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[やがて、傍らの木箱から、紙風船のいくつかを取り出すと、ひとつ、ふたつと吐息を吹き込み、てん、てん、てん、と、弄ぶ]
[歌は無くとも鈴の音に、ふわりふわりと、五色の玉の浮いては躍る]
[―戻り着いた館にて、紫苑はそろそろ目覚めたかと、一直線に向かわれば、五色の玉が空を舞う。
―暫し見蕩れてしもうたか、はっと気付いて頭を下げる]
―お早う、烏。
[りぃん]
[かすかな音をきくか]
[館の中をうろうろと]
[あちらこちら]
[探検して]
[童子らに見付かれば]
[あわてて逃げゆく森の中]
〔きぃ――
軋む戸は閉まり切らず透き間風ぞ入り込む。
りぃん――
澄みたる鈴の音は遠くまで響き誰そ呼ばわる。
天狗の住まひし隠れ里は、
此の世にて此の世に非ず、
此岸にありて彼岸にあり。
訪れし者ら依りて作らると、
己等の記憶から成るものと、
仰せしは月白の神巫でありしか。
古き家の内には埃も積りて居らず、
今迄人の住みたるやうにも見えゆ。〕
そういえば
[館の中を回ったというのに]
[一人の姿がそこにはあらず]
[どこかへ出かけているのかと]
[白い花の方へ]
[考えこむから見えないのか]
[寧ろ見ていないのか]
[そのそばにいる人の姿]
[白の衣の袖翻し、白の花咲くの野を歩みゆく。
やがて白しか見えなくなれば、歩みを止めて空仰ぐ。]
揺藍殿は、いかれたのみや。
…なれば、怖くはなかろうか。
いきはよいよい、かえりはこわい…
[青を見上げて目を細めれば、小さな足音聞こえやる。]
〔細き指は壁をなぞり、
しゃがみて床に触れる。
水底を探るかのやうに、
記憶を辿るかのやうに。
……りぃん、りぃん……
起こさむと鳴る鈴の音に、
伏せし睫毛は震えを抱く。〕
[きょろ、きょろと見回して]
[はたと気付くその姿]
えいかねえさま
鈴の音、きこえるん!
きれいねぇ!
[にこにこと]
[興奮のままか]
[かけよって]
…やれ、そなたか。
[駆け寄る姿に琥珀細むるは、なにが眩しき故であろうか。]
ああ、美しい音じゃ。
何処へか招いておるや否や…。
[目を伏せて、耳澄ます。
も一度鳴れば、そのままに歩み出そうか。]
[きれいな目は細まって]
[不思議そうな顔になる]
[ものの]
[次いだ言葉にこくこくうなずき]
どこで鳴っておるんじゃろう?
神巫さまはどこぞ行かれたんじゃろ?
誰が鳴らしておるのかな
きれいな人じゃと思うけんど
[とことこ]
[後をおうように歩く]
[すこしずつ音は近付くか]
〔はてさて物思ふて居たからか、
手にする巾着地へと滑り落ち、
――りいぃぃぃん……
転がる鈴はいと高き音鳴らす、
其はまるで人の子がなくやうに。〕
[問う言葉に伏せし瞼を上げ、雛のごとく後ろ追う童を振り返り、]
…ああ、そなた眠っておったかえ。
天狗の神巫殿は、先日の夜にゆかれたのじゃ。
[きれいな人との言の葉には、琥珀きょとりと見つめやる。]
誰そかも姿もゆけばわかるであろが…なにゆえに美しきと?
[歩みは童に合わせるように、やや遅くなるだろか。
言の葉交わす間にも、鈴の音少しづつ近づいて。]
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