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─ 1階・広間 ─
じゃあ、まずは腹ごしらえしないと、ね?
[エーファを席に座らせると、厨房へ急ぎ、自分が作った白身魚の香草煮>>79を温めて持っていく。]
勝手に厨房をお借りしたよ。
でも、後でちょっと甘いものがほしいな。
[そう声をかけ、彼が食べるのを見守るだろう。
もし広間にオトフリートかイヴァンが残っていれば、当たり障りのない話題を求めていくらか質問しただろう。
村を出て以降のオトフリートの、楽団や旅先の話を聞けただろうか。
大工として村の各所の建物を熟知しているイヴァンからも、ユリアンの知らない話が出たかもしれない。]**
[死すれば神の御許へと誘われる。
死後のことを漠然とそういう風に思っていたが
その予兆さえ感じられずこの館に留まっている。
カルメンが部屋を訪れていた>>12のを見ていたか如何か
死の前後の記憶は曖昧で
彼女の命が散ることもまだ知らずにいる。
六年しかこの村に居ないライヒアルトは
この村であった過去をそれほどは知らない。
ユリアンが子供の頃の、彼の母親と教会との悶着>>111は
聞き及んではおらず、彼に対する先入観もとくには無かった。]
[ふと、足音が聞こえて>>114、顔を上げる。
音が止むと時同じくして、入口へと視線を向けた。
立ちすくむエーファの姿に、困ったように眉を下げる。
黒猫が少年の足元にすり寄るのを見て]
――…、
[小さく頷き、目を細める。
座り込む彼のくちびるから洩れる声>>115に
途惑うように視線を揺らしてから、ゆると歩み寄る。]
押し付けたまま、逝った。
……すまない、エーファ。
[心からの謝罪も彼の心はおろか耳にさえ届かない。]
言いたい事、か。
私はまだ、言い足りない。伝え足りない。
[足りないのだ、と繰り返し己の身勝手さに自嘲する。]
[切なげな黒猫の鳴き声。
それよりも、エーファの震える声が切なく響く。
感情が零れだしたような言葉>>116が心を打つ。]
キミが名を呼んでくれたのが嬉しかった。
[例え一方通行であろうとも、
村の住人の名を覚えて呼ぶようにした。
いつか己の事も名で呼んでくれるのでは、と思っていたが
呼ばれるのは肩書きばかりで些か寂しくもあり。]
嬉しいから、――…
[笑ったのだ、と声にはならなかった。
彼にまた名を呼ばれたいとも思い、
彼の名をまた呼びたいと思っていたが、]
エーファ、
[今はもうこの声は彼に届かないと知る。]
キミは頑張ってくれていた。
出来ることを、して、探そうとしてくれていただろう。
自身にしか知れぬ力のことを打ち明けるのも
勇気がいったはずで……、
[そんな彼の、エーファ>>117の力になれなかったことが
不甲斐なく、無念でもあって、
謝罪の言葉がこぼれそうになる。
終わらせる、と紡がれると、それを飲み込み]
ありがとう、エーファ。
[感謝を彼へと向けて、泣きそうなかおでわらった。]
――…私は、エーファ、キミの無事を祈っている。
キミが月のいとし子の牙に掛からぬことを祈る。
無事でいてくれ。
キミは、いきて――…
[終わりを見届けて欲しい、と。
希う声は、酷く切なげに溶ける。*]
─ 廊下 ─
[横目で向けられる視線>>149に、黒猫はこてりと首を傾ぐ。
それから、元気づけるようににぃ、と鳴いた]
……そんなことないよ。
こんな状況で、カッコつけ続けるなんて、無理だもん。
[そう言えるのは、自分がそれをやろうとして、結局、大泣きした後だから。
それから、あー、泣いたのバレるよなあ、なんてちょっと思ったけれど、今更か、と開き直ったりしつつ]
……ん。
ありがと、ユリさん。
[真剣な顔つきでの頷きに、感謝の言葉をひとつ、紡いだ]
─ 広間 ─
[広間に戻ると、言われるままに椅子に落ち着いて。
用意された食事>>150に、きょとん、と瞬いた]
あ……ありがと、ユリさん。
厨房は、好きに使って大丈夫だから、そこ、気にしないで。
[勝手に、という言葉にふる、と首を横に振って。
甘いものが、と言われるとほんの少し、表情を緩めた]
わかった、なんか、あまいの作る。
[料理は作っていたけれど、菓子類は作る余裕もなかったから、そう言って笑う。
完全に安心できる状況ではないけれど。
料理の温かさは、じわ、と内に染み入った。*]
─ 広間 ─
[やがて広間にユリアンとエーファが戻って来た]
大丈夫か、エーファ。
[一言声をかけて様子を見る。
先ずは腹ごしらえするようで、食事をする様子からも少しは落ち着いたのだろうことは知れた]
─ 広間 ─
[戻って来た所に向けられた問いかけ>>154に、ひとつ頷く]
……吐き出すだけ吐き出したから、少し、落ち着いた。
[何を吐き出してきたのか、は、結局落としきれなかった跡が端的に物語るか。
ともあれまずは、と食事をすませ。
菓子作りに向かおうとした所に向けられた問い>>155に蒼を僅かに伏せた]
……今は、無理。
一度やると、すぐにはできないみたいで……。
連続してできるなら、もっと、早く、いろいろわかったんだけど……。
[実際の所はどうなのかわからない。
が、制御できない事をわざわざ知らせるつもりもないから、今までの経験からそう告げた。
連続してできれば、というのは偽らざる本心で。
そうできないのが、ひどくもどかしくもあった]
[ともあれ、食器の片付けも兼ねて厨房へ。
何を作るかは少し悩んだものの、作り置きの生地を使ってナッツを散りばめたクッキーを焼いた]
……林檎のパイは、終わるまで無理、かな。
[始まった日に焼いたのは、一番得意な菓子だったけれど。
今は、作りたいとは思えなくなっていた]
…………。
[ふる、と首を振って気持ちを切り換え、クッキーが焼き上がるまでにお茶も準備して、広間へと戻る。
非日常はまだ続いているけれど。
日常がある内は、それに浸っていたかった。*]
─ 庭園 ─
[その後庭園へ回り、広間から見えた>>44辺りを調べる。
雪>>26は溶けていない。
その上に点々と散>>27った色も、カルメンが倒れた>>27らしい窪みも、はっきりと残っていて。
雪の上の足跡から、イヴァン>>48とオトフリート>>55の動き>>58も察することができた。
ユリアンは建物のほうを振り返った。
「エーファが言うには、カルメンは人狼だったそうです」>>64
広間でそうオトフリートから聞かされたときは、口論でもして、
感情を高ぶらせたカルメンが自分は人狼だと口走ったのかと思ったが……。]
「見出す者」……か。
[オトフリートの説明>>78を思い出す。]
[そういえばあのとき、
オトフリートは「彼がそういう嘘をつくと思えないから信じるけど」>>78と付け加えていた。
イヴァンも「エーファが調べられるってんなら視てもらうのが一番なんだろう」>>102と、
エーファのことはまったく疑っていない様子だった。]
……あ、れ?
[違和感を拾う。
イヴァンは誰を人狼だと思っているのだろう?
死体は出ている。
歌い手、ギュンター、ライヒアルト。
イヴァンは歌い手の遺体を見たはずで。
前日から寝込んでいたユリアンを起こしに来てくれ>>1:100たときのやりとりを、順番に思い返すと、
「……あれは、人の手じゃつけられねーわ」>>1:115
という、低い声のつぶやきが耳朶に甦った。]
─ 広間 ─
[早足で戻れば、3人は広間に残っているだろうか。]
…あのう、
歌い手さんの遺体を見つけたのは誰だった?
[ユリアンはコートの襟を立てたままそう尋ねた。
オトフリート>>1:65だという答えが返されれば、彼の顔をまじまじと見つめ、
「人狼は誰だと思っています?」>>70と尋ねたときの返答を脳裡で反芻する。
「君やイヴァンがそうだとは思えない」>>80のなら、
もう『場』が終わっている、後は救助を待つだけというふうに考えるのではないだろうか?]
(このひとは終わってないことを知っている……?)
[だが、厨房と広間を往復するエーファの姿に、
彼もまた「わけわかんない状況」>>148が続いている前提で話をしていたと気づいた。
要するに、ユリアン以外は全員『場』が終わっていないと考えているのだ。]*
―広間―
[ユリアンが告げる疑問>>108に考える素振りを見せ]
正確かどうかは確かめる術がないから何とも言えないけど
ユリアンの、夢?
[彼の夢については聞いていないからそう零せば、イヴァンは知っていたようで>>130
それに対してユリアンが答える>>142のには口を挟まずに聞いていた。
旅人についてもあまり口を挟まずにいた。ただ「怖かったと思う」と言う言葉>>109には頷いて
その後の問い掛けには首を振る]
生憎、俺にもそんな力はないよ。
今まで死んだ人の中に居たかも知れないし、居なかったかもしれない。
[イヴァンと同じような事>>131を言って、ユリアンからも違うと返れば>>110溜め息を一つ吐く]
カルメンが人狼とは思わなかったよ。
だって、彼女、本当に不安そうにしてた。
[歌い手が死んだ日の事を思い出して]
人狼がいるかどうか……「場」ができる条件はしってるけど、それが壊れたのはどうすればわかるか知らないんだよなぁ。
まだ居るとは思いたくないんだけど……
[人狼がいなくなれば「場」は壊れる。それを確かめる術がないことにやはり溜め息を吐く。最初に何人いたか>>143、となれば見当もつかず]
『幻燈歌』に謳われる役割には、とてもじゃないけど人が足りない。
つまり、いない可能性はあるね。
[そんな風に伝える。人狼の数が明示されていない事は、男にとって幸か不幸か。
ライヒアルトの話になると、ユリアンが表情を曇らせるのに、何かあるのかと二人に視線を投げ、その理由>>111を聞いたなら、納得したように頷く]
そういう事があったなら仕方がない、かな。
でも、旅人の事もだけど、ユリアンがそこまで思いつめることはないと思う。
[どうすればいいか、最初からわかる人など、いないから]
[そうして、エーファのところに行くと立ち上がるのに>>113]
今のエーファを一人にしておかない方がいいね。
いろいろあって、混乱してるのかもしれないし。
[そう言いながら、イヴァンが話す>>134のを聞いて]
敵を討つ、って言ってたんだよな、エーファ。
それに囚われて、っていうのも、あるかも知れないし……
ずっと村から離れてた俺より、ユリアンが行った方が安心すると思う。
だから、頼むね。
[そう言って見送る]
[広間にイヴァンと二人きりになったあと、変わらぬ様子のままの問い>>140に
こちらも態度は変えぬまま]
俺はライヒアルトとエーファが話しているのを立ち聞きした程度だから
[詳しいことは知らない、といえば、これまでに「見た」と言う名前が挙げられる]
なるほど……残ってるのは俺たちだけか。
どっちにしても……
[後がないな、と呟く。
自分を見て、すぐにイヴァンが人狼と決め付ける事はないだろうが油断は出来ない]
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