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フリーライター 礼斗 に 1人が投票した。
女子大生 黒江 に 6人が投票した。
女子大生 黒江 は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、フリーライター 礼斗 が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、漫才師 史人、高校生 伽矢、ママ 百華、巫女 神楽、少女 千恵 の 5 名。
─繁華街・瑞穂の家─
[しがみ付く小さな手を握り返し、オレは従妹を連れ階段を降り、靴を履き外へ出る]
どこだろうな。
公園は……どうだろう。
どっちにしろ通り道だから、見てみれば良い。
[疑問を口にする従妹には曖昧にそう返した。
惨劇のあった場所に留まっているとは思いにくいが、わざわざそれを口にする必要性を見出せなかった。
そうして辿り着く、中央広場。
広場に入る手前、通りに黒ずんだ場所があったが、従妹は気付いただろうか]
─ →中央広場─
― 住宅街・地蔵堂 ―
[礼斗君にニュースの話を聞き、頷く]
あったわね……。凄い災害ねって。そう思ってた。
まさか、あれが。
[誰かがもみ消したのだろうか? 眉を寄せ、考える。
そして彼の、希望ともいえる言葉に顔をあげた]
あるの。 本当に、あるの。
神楽……ってあの舞ってた子よね?
[私の顔は、目に見えて明るくなっただろう。
にやりと笑い、言う]
わかった。 貴方の事、信じる。
憑魔が慎重にさせるような事、言う訳ないもの。
……。
[歩き始めてから、さて、何分経ったか。
それを数えておくほど、無駄なことはないだろう。
そのようなことよりも重大なことは]
……迷った。
[なんか妙に入り組んでいる地形に入り込んでいたようで、そこから抜け出すのには、また更に*時間が必要だった*]
―瑶子宅―
[未だ少し温かいコーヒーと共に、1人きりで残された。
困惑の最中。
止まった思考が、軋みながらも再び動き出す]
……
そう、だ。
桜……大樹って。
[ぐ、と下唇を噛み締めて、外へと飛び出した]
ねぇ、何か手伝いできない?
最後の一匹を見つけるの。
[私はてっきり礼斗君が力を持つ者だと思い込み、申し出た。
彼が桜の所へ行くと言うのを聞けば、
桜を使って憑魔を探すのだろうと納得する]
私も行くわ。 結果、知りたいもの。
[けれど、断られてしまった]
一人で集中したいの?
……そうよね、大変そうだし。
わかった、途中まで行くわ。
結果でたら教えてね。 私、店の近くにいるようにするから。
[私は公園の少し手前まで礼斗君と歩き、途中で繁華街の方に曲がる。
そこで少し立ち止まり、公園に消える彼の背中を明るい顔で見送った]
[道中百華と礼斗がちょうど分かれるところに出くわした。
話しかけてもどうせ聞こえないのでなんとなく立ち止まり二人の姿を見送る。
礼斗は公園の方へ、百華は繁華街へと向かった。
どちらも自分は行く気は起きなかったのでそのまま二人とは別の方向へと歩き出す。]
あっ、静音さん。
[しばらくすると神楽が何か道をうろうろしている姿を見つけた。
死者を見ることができると言っていた神楽は自分に気づくかもしれない。
そう思い声をかけてそちらにいくが反応はない]
そんな都合のいい話なんてあるわけないよね。
─中央広場─
うんっ。
[見ればいいと言われ、嬉しそうに
通りの黒ずみには気づいて、不思議そうにうさぎが首を傾げたが、伽矢に手を引かれその場からはすぐ離れてしまう。
伽矢に連れられ中央公園へとやってくると、周囲を見回し瑞穂と百華を捜した。]
みずねえちゃー、ももおばちゃー?
[てってっと、伽矢の手を離しあちこち歩き回る。
近くにいるから、勝手に動いても咎められない。
がさごそと、おおよそ居ないだろう茂みの中にまで顔を突っ込んでは、二人を捜した。]
[がさり、茂みを掻き分けると、そこにはお守りが落ちていた。]
ぁ。
[呟いて、拾う。百華の血塗れたお守りを。
小さなそれは、子供が扱うには丁度いい大きさで。
柄を握って、くるりとかえす。血にぬれたそれは、日の光に照らされ鈍く光った。]
おばちゃのおまもり、だいじにしないと。
[悲鳴をあげる原因の一端となったそれを、無くさないようにと絵本の中に挟みこんだ。
そうして周囲を見回すと、近くに桜の木があった。]
………おうか?
[いるかなと思い、見上げて捜すが姿は見えず。
ててっと近づいて、ぺとり、片手を木につけた。]
おうか、あのね。
みずねえちゃか、ももおばちゃ、しらない?
[問うも、姿無き娘から答えが返るはずもなく。]
……しらないのかなぁ。
じゃ、つかさと、ひょーまって、どこにいるか知らない?
[その問いにも、童女が現れ答える様子はなかった。
だが。]
………ぁっ。
[ぱたり、桜色に霞んだ視界に目を瞬かせると、すぐ傍に黒江の姿があった。]
………くろえねえちゃ?
[呼ぶと、黒江はほんの少し微笑んだようだった。]
くろえねえちゃ。
[じっと、見上げる。]
あのね、くろえねえちゃ。
ねえちゃは、つかさ?ひょーま?
[首を傾げて問う。彼女は違うと答えたか。それとも何も言わなかったか。
彼女にかまわず、絵本を自然と後手にもち小首を傾げ問い続ける。
うさぎもきょとん、まんまる赤い目で見上げ。]
ちえ、つかさとひょーまを『かえし』て、おうちにかえりたい。
だからいっぱい『かえさ』ないといけないの。
うささんは『かえれ』たかな?
[お守りは、後手に。]
ねえちゃも 『かえる』?
[かえしかたは、知っている。
ててっと、いつもの仕草のまま、黒江に近づいて足元に飛びつく。いとこにするのと同じように。
ただその手には、血塗れたぺティナイフが握られて。
うさぎ人形のような瞳で、ナイフを黒江のいのちのしるしめがけてずぶりと突き立てた。]
――――――――――!?
[突き立てた、黒江の体から流れ出たのは、血ではなく桃色の花弁。
まるで覆うように、黒江の体を包み込む。
黒江の唇が動いたような気がした。
だけど声は聞き取れずに。
きょときょとと戸惑っているうちに、包み込んだ花弁はゆっくりふわりと散ってゆく。
全部が風に吹かれて飛んでいったその跡に、黒江の姿は消えて無くなっていた。]
響く、ひびく、鈴の音。
舞い散る、舞い散る、薄紅。
風の巻き上げた、花弁の一部を。
枝の上、差し伸べられた、小さな手がそう、と掴む。
「おかえり。
おかえり?
泡沫なる子。
さくらのいとしご」
手にした花弁に呼びかける、その声は静か。
「おやすみ。
おやすみ?
刻の巡りのその先へ。
輪転が開かれるときまで」
歌うよな言葉。
桜の瞳は、穏やかに。
口の端には、微かな笑み。
ふわり、花弁を撫でた後。
桜の小袖は、同じ色の、帳の内へ──**
─中央広場─
[従妹は手を離し、見える範囲で母親達を探し始める。
必死に捜すその姿を、オレは何もせずただ見遣るだけにした。
不意に桜へと視線を向ける。
何もせず、ただそこに座す桜。
何もせず、ただ見守り続ける童女。
それらが望むものは何なのか。
疑問に持ちはしたが、オレは考えるのを止めた。
無意味だと、そう思ったから]
[そうしているうちに、背後から近付く気配を察する。
振り向くと、最悪の印象を抱く男がそこに居た]
…………。
[オレは何も言わず、不快そうな表情で男を見遣った。
男の反応はどうだったか。
オレの反応よりも、その先に居る従妹の行動に気を取られていたようだった]
[隙を見せた男に、オレは好機と見て空気を圧縮した球を、男の目の前で弾かせた。
男の顔に軽く擦過傷が走る]
…アンタさ、司だったりすんの?
[相手に囁く様に言葉を紡ぐ。
両手はショートコートのポケットに突っこんだまま。
男は何をされたのか、オレが何者なのかに気付いただろうか。
素早い身のこなしでサバイバルナイフを繰り出して来る。
位置が近すぎて、オレはその一撃を完全に躱すことは出来なかった。
避けきれないと思い、左腕を犠牲にする。
ナイフが食い込んだ状態のまま、傷口を閉じ、抜けないようにした]
アンタ、ムカつくんだよ。
殺したいほど憎いんだよ。
だから、目の前から消えてくれ。
[我儘のような言葉。
ハンチング帽のつばから覗いた瞳は憎悪に満ち、口元には歪んだ笑みが張り付く。
抜けないナイフを無理やり抜こうとしたか、諦めて距離を取ろうとしたのか。
離れようとする仕草を見せる男に、オレは右腕を突き出した。
左腕に刺さるサバイバルナイフのように圧縮させた空気が男の腹部を貫く。
それを差し込んだまま、オレは掻き回す様に腕を動かした。
肉が抉れ、潰れる気持ち悪い音が鳴る。
男の意識はどこまで保たれていたか。
最期の力だったのか、左腕に刺さっていたサバイバルナイフを回転させるように捩じられ、オレは流石に苦悶の表情を浮かべた]
ちぃっ…!
さっさと逝きな!!
[低く唸り、腹部から抜いた右腕の圧縮ナイフでサバイバルナイフを握る男の腕を斬りつける。
ナイフから手を放させると、左腕からナイフを抜き、男の左胸へと突き立てた。
そのままの勢いでオレは男を押し倒すようにして地面に倒れ込む。
それに乗じ、突き立てたナイフで男の心臓を抉り取り、隠した状態で一口に生の塊を飲み込んでやった]
[この一連の行動は傍から見れば正当防衛にも見えるものだっただろうか。
けれど、オレが男を殺したと言うことだけは、見紛う事なき事実となった]
─住宅街/死せる前の刻─
[百華の見せる、明るい表情。
過ぎる一抹の罪悪感は、飲み込んだ]
……いや、他者の手を借りてどうこう、ってものではないから。
さて、ここでいつまでも立ち話していてもなんだしな。
俺は、桜の所にいく。
あそこは、色々と集中するのに都合がいい。
[交わすのは、そんな言葉。
無邪気とも言える様子に、このひとは違うかな、などと考えつつ。
途中の道で別れ、公園へと向かった]
あ、っ。
おうか!
[姿を見たのはこれで二回目。
でもおうかはこちらを省みる事はなく消えてゆく。
さくらのいとしご おかえり おやすみ
意味は分からなかったが、なんとなく、黒江の事だろうかと思った。
輪転、泡沫、難しい言葉は分からない。]
いっちゃった……。
[言葉を考えているうちに、勝手に消えた童女に、がっかりした。]
[消えてしまったものは仕方がないので。
気を取り直すように、幹につき立てたナイフを取ろうとしたが、どういう理屈か、深くささったそれが抜けることはなかった。]
ぁぅ……おばちゃのおまもり……。
[お守りはだいじなものなのに、取れないのはちょっと困る。
伽矢なら抜けるかなと、そこでようやくいとこを捜すものの、近くにはいないよう。
代わりに、少し離れた場所で声がした。]
……かやにいちゃ?
[誰かと話しているようだったので、ててっとそっちに近づいていった。]
─中央公園/死せる前の刻─
……って。
あれは……!
[たどり着いた公園。
最初に目に入ったのは、黒江と、千恵と。
そして、舞い散る桜の花弁。
現れた、童女]
何が、起きて……っ!
[一連の出来事に逸れた意識は、少年の動きへの対応を遅らせる。
弾けた空気。
向けられる、問い]
……は。
そう聞かれて、素直に返すと思うか?
[『憑魔』が人ならざる力を操るのは知っている。
判断は、早かった。
躊躇いなく、繰り出すのは潜めておいた刃。
刃は最初の狙いを僅か逸れ、少年の腕を捕らえる]
……はあ!?
わけ、わかんねぇな……ガキのわがままに、付き合ってられるかよ!
[そも、ここまでの憎悪を向けられる、その理由など知る由もなく。
抜けぬ刃に舌打ち一つ。
一度、距離を取ろうした所に入る──追撃の一撃]
……てめっ……一度、死んだ人間……。
二度目、ただで逝くと思うんじゃ、ねぇ!
[血と共に、唸るような声を吐き出しつつ、力を込める。
抉る感触。
だが、人の身で叶うのはそれまで。
引き倒され、刃を奪われ──]
!?
にいちゃ!?
[視界に入ったのは、丁度伽矢が礼斗に倒れ込んだ時。
何をしているのかは分からなかったが、周囲に再び血の匂いが漂うと、ひくりと息を飲み込んだ。
大量の血の匂いは、恐怖と直結する。
黒江を殺しにかかり、子猫の死体を潰した子供と同一とは思えないような怯えた様子で、かたかたと震え始めた。
それでも、手からナイフを抜き、尻餅をついたいとこがとても心配なのは真実で。
震えながらも、伽矢の傍に近づいた。]
かやにい、ちゃ。
いた、い?だいじょう、ぶ?
[いまにも泣き出しそうな顔をして、伽矢の手と顔を交互にみやる。
うさぎは逆に礼斗の方を、じーっとじっと眺めていた。]
─中央公園─
[途絶の時間は、さほど、長くはなく。
気づけば、自分を見下ろす自分がいた。
しばし、瞑目]
……とりあえず、時間稼ぎには、なった、か。
[零れたのは、小さな呟き]
……神楽……史さん。
あと……頼むぜ。
……けど。
頼むから。
……二人とも……死ぬな。
特に、心は。
……ころさないでくれ……。
[呟く声は、二人に届く事はない、けれど。
声には確り、*祈りの響きが込められて*]
[雪夜の姿は見つけることができない]
死んだ人同士も見えないのかな?
[最後に自分がいくのを避けていた中央広場に向かうことにした。
自分が伽矢に殺された場所。
中央広場にいくと礼斗が倒れていた。
尻餅をつく伽矢とそれに駆け寄る千恵。]
伽矢くん……。
[本当に大切に思う相手ならば止めてやるのも一つの手だったんじゃないか、浮かぶのは自責の念]
…………。
[相手を殺したことに罪悪感などは浮かばない。
司では無かったことに対して悪態が出そうになるくらいだ。
しばらく何も言わないオレは、従妹にどんな風に映っただろうか]
── 千恵、離れとけ。
オレは、だいじょうぶ。
[いやに冷静な声が紡がれる。
右手にナイフを握ったまま、左腕に抉られた傷を残したまま。
今にも泣きそうな、震える従妹を抱き締めることもせず。
オレは司を喰らえなかった腹立たしさを、周囲へ零さぬようじっと*堪えた*]
[桜に視線をやる。童女の姿はなくただ満開の花を開かせているのみ]
それでも伽矢くんと千恵ちゃんに生きていてほしいと思うのはエゴなのかな?
[疑問に声に答えるものは*いただろうか?*]
[伽矢の様子がおかしい事に、気づく余分などなく。
素直にこっくり頷くと、震える足で、一歩、二歩と後に下がった。
広がる視界は、見なくていいものを鮮明に映し出す。
伽矢が抱きしめ逃していれば、見なくてよかったものが映る。
無残な、骸。
だがそれに悲鳴を上げることはなく。
むしろじっと、赤く染まった心臓付近を見つめていた。]
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
[頭の中で声がする。自分の声が。心の声が。]
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。)
(ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。ひょーま。つかさ。)
(いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カ
「たまゆら、ひびく。
たまゆら、かわる」
交わされた生命のやり取り。
その結末を、桜の童女は静かに見つめる。
「ゆらり、ゆらゆら。
ゆらゆら、ゆらり。
ひびく、たまゆら、おとたがえ。
ちからのながれはいずくにむかう?
きみゃくはくるうか、ただされゆくか。
ゆらゆら、ゆうら。
ゆうら、ゆらゆら。
すべてをきめしは、ただ、こころのみ」
……?
[声が、聞こえた気がした。
自分以外の者の声。
微かに覚えのある、それは]
……君、は。
瑞穂嬢?
何故……?
[とっさ、疑問が口をついたのは。
少女が自分と『同じ場所』にいると、無意識に察したがため。
少女の死を知らぬが故の疑問は、いつ誰に、という問いの意も含んでいた]
おっと……。
[響く、声。
樹上には、桜の童女]
桜花……見守り、見届ける者。
……めぐり……輪転の管理者……とか、そんな事も言ってたな。
ほんとに、一体何なんだか……。
[答えの得られない疑問。
否、もしかしたら。
それに答えなど、ないのかも知れない。
そんな、取りとめもない事を考えつつ]
……『はなはひらきてみまもるのみ』。
[紡ぐのは、桜の童女の歌]
後は、ただ。
……見届けるのみ、か。
[場にて生けるものの選択肢と、その行く末を。
叫んだところで、何もできぬのだから。
それでも、心に願うのは、ひとつ。
『力あるもの』たち──否。
昔馴染みと、茶飲み仲間が、*無事であること*]
─中央広場─
[従妹が傍から離れ、知らぬうちにどこかへと行ってしまった頃。
感情を押し殺していたオレの耳に歌と鈴の音が響く]
うっせーよクソ野郎。
何言ってんのかわかんねーっつってんだろ。
何もしねぇで見てるだけなら、何も言わず黙ってろ。
[煩わしそうに眉を顰める。
知った風な口を利く童女の声が不快だった]
[ふと周囲を見回すと、離れたはずの従妹が居ない]
……ちっ、またか。
今度はどこに──。
[返り血を浴びたままの姿でその場に立ち上がる。
何度目かの従妹探し。
鬼ごっこのようなそれを再び行う*ために*]
[先ほど殺されたはずの礼斗が今は自分に話しかけてきている。
彼は伽矢の手によって死んだのだから。
桜に向けていた視線を礼斗に向ける。]
私も、伽矢くんに殺されちゃったから。
[浮かべたのは笑顔、けれどもそれは悲しみの色を大きく含んだ笑顔。]
司だって教えたから、伽矢くんにとっては邪魔だったのかな。
[礼斗も伽矢が憑魔であることはおそらく知ってるのだろう。
話していると目の端から涙が零れ落ちてくる。
童女の歌声が聞こえる不愉快そうな伽矢の声。
そっとその姿を抱きしめようとした手は何も掴むことなく。
あの時掴み損ねた手は、もう触れることも叶わない]
― →中央広場―
……桜花!
[その姿は未だそこにあっただろうか。
満開の花の下、枝の上を見据えた]
お前、なんか知ってんだろ?
ここに来るってあいつ言ってたんだよ。
早く出せよ。
訊きたいことあんだよ。
意味分かんねーこと言って、勝手にいなくなって。
瑶、何処に行ったんだよ。
[息切れも構わず、返事があろうと無かろうとまくし立てる。
言葉はばらばら。
伏せた目に、小さなナイフが映って、
時が止まった]
ははは…
[顔を抑える笑い声が漏れる、目からは涙が止まらない]
あははははは……
[いろいろな思いが感情がごちゃ混ぜになる、自分が定まらない。
ただあふれ出るものをとどめることができなかった。]
―中央広場―
これ、って。
こないだの……
[姪の命を狙っていたペティナイフ。
投げ捨てた筈のそれが、樹の幹に深々と刺さっていた]
……まさ、か、
うそだろ……?
[消えた姪。
残るナイフ。
あるのはただそれだけ。
けれど浮かぶ嫌な予感を否定してくれるものは何一つなかった]
[不意に顔を上げると、ナイフに手を掛けた。
引き抜くにはそれなりの力を要したが]
……。
[幹に入った傷跡を、労るように撫でた。
言葉は声にならず、唇だけが動く]
[ナイフを掴んだまま、樹から数歩後退り。
そこでふと気がつく]
なんだ?
[“初めて”嗅いだ異臭は、なんなのかすぐには分からなかった。
臭いの元を探して振り返ると]
……なに、してんの。
[もう一つの悲劇が、そこに*あった*]
―外―
[てってってと走り、公園を離れながら。
涙がぽろぽろ零れてきた。
こわい、かなしい、かえりたい、かえりたい。
そんな思いが後から、溢れてくる。]
……うえええええん。
[瑞穂が見つからなくて、百華が見つからなくて、伽矢が怪我して、黒江が消えて、礼斗が血だらけで、桜花もいなくて。
かなしい、かなしい。
だれか撫でて。抱きしめて。
あったかいが欲しい。
どれも嘘偽りの無い自分の心。
どこまで走ったのか、道端でわんわん泣きじゃくる。声はしんとした街のどこまで届くだろう。
でも今泣き声をひろうのは、背中に背負った*うさぎだけ。*]
[散々道に迷いながら、歩き続ける。
その顔はかなりゲンナリとした顔だ]
……なんだかなあ。
決心固めたってのに、こんなとこで足止め食らっている場合じゃないっての。
[何度目かの曲がり角を曲がり、ようやく方向感覚を掴み始めたところで]
───?
[小さく一度、鈴の音が聞こえた。
今までよりも格段に小さいその音と共に見えるのは、白い光と黒い光が混じり、何者でもない光が消えた光景。その時に見える顔は]
……誰だっけ?
[2度3度見ただけの、面識がほとんど無い人物の顔。
名前などは確実に覚えてないし、聞いていない]
[だが、重要なのはその顔ではなく、その光の具合]
司でもなく、憑魔でもなく、普通の人でもない、人?
[かすかなビジョンで見えるその光景は、桜の花に押し流されるように消えていった]
不確定要素、か。
無くなってくれたのは玉稿だったかもね。
それにしても、これで後6人か。
急がなきゃな。
[そう言いながら、歩みを進めようとしたその矢先───!!]
───ああぁぁぁああぁぁぁぐうぅっ!!
[先程のとは比べ物にならないほどに強烈な鈴の音が何十にも渡って重ねた響きで大音量で頭の中で鳴り響いた]
か……はっ!
[視界が利かない。
頭がガンガンと痛む。
吐き気がひどい。
神楽が、フラフラとした動作で近くにあるものに適当に寄りかかり、胃の中の物を吐き出した]
げえっ、げ、げほっ……ぐ、はあぁっ!!
[先程同様に見える光景は、白い光が黒い光に飲み込まれる姿。そして、それと同時に見える顔は───]
───ひふみん!?
[思わず見えた景色に手を伸ばしてみたが、それに触れることは叶わない。
しっかりと移りこむ礼斗の顔をすり抜けただけだった]
あ、ああ。
あああ。
あああああああああ!!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
[ノドがつぶれんばかりに絶叫。
口の端から泡が吹き出し、自身の服を濡らす]
憑魔!憑魔!!憑魔!!!
よくも!よくもやってくれた!!
私の大事な人達を!全て!余すことなく!よくも殺してくれた!!
貴様が、一体どのような想いを抱いていようが、もう容赦することは無いと思え!!
全ての繋がりを消し去ってくれた者の恐ろしさをとくと味わえ!!
この身!この魂!滅ぼされたとしても!必ず貴様に恨みを晴らすのを忘れるな!!
[虚空を睨みながら、神楽が呪詛の言葉を吐き出す。
そして、その瞬間。
神楽に恐るべき執念でもって、憑魔を滅ぼすべき方法をその様子とは裏腹に冷静に分析させる結果となった]
─中央広場─
[右手に持つサバイバルナイフを振り、血糊を飛ばす。
赤が地面に弾け飛んだ時、問う声が聞こえた]
……………。
[ハンチング帽の下から相手を見遣れば、もう一人の気に食わない男。
顔にも血糊をつけたまま、帽子のつばの下で眉根を寄せた]
何って。
見りゃ分かるだろ。
襲われたから、やり返した。
[右手の袖で、顔についた血糊を拭う。
それと同時に、横で倒れている躯が花弁となり宙に舞った]
残り───5人!
どうやれば、憑魔を確実に滅せられる?
[頭の中には、9人が一堂に介したあの場面。
あれから、今までに死亡した人間を抜き、残るのは、神楽、史人、百華、千恵、伽矢]
私は当然除外。
そして、百華が憑魔である可能性はかなり低い。
あの場面で仲間を殺して信用を得る必要性があるかと問われるのならば、まず無い。それどころか、雪夜に関係が深いものに殺される可能性すらある以上、あまりにも危ない橋。
更には、あの時点で、仲間を減らし、1人になるなどありえる話ではない。
[そして、視界の外れ。
自分が雪夜の元へと歩き出そうとしているときに、彼女は黒江にも襲いかかろうとしていたのを思い出す]
これも、憑魔ならば、おかしい。結果的に司ではなかったが、そういう匂いを感じていたのならば、憑魔ならば食おうとするはず。それを凶器で殺そうとして、警戒させることなどありえない。
以上のことから、百華は、憑魔の可能性は「低い」
そして、問題なのは───
[更に、9人が集まったときのことを思い出す]
───伽矢。千恵。百華の3人がほぼグループになっていること。
もう一人が憑魔ならば、これほど容易いことは無いが、もしも違う場合。彼を殺した後に、私が1人となる。その場合、私の劣勢を覆すことは不可能。
つまり、私は彼と手を組まなければいけない。彼が憑魔だったとしても、これは絶対条件だ。
彼を狙えず、百華も狙わない。
ならば、私が今手にかけなければいけないのは……伽矢。もしくは、千恵。どちらかだろう。
[そこまで思考を続けると、神楽がほの暗い目で前方を見据える。
そこには、まだ礼斗の顔が見えているような気がして、神楽は薄く笑った]
ひふみん。
私は、冷静だよ。
狂わず、自棄にもならず、憑魔を滅す手段を考えられている。
これにより、私は魔に囚われるかもしれないけど……その程度で、今の私は止められない。
全ての繋がりを消された私を、鬼とも魔とも呼ぶのなら、好きに呼んで。
私は、前に進まなきゃいけないから。
[ダン!と力強く、神楽がどちらかの終焉への一歩を踏みしめ、歩き始めた]
……そう、か。
[『殺されちゃったから』。端的な説明。
笑っているのに、泣いているような顔。
その後に続いた言葉は、予測の裏づけ]
……『司』を喰らう事で、『憑魔』はより大きな力を得られるから、な。
[零れるしずく。
伸ばされる手が空を掻く様。
少女が少年を慕っていたのは、言葉を尽くすまでもなく、知れて]
……こんなものまで。
二度目。
[零れ落ちたのは、小さな呟き。
瑞穂にかける言葉は思いつかず。
ふ、と、目を伏せた]
[彷徨う視線は、やがて、見知った者の姿を捉える]
……史さん。
[昔馴染み。
先に奇妙な消滅をした黒江と、自分の死。
それが、彼にどんな影響を与えるのか。
一抹の不安を感じるのと、どこからか、叫びが聞こえるのは、どちらが先だったか]
……この、声……神楽?
[物理的な障害を受けぬ死せるもの。
その場へ向かうのは容易かった。
たどり着いた先、聞こえる絶叫。
嘆息の仕種の後、目を伏せるものの]
……ああ。
ほんと、冷静だな。
[向けられた言葉。薄い笑み。
届きはしないけれど、小さく呟く]
……それだけ、前向きなら。
大丈夫、だろ。
そう……信じるさ。
だから……。
[死ぬなよ、と。
紡ぐのは、小さな言葉]
[今はだいぶ落ち着いたのか膝を抱えて俯き桜の木の下のあたりに座っている。
小さな呟きは聞こえていた。]
静音さん、無事に帰れるといいね。
[神楽の悲鳴に顔をあげると礼斗の姿が見えなくなった。
呟いた言葉は聞こえただろうか?
自分はその場を動く気にはまだなれなかった]
― 繁華街・稲田家周辺 ―
[礼斗君を見送ってから、私は繁華街に戻った]
鍵、開いてるのね。
……誰かいるー?
[玄関に入り、大きめの声をかける。けれど誰の返事も無い]
伽矢も千恵ちゃんも瑞穂ちゃんもいないか。
[私は、礼斗君が調査の結果を持って来てくれると思い込んでいた。
朝の薄い日差しの中、玄関口に座り込み、しばらく待つ。
けれど、いつまで経っても彼は現れなかった]
―中央広場―
……おそ、われた?
[頭の中は空白に近い。
風にさらわれていく花片。
昔馴染みの身体はもう、亡い。
――還せなかったな。
誰かの溜息が聞こえた、気がした]
[それと共に、少しずつ思考が廻り始める。
少年の言葉が蘇る]
……あやみんに、襲われた?
[もう一度繰り返す。
あり得ない、と思う。
けれどいつだったか、『憑かれる気はない』と言っていた彼が、もし本当に襲ったのだとしたら、それは多分――]
……、
[ぐ、と拳を握り締めて、口を開く]
……へぇ。
そっかぁ。
[発されたのは、少し低い声。
思っていたのとは違う言葉]
どうしてだろうな?
そんなことする奴じゃないと思ってたのにさぁ。
[内側で起こる困惑は、外にまでは伝わらない]
─中央広場─
…あいつがなんつーやつかは知らねぇけど。
急に襲いかかって来た。
[名前を聞く機会は無かった。
聞く必要も無かった。
名を呼ぶ必要が無かったから]
アンタがあいつのことをどう思おうが知らねぇよ。
オレはオレの身を護っただけだ。
[相手の男を見遣る翠の瞳は、昏い]
───繁華街───
[ようやっと道を把握したと気づいたのは、裏通りの銭湯を見つけてからだ]
じいちゃん。死んじゃったのかな。
[そう呟くが、すでに感慨は無い。
今の神楽に、誰かの死などはどうでもいいことだった]
……。
[銭湯を通り過ぎ、人の集まりやすい中央公園に向かって歩いていく途中、何処かの家の玄関で人の気配]
───。
[今、誰かがいるということは、4人の中の誰か。もしも、伽矢か千恵ならば非常にまずいと思い、神楽の警戒しながらそれに慎重に近づき、相手を見定める]
……。
[果たしてそこで出会ったのは、幸か不幸か。人間の可能性が高く、3人グループの1人である百華の姿。しばし、どうしようかと思い悩んだ末に、神楽がそれに近づいていった]
どうしたんです?誰かと待ち合わせですか?
―回想・中央公園―
千恵ちゃん。
[黒瞳を開き少女の姿を映す]
司じゃないよ。憑魔でもない。
桜の力を借りていたから。
[その意味を問われても微笑むだけで答えない。
感情を抑えていた時より感情の読みにくい微笑。
千恵の目にはどう映っただろう]
司が還してくれたならきっと。
それからどこへゆくかは、あの人次第。
[風が桜の枝を鳴らした]
―回想・中央公園―
かえる。そうだね。かえらないとね。
[歪みとなる前に還らないと。
答えながら、駆け寄ってくる千恵を抱き止める。
その手に握られたものも、そのまま身体で受け止めた]
桜花にもかえさないと。
[返さないと。
突き立てられた「お守り」に引き出されるように、花弁の形を取った力が流れ出してゆく]
(ありがとう)
[唇は空気を震わせず。
全てを手放し、桜へと委ねた]
[何度も使える程便利じゃないと、礼斗君は言っていた。
きっと時間がかかるモノ。そう考えて、私は玄関で待ち続けた。
そこへ、コンクリートが擦れる音がする]
礼斗君?
[けれど、かけられた声は女性のものだった]
……あなた。
もういいの? 私の顔は見たくないっていってたのに。
[礼斗君の言う通りなら、この人は司。
警戒する必要はないはずだけれど……
罪悪感が身を強張らせた]
……へぇ。
残念だなぁ、信じてたのに。
[肩を落とすその裏で、「下手な嘘だ」と誰かが嘲る]
それ、腕怪我してんじゃん。
大丈夫?
[軽薄に、危機感の感じられない笑みで。
相手の目を覗き込むように見た]
[そのまま]
……あぁ、そうそう。
さっき、消える前にちらっと見えたんだけどさぁ。
[本当は見る暇等無かったけれど、平然と嘯いた]
「あやみん」、心臓無かったよね。
なんで?
―中央公園―
[遠く鈴の音を聞く。
遠く遠く誰かの話す声を聞く。
意識は完全には散らず、うすぼんやりと丸まって。
生者と死者の間を漂っていた]
[私は彼女を観察する。
公園で会った時と比べ、澄んだ目をしている。
その瞳は純粋な何かを宿しているように思えた。
私はふう、と溜息をつき答える]
待ち合わせ、といえば待ち合わせよ。
―繁華街・端―
[暫く泣いて、目が本当にうさぎのようになった頃、ようやくぐしぐしと顔を擦り泣き止んだ。]
……ここ、どこだっけ。
[鼻まで真っ赤になりながら、きょとと辺りを見回すと、見覚えのある、繁華街端の端だった。]
……にいちゃ、ねえちゃ、おばちゃ。
[未だ瑞穂の死は知らず。
ほてほてと、瑞穂の家へと歩き出した。
誰か帰ってきたかな、と思いながら。]
[百華の言葉に、小さく首を振る]
そんなこと言ってられる場合じゃないですから。
憑魔を全滅させない限り、同じ悲しみが繰り返される。
それなら、憑魔を率先的に殺し、憑魔の可能性の低いあなたを憎み続けるのは、無駄なことです。
そう。
憑魔は全て滅さなければね。
[その時に浮かんだ感情は、仄暗い───喜び。
司として、憑魔を浄化出来るという役割を果たすことへの感情だった]
あなたもそう思うでしょ?
ああ。それから、ひふみん……礼斗を待っているなら無駄だよ。
何故なら───彼は憑魔に殺されたのだから!
[動き出した神楽。
正直、ちゃんと目指すところにたどり着けるのかとか、そんな余計な心配をしているうちに、どうにか正しい道を引き当てたようで。
思わず安堵した矢先──目に入ったのは、百華の姿]
ああ。
はったりかけたままになっちまったな……。
[零れたのは、そんな呟き。
それから、桜の方へも意識を向ける。
史人は無事だろうか。
過ぎるのは、そんな思い]
[さて。
私は彼女を何処まで引き込めるのか。それがキーポイントだ。
最悪でも3人グループに少しでも亀裂を巻き起こせなければ、その先は難しいだろうから]
.
─中央広場─
……平気。
死ぬほどじゃない。
[訊ねられ、短く返す。
この状況で相手が浮かべる笑みに、オレは警戒するように翠の瞳を細めた]
心臓なら、抉って、潰した。
あいつがもし憑魔なら、と思って。
どこまでやれば死ぬのか判らなかったし。
[本当は喰ったけど、そんなことを言うはずもない。
相手が本当に見たのかどうかを判ずる術は無い。
下手に逆のことを言うよりは、抉った事実を作った方が良いと判断した]
……もう良いか?
オレ、千恵探さなきゃなんねぇんだ。
[会話を断ち切るように言葉を紡ぐ。
一貫して冷静な態度、慎重な雰囲気。
この緊迫した状況で、軽薄な笑みを浮かべる相手と、オレの態度はどちらが異様に見られるのだろうか]
[史人の声が聞こえて頭をあげる。
二人の会話が聞こえてくる。]
伽矢くんのこと、ばれたのかな?
[行く末は少し気になっていたのでそちらのほうをぼーっと眺めている]
ああ。それで。
[私に声をかける事にした理由を聞き、頷く。
が、憑魔を滅ぼすと口にした彼女の表情が僅か、変わる。
野心旺盛な男のような顔]
ええ、滅ぼさなくては。
……無駄?
[礼斗君がもたらした情報は、私を大分楽観的にさせていた。
それも、続く言葉を聴くまでだった。
――礼斗君が、憑魔を見つける事ができる人が、死んだ。
私は、返事を返す事もできずに表情を凍らせた]
[『憑魔』は全て滅する。
それは、場を開くためには必須の事。
だから、それは大きな願いのひとつ]
……問題は、それまでに。
犠牲を、どこまで減らせるか……だよ、な。
[見えている、答え。
伝えられないのをもどかしく思いつつ。
神楽と、百華のやり取りをただ、見守る]
―中央広場―
……あぁ、そう。
冷静なんだねぇ、見掛けによらず。
[あっさりと身を引く。
余計な一言を付け足したのは挑発か素か]
うん。分かった。
引き止めて悪かったな。
[それ以上引き止めようともせず、両手をポケットに突っ込んだ]
[表情を凍りつかせた彼女に畳み掛けるように私は離しかける]
みずちー……瑞穂も、憑魔に殺されました。
名前は知らないけど、無表情な女の子も死にました。
残っているのは、私とあなたを含めて5人だけです。
[さて。ここからは賭けだ]
ねえ。ひふみんは、最後に何処に向かいましたか?誰に殺されたと思いますか?残っている憑魔は誰だと思っていますか?
私でもない。あなたでもない。残るは3人。
ああでも、あのメガネのお兄さんが憑魔ならば、わざわざ数少ない自身の仲間になりそうな人を殺すかな?
それに確か、あの人は何処かで司だと聞いた気がする。だとすると残っているのって誰なんだろう?そこに憑魔はいるのかな?ねえ。誰だと思います?
[史人が司だと言うことは思いつきの嘘だ。真実かも知れないが、今は確証が無い嘘だ。だが、それでも、こう言えば、あの2人に疑いがほんの少し向けられるだろう。
さて、亀裂はどのくらい浮かぶか?]
─中央広場─
アンタも見かけによらず頭のネジ飛んでんだな。
この状況で良くヘラヘラ笑ってられる。
[挑発に乗ったわけではなく、素直な感想。
口は普段から悪い]
[身を引いた相手から視線を外すと、オレは足を動かし始める。
右手にサバイバルナイフを持ち、左腕は力無く身体の横に垂らしたまま。
けれど、その腕から赤が滴る様子は無い]
[オレは男を警戒しつつも、その傍を離れて行く。
捜すにしてもあては無く、どこから捜そうかと考えながら、駅方面の道へと向かい始めた]
―繁華街→―
[誰もいない道をとぼとぼと、うさぎと一緒に歩いてゆく。]
寂しいね。
[うさぎに話すも、返事はこない。
誰もいない。ひとりぼっち。
それはとても寂しくて。
しょんぼりしながら歩いていたから、誰かの声が聞こえた時、ぱぁと明るい顔になった。]
みずねえちゃ?ももおばちゃ?かやにいちゃ?
[てててと、そっちのほうへと駆け出した。]
[表情を凍らせる百華の様子に浮かぶのは、苦笑。
そこに畳み掛ける、神楽の言葉。
伝え損ねた真実──史人が『司』という言葉が織り込まれているそれに、思わずがし、と頭を掻いた]
……よくもまあ、そこまで、いえるもんだ。
しかも、はったりなのに当たってるし。
[呟きにこもるのは、呆れと感心が半々、というところか]
うん?
まぁほら、なんかもう笑うしかないじゃん。
俺非力だしさぁ。
[あくまで無能な『人』として振る舞う。
相手の視線が外れても、表情は変わらない。
けれど血の流れない右腕は、しっかりと視界に捉えて]
彼が。死んだ。
[しばらくして我に返ると、顔から段々血の気が引いていく。
更に非情な言葉は続く]
瑞穂ちゃんが。瑞穂ちゃんまで。
無表情な子って、黒江さん?
もう、五人だけ?
[たまらず、顔を伏せる。
そのままくぐもった声を漏らす]
あと一匹が憑いてるのが誰なのかって、私が知りたいわよ……
礼斗君がいなくなってしまったら、当てずっぽうするしか。
彼、誰が憑魔か見分ける事ができるって、言ってたのに。
[彼が出来るとは一言も言っていなかったのを、私は気付いていない]
貴方が司。史さんも司。
私は違う……ねぇ、ちょっと待ってよ。
そしたら、伽矢か千恵ちゃんが憑魔ってこと?!
[大声で叫んでしまった。
少し離れている者にも聴こえてしまっただろうか。
慌てて口元を押さえた]
史さんが司って、本当なの?
[伽矢と千恵ちゃん、どちらかが憑魔である事を否定するには、
そこを否定するしかなかった]
……笑うしかないと思ってるなら、ホントにネジ飛んでんだな。
それか、笑うくらい愉しい状況だと思ってるのか。
[壊れたか、行き当たった結論はそこ。
非力だからと言って笑うその様子は、オレにしてみれば逆に警戒を強める要因にしかならなかった。
それを捨て台詞として、オレは北へ向かう道を歩いて行く]
─ →駅方面─
……たのしくは、ないけどな。
[表情は変わらなかったが、声に色は無かった。
相手の背が見えなくなるまで、手は出さずにただ見つめる]
少しも。
そうだね。当てずっぽうだね。
ただし、考えられる可能性を出来るだけ考えた上での当てずっぽうになるけどね。
[礼斗が見つけるモノだとは初耳だった。
それならば、彼が襲われたのにも納得は行く。
それと同時に、彼ならばそういうカマかけをする可能性もありうるとは思った。
どちらにせよ。彼が司だと思っているのは不都合だ。
もし、本当に史人が司で見つけるモノならば、同じ司が存在することになる。こういう些細な間違いは後々遺恨を残す。礼斗が司だったとしても、すでに意味が無いなら取り上げてしまおう]
───きっと、ひふみんは、他の司を守る為に、身分を偽ったんじゃないかな。それに惑わされた憑魔がひふみんを襲う。そして残るのは司2人……そうならば、彼の命をかけた壮大な嘘は、実をなしたと思わない?
だって、司が2人で、あなたが憑魔じゃないのならば、残る憑魔を滅することが出来る可能性はとても高くなるのだから。
そう。伽矢か、千恵ちゃん。どちらかに宿っていると思われる憑魔をね。
……まさか、人の大事な人を奪っておいて自分だけが全て残したままで終われるなんて夢物語信じていませんよね?
―繁華街→瑞穂の家―
[話し声は、やっぱり瑞穂の家の方からで。
嬉しそうに走る、あと少し、角を曲がれば
「そしたら、伽矢か千恵ちゃんが憑魔ってこと?!」
声に、ぴたり一瞬足を止める。
が、頭が言葉を一瞬、忘れた。
聞いていたけど、聞かなかったことになる。
角を曲がると、人影が見えた。]
あ!
ももおばちゃ!
かぐねえちゃ!
[もう一人、意外と思う人がいたが、そんなことは気にならなかった。
心の隅で、誰かが『つかさ』とぼつりと呟いたけど。
今はそれより、人と会えた事が嬉しかった。
神楽が自分を警戒しているなんて知らないまま―――二人の方に、飛びつこうとして
無邪気に
走りよった。
笑顔で駆け寄る様は、ともすれば脅威に見えるだろうか。]
……。
[百華と話している間も警戒は一時足りとも解いていない。
誰かの足音がする。
こちらに近づいてくるその音は、とても小さい歩幅]
(───まずいな)
[ここでうまく引き込めなかったのならば、2対1になる。そういう状況はあまり望ましくない。
そう考えているうちに、千恵がこちらへと駆け寄ってくる姿が見えた。
私はそれから避けるように、その場から離れだす。少なくとも、千恵が怪しいと言った私の行動は、百華から見て不自然に見えないはずだ]
さて。それじゃ、私は、その史さんを探しに行くよ。
同じ司同士助け合わなければね。
あなたはもう少し、これからのことを考えておいたほうがいいんじゃないかな?
それじゃ、また。
[種は蒔かれた。
それだけを確信すると、神楽は中央公園へと向かい、史人の姿を捜し歩き始める]
─駅方面の通り─
[男の姿が見えなくなった辺りで、オレは歩を止める。
身体の横に垂れ下げていた左腕を持ち上げ、破れたコートの袖を捲った]
……ま、余裕だな。
[腕には既に傷は無い。
会話の間に、少しずつ癒しを加えていたのだ。
自分の血糊はついていたが、それはそのままにしておいた]
さってと、どうすっかな。
見えてない司は捨て置いて、分かってる司喰った方がオレのためにもなるか。
[袖を戻すとオレは中央広場の方へと視線を向けた。
未だ絢爛に咲き誇るシンボルツリーの桜。
全てを喰らわねばここから出ることが出来ず、自分の望みも叶わない]
だったら喰らい続けるしかねぇからな。
まだまだ、オレにはチカラが、要る。
[翠の瞳を細めながら、オレは舌なめずりをした。
足元で何かが小さく弾ける音がする。
それは圧縮した空気が破裂した音。
音がすると同時にオレの身体は宙へと浮いた]
上から見て回るとするか。
[連続して小さな破裂音が鳴る。
破裂する威力に乗り、オレは滑るように宙を翔けた。
仮にこの姿を見られたとしても、繕う手段は考えていた]
……そんな、大層なもんじゃないんだがな。
[神楽の、自分の行動への推測。
その通りではあるが、壮大のなんのといわれると調子が狂う]
……半分は……単なる、わがままなんだぜ?
お前らが死ぬのを見たくないだけだ、っていう……。
[そんな呟きをもらしているところに駆けて来る、小さな姿。
違う、と知る身は、その無事に安堵するけれど]
……どうなる、か。
[百華には、答えは見えていない。
過ぎるのは、微かな不安]
……。
[小さく舌打ちして、背を向けた]
流石にそうそう尻尾は出さねぇか。
……ったく。
はっきり判らねぇと、手が出せないってのは不便だな。
[それも制約の一つ]
もう1人の『司』……あいつが上手くやってくれりゃぁ、俺も楽なんだが。
[小さなナイフはポケットの中に残し。
桜の樹のある方向へ、足を進めた]
もちろんよ! 罪の無い人を殺すなんて、まっぴら。
[巫女さん――神楽ちゃんの話に一つ一つ頷く]
ちょっと待って。
礼斗君があえて嘘をつくのはわかる。
でも、司が二人? 司は三人じゃないの?
貴方がそれを知ってるって事は……既に。
[亡くなっているのだろう。
私は神楽ちゃんが死を視る司と言う事しか知らなかった]
礼斗君は憑魔を滅ぼすため、犠牲に。
雪夜君は、貴方の幼馴染だっけ。
……全部残せるなんて、夢物語ね、本当に。
司は、何かあるのかしら。 自身が司だって証明できる方法が。
礼斗君が嘘をついていて、史さんが調べる事のできる司なら、
彼が憑魔を見分ければおしまい。
でも、史さんが司のふりをしていたら?
[歩き出す神楽の様子に、さてどうするか、と思案する。
何かできるわけではないけれど。
むしろ、見ているだけの事態に、もどかしさを感じてはいるのだけれど]
……全体が、見回せる場所に行くべき……かな。
[それは即ち、街の中心。
すなわち、桜の傍]
あ……
[幼い声と共に、千恵ちゃんが現れる。
神楽ちゃんは下がる]
証拠を探すなら、私なりにやってみる。
手伝うわ。
……最後に彼、礼斗君を見たのは。公園よ。
[そう伝えると、神楽ちゃんは公園の方に去っていった]
千恵ちゃん。
[心底嬉しそうな顔で駆け寄ってきた子を拒む事はできなくて、
私は千恵ちゃんをぎゅうと抱きしめた。
もしこの子や伽矢が憑かれているなら。私が出来る事。
いいえ、母として、縁者としてしなくてはならない事は只一つ。
とりつかれた子を解放しなくてはならない]
まぁ、こればっかりは調べるしかねぇわな。
[通りすがりに桜を見上げる。
住宅地へ続く路、その手前まで来て足を止めた]
……まぁ、それはそうと。
いい加減に、自覚してもらえねぇかな。
[声は困惑する内側に向けて]
─上空─
[まずは北地区を旋回し、従妹の姿を捜す。
路地などもくまなく捜したが、見つけることは出来なかった]
……マーキングし忘れたままだったのが痛いな。
つっても、オレのチカラはそれに向かないっぽいんだけどさ。
[軽く眉根を寄せて呟く。
見えぬ壁に沿いながら、今度は住宅街の方へと翔けた]
───中央公園───
……。
[油断無く辺りを見渡して、慎重に周りの気配を探った。
さすがに、上空は警戒範囲外だが。
そして、桜の樹の近くで、待望の姿を見つけた]
史さん!……で、いいんですよね?
[そこに駆け寄りながら、懐から扇子を取り出して、彼に向けて突きつけた]
まず、問います。
あなたは、私の敵?味方?
出来れば、あなたが憑魔だったとしても、今は私と手を組んでくれたほうが得策だと思いますが、如何です?
―瑞穂の家前―
[ぎゅっと百華にされると、心底嬉しそうな顔をする。
あったかい、うれしい。
ごろごろと百華に擦り寄った。]
……ちえ、はやくおうちにかえりたい。
[安心したから、本心はぽつりと零れ落ちた。
神楽が離れてゆくのに気がつくと、あっと小さく声を上げる。]
かぐねえちゃ、どこいくの?
ちえも、かやにいちゃとみずねえちゃ、さがしにいく!
おばちゃもいこう?
[じっとしていられないのは元々の性分で。
去り行く神楽の後を追うように、てってっとうさぎと後を追おうとした。]
─中央公園─
[どうするか、と思いながらも移動するのは結局、中央公園。
やって来たその場所で、目に入ったのは]
……どこまで、直球なんだよ。
[史人に扇子を突きつける神楽の様子に、思わず呆れた声をあげた]
[掛かる声を聞いて、ちらとそちらを見る。
が、足は再び進み出した。
向きを変えて、水道のある方向へと進んだ]
……さぁね。
お前と同じ存在であることは確かだが。
まったく話が見えねぇな。
なにが得策だって?
うん、帰りたいね。 おばちゃんも帰りたいよ。
[目の前で人を刺したというのに、まだ近づいてくれる姪。
憑魔の演技?
そんな事は考えたくなくて、姪の髪に頬擦りをする]
うん。 そうね、さがそう。
伽矢と、彼らと会って話したい。
……瑞穂ちゃんは。
[しばし躊躇い、伝える]
瑞穂ねぇちゃんはね、壁を通り抜けて、遠い所にいっちゃったの。
[千恵ちゃんの手を握ると、意を決した。
礼斗君が命がけで成そうとした事を引き継ぐ為。
彼が何か痕跡を残している事を祈りながら、公園へ歩いた。
包丁は、姪と繋ぐ手の反対に握り締めたまま]
─ビジネス街上空─
[見えぬ壁側から中央に向けて虱潰しに捜して。
途中にあるビルの屋上へと降り立つ]
……上から捜すにしても、時間食うな。
入れ違いに移動してたらいたちごっこだし。
……音は、空気の振動、なんだったか?
[オレが扱えるチカラ、空気を操るチカラを応用して、オレは可聴範囲を広げようと試みる。
慣れない使い方でもあるため、調整には時間がかかるだろうか]
同じ存在?
[史人の言葉に鸚鵡返しに答える]
司……ってことかしらね。
その言葉が本当ならば、嘘から出た真実だったってことかな。
良ければ、司として何をしていたか聞いていいかな?
見つけるモノならば、誰を判断していたのか?
守るモノならば、誰を守護していたのか?をね。
[答えてくれたとしても本当かどうかは知らないが、それなりの判断材料にはなりうる]
それから、誰かが来るかも知れないから早めにすませておくけれども、私とあなた以外は、3人しかいないの。
伽矢。千恵。それとあのおばさん。どう見ても強固なグループでしょ?一応、揺らがせておいたけれども、どうなるか分からないから、私とあなたで手を組んでおけば少しは対抗できる手段にならないかしら?
[百華が雪夜を殺した事実は、心の奥の奥に自然と潜めていた。
それよりも、嬉しいが先だし、大きいかった為。
子供のこころは上手に出来ている。
ほお擦りが嬉しくてほふりと微笑んだ。
繋いだ手の反対には、絵本を持って。
百華と一緒に歩き始める。
足はやっぱり遅いから、急いた神楽とはだいぶ距離が離れてしまうのだが。
比喩された表現は、そのまま受け取ってしまいきょとんとして。]
……ねえちゃ、ひとりでさきにかえっちゃったの?
いいなぁ……。
あれ、でもみずねえちゃのおうち、そこなのに。
[へんなの?と小さく首をかしげる。うさぎもいっしょに首を傾げた。]
[問いにすぐには答えず、水道の蛇口を捻る。
温い水が流れ出した]
……。
[ポケットを探り、流れる水の真下へ置いた。
すいと目を細め、手を翳す。
――ぴし、と音が鳴る。
ナイフの上に咲く、白い氷花]
と、見ての通りだが。
[そこで漸く、巫女を振り返った]
最初は礼斗緋文。次に黒江瑶子。
どちらも白。
回答はこれでいいか。
手を組む、ねぇ。
……囮になれって意味なら、お断りだが。
[探るように、その目を見る]
……まぁ、確かに厄介じゃぁあるな。
[ぽつぽつと歩く。
神楽を追うのは、こころの何処かが『つかさ』と囁いているからでもあった。
つかさ、ひょーま、どちらもわるもの。
少なくとも、自分の中ではそのままで。
さっき聞こえた言葉も、ちらりと首をもたげる。
千恵か、伽矢がひょーま。
かやにいちゃがひょーま?
ちえも、ひょーま?
頭の中ではてながたくさん飛んでゆく。]
ううん、違うの。
瑞穂ねえちゃんは帰ったんじゃないの。
おしごと、しにいったんだよ。
[せめて、安らかな最期だったらいいのだけれど。
姪が一生懸命歩いているのはわかっていたから、彼女に合わせて歩む。
が、私は途中ではたと立ち止まる。
この子は瑞穂ちゃんの死を知らない……?
いえ、憑魔が死を知っているとは限らない。
それとも知らないフリをしているだけ?
でも、この子が憑魔なら、何故二人きりなのに私を襲わない?
……いいえ、伽矢だって私を襲わなかった。
そうよ、子供達はきっと憑魔じゃなくって、残る彼が……
立ち止まったまま、頭をぐるぐると思考がめぐる]
お帰り、礼斗さん。
[座り込んだままに礼斗に声をかける、正確にはそれは声じゃないのかもしれないが]
静音さんですし。
[神楽を家に泊めてたくらいだから知り合いなのだろうと思いながら]
こういうときに前向きになれるのはいいことかもしれませんよ。
[今の自分の状態に比べればはるかにそっちの方がいいのだろうと思った]
─中央公園─
[神楽の問いに答えない史人。
ナイフの上に開いた氷花と、その後の言葉と。
大体の状況に、察しはついた]
確かめたのは、そこ、か。
……答えへの道は、近づいたけど。
どうなる、かな。
[呟いて。
それから、ふ、と桜を見る。
薄紅は、ただ、静かなまま]
[史人の行動を眺め]
───そういう芸当ね。
[納得はした。
憑魔がそういうことが出来ないという可能性は無いのだが、とりあえず信用はしよう]
ええ。
私もそのどちらかで考えていた。
もし、あなたがどちらかを判断していれば、分かりやすかったんですけどねえ?
ま。泣き言はいいわ。
あなたはどちらが怪しいと思う?少し判断材料があるならちょうだい。
ああ。私の能力からの判断材料もあげる。
無表情な女の子───黒……江って言ったっけ?あの子は普通の子じゃなく、憑魔には殺されなかった。
ひふみんとみずちーは憑魔に殺された。
さて。思い浮かぶことはあるかしら?
─中央公園─
ここは、ただいま、と返すところ……なんかね。
[呼びかけに、視線は瑞穂の方へと動く]
に、しても。
……言い得て妙、だな、それは。
[神楽だから、という物言い。
苦笑が掠めた]
前向きになったのはいいんだが、多少、心配ではある。
……思い込んだら、突き進むからなぁ……。
─ビジネス街・ビルの屋上─
[周囲の空気を細かく震わせる。
その震わせる速度を速めたり遅めたりしながら、オレは調整を取って行った]
………あまり遠すぎるのは無理、だな。
人が居そうなのは……中央広場か。
[はっきりした声や音は掴むことが出来なかった。
かろうじて捉えたのは、人が動く時に空気を震わせる、物理的なもの。
翠の瞳は、先程立ち去った中央広場へと向いた]
…近くまで行って様子見るか。
[再びオレは足元で圧縮した空気を破裂させる。
宙を翔け、中央広場傍の高めの建物の上へと降り立った]
─ →ビジネス街・中央広場傍─
それから、囮になんてしないわよ。
手を組むってのはそのまま、後ろを預けるに近いまでをお願いするの。
……もしも、あなたが憑魔ならば、他の全員がいなくなってから改めて勝負しましょう?
[返されたのは苦笑]
そうですね、悪い方向に突き進まなければいいんですけど。
[神楽の方に視線を向けてから]
礼斗さんは、憑魔に滅んでほしいですか?
[その質問の仕方は少し司らしからぬものだったかもしれない。
礼斗の過去も、憑魔に詳しい理由も何も知らない。
そんな中、浮かんだふとした疑問]
はん。
んなこと言われてもねぇ。
憑魔はお前が全て浄化するんじゃなかったのか。
[どちらかを見ていれば、などと言われれば鼻を鳴らす]
……そうかい。
[瑶子の名前が出され、内側に揺れる気配。
軽く息を吐いた]
……あぁ。
あの女のガキはよく知らねぇが。
礼斗緋文を殺したのは、男のガキの方だった。
……ああ。
心配なのは、そこだな。
[悪い方に、という言葉に、思いっきり、同意した。
何気に酷い]
……そう、だな……。
[それから、投げかけられた疑問に、軽く目を伏せて]
これ以上の惨劇は、見たくはない、ってのが、俺の本音。
そして、神楽や史さんには、死んで欲しくない。
……これで、答えに、なるか?
[自分は『憑魔』──伽矢の事を何も知らない。
ただ一度、ぶつかっただけで何故、あれほどに憎まれていたのかもわかってはいない。
だから、それを願う事に躊躇いはなかった]
おしごと?そっかぁ……じゃぁ、しょうがないね。
[言われると納得したというように、微笑んで見上げる。
百華の表情の変化は、不思議そうにきょとと見上げるだけ。
胸中を窺い知る事が出来るはずもなく。
途中で足が止まったので、自分も一緒に足を止める。
何やら考えている伯母をじっと見つめて。]
ももおばちゃ?
[くいくいと、繋いだ手を引いて呼んだ。
じーっと、伽矢と同じ色の大きな瞳が百華を覗き込んだ。]
─ビジネス街・中央広場傍の建物─
[屋上から中央広場を見下ろす。
桜から離れた場所に、二つの人影を見つけた]
……眼鏡の野郎と巫女か。
一人だったら隙をついて喰ってやるんだが。
[短い舌打ちが漏れた。
彼らの会話までは耳に届いていない。
先程の方法は慣れないのもあって、酷く体力を使う。
ここでチカラを使いすぎるのは抑えておきたかった]
そう…ですよね。
[俯き]
私は、自分がよくわかりません。
憑魔は浄化しないといけない、これ以上の惨劇を起こしてはいけない。
伽矢くんに、これ以上手を血で染めてほしくない。
でも…、伽矢くんに死んでほしくもない。
千恵ちゃんと伽矢くんに生きて幸せになってほしいって。
[再度顔をあげると微笑みかけて]
すみません、こんな話してしまって。
[さきほどたくさん流したはずなのにやっぱり涙がこぼれる]
浄化はともかく、判断には困るってことよ。
私だって、無駄に人を殺して確かめたいわけじゃないわよ。
[そう言い返した後に、聞こえる答えには]
充分すぎる判断材料ね。
憑魔に殺された。
伽矢に殺された。
=に近いなら、伽矢を憑魔だと仮定するにはおかしくない。
後は、他の人が納得してくれればいいんですけどね。邪魔が入るようならば、多少厳しいかな。
ん、ごめんね。
ぼーっとしてたみたい。
[手を何度か引っ張られ、ようやく姪の視線に気付いた。
あぁ。この子もそっくり。
……夫の瞳も翠色だった。私は無意識に、唇を舐めた。
再び歩き出してしばらくすると、公園の入り口がかすかに見えた]
[そこまで語り、彼女は初めて]
……ふ!
[司として、人を殺すための能力を発動させた。
先程まで、史人に突きつけていた扇子が、まるで真剣であるかのような迫力をまとわせる。
身体能力も、普段とは比べ物にならないほど高くなっているであろう。
それでも、人を、もしかしたら、司までも食らって力をつけている憑魔に肉薄できるのかは、厳しいであろうことは予想できる事態ではあったが]
─ビジネス街・中央広場傍の建物─
[反対側の通りに視線を向けると、その先からも二つの人影が見えた。
大小ひとつずつの姿。
母親と居たのか、と胸中で思いながら、オレは建物の上から路地裏へと飛び降りる。
足元で弾ける圧縮された空気。
それにより落下速度を減じて危なげなく地面へと降り立った。
そうして、路地から通りへと出て中央広場へ向い歩いて行く]
(この場で襲うのは得策じゃない、か…?
速度を上げて連れ去ればあるいは……。
いや、それも限度があるか)
[声には出さず思案しながら、中央広場へと入って行った]
―中央公園―
[唇を舐める仕草を気に留める事もなく、中央公園に入ると、桜の木の下に人の姿を見かけた。
手を繋いでいるので走り出すことは出来なかったが。]
かぐねえちゃと………ええと、ふみにいちゃ?
[遠いのとあまり会った事がないので識別がきちんと出来ないまま、遠くに居る二人に手を振った。]
[俯きながら語られる言葉。
良く似たものを、以前、聞いた]
……前に、『司』から、同じようなグチを聞かされたな。
『憑魔』になった恋人を止めたい、けれど、なくしたくない、って。
[ぽつり、呟く]
大事なものに生きて欲しいって願うのは、普通だよ。
俺だって、そう思ったから……二人の盾になろうと思ったんだし。
[言いつつ、視線は当の二人へ]
……でも。
辛い、な。
[何が、とは。
敢えて、言葉にはせずに]
……直接あのガキを確かめたわけじゃねぇから、なんとも言えねぇけど。
あいつが言うにゃ「襲われたから殺した」らしいが。
お前の言うことを信じるなら、そういうことになるか。
[女の気配が変わる。
ふ、と息を吐いた]
無茶すんなよ。
さて。
ちょっと誇張したことを叫ばさせて貰うよ。
もし、違って、私が死んだら、勝手にやったということにしておいてね。
[史人に小さくそう語りかけ、すっと息を吸う]
伽矢が最後の憑魔だーーーーーーーーーーーー!!!!
彼を還せば、結界は取り除かれるぞーーーーーーーーーーーーー!!!!!
[と、叫び、小さく笑んだ]
……なーんてね。
……て、ちょ。
[聞こえた叫び。
目を、見張る]
……無茶する……。
[呟く声に混じるのは、やはり。
呆れの響きだった]
[もしも、史人が憑魔ならどうするべきか。
もしも、千恵が憑魔ならどうするべきか。
もしも、百華が憑魔ならどうするべきか。
今はそのようなことを考える必要はない。
可能性が高い、というものを滅せないことに何の意味があるというのか]
[きょと。足を止め、目を瞬かせた。]
?
[唐突な言葉に、不思議そうに神楽をじっと見つめていた。
うさぎは、いつだって物言わぬまま、ただみつめる。]
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