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[左腕を前に突き出したままの態勢で固まっていた。が。
ブシュウ。
左腕が白い煙を吐くと、ようやく、其の口を開いた]
何とか、なるモンだねぇ…
[『愚者』が移ったみたいだ。
そう、呟くのは竜が消えるのが見えて。
そのディーノの姿も見えないため]
生き埋め…か?
おーい、大丈夫かー?
[頭を…掻こうとして、瘤がある事に気付き、そっと撫でながら瓦礫の方へと]
呻き声でも上げてくれりゃ面白か…
[言いかけて、相手が相手だけに自重して]
案外普通に見せてくれたぜ?いきなり帽子から鳩出したり。
っていうか、あいつはそうやって驚かせるのを楽しんでるみたいだし、大丈夫だと思うぜ?
[そう言って、ロザリーの手がマイルズの治療に動くのを眺める。目の前にはそのマイルズの短剣がくるくる回っているのだが]
お世辞でこういうことは言うもんじゃないと思うけどなぁ。
まぁ、世の中渡る上で美辞麗句は必要だろうけど、俺はそういうの好きじゃねぇし。
うっかり言って、本気になられても困るし、さ。
[最後の言葉には苦笑いを沿えて]
意地でも引きずり出すべきだった。
そう思いますよ、今なら。
引きずり出す方法が思いつかないんだけどね。
[片手は捕われたまま。だから片方の肩だけが竦められる]
痕くらい、幾ら残っても構わないけど。
[引っ掛かりを僅かながら感じて。
だから、少し言葉がつっかえたけれど、何でもないように]
こんな身体で喧嘩売るほど馬鹿じゃないつもりだ。
…回転してる方が面倒臭そうだなあ。
[くるくると回る短剣は風車の如く。
そして、吹き散らされるかのように端から崩れ去った]
大丈夫ですよ〜…一応ね〜
[瓦礫の中を歩きながら声をかけるブラウンにそう応える。
上手く瓦礫と瓦礫の隙間に挟まっていたのか。体をもぞもぞと動かしてゆっくりと這い出て、一度膝を突きながらも、瓦礫に手を当てて立ち上がり]
少々力にあまるお茶目もありましたが、これにて此度のショーは閉幕とさせていただきます。
[周囲の瓦礫の山とか。ぼろぼろに崩れた建物とかをお茶目で済ますのかとか突っ込まれそうだが。それでも自然と帽子を取って礼をして]
さて、名残惜しいですがご観覧いただきましたあなたには景品をさしあげますねぇ〜
[言って取り出したるは『ザ・フール』『パワー』『ホイール・オブ・フォーチュン』『ワールド』のカード…各種十枚ずつ]
おまけの手品です。どれが本物でしょ〜
[悪戯っぽい笑みをこめていう。
見た目も気配も全部そっくりなカードを見せた]
[突如現れた短剣を、横目に見つつ。
治療を優先して、傷口を強く握る]
治療されたいがための、喧嘩とかは、流石に無しでお願いしますね?
[有り得ないと分かっているけれど]
[闇穿つ光。それに抗おうと闇は浸食の足を速める。けれど戦輪に導かれた光の剣が男へと到達する方が速く、蝕まれた闇の中から弾かれるように後ろへと吹っ飛んだ。仮面の額には戦輪が、男の腹部には光の剣が突き刺さっている]
……っ!
…あー。
結局結果ば一緒かぁ。
[あの時も彼の放つ光に敗れた。そして今、同じように彼の血を引く者が放つ光に敗れてしまった]
勝てん運命なんじゃろの。
[負けたにしては、妙に清々しい気分を抱く。それも直ぐに腹部の痛みにより掻き消されてしまうのだが]
[大事にと言われて少し困ったような表情に摩り替わる。
正直、この程度の傷であれば、普段は傷とすら認識しない]
…うん、
[白の下に滑り込む葉。
じわりと癒しの力が伝われば、僅かに頭を垂れて]
ありがとう。ごめんなさい。
[感謝と。謝罪をもう一度、重ねた]
…おう。
大丈夫なら良かった。
…運が良かったねぇ。
[自分で這い出てきたのを見れば、少し安堵。
そして…]
――ようやるわ。
[色々と言いたい事は山ほどあった。
が、こうも呆気なく幕を閉じられると、苦笑混じりの言葉しか出てこないらしい。
そして、景品を見れば]
はっは…どれだろうなぁ。
全部燃やしてみれば分かるんじゃないかねぇ。
[そう言いながらも、適当に五つのカードを手に取って]
…で、どうやって正解って分かるんだ、これ。
[傷口を強く押さえ込まれれば。
幾ら癒しの力が注がれていようと、
普段傷と認識しない程度の怪我であろうと、
痛いものは痛いわけで]
…っ、痛!
しない!しません!
どんな風だったんだろうって、興味だけですっ
[さっきの神妙な態度は何処へ消えてしまったやら]
うめき声…?
聞いてみたいかもしれませんね…演技でないなら。
[頬に左手を当てつつ、真顔で呟いてみる。
大丈夫と太鼓判をおされたのなら、後で頼んでみようか考えて]
……。
社交辞令でないのなら、余程タチが悪いかもしれません。
それこそ、本気にするかもしれませんよ?
[くすくすと、楽しそうに微笑んでみる]
廃墟とはいえ壊れまくり、だなー。
[決着がついたらしい一幕に、ホゥと息を吐いた。
近くの屋上から下を覗くよにして崩壊したビルを見る]
うーわ、まだ余力があるのー。
あんなの食らったら私なんてひとたまりもないよ。
どうしたものやら。
[瓦礫から出てきてカードを広げるディーノを認めると、呆れ顔になりながら呟いた]
私はカードマスター以前に手品師ですからねぇ〜
[苦笑交じりの言葉にも営業スマイルを崩さずに答えたが、閉幕への礼も終えたところで、手品師としての意地か。プライドも終了。瓦礫に背をつけもたれかかって]
さぁて。私も適当に引き当ててましたしねぇ〜
[そんな出鱈目そうだが本当のことを口にして]
ま、色々道楽ついでに試してみるのもいいでしょうが…どうせすぐにわかりますよ。私が舞台から退場すれば、ね
[と、自分が魂の檻に入った頃にはダミーは消えると暗に示して]
向こうは意地でも「自分の領域」に引き込みたいだろうしなぁ。
…竜巻起こしてビルごと潰してもいいんだが、面倒だしなぁ。第一、フェアじゃない。
[肩を竦める相手になんかとんでもない事を言って。お前が言うかといわれそうだが]
男の勲章、ってか?そういうのなら残してみたいねぇ。残らねぇんだけど。
傷が残ってりゃ思い出して反省も出来るだろうしな。おかげで俺はすぐ忘れる。
[僅かに言葉におかしいところはあったが聞き流し、目の前の短剣が崩れて消えるのに、ほっとしたように体勢を戻す]
俺も怪我人に手を出す気はないから安心しなって。
もっと軽傷なら、色々やりたかったんだけどねぇ。
[にやりと。だけどやっぱり深い意味はないだろう。多分]
では、私はここで舞台から降幡ですが、まだまだ役者としてブラウンさんはがんばってくださいねぇ〜。
[相も変らぬ暢気な声で、ふわりと浮き上がり、瓦礫の上に降り立ち休む
しばらくして眠りについたのか。魂の檻に囚われたのか。意識が落ちた自分では判断がつかないまま。ただブラウンの持つ36枚のダミーのカードは霧散するように*消えただろう*]
[銀と、剣。
それらが闇の源を捉える様子に、は、と息を吐く。
そ、と左手を差し伸べると、剣は狐を離れてその手へと。
それから、右手を上へと翳す。それに応じて銀の輪は、手へと戻ってきた]
……結果、一緒?
それって……もしかしなくても、じーちゃんの、こと?
[二つの煌めきを手に、ふわり、と降り立ち。
きょとり、と瞬きながら問いを投げた]
そりゃトランプとソウルカードは見た目が違うだろう。
[テキトー、という奇術師に半眼に成りつつ]
…じゃあ、全部拾っておいた方が良いか…これ。
[やれやれ、と中指で眼鏡を直した]
しかしまぁ、ほんと。
どっから出てくるんだ、コレ。
[そう、問おうとするも瓦礫に凭れるのを見れば、ふぅ、と息をつきカードを拾い集める]
すまんね。
おじさんはお前さん達のような力を持ってないからねぇ。
手当てする物も今は持ってない。
[緩く振り返れば]
…
[其処には瓦礫しかない。
気付けば、カードの束も薄くなって…]
7枚、か。これで。
[元々持っていたカードを合わせて7枚。
最も、休眠中のカードは5枚]
やれやれだねぇ…
いえいえ〜。気にせずに〜。少し休めば後は自力でどうにかなりますしねぇ〜
[と、ブラウンの手当てという言葉に、もとより戦いなので特に気に病む必要もないだろうというのもあって瓦礫の上よりそんな言葉を*投げかけた*]
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