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疾風竜 ティル に 1人が投票した。
焔竜 ダーヴィッド に 1人が投票した。
陽光竜 ミハエル に 12人が投票した。
翠樹竜 ベアトリーチェ に 1人が投票した。
陽光竜 ミハエル は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、時空竜 ユーディット が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、疾風竜 ティル、天竜 エルザ、月闇竜 オトフリート、焔竜 ダーヴィッド、流水竜 ナターリエ、生命竜 クレメンス、大地竜 ザムエル、雷撃竜 ミリィ、精神竜 アーベル、影輝竜 ノーラ、氷破竜 ブリジット、機鋼竜 エーリッヒ、翠樹竜 ベアトリーチェ の 13 名。
ああ。そうそう。
もらった水を返しておかなければねぃ。
[いまだにふよふよとナターリエの周りを残るかすかな水と、地に落ちて力を失った水を立てた人差し指に集めると、浴槽を指差す。
―――。
音もなく集まった水がゆるやかな流線を描き、浴槽へと飛び立った。
少しだけ漏れ出た水気から、虹が一瞬現れる]
―― 東殿・食堂 ――
だーれが、そんな無茶しろって言ったんだよっ!
[あんまりなダーヴの台詞に、その頭をはたこうとしかけて、左腕が動かない事を思い出し、一瞬固まる]
……と、今まで襲われてない方の中から絞り込めって言ってるだけだろ?!
[結局、手は出さずに、そう続けた]
― 裏庭 ―
[ 陽光の仔竜の言葉に頷きを返しながら撫ぜる様は、均すのに似る。
時空竜の感想に対して何も言わなかったのは、的を射ていると思ったからか。影は何も、口にはせねど。]
―東殿―
[天竜と地竜へ、こくりと頷いて。月闇竜たちへと見向くと、]
私たちは、少し結界の様子を見てこようかと。
オトフリートは……どうします?
お疲れでしょうから、食堂や広間で休んでいてもらっても。
[翠樹の仔と黄蛇には、穏やかな微笑みを向けた]
ぁー、そっかそっかなるほ、ど…
[いつもならペシられる所なので身構えたが、以外にもそれは襲ってこなくて。]
…エリィ。腕ぇどうしたよ?
[問う声はいつに無く低め。]
─東殿─
[ナターリエに関しては、元からああ言う格好をしているのだと思っているために特に何も言わず。そう言う竜も居るのだと達観]
なれば儂も様子を見に行くとするかの。
[頷くブリジットについて行く旨を告げる]
―裏庭―
[気持ちよさ気に喉を鳴らす小猫は可愛らしいが、恐がっている仔竜をこれ以上苛めるつもりはなく]
では、私はこのコを届けてきますね。
[影輝と陽光から離れる方へ踵を返す]
―東殿・回廊―
とじこめられちゃってるんだ、ね。
でも、そのすごい剣があれば、出してあげられるんだ。
[オトフリートの言葉に、判ったと云わんばかりに一つ頷いた。
閉じ込められている事実だけならば、影竜殿にも聞いた事があると思い当たったか。
影に聞き及びし事は、閉じ込めた者を見つければとの事であった筈だが
人を捜すより、物を探すほうが幼子には容易だと感じた様であった。]
…うん、わかった。
もうあぶないことしないって、やくそくしたもの。
オトに、おしえてあげる。
[小さき掌を沿えて、耳元で小さく囁く。
その声はあまりに小さき故、他の者に聞くには厳しかろう。
かくいう傍に居る私ですら、聞き取るには労を要した程であった。]
うん、…いっしょがいい。けど。…だめ? つかれてる?
[氷竜殿の言葉に意識を向けたか、僅か困ったように仔の眉が寄る。]
―東殿:回廊→外―
[何処へ行くでもなく、何かまた動き出したなら掴もうと気を研ぎ澄ますけれど――元々気を探る等苦手なので、感じ取る事は出来ず。
むしろ、混沌の欠片を片っ端から破壊しつくせばもう心配する必要も無いのでは、等と物騒な事も思いつつ、東殿を出る。
空を仰ぎ見て、溜息をひとつ。]
敵は…――誰で、何処?
[曖昧なのは、苛々する**]
─裏庭─
[影輝竜にはひらひら、と手を振って]
あー、準備ちゃんとしねぇと、簡単に遭難……迷子になるんだぜっ!
ちゃんと支度してから動くのが、一流の探検家ってもんだぞっ!
[同じレベルでケンカするのもどうかという突っ込みはさておき。
踵を返す精神竜の様子に、とりあえず自分も移動しようか、と歩き出しかけ]
……あれ?
[ふと感じたのは、何かの予兆か、それとも]
…人の事言えねぇだろうが、お前ぃは。
[デコペシってやり返そうと思ったが、ペシるほど面積が無かったので、鼻をつまんでやった。]
アレか?接続切ってんのか?
断線…とかだったら本気でお前ぃん家へ強制送還だかんな。
―東殿・回廊―
結界。
どうします?
[と、仔を見たところで、返答があり。
微笑みを浮かべ、そっと撫でてから手を離し、立ち上がる。
もちろん、小さな手を無理に引き剥がすようなことはしないけれど。]
一緒に行きます。
[抱いていこうかは少し悩んで。]
[ それは、前触れも無かった。
突如、何かが――否、「無い」に等しい筈の、虚ろなものが揺らぐという、不可思議な感覚が襲った。影が黒の瞳を僅か見開き、顔を上げた刹那。
中空に発生せしは、時空の力の象徴たる無限の輪。
それはノーラの腕の中に在った陽光の仔竜を捕らえ、その輪の内に取り込む。
物理的な介入など何の意味も為さず、引き止める事を許さず、一瞬の内にその姿を此の場所より掻き消した。]
[そうして、離れる前にこっそりと囁いていたことは。]
閉じ込めた人を探すというのもあるようですが。
力のある剣なので、もしかしたら、気付きやすいかもしれません。
[そうして、教えてくれるということばに、ほっとしたように微笑んだ。]
ええ。
そうしたら、一緒に、王様を外へ出してあげましょうね。
―― 東殿・食堂 ――
いひゃい、いひゃいからっ!
[鼻をつままれ、じたばた、その動きにつれて左腕がぶらぶらと揺れた]
断線なんかじゃ、ないって!今は、兄さん達と繋がってるんだから、そんなことあったらばれちゃうだろ?!
[頭を振って、何とか逃れてから、主張する]
そんじゃ、ここで解散ですわねぃ。
[ひらりと上着をひるがえして、ナターリエが自室への通路を進んでいった。
ひらりひるがえしたおかげで、何やら余計なものが見えたような気もするが、少なくとも、ナターリエは気にしてない]
……さすがにスースーしますわねぃ。
[スースーどころの騒ぎではない。
とりあえず、次に会うときはちゃんと衣服を着ていることだと*信じたい*]
*/
…好きに襲撃書いてもらう分には構わないんだけど、どこにかいていいかわかんないんだよね。
wikiにそんなコメント欄あった?
――…、っ、
[ 写すべきものは居らず、発する声は無い。
伸ばした手は何も掴まず、虚空に触れてぱたりと落ちた。
光は翳り、闇が濃くなる。]
つーか、本気でそ…
[離れた場所での揺らぎ。思わず、空を見上げる。]
やっぱし来やがった!!!
[結界内への取り込み。 昔係わった事件でも起きたこと。
メカニズムは違えど、現象はやはり似ていて。]
―東殿―
[オトフリートとベアトリーチェに、こくりと頷いて]
すっかり仲良しさんね。羨ましいかも。
[くすくすと、仲睦まじい様子の二竜を見て微笑んだ]
それでは、向かいましょうか。
[地竜と天竜へ視線を送ったところで、]
エルザも、少し様子を見たら。
ゆっくり休むようにしてくださいね?
[先程の騒動で疲れているだろう天竜を、心配そうに見つめた]
―裏庭へ―
[さて戦闘が起こってからどれくらい経ったのか。
感じる気配に危険な兆候は見られなかった為、一応封印の様子でも見ておくかの精神で足はそちらへ向く。
うっかり間違えて、中庭方面でなく裏庭出たわけだが。]
……なに?
ゆれ……る?
[零れ落ちたのは、小さな呟き。
強い違和感。
それに眩暈を感じて膝をついたのは、無限の輪の発生と、ほぼ同時]
……ちょ、なに……?
強い、力……ひっぱってる!?
[言いつつ、それを感じる方を振り返れば。
目に飛び込むのは、消えうせる陽光の仔]
―東殿―
[ブリジットの言葉に、小さく笑って。]
だとしたら、とても嬉しいですね。
ベアトリーチェ殿は、とてもかわいらしいですから。
[ナターリエの方は、見せないように立った。
自分が見るかもしれないのは考慮の外。
――結果どうかは、いうまい。]
[と、陽が翳った。
ように、感じた。]
*/
ありがとう、いい仕事するね眼鏡の人。
しかし俺様今日は都合により落下するので是非赤もやりたい放題子供をいたぶってあげてください。
ではー***
――っ、
[驚きに、目を見張る。
それはすぐに判った。流石に対なのだ。]
夏玲殿?
[闇が濃い。
影輝の存在を思う。無事だろうか、と。]
[否、無事なのはわかっているけれど。
均衡が崩れて、負担はいかほどかと。]
―― 東殿・食堂 ――
ダーヴ?
来たって…何が?!
[結界に関する特別な知覚は自分には無い。だからそれが何を意味するのかは判らなかったが、何かが起こったのだとは、目前の焔竜の様子から知れた]
[数歩離れた所で疾風竜の声が微かに聞こえたが、わざわざ振り返える事はなかった。早く遠ざけてあげようと裏庭から出て行く。
その後、突如現れた無限の輪の事も陽光の仔竜が消えた事も青年は*まだ知らない*]
―東殿―
[否、気のせいでは、無かった]
急に、日が翳った……?
[小さく、ぽつりと言葉を零して。
焦るような、月闇竜の――対となる、陽光の仔の名を呼ぶ声が聞こえた]
はい、行きましょう。
[ブリジットの視線を受ければ頷き、歩き出そうとして]
…ええ、エミーリェ様やオトフリート様にも言われました。
確認をしたら、今度こそ休みますので。
[大丈夫です、と小さく呟いた]
[立ち上がる闇竜を、幼子は僅か不安げにじつと見上げた。
はたと巻きついた腕を見やると服の袖を握ったままなのは、変わらずであったが。
小さく笑みを向けられれば、仔は嬉しそうに僅か頬を緩ませた。
父を出してやも知れぬ事にではあろうが――
否、他にも理由があるやもしれぬ。それまでは判らねども。]
うん。いっしょに、外にだしてあげよ。
…ブリジットも、なかよしさんになればいいよ?
[ふと、氷竜の言葉に、一度瞬きをするとゆると首を傾ぐ。
最近の仔は、随分と物事を考えるようになったと感じる。
王が知れば、仔の成長を何よりも喜ぶであろうか――
…否、己の知らぬ所で成長を遂げている事を嘆くような気がしてならぬ。
そう考える内、仔が笑みを向け――差し出すはもう片方の掌。
手を繋げば良いと言う心算か、その顔はさも名案とでも云いたげで*あった*]
―裏庭―
[陽光の竜が消えた現場に居合わせたのは、そういうわけで偶然なのだが。
そこで起こった光景には、軽く、目を瞬かせた。
一瞬何事かと。]
な、何だ?転移か?
[慌ててノーラやティルの近辺に近づく。]
…誰か引きずりこまれたっぽい。
ちょっとそこまでは捉えきれんかったけど。
[過去に接した結界とは構成が違うため、細かいところまでは流石に感知できず。]
虚空に飲み込まれる…ような、うんそんな感じ。
─東殿─
では参るとするかの。
[ブリジットに頷き返して。
途中ふと思い出しオトフリートとベアトリーチェの傍へ]
そうじゃったそうじゃった。
ベアトリーチェ殿、先日このような物を手に入れましてな。
よろしければお持ちを。
オトフリートと共に召し上がるがよかろうて。
[そう言って懐から飴玉の入った小袋を取り出す。うっかり左手で持ち差し出したために、袖から黒光りする腕輪が顔を覗かせた。
その腕輪からこの老竜が持ち得ぬ属の気配を感じ取れた者は、果たして居ただろうか]
…ぬ?
オトフリート?
[ベアトリーチェに小袋を渡すと、ハリョンの名を紡ぐオトフリートを不思議そうに見やる]
[下からの、心配そうな様子に、微笑んで。
もう片手がブリジットにいっているのも見て。]
[だけれども、他の言葉を聞くよりもまずそれ。]
――陽が、落ちた?
[驚愕が、声を(おさえているとはいえ)押し出した。
考えられることは一つで、結界のある方を見る。]
/*
補足。
「任せる」=「赤組が表で書く」でもいいし、「簡単に消え方をWikiに書いて、誰かそばにいた方に任せる」でもいいってことね。
―― 東殿・食堂 ――
引きずり込まれたあっ?!虚空って…うわああ…
[思い出すのは、天竜の言葉]
まさか、まじで発動しちゃったのかよ…虚竜王様の不機嫌…
[動く右手で思わず頭を抱えた]
[何が起きたのか、はっきりとはわからなかった。
降って来た無限の輪、その存在を見た時空竜からは、何かしら説明があっただろう。
というか、他に誰が説明できるんだよ、というか、なのだが]
……転移、とかじゃ、ない……。
揺らいで、引っ張ってった。
[やって来たクレメンスの言葉に、低く返す]
虚竜王の不機嫌……って。
そういう事、っぽい。
―東殿―
[翠樹の仔に声を掛けられ、不安な表情は消し去り、穏やかに微笑む]
あら。じゃあわたしも、なかよしさんにしてもらおうかしら。
[優しい仔の、差し出してきた柔らかい手のひらを、そっと握った。
なるべく、不安が伝わらないように努めようと、優しく微笑む]
[ 異なる気配の訪れに、影は俯かせていた顔を上げた。
硬く引き結んでいた唇を薄く開くと、熱のない息が零れ落ちる。]
……違う、な。
[ 僅か掠れた声ながら、写す対象を得て紡ぎだす。疾風の竜の言葉に同意して、小さく頭が上下に動いた。]
まったく……願う暇も、ない。
―東殿―
[ベアトリーチェには、なるべく見えないように。聞こえないように。
オトフリートへと、こくり、頷く]
もしかしたら……虚竜の王の力が、作用したのかもしれません。
[少し離れた位置に居る、天と地の竜にも視線を送る]
―裏庭―
[ティルの答えに、うへぇと眉を顰める。]
なにーこれかよ!
うっは…陽光の坊主は大丈夫かね…。
[よりによって連れて行かれたのが、まだ子供。
その事実に軽く後ろ頭を描いた。]
影響あったのはチビだけか?
傍に居て怪我とかしてないだろうな。
[その兆候はみられないが。一応の確認を周囲へと向ける。]
て、頭抱えてる場合じゃないっ!!
様子見に行ってくるっ!
[次の瞬間、いきなりすたっと立ち上がり、食堂の外へ駆け出していく。どさくさにまぎれて逃げたわけではないですよ、ええ]
―― 東殿・食堂→西殿の方向 ――
[ベアトリーチェに、ごめんねと、小さく謝って手を離してもらう。
そっと撫でて、ブリジットにお願いと目配せをして。]
[ザムエルの手首にあった腕輪を、わずかな違和感と共に見れど、それよりも今は陽光の方が強く。]
ノーラ殿が心配です。
お先に、申し訳ありません。
[そのまま、走る。
気配のある方へ。]
[皆に遅れ元より抑えた明るさだった周囲が陰りを増やす]
これは……。
陽が落ちた、とは。
……まさか。
[オトフリートが見る結界の方向をつられて見た。取り込まれた、と言うことなのだろうか。
ブリジットから向けられる視線には一つ頷きを返す]
オレは、へーき。
[クレメンスに答えつつ、立ち上がってふるる、と首を左右に振る]
陽光の、抱えてたのは、影輝のひとだから。
なんかあるなら、そっち。
……オレ、結界、見てくるっ!
[言うが早いか、走り出す。
肩から降りていたピアが、慌てたようにその後を*追った*]
[オトフリートの視線が向かった先、そしてブリジットの言葉]
ええ、可能性は低くなさそうです。
はい、分かりました。
そちらもどうぞよろしくお願い致します。
[対である存在を支えようというのはすぐに理解できる。
だから一声かけるだけで頷いて]
私は結界の様子を見に。
このような動き方をしたとあれば、ダーヴィッド様やティル様が何か分かるかもしれません。
[ブリジットがダーヴィッドを疑っているとは露と知らず。
自分では分からないことも分かる人がいるかもしれないと、歩き始めた]
怪我はない。
綺麗に、坊主だけを絡め取っていったよ。
……ったく、傍にいたのに、何も出来やしねぇ。
[ 指先に力が篭り、掴んだ腕に食い込む。
時空竜の説明の声も遠く、下げた視線は駆け出す疾風竜を映しはせぬ。]
―東殿―
[オトフリートにはこくりと頷き、願いをしかと受け止める。
その様子に、翠樹の仔は微かに不安そうな顔をしていただろうか]
大丈夫よ、リーチェ。
ちょっとだけ気になることがあるだけみたいだから。
良い子で待ってましょ。ね?
[ふわり、柔らかな仔の髪を撫でる。
それでも少し不安そうに月闇竜の背を見送っていたが、
やがてブリジットへとしがみつく様に、抱きついてきた]
様子だけ、手早く見てきましょう。
色々と難儀なことになっているかも知れませんから。
[天と地の竜へ、手早く告げて。天竜の後に続くように。
翠樹の仔をしっかりと抱えたまま、西殿の結界前へと歩き出した]
―裏庭―
お、おう。気をつけろよ!
[結界の方へと走り出すティルを見送り、自身はノーラの方を見る。
怪我は無い、と言い切るノーラの、その強く握られた指先に軽く触れる。強すぎる力を抑える為だ。癒す程ではなかったが。]
落ち着け。虚竜王になんか出来るとかあったら、それこそ剣とか揺れる奴だろうが。
一般竜には何も出来んさ。…下手に手ぇ出して痛い目見るよりはマシだ。
―西殿前―
[結界は前と変わらず、寧ろ強くなっているようにすら感じられた。無論感知に長けてはいない身、それはあくまでも個人的な感覚でしかないのだが]
[駆け行くオトフリートはそのまま見送り。ブリジットとエルザの後に付き西殿前へと向かう]
後であの二人に聞いてみるが良いかの。
少ない可能性やもしれんが、目撃者も居るかもしれん。
[エルザの言葉にそう返しながら歩みを進め]
─西殿前─
…ふぅむ、見た様子は変化なく見える、が。
[如何なるものか、とあれこれ結界を見て回る]
―西殿・結界前―
[天竜にやや遅れて、老地竜と共に、結界の前へと辿り付く]
……少し、式を覗いてみます。
[水晶の虫眼鏡を取り出し、結界術式を覗き見る。
暫く見てみると、以前よりもさらに複雑に、不規則に変化しているように思えた]
……本当に、結界自体はもうどうこうできるレベルではありませんね。
[幾分か、悔しそうに呟いて]
―― 西殿・結界前 ――
[中庭の方には気付かずに、まっすぐ西殿まで駆けてくる。ちなみに機械竜は食堂に残したままだった]
何が…あったんですか?!
[先に、その場に居た、年長の竜達に尋ねる]
明 夏玲殿が、取り込まれました。
恐らくは、虚竜王様の不機嫌によって。
[ 俯いた侭に、小さく音が漏れる。
生命の竜に触れられて、篭めていた力が僅かに緩んだ。
制御するなれば我の方が得手ではあれど、均衡の崩れた現状では、下手に発現すれば影そのものが消失する危険がある故に、手出しは出来ぬ。]
……無事なら、いい。
身体も、心も。
[ 呟きは祈るような響きを帯びていた。
月闇の竜より伸ばされる手に抗う事もない。
代わりのように、腕が解かれて手が落ちた。]
―西殿・結界前―
エーリッヒ殿。
[駆け込んできた機鋼竜を振り返る]
確認はまだ出来ておりませんが。
ハリョン殿が、中に取り込まれてしまったかもしれず…。
─西殿・結界前─
むぅ、結界を解析するはもはや難しいか。
虚竜王様は余程不機嫌になっておると見受ける。
[ブリジットの言葉に右手で顎髭を撫でながら唸った。
直後駆け込んでくるエーリッヒの姿]
どうも、ハリョン殿この場より姿を消したらしい。
可能性として、結界の中へ取り込まれたのでは、と。
[知り得る情報をエーリッヒへと告げる]
―西殿・結界前―
[掛けてきた機竜の仔へと、ゆるりと首を振る]
まだ、推測でしかありませんが……虚竜の王の力が、働いたようです。
[端的に、エーリッヒへと伝える。
そこで結界前に駆けて来たのは、風の若竜で]
ティル!今まで、どこに?それより、陽竜の――
[そこまで尋ねたところで、風の若竜は首を振るって。
裏庭で見たことを、場に居る竜たちへと、身振り手振り交えて説明してくれた]
虚竜王……
なんということを。
[呟き、目を伏せる。
結界を見れど、中の様子は見れず。]
[そうと、ノーラの髪を撫でる。
少し考え、安らぎを与えるのは、わずかにした。
あまり多ければ、狂ってしまう。それは影輝の在り方として、どうなのだろう。]
[安らいでほしいと願うけれど、
それは叶うか、*叶わぬか*]
―裏庭―
[ノーラの力が緩んだのを感じれば、手は離れる。
寄って気にかけるオトフリートの肩をぽんと叩いて、後は任せたと暗に告げながら、ノーラの傍からは少し離れた。]
…大丈夫さ。
というか、大丈夫でいてくれないと。
虚竜王と陽竜王の大戦争が始まるぞ…。
[馬鹿兄とは誰からか聞いていた。
さて弟可愛さにまともにぶつかり合ったらどうなるか。
…どっちが強いかとか考えたくはないし、意味が無い。
遠い目になったのは、仕方が無い事だと思う。きっと。]
―― 西殿・結界前 ――
陽光の?!
[天竜に告げられた名は意外といえば意外だった。あの幼竜が虚竜王の機嫌を直接に損ねるとは思い難かったし、結界を創ったものが邪魔にする程の力を持っているとも思えない]
…ほんとに、無差別なんだ…
[なんか若干、虚竜王に対する尊敬が揺らいだかもしれません]
ティルさ…ティル殿!
[もう一人、駆け込んできた疾風の竜に顔を向けた。
裏庭で何が起きたのか、それを実際に見てきたものから告げられて。そしてその判断を聞いて]
やはり、そういうことですか。
…無差別ですね。こちらはこちらで…。
[厄介なとは音にしないだけの分別は残っていたらしい。
だが眉が寄っているのを見れば、機鋼と同じようなことを考えているのは分かるだろう]
これは……懸念していたことが起きてしましたか。
[そうして、それに関する自分の推論など述べていると、ぽんと肩に置かれる手。
それに振り向くと、]
…………何処ですか、ここ。
[前振りなく、また自分の意思でもなく、彼女は居たはずの場所とまったく別の場所に*立っていた*。]
それは、御免蒙りたいな。
[ クレメンスの言葉に苦笑らしき気配が滲んだ。
どちらが勝とうとも、良い結果を生まないのは間違いない。]
……悪い、心配かけた。
参ってる場合でもないな。
[ 視線の先を追う事はせぬものの顔を上げ、静かに謝罪を告げる。
天秤の傾きは未だ僅かなれど、水面に広がる波紋は確かに影響を与える。そも、浮かんだ先の表情ですら、その証と言えよう。]
―裏庭―
…ちと、結界見てくるわ。
[そう言いながら、足は西殿の方へ]
―→西殿―
[西殿の結界前に集まった竜らに近づき。]
どうだ、こっちは変わりは。
[無いかと尋ねながら。]
─西殿・結界前─
[少なく情報交換をしている最中に駆け込んでくるティルの姿。伝えられるは裏庭での出来事]
ぬぅ、虚竜王様の不機嫌がハリョン殿を取り込んだと言うことか。
無限の鎖によるものとなれば、まず間違いはあるまい。
…無差別の中に少しくらい親切心が混ざっていることを願うとするかの。
[光竜王の傍へ置くために、と考えれば少しは揺らぎそうな虚竜王の体裁も保てるだろうか]
―― 西殿・結界前 ――
[疾風竜からも、確かに陽光の仔が消えたことを聞き、大地竜と氷破竜の推測にも頷く]
竜王方がいらっしゃる結界の中だから…外より危険ということもないだろうけど…
[今まで近付きはしても触ったことのない結界に、動く右手を付いて、中が覗けないかというように目を眇める]
[そうして抱き上げた小猫を東殿内の天聖の使用人達に渡し、青年は再び外へと出た。
乱れた心の動きが幾つか――幾つも感じられた]
………。
[僅かな逡巡を経て西殿の結界へと向かう]
―西殿・結界前―
やはり、難儀になってきましたね。
本格的に、色々と対処を考えないと――
[そこで、抱えている翠樹の仔の表情が、薄く曇っていることに気付く。
余計な話を聞かせすぎてしまったろうかと、少しだけ悔やんだが、]
大丈夫、そんな顔しないで?
私やオトフリートも居るし、他の竜たちだっているから。ね?
[優しくあやすように、ベアトリーチェの背を優しく撫でた。
そこで聞こえてきたのは、命竜の言葉で]
―西殿・結界前―
こっちは……、ということは。あっちのは、既に知っているのね。
[ひらり、翠樹の仔を抱える方とは逆の手で、手を振り]
結界が、さらに不安定に、不規則になってるの。
それ以外、大きな変化は無いようだけど……。
[命竜へ、ゆるりと首を振るった]
─西殿・結界前─
[更に現れたクレメンスに右手を挙げて]
結界がまた複雑になったようじゃ。
…ハリョン殿が取り込まれたと言う話は聞いたか?
[相手の問いの答えを返し、重ねて問いかける]
[去り際に、ノーラには返事もせずに片手を振る。気にするな、とでもいうように。]
―西殿・結界前―
結界が…?ってことは、また何か加わった、とかか?
[結界には詳しくない。そう再び問いながら、逆に問われた事には。]
ああ、聞いたというか…見た。
綺麗にチビだけ攫って、抱いてたノーラ殿には影響なかったらしい。影響少ないのは幸い…かね。
[ブリジットとザムエルにそう答える。]
─西殿・結界前─
加わったと言うよりは……虚竜王様の不機嫌が増したのではないかの。
ほぼ推測じゃが。
[ブリジットの話を聞く限り、複雑にしている原因が虚竜王の不機嫌だと感じ取っていたり。クレメンスにそう返しつつ、返ってくる言葉には]
ぬぅ、ノーラ殿が共に居たのにハリョン殿だけを、か。
その精度を流石と言うべきなのかは良く分らんが。
―― 西殿・結界前 ――
[手を離して、年長者達の所へと近付く]
クレメンスさんも見てらしたんですか?
俺、思うんですけど、結界そのものより、虚竜王のご機嫌を治す方法を考えた方がいいんじゃないでしょうか?
―西殿・結界前―
クレメンス様。
[やってきた生命の竜に顔を向けた。
変わりは無いか、という言葉には、悩みながらも頷いて]
そうですね。
中には養父もいるようですし。万一のようなことは起きないと、そう思いますが…。
[エーリッヒに対するのが煮え切らない言い方になるのは、格別の結界などはないとはいえ、東殿の中にまで迷い込んで来ている混沌のカケラの存在が頭の中を過ぎるからで]
そう、ユーディット様は何かご存知でしょうか。
虚竜王様を一番良くご存知なのは、あのか…。
[そこまで言って、今度こそ不自然に言葉が途切れた。
目を何度も瞬き、周囲を見渡す]
―西殿/結界前―
[既に集まっている者達の話から大体の事情は察せられた。青年の眉が寄り、手が動いてさっきまで抱いていた小猫の毛を払う]
さらに不安定に、不規則に……ですか。
また、取り込みが起こる可能性も?
[詳しそうな大地と氷破の竜に問いかける]
―西殿・結界前―
[クレメンスの問いには、ふるりと首を振るって]
加わったか何かは、軽く見ただけでは分からなかった。
ザムエルの言うとおり、虚竜の王の不機嫌成分かもしれないし、
単に、各属性のバランスが崩れているからとか……そういう、理由かもしれないわ。
[翠樹の仔の背を撫でながら、少しだけ困ったように答えた。
そこで聞こえたのは、不自然なところで途切れた、天竜の言葉で]
……エルザ?
―西殿・結界前―
[アーベルの問いには、一度だけ頷いて]
スパンが短くなるかもしれないし、複数取り込まれるかも、しれない。
それこそ、機嫌しだいかも。
[眉根を寄せて、呟くように答えた]
―― 西殿・結界前 ――
[天竜の口から出た時空竜の名にこくこく頷く]
ああ、それ!ユーディットさんなら、虚竜王を宥める手だても知ってるかも。…て、どうしました?
[言葉を途切れさせた天竜に首を傾げる]
そんな、いつの間に。
でも時空は居るだけで、分かる、もの…。
[胸元をギュッと握り締める。チャリリという鎖の音が鳴る]
どう、して。
結界の傍にいたのに。分からない、なんて。
─西殿・結界前─
…ふーん。流石に俺じゃそこまでは分からんのが。
流石年の功?
[ザムエルの推測に、ちらと顔を見て言い、へらり。
実際はおそらくクレメンスの方が年上ですが。]
うはは、確かになぁ。
…流石ついでに、その辺の石とか草とかで我慢してくりゃ良かったのによ。よりによってチビからとは。
─西殿・結界前─
虚竜王様のご機嫌直しを思いついたとて、どうやって実行するんじゃい。
[エーリッヒの提案に浮かんだ疑問を口にする。アーベルの姿を見つけると、その言葉にも頷いて]
虚竜王様の機嫌が直らぬうちは引き寄せられる可能性は高かろうて。
それこそ封から解放されるまで続くやもしれん。
[そう返したところでエルザの言葉を聞く]
そうじゃな、ユーディットに聞けば何かしら……エルザ?
如何した?
─西殿・結界前─
[エーリッヒにもちらり。
…とりあえず左手をぐいと無理やり掴んだ。
強制的に癒しを注いでみるが、効果があったかはわからない。]
方法、あると思うか?
原因の虚竜王はあっちに居るってのに。
[手の届かない竜の機嫌の直し方とか流石に思いつかないといわんばかりに。
ちなみに手は掴んだまま。]
[ビクリ、と全身を強張らせた。
詰めていた息を吐き、ブリジットやエーリッヒがこちらを向いているのを見れば、何度か頭を左右に振って]
…すみません。
ユーディット様が今まで何処にいらっしゃったか、ご存知の方はおられませんか?
[感情を押さえ込むような、作られたような平板な声で尋ねる]
私は……丁度、ザムエルの雷から逃げた辺りしか、分からないけれど。
[エルザの問いに、ふるりと首を振る。
抱きかかえた翠樹の幼子も、起きていれば首を横に振るっただろうか]
―西殿・結界前―
んー…結局不明なのか。
なんなんだかなぁ。
[ブリジットが首を振り補足してくれたのには軽く頷いて返す。
アーベルの問いと回答を頭に入れながら。
氷竜が天竜の名を呼んだのを聞き取り、同じようにエルザの方を見た。]
どうした?…ん、ユーディット?
さっきまで裏庭にいたはずだが。
[ほの少し前まで一緒だった、ティルを見る。同じように頷いただろうか。]
─西殿・結界前─
……お主の方が長生きしとるじゃろうて。
[年の功と言いながらへらりと笑うクレメンスにじと目]
それで満足するようなお方でもあるまいて。
無差別であるらしい以上、誰が取り込まれてもおかしくはない。
[ユーディットに関してはブリジットと同じために、そちらの言葉に同意するように頷く]
―― 西殿・結界前 ――
[ザムエルの、どうやって、という言葉に、ぱちぱちと瞬き]
えーと、ほら、ここで虚竜王様の気に入りそうな歌とか踊りとか演じてみるとか。駄目でしょうか?
[そんな事を言ってる端から生命竜に腕を引っ張られる]
わわ…!
[癒しの力が注がれたのは判った。だが…]
あ、すみませんクレメンスさん。こっちの腕はその…生命の力は及ばないんです。
[申し訳なさそうに笑うと、手袋をずらしてメタルの腕の一部を見せる。有機の生命は無機の生命とは近しくも遠い物。それが対の一つである意味だったから]
でも、ありがとうございます。
[ぺこりと一礼した]
ええ、そこまでは、私もご一緒しておりました。
[ブリジットの言葉には小さく頷き]
裏庭に、ですか。
[クレメンスやティルの反応に東殿の方を向く]
確かに、時空の方なれば。場所を動くもあり得ましょうが。
それでも、ここまでは…ありえない。
[視線を転じるのは、傍にある結界]
―西殿/結界前―
[ブリジットの答えに目を伏せて考え込む]
スパンが短くなるのも複数も、困りますね。
そもそも十五竜王を封じている結界に更に力強き者を取り込めば、いつかは限界が来る。
[禁断の知識から引き出した智すら、限界を超えた結界がどうなるのかを教えてはくれず眉間の皺が深くなる]
─食堂─
…んぁ、ちょっと待って俺も、、
[様子を見てくると出て行くエリィを追おうとして、ふと思い立つ。]
あー、やべ。触媒取ってこなきゃ。
[自室へ寄り道した後、結界の方へ。]
─西殿・結界前─
結界の中からこちらを見聞き出来るかも分らんと言うに。
そもあのお方が好む歌やら踊りが思い浮かばぬ。
[しかしそのような発想の出来る機竜の仔にこんな時だが面白げに笑みが零れる。
ありえないと言いながら結界に視線を転じるエルザを見て、つられ結界へと視線を向ける]
…まさかとは思うが。
気配が感じられぬと言うことか?
―― 西殿・結界前 ――
あの、まさかとは思いますけど、ユーディットさんも虚竜王の不機嫌に巻き込まれてたり?
[最早、その発想しか出て来ないようです]
─西殿・結界前─
うはははは!まぁな。
おいさんハイカラ品なんか見に付けられないくらいおいさんだしな!
[ザムエルにじと目されてもへらりへらり。
暗に何を言ったかは、おそらく当人には分かるだろう。
エーリッヒの手袋の下をみて、ようやく手は離される。]
ああ、やっぱりか。
念のためって、一応試してみたんだが…ちょっとしか入れなくて良かったわ。
[一応節約はしていたようだ。礼には、必要ないと首を振る。]
…んでも、何でそんな折れたみたいになってんだ?
[それは少し怪訝そうに。]
―西殿/結界前―
[そうしてザムエルから返る言葉に視線を上げる]
不機嫌が直るには…他に方法は無いでしょうね。
[大地の竜の言葉に頷き、彼の視線を追って天聖の竜を見た。もちろん視線を合わさぬよう左の手の甲をだが]
…ご機嫌直しったら…天岩戸作戦くらいしか思いつかないや。
[わらわら集まってるみんなに合流しつつ、ぽつり。]
で、どうしたんさ!?
なんか取り込まれたっぽいってのは判ったけど!
―― 西殿・結界前 ――
[ザムエルの言葉には軽く首を傾げる]
だって、内側から強化されて中が見えなくなったんでしょう?竜王様方も、外の様子が全く気にならないわけないし、中からは見られる手だてを残すのが普通じゃないでしょうか?
確かに、虚竜王様の好みは判りませんから、それをユーディットさんに聞けばって思ったんですけど。
[一応理屈はあるみたいです、はい、機鋼の仔ですから]
[殆ど塞がりかけ、力を取り戻してきていた左手甲に、僅かに爪を立てる。完全に傷をつけるほどではないが、強まる天聖の気配]
無限なる虚は閉じている。
だからこの竜卿の中に在れば、その気配は特に目立つはず。
なのに。
[キリ、と奥歯を噛み締める]
――時空竜の気配が、何処にも、無い。
この結界以外に。
―西殿・結界前―
……あまり想像したくないですね、それは。
[限界、というアーベルの言葉に、思わず眉根を寄せる。
ふと気付くと、翠樹の仔竜は、寝息を立て始めてしまっていた。
疲れが出たのか、難しい話についていけなくなったのは分からないが。
黄蛇――ナギが、ブリジットへと申し訳なさそうにして来たが、
ゆるりと首を振って、気にしないようにと伝えた]
―西殿/結界前―
[そこで耳に届いた微笑ましい機鋼の仔竜の言葉に、眉間の皺がゆるんだ。口元の微笑も僅かに戻る]
そもそも、どうやって見せるかの問題もあるけれどね。
[結界内から外が見えるのかはわからないと呟く]
……難儀なことは、重なりますか。
[エルザの言葉に、ゆるりと首を振るった]
時空の竜である彼女が取り込まれるとなると……
本当に無差別なのか、あるいは、側近として呼ぶように、取り込んだか。
─西殿・結界前─
虚竜王様の不機嫌による取り込みは一人だけを綺麗に絡め取ったらしいぞぃ。
ハリョン殿を抱えていたノーラ殿には全く影響がなかったそうな。
じゃから巻き込まれたと言うのは考えにくいのでは無いかの。
[エーリッヒの疑問には推測を交えて答え]
じゃからあれはせがまれて仕方なくじゃよ。
お主も貰えるような相手でも作ればよかろうに。
[クレメンスには若干の反撃]
[傷を押さえ、深呼吸を一つ]
「取り込み」…どうでしょう。
確かにユーディット様であれ、王のお力には抗しきれないものかもしれません。
ですがそうであれば。ティル様やダーヴィッド様がもっと確りと感じ取っても良いとは思われませんか?
……とても嫌な予感がします。
[結界を見つめているため、アーベルの視線には気付けずに。
左手を押さえる右手からは、天聖と微かに混じる流水の気配。それは何かを補助しているようにも感じ取れるか]
[氷破に諭されて、声を落とす。
腕の中で寝息をたてている小さな姫には、思わず目を細めた。]
…こんなときだってのに、無邪気なもんさなぁ。
[寝顔に頬も緩み、そっと金糸の髪を撫でてみたり。]
虚竜王だけが、結界の中へと引き込むとは限らない。
…白髭の天竜卿の例もあるだろう。
王たちを封じたものなら、他のものを封じる事も出来るんじゃないか…な?
[迷いながらも、まとまりかけた言葉を。
半分くらいは経験則。]
─西殿・結界前─
[アーベルの返答には、じゃよなぁ、と少し溜息を漏らす]
……お主エーリッヒと同じようなこと言っておるな。
[現れたダーヴィッドには挨拶後に小さな突っ込み。エーリッヒから考えの詳細を聞くと]
ほむ、それも道理じゃな。
…とは言えユーディットが居らんではそれも難しくなったわけじゃが。
[僅かに眉根を寄せた。
左手甲に爪を立てるエルザに気付けば、その手に己の手を添えて制止しようと]
[流石に動揺をすべて押さえ込むことは出来なかった。
不安定な心は不安定な力を呼び起こす。だからそれを押さえ込むために、身に着けた天聖の強き力を無意識に頼っていた]
─西殿・結界前─
おま…機械が寝違えるとか あるか!
[機鋼竜を、べしぃと叩けないのは性故に。
それも気にはなるが、ユーディットが取り込まれた事には軽く眉を潜めた。]
な…何時?さっきまで居たってのに。
[ちらり、向こう側、裏庭へとこの位置から向く。
ノーラとオトフリートは何か見ていただろうか、それとも、すでにその場からは離れたか。]
―西殿・結界前―
私としては、こんな事にはあまり巻き込みたくありませんでしたが。
[少しだけ苦笑し、若焔が翠樹の仔を撫でる様子を見ていたが]
……そう、か。
ギュンターと同じくして、何者か――揺らされたものたちによる、可能性も。
[仔を抱えたまま、微かに不安げに。
そして、暫くの間、考え込むようにしていたが]
若焔の。負担が掛かっているかもしれませんが…
例の探査は、もう行えそうなのですか?
―― 西殿・結界前 ――
そうか…そっちの可能性も…
[皇竜の側近と同じ事が起こったのかもしれないという指摘に、目を伏せる]
だったら……
[僅かに顔を歪め、唇を噛んだ]
…はい。
私も、それが一番有り得るのではないかと。
そう。
[ダーヴィッドに震える声で同意し、頷いた。
ザムエルに手を取られれば、ハッとして右手を左手から離した。
残り香のように残った天聖の気が傷を覆い、刻印の効力を少しずつ取り戻してゆく]
─西殿/結界前─
[時空竜が消えた話に関して青年は何も言わず全てを記録していく。そして取り込まれた光竜の仔に関する話や心の動きも。
エルザの左手を見つめるように固定されていたレンズ越しの紺碧が、視界に入って来た大地の手に揺らぐ]
……痛むなら抑えましょうか。
[精神の属性持つ竜が、重ねられた手へと指を伸ばす]
あぁ、増幅かければそろそろいけるとこ。
[問うてくる氷破の視線に、自分へと向けられた感情を感じる。
それが怯えなのか、不信なのかは判らないが。]
…失礼。
[触媒として選んだ香草は、冷え切った香りのするもの。
揺らぐ炎は、純白に近い蒼。]
─西殿・結界前─
は、一体誰にせがまれたのか。
飴玉抱えてた時はつけてなかったってのにな?
せがまれるほどの強い念が篭ったもん、身につけるとか俺は怖くて無理かもな。
[へらり、土竜の反撃には応酬を。
笑みながらのそれには、あまり力はないだろうか。]
─西殿・結界前─
…全く、むやみやたらと爪を立てるでない。
[その小言はエルザへ向けたもの。
アーベルの指が伸びてくれば、己の手は引っ込める。エルザの手に添えていたのは左手。引っ込める際にふわりと袖が小さく舞い、黒光りする腕輪が顔を覗かせる。そこからは微弱ではあるが、アーベルが慣れ親しむ精神の気配]
―― 西殿・結界前 ――
[落ち込みつつも、氷破竜の言葉を聞くと、ダーヴの方へと視線を向ける。立ち上る冷気に似た香草の香りに表情を引き締めた**]
…あ。
いいえ、大丈夫ですので。
[強張っていた手は、引くのが一瞬遅かった。
触れられたアーベルの指には天聖と流水の気配、そしてどこか冷たい金属の気配が感じられただろうか]
これは、その。
本来するべきではないことだとは分かっております。
力への対価を、歪める訳には参りません。
[そっと、手を引こうとする]
─西殿・結界前─
[ダーヴィッドが触媒を使用する様子に視線をむけつつ。
クレメンスの言い返しには]
その後に貰うたのじゃから仕方あるまいて。
お主じゃったら呪われたもんを押し付けられてそうじゃな。
[儂のは違うわい、と言ってしれっと返す。だんだん腐れ縁との言い合いの口調に近付いてきたやも]
[ふわりと揺らぐ炎は、熱を帯びぬもの。
幼子を抱く、見た目だけは少女の竜の周りを、ゆっくりと巡るように舞って。
まるで鳥のように指へと降り立ち、燃え尽きる。]
…あぁ、ごめん杞憂。
結界にずっと近寄ってたから、その匂いが移ってただけっぽい。
少なくとも、貴女が経路にはなってないのは確実。
─西殿・結界前─
[ダーヴィットの煙はただ眺めるのみ。
軽く、口の端が上がっていたかもしれない。]
そんな短時間に出会うとか、じさまどんだけ顔広いんだよ。
うはは、だしょ。俺が見つけると絶対そうなるって。
てわけで。ザム爺紹介してくれ!
[けらけら笑いながら、肩を組むように近づいて。]
影輝と精神の気配がする妙な代物くれる、気前のいい竜をな。
[へらり、声色は少し薄まったか。]
[不思議なことに、熱さを全く感じさせない炎。
巡るように回った後、若焔の指へと降り立ち、消え行った]
……お墨付きを頂いた、ということかしら。
[ほぅ、と軽く息を零し、呟いた]
─西殿・結界前─
[指が触れる前に老竜の手が引かれていく。そこから感じるのは微かだが青年がよく知る精神の気配。レンズの奥の紫紺が何かを探すように揺らいだ]
………。
[そちらに気を取られた為か天聖と流水の気配は極僅かに、冷たい金属の感触が指に届いた。けれど、断りの言葉に指を引く]
……そうですか、余計な手出し失礼しました。
[女性の手に触れた無礼を詫びるように頭を垂れる青年の口元には、いっそ優しいまでの*笑みが浮かぶ*]
[若焔の探査に気を取られていた為か。
命竜と地竜の、心竜と天竜のやり取りは良く聞こえずに]
……?
[微かに首を傾げ、辺りを見回すが]
─西殿・結界前─
ほむ、此度はブリジットを調べたと言うわけか?
[ダーヴィッドの動きを終始見やり。終わったらしいこととその結果を聞く。
そちらに確認を取っていたためにクレメンスには肩を組まれ]
儂ゃ各地に教え子が居るぞ?
竜都に居ってもおかしくないわい。
[そこまではふん、とふんぞり返るように言っていたが、続く言葉には眉根を寄せる]
……お主に紹介するは勿体ないわい。
自慢の教え子を傷つけられては敵わん。
[その視線はクレメンスを鋭く射抜く]
―西殿・結界前―
いえ…いいえ。
お心遣いに感謝致します。アーベル様。
[小さく首を振り、感謝を述べる。
口元に浮かんだ笑みが見えれば、戸惑うように眉が落ちるか]
ブリジット様は、違う。
良かった…。
[ブリジットの声にそちらを振り向き。
ふわりと浮かんだ笑みがいつもより明確だったのは、見たばかりのそれに釣られたからもあったのだろうか。
安堵の息を吐き、胸を撫で下ろす]
[少し躊躇いもあったが、若焔へと近付いて行き]
大丈夫、ですか?
[翠樹の仔を抱えたまま、焔の竜を気遣うように。
そのタイミングで、エーリッヒが何時ものように駆けて来るだろうか。
機竜に任せれば安心だろうかと、困ったように笑み、一歩下がり]
―西殿・結界前―
結界に感けてばかりいたおかげで、
若焔には、余計な気を掛けさせてしまったようです。
[探査した理由を思い浮かべながら、苦笑気味にエルザへと呟く。
足元がふらつくのを見ると、翠樹の仔を抱えたままだというのに、押さえに回って]
ととと。
─西殿・結界前─
へぇ、氷竜殿をな。
んで問題なしってか。…良かったというべきか、ね。
[ダーヴィットの結果に、ザムエルの肩を組んだまま、顔をあげてへらり。]
なる、その可能性もなきにしもあらずって奴か。
うははははは!俺が傷つけるとか出来ないの知ってるくせにぃー。
[へらり、肩を組んだまま顔を寄せて。引く囁くような声で。]
…安心しな。羨ましいからって無理にひっぺがしたりなんかしねぇよ。
[鋭い視線に、薄い笑み。
軽薄な笑みは、命竜の常。すでに仮面となって張り付いて、嘘を真と変えてしまう。
どこまでが、嘘か真か。
内には確信。その強い視線と否定のない言葉が、それがやはり影輝と精神の力を帯びている事を語っていた。]
探知は向かない。それは事実。だからカマをかけた。
それがほぼ当たりであるだろう事に、にぃと笑みをうかべ、組んでいた肩を離した。]
ぁー、だいじょぶ、だいじょ…ぶ。
[触れた者は、その肌が思った以上に冷え切っていることを感じるはず。
ぺたりとその場に座り込んで。]
…あ、れ……?
[何とはわからぬが、大きな力の塊。
そんなものをふと感じて、青い目を瞬いた。]
っ、申し訳ありません。
[翠樹の仔竜を抱えたままのブリジットに支えられれば、急いで身体を立て直そうとする。
近くの樹に腕をつき、どうにか立ったままではいられたが、その疲労はもはやピークに近かった]
─西殿・結界前─
傷つけるとは何も物理的なことには限らん。
[クレメンスが出来ないのは物理的な物だけ。そして傷つくのは身体だけではない]
……貴様にその力はないじゃろうからな。
のぅ?
傷つける力のない生命の竜よ。
[返す言葉はやはり低く小さなもの。
相手が真に腕輪のことに気付いていたかは定かではない。しかしわざわざ言ってくると言うことは、疑っていると言うこと。そのような行動をしてくるであろう人物は限られている。故に敢えて隠すようなことはしなかった]
[己を囮とせんがために]
―西殿・結界前―
[今にも冬眠してしまいそうな若焔を、機竜が慌てて部屋へと引きずっていく。
あの様子だと、毛布を三重にも四重にも被せそうだな、などと感じながら。
「ダーヴの馬鹿ー!」とかそんな声が聞こえてきたかもしれない]
[姿勢を直そうとするエルザの姿を見ると、心配そうに]
あれほど皆に言われたでしょうに。……といっても、仕方ないですね。
歩いて、部屋まで戻れますか?貸せる肩が無いのだけれど……。
ザムエルに任せるのもあれだから、クレメンスかアーベルか……
[そこまで言ったところで、辺りを警戒して見て回っていたティルが戻ってきて。
「大丈夫かよっ!?ふらふらじゃんかっ!」などと、エルザに声を掛けたろうか]
―西殿・結界前―
一度、東殿で休んだほうがよさそうですね……。
この仔もちゃんとした所で、寝かせてあげたいですし。
[少しずり落ちて来た翠樹の仔を抱えなおして。
ナギがまた身を小さくして申し訳なさそうにしているのを見て、微笑み首を振る。
ザムエルから抗議の言葉が聞こえてくると、]
あら。少しお疲れかな、と思ったのだけれど。
[困ったように微笑みを浮かべる]
―西殿・結界前―
ティル、エルザに肩を貸してあげてもらえますか?
アーベルは、念のため回りに気を配ってくれないかしら。
[そこまで伝えたところで、暫く話し込んでいたらしい命竜と地竜へ向けて]
積もる話があるなら、一度休むなり、場所を変えるなりしましょう?
[そう、声を掛けた。
低く、小声でのやり取りは、幸いにか不幸にか、ブリジットには聞こえなかったようだ]
―西殿・結界前―
[ダーヴィッドの視線を感じる余裕も無く。
何度か浅い息を繰り返して眩暈をやり過ごす]
はい、申し訳ありません。
ご迷惑をお掛けするつもりは…。
[項垂れて答える様子は、どこか幼さすら垣間見えるか]
大丈夫です。
ゆっくりと戻れば、何とか。
[それでも手を貸そうとされれば、今度は大人しく受け入れることになるだろう。
部屋に戻り一人になって気を緩めれば、眠るというよりは気を失うに近い形で意識を手放す*ことだろう*]
─西殿・結界前─
あら俺超優しいのに。
[言わんとするものは分かり。ゆえにあえて軽く返す。]
ああ、俺はそれを許されちゃいないからな。
竜王にじゃねぇ。『俺を取り巻くモノ』にな。
[生命の竜と。普段なら決して呼ばない呼び方に声は小さくなり。
伝える言葉の一部はおそらく、ブリジットであれば理解できただろうものだが、地竜には分からないだろう。]
大事なものは大事に閉まっとけ。
泥棒にあっても知らないぜ?ザムエル。
[それは忠告めいていたか、それとも。]
─西殿・結界前─
む。
まぁ、それは否定せんが、の。
[何せ昨日夜通しで郷まで行って、寝ずにそのまま戻って来てるし]
話は終わったぞぃ。
儂も少し休んでくるとするわい。
[ブリジットにそう返し。
クレメンスの傍から離れる前にそちらを振り返り]
いい加減な部分しか見とらんから知らんわい。
[最初は軽い口調。続く言葉には疑問を浮かべたが訊ねるまでには至らず。忠告らしき言葉には]
ふん、そこまで落ちぶれてはおらんわい。
じゃがまぁ、ありがたい忠告として受け取っておこうかの。
[最後の言葉には厭味にも似た響きが含まれていただろうか。
それを最後に、残る者に挨拶をしてから西殿前から東殿へと移動し、宛がわれし一室にてしばしの休息を*取ることだろう*]
─西殿・結界前─
んでそっちは大丈夫か…?
[爺から離れ、何か冬眠こきかけてる焔竜と、ふらふらしている天の娘と、子連れの氷竜にややあって近づいて。
焔竜は仲良く(?)機竜に連れて行かれたのでおうおうと見送った。
エルザはティルの肩を借りるようで。
なら自分の手は空いているが。さて。]
氷竜殿、チビ抱いてて疲れたんなら手は貸すけど。
[一応、そう声はかけるが。ベアトリーチェがむずがる様なら、強制はもちろんするつもりもなく。]
─西殿・結界前─
んーその予定。
っても、さっき起きたばっかだからあんま疲れてもないんだけどな。
[へらり、氷竜に促されれば足はそちらに向けられるか。]
―西殿・結界前―
ええ、こちらは何とか。見ての通りという感じね。
[微かに笑みを浮かべるも、少し疲れた様子は否めなく]
抱っこは、さして苦ではないので、大丈夫。ちょっと、気疲れかしらね。
[若焔に探査されたことを思い浮かべながら、命竜だけへ聞こえるように。
もっとも、ナギ辺りには聞こえてしまっているかもしれないが、そこまでは気が回らず]
……ザムエルとは、何を話していたの?
─西殿・結界前─
気は回復対象外だからなぁ。ゆっくり休憩するのが一番だ。
へぇ、手馴れてるのな。
[ベアトリーチェを抱くブリジットを感心したように見ながら。]
明日の天気、って言っても信用しねぇか。
[へらり、軽く笑うが。少し…いや、結構な時間考えて。]
…剣を。
爺さんが持ってるかも知れない、ってな。
[結局、口にした。]
―西殿・結界前―
氷竜を何度も一人前まで育て上げてますからね。
[少しだけ、穏やかな笑みを浮かべて返す。
軽口の後、かなりの時間が経過した後に、告げられた言葉は]
……それは、本当?
[さすがに、目を瞬かせて、問い返した]
―西殿・結界前―
なるほど、乳母さんか。
[何となく氷竜王との関係を察知し、軽く笑みながら。]
…さあな。確定はしてねぇ。
けど可能性は高いと思ってる。
あ、できればこっちは他言無用確定で頼むわ。
どうしても…必要に迫られたらしゃーないけど。
[告げる言葉はブリジットに向けて。
ナギの存在は、今はベアトリーチェの存在に隠れ忘れてしまっていた。]
―西殿・結界前―
ええ、乳母さんです。
あの子にとっては、叔母でもあるんだけれど、ね。
[少しだけ振り返り、結界の奥に思い馳せる。だが、直ぐに首を振って]
可能性は高い、か……。
……度々だけれど。私になんて言って良かったの?
もし私が揺らされてたりしたら、どうするのかしら。
[いくらか高い位置にある命竜の双眸をじっと見た]
―西殿・結界前―
成る程、そいつぁ心配…だな。
[同じく結界を見る。見れば思い出すのは自身の王。
したたかさも兼ね備えている王だ。よろしくやっているとは思うが。
…むしろ、放浪癖のある影竜王と長いこと一緒にいれて、喜んでたらどうしようと今ちらりと思った。]
うはははは。したら昨日の時点で言ってねぇよ。
さて言ったのは…なんでだろうな?
何かあった時、情報知ってる奴は少ないながらも居た方がいいって思ってる、ってのが一つだな。
それがハズレだった場合は、俺の見る目は無かったんだろうよ。
[見下ろすように、氷竜の翠色の双眸を濃い茶灰の瞳で見返す。
口元には常の笑み。概ね、嘘は言っていない。
裏に別な意図も紛れてはいるが。]
―西殿・結界前―
まぁ、おろおろしてそうだけれど。
あの子もなんだかんだで、強い子ですから。
[氷霧の園の長、姪の姿を思い浮かべながら、優しげに呟く]
何かあった時……か。確かに、それは一理あるわね。
見る目が無かったかどうかは……どうでしょうね?
[茶灰の瞳、口元には何時もの笑みが浮かんでいて。
その真意を量り取る事は、出来なかっただろうが]
……さっき、見ていたかもしれないけれど。
若焔からの探査は、潔白だったわ。
正直に、正直に言えば。
今の所、若焔を疑う理由は無い。貴方の言葉以外では。
だから余計に悩ましいのだけれど……。
[ほぅと息を零して、]
―西殿・結界前―
まぁ大人しくしてくれるだけで大分違うと思うしな。
[暴れる王は一人二人で十分です。それでも多いっつーに。
実際何人いるかは良く分からないのだが。]
おいさん見る目は培われてると思うんだけどなー主に年の功で。
[口にするのは軽口と笑み。
ダーヴィットの例の感知に関しては頷いた。]
ん、とりあえず良かったな?大手振って歩けるわけだし。
前も言ったけど、信じる信じないは氷竜殿の好きにしていいんだぜ。
俺が怪しく思ったら、俺を糾弾すればいい。
ダーヴィットを信じるかどうかは…まぁ、それもだな。
何か文句言う時は多分俺になるんかもしれんし。
[そしてふたたび見上げ呟かれた言葉には。]
―西殿・結界前―
後者だ。
オトフリートは揺れるものとは関係ないみたいだぜ。
[そう囁きけば顔は離れ。
軽薄な笑みを浮かべながら、足は東殿の方へと*向かう。*]
―西殿・結界前―
あんまり当てにならない気がするのは気のせいかしら。その年の功。
[軽口には軽口の応酬を送って]
まあ、大手を振って……振って、良いのかしらね。
[現状では、若焔を疑っているものは居ない。
微かにでも疑っているのが自分となれば、皮肉だなとも思う]
信じる信じないは、私の自由……、ね。
よっく、覚えておきます。まったく……まったくもう。
[少しだけ、どこかむくれるようにした後に]
―西殿・結界前―
そう。……オトフリートがそうでないのを喜ぶべきか、
揺らされるものが見つからなかったのを残念がるべきか。
前者、かしらね。
[軽薄な笑みには、困ったような視線を向けるだけで。
東殿の方へと向かう命竜の後をついて行くように、歩いていった]
―東殿・翠樹の個室―
[東殿に付けば、各々バラバラになり。
ブリジットは、寝たままの翠樹の仔を、個室へと運んでいった。
優しくベッドへ寝かしつけると、そのまま部屋を後にしようかとも思ったが。
色々な疲れがまた出てきたのもあり、起きた時に傍にいたほうが安心するだろうか
という考えもあり。
ナギに何か言われたかも知れないが、笑顔を向け、首を振るった。
そして氷竜は、翠樹の仔の手を握るようにして、ベッドにもたれ掛かった。
睡魔に襲われて眠りに付くまで、そう長くは*掛からなかった*]
─東殿・自室─
[東殿につけば、各々バラバラになり。
クレメンスは自分の部屋へと戻った。
入れば腕を組んだまま扉に凭れかかり。
口を開く前に一つ、大きめの溜息をついてから。]
さて…朗報だ、二人とも。
『――――剣の可能性の高いモンが見つかった。』
[呟いた言葉は、*心の中でだけ囁かれる。*]
―裏庭―
[しばしの間、そうと撫でていた。
己の動揺は静まる。それは月闇だならだろう。
薄暗い空は望みでもあった。]
大丈夫ですか?
[均衡は取れていまい。
だが声を続ける。]
虚竜王様は、なにをお考えなのでしょうね。
あの子がいないと、苦しむとわかっておいででやったのでしょうか。
[苦い心がこぼれる。]
だとしたら、恨み言を申し上げたいもの。
……ノーラ殿
[小さな声で囁き、身を離す。]
私は、あなたが望むものを手に入れるのに、協力しましょう。
[陽光の落ちた場は、闇の気配が漂う。
三対の片が崩れたのだ。
間の影は――傾くだろう。]
[浮かべた微笑みは、気づかれぬように中庭の方へ向く。]
あちらに。
皆がそろっているようです。
行きますか?
[問いかけ、すべてはその意の儘に**]
─西殿・結界前─
[走っていった先には既に数人集まっており。
問われるまま、自身の知る事を告げた。
話すだけ話した後は、結界に両手を当てて、周囲の風を呼び集め]
…………。
ん。
中に、気配、感じる。
でも。
[未だに、感じている違和感の存在に変化はない。
つまり、状況は大きく変わってはいない、という事で]
……虚竜王も、引っ張るなら肝心の引っ張れよなあ。
[不機嫌に無茶な注文してます]
[というか、仮に虚竜王が「揺らされたもの」に不機嫌をぶつけたらどうなるのかとか、そこまで考えてるかはさておいて。
集めた風をそのまま探知のそれへと転じ、周囲を伺っていると、時空の話題]
え?
時空の姉さんなら、さっき裏庭にいたけど……。
[いつの間にか来ていたクレメンスにも頷いて肯定。
その後の、彼とザムエルのやり取りに、青が少しだけ険しかったのは、先の上空でのやり取りがあったが故か。
とりあえず、もう一度結界の中の気配を追ってみようか、と思ったものの]
て、ちょ!
大丈夫かよっ!? ふらふらじゃんかっ!
[それより先に、ふらつくエルザが目に入り意識は一時、そちらへと]
― 裏庭 ―
……そのようなことは、ないでしょう。
それに、皆様のうちの誰であれ、
苦しまないものがいないということもありません。
[ 重い溜息と共に言葉を吐き出す。触れる手よりは闇の気配。少しずつ、沁みゆくようだ。]
……個々の属ゆえに。
[肩を、というブリジットの言葉に、頷く。
身長差が微妙すぎる、という突っ込みは是非ともしないでもらいたい所ではあるが。
その辺りは、気流を操る事で補えるのでどうにか支えの役目は果たせるだろう]
……んー。
[エルザを部屋まで送り届けた後、しばし、廊下で考える素振り。
それから再び結界の前へ]
[結界の前には、まだ誰かいたろうか。
それを気にする事なく、再びそこに手を触れ、意識を集中させる]
……ん。
気配、増えてる。
やっぱ、時空の姉さんも、こん中……か。
[ぽつり、呟いた後。
少しだけふらつくよな心地を覚えて、その場に膝をついた]
……つーか、コレ、疲れるっ……。
なんか色々、遮られまくるしっ……。
[零れ落ちるのは、こんな呟き。
元々の結界の作用なのか、それとは事なる干渉なのかは定かではないものの。
感じ取れるのは、意図せずにこの内へ飛び込んだ者の気配のみ、らしい。
竜王たちの気配や動向が読み取れないのは、竜王たち自身の意図なのかも知れないが]
[ 影はいつ何時も、中立たればならぬ。
されどそれは、二者が存在してこそ叶うものだ。
王の不在により力が弱まり、更に幼きとは言え血を連ねるものを失えば、傾きは大きくなる。]
均衡……を?
[ なれば、光を。
しかし次いだ月闇の竜の科白により、その言葉は紡がれず、「望み」と小さな一言が零れた。
思い起こすは、先の精神の竜との対話であろう。
あの時は、影たることを望んだが――
震える唇は微か空気を掻くのみで、音には成らず。]
[膝を突いて呼吸を整えていると、ピアがてちてち、と頭を叩いてきた。
ちゃんと休まなきゃダメ、との主張に、はいはい、と頷いて。
どうにか立ち上がったなら、どこかふらつくよな足取りで、*東殿の部屋へと向かう*]
[ 影は静かに其処に在り、全てを知らねばならぬ。
しかし後の問いには頷くことなく、東殿の一室を借りて休むこととなった。
窓から射し込む天の光は翳り、人工の明かりは心許なく、生み出される影は淡い。
白き寝台の上に、ノーラはそのまま横たわった。
目蓋を下ろせば一時の闇が広がり、微かな安らぎを感じながら、意識は深くに*落ちていく*]
[くらり。
突然足元が僅かに揺れた感覚がして、立ち止まる。
嫌な予感に突き動かされ、西殿の結界の方まで走って行った。]
…今、何か変な感じが。
一体何が?
[そこに沢山の竜達の姿を認めれば早口で聞く。
そしてミハエルの取り込みと、ユーディットの消失を聞けば、さっと顔が青くなった。
それから周りを見に場を離れた為、ザムエルとクレメンスの小声の話しやエルザの不調等にも気がつく事はなく。
場に戻った時には既に人の姿はなかった為、自身も東殿の宛がわれた客室へと戻ることにした。]
[紅い髪が揺れるのは、東殿の屋根の上。
月灯りの下、足元には混沌の欠片だった筈の物の断片が、パリパリと小さく帯電した鎖を纏ったまま痙攣する。]
…ふぅ。
[原因は虚竜王の不機嫌が一端を担うと言う。
彼女としては、非常に納得の出来る理由だった。―何故なら、今現在彼女自身が曖昧な現状に酷く苛々しているから。少なくとも、無駄に混沌の欠片を具現化させて発散させる程には。
勿論世の中には善悪で語り切れない物が沢山あるという事も歳を経て知ってはいたけれど、「知っている」のと「感じる」のは別の事だ。
色々と靄々したものを抱えたまま、気がつくと薄ぼんやりした朝になる。
どうにも落ち着かないまま、うろうろと東殿の周りをクマのように歩き回っている。]
[揺れているのか。]
[影を見て、それでも安心させるよう微笑み。
それ以上、問いを重ねることもないけれど。]
部屋まで、お送りします。
[そっと手を出して、部屋に送り届ける。
部屋の中に影輝の竜が入り、そこを退いた。]
おやすみなさい、ノーラ殿。
良い、夢を。
[声をかけ、扉は閉まる。
平等に、闇の時間が訪れるのだ。]
[途中、食堂による。
中にある食料は、かなりの量。
どれほどがあったか、はっきりと覚えているものは居ないのではなかろうか。]
[軽食をとると、部屋に戻る。]
[闇は安らぎ。
そして、月闇がもっとも好むもの。]
[空の星はないけれど、窓の向こうは、オトにとって優しい。]
[やがて、訪れる朝。]
[陽は隠れ、風は湿る。
土のにおいが強い。]
[ぽつりと、外の竜に、ひとしずく。
弱い雨があたり始めた*]
[ぽつり。
肩に音を感じてそちらを見る。
なにやらピリピリと研がれたように感じる自身の力は、満ちる湿気のせい。
ぽたり、ぽとりと音を立て、空から雫が落ちてきた。]
…あぁ、陽光殿が――
[隠れたから、雨が降ったのか、と。
目を細めて天を仰ぎ見ると、眼鏡にも、ぽつり。
足を東殿へと向け、小走りに戻った。]
―東殿・自室―
[浅い眠り、それを破ったのは大気の感触の微かな変化。
薄らと目を開き、しばし音ならぬ響きに耳を傾ける]
……あめ。
きらいだ。
[小さく呟いた後、ベッドの上でごろごろ]
なー、ピア。
オレ、どーすればいいんだろな。
……爺ちゃんは好きだし、こんなどたばた起こしたヤツは、どつき倒さなきゃ気がすまねぇけど。
でも。
[『力ある剣』、それを巡る状況は]
……なんか、ムカつくんだよな……。
王には、王の考え、あるんだろーけど。
[気にいらねぇ、と。声にするのは自重した。一応]
あー、もう。
……なんか、ぐるぐるするし。
一人で考えてても、きっついかなあ……。
[はあ、と。ため息一つ]
っても、こんなん、誰に話せばいいんだよぉ……。
[どうにも、悩みはつきない*様子*]
―東殿:玄関辺り―
[しとしとと振る雨を見つめて、玄関に立っていると雨の中パリパリと音を弾けさせて白薄紫の獣が光となって現れた。
祭壇の様子をはじめとする報告を聞いて、去る獣の後ろに何度目かの溜息をつく。]
雷皇の祭壇の落雷は酷くなっているようです。
一度見に行ったほうが良いのでしょうか。
[呟き、獣が東を見て目を*細めた*]
―回想/東殿・回廊―
…?
[地竜から差し出された小袋へと手を伸ばそうとした幼子は、何を感じたか僅かに左へと首を傾ぐ。
仔の視線が注がれる先は小袋――否、似ては居るが聊か異なる。どうやら袋の握られた手よりその先。
巻きついた腕より其の方へと目を凝らせば、幼子が見つめるはどうやら黒を纏った腕輪の様であった。
…はて幼子とは言え女児、装飾に興味を抱く時期か。しかし黒を好むとは珍しい――
そう考えた私の耳に届いたものは、仔の小さな呟きであった。]
……? ノーラ?
[…何故其処で陰竜殿の名が出てくるか幼子の思考回路は読めぬ。
仔の突拍子無い言葉に思わず溜息を突き、…しかしはて改めて言われてみれば影輝に近じた気配を帯びている様にも感じられた。
地の気配に紛れ、言われ無ければ私には到底気づかぬ些細な気配。
…其れに仔が気付いたのは、随分と親しくなった影竜の気配に反応しただけか
幼子故の感覚か、…其れとも。]
[雨は時を経て、その激しさを増しては、また穏やかに。
されど絶える事はない。]
[重い頭を振って、そっと部屋を出た。]
[向かう先は、影輝の竜の部屋。
陽が出ていないのだ。影には酷く辛かろうと、途中に食堂へ。
飲むか飲まぬかわからぬが、蜂蜜を入れた甘いミルクを作った。]
―中庭―
[霧雨が降る中を青年は天を見上げ佇んでいた。長い前髪を、項に張り付く髪を、水滴は伝い降りていく]
……光舞わぬ雨を見るのも久し振りかな。
[青年が身を置く碧虹の谷にも常に雨は舞うけれど、それは光と共にあり、美しい碧の虹を生み出していた。
砂漠の中の谷と違い、雨は乾く事なく髪と服に吸い込まれていく]
[その冷たさをどこか遠く感じつつ、思うのは砂の波に残る記憶。
種から芽吹く混沌。礼を告げる息から微かに香る花。白い小猫。
それらは小さな砂粒に埋もれるように、静かに現れては消える。
代わりに現れたのは黒の浮遊物体。混沌の欠片。
青年は僅かにそれを見つめ、静かに手を伸ばした]
……あちらへ御行き。
[『混沌』を司る竜の命にも、欠片は変わる事なく漂うばかり]
[蜂蜜香るミルクの乗る盆を手に、回廊をゆく。
雨の音で満ちた場所は、闇が心地よく重い。]
……?
[ふと、窓から中庭が見
え、立ち止まる。
人影があった。
壁よりに置かれた机に盆を乗せ、窓を開ける。]
[遠い影。よくは見えない。
縁にかけた手のうえで、滴が弾けた。]
[身を引いた方向とは別に、混沌の欠片はゆっくり流れていった。
それを見送り、視線を伏せる。レンズに付いた水滴が流れ落ちた]
……退けるのは無理なようですね。
結局は触れないのが一番ですか。
[張り付く邪魔な前髪をかきあげて踵を返す。シャワーと着替えが必要だった]
─東殿・自室─
[落ちていた意識が浮上する。どのくらい休息を取れただろうか。時間を確認すべく窓の外に視線をやる]
……雨、か。
[窓の外では緩やかな雨模様。期待したものは得られそうにない。溜まりかけていた疲れが取れただけ良しとするべきか]
これも、属が崩れし影響じゃろうか。
[結界へと取り込まれた陽光の属を思う。均衡されていたバランスは崩れ、対たる属の者達も影響を受けているのだろうか。目の前には陽が陰りしために現れる闇が広がっていた]
―自室―
雨、か…
[幾重にも重ねられた毛布とタオルケットからようやく這い出して。
多少温もりは戻ったものの、いまだ灯るにはほど遠い。]
…煙草。
[ベッドサイドを手だけを伸ばして漁り、間食用の香煙草を掴む。
薄く開けた窓辺で、だらりと喫煙。]
[雨の匂いに包まれていた青年にも淡く煙草の香りが届く。その薄く開いた窓を見、若焔の部屋かと辺りをつけた。
飛んできた月闇竜の叱責に軽く肩を竦めて微笑む]
峡谷では濡れるのが当たり前ですから。
此方とは違うのを少し忘れ、楽しんでしまいました。すみません。
[峡谷では虹の麓を離れると直に乾いてしまうのだが、今の濡れ鼠の姿では叱責は尤もと謝罪する]
ダーヴィッド殿。
[声の方に、苦笑して。
それから向くは、雨に濡れた精神の竜。]
たしかに楽しめるものかもしれませんが、体をこわしては元も子もありませんよ。
早く入って下さい。
[促して。
すぐに顔を戻し、火炎の竜に声をかける。]
タオルを運んでいただいてもよろしいですか?
― 東殿・テラス ―
[ 天より落つる滴は地を濡らしてゆく。
弱く弱く、そっと周囲に広がる。
恵みの雨か、災いの源か、其は未だわからねど。
触れるか否かの位置に佇み、闇に親い左の瞳は唯、その情景を映す ]
―東殿―
[顔を出した若焔の声に小さく声を立てて笑い、月闇竜に頷く]
えぇ、そうですね。
そこまでやわでは…雨に弱くは無いつもりですが。
[火炎を司る若焔に失礼にならぬよう言い直して、素直に従って東殿へと入る。そしてバスタオルを持った若焔に目を合わさぬ会釈を向けた]
[ 声は雨音に紛れ、甘い香りは土の匂いに隠れる。
薄布に隔てられたように、周囲の出来事は遠い。
ショールを掻き寄せて腕を組み、右足に体重を傾け壁に身を預けていた。
寒さは感じねど、気怠けさが漂う。雨特有のものか、対の一が欠けし故かは判ぜられぬ。]
[くすくすと軽く笑うのは、隠された言葉を解したためか。]
油断をすると、丈夫でも風邪をひきますよ。
[玄関にはいりゆく姿を見送り、出迎えようとしたけれど。]
……ノーラ殿?
[近しくなった影の名を呼んだ。]
…枯渇気味なんだからしゃーないさね。
[バスタオルを心竜に渡しながら。]
メシでも食って補うさぁ。
ともかくあれだ。乾かしてやるとかそう言う余力無いから、着替えてきたら?
―――自室
……は!?
[気づけば二度寝していた。
おかげで、何があったのかをさっぱりと知ることは出来ず。
衣服を着込んでからなんとなく、東殿をうろうろとしてたが、やがて窓から見える雨に、惹かれ、不意に足は中庭へと]
―――自室→中庭
―東殿―
[若焔の言葉に笑みを引いた。微かに名残は漂うけれど、真面目な顔で有難く受け取る]
…なるほど、そうでしたね。失礼しました。
それにバスタオルありがとうございます。
[若焔の羽織る毛布に曇りがちなレンズ越しの紺碧を向けた]
あぁ、それはいいですね。
温かくて美味しいものをたくさん食べて下さい。
私はシャワーを浴びて着替えてきます。
[もう一度ありがとうございますと礼を言い、口元に微笑を浮かべ*シャワーと着替えに行く*]
……。
[何人か集まっているのは意識の中には入らなかった。
ただ、ゆらり歩いて、視線は天へと]
―――主様。
この雨。
楽しんでいらっしゃいますの?
それとも……悲しんでおられます?
私には、貴方の真意は分かりかねます。それほど、貴方は計り知れないお方。
[流れる雨は、ナターリエの体を隅々まで濡らす。
天を仰ぐように、両手を広げ、さらに雨を受け入れる。
心地よいはずの雨が、今はよく分からない]
―――。
[不意に。
雨に混じるように黒い……混沌のカケラが一つ。中庭へと降りてくる。
嗚呼。雨に混じる混沌はなんと醜いのだろう]
―――喰ろうてやろうか。
[元々は竜ではない自分。
水竜王の導きにより、竜になることを許された。
ああ。それは、まるで混沌ではなかろうか。
何も無かった自分に意義を与えたのは何故―――?]
……少し。
珍しかったもので。
そうですね、戻ります。
[ 気配が散っていくのを感じ取りながら、影は眼を伏せる。]
……オト殿は、どちらに。
─東殿・自室─
[結局また、転寝をしていたようで。
どこか気だるげに、目を開く]
……あめ、きらい。
[口をつくのは、幼子のよな物言いの言葉。
理由は知らない──否、覚えてはいない。
ただ、気がつけば雨は厭うものとなっていた]
―東殿個室―
[流れるような水の音が耳に届いた。
ゆっくりと瞼が持ち上がる]
どうして…ああ。
[胸の上から腕を退けて、半身を起こす。
部屋の中も薄暗い。窓の傍に寄って外を見る]
雨が降って来ていたの。
…ハリョン様の影響、なのでしょうね。
[仔竜と触れ合う機会など、これまで全くと言っていいほどなかった。だからどうして良いかも分からずに、殆ど会話もできていなかったけれど]
どうか、無事で。
[その身を案じる心は変わらず。小さく祈った]
―東殿:玄関近く―
[強く弱くなる雨を見ていても、何の解決にもならない。
それでも何か無いかと、玄関の屋根の下から外を眺める。]
[混沌。
混沌のカケラ。
今の自分がそれを体内に受け入れるとどうなるだろうか?
何も変わらないだろうか?
力が強くなるだろうか?
それとも、水に対する焔のように消えてしまうだろうか?
全てはどうでも良いことでもあった。
何が私を動かしているのだろう?]
主様……。
雨を降らせたのは何故?
[答えは返ってはこない]
ええ。
[戻ると聞き、促すようにうなずいた。]
あなたに、暖かい飲み物を届けようと思っていましたけれど。
少しさめてしまいましたから、食堂へ行こうかと思います。
体、冷えたのでしょう?
……一緒に行きませんか?
[それでも、じっとしているのは嫌だったから、起き上がり。
いつものよに常磐緑のマフラーを巻き、銀のロッドを背負い。
頭の上には相棒を乗せて、ふらりと部屋を出る。
どこに行くのか決めてはいなかったが、何となく、歩みは玄関の方へと向いていた]
─自室→玄関─
[傘を借り、ばさと音を立ててさした時、後ろから疾風を感じて振り返る。]
ティル殿。
ゆっくり、休めていますか?
[首を傾げ、声をかけた。]
……あ。
雷撃の。
[感じた気配に首を傾げた直後に声をかけられ。
同時に、自分にはわりと親しい力を感じて、ほっとしたよに息を吐く]
ん、休んじゃいるよー。
ただ、雨だから滅入ってるだけ。
これから、どっか行くの?
―回想/東殿・回廊―
[幼子には結局の所、影の気配の理由は愚か出所すら悟る事は困難であったか。
首を傾いだまでは良かったが諦めざるを得なかった幼子は、素直に差し出された小袋を握り締めると大事そうに抱えこんだ。]
…、ありが、と。
[幼子が地竜殿へと述べるは、余りにも言葉足らずな謝礼であった。
直ぐさまに氷竜殿へとしがみつく様を見ればどうやら照れ隠しの様で在るが、物を頂いたと言うにその態度は誠に失礼窮まりない。
確りと礼を述べよと促せども、子は氷竜殿へとしがみつく力を益々を強めるばかり。
…もはや私はお二方に頭を下げるのみ無かった。]
[暫くの刻が過ぎる内、結局幼子は氷竜殿の腕に抱かれたまま眠りの底へ落ちてしまった様であった。
申し訳無さに小さく縮こまるしか無かった私は、偶然にして幾つかの事を聞き及んでしまう事になった。
口は挟まぬ――下手に言い触らしはせぬ心積もりはあれども、心苦しく思うは否定出来ぬ。
結果、床に着くまで苛まれる事になってしまったのは別の話である。]
―回想終了―
―― 東殿・私室 ――
良く降るなあ…
[開け放った窓の枠に、生身の右腕とメタルの左腕(今は剥き出しのままだ)をだらりとひっかけ、間に顎を乗せて降りしきる雨を見つめる。騎士道精神にも限度があるだろうと思う焔竜の無茶や、守れなかった者達のことを思うのか、その表情にはいつもの精彩は無い]
俺、どうしたらいいんだろ?
[ためいき]
あぁ、雨が降っていると爽やかな風が噴くという訳には行かないですから、ね。
私は雨にそれほど滅入る事も無いのですが。
[少し表情の緩んだように見える疾風竜に、こちらも少しばかり眼鏡の奥に緩めた色を浮かべた。]
いえ、見ていても仕方ないので、歩いてこようかと。
行きますか?
[傘を揺らして見せる。]
―東殿・個室―
[窓を叩く音に私は頭を擡げる。本来昇っているべき陽は射す気配を見せぬ。
…常は天の恵みと呼ばれる其れも、起因は均衡が崩れし所為か。
そう思えば恵みと感謝するには聊か苦いものではあった。
――未だ仔と氷竜殿は休んでいる。
特に氷竜殿には長らく守を見させてしまった故、色々事が起きたのも相俟ったに相違ない。疲労もそれなりに蓄積されよう。
寝台に小さく収まった幼子の傍らに居座りながら、私は思案に暮れていた。
幼子の様子を見るに、あの影輝の気配の理由までの理解には至っておるまいが。
…剣を持ちし者が彼の命竜の言葉通りであるならば、あの僅かな気配も納得出来よう。
さすれば、問題は自ずと限られる。
――どうすべきかと溜息を零す傍ら、僅か幼子が身じろぎするのが見て取れた。]
[窓から視線を外した後は再び瞳を閉じていたが]
…すこぉし冷えるかの。
茶でも貰いに行くか。
[地へ染み込む水の冷えが伝うような感覚を覚え。茶でも飲んで身体を温めようと食堂へと向かう]
─東殿・自室→食堂─
[辿り着けば既にダーヴィッドが居て飯を食らって居たか]
お主はほんによう食べるの。
[半ば呆れつつその様子を眺め。己が好む緑茶を用意しまったりと飲み始めた]
[なかなか、回廊にこない。
少し困ったようにして、それから声を投げいれた。]
食堂で、用意しています。
ゆっくりでもかまいませんから、来て下さいね。
[そうして、食堂へ。
用意をするのは、*茉莉花茶*]
[破るは一瞬であれど、戻る時はそうもいかない。
押さえ込むように全身を巡る力の影響は肉体にも及び、どうにもダルかった]
私も誰かに、信を置いて伝えておかなければ。
[無差別の取り込み。それは自分も対象になり得るわけで。
浮かべる顔は複数。仔竜の頃から知る恩人と、常に穏やかな女性。そしてこちらを見透かすかのようだった人]
でも、今一番に聞いてくださりそうな方は。
[氷の婦人は、気をつけろと言われた相手と親しい。
本当はその当人を疑うのにも複雑な思いが無くもなかったが、そこはどうにか折り合いをつけている]
こうなってしまった以上、やはりご負担になるとしてもダーヴィッド様にお話しするのが一番かしら。
それとも…。
雨が降っても、風は吹くし、雨だからこそ吹く風もある。
なんだけど、なぁんか、雨って苦手なんだぁ。
[軽く、肩を竦めて言い。
誘いにちょっと首を傾げていたら、ピアにてちり、とされた。
滅入るなら気晴らししてこい、という事らしい]
そだねー、ぼーっとしてても仕方ないし。
[自分でもその自覚はあったので、そこにあった傘を一つ借りて開いた]
―東殿・自室―
[雨は別段好きでも嫌いでもないが、ずっと見ていればそろそろ飽きる。
同じ景色は退屈しか産まない為、さて何処かへ行こうと部屋を出る。
外に出るのは濡れる可能性があるので避け、東殿内をふらりと。]
……こんなものか。
所詮、カケラ、か。
腹の足しにもなりゃしない。
「偽者」は一生「本物」にはなれない、ということかしら。
カケラもまた然り。
カケラをいくつ集めても、何にもなることは無い。
「偽者」が揺らされることは無いのか。
何にもなれない身なればこそ。
……これが、「最高級の偽者」なのかしらぁ?主様ぁ?
[ゆっくりと。
口調が昔のものから今のものへと戻っていった。
ナターリエ自身は何も変わったとは思ってはいないが、実際に何か変わったかどうかは、誰にも分からない。
何より、「変化」を象徴するものだ。何により「変化」するかは、自分自身ですら分からないのだから]
[ それは雨霧の合間に見た幻であったか。数拍の間の後、影は歩みを再開した。
回廊まで至れど先の言葉の通り、月闇の竜は先に行ったようであった。
湿り気を帯びた髪に触れつつ、ゆるりと歩む。]
―― 東殿・私室 ――
[こういう時、今は繋がっている筈の兄達は何も言ってはこない。悩むのも仕事だと、機竜王にも良く言われた。知識や記憶を共有し、意志を通わせることが出来たとしても、自らの魂は、ただ一人だけのもの。自身の心は自身で悩み育てるしかないのだと]
………
[未だ動かぬメタルの左腕を見つめる。結界を張った者の意図は未だに納得がいかない。存在するかしないかも不確かな伝説の剣の話は、どこか感覚に遠かった。確かなモノは、酷く少ない]
相変わらず可愛らしい、ですね。
[目線はチラチラとピアの方へと、向く。
傘をさして足を踏み出すと、少しぬかるんだ地面に僅かに足が沈んだ。
中庭にさしかかり、眼鏡の中央を人差し指でくいとあげる。]
…誰か、おられます?
[何かの気配を感じ、ティルの顔を振り返る。]
可愛い、て。
あ、ピアのこと?
[視線の先が頭の上に向いているのに気づき、上目遣いのよに相棒を見上げた。
ピアは嬉しそうな様子で尻尾を揺らしつつ、気取って見せてたり]
……んん?
[たどり着いた中庭、振り返りつつ投げられた問いに、一つ瞬き]
何か……うん、誰かいるみたいだけど。
水の力が強い、かな?
・・・・・・・
あ、そっか…エネルギー不足…どうりで怠いと。
[機竜である自身を支えるエネルギーは普段、左腕にチャージされている、それを全て放出してしまった今、外部からのエネルギー摂取が必要だった]
うわあ…ダーヴと一緒とか、やだなあ…
[いつも熱量不足で大食に走る焔竜とほぼ同じ状態だと気付いて顰め面。それでも空腹には勝てずに、窓を閉めて部屋を出た]
―東殿・食堂―
[別に食事は必要ないが。竜の気配があったので、そちらにひょっこり顔を出す。
何か色んな匂いが混じってるが、とりあえずカレーらしき匂いが一番鼻をついた。]
よぉ。元気してるぅ?
[第一声は相変わらず。]
[ 獣の唸りにしては奇妙な音。
何事かと影が視線を巡らせていると、扉の開く音が聞えた。]
エーリッヒさん?
……今の音は。
[ 其方に顔を向け、問いを投げる。]
─東殿・食堂─
[カレーのお代わり二杯目に突入するダーヴィッドを眺めつつ]
……ここにある食料全てを食らい尽くすことは無いとは思うが……。
[二杯で留まらないような気がしてたり。
茶を飲みつつそれを眺めていると、ややあってオトフリートが姿を現す。挨拶を交わすとオトフリートはそのまま茶の用意をしに厨房へ。少し後に茉莉花茶の良い香りが辺りを漂うことだろうか]
[昨日騒ぎに後から駆けつけた時、ナターリエはその足を晒していたのを思い出して。
なんとなく、足が躊躇したのは自然の摂理。]
…水といえば、ナターリエ殿?
[雨の飛沫で目を細めながら、傘の下から覗き、声を聞いて手を振った。]
雷の、エミーリェです。
こちらで何か見つけられましたか?
─東殿・中庭─
[返って来た声、それは強いと感じた力が何かを裏付けるもので]
あ、流水の。
[そこで止まった。
この人って、兄さんなのか姉さんなのか。
どうにもよくわかっていなかったりする]
雨ん中で、何してんの?
―― 東殿・廊下 ――
あ、ノーラさん。え?音って……
Gyururuuuuuuuuu…!
え、とお…この、音、でしょうか?
[軽く赤面]
─東殿・食堂─
[食堂に響く声に一瞬だけ鋭く瞳を細める。しかし細めた瞳は直ぐに笑みのものへと変わり]
雨の雰囲気に少々滅入りそうにはなるが、元気ではあるかの。
[茶を啜りながらクレメンスへと返す]
―東殿個室―
[窓の傍を離れ、そのままで寝てしまったため皺になってしまったローブを脱ぎ、畳む。
代わりに着たのは普段身に着けることが多い細身のローブ。
動きやすさに重点を置いたそれの方が今は楽だった]
…どちらにしても、お会いしなければ始まらないわ。
[小さく呟くと、扉を開けて部屋を出た]
― →東殿内―
んや、元気足りなくて補給中。
[スプーンぴしっとあげて命竜に挨拶。
香辛料はそれ自体が弱い増強効果を持つ触媒として働くし、何より美味しいし…ってわけで4杯目ももうほとんど空になりかけるとこ。]
[二人して問いかけてくる様に、少しだけナターリエが笑んだ]
特に何かしていたわけじゃありませんわぁ。
ただ、雨に惹かれてここにきた、という感じかしらぁ。
……それにしても。
[順に、雷と風の顔を眺めた]
この雨降りしきる中。
この三人が集まるということは、これから嵐にでもなる、ということかしらねぃ?うふふ。
[嵐を作り出す、風、雷、雨が集まったことを揶揄して、ナターリエが笑う]
……ああ。
そうですね。それです。
[ 伏せがちの眼が開かれるも、さして驚いた様子もなく頷く。]
食堂に行かれますか?
オトフリートさんが何か用意して下さっていると。
[ 左に首を傾ける。水を僅かに含んだ髪は頬に張り付いた。]
[雨に惹かれる、という言葉に、素で不思議そうにきょとり、と瞬いた]
雨、好きなんだ……って、流水の眷族だもんねぇ。
[関わりのある力を好むのは、ある意味当たり前かと納得し]
嵐かぁ。
物理的な嵐なら、どーって事ないけどねー。
そうじゃない、嵐みたいな出来事はちょーっとほどほどにしてほしいかも。
[嵐の例えには、けらり、笑ってこう返した。
結構、本音も入ってるが]
―東殿・個室―
…、…?
[傍らで眠り続ける氷竜殿を視界に入れたか、仔は不思議そに首を傾ぐ。
それもそうであろう、幼子の記憶は腕に抱かれていたまでである筈。
四方やそのまま眠りに落ち、御手を煩わせたなど仔にはまだ理解出来ぬ。
私が此方へと視線を向けるに気付いたか、一度瞬きを零した仔はおはようと小さく口にした。]
「お早う御座います、お目覚めですか」
[こくりと頷いた幼子は暫しの沈黙の後、寝台から降りた。
翠の跡を残しながら、今し方まで自らが被っていた毛布を寝台からずり落とすと
氷竜殿へと暫くの格闘の後、漸く掛ける事に成功した。
…否、半分は肩から落ちているが、これが幼子の精一杯らしい。]
―― 東殿・食堂 ――
[影竜が笑う様子も無い事に、少し安堵する]
ええ、俺も今から食堂に行こうと思って。なんだかほっとくと誰かに食料を喰い尽くされそうな予感もするんで。[真顔で言った]
濡れてますね?外に出ていたんですか?
[尋ね返したところで、天竜の姿を見つける]
あ、こんにちは、エルザさん。具合大丈夫ですか?
[腹の音をそちらにも聞かれていたとは思わずに、声をかけた]
─東殿・食堂─
[必要が無い為ほぼ初めて訪れた場所に、少しだけ辺りを見回すのは配置の確認。
ザムエルの視線は何事も無かったかのように笑みで返す。]
朝からっぽいな。そろそろ飽きてきたんだが晴れるかねぇ。
[食堂の窓から外を見やる。当分、止みそうにないのが。]
…嵐を起こせば結界が吹き飛ぶなら幾らでも起こします、けどねぇ?
[ナターリエの声には、冗談と取らずに睨むように西殿を傘の下から見る。
ふ、と小さく息を吐いて]
まぁ…
それで壊れるなら中からもう壊れてますか…。
─東殿・食堂─
[とりあえず途中から来たので、ダーヴィットがどんだけ食ったかは微妙に知らず。ただ食べる勢いだけはおーおと感心した様子で見やる。]
食いすぎて腹壊すなよ?
…いや、ここの食料食い尽くすなよ、が正しいか。
[ちょっと勢いを甘く見てました。]
雨は、嫌われることが多いですからねぃ。
せめて、水の属性である私ぐらいは、好きになってあげないと。
[やはり、小さく笑む。
だが、眷属を属性と言い換える辺り、何か含むものはあるようだ]
あらぁ。
トラブルと言う名の嵐かしらぁ?
それはそれで、私としては望むところですけどねぃ。うふふ。
そもそも、トラブル頭の嵐竜王の弟様が言うことじゃありませんわぁ。
[さらりと、ひどいことを言った]
ノーラ様、エーリッヒ殿。
[そちらに近寄ると同じく頭を下げる]
はい、もう大丈夫です。
ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした。
…もしかして今のはエーリッヒ殿の?
[ノーラとの会話で気が付いてしまったようだ]
[中から、というミリィの言葉に、思わず西殿を見た]
……ま、そーだよな。
嵐そのものみたいな兄貴が暴れてた訳だし。
[一瞬、遠い目]
つまり、根っこからトラブルの元を全てふっ飛ばしたい、とそういうことですねぃ?
[先程と同じく冗談交じりに、雷に返す]
ところで。
そちらこそ、何か見つけましたかしらぁ?
生憎と此方は、先程まで寝てましたから、どのような変化が起こったのかさっぱり分かりませんもので。
[なんとなく、手持ち無沙汰に右手の人差し指の先に握りこぶしサイズの泡を作ってみたり。
このようなことが自然と行える辺り、雨が降って、ナターリエの力は確実に強化されていた]
……喰い尽くされる、んですか。
[ 食事の光景は見た事がない故に、機鋼の竜の言葉にも影の首は更に傾ぐのみであった。後の問いかけを受けて、髪を弄っていた手が止まる。]
ええ、テラスにいたので。
雨が気になって……
具合、というと、また「かけら」が?
……立ち話もなんですし、
虫の機嫌を治すためにも、いきましょうか。
[ 僅かな沈黙と食堂への促しを持って、エルザの問いを肯定した。]
雨自体は大事だと思うけど。
オレは、苦手なの。
[何故と問われても、答えられないのだが。
微妙な言い換えには気づくものの、その意は図れず……というか]
オレだって、ただじっとしてなきゃなんない状況はやだけどさぁ……って。
そこで、オレと兄貴を同列に見ないでくれよなー。
オレは、あそこまで酷くないんだからっ!
[さらりと言われた言葉の方に、意識持ってかれました。
むくれる様子に、ピアが呆れたよに金髪をてちり]
─東殿・食堂─
さぁて、どうにも止みそうにはないように見えるがの。
雨降りは身体が冷えて敵わんわい。
[ずず、と再び茶を口に運ぶ。茶のお陰でとりあえずの暖は取れている模様]
…ダーヴィッドが食い尽くさんよう、他を確保しておいた方が良いかのぅ。
他で食う者もおるじゃろうて。
[クレメンスに言葉を返してから、視線はダーヴィッドへと。その暴食っぷりは良く知っているために危惧は消えない]
―― 東殿・廊下 ――
[目の前に居る二人が、奇しくも、うっかりと力の事を漏らしそうになってしまった相手だと気付いて、僅かに左腕を隠すように身を引く。エルザの言葉には、また顔を赤くした]
う…そうです。お腹空いちゃって。
んまぁ、色々余裕無くてさぁ。
こうやって供給すんのが一番手っ取り早いんよ。
[流石に寸胴鍋ひとつ空にするのは気が引けたのか、デザートへ移行。]
要は、燃料注いでんのと一緒だし?
力さえ満ちてりゃぁ、こういう雨も気持ち良いくらいなんだけどねぇ。
…基本、寒いと動きたくなくなるから…。
…、…あめ?
――くらいね。
[するりと幼子の腕にしがみ付く合間、窓を叩く音に漸く気付いたか仔が外へと視線を向ける。
…空が闇に近付いたその理由を、仔は理解しているのか。
真直ぐに空を見上げる仔の視線からは、そこまでは判らねども。
私が上りきったのを見やれば、じゃあ行こっか。と一度視線を私に向け――
しかしはたと気付いたかの様に、自らの口を掌で押さえた。…何事か。]
…ブリジットは寝てるから、しー。
静かにしなきゃ、だめだよ。
[…声を主に発されていたのは幼子の方ではあるが、まぁ言うまい。
寝台の枕元に置かれた小袋を握り締めると、仔はそろそろと忍ぶ様に部屋を横切る。
その途中小袋から一つ…蜜柑味らしき橙色の包み紙を取り出すと、寝台に凭れ掛ったままの氷竜殿の傍らに一つ置きおいて、幼子にしては極力物音を立てぬ様、起こさぬように部屋を後にする。
しかし所詮は仔。若干静かには程遠い気はしないでも無いが、氷竜殿が起きていたかは定かでは無い。]
―東殿廊下―
いえ、少しばかり疲れが嵩じてしまいまして。
休ませていただいたので大丈夫です。
[エーリッヒが左腕を隠すのが見えた。
だが自分も今は左手を大っぴらに見せるのは躊躇われる状況で。だから続いた言葉に、右手で軽く口元を隠して]
そうですね、私も少し何か口にしようかと。
ご一緒させていただきます。
[笑みの気配が混じる声で返す。
ノーラへの肯定を兼ねながら、頷いた]
おほほほほ。
むしろ、嵐竜王様並にひっかきまわす力をつけてもいいとは思いますわぁ。
少なくとも、私は其の点で尊敬していますからねぃ。
じっとしてるのが嫌ならば、自分から何かを打破しなければ何も変わらない、という意味では、間違いなく嵐竜王様はトップクラスなのですからぁ。
[それは停滞し始めている現状を踏まえての、ナターリエからティルに送る変化の言葉であったが伝わったかどうかは微妙にもほどがある]
Gyuorarurururu……!
[その間にも、また虫は盛大に鳴いて、影竜の言葉にこくこく頷く]
うん、行きましょう!そろそろ鍋一つくらい空になってそうだしっ!
[あくまで真顔]
んー、オレもなんでかんで、ずっと寝てたし。
[ミリィから視線を向けられ、かりり、と頭を掻く]
とりあえず、いなくなった時空の姉さんが例の結界の中にいる事確認したくらい、かなぁ。
いつの間にかいなくなったとか、そんであん中にいるとか、ギュンターの爺様の時と似た感じするかな、って思ってるけど。
[流水竜に貸した服は東殿の使用人により回収され、シャワーを浴び着替えた青年の姿は白いシャツではなく元の長衣に戻っていた。
湿った髪に長く神経質そうな指を通し、梳るように軽く整えてから食堂へと足を向ける]
お邪魔します。
[香辛料の香りと花の香りに口元に笑みを浮かべ軽く会釈して、最早何杯目かわからぬ若焔から離れた所の椅子を引いた]
ええ。
ダーヴィッド様だと、無くもない事態かもしれませんしね。
[その食欲の良さはやはり知っている。けれど半分冗談で言っているのが実感の違いというものだろうか。
赤くなっているのを見ればやはり笑みが浮かびそうになりながら、食堂へと歩き始めた]
― →食堂―
─東殿・食堂─
後で配膳係りに買出し増やしてもらうように頼むのが吉だろうな。
[ザムエルにはそう同意する。まぁ自分には必要がないのだが。]
ん、そういや王とギュン爺もだが…チビと時空のは飯食ってるかね。
[向こう側にいるだろう者を思い出す。
結界の中のことを思うと…時空のがいる時点でちょっと空恐ろしいのが。まぁ王はいわずもがな。]
―― 廊下→食堂 ――
[ぎくしゃくしゃく。真っ赤に近い顔で、左腕を微妙に斜めになって隠しながら歩く姿は、恐らくどう見ても不自然だが、本人はそれどころじゃない]
うわああ!やっぱりーっ!
[辿り着いた食堂の中で、予想した焔竜がデザートに取りかかっているのを見ると、絶望的な声を上げた]
ちょっとだけでも御飯、残ってます?!
[厨房に声をかける姿は超真剣]
疲れ……ですか。
休む間もありませんから、致し方ないとも言えますか。
[ 陽光の仔竜が消えし後の事は知らずにいる故に、疲労の理由は悟れず。機鋼の竜の些か奇妙な仕草に視線を走らせるも、影は指摘をしなかった。]
食べてくれる人がいるなら、食事も喜ぶと思いますよ。
[ フォロー、と言えたかは怪しい。
二人の同意を得て、ノーラは食堂へと赴く。
扉を開いた先、他であれば食欲をそそられるであろう匂いの源には、恐らく機鋼の仔竜の危惧であろうものが具現化していた。]
そこで尊敬とか言うと、兄貴付け上がるから。
[突っ込むのはまずそこなのか]
自分から動いて、か……まあ、確かにそうだけど。
[どこからどう動けばいいのかわからない、という言葉は途切れ。
微か、逡巡。
珍しく伏せられた青の瞳からは、困惑が伺えた。
先にぐるぐるしていた事は、今でもやっぱりぐるぐるしている訳で]
……ふむふ……はいぃ?
[雷と風の話を何気なしに聞いていたが、そこに混じった言葉により、バランスを崩した泡がパチンと割れた]
ユーディットが、結界の中に?
つまり、ギュンターと同じく、「揺らすもの」に干渉されたものの手にかかった、ということです?
え。
ちょっと待って。
つまり、時空ほどの力を持つものでも、抗えなかった、ということですかぁ?
―東殿・回廊―
[そろりと――幼子にしては極力静かに扉を閉じた様であったが、静まり返った回廊には扉の音は聊か強く響いた。
否、やはり仔が扉を閉めるのに強かったのやもしれぬ。
片手に小袋を握り締めたまま仔は一度ゆるりと周辺を見回して、一つ首を傾いだ。]
…どこに、さがしにいこう?
……知ってる?
[嗚呼、何をしに外へ出たかと思えば――恐らく幼子の探索の目標は「剣」で有ろう。
昨日の闇竜殿と交わされた会話を思い返せば至極容易く想像が付いた。
さて仔は眠りの底に居た故に記憶にあらねども、私には少々心当たりがある。
幼子とは言え我が主に相違ない…沈黙を守るには憚られた。
不要な口外はせぬ事と前提を持って、仔には簡易に事を告げる。]
─東殿・食堂─
それしか無かろうの。
[何度目かの溜息と共にクレメンスへ同意した]
…西殿そのまま覆われたのじゃから、ある程度の蓄えはあろうて。
元々あちらで過ごす予定ではあったしのぅ。
ダーヴィッドのような大食らいが居らんのならば、じゃが。
[心配はあれど己が竜王は精神体であり、食は必要としない。ここよりは減りは少ないのではなかろうか]
[新たに食堂へとやって来たものにも右手を上げることで挨拶とし。再び茶を飲もうとしたところでクレメンスに鼻を掴まれた]
あだだだだ!
あにをひゅるかこやひゅ!
[反撃にクレメンスの髭を下にぐいと引っ張った]
[泡の弾ける音に、伏していた目を上げ、ナターリエを見る]
うん、ほんの少しだけど、気配、感じる。
あの壁、抜けようと思って抜けられるもんじゃないし、時空の姉さんなら虚竜王の不機嫌とかも慣れですり抜けちまいそうだから。
……同じで、間違いないと思うよ。
[こう言って。
続いた言葉に、がじ、と頭を掻き]
状況とか、わかんないから、なんとも言えないんだよなあ。
ただ、それなりに強い力を使ったんじゃないかとは、思うけど。
―食堂―
[月闇竜から受け取った温かな茉莉花茶のカップを両の掌で包み、香りを楽しみながら話に耳を傾ける。
デザートに移った若焔や緑茶を楽しむ大地竜、恒例行事を逃した生命竜へ順に視線を流しながら、意識の片隅で刻んだ記憶を整理し始める。
昨日、各地から帰った竜達の話を総合し竜郷が現在どのような状況にあるかの把握に勤める]
…えぇと、流石に全て食い尽くされてはいないと思いますが。
追加で作ってもらう事も出来ますし。
[飛び込んできた機鋼の仔竜の悲痛な心に、そっと*慰めの声*]
そこで考えちゃ駄目ですわぁ。
次期嵐竜王様ぁ。
自分の思った方向へ突き進むのが、風。
全ての原動力になる源なのですから。
水も、他の属性も、自力では動くには限度がありますからねぃ。
貴方は貴方の思うがままに動けばいいんですの。
それがもし間違っていたとしたら、他の属性がフォローするんですからねぃ。
突風は疾く速く。ですぁ。
…どちらも、虚竜王様の不機嫌じゃないのです?
ハリョン殿とユーディット殿。
[あれ、と。
眼鏡の奥の目を瞬かせてティルを見た。
ぱたぱたぱたたと、傘に雨が落ちる音が響く。]
―― 食堂 ――
[かろうじて残っていたっぽいカレーの皿を、大事に抱えて隅の方に腰掛ける。右手だけを使って食べるのに、こういう料理は都合が良かった]
いっただきまーす!
[はむ、と一口食べた所で、目前で始まった、じじvsおっさんのミニバトル。思わずスプーンをくわえたまま、目をぱちくりさせた]
ええ、あまりに色々ありましたから。
少し過信をしてもおりました。
そんな場合ではありませんのに。
[ノーラに答えるのは自嘲に近いものが混じるか]
―東殿・食堂―
…何もない、ということはないかと。
幾ら新しく用意したので西殿ほどではないとはいえ…。
[中にいる人々に頭を下げ、叫ぶエーリッヒに掛けた声はどこまで*とどいていただろう*]
なにしてんすか。
[スプーン咥えたまま、半分呆れ顔で老人達のじゃれあいを眺める。]
…あれ?
[なんとなく感じた違和感。巧妙に隠された何かに首を捻った。]
―― 食堂 ――
[ぱちくりしつつも、口は休まず、ごくんとカレーを呑み込んで]
はい、奇跡ってほんとにあるんですね。
[天竜の方にも、しみじみと言って頷いた……そこまで言うか?]
……ふむ。
[ティルの言葉に、少しだけ考えた]
時空さえ退けるほど、「揺らされて」強い力を持ち合わせたのならば、1対1では勝てませんわねぃ。
この調子で、「揺らされたもの」に人数を減らされていってはジリ貧。
―――つまり、私達のやることは「揺らされたもの」を見つけ出す。
もしくは、それに対抗できる手段……例えば、「力ある剣」を見つけ出し、それを利用する。
の二つかしらねぃ。
……手っ取り早いのは、怪しそうだと思った人を次々と退治していくことですかねぃ。
[最後の言葉は、冗談交じりに笑いながら言った]
[暫しの後、私は幼子から驚いたかの様な視線を受けることになる。
――それと同時に幼子の顔には、僅かながら歓喜も浮かぼうか。
父王を出してやれるのだと聞き及んでいる物の在り処が判ったやも知れぬ。
その様な時に冷静で居れというには、幼子には少々酷であろう。]
――、…オトには、言った?
[否、告げては居らぬ。
命竜殿曰く、闇竜殿は揺らされし者では無いと言う事だけは聞き及んでいたものの、其れより後に今し方まで会う機会には恵まれなかった故。
…しかし、何故闇竜殿であろうか。問いこそはせねど少々不思議に思える。
仔と闇竜殿の間に交わされた約束を存知ぬ故に、私の理解に及ばぬのは無理も無いことであった。]
…そっか。
――でも、「かも。」なんだ、よね。
つか、次代はこれから生まれる甥っ子か姪っ子だから。
[なんかさらっと言いました。
ここだけは、訂正しないと気がすまなかったようです]
自分の思うままに、かぁ……ん、そーかも。
うだうだ言うのは、性にあわないし。
[というか、そも考えるのが苦手、というのはさておき]
大事なものは、大事。
許せねぇものは、許さない。
……納得できないものには、従わない。
そう、動くのがラクなら、それでいい。
間違ってたら、なんとかする。
そんな感じで、おっけー、なのかな。
[呟きは、ナターリエに答えるというよりは、半ば独り言]
[ 束の間、影は其処に佇んでいたが、新たに訪れた三人にも茶を淹れようと動く月闇の竜を認め、その後を追う。食堂の奥に辿り着いたところで歩みは止まり、先ずは待たせたことへの謝罪を告げた。
その後に置かれる、物思う沈黙。]
……あなたは、何を望むのですか。
[ 小さな、しかし、確かな問いと共に、*眼差しが注がれた* ]
―食堂―
[ほしがる人に茉莉花茶を差し出して。
シャワーを浴びてきたアーベルにも、温かなカップを。]
[抱きつかれなかったのはこれ幸いと、じゃれる老人たちから離れた。]
まあ、オレの予測と探知だと、違うって事になるかな。
[ミリィにこう返して]
何だよなぁ。
そう考えると、色々ときっついわけ。
[『力ある剣』。それに関しては、ほんの少し顔をしかめるだけで触れはせず。
自分の中では、それを──『打破の鍵ともなり得るものを守る』という事へのわだかまりががっちりとある訳だが]
それが一番手っ取り早いけど、怪しそう、ってだけだとキリないんだよねぇ。
[物騒な言葉には、ため息一つ]
[ナターリエの言葉に、眼鏡の端がキラリと光る。]
…あぁ。
ひとつずつ潰して…そういう手も、あるのですね。
その手は…判り易く単純で、このエミーリェの好みです。
[声は少しばかり、低くなる。]
[闇竜殿との約束は「見つけたら触れるな」と言う事であった故、
不確定情報である事が、幼子には数寸躊躇われたのであろう。
…四方や、教えるとまで約束を締めている等とは――思いも寄らかったが。]
……、
…じゃあ、おじいちゃんに聞けば、いいんだ。
さがしに、行こ。
[もしかせぬとも、聞くというのは――直にで有ろうか。
尤も幼子故、探りを入れるや回りくどくなどの技法は持ち合わせて居らぬに違いない。
…そうなれば、必然的に直にという事では有るのだろうが、それは憚られる。
この緊急時と言える事態に、しかしそれで尚皆には見せず隠し持っているとなれば余程である。
況してや相手は幼子の様な者ではなく地竜殿。それなりの理由が有り得るのは容易に考えられる事であった。]
[ティルの呟きを聞きつけて、ナターリエが答える]
さぁて。
オッケーかどうかは分かりませんわぁ。
でも、間違ってるかもしれないで歩みを止めるのは、風の属性らしくも、そもそも貴方の性にも合わないんじゃないかしらぁ?
少なくとも、私は「変化」を望みますわよ?
─東殿・食堂─
ならいんだけど。
…チビ一人ってわけじゃねぇし、大丈夫か。
[ユーディットは分からないが、ギュンターは間違いなく面倒みてくれるだろう事を期待した。うん。
鼻を摘んだまま新しく現われた面々にはひらり、反対側の手で手を振っていたが。反撃に顎が伸びる伸びる。]
んがー!そっちごぞあにすんじゃザムジジ!
[この程度の小競り合いならどうやら*大丈夫らしい。*]
あぁ。
ハリョン殿、は、陽光の幼仔竜殿です。
取り込まれたから、きっと、この雨が。
[ナターリエの疑問の声には、少し傘を上げて答える。]
ま。
確かに怪しそうだけでは、理由にならないかも知れませんけれども。
そこから、誰かが否定と肯定を意見する。その意見で見えるものを確かめる。
そういう先のための切欠足りえますわぁ。
捜し求めるための会話ってそういうものでしょう?
そもそも、このままだと「揺らされたもの」―――いえ「揺らすもの」の手の平の中で、じっと終わりを待つだけですからねぃ。
そだね。
オレは「自由」なる事を望む疾風。
迷いに束縛されるのは、性に合わねぇ、な。
[呟きへの答えに、にい、と笑みが過ぎった。
自分は、自分の思うままに動く。
それが結果的に何かの意の沿わぬとしても、束縛を受け入れるよりは、と。
そんな割りきりが生まれていた]
─東殿・食堂─
[しばしクレメンスとお互い鼻と髭の引っ張り合い。ぎりぎりぎりぎり。鷲鼻が更に伸びたかも]
ええい、いい加減離せっ!
先に手を出してきたのはお主じゃろうに…。
[しばらく引っ張り合った後に同時に手を離す。掴まれた鼻がひりひり痛い。ちなみに自分が先に笑ったと言うことが原因と言うのは気付いていないために棚上げ]
あいたたた…。
少し冷やしてくるかの。
[やや痛む鷲鼻を擦りつつ、厨房へと。布を濡らして絞るとそれを鼻にあてた]
うーん、そういう話術とかは、オレ、大の苦手なんだけど。
[基本、力押しですから]
んでも、それはそれで面白くねぇし……。
ここに突っ立っててもなんだし、とにかくみんなのとこ、いこか。
話してれば、なんか見えるかも知れねぇし。
[少なくとも、自分は一つ、ヒントは持っているわけで。
それが、切り札足りえるかどうかはわからないものの、ここにいても埒は開かない、と。
二人に向けて、提案してみた]
ああ。陽光の随行者。
[ミリィの言葉に、名簿の名前を思い出したかのように頷いた]
力あるものが取り込まれたから、陽光の力が鈍り、雨が降ってきたのかしらぁ……んん?
[ぴたりと、思考が止まった]
対抗が弱まったのに、出てきたのは、水?
闇、ではない?
[関係あるような、関係ないような、とめどない考えが頭を巡った]
―東殿・食堂―
ありがとうございます。いただきます。
[エーリッヒの言葉には思わずクスリと声が漏れつつ。オトフリートにお茶を差し出されれば感謝と共に受け取った]
…美味しい。いい香り。
[食べるものも口にした方が良いのは分かっていたが。
今はこの香りを楽しんでいたかったので、カレーには手を伸ばさなかった。そう悠長に構えていると無くなるかもしれないが]
[しかし私の危惧などまさか幼子に伝わる筈も無い。
小さな足跡に翠を点々と残しながら、当ても無く歩みを進め始めた。
…不要な口外は無用と言い聞かせはした故、不必要に言の葉にする事は無きと思えども――少々不安が過ぎるのも仕方無き事であった。
回廊を時折見回しては先へと進む。
目的の人物が良く現れる場所やらを知らなければ、現在地を知るなど持っての外。
彼の人物が居る食堂からゆっくりとはいえど知らず離れているのは致し方ない事やも知れぬ。
ふと甘い香り――これは桃の香か。
鼻に突く其れにゆるりと視線を上げると、
仔は小袋から取り出した包み紙を開けるところであった。
何とはいえ甘いものを好む所は幼子故か、足取りは仄か嬉しげにも思えた。]
―― 食堂 ――
[もぐもぐと、カレーを頬ばりながら、地竜と命竜以外の食堂に居る竜達にも視線を走らせる。影竜が闇竜の後を追うのが見えた]
…陽光竜が居なくなったせいかな?
[残された対である二人が共にあろうとするのは、と、思いつき、苦い表情を水を飲む事で誤摩化した]
…話術は、実は私も得意では。
教育係としては大きな声で言えませんけれどね。
[ティルの言葉に、少しだけ薄く口元を笑ませ。
それから大きく頷いて]
そうですね。
東殿の中に皆おられますかね?
……むしろ、天の方が乱れてるんじゃないかな。
[雨に疑問を感じるらしいナターリエに、ぽつり]
ほら、天聖と時空って……なんだっけか。
なんか、関係あるんだよね?
[属性相関くらいはちゃんと把握しましょう]
あれ、そーなんだ。
きぱきぱしてるから、苦手とかあんまないと思ってたー。
[ミリィの言葉には、素でこう言って]
この天気で外に出てる、ってあんまりないんじゃないかなぁ。
―― 食堂 ――
お茶だけですか?エルザさん。食事は?
[天竜が食べ物を口にしない様子に問いかけたのは、どうもダーヴとは別の意味で、彼女が無茶をするタイプに見えたからだった]
言ったでしょう。
サポートやフォローは他の人達の役割。
貴方は、思うが侭に疾ればいいの。
[ティルの言葉に微笑んだ。
―――嗚呼。成長していく少年ってなんて美しいのかしら]
[―――食べてしまいたくなりまわすわぁ]
[ぞくぞくとした快感が背筋を駆け巡り、心の中で静かに舌なめずりをした。
だが、その思いは、無駄に出すことなく。刈り取るならば熟してからと心の中で秘めておいた]
―――ええ。
私も寝起きでノドが乾きましたわぁ。
まずは、食堂へ行ってみましょうかぁ?
―食堂の奥―
[囁かれた問い。
そっと影輝に返すのは、少し困ったような微笑み。]
――わたしであることを。
[翠の目は、そのまなざしを捉え。]
嘘偽りは申しません。
あなたの、ほしいものがあるのと同じよう、わたしにも望みはあります。
――その証明に、名を。
[ノーラを見たまま、かすかに音を作る名前。
それは、彼女本来の名――オティーリエ、と。]
闇……あ、そか。
闇と光と影で三対だっけ。
[だから、属性相関はちゃんと把握しましょう]
……そいや、影輝のひとは、だいぶ参ってたっぽいけど。
月闇の兄さん、大丈夫なのかな?
そう。闇。
陽光の属性が弱くなったのならば、雨よりはむしろ、薄暗くなったというほうが理に叶いますわぁ。
陽光に引きずられるように、闇も弱くなった。
これならば、15竜集まった影響により、全てが崩壊の序曲を奏でている可能性もありますわぁ。
もしくは―――最初から何らかの理由で闇の属性が弱まっていた。
のどちらかかしらぁ。
他に理由があるならともかく、どちらにしても……あまり考えたくないですわねぃ。
きぱきぱ。
…そう、ですね、そうあろうとしておりますから。
[ティルの言葉には、眼鏡を一度押し上げて背筋を伸ばしなおす。
視界にピアが入れば崩れそうになるけれど。
それから、東殿の中食堂へと向って歩を進めた。
ナターリアの言葉には、ふむ、と頷いて]
流水の貴方が「乾く」と言うと、咽どころか全てで潤いを欲しそう、ですね。
[ぽつりと呟いた]
ん。
[思うが侭に、という言葉に、素で頷いた。
内心? 気づくほど敏かったら、もっと上手く立ち回ってるはずです。
もっとも、頭の上のピアは何か感じたのか、ナターリエをじいい、と見ていたりするのだが]
……そーいや、なんにも食べてなかったし。
腹へってたら、妙案なんか出るわけ、ないよなぁ……。
[当人、考えてるのはこんなもの。
成長不良の影響で、思考もお子様なのかは不明だが]
―食堂―
ええ、後でいただきます。
でも今はこのお茶の香が気持ち良くて。
[爽やかな香りは、心を落ち着かせてくれる。
一口飲んで、エーリッヒに答えた。
どう思われているのかまでは知らぬままだったが、直接言われても今は否定できなかったことだろう]
ダーヴィッド様は食べ終わっているようですし、大丈夫でしょう?
[悪戯めいた軽口が混ざるのはかなり珍しいかもしれない]
……わたしは。
[ 欲しいものなど。
否定は紡がれず、代わりに、口の中で彼女の名を繰り返す。
何事か次ごうとするより前に大地の竜が来るのが見え、止められた。]
また、後程に。
[ 短く告げ、影は布を濡らす老竜へと寄る。]
ザムエル殿。どうかされたかの。
……うふふ。
[ミリィの言葉には意味深に笑った]
そう思うのであれば、潤しのために、お相手願ってもよろしいかしらぁ?
水と雷。相性は良いと思いますけどねぃ?
[ぺろりと、上唇を舐めた]
[ティルの頭の上から此方をジーッと見つめるピアに笑いながら返す]
あらぁ。
お猿さん。今は警戒しなくても大丈夫ですわぁ?
それとも、貴方が私のお相手してくれるのかしらねぃ?
ま。さすがにそこまでの趣味は……趣味は……。
[言い切る前に少し考えた]
……開拓してみるのも、あり、かしらねぃ。
[とんでもないことを呟いた]
─東殿・食堂の奥─
[鼻に濡れ布を当て一息ついていると、先に居たノーラから声をかけられる。傍にはオトフリートも居た。当然のことながら為されていた会話は聞こえていない]
おお、ノーラ殿。
やれやれ、えらい目に遭うたわい。
クレメンスめに鼻を掴まれてしもうての。
[漏れるは苦笑。鼻を押さえる姿を見られ少し恥ずかしげではあったか]
[近付く影輝の気配に呼応するかのように、袖の中で黒き腕輪が鈍く光った]
お相手?
お茶か何か…
[ナターリエの言葉には振り返り、その艶っぽくみえた笑みと舌の動きを見て、悟り。
ふる、と頭を横に振った。]
私のような年寄り等、きっと貴方を満足させて差し上げられないと思いますから、ご遠慮致しますよ?
―食堂奥≒厨房―
はい。
[ノーラのことを見て。
答えは求めておらず。]
老君。
あれを相手にしていると、品位が落ちますよ。
[真顔で忠告をし、そのまま食堂へと戻る。
そうして、そっと断りをいれて、*回廊へ*]
―― 食堂 ――
そうですね。デザートは危ないですけど。
[天竜の言葉に、ダーヴの方を盗み見て、くす、と笑う。お茶の香りのおかげか、ここしばらく感じていた張りつめた感じがいくらか和らいでいることに、少し安堵した]
―食堂―
いえ、まだ残っていてよかったですね。
[機鋼の仔の礼に首を振り、ちゃんと食事にありつけたのを口元に笑み浮かべて眺める。大地と生命の髭バトルは視界の端に留めた。余り克明に記録したくないと判断した様子。
天聖と影輝の竜にもカップで半ば口元の隠れた会釈を向けた]
……そもそも、虚竜王が出てきた理由とか、不機嫌の理由とか、根底がわっかんねぇからなぁ。
崩れに関しては、どーにもこーにも。
[軽く、肩をすくめ]
そうあろうと、って。
それって、疲れない?
[ミリィには、素の疑問を投げた。
ピアはピアで、ざわっと毛を逆立てつつ、ちょっと威嚇モード入ってるかも。
一応、風獣の姫としてのプライドはあるようです]
満足なんて……ほほほ。
[くすくすと、片手で口元を隠して笑う]
私が満足させてあげるのよ。
それに、年の差とか、そんなの関係ないとは思わない?
貴方のように、いつまでも、美しい人ならなおのこと。
ま。無理強いはしないわぁ。
その気になったら、いつでも部屋に来てくだされば結構ですからねぃ。
[そう言葉を締めくくると、もう一度笑った]
クレメンスか。
元気なのはよいが、よすぎるのも困りものじゃな。
[ 持ち上げた手を口許に添え、月闇の竜の忠告に明確な同意は示さずとも、否定もしなかった。
闇に寄せられていた天秤が、僅か、傾きを戻す。
引かれる感覚に黒の瞳が緩やかに瞬き、視線を移ろわせた。]
食事はなされたのかの。
[ 皆の方へと歩みを戻しつつ、投げるは他愛のない問いかけ。]
そこに関しては、理由も過程も、考えるだけ意味無いわ。
起こってしまったことなんですからねぃ。
それよりも、結果、どうなるか、よ。
……推測しか出来ない、ということも確かですけどねぃ。
結果は、未来にあれば推測でしかなく、過去にあればすでに過ぎ去ってしまった出来事でしかない。
扱いにくい代物ですわぁ。
[言いながら、威嚇モードに入ったピアの姿に笑み、弾力性の高い泡を一つ作ると、ピアへと投げた。
そう容易く割れるものではないので、遊び道具としては丁度いいだろう]
……冗談よ。
少しは落ち着きなさいな。随行者のための、随行者さぁん。
―食堂―
…そこは、ダーヴィッド様の良心に期待しましょう。
[言われた当人はどう感じるのだろうか。
随分言うようになったな、とか思ったかもしれない。
休息を取り、香りに安定を取り戻して。その身が纏うのは一定の強さを保つ天聖の気]
─東殿・食堂奥─
あやつは元気だけが取り柄……まぁあの生命力も取り柄ではあるが。
全く相手をすると疲れるわい。
[事実ここへ来てからと言うもの、クレメンスに困らされることは多い。──色々な意味で。
ノーラが視線を移ろわせる理由は気付いたか否か。特に何も言わず、移動を始める後を追いながら問われたことに]
いや、食事よりも茶が飲みたくての。
…雨が降り続けるせいか身体が冷えて敵わん。
[水を吸う大地と共鳴するかのような感覚。それがどこか寒々しく感じられていた]
考えても、か。
[元々、考えるのが苦手なのは、さておいて]
結果なんて、それこそどーなるかわかんないし。
ただ、自分がいい、と思う結果のために突っ走るっきゃねぇじゃん。
[ある意味では吹っ切ったためか、口調はいつもの通り。
ちなみに、ナターリエとピアのやり取りの意味は、わかってない。
ピアは飛んできた泡を目をきらきらさせつつキャッチするも、すぐにはっとしたよな表情を見せ。
せっかくだから、遊んであげるのよっ! っと言わんばかりの態度をとっていたりする]
―食堂―
[デザートの危機を憂える仔竜に微笑んで申し出る]
先に確保して置きましょうか?
[天聖と機鋼の仔の話を聞いていた青年は、二杯目の少し濃くなった水色に落していた視線を上げて、若焔へと首を巡らせた。
首を傾げて天聖の竜を見る若焔の様子に、興味深げな色が過ぎる]
―― 食堂 ――
ダーヴの良心ですか?食事に関しては、それは期待薄……
[笑いながら視線を向けた焔竜が、こちらを…正確には天竜を見ていることに気付いて、首を傾げる]
…ダーヴ?
ああ、まだいただいておりません。
残っているようでしたら、私にも少し。
[最近は大量に摂ることも少なくなっているので、これが普通]
ええ、外は雨のようです。
ハリョン殿が取り込まれたことで、天候の平衡がまた少し崩れているのかもしれません。
全体としては、ユーディット様がいらっしゃらないことでも影響が少なからずありましょうし。
[恩人の視線を受け、コクリと頷いた。
続けて何かを言いかけ、けれど周囲に軽く視線を走らせると口を閉じた]
酷くなりそうじゃの。
[ 窓へと視線を向け、硝子を落つる雨垂れに影は呟きを落とす。
皆の居る食卓に戻り着いたところで、一つの名が聞えた。]
ユーディットが?
[ナターリエの言葉には、眼鏡の下の顔に僅かうっすらと紅が走ったのは、髪の色が霧に映ったものか。
口元を引き絞り、眼鏡の中央を人差し指でくいと上げて]
い、いえ。
美しく等。
貴方はとても美しいですけれど、ええ、遠慮させて貰いますね?
[語尾は少し消えそうに。]
―― 食堂 ――
[焔竜の視線が多少気になったものの、精神竜にデザートの確保を申し出られると、すぐに気を移して、こくこく頷く]
ぜひ、お願いします!
…いや、気のせいかな…。
[対の気配のごときものを感じた気がしたのに、
次の瞬間にはまるで覆い隠すかのように、揺ぎ無き天聖の気が包み込んで。]
陽光と、時空の方か。
[天と時は対ならぬ対。
どちらも対の無い強き力であるが故に、お互いを止められるのはお互いのみだとも。]
エルザ、やっぱり調べさせてもらって良い?
やはり君が心配でならない。
対を失っているのに、いまはこんなに安定してるのは何故なんだろうとかね…。
─東殿・食堂─
そうじゃな…荒れねば良いが。
[それは天候のことなのか、今後についてなのか。
ノーラと共に食卓へと辿り着くと、湯呑を置いたままの席へと向かおうとして]
む?
そうか、ノーラ殿は知らんかったか。
[ノーラが呟いた名、その場でなされていた会話から何のことかを判別]
どうやら、ユーディットも結界の中へと押し込められたらしい。
[続けてティルの言葉に、自分の頬を擦るように慌しく眼鏡を上げる。
キラリと眼鏡に光が反射し、奥の目が見えなくなる。]
ええ、ずっと。
こうあるべるべき、的な動きってあるでしょう?
其の通りねぃ。
[ティルの言葉に頷く]
さすが。成長が早くて物分りの良い子。私は好きよ。
[ぱちりとウィンク一つ]
ただし、自分がいいと思う結果。
これは、最高の結果を追い求めるのじゃなくて、最悪の結果を避けるようにする、のほうがベターかしらねぃ。
この場合だと、最高の結果は勿論、「揺らされたもの」をピンポイントに当てた上で、速やかに対処すること。
最悪の結果は、私達全員が捕らえられて、世界の変革が起こるということ。
ま。ここまで考えれば、後は早いかしらぁ。
[自分自身にも、何を今はすべきなのかを言い聞かせながら、ナターリエが今後の行動を決定すべく言葉を紡いだ]
―食堂―
[天が零す雨、消えた陽、傾いた均衡の天秤、時空の不在。
数々の要素を刻みながら、機鋼の仔竜の返事に頷いた]
えぇ、わかりました。
[そのまま席を立ち、厨房へと歩き出す。途中、耳に入った若焔の声に一瞬だけ天聖の竜へと視線を向け、厨房へ入った]
―― 食堂 ――
え、ちょ、ダーヴ?!
[焔竜の申し出は、唐突に思えた。安定しているのが何故まずいのかとか、ぐるぐるぐる……しかし、止めようかと上げかけた右手はそのまま降りる]
調べて…違うと判れば、その方がいいのか、な。
[ひどく、消極的な意見だと、自分でも歯がゆかった]
……ハリョン殿だけでないとは。
虚竜王様の不機嫌の影響が、其処にも?
[ 影は席に着きはせず、食卓より少し離れた位置に立ち止まる。
其方に意識を向けていた為、機鋼の竜が声をあげた理由は分からず、疑問を含んだ眼差しを注ぐのみだった。]
私を、ですか?
[口をつけていたカップを下ろす]
天聖と時空は対にして対に非ず。
何も影響を受けなかったわけでも無いのですが…。
[実際、昨夜疲労が一気に高まったのは、その気配を全力で追ってしまった為であったのだから。
そして調べられると困る理由は、恩人が思っているだろうものとは別に、確かに有る]
………。
そう、ですね。でもその前に少しお話したいことがありました。
出来るならば、個人的に。
うふふ。
何を言っているのかしらぁ。
雷の如く、強く激しく、そしてたおやかに彩る貴方の美しさには叶わないわぁ。
まさに、この世の自然が生んだ、畏怖すべき美しさよ。
これだけは譲れないわねぃ。
お相手に関しては、先程も言ったとおり、無理強いはいたしませんわぁ。
[そこまで話すと、ようやく食堂へと*辿りついた*]
ぬっちゃけさ、手がかりがあまりに無いんだ。
ごく小さな違和感でも辿っていかなきゃならない。
揺らぐべき時に揺らがない事。本来とは違う揺らぎが場に起こっていること…
ここら辺はまぁ、経験則とかそういう風にしか言いようがないけどさ。
流水の奴が強まっているのかもしれないけど…
[どちらかは調べなければと、悩み中。]
んー……。
[眼鏡の奥に消えた目。
その先を透かし見る事はできず、ただ、問われたことに首を傾げる]
オレ、あんまりそういうの気にしねぇしなぁ。
[己が領域のまま、自由奔放に生きてきた身に、それはピン、とは来ず。
ナターリエのウィンクにちょっと固まったら、ピアに髪の毛引っ張られた]
最悪、か。
確かに、今のまんまじゃヤバイし……それを避けるためには、全力ださねぇとなあ……。
[それでも、告げられた言葉はすとん、と心に落ちたので、頷いた。
とか、喋っている間に、いつの間にか食堂は近く。
中から聞こえる声は、複数がそこにいる事を物語っていた]
あ、集まってるっぽい。
─東殿・食堂─
いや、ユーディットの場合はそれではなく、別の何かに寄るものではなかろうか、と。
…ギュンターの例があるでな。
[離れた位置に立ち止まるノーラに視線を向けつつ答え、己は席へと着く。再び冷えかけた身体を温めるべく湯呑を傾けたが、茶もまた冷え始めていて軽く眉を顰めた]
…?
[歩く事暫し。景色の流れを見る限りぐるりと一周して来た様だが――どうも仔が気付いた様子は無い。
尤も当ても無く彷徨う様子を見れば、もし気が付いていたとて気にする事も無かろうが。
ふと、前方から響く声に一度瞬きを見せると問いかけるかのように一度私へと視線を向ける。
大きな一室の様であるが、私とて此の建物の作りの詳細を知る訳では無い。
しかし幼子にとって気に掛かるものの様であった。]
…。
[おずと覗き込む。仔の腕から私も同様に覗き見るに
どうやら食堂らしき場所――成る程、声の出所は此処であったか。
外が雨の所為か、想像以上の方々が此方に集まって居る様子であった。]
―厨房―
[道を譲ってくれた影輝竜に会釈し、大地と影輝の竜と入れ替わるように厨房に入る。長い広口の袖を軽くまくり、成長期らしい機鋼の仔竜の為に大き目の皿にデザートを盛り付けた]
天聖殿と影輝殿は…さてどうしようか。
[大地の老竜が鼻を押さえながら食べるとも思えず、二竜の分を少なめに盛って盆に乗せて戻る]
[ナターリエの言葉には、少しだけ眉を下げて首を傾げ。
きちり、ぴしり、背筋を伸ばし食堂の扉を手を伸ばす。
ティルの言葉には、少しだけ目を和らげ]
まぁ――私の性分、ですから。
…ご心配、ありがとうございますね?
[口元にも薄く笑みを浮かべた。
それから表情を引き締めなおして食堂の扉を開いた。
そこに居た人々に、頭を下げる。]
何か、判った事などはありますか?
別の何か……
なれば、より急がねばなるまいの。
[ 言葉とは裏腹に、思考は別に向く。
翁の視線を避けるように顔を動かしたところで、開かれた侭の扉から中を覗き込む幼児の姿が視界に入った。]
リーチェ?
―― 食堂 ――
[ダーヴと天竜の会話を、今は黙って聞いている。離れた場所、丁度焔竜の部屋の外あたりを、機械竜が雨に濡れながら、カシャカシャと飛んでいる]
[その額に輝く宝玉は、今もまだ、燃えるような焔色のルビー]
─食堂─
性分、かぁ。
ん、でも、無理はしない方がいいと思うよー?
[ミリィに向け、笑いながら言って。
食堂にいる面々にやほー、と手を振る]
なんか、食べるもの残ってるー?
[ある、じゃなくて、残ってる、と聞いたのに他意はない。多分]
―食堂―
[食堂を順に回りながら機鋼の仔の側にデザートの大皿を置き、影輝の前にも控えめに盛られた皿を置く]
よろしければどうそ。
必要無いなら、他の方に。
[ちょうど入って来た面々に視線を流し会釈する。
大地の老竜にはご所望でしたらお持ちしますと囁いて通り過ぎた。その視線は勿論合わされる事なく、老竜の手首辺りに向いていた。
天聖の前には置く前に席を立つ姿が目に入る]
……何か、ありましたか?
[見詰め合う若焔と天聖の娘の様子に、最初から話を聞いているであろう機鋼竜にそっと問うた]
[ほぼ同時に食堂へと現れる四竜の姿。自然視線はそちらへと向く]
随分と集まって来たの。
皆腹でも減って居るか。
[冗談めいた言葉を紡いだ後にミリィの言葉を聞いて]
ハリョン殿とユーディットの話は聞いたかの?
今のところその話くらいじゃろうか…。
…ああ、ダーヴィッドがエルザを調べたいとは言っておるな。
[視線を件の二人に向けて。
ノーラの言葉には一つ頷き、視線につられるように再び入口へと]
─自室─
[旅慣れている所為か、荷物は簡素。
触媒に使う百華香が広くは無い部屋を覆っている。
椅子を引いて座るよう促すと、自分はベッドに腰掛けた。]
…で、話?
[何かを隠しているような気は、ずっとしていた。
それも、心配になっている原因の一つ。]
ああ、折角用意してくださったのに申し訳ありません。
早くに戻るだけの余裕がありましたらいただきますが、他に召し上がる方がいらっしゃるならそちらに。
[皿を手に戻るアーベルへと済まなそうに頭を下げ、ダーヴィッドの後について食堂から出て行った]
―食堂→焔竜の部屋―
―食堂―
…! ノーラ。
[当初の目的とは結果的に異なった様であったが、
見知った者の姿を見つけた事は素直に嬉しい様であった。
小さく声を上げると幼子はぱたり翠を散らし手に持った小袋を握り締めたまま影の下へ駆けて行く。
本来の目的のお方は直ぐ近くに居るなれど、幼子の視界には今暫くは映っておらぬ様であった。
…否、考えてみれば先程まで一人暢気に出歩いて居た身。
もし気付いていたとて、幼子にとっては優先されるべき順位が影竜殿であっただけかも知れぬ。]
―― 食堂 ――
[目の前に置かれたデザートの皿に、軽く目を見開いて]
わあ、美味しそうだ!ありがとうございます。
[にこりと精神竜に向かって微笑む様子は、いつもと同じようでいて、少し違って見えただろう]
ダーヴがエルザさんを調べるつもりみたいです。
[デザートをスプーンに掬いながら、言葉は淡々と口にされた]
―焔竜の部屋―
[独特の香りが広がる部屋に少しだけ戸惑いながら、示された椅子に浅く腰掛けた]
…もっと早くに決断しておくのでした。
まさか皆のいるその場で問われるとは思いませんでしたけれど。
[苦笑して、ローブの胸元を止めている鉤を、一つ二つと外す]
―回廊―
[ゆるりと、巡る。
しとしとという雨の音を聞きながら、まわりを見て。]
[ため息を吐くと、そっと廊下の、椅子に座り込んだ。]
[暗い闇が、ある。
それに隠れて自分の姿は見えなかっただろう。
食堂から、二人、出てくる人影が見えた。]
ん、ずっと寝てたし、色々調べると疲れるし腹減るからっ!
[ザムエルの言葉には頷きました、力いっぱい。
入れ違うよに出て行く二人には、不思議そうな視線を向けるものの。
ともあれ、精神竜の示す皿に、青の目がきらきらしたのは、誰の目にもはっきり見えたはず]
…エルザ?
[服のボタンを外していく様子に、なんとなく視線をそらす。
いやいやいや、そんなことは無いんだろうとは思うけれども。]
そうかそうか。
ならばたんと食うが良かろうて。
……カレーは残ってなかったんじゃったかの。
[エーリッヒが持ってきたので最後だったか、と首を傾げる。デザートに目を輝かせるティルを見て、飴玉袋をもう一つ用意すべきじゃったか、と思ったり]
[ 駆け寄ってくる翠樹の仔竜に、思い返すのは陽光の仔竜の姿か。
ほんの一時、翳る表情は仔の眼には映ったろうか。後に入って来た三者の声に顔を上げた頃には、露と失せてはいたが。]
―食堂―
いえ、私が勝手に持って来ただけですから。
また後ほど必要になってから盛られた方がいいですね。
[天聖の謝罪に首を振り、出て行くニ竜を眼鏡奥の紫紺が見送る。
そして機鋼の仔の嬉しげな声に視線を戻し、その心の動きに違和感を覚え眉を少し寄せた]
……エルザ殿を。
どうしてかはお聞きになっていますか?
[中から取り出すのは宝飾の施された首飾り。
中心には強い力を持つ真珠と土耳古石が抱かれている]
違和感の元はこれだと思います。
私が天聖の気を欠きそうになり頼ったせいで、流水の力もまた表に出てしまったのでしょう。
…もう、お分かりですよね。
我君よりお預かりしたものです。最初の異変が起きたときに。
誰が「干渉されて」いるか分からない現状、下手な場所で口に出すわけには参りませんでしたので。これまでお伝えすることが出来ませんでした。
[目の前の相手に関しては、口を滑らすかも、などという懸念がもう一人との間にあったなどいうのは、内緒である]
[食堂の空気がまだ判らなかったので
厨房を覗き、うすらとする茉莉花茶の香りに少し目を細める。]
お茶、いりますか?
[お茶の葉のポットを見たり、
他に食べるものがあるかと冷蔵庫を覗いたりする。]
え、カレー。
残ってないの?
[がーん、とか。
背後に書き文字浮かんだかも知れません、ええ]
甘いものは、入るとこ違うんだけどなあ……。
[それでも、確保はしっかりしてます]
……ところで、なんかあったの?
なんか、深刻な雰囲気だったっぽいけど……。
[言いつつ、視線はちらりと入り口の方へ。
問いたいのは、先の二人の事らしい]
――?
ノーラ、げんき、ない?
[翳りの差した表情を眼に捉えたかそれとも幼子特有の勘か。
仔は影へと困惑の色にも似た眼差しを向けた。]
あめ、たべる?
――おじいちゃんに、もらったの。
……、あ。
[おじいちゃん。と呟く様を見るに、漸く出歩きの目的を思い出したかの様であった。
一つに夢中となれば事を忘れ易いのは仔だからと言え、少々思いやられる。]
は?
[緊張のままにそう告げてから、相手の態度に気が付いた]
あ、ええと、その。
失礼を致しました。
[真っ赤になると慌てて胸元を掻き合わせた。
胸の半分ほどまで開きかけていたローブの中には、左手よりもずっと複雑な刻印があるのが垣間見えただろうか]
ですから、ええと、その。
[自分のせいだがちょっとパニック]
―― 食堂 ――
[続けての精神竜の問いに、もぐもぐとデザートを頬張っていた右手を止める]
時空竜のユーディットさんが居なくなったのに、安定し過ぎているのが気になるんだとか。
対ならぬ対…とはいえ、厳密には影響し合っているわけではないから、ダーヴの気にし過ぎじゃないかとは思うんですけど。
否定出来る、強い要素もないんですよねえ。
[はあ、と溜め息。困ったような顔はいくらか普段の様子に戻っていた]
…あぁ。
[そこに在るのは、断つものにして刃ならざるもの。
驚愕に見開かれた目は、次の瞬間には柔らかく笑みへと変わる。]
そっか、それを隠してて…
[ごめん、と洩れる呟き。]
取られる訳にも行かないし、かといって振るう訳にも行かないしな。
…大変だったろ?
あー、儂にも茶ぁくれぃ。
[厨房に向かうミリィの背中に声をかけた。一応、冷めかけた緑茶は飲み切っている。
ショックを受けているらしいティルに苦笑を漏らすと]
いや、儂は見ておらんからはきとは分らんがの。
大半はダーヴィッドに食われておる。
[この辺りはおそらく相手の予想の範疇ではあるだろうか。続いて訊ねられたことには]
ダーヴィッドがエルザを調べたいと言うたのじゃが…エルザはその前に個人的に話があると言うてな。
それで部屋に向かったのじゃろう。
[中の声など聞こえるはずもなく、
そのまま、いいかと放置する。]
[ぎしぎしあんあん聞こえてきたら嫌だったのもある。]
[人の中にいるのもいやで、そっとその場を離れた]
―→玄関―
だいじょうぶ。
[ 幼児の眼差しに影は緩やかに首を左右に振り、申し出には少し困ったように沈黙を落とす。しかし、不意に発された短い声に、首を傾いだ。]
……どうか、した?
[大きく深呼吸。そんな場合ではないと、響いてくる声に言われるまでも無く分かってはいるのだ]
いいえ。
私も誰を信じればよいのかで迷っておりましたから。
それも結局はダーヴィッド様に更なる負担を掛けることに…。
はい、そもこれは仮契約にすぎぬと剣からも伝えられています。
この力を使って何かをすることは適いません。
そして、万一にも…奪われるわけには参りません。
……いいえ。私も天聖が竜族の一員。
託された命には全力で努めるだけです。
[最後はフワリと微笑んだ。
幼い頃と同じ、だが成長して確りとしたものを得た表情を]
……あー……。
[火炎の竜の名に、意識が遠くに行ったのは瞬間。
精神竜の気遣いに、すぐに浮上したりするのは、外見相応にお子様反応。
実年齢には、逆行してはいるのだが]
ふぅん……。
天聖竜が揺らされてるとかなってたら、ある意味泣けるけど。
……時空竜に干渉できる、なんてのがいるんじゃ、そこも疑問なるのは、ある意味不思議ないかあ。
―東殿・翠樹の個室―
んんん……。
[随分と深く寝入ってしまっていたようで、身体の節々が軋む様に感じられた。
少し身体を動かすと、毛布がふさりと床に落ちた]
……あら。
[しゃっきりとしない寝ぼけ眼のまま、毛布を丁寧に畳んで行く。
一連の動作を行ったところで、翠樹の仔の姿が見えないのに気付いて]
―東殿・翠樹の個室―
お寝坊は私か。
[少し身体を伸ばして、軽く身体を解した。
近くに何やら飴玉の包みが置いてあるのに気付くと。
穏やかそうに微笑み、袖へと閉まった]
[茶を適当に2,3カップ淹れ、棚の籠にパンを見つけて持って食堂の机まで持って行き、
まずザムエルの方へと運んでから残りは適当においた。
自分のカップの茶を飲みながら、席に着いて]
どうぞ、ザムエル殿。
[言いながら、周りの話を聞こうと周りを見渡した。]
─時間軸:連れ込まれた直後─
……なるほど。貴方が蒔かれた種というわけですか、アーベル。
混沌の担い手が種とは捻りが無いんじゃないんですか?
[そう言って、彼女の肩に手を置いているアーベルを睨み付ける。
そして告げられる言葉。
それと同時に紅い爪による斬り上げでアーベルを両断せんとする。
しかし、それは後ろに飛び退かれる事でかわされ。
そのまま、アーベルは笑みを浮かべたまま、結界の外へ。]
[撫でようと伸ばしかけた手を、引っ込めた。
彼女は、もうあの頃の泣き虫の幼子のものではなく、一人前の律の番人。]
あぁ、奪われるわけにゃいかないな。
俺もできうる限りの事を。
…?
[問いを向けられれば、仔は一寸慌てたように周囲を見回した。
――確かに多くの者が居合わせているが、喧騒に紛れて聞えぬか。
そう判断したのだろう幼子は僅かに背伸びをして影竜殿の耳下へと顔を近づける。]
……、あのね。…えっと。
[密やかに囁かれる声。内容を知りこそすれ私の耳には拾えども、
喧騒に紛れては他の者に聞えたかどうか。]
おじいちゃんが、剣もってるって、聞いた、の。
だから、ほんとう?って、おしえてもらおうと、思って。
…けんがあったら、ととさま出せるって、きいたから。
―食堂―
[機鋼の仔竜からの返事に青年は立ったまま、空になった銀盆を小脇に抱えた。視線はニ竜が出て行った扉の方へ移ろう]
………なるほど、そうでしたか。
時空と天聖の関係性は微妙ですから…若焔の懸念も仕方ないかと。
[秘なる書に刻まれた記録にも例はあったが、力強い二つの属性が欠ける状況は特殊すぎて青年ですら断言できないと首を振る]
[ティルの反応を見ると僅か苦笑が漏れるか。続く言葉には表情を正して]
…あやつが揺らされて居ったらギュンターが泣いて悲しむじゃろうの。
儂は無いと思うておる。
[それは今まで曖昧に、明言せずに来た老竜にしてははきとした、確信めいた言葉。その違いに気付いたものは果たしてどれだけ居たか]
んじゃ誰調べりゃいいのさー!!!
[それでもってまた、堂々巡りの思考の淵へ落っこちてしまう訳で。
結局、広い額を押さえて唸ることに。]
…なぁ、エルザは誰が怪しいと思う?
―― 食堂 ――
ですよねー。
なんか、昔馴染みを疑って調べるとか、ちょっと嫌だなあって思っちゃって。
これだから皆さんから子供扱いされちゃうんでしょうけどね。
[精神竜の言葉に苦笑して肩をすくめる。頬にクリームついてるあたり、子供扱いされるのは、それだけの理由じゃないような]
―東殿・個室前の廊下―
[窓の外を見ると、雨がさあさあと降り注いでいるのが見えた]
この雨だと……皆、部屋か広間あたりかしら。
[ほうと息を零して、ゆったりと廊下を歩いていく]
…………。
[しばし、アーベルの消えた場所を睨んでいたが、ふうを息を吐くと、]
……さて。こうしていても仕方ありませんか。
情報収集はしておくに限りますからね。
[そう呟いて、探索に移った。]
[ザムエルの言葉に、カチャリ、持ったカップを皿に置く。
ふむ、と頷いて]
そのギュンター殿は、既に取り込まれていて、おられないのですよね。
[老竜の、確信めいた言葉の裏には気がつくことはなく、低く呟く。]
ダーヴィッド様にお預けすることも考えたのですが。
探査にはお力を多く使われましょう?
それではやはり危険が残りますので。
…先の遣り取りで誰かが気付いたようでしたら。
私はこの先、身を隠すようにしようと思います。
[今、剣の力を使えば、下手をすると結界に引き寄せられることになるかもしれない。その危険も知らされてはいたが]
[ 背伸びをする仔に応じて、ノーラは膝を折る。
秘密の話をしたいらしい様子に、幼児の口許が耳に来るように動いた。]
……だれに、聞いたの?
[ 小さく、驚きの含まれた声を返す。
確かに先に大地の竜が来たときに感じたのは、影に親しい力であった。されど我に確証はなく、故に、動くこともなかったが。]
おお、すまんなミリィ。
[差し出されるカップに礼を述べて一口。緑茶では無かったが、身体が温まるならこの際何でも良いです。
ギュンターについてを聞かれれば]
うむ……ティルが言うには、あの結界の中じゃと。
[じゃったな?とティルにも確認を取る]
あ、ええと。
[唸り始める恩人を前に、思いっきり困った顔になる。
誰を信じていいのか分からないということは、つまり誰を疑えばいいのか分かっていなかったということで]
…それこそ、流水の方でも?
いえ、何を疑っているのかと言われても困りますが。
[そんな話の向きがなかったかな、と思い出しながら首を傾げた]
[明言する様子に、きょとり、としつつ。
その理由にすぐに思いが回らないのは、食欲第一状態だからか]
……まあ、力が強い属だし。
ないなら、そのほーがいいんだけど、ねー。
…確かにな。
起きてる時なら、多少の奴らにゃ遅れを取らない自信はあるが、
流石に…力尽きて寝てる時はどうしようもない。
けど、身を隠す…って何処へさ?
奴らに見つからない安全な場所、って…。
―中庭―
[雨はまだ降っているけれど。
先ほど、風邪をひくといった口で何をやるのか。]
[苦笑して。木陰に入る。
そうして腰を下ろすと目を閉じた。
暗い。闇が、体を包む。]
―― 食堂 ――
[雷撃竜に、ナプキンを差し出され、きょと、と首を傾げる。ややあって、頬についたクリームの感触にようやく気付くと、受け取って、あはは、と笑い]
ありがとうございます。
[また、赤くなった。本日何度目やら]
ぁー、確かに流水は…。
[いろんな意味で欲望に忠実な流水なら、あるいは…とも。
触媒に使う香を、いくつか選んで配合する。]
ん、確かに、結界の中から、ギュンター爺様の気は感じた。
陽光のちっちゃいのと、時空のねーさんも、いるのは感じる。
何やってるか、までは、わかんないけどね。
[ザムエルの問いに、こく、と頷いて。
また、食べに集中。
万年育ち盛りは元気です]
それで怒られたばかりですが。
[苦笑しながら首飾りを元のように仕舞い込む]
とりあえずは、竜卿内を。
どうしても追跡を躱せないようでしたら…剣の補助を借りて。本来の力は使えませんが、そういう形でなら少しは可能らしいので。
[実際、それをしたから気が漏れたという側面もある]
―食堂―
[エルザは違うとはっきり告げた大地の老竜の声に扉に向いていた視線がちらりとそちらへと流れた。
けれど直に機鋼の仔竜に戻して頬についたクリームに指を伸ばす]
いいえ、それはとても自然な心の動きですよ。
それこそが魂というべきもの。
子供だとか思わずに、大切になさい。
[少しだけ年長者としての言葉を発し、そして指先に付いたクリームを舐めた。悪戯っぽい笑みを口元に残し移動する]
ナギ。
――ナギは、…えっと、おじちゃん?から聞いたって。
[影竜の驚きの声にか、影竜の耳元で僅か嬉しげに仔は笑みを零す。
彼女が知りえぬ事を自らが教える立場になる事は、幼心に僅か心躍る事であるらしい。
幼子の「おじちゃん」と言うのは、命竜殿の事であろうが――名を知らぬばかりに外見的特徴を述べるなど…さてそれで通じるか否か。]
ほんとうに、見つけたらね。
オトにもおえてあげるって、やくそくしたから。
黒いわっかが、ノーラみたいだったから。…きっとそれ。
―食堂―
[さてザムエルと醜い争いを繰り広げた後(ちなみに伸びたり赤くなった所は3秒で(ry)、ザムエルの悪態をつきながらさり気無く食堂を出て、外へと。
廊下に出ても幸いというか、鉢会う者はなく。
そして一人部屋に戻り、そこから西殿へと――転移する。
生命竜の癖に転移が使えるのは、氷竜にのみ見せたあの琥珀色の生命の粒子のおかげで。
粒子同士の繋がりを利用し、自己形成情報を遠く離れた所まで伝達、再構築を行っていたためだったりする。
だがこんな無茶に近い転移方法など数日に一度が限界で。
おまけに精度も悪く、目測地から遥か遠く離れた場所に出る事ばかりだった。
本来であれば。]
なら、エルザ殿が揺らされていたなら、ギュンター殿を悲しませないよう自分だとばれる前に閉じ込めたとか?
若しくは、ギュンター殿はエルザ殿を良くご存知だから、感づかれて閉じ込めた、とか?
[手の中で、カップをゆっくりと回しながら中の茶を見つめる。
眼鏡の奥の瞳に、感情は浮かばない。]
―― 食堂 ――
あ、ありがとうございます。
[拭う前に、クリームの粗方は精神竜に掬い取られ、残った痕を拭いてお茶を取りながら、嬉しそうに笑う]
そう言ってもらえると、少し勇気が出ますよ。
[そうして散策によって、
予想通りここが封印されている西殿の中であること。
議場へは更なる結界が内外から施され、入ることが出来ないこと。
中庭の噴水がどういう経緯か、外を映す投影機になっていること。
彼女には必要ないが、衣食住は一通り揃っていること。
などなど、状況を把握。]
…例えば、ですよ。
この中の誰かを疑おうと思えば誰でも疑えてしまう。
そして私には誰が犯人なのかが判らない。
白か黒か…――判らない。
[少しだけ間をあけて、呟く声は、低い。]
でも…
[お茶を口にしてから、目を伏せる]
『誰も疑わないわけにもいかない。それは判ってる…』
[だからこそ、自分は力のことを誰にも知らせてはいけないと思うのだから…]
[ 幼児がそう呼ぶ対象は誰であろうか。
そんな思考が巡る間もなく、ベアトリーチェは嬉しげに言葉を紡ぐ。]
そう、
[ 次いで零れた名に対しての驚きは表には表れず、ただ、思案な間が下りた。]
ほかには、なにか、聞いた?
[ 訊ねつつも視線が移ろう先は、言うまでもない。]
[思い出す言葉があった。
言葉といっても、名を聞いただけだったが。]
[何ゆえ、ティルとダーヴィッドだったのだろう。]
[考えるように、目を伏せた。
雨が体に、わずか、あたる。]
[無いなら良いと言うティルの言葉には一つ頷くに留め。続く説明を聞きながら]
一つ聞くが、彼らが結界内へと取り込まれた時に何か感じたりはしたか?
もし感じて居ったのであれば、それぞれが取り込まれた際に何か違いがあったりはせんかったかね。
[ティルに疑問を投げかけてからミリィの言葉を聞くと]
ふむ……その「例」に関しては無いとは断言は出来ん。
じゃがばれる前に、と閉じ込めても、閉じ込める際か後に分かることではないかね。
[「例」の部分に力を込める。それはエルザを信じているためと取れるか、はたまた違うと知る故と捉えられるか]
―食堂―
…ティル殿が。
[記録から零れていたのか、大地の竜の声に小さく呟きを返す。
そして眼鏡越しの紺碧は疾風竜へと視線を向けた。視線は合わさず、小猿も避けて反対の肩口辺りへと]
他には何か手掛かりになりそうな事はないのでしょうか?
[……そして、]
…………此方にも湧いて来ますか、このクソムシが。
[眼前に現れたのは、巨大なナナホシテントウ。]
ん、なんていうか。
空間が、揺れるみたいな感覚はあったけど。
……陽光のちまっこの時と、ギュンターの爺様の時は、少し違った……かな。
[ふと、手を止めて。
何か思うように遠くを見て]
どっちにしろ、気持ちわるいから、ちゃんと覚えてないんだよねぇ。
[気持ち悪い、と。
その部分は、きっちり本気]
うん、そう。
オトは、おうさまをはやく出してあげたいって、いってたし。
ととさまも、いっしょにだしてあげようって。
ほか?
[影の問いに、一度幼子は目を瞬く。
先程聞いた話を順に反芻しているのか――暫くの沈黙の後。
僅かに首を傾いで、はたと思い当たったか影竜へと再び視線を向けた。]
えっとね。
おじちゃんが、オトは信用できるよっていってたって。
ブリジットもきいてたって、ナギが。
[でも全部内緒ね、と。幼子が影へと告げたのは信頼しているに他ならないからだろう。無邪気にそう耳元で囁き。]
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