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風邪引かれても、困るしな。
[ 視線だけをメイに向けて然う云えば、再びネリーを見遣り申し訳無さそうな様子には首を振り大丈夫という答えに対しては僅か首を傾けたが、]
……そうですか?
何か出来る事があれば云って下さい、御一人では大変でしょうから。
[微笑を湛えつつ答え、広間に向かおうと緩やかに歩を進め始める。]
-浴室前廊下-
そういえば、もう誰かを占ったのかな……。
[ローズマリーに聞きそびれたことを思い出し、けれど占いなんかに頼るものかと首を降る。
濡れた髪から飛んだ雫が絨毯を湿らせた。
髪をよく乾かさないままに出て来た所為で、肩の辺りが冷たい。
暖かい火と、食事を求めてヘンリエッタは広間へと足を向けた。]
ばら撒く事…。
[確かに人狼なら…人を食らう者ならそれ位の荒業は出来るだろう。
しかし――少女の記憶には何処か引っかかる物があり――]
では神父様――
あなたは…彼を殺せば。この忌まわしい事件が解決するとでもお思いで?
全ては彼一人の仕業だと――?
それはわかりません。
ただ、『彼』が人狼である可能性は限りなく高い。
今の私にわかるのはそれだけなんですよ。
……感情のパターンが私と似ていましたからね。
[もっとも、どう切り出すかは問題ですね。
そう言って、腕を組みながら考え込んだ。]
今、風邪引いたら、辛いしね。
[冗談めかした口調で言いつつ。
ネリーには、やや心配そうに無理しないで、と言って。
自分も広間へと足を向ける]
感情のパターンが…
[そこまで聞き、少女は口を噤む。
もしそれで『彼』が人狼だったなら――
目の前にいる神父の格好をした彼もまた――]
でも…まだ仲間売りするには…時期が早すぎる…
[少女はルーサーに聞こえないように独り言を零すと、腕組みする彼をじっと見つめていた。]
ああ、では何かあればお言葉に甘えさせて頂きましょうか。
[言う言葉は軽く冗談めいていた。]
それにしても、お2人とも随分と仲が宜しいようで。
[同じような言葉を掛ける2人に小さくくすり、笑う]
[顔を伏せた相手に視線だけを送って]
俺はね、自分はどうなったって良いんだ。
どうせ捨てられた命だ、今更どうなろうと、ね。
だから、守りたい。
命に代えてでも、ね。
[ギルバートに向かって、にこっと笑い。
手にした卵の尖った方を、軽く叩いてひびを入れる。
尖った方を上に向け、そうっと割らぬように、少しだけ殻を外す。
それから、殻の下にあった薄い膜を、ぴりりと破いて。]
いただきまーす。
[そこに口を当てて、ちゅるりと吸い込むように。 ごっくん。]
[広間に向かう途中、食欲をそそる匂いにつられて顔をあげれば、そこには見慣れた緑のお下げ髪。]
ネリ−!
[思わず声をかけ、彼女に駆け寄ると、他の皆について広間へ向かった。]
[ 小さく笑う少女の口から紡がれた言葉に、黒の両眼が僅か見開かれ、其れから緩やかに瞬かれる。困った様な笑みを浮かべれば、]
単なる腐れ縁かと。
[減らず口を叩き広間の扉に手を掛けゆっくりと引けば、軋んだ音を立てて開く。]
ふふっ。疑われちゃっていますね、私。
[じっとこちらを見つめるウェンディに笑いかけ。
声までは聞こえていないようだが。]
……まあ、この推理を信じるか信じないかは貴方次第です。
私が語った『30年前』の話と同様に、ね。
[”お行儀がいい”とはお世辞にもいえないけれど、手も器も汚さない一番いい食べ方だからと、ギルバートにも卵を一つ渡して。
戸惑う姿に気付くことなく、手にした殻をゴミ箱に捨てようと立ち上がって、小さな悲鳴。]
……ぁ。
いっけない…! 鍵かけなきゃ!
[割れやすい卵を持っていたから、早く置かなきゃと気が焦っていて。内鍵をかけるのを忘れていた。]
[少女はルーサーの言葉を何度も噛み砕きながら反芻する]
ルーサーさんと同じ…感情パターンだから…
だから…『彼』が?
だったら神父様は…何者?
――解らない…
[呟いて…視線を伏せる。
今、少女の心を覆うのは、『彼』に対しての疑惑ではなく、目の前の初老の男に対しての感情――]
[目まぐるしく回る嘘と真実の狭間で――]
[それでも得た結論は――]
それでもまだ…神父様を信じてしまいたくなるのは…私が甘い人間だからなのかしら…。
ねぇ?神父――?
[父のような存在の彼を――慕うこと――]
…そうですか?
[青年の言葉にはそう返しながらも何処か楽しげで。メイの反応にさらにくすくすと笑いつ、広間の扉の前に立つ。
彼女を呼ぶ声がして振り返ると、赤毛の少女が駆け寄って来るところだった]
ああ、こんばんは。
[声の元気さに安心したのか笑みを返して]
……仲がいいっていうのかな、これ……?
[誰に言うでなく、ぽつりと呟きつつ。
走ってきたヘンリエッタには、や、こんばんは、と声をかけ]
そうです。
[ ネリーの言葉に返すのは矢張り苦笑か、背後から飛んで来た声に顔だけを向ければ赤髪の少女の姿。軽く声を掛けてから扉を潜り、中に居た銀髪の男と青髪の男に微笑と共に会釈をして、]
今晩和。……今日は静かですね。
[昨晩一同が此の場に会した事を思いながら、然う声を掛けた。]
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