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[立ち上がる闇竜を、幼子は僅か不安げにじつと見上げた。
はたと巻きついた腕を見やると服の袖を握ったままなのは、変わらずであったが。
小さく笑みを向けられれば、仔は嬉しそうに僅か頬を緩ませた。
父を出してやも知れぬ事にではあろうが――
否、他にも理由があるやもしれぬ。それまでは判らねども。]
うん。いっしょに、外にだしてあげよ。
…ブリジットも、なかよしさんになればいいよ?
[ふと、氷竜の言葉に、一度瞬きをするとゆると首を傾ぐ。
最近の仔は、随分と物事を考えるようになったと感じる。
王が知れば、仔の成長を何よりも喜ぶであろうか――
…否、己の知らぬ所で成長を遂げている事を嘆くような気がしてならぬ。
そう考える内、仔が笑みを向け――差し出すはもう片方の掌。
手を繋げば良いと言う心算か、その顔はさも名案とでも云いたげで*あった*]
―裏庭―
[陽光の竜が消えた現場に居合わせたのは、そういうわけで偶然なのだが。
そこで起こった光景には、軽く、目を瞬かせた。
一瞬何事かと。]
な、何だ?転移か?
[慌ててノーラやティルの近辺に近づく。]
…誰か引きずりこまれたっぽい。
ちょっとそこまでは捉えきれんかったけど。
[過去に接した結界とは構成が違うため、細かいところまでは流石に感知できず。]
虚空に飲み込まれる…ような、うんそんな感じ。
─東殿─
では参るとするかの。
[ブリジットに頷き返して。
途中ふと思い出しオトフリートとベアトリーチェの傍へ]
そうじゃったそうじゃった。
ベアトリーチェ殿、先日このような物を手に入れましてな。
よろしければお持ちを。
オトフリートと共に召し上がるがよかろうて。
[そう言って懐から飴玉の入った小袋を取り出す。うっかり左手で持ち差し出したために、袖から黒光りする腕輪が顔を覗かせた。
その腕輪からこの老竜が持ち得ぬ属の気配を感じ取れた者は、果たして居ただろうか]
…ぬ?
オトフリート?
[ベアトリーチェに小袋を渡すと、ハリョンの名を紡ぐオトフリートを不思議そうに見やる]
[下からの、心配そうな様子に、微笑んで。
もう片手がブリジットにいっているのも見て。]
[だけれども、他の言葉を聞くよりもまずそれ。]
――陽が、落ちた?
[驚愕が、声を(おさえているとはいえ)押し出した。
考えられることは一つで、結界のある方を見る。]
/*
補足。
「任せる」=「赤組が表で書く」でもいいし、「簡単に消え方をWikiに書いて、誰かそばにいた方に任せる」でもいいってことね。
―― 東殿・食堂 ――
引きずり込まれたあっ?!虚空って…うわああ…
[思い出すのは、天竜の言葉]
まさか、まじで発動しちゃったのかよ…虚竜王様の不機嫌…
[動く右手で思わず頭を抱えた]
[何が起きたのか、はっきりとはわからなかった。
降って来た無限の輪、その存在を見た時空竜からは、何かしら説明があっただろう。
というか、他に誰が説明できるんだよ、というか、なのだが]
……転移、とかじゃ、ない……。
揺らいで、引っ張ってった。
[やって来たクレメンスの言葉に、低く返す]
虚竜王の不機嫌……って。
そういう事、っぽい。
―東殿―
[翠樹の仔に声を掛けられ、不安な表情は消し去り、穏やかに微笑む]
あら。じゃあわたしも、なかよしさんにしてもらおうかしら。
[優しい仔の、差し出してきた柔らかい手のひらを、そっと握った。
なるべく、不安が伝わらないように努めようと、優しく微笑む]
[ 異なる気配の訪れに、影は俯かせていた顔を上げた。
硬く引き結んでいた唇を薄く開くと、熱のない息が零れ落ちる。]
……違う、な。
[ 僅か掠れた声ながら、写す対象を得て紡ぎだす。疾風の竜の言葉に同意して、小さく頭が上下に動いた。]
まったく……願う暇も、ない。
―東殿―
[ベアトリーチェには、なるべく見えないように。聞こえないように。
オトフリートへと、こくり、頷く]
もしかしたら……虚竜の王の力が、作用したのかもしれません。
[少し離れた位置に居る、天と地の竜にも視線を送る]
―裏庭―
[ティルの答えに、うへぇと眉を顰める。]
なにーこれかよ!
うっは…陽光の坊主は大丈夫かね…。
[よりによって連れて行かれたのが、まだ子供。
その事実に軽く後ろ頭を描いた。]
影響あったのはチビだけか?
傍に居て怪我とかしてないだろうな。
[その兆候はみられないが。一応の確認を周囲へと向ける。]
て、頭抱えてる場合じゃないっ!!
様子見に行ってくるっ!
[次の瞬間、いきなりすたっと立ち上がり、食堂の外へ駆け出していく。どさくさにまぎれて逃げたわけではないですよ、ええ]
―― 東殿・食堂→西殿の方向 ――
[ベアトリーチェに、ごめんねと、小さく謝って手を離してもらう。
そっと撫でて、ブリジットにお願いと目配せをして。]
[ザムエルの手首にあった腕輪を、わずかな違和感と共に見れど、それよりも今は陽光の方が強く。]
ノーラ殿が心配です。
お先に、申し訳ありません。
[そのまま、走る。
気配のある方へ。]
[皆に遅れ元より抑えた明るさだった周囲が陰りを増やす]
これは……。
陽が落ちた、とは。
……まさか。
[オトフリートが見る結界の方向をつられて見た。取り込まれた、と言うことなのだろうか。
ブリジットから向けられる視線には一つ頷きを返す]
オレは、へーき。
[クレメンスに答えつつ、立ち上がってふるる、と首を左右に振る]
陽光の、抱えてたのは、影輝のひとだから。
なんかあるなら、そっち。
……オレ、結界、見てくるっ!
[言うが早いか、走り出す。
肩から降りていたピアが、慌てたようにその後を*追った*]
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