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―広間―
[脇腹に感じる違和感はそれとして、食欲が落ちるなどということも無い。
食事の間にも幾人もが広間を出入りしていた。
エルザが台所に立つ頃にはとうに食事は終わり、女は食卓からソファに移動して]
楽しそうだねェ。
[ダーヴィッドやイレーネと戯れる黒猫を、頬杖を突きながらそれとなく見ていた]
─広間─
[猫はダーヴィッドの手から自分のところへと。猫の両脇を手で支えるように持ち上げると、猫に少し不満げに鳴かれた]
ごめんね、苦しかったかな。
[腕の中に抱え直すと、ヘルミーネの座るソファーへ]
ユエ可愛いもん。
飼い主さんはどこ行っちゃったんだろうねー。
[後半はユエに向けて。ヘルミーネの隣に座ると、猫を膝に乗せた]
―二階自室―
ふぅ。結構よかった気もしたが、動けないから結局寒いな
……あれ…?なんか前にもこんなことをいったような
[暖かいけど身軽な格好に変えたところで、首をこてりとする]
…むぅ…なんか色々忘れてるような。
まあいいか
[気にせずに部屋から出た]
[置き去りにされた猫としては、構ってくれるなら誰でも歓迎だったとか。
先に散々ユリアンで遊んだためか、いつもよりは大人しい、かも知れない]
[一方、猫の同居人はと言えばのんびりと階下へ降りてきて]
……はあ。
やっぱり、ダメですか。
[監視つきなら観測に戻れないか、と自衛団員に交渉して、ダメ出しをされていたりする]
……ああ、はいはい、わかりましたわかりました。
大人しくしてますよ。
[やはりというか、朝方の騒ぎやら何やらで団員も落ち着きはないらしく。
結局、早々に退散するハメになっていたりするのだが]
―広間―
そうだな。
飼い主と違って素直だし、ねェ。
[隣に座る猫とイレーネに口許を緩める。
当人が今まさに何か隠している事は知らないけれど]
アイツなら、部屋に行くとか言っていたと思うが。
[言いながら、ユエの目の前で人差し指をゆらゆら動かした]
[二階廊下より階下へと下るが、一体なにをしようか。などと思っていたところ]
ん?オト兄。さっきはご馳走様。
何か話してたみたいだけど、駄目だったみたいだね。
というかなんか自衛団員の様子がおかしい感じだな。やっぱ容疑者ってことで…なのかな
[今朝のエーリッヒとの一悶着をしらない...は単純に容疑者ゆえにかと思っている]
―一階:広間―
[不機嫌そうな幼なじみを見つけた少年は、ちょっと怯えた様子になる。声をかけるには見えない壁がある気がして、口を開けない。
体が十二分に暖まった頃、ふと思い立ったように立ち上がり、妙に真剣な顔をして広間を出ていった]
[少年は、何かを探すよう周囲に視線を彷徨わせながら一階を歩き回ったあと、玄関から外に出る。
自衛団員の一人に声をかけられたが、集会所の近くにいると答え、代わりに団長の行方を尋ねた。無言のままに指し示される方角に目をやると、東に生い茂る針葉樹林を睨むようにして立っている老爺の姿が見えた。
軽く会釈をして団員の横を過ぎ、ギュンターの傍に寄る]
ギュン爺さま……、
[消え入りそうな声で名を呼ばれ、老爺は振り返る。
二の句を継ぐことが出来ず、暫しの静寂が訪れた]
……爺さま、
人狼は……ほんとうに、……………いるの。
[問いかけの語尾は上がらない。
団長は素気なく広間で説明した通りだと答えるだけ。
ぎゅ、と、少年の拳が硬く握られた]
でも……!
…だったら、どうして――……………どうして、
……………、
[言葉は最後まで音になりきらず、少年は、引き結んだ唇を震わせる]
……あの中に、人狼なんて、いるはずない。
[長い沈黙の間を空けて、人狼自体の存在は否定せず、願望だけを口にした。
老爺は何も言わず、首を左右に振り、その場を去る。
彼の表情を見ていたのは、少年だけだった]
─広間─
部屋なんだ。
それじゃそのうち戻って来るかな。
[ヘルミーネの返答に猫を撫でながら推察して。指の動きを追う猫の様子にクスクス笑った]
と言うか、素直じゃないんだ、オトさん。
[一旦聞き流しかけて、素直じゃないと言う言葉にまた笑う]
─ 一階・廊下─
……っと。
[仕方ないから広間に戻るか、と思っていた所にかけられる声]
ああ、ユリくん。
いえいえ、お粗末さまでした。
[ご馳走様、という言葉に、にこり、と笑い]
ええ……ロズ嬢が一時帰宅できたようなので、監視つきなら観測に戻れないかと聞いてみたんですが、ダメでした。
様子がおかしいのは……今朝方、ちょっと一悶着あったから、ですかね。
色々と、気が立ってるのかもしれません。
―広間―
平和だなぁ。
[猫と戯れる女性陣。なかなか穏やかな風景で、人狼の話題など出るはずも無く。
ヘルムートの一言に、ちょっと意外そうな顔をした。]
オトフリートさんて、素直じゃないのか?
別にひねくれてるようには見えないけど…。
[言いながら、視線は指のほうに動き。
黒猫と同じように追っていた。]
ああ、ローザが…なるほどなるほど。
あれはローザなら出れただけでオト兄も出れると思ったら駄目だよ。
[なんとなくローザがどうやって出たのか想像がつきつつ]
へ?一悶着?そりゃしらなかった。
仕方ないって言えば仕方ないだろうけど…人狼かぁ。
オト兄は人狼っていると思う?
─ 一階・廊下─
あはは……ですよね。
[何となく、その辺りは読めていたので、同意の笑いは乾いていた]
ええ、まあ、俺も詳しくはしらないんですけどね。
[軽く、肩を竦め、それから。
向けられた問いに、ほんの少し、翠を細める]
ん……ここにいる、とは思いたくはありませんが。
『人狼』、それ自体は『いる』、と。
そう、思っていますよ。
流石にユエ置いたまま忘れる、なんてこたァないと思うが。
戻って来なかったら貰ってあげてくれ。
[イレーネに対して勝手にそんなことを言う。
指は猫の目の前を彷徨った挙句、額の白い月をつん、と軽く突いた]
いやァ、捻くれてはいないがね。
色々と強がって無茶すんだよ。
チビの頃はよく雪に埋もれてた。
[その昔馴染をよく連れ回していたのは自分だったりもしたのだが、無論そんなことは言わない。
ダーヴィッドを振り返り、指につられていたことに気がつくと軽く噴き出した]
─ 一階・廊下─
うんうん。なかなか強かだよな
そういうところがいいんだけど
[詳しく知らないと肩を竦めるのには、そうかと思うだけで終わり]
俺もいてほしくないんだけど……なんかその言いかた…
オト兄。冗談をいうのは俺の役割だぞ
[なんだかえらそうにいって]
でもそういえば人狼と対峙するものとかがいたとかいう話だよね。人狼を見抜いて落雷を落としたり、霊を呼び寄せて腰を痛めたり、人狼を前にすると突如ムキムキになって誰かを守ったりするの
[真顔で言う。
それは御伽噺の話題のはず…なのに記憶がぐっちゃぐちゃである]
─広間─
あ、それは大歓迎。
こんな可愛い子が来てくれるならボクも嬉しいし。
[ヘルミーネの言葉に半ば本気で頷いた。うちにおいでよ、と言いながら猫を撫でる]
強がって、かぁ。
……最初から諦めたりしり込みしてるのとどっちがマシかな。
[口を尖らせて小さく呟く。手はずっと猫を撫でていた。噴き出すヘルミーネに気付くと、視線を追ってダーヴィッドを見て。どうしたんだろう、と首を傾げた]
─ 一階・廊下─
はあ。そうなんですか。
[そういうところが、という言葉には気のない声でこんな事を言って]
冗談じゃないから、俺が言えるんじゃないですか。
[偉そうに言われると、真面目に返した。傍目、非常に妙かもしれない]
って、ユリくんユリくん、何か色々混ざってますが……。
実際、そういう『力』を持つ者もいる、といいますね。
見抜くもの、見極めるもの、護るもの。
『人狼』の伝承には、必ずと言っていいほど、そう言った『力あるもの』の存在が語られています。
[妙に混ざった物言いに苦笑しつつ。説明する口調はどこか、他人事]
[団長が去ったあと、少年はその場にしゃがみ込む。
降り積もる雪の上に手をついて、指を折り曲げ、白を掻き寄せる。
まなこから落ちた滴が雪を溶かした]
……、…強く、ならなくちゃ。
[決意の籠った呟きを漏らし、立ち上がって、上着の袖で目もとを擦る。雪を払いきらないままに、来た道を辿り玄関へと向かった]
―一階・廊下―
[玄関の扉を潜り一端個室に戻ろうかとしたところで、階段付近にいる二者が目に入る]
オトせんせい、ユリにい。
……こんなところで、…何か、ありましたか?
[広間に行かずこの場で立ち話をしていることに、不思議そうに首を傾げた。
服に付着した雪の結晶が、はらりと落ちる]
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