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この状態はまるで…二年前の情景を映し出しているようね…
[燃え盛るつり橋を見て――少女は色も湛えずぽつりと呟く。]
全く…神様もいじわるな事を――
[虚ろ気な瞳は果たして過去を未来を、現実を見ているのか――解らないままで…]
そういえば…傷を追った方は…果たして大丈夫なのでしょうか…。
[現実を見つめる為の防衛策から零れ落ちた言葉なのか。
ふと思い出したかのように、昨日広間で横たわっていた青年の事を思い出したように、僅かに紅色を浮かべた唇を静かに動かすと、少女は靴音を鳴らし、ゆっくりと階下へと降りていった。]
――二階廊下→広間へ――
─広間─
[広間に入れば、ずっと眠っていた男性が起き上がっている姿が目に入る。
彼が額に手を当てる様子に、やや、首を傾げ]
えっと……大丈夫、ですか?
[そっと近づいて、声をかけて]
[ 入る間際に玄関口を見遣れば、黒んだ緋色が散っているのが目に入った。観音開きの扉をゆっくりと引けば、軋んだ音を立てて閉まる扉。外界の熱い空気は遮断され、館内は奇妙な静けさに包まれる。
ヘンリエッタの頬の汚れに気付けば、先に厨房へと向かい濡れたタオルで其れを拭い、序にボウルに氷水を入れて少女に預け、彼は奥に置かれていた薪を幾らか手にする。何方も言葉を発する事はなく沈黙の儘に作業は進められた。]
[向けられる感情にしばし、戸惑うも。
表情は、なるべく穏やかにしようと試みる。
それは、自身の内心を押し隠す意味もあるのだけど]
でも、話せるようになったなら、だいぶ、よくなってるのかな……?
[問いを投げられれば小さく首を横に振り]
ううん、それはボクじゃない……ナサさん、かな?
[入ってきたウェンディを振り返り、礼を返して。
首を傾げる男性へと向き直る]
うん、ナサニエルさん。
結構、長く付き添ってたみたいだし。
[怪我をした青年とそして運ばれてきたヘンリエッタの様子に、何か手助けを使用かと思ったが、青年にはメイが、そしてヘンリエッタにはハーヴェイが付いているのを見て――]
あんな事があった後に、部外者が手出しするのも…快く思わないわよね…
[過去の経験から、人との距離を取る術を自然と身に着けてしまった少女は、小さく唇を噛んだまま――]
[いまだ眠るローズを振り返る。
アーヴァインの死に酷く傷ついたであろう彼女の髪をそっと撫でる。
自分にはなんの力も無いけれど、せめて彼女だけは]
……俺が守る、から。
[ナイフを取り出し、それを抜く。
こうなった以上隠す理由もない。
鈍い輝きはそれでも傷つけるには充分すぎる力を持って]
出来れば、使いたくないんだけど、ね。
[そう呟いて、それを鞘に収めてベッドの脇に寄せた椅子に座る。
ローズを一人には出来なくて。
その寝顔を見守りながら、そのうちに自身もまた*眠りの中へと*]
……何だ、起きてたのか。
[ 小さく呟かれた言葉はメイに対しての物だろう。金髪の少女には会釈を返して、ヘンリエッタにはボウルを卓上に置く様に云えば、茫とした彼女は言葉の儘に従い、其の儘椅子の一つに腰を掛けた。目の前で道を絶たれた衝撃は余程強かったのだろう、焦点のぼやけた目で何処か遠くを見詰めているように見えた。]
其方も、目が覚めた様ですね。
[ メイの隣を通り抜け男の方へと寄れば、失礼、と落ちたタオルを拾い上げる。]
─自室─
[いつも通りの時刻に目を覚ます。
焦げ臭い臭いに気付き、嵌め殺しの窓から階下を見やる。
そこには、燃え落ちる瞬間の橋。]
……ふふ。
『始まった』ようですね。
あの時と同じ舞台じゃないですか。
主よ、これは少々悪戯がすぎるのではないですか?
[薄く笑む。動じた様子は全くない。]
これで、誰も逃げられなくなった。
この事態を引き起こした、人狼でさえも。
[『いつもと違う服』を着込み、デスクに置いてあった黒縁の丸眼鏡をかけ。声を殺し哂う。]
今回は人と人狼、どちらが勝つのでしょうね。
[どれだけの者が気付いているだろう。
嵌め殺しの窓の意味に。館を結ぶ吊り橋の意味に。
そして、この館の本来の『機能』に。]
さあ、ゲームスタートですよ。人狼さん。
せいぜい逃げ回りなさい。
私も容赦はしません。まだ死体になりたくありませんから。
[哄笑。ひとしきり笑った後、広間に向かう。]
─自室→広間─
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