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[呟く声は届く事はなく。
広がる闇に、飴色が厳しさを帯びる]
……月の闇……それなら、ここは、素直にコレ、かな!
[言葉と共に引き出すのは、月と対成すものの描かれた『サン』のカード]
『陽光の剣』……闇、切り払え!
[かざしたカードが光を放つ。
生み出されるのは、闇を退けようとする、真白の光。
真白の光は剣となり、そして]
……いけっ!
[凛、とした声。
銀の輪が、剣を導くように、闇の中心へ向けて投げつけられた]
[左腕を前に突き出したままの態勢で固まっていた。が。
ブシュウ。
左腕が白い煙を吐くと、ようやく、其の口を開いた]
何とか、なるモンだねぇ…
[『愚者』が移ったみたいだ。
そう、呟くのは竜が消えるのが見えて。
そのディーノの姿も見えないため]
生き埋め…か?
おーい、大丈夫かー?
[頭を…掻こうとして、瘤がある事に気付き、そっと撫でながら瓦礫の方へと]
大丈夫ですよ〜…一応ね〜
[瓦礫の中を歩きながら声をかけるブラウンにそう応える。
上手く瓦礫と瓦礫の隙間に挟まっていたのか。体をもぞもぞと動かしてゆっくりと這い出て、一度膝を突きながらも、瓦礫に手を当てて立ち上がり]
少々力にあまるお茶目もありましたが、これにて此度のショーは閉幕とさせていただきます。
[周囲の瓦礫の山とか。ぼろぼろに崩れた建物とかをお茶目で済ますのかとか突っ込まれそうだが。それでも自然と帽子を取って礼をして]
さて、名残惜しいですがご観覧いただきましたあなたには景品をさしあげますねぇ〜
[言って取り出したるは『ザ・フール』『パワー』『ホイール・オブ・フォーチュン』『ワールド』のカード…各種十枚ずつ]
おまけの手品です。どれが本物でしょ〜
[悪戯っぽい笑みをこめていう。
見た目も気配も全部そっくりなカードを見せた]
[闇穿つ光。それに抗おうと闇は浸食の足を速める。けれど戦輪に導かれた光の剣が男へと到達する方が速く、蝕まれた闇の中から弾かれるように後ろへと吹っ飛んだ。仮面の額には戦輪が、男の腹部には光の剣が突き刺さっている]
……っ!
…あー。
結局結果ば一緒かぁ。
[あの時も彼の放つ光に敗れた。そして今、同じように彼の血を引く者が放つ光に敗れてしまった]
勝てん運命なんじゃろの。
[負けたにしては、妙に清々しい気分を抱く。それも直ぐに腹部の痛みにより掻き消されてしまうのだが]
…おう。
大丈夫なら良かった。
…運が良かったねぇ。
[自分で這い出てきたのを見れば、少し安堵。
そして…]
――ようやるわ。
[色々と言いたい事は山ほどあった。
が、こうも呆気なく幕を閉じられると、苦笑混じりの言葉しか出てこないらしい。
そして、景品を見れば]
はっは…どれだろうなぁ。
全部燃やしてみれば分かるんじゃないかねぇ。
[そう言いながらも、適当に五つのカードを手に取って]
…で、どうやって正解って分かるんだ、これ。
廃墟とはいえ壊れまくり、だなー。
[決着がついたらしい一幕に、ホゥと息を吐いた。
近くの屋上から下を覗くよにして崩壊したビルを見る]
うーわ、まだ余力があるのー。
あんなの食らったら私なんてひとたまりもないよ。
どうしたものやら。
[瓦礫から出てきてカードを広げるディーノを認めると、呆れ顔になりながら呟いた]
私はカードマスター以前に手品師ですからねぇ〜
[苦笑交じりの言葉にも営業スマイルを崩さずに答えたが、閉幕への礼も終えたところで、手品師としての意地か。プライドも終了。瓦礫に背をつけもたれかかって]
さぁて。私も適当に引き当ててましたしねぇ〜
[そんな出鱈目そうだが本当のことを口にして]
ま、色々道楽ついでに試してみるのもいいでしょうが…どうせすぐにわかりますよ。私が舞台から退場すれば、ね
[と、自分が魂の檻に入った頃にはダミーは消えると暗に示して]
では、私はここで舞台から降幡ですが、まだまだ役者としてブラウンさんはがんばってくださいねぇ〜。
[相も変らぬ暢気な声で、ふわりと浮き上がり、瓦礫の上に降り立ち休む
しばらくして眠りについたのか。魂の檻に囚われたのか。意識が落ちた自分では判断がつかないまま。ただブラウンの持つ36枚のダミーのカードは霧散するように*消えただろう*]
[銀と、剣。
それらが闇の源を捉える様子に、は、と息を吐く。
そ、と左手を差し伸べると、剣は狐を離れてその手へと。
それから、右手を上へと翳す。それに応じて銀の輪は、手へと戻ってきた]
……結果、一緒?
それって……もしかしなくても、じーちゃんの、こと?
[二つの煌めきを手に、ふわり、と降り立ち。
きょとり、と瞬きながら問いを投げた]
そりゃトランプとソウルカードは見た目が違うだろう。
[テキトー、という奇術師に半眼に成りつつ]
…じゃあ、全部拾っておいた方が良いか…これ。
[やれやれ、と中指で眼鏡を直した]
しかしまぁ、ほんと。
どっから出てくるんだ、コレ。
[そう、問おうとするも瓦礫に凭れるのを見れば、ふぅ、と息をつきカードを拾い集める]
すまんね。
おじさんはお前さん達のような力を持ってないからねぇ。
手当てする物も今は持ってない。
[緩く振り返れば]
…
[其処には瓦礫しかない。
気付けば、カードの束も薄くなって…]
7枚、か。これで。
[元々持っていたカードを合わせて7枚。
最も、休眠中のカードは5枚]
やれやれだねぇ…
いえいえ〜。気にせずに〜。少し休めば後は自力でどうにかなりますしねぇ〜
[と、ブラウンの手当てという言葉に、もとより戦いなので特に気に病む必要もないだろうというのもあって瓦礫の上よりそんな言葉を*投げかけた*]
[ふと聞こえた声に其方を見やるも姿は見えない]
…奇術師、ねぇ。
根っからそうなのか、演じてるのか。
どちらにせよ。
奇怪だった。
[名前に違わず。そう、呟けば、首を回しつつ]
やれやれ。
デートはふられたのか?
それとも。
[指を集音機にあてると、息をついた]
4人、か。
[抜ける剣、滲む紅。痛む傷を押さえながら男は短く息を吐く]
それ以外何ぞあるとよ。
……まさかおんなじ光で負けるとはのぅ。
[くく、と言う声は苦笑染みたもの]
『サン』のカードば持つおまはん相手に『ザ・ムーン』ば使こて勝てるか、そこん興味ばあったけぇ。
ヒトは無意識に闇を滅するにゃ光を使う。
これで勝ちおうたら、あん時の敗北ば打ち勝てるか思うとったんじゃが、無理じゃった。
[悔しげな素振りも見せず、存外明るい声で言葉を紡ぐ。仰向けの状態から起き上がろうとして、皹の入っていた仮面が左右にパカリと割れた]
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