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[小さな声で囁き、身を離す。]
私は、あなたが望むものを手に入れるのに、協力しましょう。
[陽光の落ちた場は、闇の気配が漂う。
三対の片が崩れたのだ。
間の影は――傾くだろう。]
[浮かべた微笑みは、気づかれぬように中庭の方へ向く。]
あちらに。
皆がそろっているようです。
行きますか?
[問いかけ、すべてはその意の儘に**]
─西殿・結界前─
[走っていった先には既に数人集まっており。
問われるまま、自身の知る事を告げた。
話すだけ話した後は、結界に両手を当てて、周囲の風を呼び集め]
…………。
ん。
中に、気配、感じる。
でも。
[未だに、感じている違和感の存在に変化はない。
つまり、状況は大きく変わってはいない、という事で]
……虚竜王も、引っ張るなら肝心の引っ張れよなあ。
[不機嫌に無茶な注文してます]
[というか、仮に虚竜王が「揺らされたもの」に不機嫌をぶつけたらどうなるのかとか、そこまで考えてるかはさておいて。
集めた風をそのまま探知のそれへと転じ、周囲を伺っていると、時空の話題]
え?
時空の姉さんなら、さっき裏庭にいたけど……。
[いつの間にか来ていたクレメンスにも頷いて肯定。
その後の、彼とザムエルのやり取りに、青が少しだけ険しかったのは、先の上空でのやり取りがあったが故か。
とりあえず、もう一度結界の中の気配を追ってみようか、と思ったものの]
て、ちょ!
大丈夫かよっ!? ふらふらじゃんかっ!
[それより先に、ふらつくエルザが目に入り意識は一時、そちらへと]
― 裏庭 ―
……そのようなことは、ないでしょう。
それに、皆様のうちの誰であれ、
苦しまないものがいないということもありません。
[ 重い溜息と共に言葉を吐き出す。触れる手よりは闇の気配。少しずつ、沁みゆくようだ。]
……個々の属ゆえに。
[肩を、というブリジットの言葉に、頷く。
身長差が微妙すぎる、という突っ込みは是非ともしないでもらいたい所ではあるが。
その辺りは、気流を操る事で補えるのでどうにか支えの役目は果たせるだろう]
……んー。
[エルザを部屋まで送り届けた後、しばし、廊下で考える素振り。
それから再び結界の前へ]
[結界の前には、まだ誰かいたろうか。
それを気にする事なく、再びそこに手を触れ、意識を集中させる]
……ん。
気配、増えてる。
やっぱ、時空の姉さんも、こん中……か。
[ぽつり、呟いた後。
少しだけふらつくよな心地を覚えて、その場に膝をついた]
……つーか、コレ、疲れるっ……。
なんか色々、遮られまくるしっ……。
[零れ落ちるのは、こんな呟き。
元々の結界の作用なのか、それとは事なる干渉なのかは定かではないものの。
感じ取れるのは、意図せずにこの内へ飛び込んだ者の気配のみ、らしい。
竜王たちの気配や動向が読み取れないのは、竜王たち自身の意図なのかも知れないが]
[ 影はいつ何時も、中立たればならぬ。
されどそれは、二者が存在してこそ叶うものだ。
王の不在により力が弱まり、更に幼きとは言え血を連ねるものを失えば、傾きは大きくなる。]
均衡……を?
[ なれば、光を。
しかし次いだ月闇の竜の科白により、その言葉は紡がれず、「望み」と小さな一言が零れた。
思い起こすは、先の精神の竜との対話であろう。
あの時は、影たることを望んだが――
震える唇は微か空気を掻くのみで、音には成らず。]
[膝を突いて呼吸を整えていると、ピアがてちてち、と頭を叩いてきた。
ちゃんと休まなきゃダメ、との主張に、はいはい、と頷いて。
どうにか立ち上がったなら、どこかふらつくよな足取りで、*東殿の部屋へと向かう*]
[ 影は静かに其処に在り、全てを知らねばならぬ。
しかし後の問いには頷くことなく、東殿の一室を借りて休むこととなった。
窓から射し込む天の光は翳り、人工の明かりは心許なく、生み出される影は淡い。
白き寝台の上に、ノーラはそのまま横たわった。
目蓋を下ろせば一時の闇が広がり、微かな安らぎを感じながら、意識は深くに*落ちていく*]
[くらり。
突然足元が僅かに揺れた感覚がして、立ち止まる。
嫌な予感に突き動かされ、西殿の結界の方まで走って行った。]
…今、何か変な感じが。
一体何が?
[そこに沢山の竜達の姿を認めれば早口で聞く。
そしてミハエルの取り込みと、ユーディットの消失を聞けば、さっと顔が青くなった。
それから周りを見に場を離れた為、ザムエルとクレメンスの小声の話しやエルザの不調等にも気がつく事はなく。
場に戻った時には既に人の姿はなかった為、自身も東殿の宛がわれた客室へと戻ることにした。]
[紅い髪が揺れるのは、東殿の屋根の上。
月灯りの下、足元には混沌の欠片だった筈の物の断片が、パリパリと小さく帯電した鎖を纏ったまま痙攣する。]
…ふぅ。
[原因は虚竜王の不機嫌が一端を担うと言う。
彼女としては、非常に納得の出来る理由だった。―何故なら、今現在彼女自身が曖昧な現状に酷く苛々しているから。少なくとも、無駄に混沌の欠片を具現化させて発散させる程には。
勿論世の中には善悪で語り切れない物が沢山あるという事も歳を経て知ってはいたけれど、「知っている」のと「感じる」のは別の事だ。
色々と靄々したものを抱えたまま、気がつくと薄ぼんやりした朝になる。
どうにも落ち着かないまま、うろうろと東殿の周りをクマのように歩き回っている。]
[揺れているのか。]
[影を見て、それでも安心させるよう微笑み。
それ以上、問いを重ねることもないけれど。]
部屋まで、お送りします。
[そっと手を出して、部屋に送り届ける。
部屋の中に影輝の竜が入り、そこを退いた。]
おやすみなさい、ノーラ殿。
良い、夢を。
[声をかけ、扉は閉まる。
平等に、闇の時間が訪れるのだ。]
[途中、食堂による。
中にある食料は、かなりの量。
どれほどがあったか、はっきりと覚えているものは居ないのではなかろうか。]
[軽食をとると、部屋に戻る。]
[闇は安らぎ。
そして、月闇がもっとも好むもの。]
[空の星はないけれど、窓の向こうは、オトにとって優しい。]
[やがて、訪れる朝。]
[陽は隠れ、風は湿る。
土のにおいが強い。]
[ぽつりと、外の竜に、ひとしずく。
弱い雨があたり始めた*]
[ぽつり。
肩に音を感じてそちらを見る。
なにやらピリピリと研がれたように感じる自身の力は、満ちる湿気のせい。
ぽたり、ぽとりと音を立て、空から雫が落ちてきた。]
…あぁ、陽光殿が――
[隠れたから、雨が降ったのか、と。
目を細めて天を仰ぎ見ると、眼鏡にも、ぽつり。
足を東殿へと向け、小走りに戻った。]
―東殿・自室―
[浅い眠り、それを破ったのは大気の感触の微かな変化。
薄らと目を開き、しばし音ならぬ響きに耳を傾ける]
……あめ。
きらいだ。
[小さく呟いた後、ベッドの上でごろごろ]
なー、ピア。
オレ、どーすればいいんだろな。
……爺ちゃんは好きだし、こんなどたばた起こしたヤツは、どつき倒さなきゃ気がすまねぇけど。
でも。
[『力ある剣』、それを巡る状況は]
……なんか、ムカつくんだよな……。
王には、王の考え、あるんだろーけど。
[気にいらねぇ、と。声にするのは自重した。一応]
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