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─ →玄関傍廊下─
[階下に降りると、玄関の方が騒がしい]
…なに?
[不思議に思い、玄関へと向かうと、自衛団員と言い合うエーリッヒの姿]
ちょっと、何してるの───。
[駆け寄ろうとしたが、ダーヴィッドが駆けて行く方が早かった。それに続くように傍へと寄る]
―広間―
そう言えば、そうか。
……とんでもない事に巻き込まれたもんだな。あんたも、俺も。
[説教の時よりも、若干口調は荒い。
暖炉の火が十分大きくなったことを確認し、ようやくフォルカーの方にしっかりと向き直った]
もう一人のグラーツ……商人のにーさんだろうな。
自衛団相手に何かやってるんだろ。
[少し気になるのは事実だった。
少年が向くのと同じ方向へ、自身も目線をそらす。しかし立ち上がる事はない]
―台所―
[少年――ウェンデルの名乗る声は女の耳にも届いていた]
あ…ッと、転ぶなよー?
[駆け出して行くウェンデルに声は届いたか。
小さく息を吐いた。
箒はフォルカーが取りに行ったようなので、再び屈んで大きな破片だけ拾い集め、纏めて捨てておく]
さァね。
[その最中に姿を見せたオトフリートには、軽く肩を竦めてみせるだけ。
それでも昔馴染みの目には、常よりもやや上機嫌に映ったかも知れない]
…何の騒ぎだ?
[そんな様子も、外の騒ぎが届けば鳴りを潜めることに*なるのだが*]
[後ろから突然羽交い絞めにされて、掴んでいた団員を手放す。
掴まれていた団員は、その場に倒れこむようにして咳き込む。
殺す気かよと言われて、固まる]
いや、わりぃ……、ちょっと熱くなりすぎた。
[もう一人に大丈夫かと助け起こされる団員。
ナイフを懐にしまうと]
ダーヴィー、その1ってなんだよ…。
[呟くような声、それはもう平時と同じような調子だっただろう]
迷惑かけた、もうしないから離してくれ。
あんたも悪かったな、手紙は頼む。
[まだちょっと咳き込んでいる団員は、恨めしそうな視線をこちらに送っていたが、
向こうも非があることは自覚してたいのだろう。黙って頷いた。]
よぉ、イレーネ。
[いまだダーヴィッドに羽交い絞めにされたまま、
傍によってきたイレーネに右手をよぉとあげた]
こいつが奴隷商とか言うから、俺が切れた。
[色々と端折った説明だが、なんとなくのことは相手に伝わるだろう。
自分を快く思っていないイレーネには、印象を悪くさせたかもしれないが]
ああ、遅れたけど、
イレーネ、ダーヴィー、おはよう。
[今はもう落ち着いた様子を見せていた。]
えぇ、本当に。
……グラーツさんは、この村で冬を過ごされる…のは、初めて、ですよね。
ふだんは、静かで……雪景色のきれいな場所、なんですけど。
[修道士の口調の異なりに、少年が目を見張ったのも束の間。
巻き込まれた、との言には表情を曇らせた]
もう一人の……
[呼び方が少しおかしくて、笑いの呼気が混ざり、すみません、と謝罪を口にする]
呼ばれるほうも、混乱するでしょう、か……
修道士さまの、ほうが………それか、
ぇえと、ライヒアルトさん、と及びしても……?
[こちらに来たイレーネに気づくと、手はふさがっているので上げられずに「やぁ嬢おはよう」と声だけかけた。
エーリッヒの謝罪が聞こえ、おちついた様子が見えれば手は離した。]
え?いやいや何でも。同じ名前が二人だから番号振ってるって事はないよ?
…まぁイラついてるのはわかるが、そういうのをいきなり持ち出すのは勘弁してくれよなー…。
傷でもついて、血が出たら大変じゃないか。
主に俺が。
[何か言いながら、はぁと大きくため息はついた。ほっとしてだ。]
[会話をしているうちに、騒ぎも収まったらしい。
気になりはしたが、台所の事を思い出して、ライヒアルトに断りを入れると踵を返した。
ダーヴィッドに言われた通り、勝手口の傍から掃除用具を見つけ出して、小さな破片を掃き集める。
一連の作業が終わると、ようやく水で喉を潤して、大きく息を吐きだすの*だった*]
─玄関─
……おはよう、じゃないよ。
[暢気に挨拶をするよに見えるエーリッヒに、睨みが向いた]
アンタはそう呼ばれるのが嫌だろうから、仕方ないのかも知れないけど。
彼らに手を上げるようなら、許さないよ。
[相手が自分より大きい大人であっても、臆することなく言い放った]
[手を離されると、後ろを向いて、視線はダーヴィッドの方へ]
俺とライヒで一号二号かよ。
漫才コンビじゃねぇんだから…。
[思わず口を滑らすダーヴィーの様子に、完全に怒りは収まって、
続けて聞こえた言葉に今度は逆にあきれた様に]
おまえなぁ…、理由がそれかよ。
広間いってなんか飲み物、後食べ物も欲しいな。
[そう言って、立ち去ろうとした時には笑みがこぼれていたかもしれない。
ダーヴィッドの横を通り過ぎる時に、ぽんと背中を軽く叩き]
ありがとな、色々と。
[別に向こうは意識してやったことじゃないのだろうけど、
今はダーヴィッドに感謝の言葉を小さく呟いた]
[イレーネの睨みには臆することなく。
立ち去ろうとしてかかった言葉に立ち止まり]
そんなこと、よほどのことがなければしないよ。
[ついさっき掴みかかったばかりだけど。]
気をつけるさ、いきなり後ろから刺されたたまったもんじゃない。
人狼だの殺人犯だの以前の問題になるしな。
譲もまぁそんな怖い顔しない。
俺のおかげで何事もなかったんだから。
[自分で言うなよと団員から突っ込みが入ったが、そこは同僚にいい顔して返した。
エーリッヒの呆れた声にはあっはっはと明後日の方を向いて。]
まぁその、外から来た人は苗字で呼ぶから、一緒に来るとごっちゃになるのがね。うん。
大丈夫だ、ちゃんと呼ぶときは同じように呼ぶからな!
[理由については、苦手なものは苦手なんだよとちょっと情けない顔で文句言ってから。]
あー誰か居たみたいだから、暖まってるだろうしそうした方がいいかもなぁ。…そういや食事は誰が作るんだろ。
[呟いたら、エーリッヒに背中を叩かれ礼を言われた。
当然よく分かっていなかったが、おうと笑顔で返事した。]
二人いるときに、どう対処するのか見ものだけどな。
[ダーヴィッドに返したのはそんな言葉。
おうと返された笑顔に返したのは笑み]
食事は、何も言わなかったらオトフとか作ってそうだけどな。
別に自分で作っても構わないしな。
ああ、ダーヴィッドは無理して作らなくていいぞ。
包丁で指切って倒れそうだからな。
[そして、さっきまで感謝の言葉を述べていた相手に、結構失礼な事を言った。]
まぁいい、腹減った。
あんたらも少し言葉に気をつけて欲しい、こっちも気をつける。
[最後にもう落ち着いたらしい団員に、そう声をかけて広間に向かった]
……信用ならない言葉だね。
[余程のこと、がどんなことを示すかまでは分からないが、印象は良くないためにエーリッヒにはそう返した]
もしアンタが後ろから刺されるようなことがあったら。
それはアンタの不徳とするところだ。
人のことは言えないけど、疑われてる身なんだから、自分の行動には気を付けた方が良いよ。
[縹色が冷えた雰囲気を湛えてエーリッヒを見つめる。ふ、とダーヴィッドに視線をずらすと]
…ダーヴさんはいつも気楽だよね。
[ふぅ、と溜息をついて視線を逸らしたとか]
まぁ、容疑者候補の中で、俺のこと悪く思ってるのは、イレーネくらいなものだけどな。
[そう言いながら足は広間に向かい]
はいはい、気をつけますよ。
[聞こえたイレーネの声に、後ろ手に手を振って]
心配してくれてありがとうな。
[そう言い残して広間に*入っていった*]
二人居たら堂々とグラーツって呼ぶぞ、どっちも。
[紛らわしい事請け合いである。]
あーオトフリートさん料理出きるのか、流石一人と猫暮らし。
そういやローザも居たし何とかなるのか……って、何で知ってるんだ?
[どうやらエーリッヒが言った通りの事が行われた事があるらしい。先に広間に戻るエーリッヒの背を見送り団員の方へと視線を向ける。向こうも大丈夫そうなのを見てから、最後にイレーネに。]
気楽、って程でもないんだけどなぁ。
とはいえ何をいっても始まらなんわけだし。
とりあえず中に戻って食事でも取ろう。腹が減ってたら、気も落ち着かないっていうからなっ。
[思春期に当たる少女の思惑なんぞ知らない気づかないばっかりで。ぽんとイレーネの頭を叩いてから、広間へ移動しようと*足を向けた。*]
一度受けた印象はそんなに覆らないよ。
[エーリッヒの背に言い放つのは、そんな言葉]
アンタの心配をしたわけじゃない。
他の人がアンタの不徳で手を汚すのが嫌なんだ。
[感謝の言葉にも棘のある言葉が返った]
……ダーヴさんが料理したら惨状になるだけだよね。
[そこだけは同意するらしい]
ん、ご飯は食べる。
お腹空いて降りて来たんだ。
[ダーヴィッドの言葉には素直に頷き。頭を叩かれると擽ったそうにして笑った。移動するダーヴィッドについて行くよに広間へと向かう]
―回想―
いや、飲んでないから悪いんだろう
[頭を庇うようにする仕種に垂れながらも苦笑して]
ああ、そうしとけ。オト兄さんは見習っちゃいけない。あれは悪い子のすることで、いつまでもお婿さんになれなくなるぞ
[兄貴分を悪い子よばわりかよとか。婿になれないとかなんか間違ったこといいながら、フォルカーを見送り、しばらくしたらだらーっと自分の部屋へと入った]
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