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[闇夜槍の目的は牽制。精霊の片腕を持っていけたなら、それは上出来と言えた]
……って、おい!
[ふ、と視線を移した先。
激突する雷撃と火炎の在り方に目を見張ったのが、そのまま隙となった]
『……アル、来ている!』
[漆黒の上げる声に飛来する気配に気づくも、遅い。
ルーンを用意する暇もなく、ただ、無地のカードを叩きつけて勢いを削ぎ、避けようと試みるが、僅かに及ばず左の肩に氷を纏った水球が叩きつけられた]
くっ……効いた。
[天衣の護法の干渉もあり、ダメージは抑えられてはいるものの、衝撃はしばし、動きを妨げる]
とはいえ……とまって、られねぇ。
[ナターリエの状態的にも、自分的にも、長期戦は不利。
そんな事を考えつつ、白の上に紅を零す]
[タイミングはずれたが、ゼルもライヒアルトと同じくゲルダとナターリエの攻防を視界の端に捕らえていた]
いくらなんでも……あれは無茶だって!
[ゲルダの体に刻まれてしまった火傷を多少でも癒すために、ライヒアルトを撃った水姫を自分の護衛ではなくてゲルダの火傷治療ために飛ばす]
水姫! ついでにナターリエに『聖なる銀の雫』!
[火傷を冷やすようにゲルダの体に触れると同時に、己の存在を削りながらナターリエに聖属性の水の一撃を放つ。
そして己もライヒアルトの攻撃から逃げるように……]
してたまるかって!
[せずに彼に向かって駆け出していた。そして体の影になるべく隠すように、印を組みながら『姫風水』の詠唱を開始する]
[手を軍刀から抜いたところで、氷の扉を閉ざす。追撃するように放たれたゼルギウスの光属性の攻撃も。結界を作る余力も惜しいと。黒い布を高速回転させることで防げるものだけ防ぐ程度。]
ぐっ…はぁっ……けっ。あのやろう…
[上手く後退できたところで苦悶の声が出つつ。ゼルギウスに悪態をつく。
手は黒こげ。腕はひどい火傷。ほとんど使い物にならないし、回復も聖属性のせいで間に合うまい。
次。接近されて右腕だけであしらう技量はない。と判断すると。一度大きく息を吐き。毅然とゼルダを見据える]
…アル。こいつ想像通り強い。相性も悪い。
このまま殴り合ってたら残り三合程度で押し切られるんで。魔術師としての戦いに移る。
[つまり。決めるぞ。との合図
焦げた手を無理矢理握るようにしていつもの祈るように手を合わせる。]
祖は常闇への扉なり。
闇に威を轟かす唯一の光たる豪奢なる雷の踊り手よ
――――――大地を駆け。数多の骸を作り出す風の刃よ
[ずっと。耐え抜いて。密やかに溜め込んでいた術。その最後の一文を一息に口にすると。竜巻を内包した風の魔力と。轟くように激しく暴れる雷。その二つの大魔力を。右手と…まだぎりぎり言うことを聞く左手で。一つに合わせる。その衝撃で肩口より血が吹き出る]
合わされし力は…冥界へと誘う暴威なり
―――――――――『闇夜招・黒風雷』
[雷撃と竜巻。それに闇の魔力を含んだ。嵐を作り出し。ゼルダへと向けて放つ]
.oO(決め技か!)
[相手のライヒアルトへの言葉を聞くと、そうはさせじと踏み込もうとする、]
.oO(撃たれる前に…!)
[が、脚がついてこない]
[バランスを崩しかけ、断念]
[雷撃のダメージが思ったより大きい]
[ナターリエに向けて放たれる、ゼルギウスの術。
どうにか凌いだようだが、分の悪さは一目瞭然か]
……了解だ、相棒殿!
折りよく、向こうも『その気』らしいからな!
[ナターリエの言葉に、頷いて。
天鵞絨を、こちらへ向けて駆けるゼルギウスへ向ける]
……やらせてもらう。
……全てにありて何れにもなき影の力、その強大なる力を轟く咆哮と変え、混沌への回帰を導かん……影輝轟爆!
[天へ向け、投げ上げるのは、三枚のカード。
影のルーンと、『覇王』『破滅』。
三種が織り成すのは、貴紫の龍の姿。
猛々しきその咆哮は、影の力の奔流を生み出し、ゼルギウスを迎え撃つように、翔けた]
[目をほんの一瞬閉じ、改めて体の状態を確認する]
[そのとき、焦げて引きつれるような痛みを発していた傷が、どこからか癒しの力によって冷やされていくのを感じた]
.oO(右腕、左腕、肩、腰、右足、左足、…全て動く!)
.oO(ありがとう、ゼル。)
[心の中だけで礼を言い、そして攻撃限定型の術者だからとはいえ全く援護してやれないことを詫びる]
[そして]
[軍刀を体の真横、地面と水平、肩と一直線に構える]
[前に倒れこむように、一気に低い姿勢になる踏み込み]
[直立した状態の位置エネルギーを利用しての加速]
[放たれた闇の嵐に突っ込む]
[軍刀が紅蓮を纏って踊る]
[踏み込み、薙ぎ払い、払い抜け、そして反転して斬り上げ]
[嵐に巻かれながらも一つの無駄もなく、最も効率的に敵を刻むために繰り出される剣の軌道は、まさしく死の舞踏]
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