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―森―
[殊更気配を示すでもなく。とはいえ隠れるわけでもなく
鼻歌交じりに歩く。歌っている鼻歌は崩壊前にあったといわれる、ネズミーランドとかいうもののテーマソングかなんからしい]
おやおや?
[対峙するように見えなくもない昨日見た女性と。樹木に手を触れている女性
特に隠れるでもなく観察してみる]
―川岸―
[にこりと、人前に出る時相応の笑みを浮かべる]
そうですわね。
きっと――いえ、確実にはじめまして、ですわね。
皆様のように二つ名すらありませんが、ロザリーと。
[未だ木から掌は外さないが、紫紺はきつい色彩を宿さない。
少しばかり、それは細まり、木漏れ日の光を弾く]
…綺麗ですのね。
─川岸─
だよねぇ、見た感じ、下町とは直接関わりなさそうだし。
ああ、ボクは、エリカ。
……大体の事は、カード見ればわかるだろうから、割愛。
[口調は軽いままに返しつつ、しかし、隙らしきものはない。
相手を知らぬ──力量を悟れぬ状態では、ある意味同然のこと]
……ふぇ? 綺麗って、何が?
─森の中─
[纏う極彩色を隠すように枝葉の中を飛び進む。誰かに見つかり仕掛けられたとしてやり返すだけなのだが、あまりやり過ぎても楽しみが減る。そんなことを考えての移動方法だった]
……むぉ。
[河沿い枝を移動し、見えて来る2・3の姿。一つは見知った姿。それに相対するようにする人物と、離れたところで様子を見ているらしい人物は未だ見ぬ姿。カードで情報と照らし合わせる]
ふむ、あっちん嬢ちゃんは裏んもんやなかね。
こげな場所にゃ似合わん姿じゃが…選ばれおうたっちゅーことか。
さて、向こうんにーちゃんは……話しかけた方が早かねぇ。
[見たまま手品師のような姿をしている人物の傍へと行き、樹の上から声を落とした]
にーちゃん、何ばしちょるとね?
あん二人でも狙っちょるか。
おやおや、『雷鳴天使』さんに、後は…ふむ…どこかで見たような…
[樹木に手を着いたままの人を見て首をかしげつつ思う。
それは純粋に手品師として社交の場の余興の一つで呼ばれたとき…だった気がする。…とはいえ他の人と間違いかもしれないが―と思考していたときに上から声が降ってきて、見上げ]
おやおや、あのときのお面の兄さん。何って観察ですね〜。二人でやりあうのかな〜?と思いましてね〜
[あっさりと隠すことなく口にする]
―川岸―
まぁ、否定できる立場にはありませんわね。
[困ったような、それでいて穏やかな微笑。
エリカの名に、まず思い出すのは]
雷鳴天使、さま?
[天使の響きが気に入って、覚えた二つ名。
それでも問いを重ねる姿は間違いなく少女のもので、その差異に笑みを深くした]
貴女が、かしら。
[曖昧に濁しつつ、紫紺は眼差しを他方に向けた。
掌の木が新たな気配を伝えてくれたから]
[増えた気配には気づいていても、今は刹那、飴色を向けるのみ]
天使、さま、って。
[それから、紡がれた自身の二つ名に惚けた声を上げる。
さすがに、さま、をつけて呼ばれた事はなかったから]
……そーゆー呼び方されたのは、初めてだなぁ……。
というか、ボクが、ってなんで?
[問い返す様子は、多分、素]
観察けぇ。
戦い方見とくんは、後の対策になるしのぅ。
じゃけぇ、あん二人も二枚目は手ぇ入れとるようじゃしの。
連戦は避けるんとちがかねぇ。
[先程得た情報を交えそんな推測を口にし。枝に両足を曲げて引っかけ、逆さまにぶら下がる体勢を取る。肩に居た小猿は垂れ下がる男の髪の先にぶら下がり、ディーノの顔の横辺りへ]
―街外れ―
そろそろ終わりにしようか。
飽きちゃったー。
[廃墟が途切れ開けた場所で二人の少女が剣を手に戦っていた。
クスリと笑った空色がスゥと温度を失ってゆく]
Blauer Teufel.
[それまでと同じに響く剣戟。
しかし今度は仕掛けた側の少女が大きく体勢を崩した。
その腹に勢い良く叩き込まれる蹴り。
軽々と吹き飛ばされた少女は受身も取れないままに地へ倒れた]
動くな。
[更に氷の蔦が四肢へと絡みつき、起き上がることもできなくなる。
無表情に歩み寄り伸びた手によって、腰のポーチからカードが抜き取られた]
『The Hierophant』
確かに。
[空色が一瞥し、唇が弧を描く。
ゆっくりとそれを懐の中へと仕舞う]
それじゃ、いただいてくねー。
おつかれさま。
[一転して明るい声になると、こちらを睨みあげる少女にひらひらと手を振って歩き始めた]
このままずーっと順調だったらいいなー。
ええ。そんなとこですねぇ〜。情報は大切ですからね〜。
しかし、既に終えてましたか。それは残念…知っていたらお教えいただいても?
いえ、その前に聞いたほうがよかったですか。あなたはまだなのですかね〜?
[警戒のこもった問いでありながらも、声は陽気に
カードから新たに情報を得てない人]
[先程の情報で、眼前の少女が2枚目を得ていることは知りつつ、興味は尽きない。
新たな気配が、こちらを狙うなら木々が教えてくれるだろうと紫紺を戻した]
さま、では、いけませんか?
それならば何とお呼びすれば宜しいのでしょう?
[おっとり、とまではいかないが、戦場には間違いなくそぐわない響きで問い掛ける]
綺麗と思うことに、理由は必要かしら?
―相も変わらず廃墟街―
よい、っせ!
[曲がったドア縁に蹴りを一発。
片側は崩れ、片側は歪んだ扉に塞がれていたそこを解放する]
[当然、埃は巻き上がるのだが]
…っ、うぇ。吸い掛けた。
[ぱたぱたと眼前で手を振り埃を払って覗き込む。
入って正面にカウンター、ロビーは異様に広々と]
……目ぼしいものはなさそうだな。
[探しているのは食料の類。両腕を組み、溜息を吐いて]
―廃墟―
――これで良し、と。
穴あきじゃ締まりがないからなぁ。
[縫い口をつつ、と撫でるとゆっくりと立ち上がる。
一寸、視線をドアの向こうへと向けて、眼鏡を中指で直す]
出てきなよ。
流石にそんなに見られてて気付かない事はないねぇ。
こうみえても、おじさんシャイだから。
[く、く、と笑う様子は、シャイとはかけ離れていたが。
ドアが開けば、一人の青年が睨みつけた]
…で。どちらさんだい?
金を貸して欲しいなら、話を少々しよう、か?
[怒号と共に否定の言葉を言われれば、口は一文字に結び片眉を上げた。
青年の名乗りを受ければ、左手で顎をさすりつつ]
ああ。あれの兄弟かい?
大きくなったねぇ。
[小さく頷く。
その様子が気にくわないのか、青年は男に呪詛を言い続ける。
しかし、其の言葉も何処吹く風。ふぅ、と一息つくと、ようやく口を開いた]
やれ…『お前のせいだ』か。
みんな同じで聞き飽きたねぇ。弱者の言い訳は。
[にやぁ。と。
口元を吊り上げて]
元より契約書を渡して金利と払えない場合の代償は言ってある。
それを承諾して金を借りたのは誰だ?
金を借りる経緯まで至ったのは誰のせいだ?
自分で蒔いた種が茨の道を紡いだ。
[中指で眼鏡を直すと両手をポケットに突っ込んだ]
お前さんがやってるのは、その華に、傷つく事無く留まれる蜂に罵声を浴びせているだけに過ぎないねぇ。
[く、く、と笑う男を止めようと、青年は声を荒げる。
そして、彼は銃を構える。
「お前だけは許さない」と]
許さない、か…構わんよ。
[銃のトリガーを引かれる前に、傍にあったテーブルを蹴り上げ銃の軌道上に乗せた]
やれやれ。
客じゃあないが。
こうもまぁ、牙を剥かれて…落ち着いてられるほど、俺も優しくないからなぁ。
[テーブルに二発、弾が当たれば青年は舌打ちし、男を撃とうと射線をずらそうと駆ける。
対し、男は一拍おいてから一足でとある一点に加速した。
右腕でアッパーを放てば、其処には丁度、移動しながら構えていた青年の銃があり。
衝撃を受けた手は銃を放り出した]
――それにしても。合法じゃあない殺しになるが良いのかい?
[訝しげに見やれば、青年は顔を歪ませながら]
[「貴様は、カードマスターだ!
カードを奪う過程で死んでも、文句は言えない"悪党"だ!」
と、青年は大きく振りかぶり、拳を男の顔へと放つ]
カードマスター?
[問いかけながらも右腕で、突き出された腕を左へと押しやり軌道を逸らす。
同時に、青年の身体を掠めるように体を回転させ、背後を取れば]
ああ。俺の「ジ・タワー」の事か。
ってこたぁ…お前さんもカードマスターって事かねぇ。
[青年が答えるよりも、振り返るよりも早く、男の左腕は青年を捉え…
バシン。
左手から大きな音と、閃光を放つ。
左手を離せば、青年は膝を突き倒れた。背中には焦げ臭い煙を燻らせる]
――『ジャスティス』、ねぇ…なんとも偏った正義だな。
自分に優しくない物は全て悪、ってか?
[青年の身体を調べ、カードを手に取れば小さく呟く]
情報が大事なんは身に染みとぉわ。
が、おまはん、そん割には直ぐん手に入る情報得とらんのぅ。
ワシゃおまはんが既ん二枚目ぇ手ぇ入れとるんを知っとるど。
[逆さまのまま、こちらは警戒を一切抜いた雰囲気で言葉を紡ぐ。知りたきゃカードから聞けと言う態。小猿が知らぬディーノの様子に「キャッキャ」と鳴きながら笑った]
ま…俺に因果があるのかねぇ。
俺のカードは『ジ・タワー』…破綻を意味するカードだ。
俺なんかに関わらない方が良かったんじゃないかねぇ。
[既に聞こえていないだろう青年に、背中越しに言うとそのまま廃墟を後にする。
名刺入れに入れてある『ジ・タワー』を取りだすと、二枚を指の中で重ねて]
俺を含めて22人居るのか…?
しかも、ここら辺に居るってことか?
やれ…めんどくさいのに巻き込まれたモンだ。
[ふん、と息をつくとポケットに二枚のカードを仕舞い込んだ。
――やがて、ジャスティスの所有者の情報が書き換えられるだろう]
─川岸─
なんて、って言われてもなぁ。
大抵は、通り名そのままとか、でなきゃ短く雷鳴、とかだし。
とりあえず、さま、はいらないと思うんだ、うん。
[おっとりとした物言いに拍子抜けするものを感じつつ、こう返す]
……理由がいるか、って真っ向聞かれると困るんだけど。
なんでそう思われてるのか、よく、わかんないし。
[軽く、首を傾げて率直な感想を返す。
仕種にあわせ、胸元のロザリオが揺れた]
―廃墟街―
銃声?
[少し離れた場所から聞こえたそれに耳を澄ませる]
ま、22人もいるんじゃね。
最初のうちはそこらじゅうでぶつかりまくりですか。
そのまま潰れて欲しいなー。
誰か潰してくれないかなー。
[対象となる相手は言わずもがな。
まず無理だろうとは自分でも思いながら、それでも願う。
願わなければ叶うこともないのだから]
んんー、またおなかすいてきた。
今度こそドーナツ見つからないかな。
[結局見つからないままだったらしい。
今度は近くで聞こえた何かの崩れる音に小首を傾げる]
誰かいるみたい。
ドーナツ持ってたら交渉できないかな。
[足音は立てずにそちらへと向かう]
おやおや、そんな情報も得られましたか。お教えどうも。何分『愚者』なものでしてねぇ〜。しかし便利なカードだ〜。
[知らなかったように呟き。カードより情報を探ってみる。確かに、この男も、あちらの二人も既に得ているらしく]
しかし、どのような人かはやはり直にみないと不安ですけどね〜。
[小猿が笑ってる様子も気にせずに、未だ逆さまのままの面の男を見て]
遅れましたが、ディーノですよ。既に知られているでしょうけどね
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