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[イレーネと言ったか、灰色の髪の少女に答えながら、ベアトリーチェから目を離せない]
夢?言葉通りの意味よ。
あたしは病院で倒れた後、目を覚ましたらここにいたの。…あなたときっと一緒ね。
もっとも、あなたは死にかけたわけではないのだろうけど…。
[イレーネの質問に答えて]
…いや皆っていうか、俺誰がどんだけここに居るのかまだわかってないから何とも言えないけど。今の所町の奴が多いな。
[フォークに刺した物を口に押し込んで、ゆっくり咀嚼し、飲み込む。
笑顔。まだまだ食べる気だし、それも叶うことと知って少しゆとりを取り戻したユリアンは同じく席につく女性に今更のように目を見張る。
パンをスープに浸すという、みみっちくも感じる動作もどことなく優雅]
驚いた…あんた、歌姫エルザだったのか?
覚えがあるよ、そういう…セーターじゃあ無かったけどさ。
ポスターの中のあんたは、そういう夕陽みたいな、薄紅色のドレス着て歌ってた。まさか実物が目の前に…!
[口の端にチリソースを付けたまま、嬉しそうに瞳が輝く]
[オトフリートから水を受け取って、こくりと頷く]
そうね。あんまり無茶がきく身体じゃないもの。
[オトフリートの横顔を盗み見る。やはり、翠の瞳。眼鏡はあたかも、その色を隠すようにも見える…気のせいだろうか]
そうね、材料が良いですから。
きっと教会で食べるより美味しいですよ。
[くすくすと笑って、急いでの食事の言葉に]
そんなに急がなくても食事はなくなりませんよ。
ええ、あなたは好きですものね。sweet。
[ユリアンに言うと]
それでは、取ってきます。
少しお待ちくださいな。
―out the salle and go to kitchen―
[エルザの驚きには、内心今更だと思った。
彼はこの作られた空間の異様さが、御伽噺や語り草だけで説明できない事を既に解っていたから――が、それを別に声高に言うつもりも無い。
エルザがこれから如何するかを、食事の手は滞りなく動かしつつも注意深く見守る。]
[素直に水を受け取るエルザには微笑を返す。]
[シスターの方を向いて、少し親しみが混じった声で]
あ、やっぱり。
ありがとう。お客さん、だったのね。
・・・あたし覚えてるかもしれないわシスター。子供たちが、ランプを欲しがってた。
あたしもプディング貰っていいかな。
[なにやら少女を見て驚いている様子のエルザを少し不思議そうに見て]
あなた死にかけたの・・・?
[首を傾げた。
倒れたあと目を覚ましてということは、かなり最近ということだろう。大丈夫なのだろうか]
[冷たい箱の中からpuddingを取り出す。
13をあわせ持って、...は広間に戻る]
お待たせいたしました。
…ユリアンさんに食べさせすぎないように、お好きならどうぞ遠慮なさらず食べて下さいね?
[wicked smile,いたずらっぽく笑う]
[ユリアンに歌姫と言われ、一瞬哀しみの色がよぎる]
…覚えてくれている人も、まだいるのね。
[静かに微笑む。忘れ去られていないのは、やはり、嬉しい]
[デザートを持って戻ってきたシスターの方をちらりと見。
それから、ユリアンに視線を向けて]
……俺、甘いの苦手だから。
ユリアン、食いたきゃ俺の分も食っていいぞ。
[素っ気無い口調で告げる]
[赤くなるイレーネにも笑みを。]
知り合いが多く集う事には…今更ながら作為的なものを感じますが――
[やや不安にさせる言葉を言うも、さらりと流して]
ええ。美味しいですね。
一つの物ばかり食べるのはいけませんが――
この美味しさではあなたを止める事も出来ません。
[嗜める様に言いつつ、やや肩をすくめて冗談めかす。]
ええ、もちろん。
どうぞお食べくださいな。
[イレーネに頷いて、差し出す。]
あなたのlampはとても綺麗でしたから、子供たちが好きになるのもとてもよくわかります。
教会に今でも飾ってあるんですよ。
また今度、いつか、買わせていただこうと思っていました。
[イレーネに頷いて、明るい口調で、シニカルな事を言う]
今もたぶん、死にかけだわ。
昨日今日は不思議なくらい元気なんだけどね。これだけ元気なら歌だって歌えそうよ。
[答えてもらえるまで僅かに一瞬だけ間があったが、食事に夢中でもあるユリアンは当然気付かない。
親しげに言葉を返してくれたオトフリートの言葉が耳に届くと、隠そうともせず顔を顰める]
止してくれ食事中に親方の話なんか。飯が不味くなる。
元気過ぎで困ってるよ。
次に会ってくたばってたら、俺は神に奇跡を感謝するね。
[眠っている方がいるから静かにとの彼の声は、どうやら時既に遅し]
イレーネ…ランプ屋のイレーネ?へぇ…
[自己紹介にぴくりと顔を上げて]
俺知ってるよ、あんたんとこのランプ凄いんだってね。
シスターの所の子達がやたらに欲しがってるの見たことある。
そんなに言うなら、一度見たいと思ってたんだ。
ふぅん、そのトマトときのこの美味い?
[イレーネがあまりにそればかり食べて飽きる様子もなく美味しいというので、どれどれと自分もフォークを向かわせる]
うたひめ・・・。
[知らなかった。歌は、知っているのだろうか。
片眼鏡の男性の言葉に]
そうね、作為・・・魔法よね、これは。誰かの・・・。
なんのためなのかな。
ええ、止まらないの。なんか。
[冗談めかした口調には、僅かに口の端を動かす。僅かに。
そしてまたフォークを口に運んだ]
[プディングを差し出すナターリエに]
では私も頂きます。
ユリアンを太らせては親方が怖いですし――貴女の料理を逃してしまうのはもっと怖い事だ。
[笑いながら一つ貰う。]
貴女の教えてくれたグリューワイン、今でも好物なのですよ。
私も商売などやらずに教会に住まわしていただいた方が良かったかもしれませんね?
[おかしな部屋だ。
外が暗くなって大分たつというのに、
部屋の温度は一定で変わる気配がない。
彼はその部屋の大きな机に見合わない粗末なノートに、
ちびた鉛筆を走らせている。
備え付けられた高価なインクやペンを
好奇心にかられ試してみたが、
どうにも使い勝手が悪かった。
所詮僕には分不相応というやつですかねえ、
毒づいて、また鉛筆を走らせる。
一切の介入の入らないこの場所は、
とても居心地がよかった。仕事もはかどった。
尤も、この状況で仕事など、
現実逃避以外の何者でもない。
ふう、と息をついて、朝のやり取りを思い出す。]
[聞くともなしに聞いていた、オトフリートの不安を煽るような言葉に、僅かに瞳が険しさを帯びたか。
それでも、それはすぐに掻き消えて。
小さく笑うシスターに、軽く視線を向ける]
生憎、甘いものとは縁遠い暮らしが長いんでね。
[縁遠いという、その言葉に嘘はない。
下街で細々と暮らす母一人子一人の環境で、甘い物は希少だったから。
勿論、そんな言葉は口にする事なく。
コーヒーを勧められれば、一つ、頷いて]
……もらう。
階下で聞いたのは頭のおかしい老人のそれ、
と片付けたくなるようなおとぎばなし。
そう、まるで青い髪の歌姫の歌った歌の再現。
笑って済ませるはずだった。
あのめまいを、この部屋に移動するまでの過程を
体感していなかったならば。]
神様神様…
[ああこんな話を、
どこかの女流作家が書いていたな、と思い出して、
ぶるりと震える。
[ああこんな話を、
どこかの女流作家が書いていたな、と思い出して、
ぶるりと震える。
無人島に閉じ込められた男女。
彼らを迎えた部屋にかかっていた歌は、
男女の人数分と同じ数のインディアンの少年たちが、
無残な死を遂げる有様を描いた歌だった。
そして彼らは、その通りに殺されていったのだ。]
十人のインディアンの少年が食事に出かけた
一人がのどを詰まらせて、九人になった――
いやーな歌です、まったくね。
[...はつぶやいて、バリケードを片付けだした。
相も変らぬへっぴり腰。体力が欲しい。]
[プディングをくれたシスターに小さくお礼を言って。そしてもう一度、お礼を言う。]
ありがとう。あのランプは、色が気に入ってるの。確か新しい塗料を発見したばかりだったと思うから。
子供たちに、よろしくね。
[エルザの言葉に]
今も死にかけ・・・。それって大変だわ。
[周りからは、この口調は少し棒読みに聞こえてしまうのだろうか]
[...は、階下にのんびりと姿を現して一同を見渡し]
こんばんは、いい晩…とはいえませんねえ。
でも、いい月です。
おや、いいにおいがしますね。
僕にももらえないでしょうか。
あ。ありがとうございます。
[コップを近くに置かれれば、礼を言って口の中を湿す]
[豪快に食べるユリアンを見れば、ほんの僅か溜息をつくか]
[それでも再び食事を再開したが]
…イレーネ?
『宵闇の天蓋』の作者…?
[それは侯爵家の居間に飾られている美しいランプの名だった。
芸術品としても一級で、彼もまたそのランプが好きだった]
ありがとう。
[まだぼんやりとした目でコップを受け取り、両手でこくこくと飲む。
勢いよく飲んだからか、口の端からこぼれて一筋、顎へと流れて滴った。]
おいしい。
[ほっとしたような笑み]
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