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[遅れて入って来た客人への説明は他の召使いに任せ、
執事は再び、他の客人へと向き直る]
……お疑いになる方がいらっしゃるようであれば、
実際に、主の様子を拝見して頂こうかと考えております。
[そこまで言い終えたところで、先程出て行った侍女が戻って来、
一冊の書籍を執事へと手渡した。
その本を、客人達に見せるようにしながら、言葉を続ける]
そして、こちらがオルゴールの伝承が記載された書物です。
また、主の私室には自身の記された日記も御座います――
本来ならばお見せする訳には参りませんが、緊急事態ですが故に。
処罰は、私が受けましょう。
[話しながらも、緑の瞳は油断なく周囲を窺う]
[エーリッヒの言葉に溜息と共に頷くも、最後の言葉の変化に気付いて]
エーリッヒさんは…何か心当たりでもおありなのですかな?
[それはただの疑問で、答が返るとは期待などせずに]
え、
[隣の青年の上げた声にはっとしたような顔になる。紅が蒼に戻ったのはそのせいなのかは分からないが。]
・・・?
[そちらを見るも、何でもないと言われ、首を傾ける。自身では気付いていなかったようだ。]
魂を……戻す、術。
[ザムエルの呟きに。
わずか、逡巡らしき素振りが過ぎるだろうか]
…………なくは……ない、けれど。
そのためには、オルゴールを取り戻さなければ、ならない。
……御大の魂の力……魂力が、尽きてしまう前に……。
[そうすれば、と。
後の言葉は小さくかすれて途切れ]
……心当たりがあれば、とっくに当たっていますよ。
それを用いる事の意味を理解してるのか、理解しているなら何故、と。
持ち出したヤツの考えが、全くわからない。
……苛立つな、というのは無理な相談でしょう?
[それから、途切れた言葉に代わるように、新たな問いへの答えを返す]
[執事の言葉に緩く頭を振って]
お二人の話と、昨日からの騒ぎを見れば、疑う余地などないでしょうな。
あの伝承が真であったと言うこと、それを行う者がいたこと…俄かに信じがたくとも信じるしかありますまいて。
[示された書物とそれに続く言葉には暫しの沈黙を]
それは…必要となったときに見せてもらうかも知れぬの。
[今はしかしその気にはなれずに]
[オトフリート、ザムエル、エーリッヒの話には耳を傾けつつ、口を挟む気はない。
オルゴールの伝承などそもそも...は知らないのだから、任せておいたほうが良いと判断したからだし、今は。現状を受け入れていくだけ。
そして、自分の声に気づいたイレーネがはっとした表情でこちらを見る
そこにあるのはやはりいつもの蒼色の瞳で、無言で首をかしげている
そのいつも通りのイレーネにどこか安心感を抱きながら]
あー……すまんな。きっと見間違いだ
[と、安堵感からか珍しく静かに微笑んだ]
―回想:庭園―
仕方ないじゃない。
薔薇が表情を変えてゆくのが、とても綺麗だったのだもの。
[エーリッヒの言葉に笑ってそういう。
無理なんていわれたから、少しすねたように。]
あなたには言われたくないわね?
大丈夫ですよ、体にはちゃんと気をつけてますから。
[しかし歩く時の様子を見て、やっぱり大丈夫かしらと思う。]
―→ホール―
今晩和、今日は皆いらっしゃるのね
[微笑んで食事が運ばれ、やがてオトフリートの話が始まった。]
オルゴォルが、誰かの手によって…?
それじゃあ、ギュンターさんは…
ご病気じゃなくて?
[驚いて、回りの人たちを見比べて。]
[栗色の髪の召使いに掛けられる声に、鷹揚に頷く]
ィィエ…遅れてしまった私がいけないんでしょうしィ。
時間を聞いた覚えはなかったのですけれどォ、仕方ありませんわァ。
[ふかぶかと頭を下げる少女を一瞥し、そのまま通り過ぎる。
席へと着けば、葡萄酒のグラスに同色の唇を寄せ、酒精に酔った風に装いながら、*感情の饗宴に酔うのだろう*]
[オルゴールを取り戻さなければ、と言う言葉には、あぁ、と頷き]
それは確かにそうですな…オルゴールに囚われし物なれば、まずはそれを見つけなければ。
[主の力が、と続けば、事態は切迫した物と今更に思い。
それに続く言葉に篭る感情に気付けば、頭を下げるように]
いや、申し訳ない。
お詳しいようなので、つい頼りすぎてしまったようですな。
持ち出したものの考え…人の魂を奪ってでも、と言うのは……
[それだけ言うと言葉が続かずに、周りの反応を伺うように見回して]
[何処か硬い面持ちで、3人の話を見守る。]
見間違い・・・?
[青年の声に其方を見る。]
[安堵したような笑みを見れば、珍しさからか虚を突かれたように瞬いた。]
・・・そ、そう。
『疑われるのはいい気分じゃないな』
[と一人呟く。意外に早めにかはわからないが少しづつ事実を受け入れていった...は徐々に周りもみえてきて、縁起でもないというかタイミングが当たっているのか黒のドレスを身に纏うヘルガがいつ入ってきたのかとか今気づいたぐらいだ。
だからか。
反応をうかがうようなオトフリート。
部屋の隅から冷ややかな眼差しで観察しているユーディット。
気分はよくない。気分は良くないが、それが本当にあった出来事であることを自覚させてくれる。
そして話題は魂を戻す方法に移れば、やはり三人には口を挟むことはせずにいる]
信じて頂いて、ありがとうございます。
[老耆に礼をすると、手にしていた本は傍らの卓上に]
……従って、皆様には今暫く御滞在願いたいと。
念の為、所持品とお部屋の方も改めさせて頂きます。
[無駄骨に終わる事を予測しながらも、形式的に義務をこなす]
[皆の話を黙って聞いていたが、少女が口を出せることはなく…ただ、思ったのは]
…大丈夫、かな…
[食事の手さえ動かなくなり、視線を落としている。
この中に犯人はいる、というのも、少女を不安にさせていた。
年の為、所持品と部屋の方を改めさせていただく、と言われれば、言いにくそうに…
出来れば女性にお願いしたい、と*言うだろうか。*]
[それから聞こえたオルゴォルの伝承の話。
魂の話。
よくわからなくなっていきながらも、古き、あの物ならば、と、思った。]
魂を糧にするオルゴォル、だから、あんなにも綺麗だったのね。
…それでも。
[触れたいと思ってしまうのはなぜか。
口唇が奏でた言葉は、ほとんど声にはならず。
オトフリートの言葉に、うなずいた。]
わかったわ。
……部屋の中、汚いですけれど、許していただける?
考え……
音色を聴きたいと、思ったのでしょうか。
或いは、魂を奪う事自体が目的だったのか。
[老耆の声に答え、考え込むように手を当てる。
想定される“人物像”に合うのは誰か。
そして、それに相応の力を持つ者は――]
ああ、見間違いだ。別に変なことじゃない。
[イレーネのそっとした静かな問いに、安心させる意味も含めてそう言い切る。
最も、邸で起きている出来事についていっているわけではないわけだが。
そうそう。と頷いて驚かせないようにそっと頭をなでる。
…なんとなく。イレーネは怯える性質だと思っていての行動のようだ]
詳しい、と言っても、基本的には世に知られている知識を詰め込んでいるだけに過ぎませんよ。
[僅か、苦笑めいたものを過ぎらせつつこう言って]
いえ、こちらこそ、申し訳在りません……。
御大と親交の深い貴方であれば、この状況では、何かに頼ってでも、という気持ちは俺よりも強いでしょうし……。
[それから、こう言って頭を下げる]
……目的……何を求めての事か……。
せめて、それがわかれば……。
[呟きつつ、右の手はやはり、何かを押さえ込むように]
……なるほどの。
昨日から帰宅を望んでも引き止められたと言うのはこの為だったと言う事ですな。
[漸く意を得たと深く頷き]
この中に持ち去った物がいるとすれば、それも仕方がない事でしょうな。
あぁ、部屋と荷物の検分はいつでもお受けしましょうぞ。
早くオルゴールを見つけねば…。
[眠るこの邸の主を思い、でがそれ以上は何も出来ぬと言葉を濁して]
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