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[立ち去る女にあからさまな溜息を吐き]
[あらたな男の声に、ぽつりと零す]
泉に沈めた方が早かったかもしれませんね。
今更に過ぎないのでしょうけれど。
死体が一つ増えたから、まだ終わらないんじゃないか
まあ後は手伝うほどでもないな
[内容は、つまりハーヴェイの死体に関しては、男も見て悟っている]
[ケネスの横を通り過ぎ、城へと戻る]
武器について詳しく聞かれたな
そこらへんの連中には、昨夜お前と彼女がいたことは言っていない
[その時、ケネスにだけ聞こえるか聞こえないか程度の声音で、男はそう言った]
[そのまま城の中へと入ってゆく]
[青い色をじっと見上げます。]
…いえ。
何だか、違うひとみたいに思ったものですから。
[呼び止めたのは、いつもと少し纏う空気が違ったように感じた、それだけでした。
少し堅く感じるものの、声は確かに彼女のもの。
緩く首を振りました。]
違う人?
やぁね、私は私よ?
[声色は出来るだけおどけたいつもの声を心がける。この場で起きた光景から再び瞳が変化しないか不安でたまらなかった。尤も、変じたところで目の前の少女が気付けるかは定かではないが]
…ネリー、死んだんでしょ。
お祈りして来るわ。
[声のトーンを落とし目的だけ告げ、踵を返した]
それは怪我か返り血か、それとも運んできただけか。
その顔色だと最後みてえだが。
[ギルバートの姿を上から下までじろじろと見た後、クインジーの視線を感じそちらを向く。すれ違い際に潜められた声は耳に残るが、傍目には話しかけられていないのだから声を返しはしない。わかったと目で返すのみ]
埋葬はしたいヤツがすればいい。俺はしねえ。
コイツがやられた場所はドコだ?
[ハーヴェイの殺害現場を聞き、そちらへと歩き出す]
ですよね。
…ごめんなさい。
[そう小さく謝罪を述べて、お祈りという言葉には頷きます。
今その片目が変じたとして、これ程離れた位置なら分からないでしょう。
その姿が見えなくなった後、空のバケツを片手に、片付けるために動き出しました。]
ああ、言っとくが水死体なんざ見れたもんじゃねえぜ。
泉が腐っちまうだけさ。
[キャロルの呟きには肩を竦め、それだけを告げて動いた]
[チリン]
[薄く滲んだ指先のあかを舐め、暫く考え込む]
私もそろそろ戻りますわね。
きっと此処よりは、キッチンの方がお役に立てる気がいたしますの。
[城へ向かう途中、向こうから近付いてくる人影]
[それがシャーロットだと気付くと、男は足を止めた]
祈りにでもきたのか?
[尋ねるのは、そんな一言]
[そしてそっと続ける]
[ある程度の距離があれば、声は遠くは聞こえまい]
あの男にも言ったが、そこらへんのには伝わったぞ
後はどう出るかだな
――もしも見たら言いに来い
部屋に鍵はしないでおくぞ
[一言二言、カモフラージュに声を交わすか]
[それでも、告げる内容は、ある種の覚悟をもってしてのもの]
[城へと戻ったなら、食料を口にする]
[殺した手で生きる為に肉を割き、そうして夜の帳の下りる頃、部屋の中で*息を潜めるのだった*]
[水場に戻る途中、窓の外をふと見ます。
この眼にはやはり赤と、時折ちらちらと別の色が動くのしか分かりません。
それなりに利く耳も、流石にそれ程遠い音は拾えません。
故に、もうひとりの死をわたしが知るのは、もっと先になるのでしょう。
終焉がまた一つ、*近付いたことを。*]
[ふと視線を上げれば傷を晒した隻眼の男─クインジーの姿]
ええ、埋葬してるって聞いたから。
[返答は傍から聞いても違和感の無いものにし。続けられる言葉には頷きながら、他の話題も口にする]
…そう、ハーヴェイも。
襲われたと言うことは、彼も人だったと言うことね。
[部屋の場所もこそりと聞き、事情を聞いて居る素振りを見せながらその後は別れた]
キィィ―
[少し大きめの扉を開く。中は薄暗く、蝋燭の灯りのみ。
本棚がずらりと並んでいる。そこは書庫だった。]
………。
[この城に関する手がかりはないか、と探してみるも、
眼の届く範囲にあるのは一般書のみであった。
一般書とはいっても、おそらくは希少価値の
高いであろうシロモノであることは想像に容易。]
暇潰し。今日はここで読書に耽るのも悪くないでしょう。
[目についた"ALCHEMY"との表紙の本を手に取ると、
燭台の近くに座り、*読み始める*。]
[埋葬場所へと辿り着いた時は既に閑散としていただろうか。並ぶ土の盛り上がりの前に立ち、祈りを捧げる]
……鏡、見つけたわよ。
大きい鏡だけで、手鏡は見つからなかったけど。
[紡いだのはネリーに向けての言葉。先のラッセルの言葉を思い出し、報告するように語りかける。並ぶ埋められた遺体の前。少女の瞳は紅紫のままで、右目に夢幻の華は映し出されて居なかった]
[死体を運び踏みしだかれた華の葬列を逆に辿り、泉の畔の一角で血に濡れた窪みに屈み込む。引き裂いた獣の手がかりが無いかを薄曇とはいえ昼の光の中で探す。やがて用を終えて立ち上がり泉に目をやった]
どうせなら誰が殺ったかを映してくれりゃ良かったのよ。
[記憶と引き換えに余計なものを押し付けた終焉に文句を言って踵を返す。舌に血の味はまだ微かに残っていたが、それでも生きて足掻く為に食べることは何より*必要だった*]
[祈りが終わると再び城内へと戻る。戻ってまずすることは腹に物を入れることだった。今後に備えるためには食事は重要事項。簡単に料理を作り、綺麗に平らげる。流石に、肉料理を作ることは無かったが]
[食事を終えると片付け、一度部屋へと戻った。瞳を閉じ、念じる。滅紫へと変じ、夢幻の華を映し出す右目。そして、ケープに隠した物に手を伸ばし、その存在を*確かめた*]
[額に手を当てつつ、立ち上がり窓辺に寄る。
密やかな葬列に加わる者らが在った。
尤もそれは、当初とは様相を変えていたが。
高きから、去り行く――
彼方へと向かう、
或いは城に戻る姿を眺める]
……花も抗うのだっけ。
[*小さく、呟きが落ちた*]
[埋葬を終えて城内へと戻る頃には既に陽は傾いている。]
[ひんやりと冷たい城内の空気が、更に冷えたものに感じられる。]
さて。
どうしたものでしょうね。本当に。
私は誰を疑い誰を味方とすべきなのか。
[もっとも味方が居るかどうかは疑問だが、とこれは口に出さず]
[思案に耽りつつ、もはや定位置となった厨房へ]
忙しくしていれば気が紛れますからねえ……
いざとなれば武器もありますし。
[小さい呟きは、熾した天火の火の燃える音に紛れて消えた。]
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