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―夢の中―
[今よりもまだ小さい自分がそこにいる。
エーファと同じ服を着てリボンが左右別の色のものをつけられてるのは両親が見分けをつけるため]
ねぇ、どうして私の名前は男の子みたいなの?
[自分に問いに両親はとても難しそうな顔をしていた。
父親から、祖父が孫息子がほしくて、その為にどっちかにつけることになったと伝えられる]
なんで、私だったの…?
[それは自分が姉だからだと、それまで姉とされてることに特別な意味を感じるようになったのはその頃あたりからだったかもしれない。
そのことが嫌になり始めるのにも、そう時間もかからずのこと]
― 二階・自室 ―
[早朝、早すぎる時間帯に一度起きて軽く室内や浴室を掃除したりと、雑事をしたが、誰ともすれ違う事はなかった。
外には出なかった為に、外で何があったか―それとも、まだ何も起こっていなかったのか、結局はわからない―を知る事なく。
エーリッヒが起きてくる前に、一度部屋に戻り二度寝していた。
その為、次に目が覚めるのはだいぶ時間が経ってからとなる。]
―自衛団詰所―
[自衛団員を制止するヴィリーの言葉と掴む手>>221に
団員はかすかに身動ぎ渋々ながら女の手を離した。
団員は、離せ、と言いたげにヴィリーの腕を払おうとした]
お世話をお掛けしました。
ありがとうございます、……ヴィリーさん、でしたっけ。
[他の人が呼んでいた名を紡いで女はヴィリーに礼を言った]
―二階・個室―
[ぎこちない空気を引きずったまま、一人で個室に戻った]
……はあ。
[溜息が何度も零れ]
やだ、な。
[ころり]
[ベッドの上に蹲り、寝転ぶ]
[姉の身に起こったことなど知らぬまま、そのままいつしか目を閉じて]
[エーリッヒの様子とその横で言葉はなくとも首を左右に振るクレメンス>>222をみて静かに頷いて返した。
口にするのを憚られる。そして今までのことを考え直すと可能性はそう多くない。
軽く手を上げて、返事はいらないということを示した]
― 二階・自室→広間 ―
ふぁ………、ん…。
あれ、けっこう寝てた?
[周囲の明るさに瞬いて、シャツの上から上掛けを羽織ると部屋を出た。
階段を降りる前に一旦足を止め奥を見たが、出てくる気配がなければすぐ下へと降り、広間の様子に群青は瞬いた。]
どした?
[とは、すぐ前にいたゼルギウスへと尋ねる。
尋ねた後、視線は一番消耗しているように見えたのはエーリッヒへと向いた。]
―宿屋外 西壁―
……っは、きちぃわ、これ。
[怪我の傷等なら見たことが無いわけではなかったけど。
こんなに酷い傷は見たことが無かった。
あまりに酷すぎて瞼に焼き付きそうになる]
…誰がやったって、こんなのやるのは人じゃねぇわな。
[そう、オレはそれを確かめに来たんだ。
傷を見て誰の仕業かは直ぐに分かった]
……はぁー、居るんだなぁ。
爺の言った通りだったか。
[呟くも、オレはまだ顔を上げられずに居た]
― 自衛団詰所 ―
[骨まで人間を食べるような野獣が、この村に存在する筈もない。居るとすれば、それは伝承の示す闇の獣に違いなく…自衛団員にも、その意は正しく伝わったようだった]
―広間―
[クレムとゼルギウスが無言で会話をしている。>>229
今はクレムはエーリから離れるわけにもいかないだろう。
吐息を一つ挟んでゼルギウスの方に近寄った]
想像、出来たと思いますけど。
犠牲者が出ました。
[できるだけ潜めた声で、事務的に言った]
―自衛団詰所―
[ヴィリーの言葉>>230を切欠に
自衛団員たちが慌ただしく岬にある元宿屋へと向かおうとした。
無論、お前らもだ、なんて言われて睨まれてしまうのだけど女は軽く肩を竦めヴィリーへと視線を向ける]
では、戻りましょうか。
[足先が冷えてきて微かに痛みを感じはじめていたのもあり此処に長居する心算はないようで]
……あ、先ほどの事は二人だけの秘密にして頂けぬでしょうか。
義兄やおとうとに心配を掛けたくありませんので……。
[ヴィリーが居たからおおごとにはならなかったが
大丈夫といった手前、些細であっても何かあったとはライヒアルトには知らせたくはないらしい]
お願いします。
[ぺこりと頭を下げれば長い金糸がふわりと揺れた]
―二階・個室―
[意識が戻ってきた頃には、隣に慣れた気配があった]
……ん……、
[頬を突き、身体の上を動いていく指]
[くすぐったそうに身じろぎをして]
なに、……
[見られた、という声]
[何がと問うつもりで、声にはなっていなかったかも知れない]
[そのまま二度寝に入った姉とは対照的に、ゆっくりと覚醒していき]
[――直後]
[そして改めてエーリッヒ>>226の様子を見る。
彼の感情が抑制が効かないほどにまで爆発すると、発作おきかねない。そうすると非常に危険だというのは重々承知していた。
薬ももちろん有用であるが、心のケアはきっと、クレメンスのほうが上手にできる。と静かに判じ、お任せしますというように軽くクレメンス>>232へ会釈をしたところで]
あー、よぉ、アーベル。
まあなんていうか…
[後ろから出てきたアーベル>>231へと言葉を紡ごうとしたところで、ライヒアルト>>235確証的な発言を得る。やっぱりというのと、一瞬震える。だがそれは恐怖というよりも、気味の悪さというのが優っているのに気づかれるかは知らないが]
嫌なことだけ当たるもんだな。
…団長かな?
[だそうだ。というようにアーベルには示しながら、声を潜めつつライヒアルトに聞いた]
――……っう、あ、
[どくり]
[赤が瞠られた]
[心臓が高鳴り、強く締め付けられるような感覚に囚われる]
……は、……ふ、
[涙をぼろぼろと零しながら、胸元を押さえ]
[呼吸の仕方を忘れたかのように、喘いだ]
[数分もすれば、責めるような痛みは引いていった]
[息を吸い、吐いて]
[呼吸が落ち着いてから、視線を動かす]
……あ、
ルカ、ねぇ……?
[エーファに縋るようにして眠る、姉の顔があった]
[それとも今ので起こしてしまっただろうか]
[しばらくそれを眺めた後で]
[自分がいつもされているようにして、頭を撫でた]
―二階・双子部屋―
んぅ……
[不意に息苦しさを感じる。夢でなのか現実でなのか意識は境にありよくはわからない。
自分のものであって、自分でないような感覚]
あぁ……
[それが収まるのはちょうど自分の半身たる妹と同じ頃に。
意識はまだはっきりとはしないけれども名前を呼ばれた気がする。
自分と同じであって、自分ではない声。
頭に感じる感触、うっすらと目を開けて]
あ…、エーファ…おはよう……。
[目に入った姿にそのままの格好で朝の挨拶をした]
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