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―廃墟・その一角―
…さぁて、どうすっかなぁ。
[廃屋から出て暫くうろついて、もちろん不意打ちを受けぬように警戒などしながら。
ふとカードを眺めれば、既に何枚かのカードがその主を変えていた]
っと、こりゃのんびりもしちゃいられないかぁ?
[とは言いながらもやはり急いている様子はない。
うろうろしているうちに物陰に一つの影を見つけて立ち止まる]
んー?
ま、いいか、あまりのんびりしてて他のやつに持ってかれても困るしな。
[そう一人呟くと、その影に向かって静かに駆けていく]
[駆け寄って、ある程度間合いを詰めたところで空気の刃を一つ放つ。
それは目的の人物を掠めてその向こうの壁に小さな傷を作った]
はぁい、お嬢さん。俺と遊ばないかぁ?
[刃が掠めたことでこちらに気付いた影が、男を見て身構えるのにへらりと笑みを浮かべて、そんな場違いな言葉を掛ける]
『…風刃』
おー、俺の事知ってたのか。
光栄だね、そりゃ。
[目の前の女が通り名を呟くのににやりと笑って、じり、と一歩歩を進める]
それじゃ、ますます丁重にお相手しねぇとなぁ。
[笑う。それは獲物を見つけた獣の笑み]
[女が剣を抜き放つのを見て口笛を吹く]
また随分無粋じゃねぇ?
ま…こんなところで二人っきりなら…やるこたぁ決まってるよなぁ?
[口角を上げて。値踏みをするような視線を這わせて。
男が踏み出そうとするのを見るや、女が斬りかかってくる。
その間際、手首を返した男の手の内には漆黒のロッド]
…「いい声」聞かせてくれよ…なぁ!
[斬りかかる剣をロッドで跳ね除け、そのまま先端で相手の鳩尾を突く。
僅かに呻き声は上がるが完全には入らなかったようで、女はそのまま数歩下がって剣を構え直した]
おやおや、意外と身持ちが堅いこって。
そんじゃ、こっちから行かせて貰おうかねぇ…っと!
[言い放って、男は踏み込んでロッドを振り上げる]
[振り上げられたロッドを見た女は、それを受けようと剣を構えて]
[だが]
[女の手前で振り下ろされたそれから刃を一つ飛ばして、そのままロッドを地に突き立てると、それを軸にして体を浮かせて蹴りを放つ]
『な…っ!』
[最初の刃を避けた女は、次の行動には対応が遅れて、蹴りの直撃を受けた体は大きく飛んで壁に当たって落ちた]
ん、いい声。
[女の上げた呻き声に心底楽しそうに笑いを零し]
状況判断ってやつが甘いなぁ。
想像力が足りな…っとぉ!
[歩み寄ろうとした男に剣が突き立てられる。辛うじてそれを避けたが脇腹に僅かに赤が滲んだ]
まだ動けたとは、あんたもしぶといねぇ。
でも、あんまり時間掛けてる場合じゃなさそうだし…
名残惜しいけど終わりにしようかねぇ?
[ロッドを構え、軽く旋回させる。無数の小さな空気の刃が現れる]
…喰らいな!!
[そう言ってロッドを振り上げると、それは一斉に女へと降りかかりその体を切り刻む。
浅く浅く、傷は残しても決して致命傷にはならない、それ。幾つかは動けぬように要となる場を傷つけてもいたけれど。
もっとも数が数だけに痛みと出血はかなりのものかもしれないが]
…顔に傷をつけなかっただけでもありがたいと思ってくれよなぁ?
[崩れ落ちて呻いて、それでも睨むような目を向けてくる女に、男はそう言って肩を竦めた]
さぁて、っと…それじゃ、頂くもん頂いちまおうかねぇ。
[にやりと笑って、もはや動くことま儘ならぬ女の元に近づいて。
女は怯えたような目をして逃れようと身を捩る]
んー、いい顔してるねぇ。
でもな、俺はあんたの体にも、ついでに命にも興味ねぇんだわ。
殺しちまったらその「いい顔」がみらんねぇし。
俺が今興味あんのは…なぁ…。
[男は女の体に視線を這わせ、衣服の隙間から覗くそれを目に留めて、手を伸ばしてそれを女から奪い取る]
……『ワールド』か。
お前さんには過ぎたカードだったみてぇだなぁ?
え、『斬り姫』さん?
[最後の最後に女の名を口にして]
[手に入れた『ワールド』のカードを暫し眺めたあと懐にしまって]
まずは一枚、っと。
さて、次はどうなるのかねぇ?
[それはもう楽しそうに][笑って]
[男は女を振り返ることなくその場を*立ち去った*]
[そしてまあ、何がどうしたのか。あれこれなそれこれで――つまり]
廃墟でバーベキューもおつなものですねぇ
[言葉通りのことがおきてました。
まあ小規模に、さほど大きくもない七輪を使ってイカをやいたり。魚介を焼いたり。じゅーじゅー]
腹が減ってはなんとやらですもんねぇ
[昨日喋った男との会話を思い出しつつ呟く。]
─森の中─
……ふーん。
結構、動いてるんだなぁ。
[森の中を歩きつつ、小さく呟く]
に、しても。
いきなり験の悪いのに会っちゃったよねぇ……冷たいったら。
[水飛沫を掻い潜りながらの戦闘の後、という事もあり。
服や髪には濡れた後が残っていたり]
後で、街の方もう一回見て回ってみよ。
シャワーだけでも、使えたら嬉しいし。
[はあ、と零れ落ちるのは、小さなため息]
―森―
…あぁ、はじまりか。
誰にも会えないままより、全体を見れなかったのが問題だな。
[少なからず、この森の中に居る限りには、無数の武具があるに等しいが。
気配にそう悟くなくとも、回りの木々が教えてくれることもある。
道なりに歩めば川へと辿り着き、足を止めた]
――…。
[樹木に身を寄せ、対岸から紅のドレスを隠す。
紫紺の眼差しは、此処で初めて人影を見た。
そうして、隠れたこちらに、はっきりと相手の視点が向いたことをも]
[そこに一つ現る気配に目を向ける。そこにいたのは、このディエルフィールドを構築した。女性]
おや…あなたは〜『御霊狩りの星詠み』さん?
ご機嫌はいかがですかね〜?
ああ、私は今は相手しませんよ〜。次のときが来るまでは、ね
ところで…匂いにつられてやってきたのでしょうか〜
[矢継ぎ早に挨拶。やっぱり遠慮がない上最後のほうは失礼でもある]
[ざわ、と川の水が盛り上がり、矢の形を成して宙に浮いた。
弓なきそれは、一直線に飛び、隠れた樹木を打ち貫く。
隣の樹木へ駆け、樹木ごと貫かれるのを防ぐと、一度その樹木を掌で撫でる]
…なるほど、実戦とは、こんな感じか。
[口元に笑みをのぼらせ、荊鞭を左手に生み出す。
的になるように木々から一歩踏み出し、相手が生み出す矢を荊鞭で弾いていく]
…届きませんわね。
[眉根を寄せ呟く声は確実に届かない、そんな距離。
荊鞭も、また届かない。
幾度矢を弾いても、眼前にある川から無限の矢が再生されるのは理解していた。
多少なり片口や腕に傷を追い、それでもあえて身を晒したのは――…]
…ん。
[相手の背後を確実につく為に]
[先程撫でた樹木の根が川向こうまで土を裂き、伸びて。
水の矢を用いる相手を地中から這い出で立た枝が隙間なく包み込む。
ただし、カードを入れてあった相手の鞄だけは、枝の牢屋から弾いた。
枝の牢屋を打ち破るために新たに生み出される水の刃を、荊鞭で阻害し。
川の上に、蓮の葉を生みだし向こう岸へ渡る]
素人だと、油断して下さってありがとうございますわ。
他の方々に手の内を悟られないための一辺倒なやり方なのでしょうけれど。
『恋人』のカードは、既に私の手の内に…。
[諦めるよう告げようとしたところで、戦意喪失の気配もなく、生み出される数多の水の矢。
溜め息混じりに枝を撫で、その内側の枝を増やした。
悲鳴が聞こえるとともに、矢はただの水に戻り、川へと落ちていく]
─回想・湖近くの森 枝の上─
[戦う気配に誘われ森の中から移動し。見通しの利く場所でその終わりを見やる]
ありゃりゃ、もうちょい早う来れちょったらのぅ。
[見ることが出来たのは、エリカが使役者を倒しカードを奪うところのみ。戦いぶりを見れたのは最後のほんの少しだけだった]
翼に、念動力。
前者はあん時ん子のを受け継いどったりするんかのぅ。
いやぁ、ほんに見てて楽しゅうて懐かしい。
[もう何年前になるかも分からなくなった記憶を掘り起こし、それを思い出しながら枝の上で小さな笑いを漏らす。立ち去ろうとするエリカには聞こえたか否か]
お相手はんは……ああ、あの財団の。
あ奴ん孫が連中の手に負えるはずがなか。
力量見誤もうとるのぅ。
おまんらの手に負えるんやったら、ワシらがとうに捕まえとる。
[かつての『遊戯』の時に『始祖』である青年を。倒れ伏す使役者を見て、男は鼻で笑うのだった]
─回想・了─
とりあえず…焼きましょう。マシュマロもありますよ
[あまりの光景に予想外すぎたのか。毒気を抜かれたのか。七輪を囲む二人
ただどこから出したのかだけ聞かれて]
それは秘密ですねぇ〜。手品の種がわかったらつまらないでしょう?
[既に手品というものなのか。
なんにせよ傍目に見られたら何をしてるのだろうと思われることでしょうが、食事です]
─森の中─
んー、そう言えば。
[宛てもなくふらふらり、と歩きつつ、ふと思い返す。
『エンプレス』獲得後、微かに聞こえたような気がした笑い声]
あれ、狐のおにーさん、かな。
……聞いときたい事、あるんだよなぁ。
[『新種』の『始祖』である事以外は知らぬ、祖父の事。
以前、リディアに言ったとおり、知ったから、会ったからどう、というわけではないのだが。
何となく、意識の隅に引っかかっているのも確かで]
……ま、その時は、色々と覚悟決めて……って。
おっと。
[不意に、歩みが止まる。止まったのは、川岸に人の気配を感じたから]
……誰か、やりあったあと……かな?
[そして呆れるような光景の食事光景を終えて]
では、また〜…クローディアさん
[帽子を手に取り、礼をして、屋上より飛び降り、あわや地面に衝突という手前でふわりと落ちる勢いが止まり、そのまま宙返りして着地し森方面へと歩きだした]
…こんな感じ、か。
[水の矢で裂かれたドレスの生地に、生み出した花を宛がう。
薬草がわりの力と、飾りとしての機能と一挙両得。
自分を含めた幾人かが二枚目なカードを得たことをカードから確認し。
恋愛と太陽、それぞれのカードをドレスの裾に仕舞う。
ふと、木々のざわめきに紫紺の瞳を上げた]
白の鳥…?
[不思議そうに呟くと、周囲を見回す]
─現在・未だ動かず枝の上─
[二枚に増えたカードを取り出し、じいいいと見る]
……ほー、結構カードの移動が起きとるんなぁ。
まずは半分、篩んかけられるじゃろか。
[カードを見ていると言うよりは情報を読み取っていると言うのが正しかった。肩の小猿も真似してじいいいっと見ていたり]
ま、そげなことよか、も一つ考えんとのぅ。
[ぴらぴら、とカードを揺らしてから懐へと直し。ようやく湖傍の樹の枝から移動を開始した]
[問いに答える声に、一つ瞬く]
……んー。
ま、何とかなるか。
[右腕の銀の蔦を確かめてから小さく呟き、声の方へと向かう。
翼は未だ、開いたままに]
んーと?
色んなイミで、はじめまして……かな?
[樹木に触れる、ドレス姿の女性に向け、最初に向けたのはこんな言葉]
―廃墟街―
張り切ってるなあ皆。
[『吊られた男』のカードを口元に伏せ、溜息をひとつ。
カードの数枚は既に所持者を変えている]
俺も人のこと言えないけどさ。
[ケープの裏には『皇帝』のカード。
同じポケットに『吊られた男』を収めて]
とりあえず今はこれだけ、かな。
まだ見れてないトコ多いし歩こうっと。
[両手を組み頭上へ、思い切り伸びながら歩みを進める]
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