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─広間─
……ミーネ?
[暖炉の傍に座り込む姿。
いつになく、疲れたように見える様子に僅かに眉を寄せ]
……ユエ。
[小さく猫の名を呼び、目で暖炉の方を示す。
猫は相変わらず物言いたげにじいいいいい、とこちらを見上げていたものの、やがて、渋々という感じで足元を離れ、ヘルミーネの方へと向かった]
―広間―
あ、あたしも料理作るときとか、お酒注ぐときとか、おまじないするよー。
『おいしくなーれ、おいしくなーれ』
って、胸の中でお祈りするの。
[オトフリートとイレーネの会話にはそうやって割り込む]
―広間―
後で頂くよ。
[ローザに片手を上げながら、そう答える。
視線は再び暖炉の火へ。
ユリアンの水浴び発言には何も言わない、というか自分もやってたので言えなかった]
朱。
[燃える火を見つめて、呟く。
途端熱を持ったような痣に眉を顰め、そっと手で押さえた]
[食べれるならばという言葉には少なく首を横に振るのみで答え]
はぁ仕方ないだろ…エルザ運んだときに血がついちまったんだから
血まみれでうろついても構わない…はずないだろ?
会う度に叫び声と気絶をワンセットでお届けするやつもいるわけだし
[イレーネの視線やローザの言葉に肩を竦め答える]
あぁ、商売品です?
[小さいサイズという言葉に、なんとなく納得したような声音になる。
流石に子供用とかは考えてないようだ]
ここに来るまでもけっこうありましたから、服は替えがあるんです。
――…?
[気にしない様子に、ちょっと指先で触れてみて]
これ、どうしたんですか?
[こういうのは見るのが初めてなようで、首を傾げた]
─広間─
[割り込むよに聞こえたローザの言葉。はた、と何かに思い当たる]
……あ。
もしかして、前にオトさんが言った、”気持ち”?
[紅茶のカップから視線を上げて、ローザとオトフリートを交互に見やる]
─広間─
ええ。
……前にもちょっと、言ったかな。気持ちの問題、っていうの。
あれも、同じですよ。
[カップに視線を落とすイレーネに、こう言って。
ローザの言葉に、そちらを振り返る]
ああ、なるほど。
それもあって、あれだけいい味が出るんですねぇ。
[返す言葉はのんびりとしたもの]
ま、これが一番今は楽ですから。
[たれたれもおふざけではないというようにヘルミーナに答え]
ヘル姉は疲れてるみたいだけど…大丈夫?
[続く朱という独り言には聞こえなかかったように表情は変えることなく振舞った]
―広間―
[イレーネには礼を言い、紅茶を左手で受け取った。
脇腹から手を離して、カップを両手で包む]
ん。
…嗚呼、ユエ。
[昔馴染の声に振り向き、直後その目は猫を見る。
撫でようと伸ばす手は、まだ大分冷たい]
─広間─
……それは、そうだけども。
沸かすぐらいはすれば良いのに。
ユリさんが風邪引いちゃう。
[血まみれでうろつく、との言葉には軽く眉根を寄せたが、そう続けて。でもユリアンなら風邪も引かなそう、と思ったのは口にしないでおいた]
でも、
[ハインリヒの返答は、聞いているのかいないのか。
彼の声が途切れたのちに唇が動く]
たとえ、村の人が、そうだとしたって。
僕は――……………
[促しに従うよう、少年の体が、一歩下がった。
しかし、そこからなかなか、動こうとはしない]
村の長たる者は、為すべきことを、為さなければならない。
[ひどく、冷えた声。
桶を持つ手が、持ち上がった]
[エルザの名が出れば、指先は微かに震えたか。
軽く目を閉じてから]
…まァ、な。
ちょっと、夢見が悪くて…
[呟きが聞こえていたとは知らずに、相変わらず垂れ続けるユリアンに振り向く。
原因は夢では無かったけれど、そう言って誤魔化した]
ああ、それな。忘れてた
正確にはそんな考え浮かぶような余地がなかった感じだな
[沸かすという言葉にはきぱっといった
イレーネに内心どう思われてるかについてはしらないまま]
今から温まればなんとかなるって。
[ぎょっとしてるオトフリートには気づかずに大丈夫大丈夫というように手をひらひらさせた。]
[イレーネの視線とオトフリートの反応に、にっこりと笑顔で]
ふふふふー。
料理は愛情、お酒は真心。すべてに共通するのは笑顔…ってーのが母さんから教わった基礎だから。
笑顔と愛情と真心が篭った料理は、多少失敗してもそれなりに美味しくなるんだよー?
[つまり、失敗した場合はすべて笑顔で誤魔化してきた、ということだ]
………うん、でも水浴びはやりすぎでしょー。
風邪引くよ、いくらユリちゃんでも。
─広間─
[言うに僅かに先んじて、イレーネが気づいた様子にほんの少し、笑む。
部屋の暖かさと紅茶の温かさに、大分、気が静まっていた。
だからと言って、抱える悩みが薄れるわけではなかったが]
[一方、猫は伸ばされる手を避けようとはせず。
案ずるように、自分からすり寄る仕種をしつつ、なぁ、と短く鳴いた]
─広間─
[オトフリートの説明と、ローザの説明を真摯に聞いて。途中ローザの持論は極端だと思わないでもなかったが、一応の納得はした]
……はぁ、ユリさんらしいというか。
[沸かすという選択肢を忘れてた、と言うユリアンには、馬鹿だ、と思ったとか。尤も、考える余地が無かったと言う理由は納得出来たため、口にすることは無かったが]
そりゃぁ…こんなときだし、仕方ないね
休んだほうがいいと思ったらそうするんだよ
[振り向くヘルミーナの様子を垂れながらもどこか注意深く見つめて]
というかヘル姉も冷たくない?
[なんとなく自分の発する空気と同じで冷たい気がして聞いてみた]
―台所―
[どうにか水を飲んで喉を潤すと、今度は腹が減ってきた。そういえば今日は何も口にしていない。
菓子やらはあらかた広間に運ばれているようで、台所に目ぼしい物はないように見えた。単に探し下手なだけかもしれないが。]
…向こう行くか。
[結局広間へと顔を出す事になり。
先にそこで各々談笑していた者らへ、軽く手をあげ挨拶する。ただヘルミーネに気づくと、あからさまに視線を外して合わせようとはしなかった。]
―→広間―
そういうこと。今じゃ、商売もなにもないけどな。
[ウェンデルの言葉に頷いてからそう言い]
そうか、長旅だったんだな。でも用意がいいのはいい事だ。
[指先で右肩の後ろ、ちょうど刻印のあるあたりに触れられて]
ああ、これか…。
[少し言葉に詰まってから]
奴隷だった証、俺が小さいときにいた地方でのな。
今じゃ法的に解放された身だけどな。
[そう答えてから]
さっ、風邪引く前に着替えてさっさと広間行こうぜ。
色々精一杯だったんだからそれはいいっこなしってことで
まあそのときはそのときで考えるよ
[ローザの言葉になるようになれとさえ聞こえる言葉はむしろオトフリートの不信感を知らぬ間に増やしてるかもしれない]
…ぁあ…後な、エルザだが、勝手に埋葬した
[と、広間の面々に説明し、場所と突きたてた木の棒にバンダナを巻きつけているという目印も加えて説明する]
ダービーちゃん、おはよ。
パンとかドーナツとかあるけど、食べる?
[自分は食欲がないから薄焼きクッキー数枚しか食べてないが、ダーヴィッドならきっといつもどおりに食べるのだろう、と勝手に思ってる]
―勝手口から外―
…っと…フォルカーっ!
[振り下ろされた桶に腕に抱えた薪の束をぶつけて力を削ぐ。
乾いた音がして、薪はバラバラと雪の上に落ちていった]
おい、どういうつもりだ。
余所者なら何してもいいとでも思ってるのか。
[フォルカーの頭を押さえて険しい表情を向ける]
まあ、そうなんだろうな。
[いいから、行け、と、頭を押さえていた手を離し、フォルカーの背を押した。
その力には、有無を言わせぬものがあっただろう]
ったく、余所者余所者って…
[短くなった煙草を雪の中へ落とし、フォルカーが動くまでは動かぬつもり]
─広間─
[ダーヴィッドがやって来ると、挨拶の後に自然視線がヘルミーネへと向く。言葉は何も発さなかったが。ダーヴィッドへと視線を戻すと、ヘルミーネを見ないようにしていた。それにより例の話が事実であることを悟る]
ダーヴさんも紅茶飲む?
……と、あの二人が戻って来るとちょっとカップ足りないな。
取って来る。
[広間に居るものに声をかけると、椅子から立ち上がり。ユリアンの、エリザベートを埋葬した話を聞いてから台所へと向かった]
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