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─ 自宅 ─
[陽も暮れたのに自宅に灯りは灯っていなかった。
あぁ、と理解と共に短く声を零し、自宅へと入って行く。
台所には火を入れた様子は無く、朝から誰も起きて来なかったことが窺い知れた。
水を口に含んで喉を潤し、取り置いてあった菓子を口にして自室へと戻る]
……疑っている人は他にいたのに。
[寝台に転がりながら零したのは後悔を含む声。
その人はあの時傍に居なかったから、仕方がないと言えたのだけれど、零れる溜息は止められなかった]
次は、その人を 調べ て───……
[遅い来る睡魔に言葉はそこで途切れる*]
─ 『蝕』翌々日/自宅 ─
[目覚めたのは陽も高くなってからのこと。
いつもなら起こしてくれる声が聞こえてこない。
自然と目覚めるまでポラリスは寝台の上に居た]
ん………
[カーテンの隙間から差し込む光に目を擦る。
起き上がり身支度を整えて、顔を洗い意識を覚醒させた]
……よしっ。
[昨夜とは違い、今日は簡単に調理をして腹を満たす。
体調は万全とは言い難いけれど、昨日眠る前よりは幾分回復していた]
― 蝕の翌々日/村 ―
[ゆっくりと村の中を歩く。一軒一軒、覗きこむようにするのは、誰が起きていて、誰が眠ってしまったのかを確かめるため。眠ってしまったのに気付かれず放置されている人を見つけたら、非力な自分では運ぶ事も出来ないので、隣近所に知らせて]
様子がおかしい人はいないですか?
[ついでに尋ねるのは、知らぬ人には、皆の身体を心配してのことと思われただろう]
― 宿屋 ―
[本屋に取り置いて貰った本を取りに行く心算でいたけれど
夜となってしまえばこんな時間に迷惑かと思えて
その日はまっすぐと宿屋に戻ることにした。
宿の厨房には大きな鍋と散らばる皿の欠片がそのままになっている]
片付けなきゃ。
[しゃがみ込んで破片を一つ一つ拾ってゆく。
細かなものは掃いて片して]
あとはこれを如何するか。
[大鍋を見遣り息を吐く。
店で出す為に作っていたのだろう。
どう考えても一人では食べきれない]
―自宅―
おふくろー、ただいまー
いるー?
[家に帰って声をかけても返事はなかった。
居間をのぞいてみればソファに座ったまま寝ている母親がいて]
やっぱり…
[覚悟はしていたけど、やはり動揺はする。
とにかく母親をベッドに連れて行って寝かせた]
こんなことしてるやつって…このままどうするつもりなんだろう。
みんなを寝かせて、村の時間を止めて…
話したり、笑ったりする人もいないまま…
みんなのこと、嫌いなのかな。
だから―
[寝息を立てている母親を見ながら、さみしそうにつぶやいた**]
[実際に探しているのは、泉に封じられていた存在...『魔』と呼ばれるもの]
どこに居るんだろう...?
[どこかに居るのは判っている。外に出られないのはそのせいだ]
村ひとつ、覆ってしまうなんて...力、使いすぎなんじゃ?
[ぽつりと零した声は、少しだけ心配そうだった]
― 回想・本屋→ ―
[本屋を出た時にアルカが落とした問い>>67に、考えるようにして目を伏せる
「彼」は目覚めるといっていた、けれど、今はそれは言えなくて、結局なにも言葉には出来なかった
一人きりの家には帰りたくない、と思っていた所に、アルカから声が掛かって]
……いいの?
[そう訊いた時はやっぱり不安そうに見えたかもしれない。そういうときに、アルカの気遣いはとても嬉しかったから]
それじゃ、アルカお姉ちゃんのところに行こうか、な。
[と、素直に申し出を受けてアルカの家に向かった。
色々あって疲れていたのかすぐに眠ってしまったけれど、目が覚めた時に少しだけほっとして
そうして、アルカも無事に目覚めたなら、安心したような表情を見せただろう*]
― 宿屋 ―
[使い慣れた皿に一人分盛り付けて
酒場のカウンターで一人食事をする。
おいしいはずの料理はいつもと違って味気なく感じられた]
……。
[味気なく感じるのは共にする者が居ないから。
つ、と寝室の方を見遣り、ゆると首を振る。
静かな室内には己が立てる音がやけに響いて]
一人はさびしい。
……ヒューゴは如何して家に戻らないんだろ。
[診療所で寝泊まりする彼は寂しくないのだろうか、と
物憂げなまま食事を終えて食器を片づけ
残った料理は器に移し替え保冷庫へと仕舞った]
[ソーヤの家と、クレイグの本屋には寄らない。とても顔は見られそうになかったから。それに彼らが探し人ではない事も判っていた]
ヒューゴ先生も違った。あと目覚めてる人は...
─ →村 ─
[後片付けをし、テーブルの上においてあった睡蓮の花を手に取る。
いくらか花弁を無くし、少し歪になった花の形。
『封』を護るはずのものなのに、それを壊しているように見えて、少し心が痛んだ]
…探さなきゃ。
[呟いて、陽が高くなった外へと出て行く]
― 宿屋 ―
[部屋に戻り膝に巻いた手巾を外す。
消毒もせずにいたせいかじくりと傷口が膿んでいた]
あー……。
[急いでいたとはいえ手順を守らなかった自分の落ち度で
みられたらまずいような気がした。
湯浴みの際、痛む傷口を丹念に洗い
あがれば今度は救急箱を持ち出してしっかり手当てした。
と、言っても家庭で出来る簡単な処置ではあるけれど。
夜が更ければぱたりと倒れ込むように眠りに落ちた*]
─ 『蝕』翌日/広場 ─
可能性の一つを挙げただけだ。
[アルカ>>17とアルビーネ>>13>>22の視線を受けて、頭を振る。
現在進行形の異変が誰の意図でおきているか解るのは当事者位。
その可能性を挙げた理由として睡蓮が手折られていたからだと口にしなかったのは、少なからず男も動揺していたからで。
アルカから母の心配>>18を聞くと、あぁ、と声を落とし]
起きていたなら杞憂で済む、様子を見に行ってこい。
眠っているだけなら今日明日は心配要らんだろうが、変に倒れていたりしたら動かさずに俺を呼べ。
[クレイグにも一度本屋に戻れと言ってこの場を離れようとして、アルビーネの言葉>>21を受けて]
[話を聞いて回ると、アルカとアルビーネは目覚めているらしいと判る]
アルカ、帰ってきてたのか。
[なんとなく気になったのは、何故だろう?]
[村の人々が眠りに落ちた翌日。
朝は変わらず訪れて目覚めを促すけれど
常の眠りとは違う、封じられた者は未だ目覚める事はなく。
身支度を整えて宿屋の主人の部屋に足を運ぶ]
……おはよ。
ね、……はやく起きてよ。
[声を掛けて、呼吸と脈を確かめる。
変わりなくあれば僅か安堵するように表情を緩めた]
─ 『蝕』翌日/広場 ─
これについては解った。
が、正直解らんことが多すぎる。
後でまた、話せるか。
今は、俺のやることをやらねばならんのでな。
[現状の変化に、眠りに落ちた者達の安否。
これらについてポラリスはどこまで解っているのか、どうできるのか。
自分に出来ることはあるのか。相談したいと告げてから、駆け足で眠っている者達のいる家々を回る為にこの場を離れた。
だから、助けを求めるエリィゼの声も、広場に残ったポラリスがクレイグに花を使ったことも、この日は知らず仕舞いで終わった*]
― 蝕の翌々日/村 ―
[いずれにせよ、目覚めているというなら、とりあえずは、と、アルカの家の方へと向かう。偶然にも、そこにエリィゼが泊まったとは知らない。彼女はまだ、家に居たろうか?]
[状況把握を諦めて、あちらこちらをふらふらとして。
わかったのは、どういうわけか村からは出られない、という事と、かなりの人数が眠りについている、という事で]
……どーなんのかなあ、これから。
[広場には行かなかったから、クレイグに起きた事は気づいていなくて。
ぼんやりと漂う内──時間は過ぎていたようだった]
どこ、行くんだろ。
[こちらから、何か働きかけるのができないのはわかっている。
それでも、やっぱりほっとけなくて、ふわふわとした足取りでその後を追いかけて──]
あっちって。
アルカん家?
[行く道が、自分も良く知る場所へと続く事に気づくのは早い。
なんで、と思いつつ、ふわふわとその後を追いかけた]
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