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動ければいいと言うものじゃないでしょうが。
[俺じゃあるまいし、と、自慢ならない比較をしつつ]
ヴィンター、頼む。
[声をかけるのは、魔法に通じる白梟。
治癒の術に関しては、こちらの方が秀でているから。
……当の白梟に言わせれば、「相方が無頓着すぎるから覚えた」という事になるのだろうが。
白い翼が大きく広げられ、治癒の波動を織り成して。
それは、掌の赤を柔らかくかき消してゆく]
いやいや、といいつつ何かしてくれていたんだろう?
俺こそこんな事にしてしまって申し訳ない。
[屋敷を前足で指しつつ頭を掻くさまは、少し滑稽でもあるかもしれない。
手当てを、の言葉に「リディがいれば治してくれる」と呟いて目を流すが、見つからず。
と、白梟が癒すのを目を丸くしてみた。
ほっと息をつきつつお茶はカップかそれともボウルかどっちかな、とか思っていたとか]
[時の竜が帰って来たを感じたか、見上げる彼の仔に私は行くか待つかを問う。
短く返ってきた答えは、行くというもの]
そう、なれば行きましょうか。
彼の御方は、しばしこちらにてお休みいただきましょう。
下は…壊れていますゆえ。
[獣の姿を完全に解き、ソファーに眠る赤毛の青年へ薄い毛布を掛けて。
私は衣の裾を引きつつ、彼の仔と共に部屋を出た]
[どれほどの間そうしていたのか。ひとつ深呼吸をすると、]
……とりあえず。確かめないと。
[そう呟くと、樹から下りようとして]
…………。
[カメラに羽が生えた、トンボのような小型ドロイドと目が合う。
ジーッとカメラの駆動音をさせているそれを、パンッととりあえず撃ち落として、樹の下を見やると]
……ぼーっとしすぎたか。
[そこには数体の中型ドロイド。]
「私は、相方の頼みを聞いていたのみでしたので。
大事に至らなかったのは、マテウス殿の功労ですよ?」
[治癒を終えた白梟は、決まり悪げなマテウスにこんな言葉をかけ]
それにしても、あちこちでドロイドが暴走しているようで……。
[ため息をつきつつ、頭を掻けば、手当てを終えた青年はふらりと歩き出し]
って、ちょっとちょっと!
こんな時に単独行動しないーっ!
[慌てて引き止めようとするも、その瞬間にまた呪印が痛み]
……っつ……。
[その痛みに動きを止める間に、青の青年は何処かへと]
< 猫の顔は少し落ち着きました。血のにおいが落ち着いたからでしょうか。
時空の竜の大声に、ちょっとまつげは震えました。
もうすぐ目が覚めるのかしら。
ただ、今は、まだ……もう少し、やすまないと、動くのがつらそうです。 >
― →広間―
[彼の竜の場所がわかっているのか、金の髪の少年は迷う事なく広間へと飛び込んで。
私は逸る彼の仔に少し後れて、広間へと入る]
セレス、足元に気をつけて…。
[言った時にはもう彼の竜の側か]
って、オトフリート?!
大丈夫か?
[珍しく痛そうに顔を歪ませる竜に、思わず扉の外から腕だけを伸ばす。
ふらりと歩いて行くアーベルは気になったが、それよりまさに今痛そうな彼に]
いや、十分大事だと思うんだ、この状況…
な、オトフリートにも癒し、してやれないのかな?
[体が入らないので駆け寄れないまま、腕だけ伸ばしてオトフリートがフラつくならばつかまれるようにしつつ、
白梟へ顔を向けて長い鼻ッ面から言葉を紡ぐ。]
[青の青年と擦れ違い、上がる声に止めるべきか否か悩むも]
…オト殿…!
[何やら辛そうな様子に、柳眉を寄せて近づこうか。
素足が破片を踏まぬよう避けながら故に、直にとは言いがたいが]
……あはは、大丈夫、大丈夫。
古傷が痛んだ程度だから。
[案ずるような声を上げるマテウスに、痛みを抑えつつこう返す]
「いえ、屋敷は直せます故。
相方のこれは……」
[白梟は白梟で、相方と同じような返事の後、困ったように翼を羽ばたかせる。
……そこに折りよく駆け込んできた従魔の姿に。
あちゃ、と短い声が上がったのは、わりとはっきり聞こえただろうか]
……やあ。
[従魔に続くよにやって来たナターリエに、片手を上げて挨拶しつつ]
セレスの事、ありがと、ね。
[痛みを堪えつつ、最初に投げたのは、こんな言葉]
―屋敷・自室―
[叫び声に駆け寄った窓の外、見えた光景に目を見開いた。
慌てて外に向かおうとして、カクリと膝の力が抜けた]
やっ、そんな場合じゃない…
[強い恐怖に身体の方がついてこない。
左手を抱きこむようにして、必死に自分を宥める]
…大丈夫、あの時みたいな力じゃない…
[自分に言い聞かせ、動けるようになったのは騒ぎが一段落してからだった。フルリと頭を振って階下へと向かう]
―…→広間―
平気…なのか?
無理はしてくれるなよ、絶対に。
…そういえば、ハインリヒとかユーディットとかは平気なのかな?
2階には被害、無さそうだし大丈夫かな。
[降りてきた少年とナターリェにも「大丈夫だったか?」と聞きつつ、オトフリートに言葉をかける。
そして突然2階が気になり、ふいと外から二階を見た。
とりあえず無事そうなのを確認すると、のそのそと移動して割れた窓に外からもたれ掛かってひとつふさぐように座り。
背中で窓をふさぐとちょうど屋敷の外を見守る形に、*見張る気で*]
[部屋に入る前に見かけた白い鬣の黒熊に、素直に目礼だけして通り過ぎたのは、気配から彼が巨躯の青年と知った為。
それ以上に、目に入った光景に気を奪われた為でもあったが]
ああ……大丈夫。
妙な話だが……慣れてる、からね。
[無理もしないさ、と。見張るような位置へと移動するマテウスへ声をかけ。
縋るような目でじい、と見つめる従魔の傍らに膝を突き、そ、とその金の髪を撫でてやる]
[熊型、犬型、鰐型、豹型各一体。
ドロイドの構成を見下ろして確認すると、ひとつ深く息を吐き、]
……急いでるんだ。どいてもらえるかな。
[眼鏡を外し、冷たく言い放つ。そして、ぱちんと右腕の拘束を外すと]
……櫛ノ首(しつのくび)「奇稲田姫(クシナダヒメ)」
[そう呟き、パンパンパンパンと4発、無造作に魔銃で創生された弾丸を各ドロイドの眉間に放つ。それ自体にはたいした威力はなく、額に少しめり込んだところで止まったのだが、着弾点から高速で伸びた蔓が彼らの手足胴体を絡め取り、身動きを封じる。
それから悠々と樹の下に降り立つと]
……レスト・イン・ピース。
[そう言って、各ドロイドの急所を正確に一発ずつ左手の銃で撃ち抜いていった。]
[どう見ても無事と言えぬ様子で掛けられた声に、私は言葉を失くす。愁いを帯びた瞳は、その姿を映し揺れて]
……礼など…
私が…彼の仔の側にいたかった…だけで……
[声は途切れ、なれど歩みは止まらずに…側に寄ろうか]
[階下に降りて、広間へと向かい。入り口で絶句]
…うわぁ…
[見慣れない姿や疲労困憊の姿。
なにからどうすればいいのかと半分思考停止状態]
< オトフリートと子どもの遭遇とか、猫は見ることもできません。
ソファの上で、すやすやと、眠っているだけのことです。
目がさめたなら、現状がわからなくて、*きょとんとするんじゃないかしら* >
いや、それでも、助かるから。
[途切れがちの言葉に、笑みで返す。
呪印の痛みは、大分鎮まってきていて]
……っと。
君も、無事?
[それから、見知った気配に入り口を見やり。
絶句して佇むブリジットに気づけば、穏やかに声をかけ]
う、うん。
私は二階に居たから無事なんだけど。
オトフリートさんこそ、大丈夫なの?
[穏やかな声に硬直が解かれて中へと。
なんだかガランとしてしまった部屋にまだ若干戸惑い気味]
さっき、窓の外に見えたあれ、何。
もしかしてあれが危険だって言ってた物?
…笑まれては、真か否かわかりませぬ…。
[笑みが何故か仮面に見えて。
私は彼の竜の側に寄り、顔を覗き込もうとする。
蓬髪が流れて、影となろうか]
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