情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
……でも、アナは、悪い子です。
だって、お姉さんにどうしたいのか聞いたのに
お姉さんにさせてあげなかったのだもの。
〔フリーのからだはアナにも負けないくらいあかい色。
月は、そろそろ、昇る頃。
夜を待っていたみたいに、ランタンに灯りがともる。
けれど、その色は、闇を取りこんだみたいに真っ黒だった。〕
うむ……そうか。
アナは強い子じゃの……。
[そして、アナの話で、ドロテアの籠に揺れる黒い花を思い出したのです]
黒い子が、白い子を……。
じゃあ、黒い色の牧師どのは。
[足もとに落ちたランタンにも、いつの間にやら同じ色が灯っていました]
……そうじゃの、ドロテアの望みは違っていたかもしれん。
でも、嬢ちゃんにはこうする理由があったじゃろう。
誰も嬢ちゃんを責めはせんよ。
[おじいさんは、二度もひとりぼっちになったアナを見詰めました]
……今夜は、どうするんじゃ。
家に一人では辛かろう。
人狼さん。
〔迷いもなく言ったアナは、
人のかたちをしたものと、
ランタンに灯る炎を見た。〕
アナは、牧場に行きます。
だって、フリーたちのお世話をするひと、いなくなってしまったもの。
これから起こるかなしみは止められても、起こってしまったかなしみは、もう、変えられないんでしょう?
そうか、そうしなさい。
[こうなっては誰も信用出来ないだろう、という言葉は呑みこみました]
羊たちがたくさんいるから、あそこなら寂しくないじゃろうな。
[そして、アナの言葉に頷いて、ぽつりと呟くのです]
そうじゃのう。壊れたものは、元には戻らん……。
……これから起こる悲しみ、か……。
[アルベリヒを納めても、背高のっぽなはずの体は極普通の棺に簡単に収まってしまいます。
いいえ、それどころか棺が大きすぎて見えるほどでした。
そんな羊飼いの棺を前にしてゼルマが語る言葉を、木こりは黙して聞いています。]
……夜、元の獣の姿にだな。
覚えておく。
[じっと見つめる老婆を見返して、木こりは重く頷きます。
話が本当なら人狼を見つける手がかりになるのですから。]
はい。
〔ベリエスの、いろんな言葉。
アナは、たったの一度、頷いた。〕
ベリエスお爺ちゃん。
ベリエスお爺ちゃんのこころは、どんな色を、していますか?
けれど、無事でよかった。
[しばらくして、小さく小さくつぶやいたのは、だれについてのことだったでしょう。
旅人はぼうしを少しだけ上げて、*昇りはじめた月を見るのでした。*]
[老婆と弔いの準備を追え、木こりは教会の鐘を鳴らします。
ゴーン、ゴーン。ゴーン、ゴーン。
弔いの鐘は羊飼いと旅人、そして牧師の為に響きました。
老猫も物悲しく鳴いています。
戻ってきたドロテアに手伝ってもらい、やがて牧師のいない弔いが始まるのでした。**]
[羊達の世話をするというアナの言葉に、アルベリヒは眉尻を下げました。ルイの呟きを遠く聞きながら同じように月を見上げます。どんなかなしみが襲っても、月は変わらず輝いていました**]
くすんだ色。
……アナのこころは、どんな色をしているんでしょう。
もしかすると、同じかもしれません。
〔あかい羊が、あかいアナに、身をすり寄せる。
怪我をしているのかいないのか、まるでわからなかった。
アナは、落ちていたランタンを拾い上げ、空を見上げる。〕
夜になっちゃう。
ベリエスお爺ちゃん。
早く帰りましょう。
旅人さんのお弔いをしなくちゃ。
牧師さまも。
牧師さまが、人でもあったというのなら。
いや、アナの心は、きっと澄んでおるよ。
[だってアナは、間違ったことをしていないのですから]
そうじゃのう、早く帰ろう。
こんな時だからこそ、弔いを忘れぬようにしなければ。
[そして二人は、並んで帰るのでしょう]
悲しいことは、ずっと続くのです。
[少女の問いかけに、
牧師は穏やかな声で告げます]
人は生きている限り
悲しみから、逃れることはできないのです。
だから、みんなで神様にお祈りをするのですよ。
そうして、いつか。
遠い空の向こうの楽園へと、辿り着けるように。
[しゃがみこんだ少女に
牧師は一歩、また一歩と近づきます]
それに。
人も、獣も、人狼も。
一つとして、同じものがないのでしたら。
悲しみの色も、またそれぞれに。
[牧師の眸には、目の前の少女の背中が映ります。
続く質問に、牧師は不思議そう]
私が、どうして牧師になったのか。
きっと……この職業は
の匂いが、近いから。
の匂いが、近いから。
[牧師はアナの背中に手を伸ばします。
そうして、牧師は見るのです]
〔ふたりと一匹で帰り、亡くなった人のことを報せたあと。
身を清めるように言われたアナは、宿のお風呂へと入ることになる。
水に流されて、あかい色は見えなくなっていく。
洗われたフリーも、白い毛並みを取り戻す。
けれど、消えないもあるって、アナは気づいていたに違いない。
ぽた、ぽた、ぽた。
たくさん、しずくが落ちていく。
* 黒い炎はいつの間にか消え、鐘が長ぁく、鳴り響く。*〕
月の光は、黒い森には届きません。
黒い花は、手向けの花には向きません。
銀の刃は、悪しき物を打ち祓います。
赤い羊は、主人の仇にめぇめぇめぇと。
そうしていつしか、森は静けさを取り戻します。
牧師の形をしていたものは、もう何も語りません。
獣の時間にも、人の時間にも
何も語ることは*ありませんでした*
[弔いの鐘が鳴り響く。
牧師さんもまた、弔いの箱のなか。
だからみんなが見よう見まねで、祈りを捧げるよりありません]
[おじいさんも、祈りました。旅人と牧師のために。
羊飼いにも、祈りました。心の中で、ごちそうさま]
[ドロテアの籠の黒い花。
メルセデスの色を映した黒い花。
そういえば、メルセデスも言っていました。
どこか様子がおかしかったと。何か感づいたのかもしれないと。
おじいさんにだけ聞こえるように、言っていたのです]
[弔いの儀式が終わったあと、おじいさんはもう一度、教会へと戻りました。
そこにはドロテアが、ひとり取り残されたようでした。
彼女が不思議そうに首を傾げると、おじいさんは言ったのです]
ああ、ちょっと忘れ物をしたんじゃよ。
今夜のおかずを忘れてたんじゃ。
[おじいさんが帽子を取ると、そこには毛の生えた三角耳が。
おじいさんが口を開けると、鋭く尖った獣の牙が。
そしておじいさんのふりをした狼は、ドロテアの体をもぐもぐ、ごっくん]
うむ、なかなか美味じゃった。
[狼は、長い舌でぺろんと口を舐めました。
赤いしずくがぽたりと落ちます]
ドロテアは、不思議な力を持っていたようじゃの。
これは心の色を見る力か。
[狼は、満足そうに頷くと、お腹をさすりさすり自分の家へと帰りました。
月明かりに照らされて、しっぽが機嫌良く揺れました**]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新