情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
天竜 エルザ に 4人が投票した。
流水竜 ナターリエ に 3人が投票した。
大地竜 ザムエル に 2人が投票した。
雷撃竜 ミリィ に 2人が投票した。
氷破竜 ブリジット に 1人が投票した。
翠樹竜 ベアトリーチェ に 1人が投票した。
天竜 エルザ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。何かの介入か、それとも……?
現在の生存者は、疾風竜 ティル、月闇竜 オトフリート、焔竜 ダーヴィッド、流水竜 ナターリエ、生命竜 クレメンス、大地竜 ザムエル、雷撃竜 ミリィ、精神竜 アーベル、影輝竜 ノーラ、氷破竜 ブリジット、機鋼竜 エーリッヒ、翠樹竜 ベアトリーチェ の 12 名。
……ふぅ。
[と溜息をつくと、ギロッと巨大テントウを睨み、]
消えうせろ、災禍の欠片。
[そう言って、赤い爪を伸ばし跳びかかる。]
[仔龍はひとり]
…ここ、どこ。
[ことん、と首を傾げたら、帽子が、ぼてん、と落ちた。
王の気配はかんじるが、さて、どこにいるやら。
それよりも]
…影輝。
[自分を抱えてくれた腕は、どこ?]
[アーベルの呟きには、「おや、知らぬであったか」と返し。続く問いはティルに向けられたものであろうか。視線はティルへと向かう。
丁度己が問うた答えが返って来ていて]
ふむ、ハリョン殿とギュンターとでは違いがあった、か。
なればそれは取り込みの経過が違うと言うことにもなり得ようの。
やはり虚竜王様の不機嫌以外にも結界へ取り込む力が働いていると言えるか。
[己の中で曖昧にゆらついていた考えがかちりとはまった]
例は、ええ、そうです。
ただ―誰でも黒になり得るのですね、と。
[ザムエルの言葉には、少しだけ申訳無さそうな色の篭る声を返すけれど、表情にはあまりそのような感情は浮かばない。]
…誰かが何かの力を行使しているのであれば、それが出来ないようにしていくのも手…でしょうか?
…エルザっ!?
[振り向いた瞬間、彼女を捉える無限なる輪。
痕跡のひとつも残さず、その姿は掻き消える。
ただ、唖然と見ることしか出来ぬまま、がくりと床に膝をついた。]
…せめて、逃げ延びて。
[苦々しい声。
憤りはぶつけられぬままに、噛みしめられた奥歯に押さえ込まれた。]
― 東殿・食堂 ―
……ありがとう。
[ 稚い様子の翠樹の仔竜に一時目を戻して、その柔らかな金糸を撫ぜた。立ち上がり、黒布を掻き寄せて影は思案に落ちる。]
/*
このままPLが固まると幾重にも失礼になりますので、先に中発言で失礼を致します。狼側の意図が読めず、結局は流れ優先で動いてしまったのを重ねて謝罪致します。
こちらにもこちらの意図はあったのですが、動きを色々と失敗したのも自覚はしております。
ログを読んで頭を冷やしてから、色々動きなおそうと思います。
―東殿・個室前の廊下―
……止みそうにないですね。
[ふと立ち止まり、西殿の方を見やる。
結界の様子も気になったが、現状何か進展があるのかも気になった。
暫くの間、廊下でぼうっとしていただろうか]
─東殿・食堂─
誰でも黒に……そうじゃのう。
今は白でも黒でもない、灰の位置に皆居るか。
…いや、ブリジットは違うと、ダーヴィッドが言っておったか。
先に取り込まれしハリョン殿も。
[ミリィの言葉を受けながら、思い出したことをぽつりと]
しかしそれが出来ないようにと言うが、如何にして食い止めるのじゃ?
誰が成しておるかも分らんと言うに。
─東殿・食堂─
[精神の竜の、問いに、ふえ? と言いつつそちらへと視線を向ける。
言ってなかったっけ、と、顔にそう書いてあるのは間違いない]
んー、他には特になんも。
後は……外に、違和感の元がいくつかある、って程度かな。
[さらりと言って。
ザムエルの言葉に、多分、と頷いた矢先]
……て。
―東殿・食堂―
…? うん。
[何に感謝されたか、幼子は愚か私ですら理解する事は叶わなかった。
しかし髪に触れる手が心地好いか幼子は薄らと眼を細める。通る指が擽ったいか僅かに身を捩る様子は、さも事の重大さを理解していないかの様であった。
立ち上がる影竜殿の顔を見上げると不思議そうに一度眼を瞬き、しかし考え事をしているのだろうという事は察するに幼子と言えども容易かった。妨害してはならぬと僅かにその身体を離し――なればその合間にでも、目的を果たそうと決意したかの様だった。
幼子は何を思ったか私を今し方まで影竜殿が腰掛けていた椅子へと下ろすと、小さき身体を翻し地竜殿の元へと駆けて行った。
駆ける先の地竜殿は会話中で有ったが、幼子と言えどその会話に挟み込む事はすまい。]
分からないなら、可能性の或る者を全て。
例えば。
…何も出来ない位に憔悴させるとか。
例えば。
…お互い、何も出来ないよう封じるとか。
例えば。
…揺らされているならば、対抗できるほど大きな「力」で持って、逆から揺らしてみるとか。
………――どれもとても危ない思考ですね。
[自覚はしています、と、付け加えて
それでも余り冗談には見えない表情で、ザムエルを見て言葉を紡いだ。]
―東殿/食堂―
[大地竜の視線に微かに頷き、疾風竜の言葉に耳を傾ける。
そして返された答えに広口の袖から半ば覗く指先を口元に当てた]
きもちわるい、ですか。
側に居たらその感覚…心の動きの違いがわかったかもしれませんね。
[感覚ならば月闇の方が近いかもしれないので余り強くは言わず、続く言葉に瞼を伏せる]
外に違和感の元が…それは揺らされたものですか。それとも?
[揺らされたものの何かを感じているだけなら疾風の竜が動かず留まっているのは違和感があり、青年は眉を寄せる。
しかし、何かおかしい疾風の竜の様子に口を噤んだ]
―西殿→東殿・自室―
[暫くすると、ゆらり元の自分の部屋へと戻ってくる。
どことなく疲れているのは気のせいではないだろう。
少し休んでから再び部屋の外に出る。]
……お主、はきとせぬ現状に参ってはおらぬか?
思いつめておるように見えるぞ。
[じ、とミリィを見つめる。眉が顰められたその視線は、心配の念を含んだものであったか。
ティルの頷きを見た直後、動きが止まるような様子に訝しげに]
どうした?
…また何か感じたか?
[焦りにも似た声色で訊ねた。返答を待つ間に、近くに気配が近付くのを感じる。見ればそこには樹竜王の御子の姿]
おや、ベアトリーチェ殿。
如何なされたかな?
この感じ……また?
[呟きは、周囲に届いたかどうか。
それでも、精神の竜の言葉に、は、としたよにそちらを見て]
……恐らく、ね。
それが誰かはわかんないから、いらつくんだけど……。
[言いつつ、軽く頭を振る。
違和感。
昨日も感じたそれは]
……これ、陽光のちまっこの時と……同じ?
て、事はっ!
[低い呟きの後、跳ね上がるよに立ち上がる。
回廊を行くのももどかしい、と思ったか、窓から外へと]
あ、こりゃティル!
窓から出るなどと…!
[突っ込みどころはそこですかと。意識がティルへと向かうが、傍に来たベアトリーチェのことも気になり、その後を追うのは憚られた]
―最前/焔竜の部屋―
[戻るかというダーヴィッドに頷き、立ち上がった時だった]
…しまっ…
[咄嗟に首飾りと成した剣を抱き、包まれる力に抵抗しようとした]
「違う、これは…!」
[剣の声もノイズのような何かに紛れ、殆ど聞き取れない。
そのまま無限の輪は身を包み、空間を渡る]
― →結界内―
あの、ね。 おじいちゃん。あのね。
[己へ地竜殿が気付いた事に安堵したか、左手に小袋を携えたまま仔は彼の竜の元へと駆け寄った。
そこまで離れれば声は良く聞えねど、はたと気付いた様子の後小袋を地竜殿へと翳しているのを見るに、美味しかった、有難う等の言葉を告げているに違いない。
ふと地竜の近くに居るだろう風竜の様子が常とは異なるのを感じるも、その様子は私からは良く見えぬ。
影竜殿も姿を消した故、居座っても仕方無かろう。仕方無しに椅子の脚を伝い床へと降りた。]
リーチェ、聞きたいことが、あってね。
[地へと降りれば、私の視界は随分と低くなる。僅かに聞える仔の声に僅かな不安を覚えた。四方や、本当に直に聞くつもりではあるまい――否、仔に限って有り得る話ではあるが。]
…思いつめて。
そう、なのでしょうか。
でもあまりに曖昧に進む事が、どうにも耐え難いのですよね…。
[ザムエルの目を少しの間見つめ返し、心配を感じ取れば俯いて手元を見た。
翠樹の竜がザムエルに近づくのを目を細めて見、そのまま空のカップを両手で包み、周りの会話に耳を傾けた**]
―東殿傍―
[突然あがった息は、されどすぐに落ち着き。
ゆるく首を振った。
ただそれだけ。]
[まだ雨は降っている。
いつのまにかびっしょりと、濡れていた。
口唇が、困ったような、そんな笑みの形になる。]
見つける力があったって、止めることもできねぇんじゃ…
[虚空へと消え去った場所を眺めたまま。
気配も、残り香すらもそこにはない。]
[声をかけてくるベアトリーチェに高さを合わせるよう椅子から降り傍へとしゃがみ込んで。掲げられた小袋と共に礼を述べられると、嬉しげに目尻が垂れる]
喜んでもらえたなら何よりじゃ。
して、聞きたいこととな?
[訊ねられようとしていることはおそらく予想の範疇を超えたものとなるだろうか。訊ねたきことの言葉よりも先に漏れ聞こえた、「真似」の言葉には]
…お父上が嘆きなさる故、真似をしてはなりませんぞ。
[流石にあの行動は真似て欲しく無かった]
─ →西殿・結界前─
[制止の声や、仔竜の呟きは届いたかどうかも定かではなく。
雨の中、駆ける先は結界の側。
たどり着いたその場で、呼吸を整え。
風を呼び集めつつ、両手を触れる]
……やっぱ、し。
[微か、感じ取るのは、天聖の気配。
先日感じた、ギュンターからのものとは、違うもの]
天竜の、姉さん……か。
[なお、お前の方が年上だろ、の突っ込みは無用。らしい]
―東殿/食堂―
[属性ゆえか苛烈な電撃の竜の言動に僅かに視線を流し、疾風の竜の答えにまた戻す]
……わかれば話は早いのに、ですね。
[口元に指先を当てたまま同意の頷きを返すと同時、窓から飛び出る姿を見送る。
そして座席に残された黄蛇に気付き、視線をめぐらせて大地の竜にいつの間にか近づいていた翠樹の仔竜に留めた]
―結界内―
[下手に抗おうとしたのがいけなかったのだろうか。
開放された時には周囲を確認することも出来ないほどに気分が悪かった。或いは虚竜王の不機嫌に影響されたのかもしれない]
っく。分かっていたのに。
…伝えられただけ、マシかしら。
でも御師様には何も…。
[肩で息をしながら、傍にあった壁に背を預けた]
[ずんぐりした外見に反し、巨大テントウの動きは俊敏で、ブブブブと羽音を響かせ、体当たりを食らわそうと飛び掛かってくる。
だがしかし、彼女はその動きを予測し、交錯の際に斬りつけているのだが、ギンッという音とともに外殻に弾かれる。]
……苛つく程に硬いですね
…だめ?
たのしそう、なのに。
[萎れる様な声に、内心私は安堵する事になる。
窓から飛び出て行ったのは見て取れたが――まさか真似したいなどと言い出すとは夢にも思わなかった故に。
地竜殿にお止め頂き助かったと云わざるを得ないであろう。]
うん、あのね。
[目線の近しくなった地竜殿を真直ぐに見据えつつ、仔は先を促され地竜殿の耳元へと顔を近づける。――不要に口外してはならぬという言葉に従ったか、さては秘密裏の会話で話すのを気に入ったのやも知れぬ。
何れにせよ地を這い、未だ仔よりも距離を置く私の耳元には声は届かぬ。]
けん、もってる?
すっごい、つよいやつ。
…聖魔剣。
[胸元を押さえて小さな声で呼びかける。
けれど応えは無い。小さく唇を噛む。
この中では特に力を抑える理由、そんなものは聞くまでもなく分かっていた。だからこそ外に出されたのだから]
申し訳ありません、我君。
[それでも何があっても干渉された者に渡すことはしまいと。そう決意を込めて顔を上げた]
―東殿・個室前の廊下―
[西殿の方を見ていた時、不意に風が動くのが見えた]
あの影は、風竜……ティルの?
[何が起きたのだろう。
感じた胸騒ぎは、徐々にではあるが、膨れて行く。
先に西殿へ向かおうと、踵を返したところで。
部屋から出てきた、命竜の姿が見えただろうか]
なんつーか……わっかんねぇ。
[ぽつり。
雨の中に零れるのは、小さな呟き]
どいつもこいつも……そろいもそろって。
何がしてぇんだよ?
揺らされた連中も、竜王も。
ひそひそこそこそして……ワケわかんねぇよ!
[吐き捨てるよに言いつつ、結界を殴りつける。
鈍い音が、雨の向こうに響いた]
風邪をひきますよ?
[ そっくり同じ口調で、影は言う。
外へと歩み出せば、同じく濡れるのだが。水を含んだ土は普段よりも柔らかく、微かに沈んだ。数歩の距離を置いて立ち止まる。]
―東殿・廊下―
[なにやら慌しい声が聞こえるが、原因は分かっていた。
先ほど、西殿の中で会った――彼女の件だろう。
ダーヴィットあたりはめっさ凹んでるんだろうなと思いながら、自身も再び、今度は徒歩で西殿へ向かおうとして。出くわした影一つ。]
よう、氷竜殿。
騒がしいようだが…何かあったか?
[さも今しりましたと言った風に尋ねかける。]
…クレメンス、様。
[グッと息を呑んだ。気をつけろと再三言われてきた相手。
しかもこの西殿の中に居られるとなれば、その答えは一つ]
干渉を受けましたか。
…それすら気付いておられないのやもしれませんが。
[だがこの相手は恩人でもある。
覚悟はしていても、苦いものが広がる。
壁の向こうから響く音に少しだけ気をとられながらも、目の前の相手を睨んだ]
[ ふ、とノーラの意識を深淵に引き落とす。
光と闇の分かたれぬ今、浮上するのはかなり億劫ではあるが。]
引かなかろ。影なればな。
[ 紫に変わりし瞳を向け月闇の竜を映す。煙る雨に、視界はやや霞んだ。]
己であるを望むが故に、力を求めるか?
[しばし、壁を睨むように見た後。
東殿には戻らず、庭園の木の上へ]
…………。
[そのまましばし、枝の上から雫をこぼす空を*睨むように見つめ続け*]
―東殿/食堂―
[大地の老竜と翠樹の仔竜の話は内緒なので当然聞こえない。
風を聞く疾風の竜ならまだしも、青年では何か冒険めいた仔竜の心の動きを感じる程度だった。
そちらに意識を向けながらも開け放された窓へと歩き、雨風が入らぬように閉じる。
そして振り向いた時、意気消沈した若焔が食堂へと入って来た]
……エルザ殿が?
それは…どのようにしてですか?
[飛び出した疾風竜の言葉により概ねわかっていたが、正しく刻む為に問いかける]
―東殿・廊下―
ごきげんようかしら、命竜殿。
[意味無く同じ呼び方で返した後には、ふるりと首を振り]
騒がしいほど、騒がしいのかは分からないけれど……
今、ティルが結界のほうに駆けて行ったみたいなの。
……もしかしたら、また誰か「引き込まれた」か。
それとも、揺らされたものに襲われたか。とにかく、何か起きたのかも。
[ふるり、首を振るう]
―― 食堂 ――
[飛び出していく風竜をただ見送ったのは、恐らく珍しいことだろう。ダーヴが食堂に現れてから、ようやく、息を吐く]
…他は、無事かな?
結界を見に行くか、人の集まっているところに行こうかと思ったんだけれど。
貴方は?少し、疲れているようだけれど……。
[どこか疲れているような命竜に向かい、尋ねる。
また探査の為に力を使ったのだろうか。そんな風に、気遣うように]
振り向いた時にはもう、無限の輪に捕まってた。
十中八九、虚竜王様の手によるものだと…。
[半ば鱗の生えた手をきつくきつく握り締める。]
―結界内―
自覚はおありになるのですか?
それでもこのように動かれるのですか。
[対照的にキリキリと張り詰めた空気を纏う]
ええ、そうです。
…刻印を傷つけ力を使ったこと。覆いを外してダーヴィッド殿に見せたこと。その辺りが引き寄せてしまったやもしれません。
[幾つもの失態を重ねている自覚はあった。
師は気にするなと言ってくれたが、それでも悔しかった。
常と変わらぬ相手を前に、感情が揺れる]
[だが、数合斬り込んで、外殻は斬れないと判断したのか、スッと眼を細めると、]
鎧が駄目なら……鎧の隙間を斬るっ!!
[そう気を吐くと、見事次の交錯で片方の翅を根元から切断。
バランスを崩したテントウはあらぬ方向へ墜落。
──だが、彼女は見てしまった。その先にクレメンスとエルザの姿があることを。]
……どうもせぬ。
出来ぬ、というが正しいか。
此の器に、我の震える力は無きが故に。
陽光の仔竜が囚われし今となっては尚更にな。
[ 素直な肯定に、胸に手を当てつ吐息を零す。
細い滴が肌を伝い、纏う布を濡らしてゆく。]
好きなようにするがよかろ。
お前も、あれも。
願いの在るならば。
―東殿・廊下―
うむ、ごきげんよう。…って言うと偉そうだな俺。
[へらり、笑みを返すも、続いた言葉には眉を顰める。]
…引き込まれ、ってまたか。
どっちだったとしても厄介だな…とにかく行ってみるか?
[外は雨だが、そうも言ってられないだろうかと。
それでも一応尋ねてみる。]
/*
ありがとん。
ちなみに、一瞬「えっ?」て思うかも知れんけど、記号とか付くようなことにする気は無いんで。
と、先に言っておくのこと。
―東殿・廊下―
あら、なんだか似合ってたけれど。
[へらりとした笑みを見ると、少しだけ笑みが零れたが]
……虚竜の王が機嫌。
結界の中に引き込まれたユディとかでも、治せないのかしらね。
[ほぅと息を零したところで、命竜の問いかけに頷く]
……雨が気になるなら、私の周りだけ雪や雹に変えられるけれど?
[こてんと首を微かに傾げ、尋ねる。
濡れるのと冷たいの、どちらがマシ?とでも聞くように]
[パチリ。警告のように首飾りが主張した。
それは揺れたことに対してか、それとも]
なっ?
[気付いた時にはその気配はすぐ背後にあった。
咄嗟に出来たのは]
失礼!
[目の前に居た人物を突き飛ばすこと。
そのまま振り返り、右手を離した左手を突きつけるが、完全には間に合わない。力負けしたように、下敷きになってしまった]
―東殿/食堂―
[若焔の言葉に静かに耳を傾けて、青年は若焔へと歩み寄った。
握り締められた鱗立つ手に、袖から少しだけ覗く指先を添える]
虚竜王の不機嫌ならば恐らく誰も止められません。
あまり気を落とされぬように。
……エルザ殿に心配されますよ。
[少しだけ痛みを消して、指先を離す。
そして仲の良い様子の機鋼の仔に声を投げて下がった]
エーリッヒ殿、よろしければ若焔殿の側に。
[ダメかと再度訊ね来る様子には、重ねるようにして制止の言葉を紡ぐ]
なりませぬ。
お行儀が悪いですよ?
[告げてから、耳元へ顔を近付けてくる様子に己が耳をそちらへと向ける。その先で紡がれた言葉には少し、動きが止まりかけた]
……剣、じゃと?
[強い剣、幼子はそう繰り返す。常で剣をその身に帯びることはほとんど無い。今帯びていると言えば──]
…いや、儂は持っては居らぬよ。
剣を扱うは苦手でのぅ。
[ややあって紡いだ言葉は否定を含むもの]
[ちらりと心竜を見上げる顔は、きっととてつもなく情けないもの。]
…けど。
アイツが…アイツの卵見つけたときからさ、絶対守ってやるって思ってたのに。
[口惜しさは、どうすることもできず。]
手伝ってはあなたの望みが叶ったとも言いがたいのでしょうか?
もしも必要でしたら、どうぞおっしゃってください。
[さすがに僅かな沈黙の後、申し出だけはした。]
―― 食堂 ――
[精神竜に声をかけられて、立ち上がる。すたすたとダーヴの傍に歩み寄ると、生身の右手で、いきなりスッパーン!と頭をはたいた]
落ち込んでる場合じゃないだろ!?
早くエルザさんを出してあげたいなら、結界をどうにか出来る相手をとっとと見つけないと!
…?
[地竜の耳元から身体を離した仔は、漸くにして心竜殿に気付いたようであった。
視線を向けられていると判ればその意図は知らねど、幼子は何処か楽しげに小袋を握った左腕を心竜殿に向かって小さく振る。
しかし僅かに首が傾いだのは、その向こうに様子の可笑しい機鋼竜殿と焔竜殿が見えた為か。
その間に漸く仔の足元へと辿り着けば、
私は仔の足を伝って小さな身体へと身を巻きつけた。]
―東殿・廊下―
うはは、おいさん偉いわけじゃないからなぁ?
んー、どうだろうなぁ…中で王らと繋がってれば期待できるんだが。
[繋がってない事を知りながら言う。
そしてブリジットの、ある意味究極の選択に通じるモノには、ちょっと本気で悩んだ。
結局。]
………濡れないよりはマシか?
えーと、そいじゃオネガイシマス。
[冷たいほうを選ぶ事に。
雨避けコートを取りにいけばいいわけだが。
部屋にはなかったし、借りてくるには時間がかかる為。]
冗談だ。
[ 表情は変えずに言う。]
あれの願いもお前と似たよなものだろ。
叶う事態になれば唯では済まぬが。
それも一つの結末よな。
―東殿/食堂―
[視界の端に若焔の情け無い顔が見えたが、青年は常より淡い笑みを浮かべていた。胸の内を全て吐き出せばいいと許すように独白に口を挟む事もない。
そして機鋼の仔竜の一撃が入れば、もう大丈夫だろうとばかりに静かに足を進めた。ニ竜から離れ、視線を向ける仔竜に指先を一、二度振り返す]
…ってぇ………
ぁにすんだよっ!!!
[まともに肩打ったらしく、さすりつつ飛び起きた。]
んなもん、言われなくてもわぁってるっての!!
[幾つもの焔を展開。潮の香りの煙が上がると同時に、灯火は深い青へと染まる。]
[不時着したテントウがエルザを下敷きにし、押さえ込んだ彼女に襲い掛からんとするの見てからの彼女の行動は迅速だった。
テントウとエルザの間の空間に自身を再構築。
だが、再構築から再び武器を構築するだけの時間は無い。
咄嗟に、エルザへ噛み付かんとするテントウの口器に腕を突っ込む。
ずぶりと彼女の腕にめり込むテントウの顎。
だが、彼女はそれを気にすることなく、すぐさま逆の手で紅い爪を振るう。
それはテントウの複眼を切り裂き、ぴぎぃという泣き声をあげて、テントウは距離を取る。
いまだ倒れたままのエルザを庇うように立つ彼女の姿。
……その右腕の肘から先が無くなっていた。]
あなたは――叶うも叶わぬも、関係ない。
そういう、ことなのでしょうか?
[ノーラに問いかける。]
――でも先の願いは、本気だと思いました**
…そっか。
[再度制止を掛けられては、仔も渋々ながら納得せざるを得ぬ。
僅かながら名残惜しそうには見えども、幼子は了承の意か小さく頷く。
それでも尚真似たいと言い出せば如何すべきかと悩む事になったに相違ない。
重ね重ね、地竜殿には感謝すべきであった。]
…? もってない、の?
[一寸の沈黙の後、告げられた言葉に仔は囁き声も忘れ瞬いた。
不思議と言わんばかりに仔の視線は腰へと巻きついた私へと注がれる。
それから仔の表情には僅かに翳りが差したのは、幼心に大きな期待を抱いていたに違いなかろう。]
おじいちゃんが、もってるって。きいたの。
…でも、ととさま、だしてあげられない?
[流水のへと向かった焔は、2周回る前にくすぶって燃え尽きる。]
…こっちでも、ないか…。
じゃ、誰が…
[存在として怪しいのはクレメンス辺りだろうかと失礼な事を思いつつも、揺らぐ足取りで歩き出す。]
/*>>+15
問題なし。それより時間食ってごめりんちょ。
いや、謝るべきは腕のことだろうというのは聞き流す。
大丈夫。フォローは端から考えてある。
むしろ、ダシに使って勝手に色々一人で描写してる&することこそ謝るべきことですね。ゴメンナサイ。
―東殿・廊下―
そう、願っておきたいものだけれど。
陽光帝も、仔と会いたいでしょうからね。
[少しだけ、胸元に手を当てて、そうであるように願いながら呟いて。
片言な言葉での返答には、にこりと笑みを作って]
賢明ね?
[微笑んだ]
―東殿→西殿・結界前―
[東殿を出る際に、軽く息を整える。何か小声で呟いたと思えば、
ブリジットの中心から、とても薄い白紫のオーラが広がっていく。
オーラのような結界に触れた雨は瞬時に、真白い雪となる]
あ、寒かったら、ごめんなさいね。
[言うのが少し遅かった気もした。
オーラは円状に、そう離れていない命竜をも包み込む。
地面のぬかるみも凍て付き、所々には霜柱も生えたりしているだろう]
[麻痺させようとした力は中途半端にしか発動せず。
迫り来るその口に眉を寄せた瞬間だった]
ユーディット様っ!
[その腕を犠牲にしながら退けてくれた時空竜。
肘より先の無い姿に、立ち上がろうとしながら小さな悲鳴を上げた]
…ごめんなさい。
[小さな声はどこに向けたものか。
立ち上がると同時、今度こそ左手を掲げて冷たい光を放った。それはテントウモドキに絡みつき、動きを完全に封じようと。
朱の筋が左腕に流れてゆく]
[真似るとそれ以上言わぬようになると、僅か安堵の息が漏れる。今まで接してきた無茶ばかりする仔達より聞き分けが良いのはありがたい。
己が返した言葉にどこか残念そうな表情になるのを見ると、少し心が痛くなる。しかして今明かしてしまうのは、ましてやこの幼子に告げるのは少々憚られる]
…儂が持っておるとは、誰が言うておったのじゃ?
仮に剣があったとしても、お父上を出すには少々難しいと思うのぅ…。
生半可な剣では、あの結界は破れまいて。
[テントウと対峙している彼女であったが、その顔は俯き気味。
その間にも、腕からは紅い液体が毀れ落ちている。
だが、彼女は痛みなど微塵も見せることなく……いやその実、感じていないというのが正確なところ。
……そして、]
うふ、うふふ。うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。
[俯いた口元が頬まで裂けそうなほどに三日月状に開かれ、そこから漏れ出るのは狂ったような笑い声。]
―― 食堂 ――
[水竜に向かい、消え果てる焔を見つめ、揺らぐ足取りで歩き出したダーヴも、黙って見ている]
ばーか。
[案の定くたりと倒れた相手に近付き、右手を振った]
ユル…!
[先刻まで外にいた筈の機械竜が飛んで来て、右腕一本で引き上げた焔竜の身体を反対から持ち上げて支える]
ベッドに叩き込んできます。
[入り口近くにいる精神竜に擦れ違いざま、そう告げて、食堂を出る]
―― 食堂→焔竜の部屋 ――
[部屋に着くと、文字通りベッドに叩き込んだ上、上から羽根布団を10枚程重ねておいた。窒息するかもしれないが、きっとこの焔竜なら復活するだろうとか]
関係はあろう。
我は永きに渡り受け継がれし記憶。
此の界に存在するものである故に。
そなたらの求める力は余りに強大だ。
何が起ころうと不思議ではない。善くも悪くも。
されど。
……願うは自由であろうよ、足掻くもな。
[ 其処で、言葉を切る。後に続くのは雨音であった。
何もかも覆わんとばかりに降り続く雨は、全てを包む闇にも似る。]
―東殿・廊下―
んだな…。
[それは本当にそう思ったので返しながら。
笑みと微笑には、そうなの?と微かな疑問符を浮かべながらも、いつぞとは違い今度は後に続くように外へ。]
―東殿→西殿・結界前―
[外に出る間際、白紫のオーラを結界と、それに触れれば雪となる光景に、おー、と感嘆した。
のはちょっとの間だけ。]
さ、 っぶ!!
[薄着をしていたわけではないが、冬装備ではもちろんないわけで。
気がつけば地面に霜柱まで立つような寒さに思わず両手で腕を抱く。
さすさす腕を擦りながら、それでも一応歩くっちゃ歩くわけだが。
足元から聞こえるさくさく音がすこーし恨めしいとか。
滑って転ばないだけマシだろうか。]
さて。戻るか。
[ 肩に流れる髪も纏う衣服も、しとどに濡れていた。
重たいのは身ばかりではない。
* 踏み締める土は、酷く頼りなく感じられた。*]
[機械竜は心得た様子で、部屋の片隅に止まっている]
あと、頼むよ。
[明滅する赤い光に笑いかけ。部屋を出た。向かう先は自室]
―― →私室 ――
[部屋に辿り着けば、死んだようにベッドに沈み込む**]
…、それは、ないしょって。約束したから。
――なまはんか、ってなぁに?
[投げられる問いに幼子は困ったように、口を掌で押さえながらふると首を振った。
して生半可と難しき言葉は幼子には少々理解するに早かったか純粋な問いを向け。
――しかし凡その意味合いは流れで掴んだか、小袋を握り締める力は僅かに強まった。尤も、強まるとは云え所詮は仔。些細な力に違いなかろうが。]
リーチェがさがしてる剣は、すごく、つよいの。
その剣なら、ととさまたちが閉じこめられちゃったのも、…こわせるよって。
[しばし笑い声がその場を支配するが、ピタッとそれが止まる。
そうして、ゆっくりと上げられた彼女の顔は……無表情。]
カケラ程度の存在が。天竜を助くために致し方なかったとはいえ。
我に傷を負わせるとは。……万死を以ってしても贖えるとおもうな。
……第死種開放。わが無限の糧となれ。
[ぞわり。
先程まで切断面から滴っていた紅い液体──それは血にしてはあまりに紅く、色褪せないものであったのだが──が、まるで意思を持った数多の蛇のような形状となり蠢き、のたうつ。
彼女がそれらをエルザが拘束したテントウに向けると、蛇たちは我先にとテントウへと殺到する。]
[自分を抱きしめるように腕を抱く命竜には、くすりと笑みひとつ]
綺麗でしょう? それに、靴も濡れずに済みます。お得お得。
[微かにからかい混じりの声にも聞こえたかもしれない。
さくさくと霜柱を作っては踏みながら、結界の前まで歩いていく]
―西殿・結界前―
…………。
[見ただけで結界の様子がおかしいと分かったのは、
長い時間付きっ切りで調べていたブリジットだから、という理由だけではないだろう]
随分、結界が荒れていますね……。
[テントウへ殺到した蛇は、外殻の隙間から体内へ入り込み、中からテントウを食らい尽くす。そして腕から伸びたそれらの所業を無表情に見下す彼女。
その光景は、傍目から見てたら多分とっても怖い。]
[ただ声も無くその光景を見ていることしか出来なかった。
初めて目にする『虚無』の圧倒的な力に畏怖すら覚える。
動くこともできず、後ろからやってくるクレメンスにも気を払うことが出来なかった]
[内緒と、そう告げられればそれ以上強く聞き出すことは出来ず。ふむ、と短く唸ったところで逆に言葉を訊ねられた]
生半可とは、元来の意味では「十分でなく中途半端であること。いいかげんであること」じゃが、この場合は…そうさな。
簡単に手に入れられるもの、ベアトリーチェ殿でも手に入れられるようなものでは壊せぬと言うことじゃ。
[出来るだけ噛み砕いた説明を入れたが、果たしてそれで通じるや否や]
…そう、教えてくれた者には言われたのじゃな?
[今一度訊ねかけて考え込む。
さて困った。剣はあれど、その力を使えねば如何に強大な力を秘めていてもただの剣に過ぎぬ。それを告げてしまえば己が剣について知っていることを知られてしまうことだろう。幼子が気付かぬとしても、側役や周囲の者が気付くだろうか。なればやることは一つ]
…残念じゃが、この通り儂は剣を帯びては居らぬ。
帯びて居るならばこの剣かと貸すことも出来ようがのぅ。
[己が身を見せ、剣を持っていないことの証明とす]
―東殿→西殿・結界前―
綺麗っちゃ綺麗だけどよ…うーっ、さむっ!
…何か楽しそうだな氷竜殿。
[流石というか当然というか。
困ったように笑い、全く平気で先へと進む氷竜をちょっとだけジト目で見ながらも、雪が激しくならないうちに足を進める。]
へーくしょい!
…ううううう。こりゃダーヴィッドあたりが来たら冬眠確定コースだな…。
[昨日冬眠しかけてた焔竜は来なくて良かったね!とは胸中だけで。
さぶさぶ言いながらも、結界前にはたどり着いた。]
―東殿→西殿・結界前―
[結界は見た目は変わりない、ように思えたが。
荒れているというのに、分からないながらも近づいて様子を伺う。状況が変わったらしいので、用心の為触れることはしない。]
具体的に、どう荒れてるか聞いてもいいへっくしょい!
[語尾が何か変に。]
[そうして、中身を食らい尽くされたテントウ……というか混沌のカケラは、そのまま黒い塵となって風に飛ばされていく。
そして、それを為した蛇たちはしゅるしゅると戻ってくると、複雑に絡み合い……あら不思議。右腕、元通り。
暫く、肘から先の袖の無い右腕を振ったりニギニギしたりしていたが、]
……ふん。所詮混沌か。
食ろうても、腹の足しにもならん。
[腰に手をあて、そう機嫌悪そうに言い放つ。]
鍛錬が足りません。
[笑顔でそう呟く様は、やはりどこか楽しそうにも見えたかもしれない]
若焔が居れば、同じような感じで雨を蒸発させながら、
歩くことも出来たかもしれませんね。
その分、かなりの熱気になりそうですけれど。
[一度だけ、どっちがマシか尋ねるように、肩を竦めた]
―西殿・結界前―
[命竜からの問い掛けには]
先日、陽光帝の仔とユディが居なくなったときと似た感じね。
属性のバランスがさらに崩れてるのと――
……また、虚竜の王が不機嫌になってるのかもしれない。
[くしゃみをし始めた命竜を見ると、流石に少し気遣うように。
懐紙を取り出して、差し出した]
…、…えっと。
――かんたんな剣だと、こわせない?
[地竜殿の説明は幼子と云えども幾らか判り易かったかの様であった。
数寸の沈黙の後、仔の中で噛み砕かれ導き出された答えは、少々言葉の意味は湾曲したが然程離れぬ物に着地する。
短な問いには答えて良いものか微か困ったように眉を寄せしかし頷きを返す。
口に出さなければ良しとしたか、それとも幼心に黙っているに耐えられぬ事で有ったかは判らぬが。
地竜殿の言葉と共に確かに剣を持っていないと知れば薄らと落胆の色が見えようか。しかし持ち合わせて居ないので有れば仕方の無い事。
仔は判ったと小さく頷いて――
ただ最後に、一つ思い出したかの様に再び視線を地竜殿へと向けた。]
…えっと、
ノーラみたいなわっかは、ちがうの?
[おずと問うた言葉は余りにも控えめで、私にすら届いたか怪しい。
抽象的とも言えるその問いに、果たして答えは返るや*否や*]
さて……。
[そう呟いて振り向くと、すでにいつもの彼女。
エルザに心配そうに首をかしげて、]
大丈夫でしたか、エルザ様。
[ツッコミ要素満点な台詞。]
あっ。
[気付いた時には左手を取られていた。刻印に触れる指。癒され、刻印が力を取り戻してゆく気配]
…ありがとう、ございます。
[傷ではなく、その奥で疼く痛み。
表情を消したまま腕を引き、小さくクレメンスに感謝を述べた。
最前の状況があれば不審とまでは映らなかったかもしれないが]
ユーディット様。力及ばずがゆえにご負担をお掛けしまして、申し訳ありませんでした。
[時空竜へと向き直り静かに頭を下げた]
…はい、私は大丈夫です。
[顔を上げれば普段のように戻ったユーディットがこちらを見ていた。戸惑いながら、それでもコクリと頷いて]
あ、あの。
私はまだ若輩の身なれば、普通にお呼び付け下さい。
[今度こそ、ティルの気持ちを理解した、気がした]
まぁ、そう言うことじゃのぅ。
[意味としては微妙だが、強ち間違ってはいないために肯定の頷きで応じる。問いに対して頷きが返ってくるのを見止めると小さく唸り考え込んだ。今剣について知るは限られている。ましてや己が持つと気付いているだろう人物と言えば──]
[己が帯びるものを確認してやや落ち込む様子のベアトリーチェを見て、ひとまず誤魔化せたかと安堵する。その安堵も相まってか、続いた問いには直ぐには頭が回らず]
…ぬ?
ノーラ殿のような輪っか?
[問いは届いたがその物に直結せず。しばし考えた後に己が腕輪のことと理解する。これに目をつけるとは侮れん、と思ったかはさておき]
これは腕輪じゃからのぅ、剣ではないのじゃよ。
[この辺りはもはや言い包めに近かったか]
[幼子との問答も終わり、ようやく一息ついて。だいぶ冷めてしまったであろう茶を飲み切ると、食堂に居る者に対し辞す挨拶をする。部屋へ戻ろうと食堂の出入り口へと近付いた時だった]
───っ!
[何かが纏わりつく感覚に囚われ、その動きが止まる。しかしそれは直ぐにパチンと弾かれるように霧散した。同時に己から湧き出るように高まる、影輝と精神の気配]
[来たか、と言う思いと、拙い、と言う思いが交錯する。止まる動きを訝しんだ者は居ただろうか。高まる気配に不思議に思った者は居ただろうか。何かを言われる前に、足早に食堂を出る。向かうは宛がわれた個室。移動する間、右手は左手首を強く*握りしめていた*]
―東殿→西殿・結界前―
こいつぁ厳しいね!
[それでも楽しそうな氷竜には、仕方ないというかぶぅぶぅというか、そんな軽い感じでついていきながら。]
…蒸れない分こっちだな。
[何か内側からじっとり湿っていきそうな気がする。
その様を想像したあと、真顔で答えた。]
―西殿・結界前―
不機嫌か…もう発動したからこうなった、ってことでいいんだよな、一体誰へっくしょい!
[ずびーと垂れそうになった所でタイミングよく紙を貰えば、鼻声でサンキュと言いながおもいっきりかんだ。
近くにゴミ箱とか当然ないので、予備のハンカチでゴミ箱がわりに包んでしまう。]
ええと、ティルは居たんだよな?
んじゃそれ以外の誰かか…って。
そういやティル何処だ?
[すでに結界前からは離れたのか。近くに姿は見当たらない。]
[エルザの言葉ににっこりと笑うと、]
いえいえ。私が主様に命じられている行動の優先順位で、竜命救助は第二位となっていますので。
[ちなみに第一位は知識の蒐集。いいのかその順番で。
そして、エルザの普通に呼んでほしいという言葉に頷くと、]
了解しました。なにはともあれ大事に至らずよかったでs……
[笑顔のまま、ぴたりと動きと言葉が止まる。
そして笑顔のままゆっくり横に傾いていったかと思うと、ばたーんとそのまま倒れる。
どうやら電池が切れたようだ。(実は強ち間違っていない表現
だからといって笑顔のまま倒れられているのは、*怖すぎです*。]
/*
てことで暴れるだけ暴れて寝ることにします。お付き合い感謝。
あと、私のお遊びに巻き込んでしまって申し訳ありませんでした。
ではまた明日。
―西殿・結界前―
私も、暑いのだけはちょっと。
文字通り溶けてしまいそうで怖いから。
[微かに苦笑した後に、首を振るって呟いた。
その後の、もう発動したから――という問い掛けには]
おそらく、その通りでしょうね……。
ティル、は。さっき、雨の中真っ直ぐに西殿へ向かっていったはずだけれど……。
もしかしたら、どこかで雨宿りしてるのか、それともすれ違いで戻ったか。
[辺りを見回すが、それらしい気配は無い]
辺りを少し探してみましょうか。
[そう命竜へと告げた跡、若干の間を置いて。
先程気になった事について、改めて尋ねる]
――さっき、部屋を出たあたりで、大分疲れていたように見えたけれど。
また、誰かを探査したの?
……何か、分かったことはあった?
―西殿・結界前―
まぁ炎は天敵…ちうとあれだが。そっちの対属性だからな。
[腕を擦りながら、でも今はちょっと火があった方がいいなとは少しだけ思うのは仕方ない事で。
問いかけには肯定。
知っているわけだが、神妙に頷き返す。]
行き違いか。だな、ちょっと探してみるか。
[同じように辺りを見るが、寒いので気配探知はだいぶ鈍っている模様。けふん。]
[色々突っ込まなければいけない気もした。だがその前にクレメンスから聞こえた言葉が突き刺さって間を逃した。
自分がやっているのが違反行為であるのは、痛みがなくても自覚していた。根幹を支えるための胸の刻印ほどではないが、こうも傷つけて良いものではないのだから]
ユーディット様!
[それでも倒れてゆくのを見れば慌てて駆け寄り支えた。
スタスタと去ってゆくクレメンスはとても複雑な表情で見送り、とにかく半ば引きずるようにしながら建物の中、個室の一つへと運んだ]
…大丈夫ね。
[混沌のカケラの気配がとりあえず無いことを確認すると外へ。
向かった先は再び中庭。噴水のある場所]
―西殿・結界前―
[さむさむ言いながら背を向けたところで、かけられる声に振り返る。
実際に疲れた原因は別な所にある。
…主に某時空竜のせいなのだが。
が、そんな事実は微塵も出さずに。
まぁなと大嘘つきながら、さくりと足音を立てて近づいて、見上げてくる目を見下ろしながら―奥深い場所に針のように刺さる痛みはおそらくささやかに残った良心が咎めるからだろう―いつものように耳元に口を近づけかけて。]
ナターリエはしろっくしゅ!!
[ごちん。
耳元でやらかした為、勢いで頭に鼻から下が当たった。]
あー…悪い。
[さすがにさっきかんだばかりなので、あれやらそれやらがべっとりという事事体は免れたが。
ハンカチで一応打ったあたりを撫でてふく。]
―噴水傍―
[その仕組みを利用して外の様子を見ようとした時のことだった]
!?
[思わず胸元に手を当てた。共振も殆ど途絶えた今、それでも小さくない何かが伝わってきた]
御師様…?
[不安が過ぎる。
手を翳せば左手首、変じた腕輪を握り締めて歩く姿。
細い繋がりを拾い上げたか、不明瞭だが届く声]
間が悪すぎる。
しかも遠隔で…。
[師の上に何が起きたのかは理解出来た。
今は沈黙したままの剣の別姿に手を添えて、暫し考え込む]
―西殿・結界前―
[最近恒例になってきた、耳元での会話。
素直に耳を貸すと――
ごちん。
鈍い痛みがブリジットを襲った。
あれやそれやらが付いていないのは幸いだったかもしれないが、
くしゃみはもろ被りなわけで]
―西殿・結界前―
ちょ、さむっ!!
ごめんなさいごめんなさい俺が悪かったですすいませんすいません。
[ぶつけられた冷気にぐるぐる回り逃げまわる。
機嫌なおしてーとか情けない悲鳴はあげているだろう。]
[やがて手が再び動く。
映し出されるのは、布団の山の下で昏々と眠るらしき恩人。
結局心労を増やしただけなのかもしれないと、少し悲しくなった。
それに、怪しいと思う人は別にも居たのに]
…言えなかった。
[溜息と共に画像の浮かぶ水面を揺らし、画像を消した。
それから自分も部屋の一つを借りてソファに沈み込む。疲労は前より少ない。無茶に慣れたと言えば怒られもしそうだが。
身心共に鈍い痛みを抱えながら。
浅い眠りの中へ*堕ちてゆく*]
―西殿・個室―
―西殿・結界前―
[深い息を零して、一先ず凍気をぶつけるのを止めて]
――とも、かく。
[当たったところをさすりながら、睨みつけるようにして]
……ティルを探して、何があったか聞きましょう。
それに、他の所で、別の方向での進展があるかもしれないし。
[そう、呟いた。ややあって、その足は庭園の方に向けられるだろうか。
疾風竜を見つけることが出来れば、「引き込み」などについて、*話を尋ねる事だろう*]
―西殿・結界前―
悪かった悪かった、おいちゃんが悪かった。
[氷竜が自分で擦ってるさっきぶつけた後あたりをこちらも手を出し撫でた。
睨むような視線にはとりあえず何でもするんで機嫌直してください、そんな事をうっかり言えば少しはおさまるだろうか。
お怒りが若干とければ、ふーと額の汗を拭い。
ティルを探すのは同意する。
風竜の力を確認しておきたかったのもあったために。
そうしてもう知っている知識と、新たに入れる知識とのすり合わせを*密かに始める。*]
――…覚悟の上。
たとえどのようになろうとも、私は力を欲します。
誰もそれを望まなくとも。
[古き影の言葉の余韻は、雨音に消える。
闇の言葉は、雨に落ちる。]
[決して答えぬ先の問いに気付き、先行く影に笑った。]
[背負った闇はひどく重く、進む足はわずか地に沈んだ**]
─竜皇殿・庭園─
[ピアは濡れないようにと懐に入れて、じ、と空を睨む。
天の竜を欠いたが故か。
天聖の領域を濡らす雨は嘆き雨のよにも見え。
懐に収められたピアは、丸い目でじい、と見上げていたが、ふと、短く鳴いて身を震わせた。
原因? そら勿論寒さです]
え?
[時ならぬ冷えと、自分を呼ぶ声に何事か、とそちらを見やり]
あ、氷破の……それに、おっちゃん。
[クレメンスに向けた目が険しかった事、それに長きを生きる竜たちは気づくやも知れず。
ともあれ、投げられた問いに、軽く、肩を竦めた]
結界、見てきたん?
うん、まあ……また、虚竜王らしいよ。
天竜の姉さん、引っ張り込まれたらしいね……中に、気配、感じるから。
[はあ、とため息一つ零し。
何故、それが覚れるのか、と問われたなら。
最初に見せるのは、しばしの逡巡。
『一応』命の恩人である命竜だが。
不可解さを感じているのもまた、事実だけに]
んー……なんでか、はオレも知らない。
母さん譲りの力って事しか、わかんねぇしさ。
[嘘は言ってない]
ただ、虚竜王が気ぃ悪くする時は、物凄く気持ち悪い揺れみたいなのが感じられんの。
あと……それと違う方法で、誰かか、結界に押し込められる時も。
[具体的に何がどう違うのか、と問われても、説明はできないのだが。
強いて言うなら前者は自然、後者は不自然、と言ったところか。
虚竜王の不機嫌を自然というのはなんかアレなので、その説明はしなかったが]
[大雑把な説明で二人が納得するかどうかはさておいて。
弾みをつけて座る枝から飛び降りる。
水気を吸った常磐緑はいつものよには翻らなかった]
オレ、ちょっと、身体動かしてくる。
濡れてるったってこのくらい、大したこと、ねーよ。
疾風の竜が風邪なんかひくかい。
[背負っていた銀のロッドを手に、突っ込みどころ満載の一言を残して場を離れる。
最後に命竜に向けた瞳は珍しく、険しいものを*帯びていた*]
[アーベルの言葉には、小さく頷いて]
本当に。
判れば話が早いのに。
[呟き、窓から飛び出すティルの背を目で追った。
その小さな背が消える頃、食堂へと戻って来るダーヴィットへと視線を移す。
言われた言葉には、眼鏡の奥で目を瞬いて]
…貴方と一緒に居たのではないのですか?
何故止める事が――
[言いかけた言葉は、アーベルの質問とダーヴィットの返答によって途中で消えた。
虚竜王の、不機嫌。]
ユーディット殿でも手に負えませんか。
[ふぅ、と、深い溜息をつき、窓から空を見た。
視界の外で、焔竜と機竜がどたばたしている音や翠樹と老竜がなにやら話している音がしていたけれど、意識は向かなかった。]
―東殿/食堂―
[飴振る翠樹の仔竜へ指を振り返して間もなく、驚いたような声が青年にも聞こえた。合わせぬように下げていた視界に黄蛇が入り、それに伴いレンズ越しの紺碧が老竜に流れる。
しかし若焔達の方向から上がった潮の香りが過ぎり、視線は青の焔と流水の竜へと移ろった]
………あぁ、これが若焔の。
[踊るような青は流水の気に飲まれたか若焔の気が足りなかったか、二周終える事なく燃え尽きる。そのくすぶる煙が消え行くのを見つめながら、結果を呟く声を記憶に刻んでいた]
[が、流石に焔竜が焔を展開し潮の香が鼻をつけば、ゆるり、顔だけでそちらを見る。
流水の、との言葉を聞いて顎に手を宛てがい]
…何人分もいっぺんには出来ないのでした、っけ。
[ふぅむ、と、低い音を喉から出す。
それから焔竜と機竜、その後に老竜やもしかしたら他の竜も自室へと引っ込むのをみて、自身も寝に戻ろうかとゆっくり立ち上がった。]
[崩れかけた若焔にも動く事なく、機鋼の仔と機械竜が連れて行くと告げる言葉に頷いた]
その方が良さそうだね。
[そして視線を室内にゆっくりと巡らせ、電撃竜の呟きに肯定する]
えぇ、かなり気を消費するようですから。
無理を重ねるのはおすすめできませんね。
何か、出来るならば。
そう例えば力を渡す事が出来るならば、幾らでもするのですけれど…
何も出来ない自分が歯痒くてイライラします。
[アーベルの言葉に、少し困ったように眉を下げて首を傾ける。
精神の竜には、苛々して刺々しくなる心が見えるのだろうか。]
せめてあのお方の不機嫌だけでも治ればマシなのですけれど。
[呟く背後、雨の降る雲の隙間から、ゴロゴロと低い雷の音がした。]
―東殿:玄関―
濡れてしまいましたね。
[屋内に入り、影輝にそう言うと、シャワーを勧めた。
己は大丈夫だと告げ。]
入ってきてください。
体を冷やしてはいけませんし。
[その後、どうなったかは、彼らだけが知る。]
……相性などもありますから。
それに力を渡してしまうと、エミーリェ殿がいざという時に動けなくなります。
[眉を下げる様を視線をずらして眺め、電撃竜の静電気にも似た苛々した心の動きを宥めるように静かに告げる。実際、疲れている火炎竜に電撃の気がどのような刺激を与えるか、青年には判断が付かない]
………雷竜王殿ですね。
此方でこうなら雷皇の祭壇はどうなっているか心配です。
そうですね。
私の力は渡して解決に向かうならドレだけでも、とも思いますけれど、大した助けにもなりそうに無いですし。
[雷と、焔。
近そうで遠いその属性は、お互いに大した影響を与えなさそうな気が、した。]
我が雷竜王様は…きっと、嵐竜王様や他の暴れる王達の宥めに回ってるでしょうね。
それでも内心は激しく不機嫌なのでしょうけれど。
あぁ、祭壇には落雷があるそうです。
――そちらの郷は大丈夫ですか?
[ゆるりと半身を捻って背後の窓へと一度目をやり、戻して精神の竜へと目を戻す。
眼鏡のレンズを2枚隔てた視線はぶつかることは、きっと、無い。]
……そうですか、無理もありませんが。
[様々な事に複雑な響きながら短い一言を返し、戻された電撃竜のレンズ越しの視線に紺碧は逃げるように逸れる]
一度、峡谷に帰った時には変わりないようでした。
碧き虹は…僅かに儚くなっていましたが。
我等が領域に住む竜は多くなく、警告は心話で飛んでいますから混沌の欠片の影響は少ないでしょう。
[そう告げたところで大地の老竜が辞する声が聞こえ会釈する]
混沌の、欠片。
[老竜にアーベルが会釈するのに釣られる様に、同じようにそちらへと会釈をした。
呟いて、目を外へと向けるとやはり、ふよふよと浮く黒い物体は、存在する。]
警告が飛んでいるのなら、少し安心ですね。
竜郷全域に、ちゃんと注意勧告が行き届いていれば良いのですけれど…――
「あれを現れさせた」というだけでも、今回の騒動の犯人は断ずるべきです。
貴方は…揺らされていませんか?
[低い声、ゆっくりと顔を向け
精神の竜をじっと見て、問うた。]
[背を預けた壁近くにある入り口へ歩いてくる大地竜を視界に入れながら、まっすぐ断罪するような電撃竜の声に目を細める。見つめてくる瞳と青年の紺碧は合わない]
えぇ、勿論
[静かに返した時、不意に擦れ違おうとした老竜の動きが止まる。それはほんの刹那であり、他に気付いた者はどれ程いたことか青年にはわからない。
各自の心の動きよりも、湧き出るように高まる影輝と精神の気配に意識は向いていた。足早に去っていく背を横に流した視線で僅かに追い、壁から背を離す]
…勿論、ですか。
[僅か、ほんの僅かだけ片方の口角を上げ、人差し指で眼鏡の中央を押し上げる。
壁から背を離したのを見て移動するのかと目を細め、カチャリ、机の上の食器を重ねた]
焔竜殿の先ほどのが只の手妻で無いなら、絞られても…来ていますね。
見つける事が先決ですが、その後の事も考えないと。
[呟いた時、潜められた声に顔を上げる。
いかんせん、感知系は鈍い上に自らの属でないものは、感じづらかったけれど。
言葉に神経を研ぎ澄ますと、違和感だけは、感じて]
…これは…一体?
[精神の竜の視線を追うように、扉へと目を向けた。]
[絞られた後と言う声に頷き、続く問いに扉へ向けていた視線を電撃竜へと向けた。刹那、互いの眼鏡越しに視線が合う。その奥の紫紺が二枚のレンズ越しに見えたかは電撃竜のみに、彼女の瞳から何かを見たかは青年にしかわからない]
大地の属で無い気配がしました。しかも二つ。
どういう事でしょうね…?
[直に視線を伏せた青年は、食器を重ねる少女のような姿の側を過ぎ行きざまに囁く。
そうして残されていた翠樹の仔竜へと近づいて、テーブルに残されたままの影輝の分のデザートを食べるかどうか*問いかけた*]
― 東殿・回廊 ―
大丈夫という言葉ほど、
信用できないものはないかと。
< 水分を含んだ衣服は無論、濡れた艶やかな黒からも、その合間を通り抜けた指先からも、ぱたぱたと滴が落ちた。
二者が中に入るのを待ち受けていたように雷鳴が轟く。
嵐が来る、そう呟きかけた刹那、内から強い力の波動が感じられた。鋭く向けた視線は足早に回廊を行く老竜の姿を捉える >
……あれは。
[振り返る精神の竜の、その顔に置かれたレンズに光のラインが上から下へと流れる隙間、紫紺の揺らめきに暫し動きが止まる。
囁かれた言葉には、あぁと小さく息を吐いて]
…二つ。
それ、は…――
[皿を重ねる手は動きを再開する。
眼鏡の奥、考えるは 善いか悪いか、白か黒か。
雷鳴に空をもう一度見上げると、編んだ紅い髪が肩から落ちた。]
あなたが?
< 問いは風雷の音に呑まれかけ、互いの姿は雨雲の生む闇に遮られ表情は杳として窺えない。
幼き樹竜の秘密の話が脳裏を過る >
それとも、他にもいらっしゃいますか。
< 揺れるはどちらにか、未だ定まり切らず問う >
―竜皇殿・外壁上―
……荒れてきた?
[響く雷鳴に、小さく呟く。
手には銀のロッド。
いつも巻いている常磐緑は外され、小さな白をくるむのに使われている。
そのため、いつもはそれに隠されているもの――首筋に浮かぶ、裂傷とおぼしき跡ははっきりと見て取れた]
やっぱ、抑えきれねぇか……嵐になるかも。
……自重しろよな、バカ兄貴。
[そいつは無理な注文てヤツだ]
―東殿―
[雷鳴。
そして出てゆく老竜。]
わたしが。
[荒れるあたりの様子。
答えは小さく、闇の中。]
[他、との声には、微笑みを。]
――あなたの願いを。
あなたが望みを。
かなえたいと思った時に。
急がねぇと、ほんと色々ヤバいかも。
海荒れて、津波とかなったらシャレになんねーし。
急ぐ……か。
[呟いて、しばし、瞑目。
周囲に満ちるは、雨と風、雷の音。
先ほどのナターリエの揶揄めいた言葉が、ふと過った]
手がかりなんてない、確信なんてない。
けれど。
他にないなら、食いつくっきゃねぇか。
[小さく呟き、ロッドを構え直して目を閉じる]
< 後に続いた答えを示さない返答は惑いを悟られたようで、闇竜の微笑みは映さず回廊の先を見ていた。
手が髪に隠れた右の頬に触れる。微かな隙間に、仄白い光が覗いた >
叶える代償を悟っていても。
< 呟きは問いかけではない。答えは既に刻んだのだから >
―結界内個室―
[眠りは浅く浅く。
クレメンスと出会った以上、警戒を解けるはずは無く。
それでも休まねば身がもたないのもまた分かっていた]
[浅い眠りは夢を齎す]
[崩壊の悪夢。
自らの力によりて幾度と無く滅びようとしたことか。
刻印に守られ支えられている身体。
剣に護られ支えられている世界。
失いたくないと、それもまた願い]
―個室→廊下―
…分かっております。
[小さな声で答え、身を起こす。
深く眠ることも出来ず、このままでは回復も遅くなろう。
そういえば食事は取り損なったのだと思い出し、部屋を出た]
養父上もこちらにいるのならば。
…お力を借りるべき、ね。
[階下へと向かいつつ、小さく呟いた。
少しだけ気乗りしないのは、会えば怒られるなんてものでは済まないだろうことが予想が付くからである。
今現在、彼がどんな状況にあるのかは知らぬまま]
二重の結界。
虚竜王様の力を利用した相手は。
[呟き、頭の中を纏めながら階段を降り切って。
食堂に向けて歩き出した足が止まる]
………。
[修理のことをすっかり忘れていた、といのはさておいて。
今問題とすべきはそちらではない]
…揺れると…どうなるのでしょうか?
他の属性を持つようになったりするのでしょうか?
逆に自分の属性が弱まって他に影響される、とか
…兎に角――本人に伺った方が、早そうですね。
[頷くと立ち上がり。
食器を片付けた後、廊下へと出て老竜の部屋へと向かう。
…――が、どの部屋を使っているのかが判らなかったので、廊下をウロウロと彷徨う事となる。]
[嫌な予感がしたのだ。
だが逃げられるわけも無いのだからと、気を引き締め直して目的地へと入った]
何か簡単なものを作るくらいはしたいのだけれど。
[道具は揃っている。ただその余裕があるかどうか]
[あるわけもなかった。
結局水を一杯とクッキーを一枚だけ口にする。
身体を意識して、力を意識する]
…大丈夫。
[自らに暗示をかけるように呟いて。
ローブが「覆い」となるように念じると廊下へ出た]
―西殿・一階廊下―
オトフリート様…。
[僅かに身構えながらも、どうにか微笑らしきものを返す]
ご心配の掛け通しで申し訳なく思います。
ですがこの通り。お約束したように休息も取りましたから。
いえ、未だ。
会わねばならないとは思いますが、何処に居るかご存知でしょうか。
[心配は幾重にも掛けているだろうなとは思いつつ。
眉が寄るのには小さく首を振り]
今少しばかり口にはしました。
ですが、落ち着いて食べる余裕も欲しいところですね。
…剣のことが気になるのは、貴方の方ではないですか?
[疑問に疑問を返して微妙にはぐらかす。
相手がどこまで知っているのか判断は付かなかった。
柔らかな微笑の理由も知れず、惑う]
少しでも減らそうとして?
…そうした無理をする人では無いはずなのですが。
[だが確信できるものではなく、表情を曇らせる]
元から、近年はそう多くを口にすることがありませんので。
[本当は回復の為には多くを摂った方が良いのは他者と変わらないのだけれど]
どうして私が持っていると?
そしてご覧になって…どうなさるおつもりですか。
確かに頭の固い人ですし。
その強さも存じておりますが。
必要とする分まで絶っているわけではありませんから。
[自分も影響をかなり受けている自覚は薄い]
――ダーヴィッド様以外には見せていないはずですが。
確信をお持ちでは誤魔化しようがありませんね。
[半歩、身を引く]
であれば、お見せするまでは構いませんが。
お渡しすることは出来ません。
[両手を前で重ねながら、否を告げた]
これは剣の意思でもありますがゆえに。
[聖魔剣は仮初の意思を持つ。
その本体が共に在るを認めそうな相手、その中で一番近くに居たのがエルザだったのだ。
だから一抹の不安はあれど彼女に剣は託された]
[二振りの剣は契約の下にその姿を変える。
腕輪然り、短剣然り。
そして聖魔剣が他に多く取ってきた形は…首飾り]
[側近であればその姿も見たことがあっただろうか]
手にするべきでない者が手にすれば、崩壊を招く。
それを知った上で望まれますか。
[伸ばされる手を、鋭く払う。
そのまま大きく一歩後ろに下がる]
なれば猶のこと、渡すことは出来ませぬ。
[左手の印は無理をしすぎたせいで、そう簡単に封を解けなくなってしまっていた。或いは癒された時にそうもされたのか]
………。
[ギュ、と唇を噛んだ。
視線が胸元に向き、気配が変わった。
右耳に手を伸ばし、真珠飾りを引き千切る。
手の中に現れたのは相手のそれより一回り小さな短剣]
最後まで、抵抗します!
[一瞬それた意識、反射的に踏み込んでいた。
短刀を握る手を狙い刃を振るう。
力量差は当然あるだろう。目の前の相手にだけ集中して]
[肉を切り裂く感覚。
眉を寄せながら刃を返し、武器を封じられたなら次は足と。
だが、それよりも早く相手は動く]
グッ!
[腹への一撃がまともに入った。思わず身体が折れる]
[容赦なく上から降ってくる一撃。
ミシ、と嫌な音が鳴った。
右肩に痺れが走り、短剣が転がり落ちる]
っ…!
[足にも力が入らず、膝を突く。
見上げた翠は暗闇を宿して冷たく見下ろしていた]
…我が血を糧に、その動き、暫し留めん。
[右耳から流れる血に意識を向けて、小さく唱える。
先日、オトフリートを助けるために使った術を、今はその相手を封じるために使おうとして。
広がる網は、だが力の弱まった今、どこまで効力を発するか]
わたせ、ま、せん。
[苦しい息の下から、それでも搾り出すようにして声を出す]
[浮かべられた笑みにゾクリとしたものが走る]
んっ…!
[闇の力を宿したタイに締め上げられ、息が詰まる。
空気を得ようと首を、背を逸らす]
「我は認めぬ」
[男とも女とも付かぬ低い声が響いた。
だがそれも一瞬のこと。掬い上げられた首飾りは月闇の竜の手の中、冷たい感触を伝えるのみ]
[奪われてゆく首飾り――聖魔剣。
もはや留めるだけの力はなく、絶望が沁み込んで来る]
あ…。
[スルリと手の中から抜けてゆく感触。
パチリと最後に小さな何かが弾け、エルザの身体から力が抜けた。
同時にオトフリートに絡み付いていた網も霧散するように消え失せる]
[声を掛けられても癒しを受けても一切の反応を示さず、ただ呆然とへたりこんでいた]
[やがて生命の竜に送られた力で意識を手放して。
昏々と、ただ昏々と眠る。
一時の忘却の内に。
何の声も聞こえない*静寂の中で*]
/*
長々とお付き合いいただきありがとうございました!
こちらの我侭を受け入れてくださり感謝です。
もう暫く在席はしておりますが、基本動かずで。
―東殿・食堂―
うん、ノーラみたいなの。
[こんなの、と幼子が小さな手にて示すは輪を模った其れ。
仔にしてみれば腕輪を視的表現する精一杯の技法であったが、しかしその表現すら結局の所曖昧に変わりは無い。
暫しの沈黙の間幼子は視線の高さが等しくなった地竜殿を真直ぐに見つめていたが、やはり返る答えは幼子の期待する答えでは無かった。落胆の色は隠しきれねども致し方無い事。漸く全ての問いを投げ終えた仔は、地竜殿の解放へと至る。
――例えの話、これが幼子ではなく他の者であれば若しやすると言い包めに近いと察しも出来ようが、少なからず仔には其れを悟るには困難であった。]
……こまったね。
[私へと視線を落とす幼子は言葉通り確かに困っている――途方に暮れている様であった。
と、近くへと歩み寄る心竜殿の存在を認知したと同時向けられた提案に、幼子は一度目を瞬かせる。]
デザート?
……、ノーラの?
[デザートと耳にし輝いた目は、しかして影竜殿の分であると聞き及び一寸躊躇いを見せる。
幼子としては恐らくとも非常に食したい所であるだろうが、
本来は己と親しい相手の物であると聞き悩むのは道理。
沈黙を保ったまま心竜殿を見上げ次に影竜殿が出でた扉を見、
最後に卓上へと置かれた皿へと視線を向けた。]
…、…たべる。
[…しかし幼子の心情は好みの菓子を目の前には敵わぬとみた。私は思わず溜息をこぼす。
影竜殿のこと故、恐らく仔が食したと知れども叱りはせぬだろうと思ったが、
しかし人の物には変わり無い、後に謝罪だけは述べねばならぬと心に*決めた*。]
[確りとした「声」が聞こえたのは所有の移ったあの一瞬のみ。
拒絶の意思は強く感ずることができても、剣は黙して語らない。
精神の竜が接触を図れば或いは、仮初とはいえ個に近いものがあり、だが反応を示そうとしないことに*気付くかどうか*]
―東館:部屋―
[ベッドの上、少し湿った髪。
身じろぐ手に握られた首飾り。]
[床に落ちたタイは、赤黒く。
鍵がかかった部屋は、ただしずかに、今は闇。]
[闇の気配があたりを包み、それ以外には、なにもない**]
―東殿の部屋―
[翠樹の仔竜がデザートを食べる様子を微笑みながら眺めて。
やがて部屋へと戻り、青年も休息を取る。
椅子に腰掛けたまま目を閉じる姿は、どこか*彫像の如く*]
―― 私室 ――
[横たわっていたベッドの上で、しかばね…もとい青年がぱちりと目を開ける。眠っていたのかどうか、どうあれ寝惚けている風ではない]
新しい可能性…不確定要素…
…「力ある剣」
[静かな声が、誰も聞く者の無い室内に響く]
なぜ、剣の持ち主は名乗りでない?
[それほどの力ある剣を持っているなら、この騒動の始まりに、名乗り出て他の竜に協力を仰げば、揺らされた者もおいそれと手出しは出来なかったろう。それをしなかったのは何故か?]
ケース1…剣は存在しない…
[それがこれまで、最も高いと思っていた可能性]
ケース2…所持者自身、剣を持っていることを知らない…
[これが二番目に高いと思っていた可能性]
ケース3…剣の力そのものが封じられている…
[ケース2同様に可能性はある。だが、それでも他者の協力は仰いだ方が良かったのではないかという疑問は残った]
ケース4…すでに一振りを奪われている…
[それが、新しい可能性…もしも、皇竜の側近が、本当に剣を預かっていたとしたら…剣を奪ってから結界に閉じ込めたのかもしれない…そして、剣が奪われたから、もう一振りの所持者は名乗り出ることが出来ないのかもしれない]
─竜皇殿・城壁上→東殿・回廊─
[狭い空間での演舞は、どれほど続いたか。
さすがに、体力の消耗を感じた所で城壁から降りる。
濡れた常磐緑は、手に持ったままだった]
……疾風だけに風邪はひかねーつもりだけど。
[義兄が聞いたら、違う理由でひかない、と突っ込んだかも知れない]
いちお、あったまった方がいいんかなぁ……?
[そんな事を呟きつつ、浴室に向けてずりずり]
[とりあえず、浴室で身体を温める。
着替えは、一時的にだからと適当に借りた。
びしょ濡れの常磐緑はすぐには巻けず、やむなく、タオルで首筋を隠したりとか、微妙に不自然なスタイルになったりしつつ、部屋まで戻り]
─ →東殿・自室─
っかし……どーすっか。
誰か巻き込むか、それとも。
[自身に秘密が明かされた理由。
それは、何かあれば後を託す、という意思表示なのやも知れないが。
自分は、そこの所には──剣を第一とする部分には、どうしても賛同できていない訳で。
それを考えると、あと一人ぐらい、巻き込みたい所なのだが]
んー……。
[考えながら、ごろ、ごろり]
[どさり、と重いものを落とすような音をさせ、ベッドから降りる。
それから身支度を整えると、部屋を出る。
ガチャリ、扉が音をさせた。]
…ザムエル殿に、どう聞くべきでしょうか。
[独り言をぶつぶつ呟きながら
外を見て――西殿を、窓から見上げる。]
[結局、何が悩みの種なのかといえば。
相手によっては、状況が更に悪化する、という可能性。
もう一振りの行方は全くわからない以上、敵に塩は贈れないわけで]
だああああああっ!
なんで、もっと頭の回るのにしとかなかったんだよー!
[それは八つ当たりというものです]
うー……本気で、あったまいてぇ……。
― 東殿・一室 ―
< 幾らの時が過ぎたか、陽は出ないために確かではない。世界は少し違って感じられる。
孫娘が結界に囚われた事を伝え聞いても、皇竜の眷属らは平静であるよう努めていた。
しかし、灯された明かりは闇と共に不安を払わんとする証。
光は影を生み、揺らめく >
[絶叫が聞こえ、びくりと扉の前で肩を竦める。
聞こえた部屋の前まで行き、そっと耳をつけ。
コンコン、とノックした。]
…あの、大丈夫ですか?
何か、ありましたか?
[混沌の欠片でも出たのだろうか、と。
風竜の部屋の、扉の前。]
……ふえっ!?
[唐突なノックの音に、慌てて起き上がろうとして]
あ、なんでもね、ちょっ……どわたっ!
[ごろごろしている内に端に寄っていたのか、見事にベッドから落ちた。
派手な物音が、響く]
―――回想―――
[食堂に着いた後は、一緒に歩いていた二人とはそれなりに離れ、アーベルからお茶をもらい、適当に益体もない話を色々な人と話しているとき、
『それ』は突然来た]
(……は……ぁ……!?)
[声にこそ上げなかったが、多少身震いしたのは鋭いものならば気づいたかもしれない。
水が。
いきなりその力を増大させた]
―――っ。
[ともすれば、暴走してしまいそうな力を無理矢理に押さえ込む。
それが精一杯だ。
其の後のことは、断片的にしか思い出せない。
後にそれは―――天聖のものが結界に囚われたことにより、一時的に弱まり、結果、「力ある剣」の持つ強大な力が、流水へと流れたことだということに気づいた]
(『力ある剣』を持っていなく、また、それを扱う資格のない私にすら余剰の力がフィードバックするとは……。
『力ある剣』
予想よりも遥かに強い力のようねぃ……)
[この時に一時的に流れた力に比べたら、焔に何かされたことなど、取るにも足らないことだった。
―――ややして、雨にもう少し触れてくるとか適当な理由をつけて、中庭でその力が発散されるのを待った]
―――回想終了―――
[廊下の方から聞こえる声。
それに答えるよりも早く、ピアが動いていた。
きーきー、と危機感を帯びた声は、急いで急いで、とでも聞こえるかも知れない]
……あたた……あ、うん……。
[落ちた当人は、当たり所が良かったのか、打ち付けた部分を摩りつつ、反射的に頷くのが精一杯]
[ガチャリ、扉を開ける。
ひっくり返ったティルを見て、駆け寄った。]
どうしたんですか?!
攻撃を受けましたか?!
[思わず大声を出し、扉は開け放したまま。
ピアにも、何が?という顔を向けた。]
……ふぅ。
[木の根元に座り込み、目を閉じて、長時間雨に打たれながら、淀んで鉄砲水のように飛び出しそうな力を、河から海へ、海から雲へ、雲から河へと循環するように、少しずつ、その力を発散させていく。
その眼前には、水の輪がくるくると回っている。
自分は暴走するタイプだからと、水竜王に教わった御し方の一つだ]
天聖……。
確認するまでもない。
結界に囚われてしまったようねぃ。
[半眼を開けて、ポツリ呟く]
─東殿・自室─
[駆け寄ってきたミリィ。
その声がちょっと耳に痛かったのはさておき]
いや、そーいうんじゃなくて。
考え事してごろごろしてたら、落っこちた……。
[そうとしか説明できないので、ぼそぼそと呟く。
ピアは呆れたように、肩を竦める仕種をして見せた]
『力ある剣』
「偽者」たる私が使えないのは当然なのだから、これは、単なる八つ当たりと思ってもいいかしらぁ。
―――これは、「本物」の生粋たる竜族でしか扱えなくて当然ねぃ。
さて。
問題はその件のものが、どこにいったのか、ということかしらぁ。
答えは―――二つ。
八つ当たりと証したのだから、天聖に起因しているのは、間違い無いでしょうねぃ。
すなわち、天聖と共に結界内に消えたか、「揺らされたもの」の手に落ちたか。
おっこち…?
大丈夫ですか?
[少し安堵した表情を見せ、ピアの仕草には思わずそちらに駆け寄りそうになり、ぎゅっと手を握って止めた。]
…冷やす、とか私できないのですけれど…
どこかいたい所ありませんか?
[出来る事といったら、電流を流してコリをほぐす事くらい?]
ん、へーきへーき。
こんなん、兄貴と殴りあうのに比べりゃ、どーってことないよ。
[比較対象が間違ってます。
ピアは、握り締められた手にきょと、と首を傾げつつ、相棒の肩へするりと登る。
少しでも、首筋の痕を隠そう、というつもりらしい]
それより、雷竜の姉さん。
どっか、行くとこだったの?
[とりあえず、落下の話は決まり悪いので、話題そらしを試みてみた]
[考察を進めると、眼前で回っている水の輪が二重になった。
複雑に動くほど、思考が冷静になっている証拠だ]
「揺らされたもの」
もし、『力ある剣』を手に入れたとして、いきなり動いてくるかしらぁ?
―――無いわねぃ。
手に入れたとして、それは切り札。ジョーカーとなる存在。相手の手札も分からないのに、オープンにする人はいないわねぃ。
なら、可能性は、ある。ということかしらぁ。
逆に前者の場合。
「揺らされたもの」の結界内ということを省みれば、やはり、あちらが有利。
けれど……誰かが、天聖が囚われたのは、虚竜王の不機嫌による影響とか言っていたかしらぁ?
なら、結界内にあるとは分からない可能性もある。かしらぁ。
……ふむ。
状況は、五分よりも悪くなっているかしらぁ。
[それでも、口調はひたすら淡々と]
あぁ、えぇ。
ザムエル殿にお話を聞こうと思って。
ああそうだ、ティム殿、貴方は――揺らされていますか?
[人差し指だけを伸ばして他の指は軽く握り、自分の顎に絡めていたけれど、ふと思い出してちらりとティムに向け。
真っ直ぐに質問をぶつけた。]
爺ちゃんに?
[飛び出した後の事は知らないから、それは素朴な疑問として零れ落ちる。
だが、何故、と問うよりも先に続けられた問いに、青は一瞬きょとり、と瞬き]
オレは、疾風の眷族。何よりも、束縛や干渉を嫌うもの。
『揺らすもの』が、どんな風にちょっかいかけてくんのかはしらねぇけど、オレは、誰かに心をいじられてなんか、いねぇよ。
だから、オレは揺らされてない。
仮に揺らしに来られたって、揺れてなんかやらない。
[真っ直ぐな問い、それに返すのは真っ直ぐな視線と、答え]
……そこまで、推理したとして、さてどうしようかしらぁ。
[ぺちょり。
思考は崩れ、水の輪はもろくも崩れ去った]
一人で無駄な推理を続けるよりは、誰かと話していたほうが、答えは出やすいかしらねぃ。
[半眼に開いていた目を完全に開き、ナターリエがゆっくりと立ち上がった。
さて、何処へ行こうか?]
[真っ直ぐな答えに、眼鏡の奥の濃紅の瞳を和らげ、口元も少し緩める]
…信じましょう。
この先は兎も角、今は揺らされていないと。
[そしてすぐに、自分が言った言葉にはたと動きを止めて]
この先、まだ揺らされる事ってあるんでしょうか。
さんきゅ、姉さん。
そやって、真っ向聞いてくるとことか、姉さんもちゃんと、自分の心の自由は保ってるみたいだね。
[信じる、という言葉に嬉しげに笑う。ピアもほっとしたよに、短く鳴いた]
これから……か。わかんないな。
んでも、オレが感じてる嫌な感触の数は、変わってないんだよな。
だから、揺らすものが直接ちょっかいかけてくる事って、ない気もする。
[確信ないけど、と呟いて]
……むしろ、あれかなあ。
揺らされた連中が、仲間増やしする可能性とか、あるんじゃねぇかな。
< 枕元の明かりを消すと、影は闇に呑まれる。
ただ一点、髪の下、右の眼の奥に仄白い光が揺れていた。
腰掛けていた寝台から立ち上がり、部屋を出ると回廊を歩み始める >
―― 私室 ――
[ぐーるぐるぐる、怖い考えは巡る]
だーめーだーっ!
[ガバ、とベッドから起き上がった瞬間、ぴくりと左の腕が動いた]
あ…チャージしかかってるのか。
[ベッドの上に座り直してメタルの腕を見つめる]
今なら、再セット可能…か。でもなあ…
[毎度調査の度にぶっ倒れる誰かさんの部屋の方に、視線を彷徨わせて溜め息]
─回想─
[食堂を出た後は意識が腕輪へと向かっていて。周囲を気にする余裕はなかった。故に回廊で足早に立ち去る姿を見られているなどと露知らず。その足は宛がわれた個室へと向かっていた]
[個室についた後は腕輪の制御と状況の整理をし、長く深い溜息の後に再び休息を取る。心労に似た疲れを取るために]
─東殿・個室─
[不意に目を覚ましたのはいつだったか。外は相変わらず雨模様。時折落雷が響くその様は嵐の様相を呈していた。それを確かめると、短く息を漏らしてから部屋を出た]
[思案を巡らせながらゆっくりと歩むその足は、一体どこへと向かうなりや]
─東殿・個室→回廊─
何の因果で、あの馬鹿を…俺だって守るなら可愛い女の子の方が…可愛い?女の子?
[呟いてから、首を傾げる]
………ベアトリーチェくらいっきゃ居ないし。
[ 超 失 礼 ]
[保ってる、と言われれば、当たり前です、といった風に胸を張って見せる。
年下に胸を張って見せる図は少し情けないが。]
仲間増やし。
そうですね…それは困りますね。
[ふと、首を傾げて]
所で、もし揺らされた人を見つけたら、どうしますか?
見つけてから考えても良いのですけれど。
― 東殿・回廊 ―
< 薄闇に紛れて、漂うは黒き、切れ端のようなもの。
近く遠く、彷徨う。
恐らく意志なきものとは言え降られるのは厭なのか、少しばかり見かける数が多いようにも感じた。
視線は西へと行くらしいかけらを追って、定まった >
うん、そうなるとかなり面倒なことになると思う。
[それも考えて、剣の事は伏せてるのかな、とか。
今更気づいたなんていわない。というかいえない]
見つけたら、か。
取りあえず、ど突き倒して……。
[ここで、腕組みして]
……そも、どうすれば影響取れるんだろな。
[根本的な所が不明なのに、今更気づいたり]
─回想─
[ティルと出会えば、何やら自分への視線が厳しいのには流石に気づく。
身に覚えならありまくるが。正しい原因はさっぱりなので、へらり笑って受け流す。
そして聞くのはティルの力。
詳しい事は不明だが、とにかく結界の中に誰かが入れば、それを探知するという事は理解した。
去り際の視線には首を竦める。
そして東殿まで行ってからブリジットとは別れた。
別れ際がこちらはいい笑顔だったのは、さっきの一言が原因だろう。
何をさせられるのか少々怖いものが。
そして自室に戻り。
気がついたら雨は酷くなっていた。]
そうなんですよ。
どうすれば影響が取れるんでしょうね?
[少しまた声音を高くあげた。
同じように腕組みをして]
とりあえず、どつき倒すのは賛成します。
大人しくして貰える状況になれば、止まりますかね?
それとも――何か他の力が、必要でしょうか?
[頷いた。]
─東殿・自室(回想─
[いくらか眠った後は部屋から出なかった。やる事があった為。
心の声から、とある場所でのやり取りを聞き。
気がつけば一旦部屋からは消える。
まあ、血迷ってるだけなら、それこそど突き倒して目ぇ覚まさせるしかないんじゃね?
[だから、物騒だと]
そもそも、さあ。
えーと、揺らすものって、揺らしたヤツの心の奥のなんか、つっつくんだよな?
だったら……力でどうにかってんじゃ、解決しねぇ気もする。
< 黒は形を変える。
されど、それはなんとも奇妙だった。
急激に膨張した欠片は明確な形を取らず、蠢く影の如き様。
触れた当人が揺らされしものの影響を受けていたためか、影であるがゆえか、その理由を明確に知るものはいないだろう。
それが襲いかかるより前に、明かりの生む影に紛れて姿を消す。
結果、その欠片は野放しになるわけだが >
─東殿・自室(回想─
[次に戻ってきた時、服は雨で濡れていた。
溜息が、一つ。
濡れた服は予備に持ってきたものと取り替えて、再びころりとベットに沈む。
さほど力は失せておらず。
疲れてはいなかったが、何だかこう、億劫というか。
横になってれば、やっぱりいつの間にか寝てるわけだが。]
ふぅむ。
解決法も分からない、犯人も分からない。
本当に、曖昧。
[ふぅ、と溜息をつき、開いたままの廊下への扉へと視線を移した。
眉をぎゅっと顰め]
…怪しい人を全部締めて、聞いてみるとか。
[負けず劣らず物騒なことを呟いた。]
…ぅ。
[ただただ、酷く息苦しい。
光差さぬ闇はただただ深く、
真綿で絞められるような重圧に、身動きも取れない。
吐息は熱く、全身はびっしょりと濡れて…]
…うぁぁぁぁぁぁっ!!
[強引に蹴りどかす、幾重もの…おふとん。]
圧死さす気かっ!!
曖昧もいいとこだよなあ。
お陰で動きにくくて、イライラするんだけど。
[はあ、と零れ落ちるのはため息一つ]
ああ、それ、悪くないかも。
……さし当たって、挙動不審な生命のおっちゃんあたり、やってみるといいかもな。
[どこまでも物騒な事を、さらりと。
そこでクレメンスが上がるのは、一番気になる相手だからなのだが]
―― 東殿・回廊 ――
うーわー…
[廊下の壁に張り付いて、黒いふよふよを避けるように、じりじりと横歩き。さすがにコレを珍しがって触る気にはなれなかった。と、そこへ、影のごとく形の定まらない、大きめな欠片がもう一つ。まるで明かりの影からふいに湧き出たようにも見えた]
ちょ、ま…
[前後を塞がれ、ほぼ廊下一杯に広がられて、動くに動けない]
─東殿・回廊─
[あてどなく歩き回り思案を繰り返す。どこかに腰を落ち着けて考えなかったのは、無意識に誰かに所在を知られぬようにしたためだろうか。誰かと出くわす可能性もあったが、直ぐに移動出来ると言う点も考慮してのことだったかもしれない]
………む?
[進む先より物音。ただならぬ気配。結局”何か”に出くわすことになりそうだった]
[ふらふらと。
誰かいるかなーとかいう軽い気持ちでうろついていると、『それ』に出会った]
……またぁ?
[げんなりとした表情で、行く手を遮るかのようにこちらに向かってくる混沌のカケラ]
[後に影竜殿の分は用意するとの言葉に安堵したか結果、仔は一人分のデザートを難なく平らげた。甘味は幼子の舌を満たすものであったか、さては何時の間にやら空腹を覚えていたのかも知れぬ。
満足に腹の満たされた幼子は幾らか眠気を催したか、
心竜殿に連れられ個室へと戻り暫くの休息を必要とした。
して今、幼子は再び部屋を後にし回廊へと繰り出していた。]
―東殿・回廊―
イライラします、よね。
私もとてもイライラします。
[ティルの言葉には頷き、ふぅむ、と呟く。]
…クレメンス殿ですか。
確かに怪しいといえば怪しいですが…
ザムエル殿も気になるのですよね。
[ああ、ザムエルに聞こうと思っていたのだった、と思い出し、そのまま廊下を見ると。
ふよふよと、黒い何かがチラリと目に入った。]
―東殿・自室―
[目が覚めたら…ええと今何時だ?
と時間経過が分からないのは、外が暗いままだから。
流石に寝てばかりだと逆に体に悪いので、一旦起きて部屋を出る。
ちょっとやることを思い出したのもあった。
出たら出たで、混沌のカケラがうようよしててげんなりするのがね。
とりあえずそろそろよけながら、入り口の方へと移動。]
ほんとだよなー。
[こくこくと頷いた。
この辺りは、風雷のシンクロのよさもあるのだろうが]
爺ちゃん? 爺ちゃんが、なんで……?
[そう、問おうとした矢先。やはり、同じものが目に入って]
混沌のカケラ……?
て、なんでこんなにうじゃうじゃっ!?
[部屋のドアを抜けると、そこは黒ふよの国でした。
なんて事は知らないので、当然ガバッとドアを開けました。
何か当たった感触があった…よう、なー…]
― 西殿・結界付近 ―
< 雨に包まれた、無音ではない静寂。
闇と光の合間より生まれたもののさざめく声がする。
遠巻きに見る黒の眼は、より闇に近しい >
[それはさながら、黒いスライムと言っても過言ではなかった。
不定形に、ぶよぶよと、伸縮を繰り返す様に、ナターリエが不機嫌をあらわにするように呟いた]
……だから、なんで私の過去を逆なでするような形で来るのかしら、貴方達はぁ。
[言いながら、右手から水のハンマーを生み出す]
言っておきますけど。
抑えたとは言え、暴走寸前だった私の力を、甘く見られたら困りますわ……よ!
[最後の一言と同時に、ハンマーを振り下ろし、混沌のカケラを叩き潰した]
……?
[その手ごたえの無さに、ナターリエが首をかしげた]
―東殿・入り口あたり―
[入り口、雨避けぎりぎりに立ち、雨に濡れるのも構わず、両手を前に差し出し、目を閉じる。
そうすれば周囲にちらちらと現われるのは、蛍火よりは遥か小さい琥珀の粒子。
ふわりふわりと、クレメンスに添うように集まっては、また離れ。
粒子が運ぶ、草木、虫、竜や小動物の生命の情報を聴く。]
―― 回廊 ――
うー、参ったな。
[逃げる場所が上しか無い、と、天井を見上げる。あそこまで跳べるだろうか?と考える。普段ならば是。だが今は出力が足りない]
薄い……?
[さながらそれは、無理矢理引き伸ばしたかのような手ごたえの無さ。
影を殴るかのような手ごたえだった]
誰が、触った?
[そう自分に問いかけるが、混沌のカケラはそのような思考も許さないかのように、次から次へとその数を増やしていく]
ああ!もう!
邪魔ですわぁ!
[言って、左手からもう一つ水のハンマーを生み出して、混沌のカケラの中をつぶしながら進んでいった]
[ティルに答える前に、緊張の走った体ははじけるように立ち上がる。]
これ、は…?!
[廊下へと駆け出ると、黒いふよふよしたものはゆらりと形を変え始め…人の形を取った。
ゆっくりと、何かの形を取ろうとするカケラの向こう、人の影が見え。]
…何方か、おられますか?
危ないです!
[誰か確認する前に、声をあげた。]
―東殿:廊下―
……、…っ
[回廊に浮遊する其れを眼に留めたか僅かに息を呑むのが私の耳に届く。
闇にも似た欠片は幼子の記憶に酷く新しい。
其れと同時、あれに触れてはならぬと聞かされたのも
幼子には強く記憶に刻まれている事でもあった。
仔は怯えにか、はては冷静な上での撤退を目論んでか一歩退く。
欠片の向こうには、幾人かの姿も見えるが呼ぶには僅か距離がある。
呼ぶには聊か拙い、しかし自らには対処する術を持ち合わせておらぬと、仔は重々に承知していた。]
っとに!
悩むヒマくらい、よこせっつの!
[駆け出したミリィに続くよに駆け出す。
飛び出す間際、常磐緑と銀のロッドはしっかり掴み。
まだ濡れた緑で、傷痕を包み込む]
っだあ、もう!
いつの間にこんなに増えてんだよ!
─東殿・廊下─
―東殿の一室―
[陽が消え、天が隠れ、時が失われて――昼も夜も時間もどこか曖昧だった。心が必要とするだけの休息を得る為に眠る]
………?
[青年が重い瞼を上げたのは、廊下に濃く満ちていく『混沌』の気配の為だった。まだ少し湿り気の残る髪を長い指で耳にかけ、椅子から立ち上がる。
白いシャツの上に掛けていた長衣を羽織り、扉に手をかける]
[ダブルハンマーで道を作りながら進んでいると、廊下の向こうから、ミリィの声が聞こえた気がした]
雷の?
此方は大丈夫ですけど、其方は大丈夫ですの?
[なんとなく。
昨日中庭で声かけられた時に似てるなとか思ったり思わなかったりしながら、やはりダブルハンマーで道を切り開いて、雷と風の元へと辿りついた]
─東殿・回廊─
[気配の下、前方の曲がり角から顔を覗かせる。その先には回廊の幅を埋めるような黒い何か]
誰ぞがまた触りおったのか?
面倒な…。
[ぶつぶつ言いながら砂の翼を背に展開させる。背に現れた翼はその形を変え、うねりとなって黒きものへと襲いかかる。蛇の動きにも似たそれは、廊下いっぱいに広がっているそれの一部を削り取るように巻き付き、締め付け霧散させた。その奥に、見慣れた背が現れる]
ぬ?
エーリッヒか?
< 結界を振り返り、暫し目に映していた。
僅かな間、目蓋を下ろした後、再び揺らめく。
結界の付近には欠片は殆ど居らず、此処では都合が悪い。
蠢く影に似た存在を感じながら、黒布で包むようにして気配をその中に隠し、東殿へと戻る。集団とは、近すぎない位置を保って >
[肩当てから伸びる鎖を掴み、ブンと振り回す。
人の形を取ろうとしていた欠片は砕け、その向こうに居る流水の姿が見える。]
ナターリエ殿。
ええ、私は大丈夫です。
何故急にこんな?
[ハンマーを見て、頼もしいですね、と、少し肩の力を抜いた。]
あ、流水の!
[やって来たナターリエの声にそちらを振り返り。
同時、後ろから迫るカケラ──否、影の如きモノへとロッドを突き出す]
……?
手応え、軽い?
[それを訝る間もなく、次が寄ってきたりするのだが]
―― 私室前・廊下 ――
[ざわりと、薄い影のような欠片が動いた。そのままざわざわと揺れながら薄い壁のように高くなっていく。下手をするとそのまま押しつぶされそうだった]
でええっ!?俺、触ってないよ!触ってないからねっ!?
[誰に向かって言い訳してるのか意味不明です]
それは、私のほうが聞きたいぐらいです……わぁ!
[最後の言葉と共に、寄ってきた混沌のカケラを横殴りに吹っ飛ばした]
ただ。
知っての通り、手ごたえが軽いんですわぁ。
まるで、影を殴っているかのように。
[一応、一時的な暴走状態により、力がありあまっているということは伏せておいた]
風のも、一緒だったんですねぃ。
どう?
少しは自分の思っているままに疾っています?
……って、ああもう、うざったい!
[言いながら、右手のハンマーを変容させて、パイルバンカーのごとく勢いで混沌のカケラを突き刺した]
―― 私室前・廊下 ――
[背後から来た地竜に気付いて、慌てて右手を振る]
あ、ザムエルさん、危ないから近付かないでっ!!
[危ないのは、おまえだ]
―東殿/回廊―
[静かに扉を開き廊下の様子を伺うと、影のようなものが漂っていく所だった。それが十分離れるのを待ち、扉を開けて滑り出る]
……目覚ましにしては賑やか過ぎるな。
[あちこちから聞こえ始めた物音に呟き、レンズ越しの紺碧を漂っていく影の背に向ける。混沌の欠片にしては大きく、けれど攻撃しては来ない様子を見送って、逆方向へと足を向けた]
走り出す覚悟決めて、方向決めようとした矢先に、こいつらに邪魔された、って感じかなっ!
[ナターリエの問いには、冗談めかして答え]
っつか、やっぱり、影みたい、だよ、なっ!
[確かめるように言いつつ、一つ、深呼吸をして]
っせい!
[下段に流したロッドを、不意をつくよに跳ね上げ、返す上段からの一撃でカケラを叩き潰す]
[交錯。
無数の欠片は焔吹雪の如く、辺りを焦がしながら廊下を駆け抜ける。
はらりと散るは影焔。
されど、胸から脇腹への紅鱗は黒く染まるほどに燃え焦げて。]
……さて。
うまく行く、でしょうか。
< 発した呟きは独りにも関わらず、旧き影のものではなかった。
誰に似ていると判断するかは聞いたもの次第だろうが。
“虚実”を誰に告げるべきかと、思考を巡らせつつ、そっと進む >
─東殿・回廊─
[己を削り取られた黒きものは攻撃者──ザムエルへと標的を変え、軟体物を思わせる動きで触手のようなものを伸ばしてくる]
ええい、大人しく消えんかっ。
[素直に聞くたまじゃないのは明白。聞く耳持たず─そもそも耳などないだろうが─その触手はザムエルを捕らえようと目の前で急激に広がった]
砂嵐・小裂陣!
[広がる触手の前に小さな砂嵐を作り出し、近寄る傍から削り落していく。それを相手している間にもエーリッヒの周りには壁が競り上がっていて]
危ないのはお主じゃ、エーリッヒ!
そこから動くでないぞ!
[伸ばされた触手を削り切ると、そのまま砂を先程開けた隙間から黒きものの中へと滑り込ませる。砂はエーリッヒを包み護るかの如く展開し、迫る黒きものを押し留め]
砂針壁!
[外側に向けて、砂で出来た無数の針を突き出させた。針から更に針を突き出し、黒きものを小間刻みにしていく。しばらく後にエーリッヒの周囲には壁となりし砂しか残らなくなる]
……随分と手応えが無いの。
強度が薄すぎる。
手ごたえが軽い…。
揺らされたものの、力が減ってるのでしょうか?
[左手を顎に絡めて俯いて小さく小さく呟きながら、右手は鎖を振り回す。]
…では、エルザさんがやはり…?
[一番最後の呟きは、更に更に小さく口の中。]
―東殿/回廊―
[まるで無視していく影もあれば、出会うなり襲い掛かろうとするものもいた。勿論、律儀に相手をする事なく、夢渡り逃げる。
青年の姿を見失った影は暫くその場を漂っていたが、また誰かを探すように移動していった]
[ナターリエは次から次へと、右手の武器を変化させて、混沌のカケラを退いていく]
―――私は、混沌のカケラに触った経験があるから言うのですけど、混沌のカケラは、その人に近いものになりやすい傾向にありますわぁ。
[スチールボール DADADA!]
だから、これを変容させたのは、ノーラじゃないかと予想しているのですが、どう思いますかぁ?
[ケミカルアンカー DADADA!]
なんか、違う……。
こないだやり合った、蛇も、蠍も。
もっとしっかりした手応えがあったのに……?
[それ以前に、確りとした形を保っていたのに]
一体、なんで……って、だから、うぜえっつーのに!
[いっそ風で切り払うのも考えたが。
こんな狭い空間でそんな事をしたらどうなるかは……自明の理。さすがに自重した]
―― 私室前・廊下 ――
ふわ…
[大地の力を込めた砂の壁に守られ、瞬時に崩れ去る影に目を見張り、息をつく]
さすが、です。ザムエルさん。すっごいなあ…
[目がきらきら。危機感はどこへやら]
……影輝のひと、が?
[ナターリエの問いに、青を一瞬そちらへ向け。
直後、ピアの警告の声に突きの一閃を繰り出す]
んでも、なんで?
こんなに大量に発生させるとか、そんなことしてなんになるんよ?
偶然触って発生した、って数じゃないぜ、これ?
ノーラ殿?
あぁ、影だから――という事、ですか?
[ナターリエの言葉に、言葉を返す。
手の鎖からはパチパチと静電気があがり、薄黒の煙があがった。]
―東殿・入り口あたり―
[暫く、粒子はぐるりと辺りを漂い。
自身は目を閉じ集中していたので、あたりの喧騒に気づくのは大分遅れることになる。
まぁ気づいた所で逃げるだけなのだが。]
んー…騒がしいな。
また誰かカケラ触ったか?
[他に原因は思いつかない。]
こっち来なけりゃ問題ないんだが…。
[終わった頃に救急活動はやる予定だが。
何時終わるかはここからだと不明で。
琥珀の光は、まだちらちらと周囲を薄く舞う。]
─東殿・回廊─
[エーリッヒが無事な様子に安堵の息を漏らすと近寄って]
感心しとる場合か。
怪我は無いじゃろうな?
[念のため確認を取る。ふと耳を澄ませば他でもドンパチやらかしているようで]
ぬぅ、あちこちで暴れておるようじゃな。
誰も進んで触れたりはせんじゃろうに、何ゆえじゃ。
―東殿:自室―
[目を覚ます。
雨。じゃらりと手の中で鳴る首飾り。]
――つけときますかね。
[悩みながら、首にかけ。
服の下に隠し、上からタイをしめようとして、赤黒く染まったそれに苦笑。]
新しいのにしますか。
[そうして新しい黒のネクタイを結び、――沈黙。
外が嫌に騒がしい。]
< 騒ぎに近付けば、矢張り影は此方にも寄って来る。
存在を認め何かに形を変えようとして、しかし結局は何にもならない。戸惑うように蠢く間に、その傍を擦り抜けて先へ行く。
途中、影とは異なる姿が視界に入ったように思うも、すぐには足は止められず、幾らか距離を離れてからになった >
……誰か、居ますか。
< 夢を渡り逃れたとは知らず、薄闇の中に問いの声 >
―― 私室前・廊下 ――
[感心している場合かと言われると、小さく肩をすくめる]
あ、怪我はないです。おかげさまで。
俺も、触ってないですよ!ほんとに!
[続く言葉に、懸命に主張した]
[風と雷の尤もな問いには簡潔に答えた]
分かりませんわぁ。
ただ、此処でこうしていてもしょうがないですし、ノーラに何事か聞きに行くのが一番手っ取り早いと思いますわぁ。
[言いながら、次は水のムチへ変化させ]
おーほっほっほ!
[笑いながら、混沌のカケラ目掛けて振り回した。
前方にいた幾つかのカケラをつぶして、少し余裕が出ると、二人に振り返り]
さて。行くのなら、一気に駆け抜けましょうかぁ。
―――風。
―――雷。
―――水。
力を合わせて、まるで嵐のようにねぃ。
楽しそうですね。
壁の破壊はしちゃだめ、ですよ?
[ナターリエの言葉には、くいと眼鏡の中央を人差し指で押し上げ、片方の口角を僅かに上げ、前に片手を差し出す。
パリパリと、静電気が手の平に集まっていく。]
─東殿・回廊─
ふむ、お主が触ってないのにあのように襲いかかって来たと…?
[しばし考えるようにしながら顎鬚を右手で撫でる]
触れねばあれは襲いかかって来ぬはず。
元の情報が偽りだったか、もしくは誰かが触れて放置したか…。
時にお主、何ゆえ反撃出来ずに居った?
[何故足掻くもせず追いつめられるようになっていたのか。少し不思議に思い問う]
―東殿・回廊―
[待っていても終わった時刻が分からなければ意味はなく。
やだなーとは思いながら、入り口を離れ回廊の方へと向かう。
暫く歩けば金の影。その目の前には浮遊する混沌のカケラ――のように見えるもの。]
なんだ…あれ。カケラに似てるが。
[違う、とは本能のようなものが。]
って、とりあえず。
おいええと…嬢ちゃん!後ろ向いて、こっちに来れるか?
[名前、は一瞬ど忘れしたので、翠樹の幼竜にそう声をかけながら逃げるようにこちらに手招いて。]
―― 私室前・廊下 ――
ええ、何だか、形状も他の欠片と違ってますし。なんだか影みたいな…
[言いかけて、問われた言葉に、うっと詰まる]
え、と、反撃すると、却って暴れるかなっとか。
[笑顔があからさまに引きつっている]
―東殿/回廊―
[青年が現れたのは、比較的静かな一角だった。側の籠には白い小猫が眠っている]
……いいコだね。
[柔らかな毛を撫でて回廊の様子を伺う。上の方から幾つか派手な音が聞こえた]
………。
行かなくては原因もわからないかな。
[しばし逡巡するも、今度は探す為に動き出す]
─東殿・回廊─
影……そうじゃな、力も弱く脆い。
ティル達が倒したものや郷で相対したものとは全く違う。
どう言うことじゃ…?
[再び考え込む。問いの答えを聞くと訝しげに視線を向けて]
…暴れるも何も、反撃せねばお主がやられておろうに。
そんな悠長なことを言っている場合では無いぞ?
[忠告、叱咤するように言葉を向ける。何か隠しているな、とは思ったが、言いたくない理由があるのだろうと、そこを突っ込むことはなく]
ともかく他を回ってみるとしようぞ。
この程度ならばやられてしまうと言うことは無いじゃろうが…戦えぬ者もおるしの。
[エーリッヒの周りから砂を取り去り、翼へと戻し掻き消した。そしてここからの移動を促す]
―東殿:廊下―
[扉を開けて外にでる。
なんだかあついようであった。]
[ゆると目を向ける。]
[そこに、炎の竜がいた。]
……一暴れ、終わったところですか?
[探すのは『混沌』以外の気配。精神の竜である青年の司る以外の属性。青年自身は混沌に紛れながら、音や心の動きを探り進んでいく]
――あぁ、此処にいましたか。
[欠片から生まれた影に隠れようとも、それは『混沌』のもの。
影のなかの輝きの如き一つへと、青年は口元に笑みを浮かべた]
―東殿・回廊―
[声をかければ辛うじて、ベアトリーチェは振り返りはするものの、怯えているのか動こうとはせず。
軽く舌打ちして、幼竜のもとに走りこんで抱き上げる。
驚いて泣かんでくれとは思いながら。
そのまま身を翻せばぎりぎり、カケラっぽいものからは逃げられた…と思いたかったが。
カケラもどきは砂のような化け物に転じ、こちらへと向かってくる。
慌てて暫く走って走って。幾つか角を曲がった所で赤い影と、見知った月闇にに出くわす。]
あ、丁度いいとこに。悪い後ろの任せた!
[疲れて座り込んでいる竜には酷い一言を言って。
そのまま二人を通り過ぎ、角を曲がって一旦足を止める。]
ん、まぁ…そんなとこ。
[月竜に声をかけられて、よろりと立ち上がる。]
多少遅れは取ったけど、脆いね…今回のは。
[焦げた鱗は未だ戻らない。]
―― 私室前・廊下 ――
[突っ込みを受けなかったことに、ほっと息をつきつつ、頷く]
はい、みんな、無事だといいけど…。
[促されるまま歩き出しながら、窓の外に目を向けた]
[雷からの言葉には小さく笑み]
大地のからお小言食らうのはごめんですわぁ。
……まぁ、少しぐらいならばれないかもです。
[大気中に集まっている水の粒子を集める。
水の力が一時的に強化されたこと。それから、雨が強くなり、湿り気を帯びているからこそできる芸当だ]
行・き・ま・す・わ・よ・ぉ・!
[水が霧のように伸びて、雷の進路を作りだした]
風の!
進行方向は、貴方に任せますわぁ!
[風が吹けば、嵐は猛烈な勢いで移動する]
―回想・庭園―
……なるほどね。ありがとう、ティル。
[ティルに出会う事が出来、一通りの情報を聞くことが出来た。
結界に干渉が起こった結果を探知する、という稀有な力というのが分かった。
風竜独特のものなのだろうか、それとも別の力が何か関係しているのだろうか。
そんな考え事をしていると、不意に目に入ったのは、命竜を睨むように見る、視線]
―回想・庭園―
[その後は雨の中、疾風となりて風竜は去っていくわけだが――]
……何か、嫌われるようなことしました?
[不可思議そうに、命竜を見上げる。
「なーんかしたっけかね」などとへらり笑えば、呆れた様子で見ただろうか。
そのまま東殿へと向かい、命竜とは分かれる。
もちろん、さっき言われたことは忘れていないようで、
あちらが忘れないようにと、とても"良い"笑顔で微笑んでおいた]
―西殿個室―
[優しき夢の揺り籠。
だが現実はそう待ってくれはしない]
……。
[覚醒の瞬間はあどけなく、それこそ心竜の知る幼き頃のまま。
けれど起き上がり降り立てば、己の「失態」が降りかかる]
……私、は。
[恐怖に囚われて震える。
暫くそうしていた後、唐突に駆け出した。
対となる剣のことも心竜は気付いているようだとの話だった。ならばそちらはどうなったのだろうかと。
奪われた今、それを確かめられるのは水鏡のみ]
― →西殿中庭・噴水傍―
任せた、ってぇぇぇ!!??
[なんかいっぱい引き連れてるし!引き連れてるし!!
とりあえずヒュウと息を整えて、両の指先は銃の形に構える。]
Feuer!!
[解き放たれる、無数の焔の弾丸。]
もろいですか?
[不思議そうにダーヴィッドを見て]
もろいも何も、……普通の欠片では?
[首を傾げると、首飾りが軽く音をたてる。]
―現在・東殿個室―
[さまざまな考え事をしていたり、外の天気を気にしていたりしていると、
いつの間にか眠りの海へ浸ってしまっていたらしい。
ふるり、首を振るって起き上がると、何やら騒がしい気がした]
……今度は一体なんですか。
[渋い顔をしながらも、軽く身なりを整えて。
部屋を出ると、少し遠くに。翠樹の仔を抱えた命竜の姿が見えただろうか]
< 返答はないかと動き出そうとしたその時、寄る気配。
黒布を手繰り寄せる >
……アーベル殿。
< 呼ばれる名に応じて、呟くように返す >
御無事でしたか。
欠片が暴れているようですね。
それも、影に似て影に在らぬものとなって。
よっしゃあ!
[返事はとかく、勢いよく。
文字通りの疾風怒濤、吹き荒れ、駆けた。
……進路上のカケラがどうなるかは、まあ。
推して知るべし、ってことで]
[バリバリと音を立て、紅い髪が逆立つ。
思い切り手に集めた力を、風へと乗せて解き放った。]
…お任せ、します。
[前に誰か居ないか、目を細めて確認をする。]
[ホーミングする焔弾が砂のような欠片を焼き払って。
月闇の声に振り向く。]
…そうかな?案外楽に…って、俺つえーってな訳でもなさそうだが。
[はたと気づく。]
…月闇の。
その首飾り、何さ?
[昨日見たものに、似ている気がして。]
─東殿・回廊─
[エーリッヒと共に移動しながら、強まる風の気配を感じ取る]
…こりゃあ…。
ティルも暴れとるようじゃな。
と。
[右手を額に当ててやや顰めっ面。対たる属が東殿内で集まる気配を感じ取る。やれやれと溜息をついたところでにゅるりと目の前に垂れる蔓状の黒。うねりこちらに向かってくるそれを左手を振って弾き飛ばした。エーリッヒの目の前を横切ったかも]
あまり悠長にもしていられんな。
また囲まれる可能性があるぞい。
[そうエーリッヒに告げながら、感じ取れる対の気配を追うように足を速めた]
[風と雷と水の合体技による嵐が、東殿通路の中を荒れ狂う。
途中に、混沌のカケラは幾つも浮遊していたが、今の勢いを止めることは誰も出来ないだろう]
風の。
予想が確かならば、影のは、この混沌のカケラが一番密集しているところにいるはずですわぁ。
そこまで、連れて行ってくださいなぁ。
[風に巻かれ、空中をくるくると吹っ飛びながら、ナターリエがティルへと笑いながら言った]
雷のは、周りの注意を怠らないでくださいねぃ。
カケラはともかく、誰かに当たったらただでは済みませんからねぃ。
[言いながらもくるくる回る]
[ぷすぷすと煙を上げたり、ぐっしょり濡れた壁の中。
たっぷり力を解き放ち、どこか爽やかにすっきりした顔をして雷竜は風の残滓に髪を揺らしていた。]
…さて。
ザムエル殿を探しましょうか、ノーラ殿を探しましょうか。
あぁ、そういえば、ナターリエ殿は白だって昨日食堂でダーヴィット殿がおっしゃってました。
[ふと思い出し、本人の目の前で告げてみた。]
―東殿/回廊―
[黒布を手繰る指に視線を向けながら、呼ばれた名に頷く]
えぇ、随分と騒ぎになっているようです。
混沌の欠片も雷雨が怖いとも思えませんが。
[室内に多く現れた欠片を揶揄してから、影輝竜の髪に隠れた右頬に視線を流した]
影に似て影に在らぬもの。
あなたのようですね。
[口元に浮かぶ笑みは穏やかなもの]
―― 東殿・回廊 ――
[ぼうっと、外を見ながら歩いていると、目の前を、黒い欠片がびゅんっとすっ飛んでいった]
わわ!
[目をぱちくり]
わ、わかりました。
[言われた言葉に頷いて、足を早めた]
…注意はしますけれど、これだけ伝わる物が多いと、制御しきれるとは言い切れませんねぇ。
[どこかのんびりとした声を、ナターリエに返す。
これだけ密集した霧が立ち込めれば、勝手に走って少々何かを破壊してしまう雷もきっと。]
首飾り?
[音で気付いたのかと、ゆるやかに首を傾げ。]
ああ。
ずっと前にいただいていたものなんです。
チェーンの音がしましたか?
[タイは外さずに。]
どうかしました?
―西殿中庭・噴水―
[影が幾つか傍にあるのも見えたが、とりあえず避けて水面に手を伸ばした。強く思い浮かべる師の姿。
機鋼の竜と共にあり、酷く傷ついた様子もなかった。
思わずもれる安堵の息。だが改めて見ればカケラが異常に活性化している様子で。不安になり他の場所を見ようと手を動かした]
りょっおかい!
[返事の威勢がいいのは、絡み合う力の持つテンション故か。
途中、薙ぎ払われたカケラにピアが合掌していたのはさて、何人気づくやら。
そのまま、突っ走ったところで、ふと、感じた、対の気配]
ちょ、やべっ!
一旦、ていしー!
向こうから、爺ちゃんくるっ!
[風の力を逆に利用し、ぎりぎりブレーキかけてみる]
―東殿・回廊―
[ごうと焼けるような音が聞こえたところで、角からひょっこり顔を出す。
どうやら砂の化け物は消えていたので一安心と。]
いやー悪いなー。
翠樹の連れたままだったから助かったわ。
[二人にベアトリーチェを片手で抱きなおしながら、ひらり手を振る。
その奥で、ブリジットの姿が見えたのでそちらにも手を振った。]
[雷の言葉に、ナターリエが笑い出した]
それじゃ、当たった方は運が悪かったということで済ませましょう。
おほほほほ。
[ひとしきり笑い、ダーヴィッドに調べられたということを聞くと、朧気に昨日のことを思い出した]
……ああ。
道理で、胸糞悪い熱さを感じたと思いましたわぁ。
[白く見られていることよりも、占われたということのほうが重要だったようだ]
─東殿・回廊─
…エーリッヒや、この状況でぼーっとしておるとまた食われるぞ?
[さっきはまだ食われてません。溜息を漏らしつつ忠告し、その先を急ぐ。近付く対の気配。それは急速に近付いていて]
ぬぅ!?
[何事かと砂の翼を展開したところで急ブレーキがかかった。果てさてきちんと止まれたのか否か。突っ込んできた場合に備えて、翼は己とエーリッヒの前に壁を作り上げている]
そもそも、怖いなどという感情が在るのでしょうか。
……貴方には、感じられますか?
< 左に顔を傾けると、右の顔を隠す髪が流れる。
声には僅か、冗談めかしたような響きを帯びさせて。
しかし、次いだ言葉にそれも散り失せる >
だとしたら、私もあれから生まれたことになりましょうか。
< 眼を細める。笑みとは趣が異なっていた。
顔を背け視線を外したのは、此方のほうだった >
それにしても……影輝の力が、暴走したのでしょうか。
欠片であるなら、触れなければ発現しない筈なのに。
―東殿・回廊―
[奥の方で、命竜がひらり手を振るのが見えた。
翠樹の仔も一緒のようで、遠巻きには大人しく抱かれているように見えた。
さらに、月闇の気配と火炎の気配も感じ、そちらの方へと向かっていく]
また、"かけら"があらわれたのですか?
[状況を確認するように、尋ねた]
―――っ!?
[風に乗ってくるくると回って楽しんでいたが、急停止がかかると、声なき声を上げて、床へとくるくる回って落ちていった]
うひゃう。
[べちゃり。
さながら、柳から垂れた水のように、ナターリエが床に突っ伏した]
…いや……。
[誤魔化す月闇の眼鏡の奥を見据える。
音は確かに似ていた。それに…アレの帯びる力のひとつは、我が対のもの。
奪われてしまったのではという懸念と、それは重なり合うようで。]
どの道、調べりゃ判るさね。
…調べられたくない理由なんか、別に無いよな?
オトフリート。
[急ブレーキに、直ぐには止まれない雷はあっさりと放り出され、なんとか体を捻って砂の翼に突っ込むことはなく空中を回転しながら横を通り過ぎ、手も足も地面についてずざざざと滑った。
その体は、ザムエルとエーリッヒを追い越し、大分滑ってから止まった。]
…今日は。
[暢気に、挨拶。]
―― 東殿・回廊 ――
まだ、食べられてませんってば!
[まだ?]
あ、ティルさん!そっち大丈夫で…大丈夫そうですね。
[揃った面子を見て何か色々察したようです]
[それから、再び現れたクレメンスを睨み。
また、ブリジットには頭を下げて。]
欠片というか。
私にはよくわかりません。
何か違ったようなのですけれど?
[説明を求めるよう、ダーヴィッドを見る。]
[急停止はなんか色々と被害甚大?だったようだが。
取りあえず、嵐の進撃に、前方から来た者を巻き込む前に停止でき]
はや……ごめーん。
二人とも、だいじょぶ??
[決まり悪げにしつつ、問う。
ミリィの側には、ててて、とピアが駆けてゆき、大丈夫? と言わんばかりにゆら、ゆらり]
―東殿・回廊―
おす、氷竜殿。そっちは無事みたいで。
[ひらりブリジットに手を振って。]
かけら…なんかね?
何か微妙に違う感じもしたのがな。
[そう言いながら、まずはまだ若干硬直しているように見えたベアトリーチェを、ブリジットに渡した。おいさんが抱くより安心するだろうと思ったので。]
─東殿・回廊─
…こんにちは、かの。
時間がほぼ分からんが。
[追い越したミリィに視線を向け、挨拶の後に小さく肩を竦めた]
その様子じゃと三人で切り抜けていたと言うところじゃろうか。
無事で…。
[一度床に突っ伏しているナターリエを見てから、気を取り直しティルへと視線を向けて]
無事で何よりじゃ。
おう、オレは何てことないぜっ。
[エーリッヒに向け、びし! とさむずあっぷしてみたり]
て、そっちもやっぱり襲われてたん?
影みたいな、カケラに。
……。
[しばし、されるがままに、床に倒れていたが、不意にがばちょと起き上がった。
そして、何事も無かったかのように優雅に立ち上がり]
……落ちる直前に水の保護幕を張っておきました。
予想できていたことですから、問題ないですわぁ。
[予想できている人は、床に倒れません]
決して……三枚目なキャラになってるわけじゃありませんのよ。
[誰に、何を言っているというのか]
[水面に映ったのは、翠樹の仔と生命竜。
そして。
仮とはいえ契約を結んだからか。
聖魔剣の身につけているのが分かる月闇の竜と。
相対する恩人の姿]
あ…。
[剣は基本的に「探査の力を避けようとする」性質がある。
意思の疎通が出来た時ならまだしも、今それを向けられたら。何よりも、月闇の竜が「それと同じことを望んだ」ら]
だ…め……
[嫌な予感がした]
―東殿・回廊―
そうですか……"かけら"ではないとして、考えられる線としては。
あの"かけら"が他の何かに影響を及ぼし始めた――
というのは、ナンセンスでしょうかね。
[月闇竜へと呟いた後に、釣られるように若焔を見た]
―― 東殿・回廊 ――
[ティルの言葉に頷く]
ええ、と、いうことはそっちもなんですね…
影みたいな欠片…やっぱりそう見えたんだ…
影輝の力が強まっている、ということなのかな?
及ぼし始めた、か…もしくは、何らかの影響を受けて変質したとか?
誰かが触れても暴れずに、変わっただけだったりとかさ…
[氷破の視線に頷いて、なんとなく推論。]
ああ、んで、まとめて掃除してきたとこ。
[エーリッヒに頷きつつ、さらりと言いました]
影輝の力が高まってる……って。
んでも、それって、おかしくね?
陽光のちまっこいなくて、バランス、よくないんだよ……な?
え、ええ、大丈夫です。
[キリ、と眼鏡をあげながら眉を引き絞るが
ピアがとてとてと来て首を傾げる様子に、思わず手を伸ばして、ぎゅうううう。]
……っは。
[直ぐに我に返って手を離し、ザムエルとエーリッヒへと向き直った。]
こ、こちらは大丈夫です。
お二人ともご無事そうで。
この大量の欠片に、お心当たりはありませんか?
[きりと表情を引き締めて、ザムエルとエーリッヒをじっと、見つめる。]
[本来ならその人を調べるのは正しいのだ。
だが今は、今それをするのは]
やめて…!
[小さな悲鳴は、だが無力なものでしかない]
─東殿・回廊─
[エーリッヒが襲われ押しつぶされかけていたと言うのは彼の名誉のために口を噤んでおいた。どうやら出来ぬ理由もあったようだし]
この様子じゃとあちこちに出現しておるじゃろうか…。
[口々に言われる影の言葉に思い浮かぶのは一人の人物か。影輝の力が強まっていると聞けば、少し不安が過るのではあるが。
ナターリエの言い訳については突っ込むべきか否か悩み結局そのままに]
―東殿・回廊―
そちらも無事で何より。
[命竜へとこくり頷いた。ところで、
翠樹の仔をバトンタッチされる。若干瞳を瞬かせた。
そこで、若焔が月闇竜を探査するという言葉を聴くと。
少しだけ、気掛かりがあるような表情を浮かべる]
精神は混沌を司る。
ならば混沌の中にも、怖いなどの精神があるのかもしれないね。
[笑みを変えぬまま、流れる髪を見て。外される視線を追う]
あなたが何から生まれたかも、なにゆえに影輝の力が暴走したのかも私にはわからないよ。
その答えを知っているのは、あなた自身ではないかな。
[ぎゅうううう、とされて、ピア、ちょっと嬉しそうだったかも。
離された後は、また、相棒の方へと戻って行く]
あちこちに、か……。
あんだけ一斉に出てくると、戦えない連中はきっついかもなあ。
―― 東殿・回廊 ――
[おかしくないか、という風竜の言葉には、考え込む顔で]
バランスを崩して、結局暴走に至った例も、過去にはあるけど…似合わないなあ。
[影竜と暴走、というニュアンスがどうにも違和感ありありで、首を傾げる]
―東殿・回廊―
……なるほど。
いずれにせよ、推測の域を出ませんね。
[実物を見てみたら何か感じただろうかと思いながら、ほぅと息を零す。
そこで月闇のに不思議そうな視線で見られれば]
んん。
実のところ、直接"かけら"や、"かけら"から変異したものを見ていないもので。
情報が足りないまま推測しすぎましたか。駄目ですね。
[翠樹の仔を抱え上げ、時折頭を撫ぜながら、呟いた]
─東殿・回廊─
儂にはとんと分からぬの…。
…儂はしばしこの回廊を歩き回っておったのじゃが、その時は何も居らんかった。
途中エーリッヒと合流した時に初めて大量に発生しておるらしいことに気付いたのぅ。
急激に発生したようじゃが、その原因はさっぱりじゃ。
[ミリィからの問いには思考を巡らしつつ、顎鬚を右手で撫でながら答える]
……影の力のバランスが崩れているのには、なんとなく予想はつきますわぁ。
理由は二つ。
一つは、対の属性の一つの陽光が結界内に取り込まれたこと。
もう一つは……『力ある剣』の影響でしょうねぃ。
片方は、「天聖」と「流水」
もう片方は、「精神」と……「影輝」の属性を持っているはずですからぁ。
[ゆらりと揺らぐ炎]
[かすかな音を立てて、首飾りは嫌がる。
心の中に沈められた"片割れ"が、同じ様に嫌がる。]
[本人の感じぬ変化。]
――すごい炎ですね。
―東殿・回廊焔側―
あるいは進化した、とか?
えーやだなーそれ。
[やだで済む問題ではないが。
ブリジットに翠樹の子を預けてから、ダーヴィッドの次なる探査相手を知るも、へぇ、といつもの笑みを浮かべるだけ。]
─東殿・回廊─
……その二つの相乗効果、と言うことか?
[ナターリエの解説に問いを返し。つい左手首に伸びようとする右手をぐっと堪える]
……他はわかりませんが、暴走は。
先に、私ではない影輝の力を感じました。
それ故かとも、思っていますが。
< 戻した視線は眼ではなく象った笑みを見る。
何処まで知れるかと、僅かばかり窺うような素振りになった。
初めに出遭ったのが彼の者であったのは、失策か >
影輝、って確か、『均衡』だっけ?
それが崩れたら、このくらいおきるかもだけど……。
[やっぱり、ピン、と来ないらしい。
首を傾げていたところに、ナターリエの声が聞こえ。
視線を向けたのは、やはりザムエルの方だった]
相乗効果。というよりは、バランスを欠いた、のほうが正しいかと。
[ザムエルの言葉を訂正して先を続ける]
『力ある剣』の属性は先に言った4つ。
そして。
その内の一つの属性が、今回結界内に囚われましたからねぃ。
……恥ずかしながら、私も一時暴走しかけましたからぁ。
[ザムエルの言葉に、嘘は見えず首を小さく傾けた。
相方の所に変えるピアの背中を少し見つめ、ナターリエの言葉にふぅむ、と唸った。]
剣?
[力ある剣。
言われて、思い出した。]
―― 東殿・回廊 ――
[ナターリエの推測に、眉を寄せる]
四つの属性…力ある剣にそんな特性が…
それにしてもナターリエさん詳しいですねえ。
[一見、純粋に感心したと思える顔で見る]
─東殿・回廊─
ふむ…エルザのことか。
「力ある剣」の属である天聖・流水・影輝・精神のうちの天聖が欠けた。
それ故に残る属の影響が強まった、と。
剣の力が強大であればある程、その効果も大きい、か。
[ナターリエの言葉に納得するように、己の中で情報を整理しながら言葉を紡いでいく]
/*ここは見飛ばしてねw
壁|・)ちょっとだけごめんなさいー。
月闇さんから強制進行提案でてますんで、いっちゃいますが、おっけーですかー?
[エーリッヒの言葉に、少しだけ儚げに、ナターリエは笑った]
……「流水」の属性ですから。
そのような存在がある、ということは主様からは聞き及んでいました。
もし、私が野心に溺れ、その剣を奪い取ろうとしても、「偽者」である私には到底使いこなせませんから、安心して伝えたんでしょうねぃ。
……「偽者」であることもたまには役に立つものでしょう?
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新