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〔晴れし青空の下を歩む女は黒を纏ひて、
手にはのっぺらぼうの白き坊主がひとり。
濡れし土は野を進まむとすものを遮るやうに、
まとはりて足を絡め取るは誰そを引き留めしか。
露を含む白花はゆくなかへるなと希うやうに、
重き頭を垂れつつ滴落とすもまた涙と見ゆか。〕
[あてなく川辺をそぞろ歩き、やがて空腹覚えたか。
踵返して館へと。門をくぐれば昼餉の匂い。]
ああ、いただこう。
[昼餉を問う童子に頷き、座敷へと。
先に座したるおのこには、頭を僅か下げて膳につく。]
…やれ、みなは何処へ行ったやら。
[誰にともなく呟いて、箸を口に運び出す。]
〔小指へと紅を移して面なき坊主に与えしは、
円き眼と弧描く口、女にどこか似た笑みの貌。
次には巾着の内から取り出しは小さき瓶、
中身を法師の頭より振りかければ酒精漂う。
朱唇が緩く動きて零れし言の葉は感謝を紡ぐ。
坊は顔を貰ひ受け酒を飲めば機嫌も好かろうか。〕
〔辺りを取り囲みし川を流れるならば、
回り廻れどゆくもかへるも出来るまじ。
しかして姿は清流の内に消え失せて、
後に残されしはせせらぎばかりなり。
これもまた神隠しにでも遭うたがゆえか、
それとも天命を全うして彼岸へ向いしか。
何方にしても真を知る者は居らざりけり。〕
[戻りし琥珀に会釈を返し、常よりゆるりと箸を繰る]
さあて、何処におるやらおらぬやら―
[やはり誰ともなしに呟き返し、髪を払いて粥を啜る]
[粥を一口二口食うて、かりりと音立て漬物齧る。
呟き返れば琥珀を上げて、象牙の髪が払われるを見やり。]
何処へもゆくもかえるも出来ぬ。
なればいずれは戻ろうか。
…されどいつまでこの地にて、我を留めるつもりやら。
[吐息を零し、撫子色に清水寄せ、]
…そなたはどうじゃ、雅詠殿。
ゆくかかえるか、はたまた何かを望まれるや?
[こくり白き喉を清水が通りゆく。]
俺は―
[箸を下ろして思案顔、果たして己が望みしは―]
―俺は、ゆくもかえるもどうでもよい。ただ―ひとつ、確かめたい事がある。
[ゆくもかえるもどちらでも、二度と会えはしないだろう、ならばここにいるうちに―]
―烏の兄さんにな。
[思案する様子を見つつ、三日月に欠けた漬物口に放る。
返る言の葉噛み砕くよに、かりりと音を立てようか。]
確かめる…烏殿に?
[その名を聞けば、琥珀は驚いたよに見開かれ、]
――何を、
…否、よい。
我が…聞くべきではなかろうて……すまぬ。
[問い詰めかけるを飲み込んで、琥珀逸らして小さな謝罪。]
[唇濡らして湯飲み置き、躊躇いがちに眼差し向けて、]
…そなたこそ、謝らずともよいのじゃ。
我が先に問うたのじゃから。
[ふるり頭を横に振る。]
そのようなこと申されるな。
そなたが気にかけるであらば、つまらなくなど――
[眼に浮かぶ光を見れば、言の葉途切れ口噤む。]
[席を立つその背を見送って、何言うでなく湯飲みを傾ける。
やがて膳を下げられれば、立ち上がりて縁側へ。]
…そなたもこなたも、迷い惑っておるのじゃろか。
なあ天狗よ、何を考え我らを呼んだ…?
[梁に背預け座り込み、*青空見上げ呟いた*]
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