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おぅ、鳥んにーちゃんけぇ。
状況ち言われてものぅ、こげな場所からじゃなーんも見えんき。
派手ば音するだけじゃて。
…ただカードば使うんは感じたき。
二枚使われとるけぇ、双方で使こた可能性ば高か。
[飛び移って来たラスに対し大袈裟に肩を竦める。隠すことでも無いからと、己が知る情報は相手に伝えた]
[『皇帝』も長くは続かない。
盛者必衰、総ては何時か衰え崩れ去るもの]
[がらがらと崩れていく『城壁』。
その最中の青髪は、下方からのライフル弾の衝撃を殺しきれなかったか、一部を紅に染めて]
…正直なところ、俺は死んでも構わないんだけど。
[視線は床の穴に。即ちスティーヴには背を向けたまま。
ぷつり、とケープの留め具を外し。
振り返り様、ソレを無造作に投げ渡す]
そんな長台詞、聞けるとは思わなかったから。
これ以上足掻くのはやめにしておくよ。
[爆発や崩落の数々に、焼け焦げ大小の傷に塗れた顔で笑んだ]
はっ……はじめまし、て。
[声が震えた。エイキチを抱える手も震えている]
うれしくは、ないですけどねー!
[悪夢を見ている気分だった。同じ人物と見るには歳月の変化が少なすぎる気もするが、別人物と見るには似過ぎている。
振り払うように声を張り上げ直した。
即座に跳び離れられるよう、爪先に力が入る]
そか、そんならええが。
[頬を膨らませる様子にはまた笑いが漏れる]
そんおっちゃんが居るんは手品んにーちゃんとも共通見解じゃき。
相手が誰なんか分からんのじゃ。
……あ、教会んにーちゃんしか居らんか。
[ひぃふぅみぃ、と数えて結論に至る。傍から見れば断定出来る理由は見えないだろうから、不思議に思われるだろうか]
[撫でられた小猿は満足げ。与えられたチョコ菓子に気付くと、両手で押さえてカリカリカリ]
しかし、守るだけでも勝てはしない。
勝つ、と、負けない、じゃ、少し意味が違うからねぇ。
[くく、と小さく]
ああ、このご時世、どんどん増えてもおかしくはない。
歳を喰っても、全然知識も経験も足りなく感じる。
…だなぁ。
若いのに任せるか。
本当はもう少し安定した仕事の方が良いんだろうがねぇ。
[苦笑。ソレは仕事に対してか、歳に対してか]
ま、大けがはしないよう努力しようか。
流石に治らないケガで老後の金が減るのも厳しいしねぇ。
[ゆっくりと耳にある集音機に指を当てると]
…カードを使ったようだねぇ。
……ふん。
生憎と、無駄な殺しはしない主義だ。
[小さく鼻をならし、マイルズが投げ飛ばしたカードを2本指で受け止め、懐に入れるとそのまま煙草を取り出して器用に火をつけ───]
……。
[その体がふらついた。
相手の持てる力を受け流して、存分に出せない状態で仕掛けていたのに、これだけのダメージを受けているのだ。
まともに戦っていたのならば、男などひとたまりも無かっただろう]
……もう、会いたくないな。
[笑みを浮かべるマイルズに、ひらりと適当に手を振る。
それは、男にとっては最上級の賛辞の言葉だ。男にとって誰かと再会するときはほとんどにおいて、依頼を受けたあとだから]
[真直ぐなもの同士、親子、仲が良いのだろうと。
戦いのなかなのに意識が逸れるのは、自分の父親のことを――アーケンラーヴ家の当主のことを思うがゆえに。
だからこそ、カードの名が呼ばれたことに刹那気付くのが遅れた。
それは戦場においては、まるで致命的な]
Que soit éparpillé!
[舞う三つの銀の輪の威力を減殺しようと、紅の花を爆ぜさせる。
ゴッ、と辺りに熱風が吹き荒れるも、その隙間を縫うように飛ぶ一つに、右手の甲を切られ、握った鞭を取り落とす]
…、っ!
[最後の一つ。
弾く術も無く、身体の中心へ迫るそれには身を捩るしかなくて]
っあ……っ。
[右脇腹に刺さり、熱の走る感覚。
左手で抑えたのなら、温かさと、痛みが脳を刺す]
ひはっ。カードもう使うたぁ景気のいいハナシだねぇ
残り香だけでも収集しときますか。
[そう言ってカチカチ爪を鳴らしていたが]
……ん? 嬢ちゃん。どうかした?
心拍数がえらく上がってるし、発汗量も多くね
[そう言って、何気なく一歩リディアのほうへ歩み寄ろうとする。]
[ケープを持つ右手を口元にやり、小さく笑う。
ああ、こんなにちゃんと会話が成り立つなんて]
[崩れた『城壁』の跡に腰を下ろす。正直立っていられない]
…そうかな、俺は会いたいよ。
この間みたいに、なんでもない時間を、さ。
[そういうのだっていいじゃない。
相手はきっと嫌がるのだろうけど、そんな台詞を投げて]
[ひらり、手を振る]
そろそろ出た方がいいですよ。
あれだけの衝撃、このビルが耐えられるとは思わないから。
使わんと勝てん相手ば言うこっちゃろ。
おまはんも油断ばしてられんどー。
[ラスに返すのは軽い口調。カチカチと鳴る爪にじいい、と闇色が向く]
情報収集ばおまはんの仕事ね?
[訊ねながら、リディアへ歩み寄る様子も見やった]
その辺りが難しいところ、かねぇ。
負けないだけじゃ勝てないし。
[謎掛けのような言葉を吐いて]
ほんと、面倒な世界だよなぁ…いつ新しいもんに負けるかわからねぇし。
引退すんにはまだ早いだろ。
何より、今の仕事が楽しいって感じだけどなぁ?
金掛けてもどうにもならないことがあるしな。
……ん?
[ブラウンの言葉に、風を送っていたもう一つの気配を読む]
……終わった、のか?
それってどんな消去法ー。
[本気で不思議にも思ったが、むしろ相手の態度に巻き込まれて呆れ声になった。
エイキチに二本目をあげようかと思ったところで来客が来た]
……カード情報、見てないんですか?
それならそれでいいですけども。
[獣人であるというだけでも危険な相手だ。
踏み出されれば一歩どころか十歩程も後ろに跳躍する。
エイキチを足元に降ろしながら、更に逃げようと重心の低い体勢を取る]
……わ、と!
[銀の輪を迎え撃つ爆発と熱風。
強化された念により、より深く結ばれた意識は、輪を介してその衝撃を受ける。
それでもぎりぎり、熱風が静まるまでは滞空を維持し。
銀の輪がロザリーを捉えたのを見て取ると、ふわり、とその横に舞い降りた]
……ボクの、勝ち、かな。
おねーさん?
[こてり、と首を傾げて問いながら、右手を上へ。
分裂していた輪が集い、腕輪のように手首に重なった]
それで動くと、多分色々と危ないし。
カード、渡してくれると、嬉しいんだけど、なぁ。
[殺めるのは本意ではない、という。
言外の意は伝わるか]
……。
[マイルズの言葉に、大きく煙を吐いた。
それは、まるでため息のような]
……暇な奴だな。
[それは、以前と同じ言葉でありながら、以前と同じ意味ではない。
自分のようなつまらない人間に、会いたがるなんておかしな奴だと、言外に告げている。
それだけで、肯定も、否定もせずに、男は片足を引きずりながら、窓枠まで移動して]
……。
[ちらりと、もう一度マイルズを見つめてから、ワイヤーガンを隣のビルへ打ち込んで移動。
そのまま、調査したとおりの逃げ道を進む。このような手負い状態で襲撃されることを懸念しての行動だ]
負けない、が、勝つに直結すりゃあねぇ。
おじさんももう少しはやってけるんだろうが。
[おやおや、と小さく]
引退には未だ早いかい?
まぁ、楽しいかどうかは置いといて…
おじさんが出来そうな仕事って言うとコレぐらいしか無さそうだ、って言うのはあるねぇ。
だから、この仕事が出来なくなったら引退、と。
無理せずどっかで隠居生活を送るのも悪くはないさ。
[金もある事だし、と笑いつつ]
ああ。終わったみたいだねぇ…
カードを使った攻撃を受けたんなら、お嬢ちゃんの言うとおり無理はしない方が良いんだろうが。
[と、ゆっくりと公園に背を向ける]
エリカとロザリーば戦いおうとって、それば見とるんがブラウンとカルロスじゃき。
残りこん場所ば居らんのはスティーヴとマイルズじゃからのぅ。
[情報の出所は言わず知る情報を開示。向こうの情報は元々知っていたと取れば違和は無いだろうが、果たして]
[……と言ってもリディアはそれどころじゃなさそうだが。跳躍した先で小猿は降ろされ、その場で緊張感無く残りのチョコ菓子をカリカリカリ]
そう上手くいかない、か。
勝っても負けた気分のときもあるしな。
[何を思い出したか苦笑い]
余裕があるうちに引退、も悪くないかもなぁ。
もう十分溜め込んでそうだし。
[さらりと失礼なことを言って]
カードを使うほど追い込まれた、か?
無理しない方がいいってのには賛成だけどな。
[立ち去ろうとする姿に後を追うようなことはせずに]
[朽葉色が細められる。薄らとした笑みの形]
…お褒めに預かり、光栄?
[ゆるりとした動作で首を傾げて。
去っていくのをそのままの体勢で見送る]
[姿が消えれば溜息をひとつ]
……嗚呼、矢張り、
[がらりと天井の一片が崩れれば、後はそのまま]
俺が自由を願うなんて、無理な話だったんだ。
[崩れ落ちていく廃墟の中で、ひとつの影が霧散する]
[緋色の跡も、透明な雫の跡も、ビルの亡骸が*覆い隠して*]
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