぎ膳へ着く。]
[背負い箱の隠しから、昨日と同じ水飴を取り出し、えいかの膳の横に、そっと置く]
明日もお出かけなら、ひとつお持ちになるといい。
[囁き残して、己も夕餉の膳に向かう]
[ころり、転がり来る華の紋。
それに気づいて、笑み浮かべ。
差し伸べた両手で受け止め、そう、と抱きしめる]
よかった。
[それが、何に対するものかは、わからぬものの。
呟きには、安堵が込められようか]
中/
ねいろの髪色を思いっきり間違っていたような。
濃色じゃなく臙脂であった…!
どうも童二人を混同しがちじゃ。はよう表を作らねば。
/中/
もうちょっと突つき回さんと話が進まない予感。ねいろ坊がつつきやすいっちゃやすいけど、ふう坊に任せたい気もひしひし。うーん。
[膳に置かれたは見覚えのある甘露。
未だ手にしたままの棒と見比べれば、同じであるは明らかで、]
そなた…!
否、なんでもない。……すまぬの。
[森で醜態を見られたかと、さっと面に朱が走る。
なれど囁き残し離れる姿に、威勢は萎んで消えそな礼を。]
[琥珀は揺れて、鞠抱く童へと。
安堵が込められた声音に、己の舞扇をそうと押さえた。]
……どうしたの?
[揺れる琥珀が自身に向けば。
紅緋はひとつ、まばたいて。
朱と金の華の紋は膝の上。
鮮やかなる色彩は、白花色の上に映えようか]
[箸を運ぶあやめの様子に変わりはなく、先ほどの唄はただの偶然であったろうかと瞼を伏せる。]
…わらべ歌にあのよな姿を見せるなど、
[川向こうは決して晴れぬのに、記憶の霧は時折おぼろになりて心を苛むゆえだろか。]
[えいかの礼には笑みだけを返し、あやめには、別の飴をひょいと差し出した]
あやめ嬢もおひとついかがです?
滋養にもなる、水飴ですよ。
[まずは腹を満たすと決めたよに、凍り豆腐を口へと運ぶ。
瞼伏せ箸運ぶその前に、あやめを窺ったは気づかれたや否や。]
迷い惑いはすれど、迷わせはせぬが。
人でなくば定めも異なろうか…
[耳へと届く烏の言の葉に、箸を休めて小さく返す。
眉を寄せるは酒精ゆえではないが、そう思われても否定せぬ。]
なにもない。
なにもない…はずじゃ。
[紫黒を見ずに言い切り、言い澱む。
なにせ惑い疲れて眠りの内、膝の飴にも気付かなかったゆえに。]
言の葉を紡ぎて他の心を揺らすは、
迷わせるにも繋がるだろうよ。
[視線に気づきしかは不明なれどもそう呟いて]
其方がそう言うのならばそう言う事にしておこう。
なにかあるもなにもないもまた、己が心次第。
俺の風情が職人に見えますかい?
なんのしがない薬売りですやね。
[ふいに詠ずる口調になって、ぽん、と箱の胴を叩く]
粉薬に水薬、煎じ薬に、膏薬と、なんでも揃えてございますよ。
[鮮やかな紅緋が瞬くを見る。
その無垢とも言えそな眼差しに、琥珀はゆらりゆらと揺れ、]
ああ、そなたが鞠は大事なのじゃなと。
そう思うただけじゃ。
[吸い寄せられるは白花の上の朱と金の華。
鮮やかなる色彩に、琥珀はしばし魅せられる。]
[調子良く、口上述べたすぐ後に、箱にもたれて、欠伸を漏らす]
…とはいえ、ここでは…用も無し……
[うつらうつらと、*頭が揺れる*]
[えいかの言葉に、紅緋はまた、まばたいて]
うん、大切。
手放してはいけないの。
[言いつつ、片手でそう、と華の紋を撫ぜ]
……約束なの。
[呟く声は、果たして他者まで*届こうか*]
そういったものには疎いものでね、
見えるかと言われてもとんとわからぬよ。
薬売りか、なるほど、はてなさてな。
――……おやおや、眠りの刻限かな。
[朱の唇が紡ぐ言の葉に、琥珀は朱と金の華から離るる。]
ああ、そうじゃな。
かくも我はたやすく迷う。
…なれど言葉を交わさずば、何のための言の葉か。
[琥珀を逃げるよに伏せて、膳も半ばに立ち上がる。]
さて、どうやら我はもう十分なようじゃ。
眠り込まぬ内に、下がらるとしよう。
[うたた寝する烏をちらと見やり、童子に袖引かれ*座敷を後に*]
〔眠る紫苑の男を立ち去る白の君を見送り、
聊か行儀悪く指に纏はる飴を舐め取りて。
膳の席から立ち上がり縁側へと向かへば、
叉も行儀悪く細き足を外へと投げ出さむ。
膝の上には花冠、
手の内には風車。
真白がゆうらり揺れて、
羽根がくうるり廻る。
仰ぎし天には変わらず星はなきままで、
朱唇は空気を振はすも音を紡がずに。
けれどもそれも束の間の時、
*眠りの淵へと落ちゆくか。*〕
言の葉を交えるは、
みえぬこころをしるためかな。
捜している、
捜しているよ。
見るために、視るために。
知るために、識るために。
[ゆうらりゆらゆら、
ふうわりふわふわ、
人であれどもなかれども、
迷いしものは迷うもの。
夢にても現にても幻にても、
道は見つからずに女は惑う。]
中/
は、よく見れば烏におなごと断定されておる。(メモ嬢呼び)
風漣もねいろも「ねえさま」と最初いうておるし、おなごに見えるのかの…。(注:恐らくキャラグラ効果)
揺藍と雅詠が良い雰囲気じゃから、揺藍はおなごかもと思いつつあったのじゃが。
さて、こちらはいかがするかな。
[白の花咲く野を、白の袖翻し、白の霧に包まれて。
蜻蛉(かげろう)のように頼りなく、ゆらりゆらりと歩み往く。]
[時の移ろいはわからねど、白の衣が霧に濡れれば、袖翻るも重くなろうか。]
[あちらもこちらも霧に白く包まれて。
されど、決して交わりはせず。]
[たん――]
[ふわり衣翻し、跳んだ先は…元の場所。]
…やはり、繋がらぬか。
もしやと思うたのじゃがな…
[撫子色から零れるは落胆か、はたまた諦観の吐息かや。]
[落ちたくないと言った眠りの淵]
[見る夢はしりたくないことも教えるか]
[一度失せた筈の]
[戻らぬ筈の、小さな黒真珠の入った守袋]
[中身は既に失せていようか]
[真実の夢には]
[何ら効力を持たずに]
[されど今一つ忘れたことが]
[忘れを許さず、暴くのをやめる]
[白の闇の中]
[*目覚めて悲鳴は口の中*]
[朝餉を取りに踵を返し、ふと思い出すは白の花冠。
戯れに一輪摘んで、薄き唇紡ぐは何のいと。]
ゆく…かえる…ゆく…かえる…
[ひらりはらり、散りゆく白は*朝霧に溶けて*]
中/
表で「花占いは何を告げるや」と書きかけて慌てて直したわ。
占い師誤認されては申し訳ないしの。
守護者と占い師は、やれ誤認されがちじゃからのう。
ようよう気をつけねば。
[朝餉を終え久々に館の外へと歩み行く。行くその先は―]
確かこの辺りだった―よな?
[見る位置が違う故か確信までは至らぬが、恐らく間違いないだろう。
―そこは初めて降り立った地、記憶を失って最初に見た景色―]
―そう言えばあの時もここだったか。
[―己が只人であった時、初めて訪れたこの里で最初に目覚めた場所もこの地であったかと思い返し、苦笑を零す]
[己はここの何をそう気に入っておるのかと思わず苦笑いをもらし―]
そう言えば―まだ試しておらんかったな。
[ふっと真剣な面持ちとなり、小川へ向かい歩を進める。
まだ少しばかり離れておるが―
たっ――
僅かに勢いをつけ軽々と飛び越して―
――たん
しかし降り立ちしは元の岸―]
―やはり閉ざされておる、か。
[ただそれだけを確かめて、再び館へ戻り行く―]
[ゆる、と眠りの淵より浮き上がる。
開いた紅緋は、幾度かのまばたきの後、周囲を写し。
傍らにいた童が起きているや否やを確かめる事もせず、ただ、苦しげに見えてか頭を撫でて、床から抜けだす]
[童子たちに誘われるまま、朝餉を済ませて。
華の紋を抱えて、ふらり、ゆらりと館を抜け出る]
[風に揺れ舞う白の花。
その中をふらり、ふらりと彷徨いて。
やがて、深き緑に足を踏み入れる]
…………にてる。
[包み込む静謐に、零れるのは呟き。
そのまま、宛もなく、奥へと進み。
やがて、たどり着けるは小さき祠。
紅緋がまばたき、それを見つめ]
ひいや ふうや……
[静寂の後、紡がれしは唄]
みいや ようや……
[てん、てん、と。
つかれて回る、華の紋]
いつやの むさし
ななやの やくし
ここのや とおや
[ひょう、と。
投げられ、還る、華の紋。
小さな手は、受け止めたそれを確りと抱きしめ]
……ゆく、かえる。
……風漣には、わかんない。
[小さな呟きを残して、童はその場を離れる。
そのまま何か探すよに、*静謐の奥へと*]
どうすればよいのだろ。
何が正しいのだろ。
わからない、わからない。
[緑の内を歩きつ、繰り返す]
風漣はいらぬ子、そう言われた。
笑んでくれるのは舞弥のにいさまだけ。
……でも、風漣は。
舞弥のにいさまのお側にいてよいのだろ?
いらぬ子なのに、お守りされてもよいのだろ?
……わからない、わからない……。
/中/
と、言うわけで、ようやくキャラ設定の方向性が固まってきました。
しかし、またNPC愛か自分(^ ^;
しかも、元キャラがマイルズ、て。
さて、では設定メモでも。
・出生
それなりに高貴の出。ただし、落胤かもしくは双子の片割れのため、世にはその存在を知らされず、隠れて生きていた。
家族は母と、護衛の者(=舞弥)。
母が病に倒れてからは、舞弥と二人、森の中に隠れ住み状態。
似ている、と呟いたのは、自分の隠れ住んでいた森との比較。
自身の出生は知らないが、隠れねばならぬ子、父にとってはいらぬ子である、という認識はいつからか持っている。
・異能
見れぬものを見れる子(まあ、霊能なので/それだけか)。
その力で、人の死を感知できる事から、自分は他と違う、という意識が強い。
天狗の鈴に呼び込まれたのは、自分がいらぬ子である、という無意識と、舞弥の負担になる事を無意識に恐れ、消滅を願ったため?
…………いやだから、NPC愛しすぎだよorz
/中/
ところで、真面目に性別どーしよう(' ' )
どうも、不明が多すぎてなあ……。
被り気にせず、無性で通してしまうか、やはり(ぇ。
[目覚めたなら、まず湯あみをする。
白く薄い肩の下まで湯に浸かれば思わず吐息をひとつ。
ややしてから、自分の体を蜜色で見下ろした後、もう一度ためいきをついてから湯殿を出る]
[今日もやはり髪をおろしたままで縁側に面した板の間でお天道の日を浴びる。
やがてあたたかさと入浴後の気だるさゆえにすぅとしずかに寝息をたてるだろう。
そのうち両の膝を抱えこんでころりと丸くなって眠る様は、まるで赤ん坊のようでもあるだろう*か*]
[やがてゆるりと起き上がる]
[すこしばかり顔が白く]
……だめじゃぁ
ちがうんは、見とうないん
隠しごとは、かくさんと
ちいねえさまがた、おいかりじゃぁ……
[ぎゅうと握った、守り袋]
[中身がないことも]
[誰が見付けてくれたのかも]
[何もしらずに]
[食事をすこしもらったら]
[たちあがって]
おらがおったら、みんないっしょにならん……?
そんなの、いやじゃぁ……
[ちいさく言うと]
[童子たちからも離れる]
[どこへゆこうか]
[離れれば]
[何もしらずに*いられるだろうか*]
(―――なぜ)
(―――なぜ、我はゆらではなかったのだろう)
『――何故、どうしてお前ではないの』
(…やめて)
『お前など産みたくなかった』
(…やめて。やめて、母さま)
『お前など死んでしまえばよかったのに―――』
( や め て )
[夢]
[夢に溺れて]
[こころ が しんでしま う ]
〔やがて瞼の裏より紫黒の眼現れて、
朝餉を済ませて縁側を歩みゆけば、
赤子のやうに眠りに落ちる人の姿。
くすりくすりと小さく笑ひしは、
童子らか女かはたまた何方もか。
真白き花の冠に、薄緑の風の車。
時移ろわぬゆえか天狗の里ゆえか、
枯れず変わらずその傍らに残されり。〕
〔庭に降り立ち腕を組みて草を踏む。
風に揺れるは深紫の髪に藍墨茶の袖、
見つめる先は天の彼方の遥か遠く、
そこにあるは青き空に白き雲ばかり。
さらさら流る川のせせらぎに、
さやさや噂す風のささめきに、
ざわざわ騒ぐ森のざわめきに、
けれどもこの場にて聞こゆは何もなし。〕
[一足早く昼餉をもらい、誰も居ぬを計りて湯殿へと。
朝霧に濡れた衣を残し、湧き出る湯に浸かりてしばしまどろむ。]
いい湯じゃった。
…む、我の衣はいずこぞ…?
[恐らくは代わりに置かれし白衣と浅葱色の袴を身につけて、乾くまでの一時を小部屋にて一人過ごす。]
[障子窓から空見上げれば、髪を揺らして風渡る。
くすりくすりと笑い声、風に乗ったか空耳か。]
[手持ち無沙汰か気紛れか、飴色取り出し唇へ。
そうと息を吹き込めば、澄んだ音が風に流れゆく。]
[ピィー…ヒャララ…ピィー…ヒョロロ…]
〔耳に届くは祭囃子に似た笛のおと。
風は噂を止めてその音色を運ばむ。
小さく朱の唇から吐息を洩らせば
ゆうるり瞼が下り紫黒は隠されて、
訪れる黒の夜のやうな闇に何思ふ。〕
[瞼を伏せて一心に、指運びにのみ心を砕く。
館の外に出た者も、
眠りの内にある者も、
庭にて音色聞く者も、全て意識の蚊帳の外。]
[余韻残して笛置けば、撫子色の唇は震えにも似て小さく喘ぐ。]
……
[韻とはならず、空に消えゆ。]
[白き衣をきちりと着込み、部屋に残すは浅葱色。
遠巻きに見ゆる童子に小さく頭下げ、縁側へと歩み往く。]
…やあ、これは。
眠りを邪魔しておらねばよいのじゃが。
[揺り篭に眠る赤子のごとく、両膝抱えた姿を見やる。
傍らの花冠と風車が、風に吹かれてかさりと揺れた。]
〔止みし笛の音にか聞えし人の声にか、
重き瞼をふたび持ち上げて紫黒を現さす。
ゆうるり其方へと振り向けば
ゆうらり揺られる深紫に藍墨茶。
まるでそこだけ夜が訪れしやうであり、
閉ざされし蕾が花開くやうでもあるか。〕
〔紡ぎし三つ音は何の名か、
はてさてそれは定かならず、
唯ただ紫黒を幾度か瞬かす。
されば後に残るは平時と同じ女の貌、
眼も唇も弧を描きて笑みの形を作る。〕
[呼び起こされしは人でありし頃の記憶か、
たとい問えども、応えはなく、答えはなく、
くすくすくすくす童子らは妖の女を見て笑ふ。]
[白き夜しかない里に、闇の帳が下りたよに。
深紫に藍墨茶、ゆうらり揺れて花が咲く。]
………、
[誰そと唇紡げども、声にはせずに紫黒を見やる。
眠りし言の葉答えれば、魂何処か消えゆくか。
脳裏を過ぎるはそんなこと。]
[夜にのみ咲く花のよに、瞬きの後に消え失せて。
白と朱の面は平時のように、艶やかなる弧を描く。]
…ああ、夢から覚めたよな気分じゃな。
あやめ殿こそどうなされた。
夢幻でも見たかのようじゃ。
[しかとこちらに向けられし声音にやや安堵して、遠まわしな問いを投げかける。]
聞かれていたとはしらなんだ。
…邪魔したでなければよいのじゃが。
[先ほどかけし言葉とは、僅かに異なる意が込もる。
琥珀はついと逃げたろか。]
象牙の旦那も、お早うだね。
[袖に隠れし手の朱爪は腕を僅か強く押える]
ああ――
あまりに遠くを見ていたものだから、
知らず記憶の水底を探っていたのかも知れぬね。
邪魔などではないよ、
以前に聞きたいと願うたのは此方だもの。
なにゆえかな、懐かしき感じはしたけれど。
[覗いてはならぬ淵を見たようで、逃げた琥珀は助け手を見る。
ぴんと張られた糸のよに、知らず張りし気も和らいだか。]
やあ、そなたもか。
…煩うことなくばよかったの。
[過分な言葉に、琥珀はまた逃げたろう。]
否、謝る事はない。
…聞かれておるやもと思ってなかっただけゆえに。
[驚いたは別のことなれど、ややもずらした答えを返す。]
水底を…?
ならばやはり邪魔であったろうに。
…気紛れ起こして吹くものではないの。
[吐息を一つ零して、眉根を寄せる。
こちらを責めぬ柔らかな言の葉に、琥珀は瞼に隠れよう。]
なぁに、
水面に一石投じるも好いでしょう。
時には変化も必要ではないかしら。
[言葉通りに石を拾うと傍の池へ落とす]
気に召されるな、白の君。
[生まれる波紋には目を向けずに白へと]
此方は其方の音を聞けて、
うれしやと思うているのだから。
さてな、
水面に浮かびしは言の葉一つ、
されどそれが何かまではわからじ。
いとしきものであったようにも、
かなしきものであったようにも思えるよ。
わかるのは、そう、
唯ただ、その一枚は、
懐かしい響きというだけ。
[朱に縁取られし紫黒の眼にはうれいのいろ、
されども面を上げればそれもいずこかへ消ゆ。
相手へと向ける眼差しは其方は如何かと問うやうに。]
誰そにか、成る程、確かに。
[何が可笑しいか、手の甲を口許に添え、くすり]
己がために吹くもわろしとは言わねども、
他がために吹くはよきものかも知れぬね。
[ぱちゃん――言葉通りに落とされた音に、琥珀を上げて。
幾重にも広がる波紋は、心に広がるさざなみのよう。]
変化…迷い惑うでなく…?
[こちらを見やる紫黒を琥珀が見返し。
揺れるよに潤むよに、言の葉が零れ落つる。]
うれしや、か。
我も…聞いてもらうは嬉しかろ。
聞いてもらってこそ…そうなのじゃろな。
[己に問うように、一度瞼を伏せて。
送られる視線へと琥珀の眼差しを返した。]
[聞かれたことは幾度とあれど、聞かせたことはあったろか。
指先強く衣を摘み、躊躇いがちに唇開く。]
他が為に…なればも一度聞いていただけようか。
ほんに僅かな時でよいゆえ。
[飴色取り出し押し当てて、そうと息を吹き込まん。
眠りを妨げぬように、*奏でるは柔らかな子守唄*]
[ぎゅう、と強く身をすくませた自分の指の痛みでゆるると瞳を開ける。
すでに髪はぼさぼさのまま乾いていて、自らがどれ程そこにいたのかもわからず。
ただ夢の名残に惑い、言葉を持たぬ赤子のように蜜色の瞳で辺りを見回した]
白の君。
変化と捉えるも、
迷い惑うと思うも、
それもまた己が心次第。
少なくとも、
此方は音色を聴いて、
快いと感じたよ。
――ああ、聴かせて頂くとしよう。
…。
[ゆるとはく息。
笛のおとがするりと耳に入ってくればまるで猫のように瞳を細めて]
……。
[猫が日向で尾をはたりと揺らすがごとく音に聞き入る]
[走っては回る]
[戻る]
[どこかへ行かねばならぬのに]
……どう、して
ゆくもかえるも、できへん……?
[笛の音は遠く]
[ぎゅっと握った手の内に]
[守り袋はただひとつ]
[力なきことはわかっているのか]
[風はそよそよ]
[白の香りを運ぶ]
[川はさらさら]
[落ちた花びらを乗せて流れる]
[川を越えることはできるかと]
[着物を手繰って、足をつける]
[膝のあたりまで水の中]
[歩を止めて]
……ゆけん
[進もうとしても、足に絡む水草に]
[深き緑のその奥で。
眠りに落ちる、小さき影。
朱と金の華を確りと抱き、眠る側には小さき獣が寄り添うか]
舞弥の……にいさま……。
[夢にて見るは、露草色の若人か。
紅緋は未だ、現を映さず]
[しかしやがて、泣き止んで]
[もう一度たちあがって]
[その川を離れる]
[ねえさまとは、会う事はなかっただろうか]
[だがそこが不自然に濡れ、その水が森へと向かう]
[その痕は残り]
[ぱたぱた]
[走るその足と]
[拭った目もとが]
[あかく、あかく、染まっている]
[森の中]
[人のなき方へと願ったのに]
[緑の奥には濃色が]
……ふうれんにいさま
[小さな声は、眠りの妨げにならぬようにと]
[しかし小さな獣は、耳をぴくり、震わせて]
[見てきた獣に、しぃと]
[人差し指を口に当て]
[そっとその場を後にしようと]
[そのとき、遠く、遠く鈴の音]
[響いて、慌てて身を引いて]
[がさり]
[草花が、少し怒りの声]
[―袖を引かれる感覚に、夢現から戻られば、夕餉の誘いか童が一人]
ん…もうこのような時間か―
[くああと大きく欠伸を一つ、それだけを縁側に残し座敷へと赴く]
[不意のざわめきは童を眠りの淵から呼び起こすか]
……舞弥……にいさま……?
[それでも、紅緋は露草色を追いかけて。
起きてもしばし、夢幻の狭間を彷徨いて。
やがて、遠くから響く鈴の音に、ゆる、とまばたき。
紅緋はようやく、現を映すか]
[音をたてた草花に、失敗を悟る]
[目を向けた先]
[小さな獣の傍で眠っていた小兄が]
[その名を呼ぶ]
[どこか、それはかなしくて]
[りぃん]
[鈴に、はっとして]
[どうしようかと、迷う間は]
[現に戻った小兄にとって、短かろうか、長かろうか。]
[響く鈴の音、それにゆる、と首を傾げつ]
……ねいろ?
[どこか、慌てたようにも見えるその姿に。
不思議そに、不思議そに、その名を呼ぶ。
その傍らで、小さき獣も首を傾げ]
[りぃん、りぃん]
[逃がさぬようにか鳴った鈴は]
[最後のひとつで音をとめ]
ふうれんにいさま
お眠り、邪魔してしもうた?
……ごめんなさいじゃぁ
[謝って]
[身を翻そうか]
[濡れた着物のその下の]
[あかい痕もみえたやもしれず]
[泣き出しそうな顔も見えたやもしれず]
[ふらりふらりと館の中を、何かを探しでもするように廻り廻って、やがて夕餉の匂いに惹かれるように、座敷へと廻り戻る]
おや、今日は、坊達はまだのようだねえ。
[すとんと腰を降ろすと、心得たとばかりに運ばれる酒と杯]
[鞠を抱えつ立ち上がり、紅緋をひとつ、まばたかせ]
ねいろ、どこ行くの?
濡れているなら、館に戻って、温かくしないといけないよ?
[風邪をひいてしまうから、と。
呼びかける、紅緋はあかの痕に気づくやいなや]
[自ら注いだ酒杯を嘗めながら、座敷の内に視線を巡らせ]
今日は、皆様、外へお出かけになったようで。
何ぞ、面白きものがありましたかい?
はい、左様にて。
[襖の奥の薄暗闇の中にて、ひそひそと。
真白き装束の麗人と藍墨茶の着物の女。]
以前に仰っていた通り、
今宵お下がりになると。
[何れも人の形を成せども人成らず、
あまきつねとも異形とも云ひしもの。]
次なる仲間の選別、
確かに任されませう。
[柔らかき声らは鈴の音に隠されて、
人の耳には届かぬ秘密の話を交えるよ。]
……大丈夫じゃけ。
大丈夫じゃ。
ふうえんにいさまも、風邪ひいてしまうよ
[一度、立ち止まって]
おら、は、いちゃならんのじゃ……
いっしょじゃなくのうてしまうもの
[雅詠に声をかけられると、いいえ、と目を細める]
ちょいと、屋敷の探索をしておりましてね。
いや、先夜の麗人の寝姿でも覗き見出来ないかと。
[悪戯めいて、くすくすと笑う]
[そろそろと幾分冷えた風が頬を撫ぜるのに気がついて浅い眠りから目を覚ます。
やっぱり髪はぼさっとしていたから、まるで野良猫のようにも見えた。
ぐずぐずになってしまった衣だけ適当に直せばぼさぼさの髪は揺れ動くに任せて笑いさざめく童子に導かれふらりふらりと座敷へと]
風漣は、大丈夫だよ。
[ぬれてないもの、と笑うも。
つがれた言葉に、紅緋はゆる、とまばたいて]
どうして?
[問いはごく、自然に投げられるか]
[妖女さま、妖女さま。
御子らが、御子らが、森へ向かうたよ。
もう夕餉だと云うに、腹を空かしてしまうかも。
話を終えたところに遣って来る童子らは、
きゃらきゃら笑ひつつ左様な事を噂して。]
おやまあ、それは困りもの。
なれば様子を見に往こうかな。
[そうかへりごとすれば紅露は変わらず笑みを湛へ、
あの子らが気になるかとおたずねになる。]
神巫さまの鈴の音に応えた子らですから。
はてさてそれ以外になにがありましょう。
[眼を細む月白の神巫は何を思ふかわからじ。
藍墨茶の女はではと言の葉残して闇に消ゆ。]
寝姿、ねぇ―
[朝餉の時に見た記憶がないと思えばそのような事を―]
―で?上手くいったのか?
[問う声色にいささか呆れが混じるのはむべなるかな]
濡れとらんでも、外で寝てしもうたら
[しかし問いに]
[口唇をつぐんで]
……おらがおると。
ちがうの、かくしごと、みてしまうんじゃ。
こわいこわい、かくしごとも、みてまうんじゃよ……
かくれておれば、なんもこわないし
おらだけが、べつで良いんじゃも……
見なければ、良いんじゃも……
〔小さくはあれども緑の深き森、
歩む女の片手に提げるは包み一つ。
鳥のさへずり、獣のなきごえ、虫の音に、
混ざり聞こへて来しは童二人の話す声。
さくさくりと土を踏みて歩みゆき、
其方へ細めし紫黒の眼差し投げようか。〕
[笛吹き終えれば、頬火照り。
気取られぬよに、逃げ失せて。
水車のその陰で、流れに浸して涼をとる。]
[ぐるりぐるりと重たげに、水の車は回りゆく。
琥珀の瞳はぼんやりと、それを見やりて何想う。]
残念ながら、気配も見えず。
やはり天狗の麗人は、雲の上ででもお休みでしょうかねえ。
[肩をすくめて、雅詠に応え、やってきた揺藍に、視線を向ける]
おや、ゆらの…お疲れ気味で?
[乱れ髪に目を止めて、首を傾げる]
万一紅露様の身に何かあったら―
[僅かに瞳が色を変じた事に気付く者はおらぬでも―微かに風が強さを増した事に外に居る者は気付くだろうか]
風漣は、外で寝るの、平気だよ?
[その言葉は、どこか軽口めいて]
かくしごと……。
[しかし、続きし言葉に。
紅緋はきょとり、とまばたいて]
みたくないものがみえるから、やなの?
風漣は、平気だよ?
[首を傾げつ。
何事もないかのように、そう、返し]
…おはよ…。
[はふ、と小さくあくびをかみ殺して烏と雅詠のちょうど中間ぐらい、三角になる位置にすとんと腰を下ろす。
もうひとつ欠伸をして]
…疲れてなどおらんよ。ただの寝疲れだ。
[まだ頭が眠っているのか、少し霞がかっている気もする蜜色を細い指先でこし、と擦る]
―そうか、残念だったな。
[笑みを浮かべつつ軽く返すと改めて先程の問いに答える]
いいや、特に何も。―強いて言えばここが閉ざされてる事を己の身で体験したくらいか。
平気だよ。
舞弥のにいさまと、ずうっと月を見ていたこともあるもの。
[くすくすと、楽しげに笑いつ]
うん。
だって、それだけなのだろ?
[至極、何でもない事のように]
そうですかい。しかし、なにやら怠そうだ。
疲れに良く効く散薬もありますから、良ければ差し上げますよ
[眠そうな揺藍の様子に笑みを深め、ゆるりと酒杯を空けてから、雅詠の言葉に、ほう、と目を見開く]
ここを出ようと、試してみたので?
〔ざざ、ざああああ――
微かに風が強さを増して森のざわめけば、
深紫が揺揺と靡きて藍墨茶が飄飄と翻る。
ゆうるり眼差しは一時他へと向けども、
ゆうらりまたも童らへと戻して歩を進む。〕
おつきさま。
[ぱちくりと目を閉じて開いて]
……それ、だけ。
…………こわかよ。
ひみつ、全部、ないんじゃ。
おら、こわくて。
こわくて……
[見てしまったものを思い出して]
[そのせいで体が、勝手におびえて]
[ふるふる、両手で体を抱いて]
[ぼうとした琥珀に光が戻りしは、遠く泣き声聞いた時。
首傾げやり目を細め、童が泣くを見やろうか。]
[されど声なく手も差し伸べず、陰に見守るそれだけで。
やがて泣き止み立ち去れば、小さく吐息が零れ落つ。]
やれ、誰そ言うてもわからぬよ。
…我とて未だ試みずにはおれぬのじゃ。
[冷えすぎ痺れる足引き上げて、館へ取って返りゆく。]
[雅詠にちらりと視線を向けて、挨拶に応じ]
…いや、薬などもったいないよ。
……どうせなら、百薬の長の相伴に預かりたい。
[すん、と小さく鼻を鳴らしたのはおそらく酒香に気づいたからで。
童子がよこした白磁の杯を手にしながら]
そう、お月様。
[こくり、頷いて。
音彩の言葉に、やや、首を傾げるか]
みたもの、がこわい?
みえたこと、がこわい?
みたじぶん、がこわい?
[不思議そうに問い。
横合いから投げられた声に、紅緋をそちらに向ける]
あやめのねえさま。
風漣は、散歩をしていたら、ねむってしまったの。
[屈託なく、言い。
内緒の話か、との言葉にはゆる、と首を傾げ]
そんなことは、ないよ?
ぜんぶ、じゃぁよ。
[少し俯いて]
[小兄の言葉にうなずいて]
みたものは、こわいものじゃ
こわなければ、ゆめはゆめじゃ
こわければ、ゆめがうつつじゃ
じゃけ、おらは……おらは、
[こわいんじゃと、小さく呟いて]
みんないっしょが良いんに、
おらは、おらは。こわいって思うんじゃ……
誰を見てしまうんかも、わからんのじゃぁ……
―一度で諦めたがな。
川を越えようとしてみたが―確かに向こうに跳んだのに下りたのは元の場所だ。おそらく全部が全部そうだろうよ。
[軽く肩を竦めてみせるか]
はは、成る程、百薬の長に勝る薬は有りもせず。
これは、しがなき薬売り、いよいよ用無しですかねえ。
[揺藍の言葉に笑いながら、もいちど酒杯を空けようか]
内緒ではないか、
なれば好かったけれども。
盗み聞きをしてしまっては宜しくないからね。
この森は穏やかなところではあるけれど、
冷えて体調を崩してしまってはいけないよ。
[それだけ言の葉紡げば音彩の声に口を噤もうか]
そして、雅詠の旦那でも、結局外へは出られなかったと?
それは不思議。まったく不思議ですねえ。
[不思議、不思議と繰り返すのは、他に含みのある様でもあり]
[夕餉の気配に顔出すも、漂う酒精にやや眉寄せて。
ちょうど揺藍と対角の、菱の形に座すだろか。]
さて、お早いの。
我も…夕餉をいただこうか。
[相伴、と口にしかけて言い直す。
既に心得たか、童子は清き水のみ運び来る。]
そのようなことはないよ。
酒は薬でもあり毒でもある。
やはり薬に勝る薬などないと我は思う。
[烏の注いでくれた酒を、唇を湿らすよにちみちみと飲みながら雅詠の話を聞いているだろうか]
…川を越えるつもりが同じ地とは…まぁ。
この場所が真実でなければ冗談にしか聞こえぬものよの。
ぜんぶ、かぁ。
[ゆる、と首を傾げ。紅緋を数度、まばたかす]
ねいろは、みえてしまう事がこわいのだね……。
[呟く刹那。紅緋は僅か、陰りを帯びて]
でも、誰を見るかわからぬのなら、誰もいなくても、見てしまうかもしれぬのではないの?
なら、一緒がよいよ。
[それでも、告げる時には、陰りは、失せて]
〔僅かに荒ぶる風は直ぐ様収まりて、
そよぐは童を慰むやうに穏やかに。
緩く首を傾いで仰ぐ先は変わらぬ空、
森はさやめきて噂話をするやうに。
されども、風は風、森は森しか過ぎず、
たとへ精が棲みても伝わらぬか。〕
[―下げた一瞬、瞳は真剣な光を宿し]
―さて、どう取れば良いのやら。異能の持ち手かはたまた唯のはったりか―
[油断は禁物―とりあえずはそれのみを結論に]
冷えてしまうの。
あやめねえさまも、ひえてしまうと違う?
[小さく尋ね]
[それから、小兄の言葉]
[小さくうなずいては陰りに気付けず]
離れておれば、
おらがおらんければ、
誰もちがうって、こわいってわからんも……
…………ふうれんにいさまのことを、
ゆめが見てしまうかもしれん…………
[それは本当にちいさくちいさく]
いえね、ほら、彼の天狗の麗人がおっしゃった。
皆、鈴の音に呼ばれて来たと。
そいつはきっと、人の世を逃れて天狗の里に行く、そんな心があった証拠。
したが俺には、迷い迷って、逃れて逃げる、そんな風情が旦那には、ちょいと似合わぬと思えたもので。
[だから、雅詠なら出られるかもと思ったのだと言外に]
[交わされる言の葉を、聞くともなしに聞きつ。
箸を口に運び、はくはくと咀嚼する。
御酒を勧められるを拒むのか、言の葉交わすを拒むのか。]
[それでも挨拶されれば、こくと頷き。
手を上げられれば、琥珀がひとつ瞬こう。]
でも、みんながこわいとは限らぬよ?
それに、ひとりは良くないよ。
館にいなければ、ご飯もいただけぬもの。
[だから、戻ろう? と。
ゆるり、首を傾げつ言い。
最後の呟きに、紅緋は不思議そうに、本当に不思議そうに。
また、まばたいて]
……風漣は、かまわぬよ?
おやまあ、好く似ているとな。
風の坊は森の中で暮らしていたのかい。
小さき相棒も居れば冷える心配はなきかな。
此方は大丈夫だよ、臙脂の子。
こう見えても鍛えているからね。
さても其方はこわがりなのだね、
そう思わぬも思わぬも己次第だけれども。
[ゆうるり首を傾いではたりはたりと瞬きを]
それより、坊ら。腹は空いておらんかな。
……そう、じゃけど。
…………もし、こわいひと、おったら、おらぁ
[しかし、小兄の言葉に]
[戸惑うように]
…………にいさま。
おらのこと、こわぁない?
―そいつぁちと褒めすぎだぜ。
俺だって―
[ふと沈痛な面持ちになり]
――すまねぇ、ちと呑み過ぎたみてぇだ。
[言って大きく酒を呷る―表情を隠すかの様に]
して我は迷うてばかりなるか。
…そなた、見てはおらぬじゃろうに。
[見られたならば、迷うも惑うも知られたろと。
瞼伏せるは、そは肯定ともあろうかな。]
うん。
風漣は、森にいたのだよ。
[舞弥のにいさまと一緒に、と。
そう、告げる刹那、紅緋はどこか嬉しげか]
……そう言えば、朝餉をいただいたあと、何も食べていないや。
[だから、お腹は空いてるよ、と。
あやめの問いに、笑いつ答え]
おや、そりゃいけない。呑み過ぎは身体に障る。
何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし。
ここの酒は二日と残りはしませんが、お気をつけなさいまし。
[沈痛な雅詠の面持ちは目に止めたか、けれど笑みはいつもと変わらず、ただ、声だけが、僅かに和らぐ]
大丈夫だよ、きっと。
こわいひとがいれば、こわくないひともいよう?
こわくないひとは、お守りしてくれるよ、きっと。
[にこ、と笑み。
惑うよi投げられた問いに、ゆる、とまばたいて]
……こわくないよ?
[それは、何事もないかのように]
おら、こわがり……け?
[ねえさまの言葉に、首を傾げて]
[されど次にすすめられれば*濡れた裾のままにあとをついていくだろうか*]
/中/
ものすごく天狗誤認上等な感じに突っ走っております。
でも寡黙気味な人の設定は、早めに引っ張り出して無理にでも喋らせたいんだよーん。
そのうち天狗さんも動き出すと信じてるっ!!
そうかい、森にね。
それは懐かしかろう。
空いているのなら戻ろうか、
けれどもここに握り飯があるから、
とりあえずは食べると好いさ。
[言いながら包みの中から取り出す白飯二つ]
臙脂の子、
此方にはそう見えるよ。
こわくないはずのものも、
こわく思うているようにね。
おや、ゆら殿?
[うとうとと傾いだ身体を支えて、童子に布団をと頼む]
本当に、身体は大丈夫でしょうかねえ、こんなに華奢だとどうも心配だ。
/*
雅「どうして始まるまで忘れてるのに毎回見んのかねぇ…探偵学園Q。お陰で湯浴みの時間が子の刻になったりするんじゃねぇか」
[22時〜23時放送番組を見る前に湯浴みする知恵が何故身につかないのかと背後に問いたい雅詠であった]
うん、きっと。
[にこ、と音彩に笑いかけ。
つがれた言葉には、紅緋は僅かに陰ろうか。
それも、刹那のことではあるが]
うん、懐かしくて、思わず眠ってしまったの。
[あやめにひとつ、頷いて。
取り出された白飯に、わあ、と邪気無き声あげる]
あやめのねえさま、ありがとう。
[本当に嬉しげに言いつ。受け取ったなら、音彩にひとつ渡して食べ始めるか]
[気配に聡い烏には、鈍いこちらは気付きゃせぬ。
大きく呷る雅詠には、琥珀を眇めるも箸は止めず。]
[揺藍の傾ぐを見れば、その手の杯に眼差しは留まろうか。]
我には毒のよな御酒なれど、皆が好むは現忘れらるるゆえか。
なれば我も……いただこうか。
…否、醜態さらして迷惑掛けるだけじゃ。
やめるがよかろ。
[琥珀にあるは苦き澱。]
臙脂の子と濃色の子とは、
仲の良き事よな。
[陰りには気づくか否かさても表情は変わらずに]
気にする事はないよ、
確りした食事は戻ってからにしよう。
そうそ、頬にも白飯食わさぬようにね。
[仲良き、との言葉に、紅緋は僅かに揺らごうか。
それもまた、刹那の事ではあるけれど]
うん、ちゃんと食べなくてはいけないね。
[にこ、と笑いつ。
頬に、との言葉、え、と声上げ手を当てようとするものの。
片手に鞠を持つ故、それは叶わずに]
それは残念。
[首を振るえいかに、笑みを見せ、夕餉の膳へと向かいなおす。なますを一口噛み締めて、思い出したように外を見る]
坊達とあやめ嬢は、お腹をすかせてやしませんかねえ。
[頬に触れる感触に、わ、と短く声を上げる。
紅緋が、翳って、また、笑んで。
はくり、と照れ隠しのように白を齧る。
食べ終えた所に投げられた問い、それに、寄り添うていた仔うさぎを見やり]
……共に来る?
お家に帰る?
[そう、と問えば白に包まれし獣は首を傾げ。
慕うように、童の足元に擦り寄るか]
……共に、くるみたい。
叱られぬよ……ね?
[連れて行っても、と。呟く声は、やや不安げか]
そうかい、
きっと大丈夫だろうさ。
ここが天狗の隠れ里と言うのなら、
どこに居ろうが同じだろう。
それでは往こうか、
皆は既に夕餉の刻だろう。
[最後の一口飲み込めば、箸をきちんと揃え置き。
清水で喉を潤して、まず口にしたは咎めるよな声音。]
我は嬢に非ず。…えいかでよい。
[何と言うても笑み返されると思うてか、やや不躾やも知れぬ。]
[されど居ぬ人たちを気遣う様子に、寄せられし眉は和らいで、]
皆が一緒であれば、いずれ戻るであろ。
何処へもゆけはせぬのじゃから。
…童が逸れておらぬかだけが、心かかるかの。
[ただ見送ったに罪感じたか、思案気に袖を顎に触れようか。]
[大丈夫だろう、との言葉に、ほっとしたよに笑みを浮かべ]
うん、戻ろう。
ほら、ねいろも一緒に。
[にこ、と笑つ手を引いて。
共に行くよと促しつ、あやめについて、館へと。
その足元には、小さき獣が付き従い。
緑の森抜け、白き花の野をこえて。
たどり着くは、水車の側、しず、とそこにたたずむ館]
おや、旦那もお休みか。
[くすと笑って、雅詠の落とした杯を拾い。さすがに運んで行けはせずに、童子達が薄布を掛けるに任せる]
嬢と呼ばれるは、お嫌で?
では、えいか殿と、お呼びしましょうかねえ。
[相手の口調には頓着せずに、そう返し、一緒であれば、との言葉に頷いて]
ええ、一緒であれば良いですが。
ねいろ坊は、殊に、ひとりでいてはいけなさそうだ。
[小さき獣を伴いて、座敷に入れば、既に幾人かは眠りの淵]
揺藍のにいさまや、雅詠のにいさまは、もうお休み?
[誰かに投げる問い、という訳ではないものの。
ふと、こんな呟きをもらして]
[握り飯をもらえば、嬉しそうに礼を言い]
[さきまで泣いていたその目元はまだ赤く]
[着物の裾も濡れたままで、]
[見える足もまだ赤い]
[されど表情は少し明るく]
ゆこうゆこう。
[引かれるままに、ついてゆく]
[そうして辿り着いた館]
[からんころん]
[水車が鳴った]
ただいまだよ、烏のにいさま。
[ほっとしたよに呼びかける様子に、にこ、と笑んで言葉を返す。
足元の獣は、どこか落ち着かぬよに、座敷の様子を伺うか]
[それから、たどりついた座敷]
[何人かは寝ていて]
えいかねえさま、からすにいさま。
[まさか泣いていたのを、見られたなどとは思わずに]
[引かれたままの手は、まだ離さずに]
[烏が杯を拾うを見れば、琥珀は雅詠へと注がれて。
童子らが薄布掛けたなら、ふいと興味を失おう。]
さてさて、そなたもこなたも杯を空け過ぎじゃ。
…残らぬからとて、薬過ぎれば毒にもなろうに。
[己が苦手とするゆえか、御酒への批評はきつめや否や。]
殿も要らぬ。…えいかでよいというに。
[頓着せぬに吐息零すも、更に重ねられれば直せとは言わぬ。]
おや、可愛らしいお仲間を連れて帰ったねえ。
坊達、お腹は空かないか?
[笑いながら子供を見やり、えいかの言葉には、肩を竦める]
こちらはどうも、呼び捨てるのには、慣れませんのでねえ。
[ご勘弁をと、また笑う]
[殊にひとりでいてはいけないと、さり気に告げし言の葉に、]
そなた、何を…
[知っているのかと問いかけて、戻ってきた姿に声は消え、]
…ああ、無事であったか。
ならばよい。
[心の靄を飲み込むように、清水で唇潤した。]
森で会ったのだよ。
一緒に寝ていたの。
[可愛らしい、との烏の言葉に、嬉しげにこう返し。
えいかとのやり取りに、紅緋をきょとり、とさせるものの]
うん、あやめのねえさまにおにぎりをいただいたけれど。
[朝餉のあと、何も食べていないから、と。
続いた問いには、屈託なく返して]
ねいろ、夕餉、いただこう?
[用意される膳を見つつ、促して]
[大兄とねえさまの言葉が、誰を言うているのかはわからずに]
[だけれどおなかの話には]
おらぁ、あやめねえさまにいただいたけん。
[清水を飲むねえさまの言葉]
[首を傾げて]
[小兄に促されて、手をそっと離して]
おらぁ、ちょっとで良いんじゃぁ。
いっぱい食べると、動くのが大変じゃもの。
[にこりと笑う]
お二人は御酒に溺れたようじゃ。
…ならば好きにするがよい。
[投げかけられる童の言葉に、ぽつり呟いて。
烏の笑みには押し切られたか、ふいと琥珀を彼方へ逸らした。]
そうかい、あやめ嬢に面倒見てもらったんだねえ。
そいつは良かった。
[子供達の言葉に頷いて、えいかには、笑みを向けたまま]
はいな、好きにさせて頂きますよ。
おさけ。
[言葉に思い出すは、飲んだ感触か]
[口に手をやって]
あんなのに溺れてしもうたら、大変じゃぁ。
大丈夫なん?
[口調は真剣に]
うん、食べ過ぎるのもよくないね。
[笑って音彩に返してから]
お酒に……?
それはいけないね、過ぎてはいけないものなのに。
[えいかの言葉に、眠る二人を交互に見る。
それからふと]
えいか……は。
気分がよろしくない、の?
[ねえさま、と言いかけるを飲み込みつつ、どこか案ずるように問いかけて]
食べ過ぎるんは、もったいなかよ。
[それから過ぎるという言葉]
[きょとんとしたまま]
すぎる?
溺れたって、からすにいさま…
[不思議そうに]
[小さき獣も童と同じ無垢なる瞳。琥珀は先に逸らされよう。]
そうか、あやめ殿に。
なれば足りぬ分だけ食べればよかろ。
[既に終えた膳を童子が下げるに任せ、
場を子供らに譲ろと立ち上がる。]
さてさて、我は飲まぬゆえわからぬが。
恐らく大丈夫じゃろうて。
大事あれば、よもやまた杯に手を出しておらぬじゃろ。
…そこな薬師もおられるしの。
[最後に烏に視線を投げて。
縁側へと出でて腰掛け、白き夜空を見上げやる。]
食べ過ぎるのもいけないね。
[音彩の言葉に、こくりと頷く。
考え込む様子には、僅かに笑んで、粥をいただこう、と声をかける。
えいかに目を逸らされた仔うさぎは、しばしきょとりとその背を見送るか]
薬師ではなく、薬売りですよ、えいか殿。
まあ、薬草の見分け程度は出来ますけどねえ。
[言いながら、あやめのそばに、杯と酒の器を運ぼうか]
[食べるも御酒も、過ぎては良くないと。
年端の割りに賢きこと言う童に、琥珀を細めて眺めやる。]
[されど案ずるような問いに、琥珀ははたと見開かれ、]
…我が。
否、大丈夫じゃ。
我は…御酒を飲んではおらぬでな。
[よもや言い負かされて拗ねたとは言えず、やや苦味含んだ笑みを風漣へ向けた。]
本当に?
[大丈夫、という言葉に、ゆる、と首を傾げつ]
なんだか、気分がよろしくないように見えたの。
でも、なんともないなら、良かった。
[向けられる笑みの苦味の意味には、ついぞ気づかぬまま。
邪気なき様子で、笑ってみせ]
やれ、薬売りであったか。すまぬの。
なれど酒に溺れしものを助く手はもっておろう。
[烏の言い直すに短く詫びるも、続く言葉は言い訳のよう。
吹く風に髪を押さえるも乱れるは、天邪鬼な心と同じ。]
詫びることでもありやしませんさ。
ええ、お説の通り、酔い醒ましに、二日酔い、お役に立てるものはいくつか。
腹の虫や、疳の虫に効く薬もありますよ?
[えいかには、どこか面白そうに、言葉を返す]
なるほど、此方が守されたか。
それも悪くはないかも知れぬね。
[落とされるのにつられて声は潜まる]
さてなはてな、どうだろうね。
此方としては濃色の子も気にかかりはするけれど、
此方の及ぶ場とも思えず、悩みどころ。
[首を傾げつ念押されても、素直に言うはずもなく。]
…大丈夫じゃと言うておろ。
なに、我が仏頂面はいつものことじゃ。
そなたが心曇らすことに非ず。
[邪気なき笑みに、ついと琥珀が逃げるは照れたや否や。]
そうですかい…天狗の里に隠される子供は、どうも、いかにも難しい。
[ふと白い霧を見遣った顔は、珍しく僅かに憂いを帯びて見えたか]
[烏とあやめが交わす言葉は聞こえぬものの、その様には、何か感じてか、ゆる、と首を傾げつ]
笑わぬと、こころがいたむといわれたの。
だから、心配なの。
[琥珀がそらされる意にはやはり気づかぬか。
紅緋はきょとり、としつつえいかを見つめ]
おや、そうですかい?
[あやめの言葉を聞けば、瞬時にいつもの笑みに戻って]
これでも、天狗に誘われるのは、二度目の常連なんですがねえ。
腹の虫や、疳の虫…
[縁側で足揺らすその背を、仔うさぎは見ていたろうか。
風が運ぶ酒精も手伝い、半ば伏せる睫毛がふるふると震え、]
…どちらも要らぬわ!
[どちらも要りそな声音で、ぷいと横向く。
追い討ち掛けるよなあやめの言の葉に、ますます頑なになろう。]
[えいかの声には、ますます笑みを深くして。あやめにはこともなげに、頷いてみせる]
そういうことになりますねえ。
以前に迷いこんだのは、丁度ねいろ坊くらいの頃ですが。
二度目、ねぇ--
[酔いに潰れたふりをして、掛布の中で聞耳を立てていたら--
微かに震えた肩に気付くはおるか*おらざるか--*]
[されど童の紡ぐ言の葉を、気って捨てるは心が咎め、]
…そうか。
そなた…風漣は良い言葉をもろうたのじゃな。
じゃがの、笑いたくない時に笑うもまた心が痛むのじゃ。
笑わぬと、こころがいたむでも、
こころがいたむに、笑わずとも良いと…我は思う。
[きょとり向けられる眼差しに、琥珀が揺れて返す。]
…なに、笑いたくば我も笑うゆえ、心配要らぬ。
[やや苦しげに聞こえるは、優しき言葉が性分に合わぬゆえか。]
母様のさいごのお言葉だから。大切にしているの。
[それはえいかに言うよりは、独り言のよに小さき言葉で]
笑いたくないときに……。
[それは、言葉にはできずとも、意は伝わってか。
こくり、ひとつ、頷いて]
それなら、良かった。
[笑いたくば、との言葉に向けるは、屈託なき笑み。
その傍らの小さき獣も、同じく無垢な瞳を向けて]
中/
我は未だ一日目というに設定地雷踏まれすぎて死にそうじゃが、
中は設定被りに瀕死のようじゃな。
されど反応せぬわけにいかぬわっ!
/*
雅「...おい背後。まーたろくでもねぇ事考えてんだろ(ジロリ)」
[あ、説明は要らね、大体分かってんからと溜息吐いて]
雅「ってか流石に無理ありすぎだろいくらなんでも...」
[俯く面を、風に乱れし髪が隠す。
やや癖のある髪は、風が過ぎても頬に張り付いたまま。]
[問答のあっけない幕切れに、零れた吐息は安堵か落胆か。]
〔すいと様々の色彩から逸らされし眼差しは、
未だに闇の訪れぬ白の天へと向けられて、
白き足は縁側にてぱたり所在無げに揺れる。〕
[縁側の様子に、ゆる、と首を傾げた後、軽めの夕餉を済ませ。
同じく食べ終え、眠たげな音彩が休めるように、と童子たちに頼めば。
自らは立ち上がり、庭へと降りて。
てん、と一つ鞠をつく]
[風漣の小さき言葉を、俯いたままに聞くも。
髪より乱れし心は、言の葉散るよに纏まらず。]
…母上殿の。そうか。
[極短く返し、髪に隠せし揺れ惑う琥珀を紅緋へと向けて。
されど屈託なき笑み向けられれば、ゆらゆらと移ろう。
小さき獣の瞳すら、琥珀は堪えること敵わずに。]
ひいや ふうや
みいや ようや
いつやの むさし
ななやの やくし
ここのや とおや
[唄とともに、つかれる鞠。
くるり、くるくる、朱と金の華が巡る。
最後に空へと投げた花の紋、それを確りと抱きとめて]
…………。
[小さく紡ぎしその言葉、それは*風にとけるよに*]
[リーン…]
[鈴の音が冴え冴えと。白い帳を震わせる]
[静かに開いた襖の向こう、玲瓏たる笑みを浮かべた天狗の神巫は、ゆるりあたりを見渡した]
[ねいろが布団へと運ばれゆくも見ることなく、
てん、と鞠の跳ねる音だけを聞く。]
[視界の端には、所在無げに揺れる白き足。]
[水飴取り出して、はくと咥える。
しばし言の葉交わさずとも、*誰も何も言わぬであろうと*]
〔隠されし星の代わりにか、
くうるり空へと舞うは花の紋。
映す紫黒は何を思ふか定かならず。
されども揺れず移ろわず、
唯ただ静かにそこにある。〕
[ふと、幾人かの者の上に、静かな視線は留まったろうか?]
では、どうか、お心安らかにあらせませ。
あとは、よしなに…
[それは、誰への言葉だったか。]
[振り向かぬあやめとは裏腹に、じっと神巫の姿を見つめ、その姿の消えると同時に目を伏せる]
ひとりはさみし…
ふたりはこいし…
ゆくかもどるか…
[その視線は、いつか空舞う花の紋へと移ろうか]
はてさて…真にくえぬは、いずれの御仁か…
[眠りを誘う鈴の音が、やがて今宵も響くだろう…白い闇夜に咲く花に、笑み浮かべたまま*杯を干した*]
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