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騎士 ダーヴィッド に 1人が投票した。
職人見習い ユリアン に 1人が投票した。
未亡人 ノーラ に 3人が投票した。
研究生 エーリッヒ に 6人が投票した。
研究生 エーリッヒ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
現在の生存者は、貴族 ミハエル、騎士 ダーヴィッド、召使い ユーディット、職人見習い ユリアン、ランプ屋 イレーネ、未亡人 ノーラ、少女 ベアトリーチェ、青年 アーベル、読書家 ミリィ、学生 リディ の 10 名。
……まあ、確かに……、そうだな。
[リディの言葉に頷いて]
[あれでも一応、はとこなのだからと言い聞かせ。
彼も、エーリッヒの傍に向かおうと、して――]
エリにぃー?
そろそろ風邪引くから起きた方が……
[呆れ半分でため息を吐きつつ、
エーリッヒへの方へ歩み寄ろうとしたものの。
その足は、エーリッヒの元へ辿り付く事は適わずに]
………え?
[どくん。
不意に感じた何かに辺りを見回し…]
…
[ぴきっ…
頭の中で、そう、響いた、気が、した。
そして。
時が動き出した時、また、声が響いた]
[リディがエーリッヒが埋まっている辺り…割り箸墓標に近づく]
……放っておけばいい………!?
[冬晴れの空に金の光球が…そしていつ現われたのか銀の光球が…]
[2つの光球はリディを追い越しエーリッヒにむかったが
途中で銀の方は消え…金の光球が雪中へ。]
[雪の隙間から零れる金の光り。]
[雪が溶けるように消失すると、金の光りはエーリッヒを包み込んでいて。
……そのまま…包み込んだまま上空へと…………]
[ユリアンの方に気を取られていた少女は、それに気付くのが僅かに遅れた。上空から現れた金色の光、そして銀色の…]
エーリッヒさん?!
[姿を消した青年の名を呼ぶ]
[自ら埋まって行くエーリッヒに言葉も無かったのだが]
[流石にそろそろ不味いんじゃないか。皆が近寄るのを見て一歩踏み出しかけ]
…?
[違和感]
[焦げ茶色の目を眇めた先にあったのは――金色の宝珠。
それは緩やかな軌跡を描き――雪に埋もれるエーリッヒへと舞い降りる。]
[ほぼ同時に、どこからともなく飛来した銀の珠が、同じくエーリッヒを包み込もうとして、]
………ぁっ…!
[重なり、溶ける銀のひかり。]
[溶かした金のひかりは、そのまま丸くエーリッヒを包み込んで、]
[空へと、消えた]
[騒ぎの中心。
そこからは、やや離れていたせいか、他に気を取られていたせいか、気づくのは遅くて]
……え?
[揺らめくような金の光に、はっと、そちらを見やった時には、既に遅く。
さっきエーリッヒが埋まった、その辺り。
そこを金色の光が照らしていた。
その光はそのまま空へと翔けて、消え……]
……何なんだよ、一体。
[ぽつり、こぼれる、呆れたような、呟き]
…………な…なんだ…?
[慌てて割り箸墓標の方へ駆け寄る。
…エーリッヒがいた場所には窪み。]
……リディ……何が起こったかわかるか?
[自分より墓標に近い位置にいたリディに訪ねてみる]
[響く声に空を見上げ…金の光が空に浮かんでいた。
そして、銀の光も現れていた。
その光は割り箸の墓標を通り過ぎ…
…銀の光は消え、金の光は雪の中に入る]
…
[そして、金色の光は空へと上がっていき…消えた]
…王様の、檻…
[空を見て、ポツリと…呟いた]
[ノーラが視界の中で頷いて。
ああそうなのか、と思わず溜息を零した…その、時に。
金が、目に入った。
そして何時の間にか、銀も。
ふたつの光が目指す場所は同じで。銀は、金に溶ける。
エーリッヒを包んだ金の光は、そのまま天上へ]
……何、が…
[宵闇に飲まれるように消えた金を探すように天を仰いだままで。
呆然と、呟いた]
[リディに遅れて歩み出そうとして、
空気の変化――とでも言うのだろうか、違和感に、止まる]
[生まれる、二つのひかり]
[翠玉の双眸が驚きに見開かれ。
何が起こったのか解らないうちに、それは、雪を包んで――]
[金の光が現れ]
[銀の光が現れ]
[包み込む様に]
[銀は溶けて消え]
[金はそのまま上空へ]
[其処にいた筈の青年の姿は跡形も無く]
…。
…エーリ…?
[何が起きたのか見ていたけれど]
[何が起きたのか理解できなかった]
[自分を追い越すように、2つの光珠が通り抜けていく。
一瞬訳が判らずに足が止まるも、一寸後―――僅かに目を見開いて。
その後を慌てて追うように踏み出そうとするも、
それよりも早くエーリッヒの身体は光に包まれたまま、空へと]
………うそ。
[ぽつりと落ちた呟きは、雪へと吸い込まれる。
呆然と立ち尽くしたまま、アーベルの言葉には気付かずに]
[膝を付いたまま、呆然と空を見上げる。
”王”の力を…風を振るった彼が、何故、”王”に連れて行かれたのか…。
――確かに、気まぐれなお方だとは聞いているけれど。
ぐるぐると、思考は空回って。ぺたん、と座り込む。]
[呆然として言葉が帰ってこないエディをみ
どうやらエディにもよくわからない事体のようで。]
………なぁ…誰か…何が起こったかわかる奴いないか?
[と、振りかえり誰かわかりそうな人を探す]
[視線を降ろすと、くしゃり、と髪の毛をかき…]
…エーリッヒ…
団長さんが消えたのも、このせい?
[ポツリと呟く。
アーベルの声にちら、と視線を向けるも…
少し間をおき、首を横に振る]
[アーベルの問いに、一つ、息を吐いて]
……わかるようなら、自衛団長が消えた時点で説明してるっつーの。
[ぐしゃ、と前髪をかき上げつつ、空を見上げて。
小さく、ぽつり]
[さく]
[無言の儘に雪を踏んで、リディの傍を通り過ぎ。
エーリッヒの“居た”辺りへと、歩む。
其処に残されているのは、割り箸で作られた墓標と、人が入る程の穴だけ。
しゃがみ込んで、散った雪に触れる。手袋越しに、その感触が伝わって]
……………
[穴を、掘って、広げる。捜すように。
それに何の意味もないと、頭では理解しているのに]
[ダーヴィット、イレーネ、ミリィ、ユリアンが首を横に振るのを見る]
…………そうだよ…な
[あまりに不思議な事体で、
聞いてはみたものの、答えが帰るとは思えなくて]
[近づくノーラを見詰めつつ]
[先程まで青年がいた場所(微妙に人形が残っている)をじっと見つめる]
[アーベルの問いは耳に入っておらず。入っていたとしても、状況など分かる訳もない]
[無言で、残された雪跡と割り箸を見つめて。
暫く自分の胸元へと視線を移していたものの]
……うっわー…ってゆーか、信用度激減…?
来年度は、この祭りの方向性を見直すことを力強く提案する。
そうする。
[ぽつりと。
…怒りに、思わず考えが口から漏れている。]
[ミハエルが雪を掘りそれを見守るノーラを見ていたが…]
…………リディ…?
信用度って…?祭りが何か…関係するのか?
[リディの零す言葉に反応する]
[イレーナの”王”という言の葉に、座り込んだまま、ゆるり、首を巡らせる。]
”王”様の、檻……?
あなたは…何を……知ってるの…?
[瞬きもせず、じっと、見つめて。消え入りそうな、囁き。]
ミハ君。………風邪、引く。
[ミハエルと視線を合わせるように隣へとしゃがみ込めば
穴を広げようとする腕にそっと手を添えて、ぽつりと。]
……多分、だいじょーぶ。
少なくとも、"向こう"で死にはしないと思うし。
………"向こう"の気が済めば、戻ってくるんじゃない?
[心なしか怒っているのか、「向こう」の言葉が強調される。]
[アーベルの呟きに視線を落とし…
ふと、ユーディット…から見つめられている事に気付く]
…
[聞こえたような、聞こえなかったような。
その小さな声に、視線をゆるりと外し…]
…
[言って良いモノなのだろうか。少し悩んで…]
…悪い子が、居るんだって。
[小さな声で…返した]
祭りが関係するっつーか………祭りで奉られる"メイン"が?
…そしてあたしは、もー妖精の言う事なんて信じないって決意した所。
[アーベルの言葉に、小さく溜息を零しつつ。
どこか不貞腐れたように言葉を返して。]
[雪を掘るミハエルの様子にため息を一つついて目を逸らし。
逸らした先で、ユーディットがイレーナに向けて何か、問うているのが目に入り、首を傾げるものの]
……リディ?
おま、何言ってんだ?
[リディの奇妙な言い回しが耳に入って、そちらに注意を向け]
[リディの言葉を聞き…一つ目を瞬かせると、くしゃりと髪の毛をかき…]
…気が、すめば…
[なぞるように呟くと、溜め息をついた]
…確かに、少し。
横暴な、気も…する、けど。
[もそもそ。
…なんとなく…リディの言っていることが分かる気がした]
[ミリィに、肩に手を置かれ。それから、リディが、腕に手を添えて。
ぼんやりとしていた瞳に、僅かばかり、光が戻る]
……手袋をしているし、コートも着ている……大丈夫だ。
[彼女達が言っているのは、そんな事ではないのだろうけども]
“向こう”……?
リディ。何を、言っている?
人が、一瞬のうちに……消えたりする訳がないだろう。
[これは夢だ、と言いたげに。]
[ミハエルのことはミリィにまかせようと思いつつ…]
…祭りのメイン……妖精…いや…妖精は御伽噺の…
[そこまで言って口を閉じる…祭り開始からの不思議な現象…
それ、リディの口調はふざけているように見えなくて]
妖精が実際して…エーリッヒ…もしかして団長も攫った…?
[半信半疑…言葉がただ零れる]
自称"妖精の王様"曰く、
「この村に"悪い妖精"が逃げ込んでる」んだって。
[ユリアンの言葉に、立ち上がってそちらを振り返り。
あたしも詳しいわけじゃないけど、と大きく息を吐きながら]
この祭りに乗じて " 穏 便 に " その妖精たちを
『結界』の中に捕まえるつもりだったんだって。
…それなのに、団長さんに、エリにぃにっ!
どこが「穏便に済ますから黙ってろ」なんだか!
[喋っていて怒りが沸々と沸いて来たらしい。]
[皆が何を話しているのか。
少し離れた場所にいる己にはわからない。
周囲の人々は…見ていなかったのか、それとも見えないのか。
騒ぎはまったく起きることはなく。
「蒸しケーキのおにーちゃんはー?」と子供が問うくらいのもの。
捜索対象者の項にエーリッヒの名が並ぶのは明日だろうか]
[リディの返事に、一つ、瞬いて]
……なんだそりゃ?
つーか、なんでお前がそんな事知ってんだよ?
[思わず呆気に取られた口調になりつつ、問いかける]
[イレーナの小さな答えに、目を見開いて。]
悪い…子……
[小さく、繰り返す。]
[妖精に対する信用度激減とか、横暴とか、さくさくと突き刺さるものがあるけれど。
ほんの少し、ハトコに対する主の気持ちが判った気がしつつ。困ったように眉根を下げて、リディの話を聞く]
…穏便…?
[辺りを見て…その騒ぎを見ていたのは此処にいた者達だけなのか…
確かに、お祭を普通に楽しんでいる物が多い。
そのうち、子供達は親に連れられ帰っていくだろう…]
…穏便、ねぇ…
[…でも、実際見ちゃった自分たちはどうすればいいのだろう。
全然、穏便所の問題じゃない気がする]
妖精……の、王様……?
[……訳が解らない]
[自分が可笑しくなってしまったのか、リディが可笑しいのか。
それとも、これが、正常なのか。
雪の積もる地面にしゃがみ込んだ儘、リディを見上げて]
妖精…?
[話が見えず、困惑するけれど]
[“団長”の言葉に、数日前のことを思い出し]
もしかして、あの“こえ”…?
[……だったら、もしかすると]
[はっとして金髪の少女――ベアトリーチェのほうを見る]
つまり、向こうってのは…『結界』の中…?
………まぁ、妖精全部とって訳じゃなくて…一人、だけ?だけど。
[ミリィの言葉に一瞬考え込んで。こくりと。]
ちゃんと捕まって逃げれないかどうかを確認するのに
あたしに手伝って欲しいとか言ってきてたけど。
知らない、もー知らない。
これじゃ、どっちが悪いとか判ったもんじゃないしっ!
…全っ然、穏便じゃないからあたしも黙らないコトにするっ!
……って、お前こそ黙れー!
もー、アンタの言うことなんか聞かないっ!
[むきー!と叫んで、怒った方向は自分の胸元。]
[妖精の力である光の珠は、この一団の他には見えなかったらしく。ケーキ配りの人がいないことに不思議そうな声がぽつぽつ上がりはするものの、騒ぎになることは無くて。
もうケーキは無くなったのだろうと、集まっていた人々はだんだん拡散して行く。]
[リディの説明にしばし呆気に取られていたものの、何となく、おぼろげにだが、事情は察して]
……落ち着け。
取りあえず、よくわからんが落ち着け、な?
[近づいて、ぽんぽん、とその肩を叩く。なだめるように]
……よーするに、お前は、『自称・妖精王』に協力を要請されて……。
[ここで一瞬、ちらりと空を見やり]
……今ので、愛想が尽きた、と。
……よくわからん…が、落ち付いてくれ、リディ
[リディの言うことは一々青年の思考の範疇外で
青年自身状況把握できず、知恵熱が出そうな気持。]
[けど、妖精と言う今までいるとは思わなかった存在があると仮定し
リディの言葉を鵜飲みにすれば、
祭りが始まってからの不思議事体が判りはする…判るだけだけど]
…
[リディの様子に軽く首を傾げ…胸元にあるペンダントに目を移す]
…
[ぁぁ、端から見たら凄く奇異な目で見られる、と注意した方が良いのだろうか。
すごく、悩んだ]
[リディが叫んでいるのを些かぼんやりと見遣りつつ。
それでも状況を説明しているのは理解できて其方に近付く。
その内容に関しては、相変わらず理解出来ないままだったが]
[怒り心頭といった様子の友達の様子に、すっかり気圧されて、少女は、次の言葉を失う。話の内容には、思いっきり同意したい気分だった]
………頑張って落ち着く。
[宥める様に肩を叩かれれば、うぅ…とユリアンを見上げつつ。
さらにアーベルにまで落ち着けといわれれば、漸く大人しくコクリと頷いた。
時折、ペンダントを睨み付けて、小声で「黙れ」と呟きつつ。
ちらりと、同じ様に視線を空へ向ければ]
尽きました。
[愛想が。]
[ミハエルが立ち上がったのを見
リディが落ち付いた(?)のを見]
……待て…リディの話しからすると…
団長やエーリッヒは"悪い妖精"じゃなくて…
"悪い妖精"と言うのはまだいるってことは…
……………………まだ続くのか…こう言う事
…愛想、尽きちゃったの…
[空を見上げるリディ。
しかし、先ほどの光景を見たならば…まぁ、分からないでもない、どころか、頷きたくなるのは必至で…
アーベルの言葉には…]
…多分。
[続くだろうなぁ。小さく思いつつ、もそもそ]
……言い切ったな。
[きっぱり、と言い切るリディに、いっそ潔さすら感じつつ]
とはいえ、愛想が尽きたとして……お前、これからどーするつもりなんだ?
[それから、ふと浮かんだ疑問を投げかけて]
…………団長も、エリにぃも、"悪い妖精"じゃないって。
…だから、向こうの気が済んだら終わるし。
[戻ってくるんじゃない? とアーベルの言葉に、不機嫌そうに言葉を返して。
ユリアンの言葉にはたと顔を向ければ]
……とりあえず、自称"王様"に協力する気は、失せた。
けど、どうしよう…かなぁ…。
[怒りに任せっぱなしで、考えてなかったらしい]
……妖精だ、なんだ、って。信じる気なのか……?
[普通に会話している――ように見える皆に、眩暈を覚える。
額に手を当て、髪を掻き上げて]
本当に、なんなんだ……
……勢いに任せて、考えてなかったなー?
[呆れたように呟きつつ。
それと共に、妙にらしいな、と思えてふと笑みが浮かんだ。
まあ、多分に苦笑めいてはいたが]
……でも、それはそれで……面倒なことにならね?
妖精って、約束事とか、やかましいような気がするし。
[と、言いはすれど。
リディの様子を見るにつけ、先に反故にしたのは妖精側のようにも思えるような]
[イレーネの”多分”と、言う言葉に眉を顰め
リディの”向こうの気が済んだら終わる”に溜息]
……間違いとわかった時点で帰せよ…
[なにもない空間にぼやきつつ…]
……リディ……まさか…次、狙われたり…
[リディが悪い妖精とやらではないが…
どうやら黙っていろと言われてた様子…そして破ってしまったようで。]
んー…
[ミハエルの言葉に少し考え…]
…でも、エーリッヒ、居なくなっちゃったし、ね…
コレで、朝になっても、居なかったら…信じるしか…ないんじゃ、ないかな?
[あの光は綺麗だったけど、と小さく呟き…溜め息をついた]
[ミハエルの言葉が耳に入って。はぁ、と溜息]
…私も正直信じられませんよ。
妖精祭りがある以上そういう伝説があるのは納得ですが…
ただ…自然現象というよりも、人間がやったというよりも。
妖精の仕業と考えた方が…まだ辻褄が合うようにも感じられる気はします。
…………信じたいような、信じたくないような…
信じれば、色々判る。信じなければわからない。
ただ、リディは嘘をついてるように見えない…
[ミハエルにそう呟く]
[現実的な事を言うミハエルをちら、見やって]
まあ、現実的な話じゃねーけど。
でも、目の前でこれだけの事がおきて。
否定するってのも、難しいだろーが?
[思考に沈む間にも話は進んでいく。一見すれば、非現実そのものの会話]
[妖精の存在。団長やエーリッヒが今目の前で消えたこと]
[そして今、我が身に起こっている事]
…関係、あるのかしら…
[ぽつり]
[ミリィの言葉に、小さく頭を掻けば
首に掛けていたペンダントをシャラリと外して、目の前に翳す]
…けどコイツが言うには、らしいんだよねー?
そもそも、コイツの役目ってのが、
結界の中にその妖精が入るのを見届ける為らしいし。
[コイツ、と示すのはペンダントトップの石。
と、ユリアンのアーベルの言葉にきょとんとしつつ]
あたし、実は"王様"と直に話した訳じゃなくてー…
どうも、石に宿ってるコイツとしか話せないんだよね。
といっても、コイツは役目が終わるまで戻れないらしいから。
……どーだろ?
[えへ?と頭を傾げてみる。
狙われるまでもやっぱり考えていなかったらしい]
[リディの説明に…指し示された石を見る
青年には変哲のない石に見えるが…]
……役目が終るまで…そうならば
心配はない…のかな………
[そうは言っても心配そうにリディの頭を撫でる。]
―――これに、居るよ?。1匹。
あたし以外声は聞こえないみたいだけど。
[試しに首からかけてみる?と、ミリィの手へと落としつつ。
既に妖精の扱いが匹になっているのは…意図的なのか、無意識なのか]
[口々に返される皆の言葉に、黙り込む。
否定的であったダーヴィッドすら、辻褄が合うと言い出して。
リディが嘘を吐いているようには――というのは、同意だったけれども。
だからと言って、直ぐに“信じる”だなんて、言える筈もなく]
……………
[ただ、長く長く、息を吐く]
どーだろ、ってお前なぁ……。
つか、えへ、じゃねー気がするんだけど、俺。
[何となく緊張感がないような気がしてならず。
思わず、ため息がもれた]
まあ……妖精お得意の恨み倍返しが来なきゃいいけど、な……。
だと、言っても……
何故、エーリッヒが、それに巻き込まれる……
[顎に手を添えて、殆ど独り言のように]
彼や……自衛団長が、妖精だったとでも、言うのか?
[渡された石のペンダントを更にまじまじと見つめ、少女は恐る恐る、首にかけて…みようとして、やめた]
や、やっぱりやめておくわ。私には、何も聞こえそうにないし。
[慌てたように、友達に、それを返した]
…
[ペンダントをまじまじと見て…視線を戻し]
石に宿る…
[ふと、ガラスにも宿っていることがあるのだろうかと考えようとして…辞めた。
ユリアンの言葉に小さく首を傾げ…]
怨み、倍返し?
…ある、のかな?
[ぼんやりと、皆が交わす言葉を聞く。
妖精がいるか、いないか――そんな事は目の前でもとの姿に戻れば簡単に証明できる、けれど。]
『悪い子じゃ…ないもの……。』
[口の動きだけで、ぽつり、囁く。
きっと、妖精だとは信じてもらえても、悪い子か否かは信じてもらえない。
彼女ですら、この中に…悪い子がいると思えないのだから。]
[かすむ思考をゆるゆると振り払い、リディの持つペンダントに、ふと視線を向けて。
やっぱり、妖精が…と昨日感じたものが気のせいでなかった事に、小さく吐息を零した。]
[ユリアンの恨み倍返し…発言に、リディの頭を撫でるが揺れる。]
……”悪い妖精”とやらがさっさと見つかって…
妖精王?とやらがそいつを連れ帰れば…良いのだろうか…?
[こんな訳のわからない事体も真っ平だし、それに……]
[ミリィから、慌てたようにペンダントを返されれば
苦笑しながらもそれを首に掛けなおして]
だって、団長さんもエリにぃも悪くないのに連れて行かれちゃって
……黙ってる気になれなかったんだもん。
[ユリアンの溜息交じりの言葉にぼそぼそと言い訳しつつも
アーベルに撫でられながらも、気まずそうに視線を逸らす。]
…あ、けどっ!
恨みは倍返しされたら、4乗で返すから大丈夫!
[何が大丈夫なのか]
[投げかけられた疑問の声に、イレーナを振り返って]
んー、ほら、伝承とかではよくあるし。
絶対ない……って言い切るのも、難しいんじゃね?
ま……お前らしいって、言えるのかもな、それ。
[ぼそぼそと返って来る言葉に、何となく苦笑しつつ]
……いや、4乗とかって問題じゃねーから、うん。
[そこだけは突っ込んでおいた]
[ユリアンの言葉にうーん、と唸り…]
…まぁ、伝承ではね…
でも…コレは…なんの、怨み?
[なんだか、あったら理不尽な気もする、眉をひそめ…]
…4乗…16倍?
[ソレは…恐いわね。と、小さく笑った]
[リディの4乗に苦笑しつつ]
……けど、4乗返し自体をしないですめば、それが一番いい
[と、相変らずリディの髪を撫でながら
…多分リディの髪がぼさぼさになっていそうだ]
…まぁ、確かに夢と言う方が納得ですね。
[遠くを見てゆるりと息を吐く。
瞬く間に呼気を真っ白に染め上げる外気は、直接触れる肌に僅かな痛みを与えてきていた]
……夢で済むなら良いんですけどね……
[伝わる痛みが、現実だと知らせてきているようで]
何の恨みって……。
[疑問を投げられても]
……俺に聞かれても、困るって言うか何ていうか、だぜ、それ?
[こうしか、答えられない訳で]
夢、かぁ…。『夢』に出来れば…エリにぃも帰ってくるし。
きっと一番良いけど。
……あたし、お祭りは楽しーし…ご飯も美味しいし。
折角皆に会えたのに、それも夢にしちゃうのはヤダなー。
[ミハエルの言葉に、苦笑を浮かべながらもぽつりと言葉を返して。]
じゅ、16倍は……やりすぎ?足りない?
[ユリアンとイレーネの言葉に、
恨みに対する妥当な倍率を考え直すコトにしたらしい。]
[思考に耽るように一旦目を閉じて、また、開く。
赤髪の騎士の視線を追うようにして遠くを見遣るも、昨日と何も変わりはしない。
ぎゅと拳を握れば、外套や手袋に付いた雪が、ぱらぱらと落ちて地に還る]
現実はそれ程甘くない――か?
[これを現実というのも、滑稽に彼には思えたが]
[リディの苦笑しながらの言葉には、きょとん、とした顔になる。
そう返されるとは、思わなかったらしく]
……そこまでを『夢』に、とは思わなかったな。
[それだけを、呟くように言って]
…じゃ、何も怨みが思いつかないなら…
ただの、気まぐれ、って事になっちゃうね…
[ソレで良いのかなぁ、と小さく呟き…]
…別に、やられたら、好きなだけ、やり返せば…良いんじゃない?
[リディの言葉には一つ瞬き…本当にやってきたら報復するのだろうか。
少し、気になった]
[――雪の上に座り込んでいたせいなのか。
ふいに、足に痺れるような寒気を感じて、よろめきつつも立ち上がる。
ぱさ、ぱさ。軽くスカートから雪を払い、手籠を拾って。]
………。
[話し込む、皆に気付かれない様に。
*静かに踵を返した。*]
―――…そっか。
[ミハエルの呟きに、小さく頷いて。]
けど、あたしがコイツに会ったのは…お祭りが始まったときからだから。
あたしの、夢にするなら、そこからになっちゃうかな。
[……そういえば、握り締めたままだったなーと
手に持った蒸しケーキを見つめつつ。]
お前が少ないと思うんなら、少ないんじゃね?
[リディの問いには素で返し]
まあ、何かしら思うところはあるんだろうけど。
[イレーナの呟きには、それはあずかり知らぬ、とばかりに肩をすくめ]
[ミハエルやダーヴィットの話しを聞きつつ]
……夢でもなんでも…巻き込まないで欲しいもんだが…
それにしても団長にエーリッヒ…………基準がよくわからん…
[少女はいつの間にか、少し離れて、皆の会話を聞いている]
………終わりが来るのなら………
[その瞳はじっと、ただひとりを*見つめている*]
…夢だったのなら恐らくは…疾うに醒めているでしょう。
それに、例え今この時が夢の中だったとしても。
醒めるまではこれが現実でしかないのでは、とも。
[告げる言葉は諦観の色も紛れていたかもしれない。
遠い空を見詰めていたアクアマリンの瞳を*目蓋の奥に隠した*]
……そうか。
[その言葉に、自分の場合は何処からになるのだろうと思う。
この村に来た時から――が妥当か]
それを夢にするのは……
確かに、嫌……、かもしれないな。
[リディの視線の先を見、自分の落としたケーキの存在に気付いて、それを拾う]
[基準が解らないというアーベルの言葉には、同意するように頷いて]
……共通点……は、祭りの実行委員、というくらいか?
[なら次は、と思って。目前の青年を、じっと見てみたり。]
…うーん…有る意味、逆恨み?
[そうだったら、何とも言えないわね、と肩をすくめ…アーベルの呟きに、少し考え…]
…お祭に何か不満でもあるんじゃない?
団長に、エーリッヒ…実行委員でしょ?
[…真顔。結構真面目に言ったつもりらしい]
…じゃ、夢かどうか、確かめるために…一回寝てこようかしら?
寝るのに、困る時間じゃ…無いしね。
[小さく笑むと、皆に軽く手を振り…帰路へとつく]
…どうしたものかしら、ね…
[その呟きは*闇へと消えた*]
…倍返しされた時は、自分の気持ちを考慮して気が済むまで返すことにする。
[ユリアンから素で返された言葉に、真顔でコクリと頷きつつ。
アーベルの呟きに、むぅと唸って]
あたしは、王様と直に話してるわけじゃないからなー…。
コイツも、"ちゃんと悪い妖精が捕まえられたか"しか判んないらしーし。
……ま、そうしとけ。
[リディの返事に、微かに笑み。
それから、ふ、と夜空に目を向ける。
青の瞳にはどこか、何か、困惑したような色彩が宿っていたが──]
……っと、いけね。
出店、ほったらかしたままだった、俺。
[ふ、と、自分自身の現実に立ち返って呟く。
いつもまでも周囲に店番を頼んでおくわけにはいかないのだから、と呟いて。
話の輪から外れて、*自分の出店へともどって行った*]
[イレーネとミハエルの返答に]
そういえば…二人ともそうだな…………
妖精王とやらは”悪い妖精”はお祭り好き
……と、でも解釈してるのだろうか?
[そしてミハエルの視線の意に気づけば]
……子供やなんかが攫われるくらいなら…その方が良いかもな
[と、目の前の紳士な…でもまだ子供の範疇なミハエルの頭を撫でる。]
[成る程、というようにダーヴィッドの言葉に微かに頷く]
[翠玉の双眸には未だ困惑が在るものの、そうしてばかりも居られない。
しかし、幾ら考えても埒が明かず――同時に、矢張り何処かで、信じたくないというような心情が働いて]
[帰路に着くイレーネを見送り、少しくだけた仕草で、軽く頭を掻いた]
……取り合えず、……僕も、休むか……
[戻るぞ、と傍に控えている筈のユーディットに声を掛けようとしたところで。漸く、彼女の姿がその場から消えている事に気付く]
[――ユーディット?と、その名を呟こうとして、]
……ええい、撫でるなとっ!
[撫でられる感触に、若干慌てた様子でアーベルの手を払い除けた]
君に心配されなくとも、僕には巻き込まれる要因がない。
だから、大丈夫だ。
[妖精王が如何思っているかは、兎も角として。]
……アーベルにぃが連れてかれるのもやだ。
[むぅ、とアーベルの言葉に最早我侭っこ状態。
ただ単に、王のするだろう事が今は総て気に食わないのだろうけど。
むぐ、と手に持った蒸しケーキを頬張りつつ、
ふと、ミハエルの言葉に辺りを見回して]
……あれ?いつもの、お付きの人…居ないね。
一人で戻るの、大丈夫?危なくない?
[随分長い間迷って――結局、言うのは止めた]
[如何して説明したものか分からないし、そもそも自分でも何故少女と“話せる”様になったのかさっぱりだったから。更に状況を混乱させる必要等無いだろうと]
[雪の跡を見ながら、白い*溜息*]
[ミハエルが手を払いのける様にクスリと笑い]
…そうかもな、少なくてもミハエルよりもリディの方が危険だろうし…
[攫われても死なないらしいとは言え、
未知の場所に…………と、いうのは…安全だとは言いきれないわけで]
[寝に戻るイレーネや店に戻るユリアンに手をふり]
その石も、案外妖精王…?とやらにこき使われてるだけの身なのかもな…
[そして続くリディの言葉に、今度はリディの頭をポフリと撫で]
俺も攫われたい…とは思わない。
し、このまま手をこまねいて見ているのも嫌だ。
……妖精王とやらに協力する訳ではないが…
”悪い妖精”って、言うのを見つければ止む可能性は高いから
[けれど、妖精って言うのはどう探したら良いのだろう…と思案しつつ]
……ん。
心配ない、一人でも、戻れる。
[リディの言葉にそう返しつつも、視線だけは辺りに巡らせる。
“妖精”の件に気を取られてばかりで、見る余裕がなかった]
たしかに、見つければ…多分こんなコトも終わるだろうし…。
エリにぃも団長さんも戻ってくる、よね。
[アーベルの言葉に…無言で胸元の石を見つめて。
頭にその手が触れられれば、僅かに目を細めて。]
……けど、やっぱり一人だと危険だよー。
いつものお付きさんも居ないし、真夜中だし、
何かあったらミハ君のおかーさんが心配するだろーし。
[送ろうか?と小さく首をかしげて問い]
[笑われれば、矢張り顔を背けるようにして]
……彼女の言う事が本当であれば、そうだろう。
それに、婦女子を守るのが男の務めだ、僕が守られてどうする。
[そう、端的に返す]
[妖精の話には、未だ実感が湧かなくて、加わる事はしなかった]
問題は…妖精と言うのはどう探せば…だが
[肩を竦めつつ…ミハエルには]
そうだな、婦女子を守るのは男の義務だし
…年下を守るのは年上の義務だ。
[そう言ってから、リディとミリィとミハエルとベアトリーチェに
「送ろう」と、いう]
うーん…妖精って、普通探しても簡単に見つからない存在なんじゃ…。
[アーベルの言葉に眉を寄せて考え込みつつ
自分の胸元に居るはずのソレは、度外視。
アーベルの言葉に、とことこと近寄ってきたベアトリーチェの頭を
そっと撫でつつ、ミハエルの思案する様子にそちらを見つめて]
[少しして、顔を上げ]
いや、いい。
……一人の方が、早く戻れるだろうから。
アーベル、君は、彼女達を送って欲しい。
[端的にそう告げて、それでは――と軽く会釈を。
外套を纏い直すと、彼にしては珍しく若干急いだ様子で、足早に立ち去る]
[足早に立ち去るミハエルを見送りつつ]
[近寄ったベアトリーチェを撫でるリディ…とそれにミリィに
「さ…帰ろう」と、ばかりに頷きつつ。]
[ついでに、まだ残っている蒸しケーキをちょこっと貰ったとか]
[ミハエルが早々に立ち去れば、あ。と小さく声を上げるも。
…急いている様子を見れば、それを引き止めるのも気が引けて。
気をつけてねー?とその背中に声を投げる]
[その場に留まっていた数名も、それぞれ帰路へとついて]
[そうして、催促に答えるようにケーキを分けつつも
アーベルの後を追うように、自宅へと*戻っていった。*
―――――割り箸の墓標はそのままに。]
―回想―
[ミリィとユリアンの(情けない)様子に、
子供は気を取られていたけれど、
光はきちんと見れていた。
銀色と金色。月と太陽。
――エーリッヒが消えた。
コエが届いた。]
[リディの言葉も聞こえたけれど、
王様というイレーナの言葉も聞こえたけれど、
子供は、
自分のコエを聞いて、届けられる人を見る。
驚いているその人。
それから、本当の耳を使う。
――悪い妖精?]
じゃあ悪い妖精がさっさとそっちにいけばいいと思いますけど。
迷惑ですし。
[きっぱり一言言い切った。]
[コエ、コエ。
子供はノーラに見られて、
彼女を見上げた。
コエ。
ノーラのコエは好き。
だけど、妖精の王様のコエは嫌い。
だけど。
その、悪い妖精さえいなきゃ、そんなことにはならないはず。]
本当、迷惑です。
お祭りの時に逃げてこなくたっていいのに。
うっとうしい。
[子供はこんな騒ぎになっているのに、
本当に悪い妖精がいるなら、知らないはずはないと思う。
だから、その妖精が出てこないなら、
その妖精は本当に悪い妖精なのだ。
人が消えたって、
自分が捕まろうとしないんだから。]
自己中。
[そんな妖精が、
きょうだいや母や祖母と一緒の妖精なんて、
考えたくなかったから、子供は言った。]
さっさとつかまってしまえ。
[楽しい気分は台無しで、
悪いのは誰だって言われても、
子供は妖精の王様が悪いなんて思えなかった。
人が死んだら妖精になるのだと、子供は信じている。
それに、あのコエ。
ためしに呼びかける。]
[祭りが終わったら、この騒動も終わるのだろうか。
子供はそう思う。
それなら、
祭りなんてなければいい。
少し楽しくなくなって、
少し淋しくなってしまうけれど。
ずっとずっと、
淋しい外なんていたくないから、
部屋の中にいたくなってしまうけれど。
そのほうが、しあわせだ。]
─工房・自室─
んー……。
[光を感じて、目を覚ます。
今日も今日とて、目覚めは作業台の上]
くぁ…………身体、いてえ……。
[無理な体勢で寝ているのだから、そりゃ当然]
……あー、もう。
わかったから、わかったから、怒るなってーの。
[呆れたようにきゅーと鳴きつつ頬をてちてちする相棒に苦笑しつつ、作業台の上を片付ける。
台の上の作業は、昨日よりも進んだ様子で。
銀の翼の天使と星らしき意匠が作り出されていた。
メインとなるであろう紫水晶は、まだ、手付かずのままだけれど]
……間に合う、かね、このペースで。
……ま、ヘンに深刻になっても仕方ない、ない、と。
[しばしの沈黙の後、軽い口調で─どこか、とってつけたような響きはあったけれど─言いつつ、立ち上がって身体を伸ばす。
連日作業台で寝ているせいか、節々が痛むのは、抑えておいて]
……少し、気晴らしに歩いてくるか?
[肩に登ってきた相棒に向けて問う。相棒はこくこくと頷いてそれに答え。それによしゃ、と呟きつつ、自室を出ようとして]
……あれも、何とかしなきゃなんない……んだよな。
[作業台の隅に置かれた白の花冠を見やって呟く。
……編まれてから数日立つはずのそれは、何故か。
未だに、その艶やかさを損なった様子はなく]
……ま、騒いでどーにかなるもんでなし……。
[呟く声には妙に言い訳めいたものが込められていたような感があったりなかったり]
[少女は広場の雪の上、昨夜エーリッヒの居なくなった辺りでぼんやりしている。夜の間に降り積もった雪に、割り箸の墓標は半分埋もれてしまっていた]
[昨夜の子供の言葉を思い出す。悄然とした少年の様子も。雪の上にしゃがみこんで、そっと僅かにのこった窪みを撫でた]
悪いのは、妖精さんじゃないの…
[ぽつり、呟く]
[何となく声をかけ辛くて佇んでいると、肩の相棒がてちり、と頬を叩いて]
なんだよっ……って、おいおいっ!
[肩から飛び降り、走って行く姿に、何となく頭痛]
[目に入ったのは、ユリアンの相棒のネズミで]
こ、こんにちは。
[ヴィントがここにいる、ということは、当然ユリアンも近くにいるわけで。思わず少女は視線を彷徨わせる]
[挨拶されたネズミは嬉しそうにきゅ、と鳴いて、意味ありげに相棒を振り返り]
……っとに……。
[そんな相棒の様子にため息をつきつつ、そちらに近づいて]
よ……。
[後が続かない]
[何時ものように目覚め、何時ものように母と共に朝食を取る。
此処に来てからの、毎日の習慣]
[エーリッヒの失踪の件は、未だ、彼女には伝えていなかった。彼から口を開く事はなく、食卓には食器のかちゃかちゃという音ばかりが響く。普段はお喋りなフィリーネも、何か思うところがあるのか、我が子に声をかけはしない]
……御馳走様でした。
母上、本日も、外に出掛けて参ります。
[無言の儘に食事を終え、母にそう告げる。
彼女はほんの僅か困ったような微笑を浮かべ。あまり遠くへは行かないようにと、母親らしい言葉を述べて、その場を後にする彼を見送った]
って、ちょっ!
[いきなり逃げるように走り出されて、さすがに驚いて]
ど、どーしたんだよっ!
[追いかけた。多分、反射行動]
[どうした、と聞かれても、明確な答えが少女の中にあるわけではなく、ただ、正面から顔を見たら、何かとんでもないことを口走ってしまいそうな気がしただけで]
な、なんでもありませ…きゃあっ!!
[また、コケました]
…………けど、どうやって探せばいいんだかね?
[今まで攫われたのが団長やエーリッヒと言うことで、
妖精はどうやら人型の姿をとってると考えられる。
(そうでなければ、人間を攫うことはしないだろう)]
[ただ、かなり実力行使な攫い方から、
なんとなく穏やかざるものを感じる。]
………………金の光球と…そう言えば銀の光球……
[昨日の出来事を思い出し、情報になりそうなことは無いか考えた時思い出す。
金の光球は空から…だったが、あの、銀の光球は何処からきた?]
……………………
[青年は何か…得られるかも?と、銀の光球について考える
……が、広場から発生したのでは?ぐらいしか思いつかない。
あの銀の光球が”悪い妖精”に関するかはわからないけど、
まったく妖精と関係ないとも思えない。]
……光り…ランプ……イレーネの専門分屋…かな?
[光りをランプを通して扱うイレーネなら、
何か、銀の光球について…あの光り方について
知っていること、判ることがあるかもしれない。]
[それに、妖精と言うのは綺麗なものとか…好きそうじゃないか]
[転んだ様子にあちゃあ、と思いつつ、駆け寄って]
どこか何でもないんだよ、それの……。
大丈夫か?
[ため息、一つ。傍らに膝をついて雪の中から起こしてやり]
[自分の居た位置はどちらかというとミリィ側で。
立ち上がったミリィが此方に向かって走ってきて。
丁度、目の前あたりでこけた]
……。
[かける言葉が見付からない]
[昨日のベアトリーチェやリディの様子を思い出す]
……御伽噺は…妖精は…
子供に夢を…楽しいことを提供してなんぼだろ?
[会えなかったけど、充分楽しませてもらった自分の幼い頃を思い出し。
妖精の事件に巻き込まれたけど、あまり楽しいとは…な現状を思う。]
[青年はとりあえず、イレーネに相談してみよう。…と決め
玄関にかけてあるコーとを羽織ると…外へ。]
[少女は泣きそうだった。でも泣いてはいけないと思い直し、ユリアンに助け起こされると、必死で笑顔を作る]
ほ、ほんとに、なんでもないんです。ごめんなさ…
[視線を上げると、ダーヴィッドと目が合った。見られていたのだと気付いて。更にその目がなんとなく、事実を察知しているような気がして…]
(ぼふっ!シュー!)
[真っ赤になって、湯気を吹いたとか…ぱーとつー]
[散策中、何やら挙動不審なダーヴィッドの姿を見つけ]
……何をしているんだ?
[声をかける。]
[その直後、物凄い勢いで噴出する湯気が見えた。気がした]
いや別に、謝んなくてもいいんだけど……。
[大丈夫なのか、と問おうとする矢先に湯気をふかれて]
……えっと…………熱、ない、よな?
[熱はなくとも熱はあるんじゃなかろうか、と。
誰か突っ込むべきだろう]
[結局、夢の中での対話では、何も解決策は浮かばなかった]
…まぁ、当たり前、なんだろうけどね…
[王様の力が違う者に使われているのでは…
皆が悪い妖精と誤認してもおかしくはなかったりする]
…まぁ…その内、王様も気付くでしょ…多分。
[王様に知らせる術はない。
これで、もう…致命的である。
そう思いながら、昨晩見た金の光と銀の光…からイメージを練っていた]
[ダーヴィッドの背後から少年の声がしたような、更に、向こうに青年の姿も見えるような…けれど、少女はそれどころではない心境で、ぎくしゃくとユリアンの方に顔を向け…但し目線は下]
だいじょうぶです、ねつはありません。
[殆ど棒読みだった]
[色々考えを巡らせている内にミリィと目が合って。
火にかけていた薬缶のような音を聞きつつも、しまった、などと]
…ああ、いえ、ちょっと。
[ミハエルの声には歯切れ悪く答え。
目線だけでユリアンとミリィの方を示そうと。
して、ユリアンに挨拶され。
何かどうしようもない気分になりながら手を振った]
[自宅。不意にきこえた“こえ”に顔を上げた]
…
[あれだけ祭りを楽しみに、そして楽しんでいた筈の子があんなことを言うなんて]
[そして幼馴染みも攫われ]
[如何にかしたい、と思う気持ちはぐるぐると空回るだけ]
あ、えっと……。
それなら、いいん、だけ、ど。
[棒読み口調に戸惑いつつ、切れ切れにこう言って]
…………。
[何をどう言えばいいのか、上手く先に続けられなくて。
困った]
[騎士の向こうに見える、赤髪の少女と青髪の男の姿。ぎくしゃくとした様子]
……………
[思考。]
逢瀬の途中だったか。邪魔をした。
[何故か納得をしたように言って、その場から立ち去ろうと。
ダーヴィッドにも、邪魔はしない方がいいのではないか、などと言いつ]
―Fairy's fire前―
[青年は熱が冷めないよう蓋がされたマグカップを2つ持ち、
イレーネの店の前に到着…して看板を見る。]
[この村では…伝承のおかげで妖精の名前を持つ店は多いけど…]
……イレーネ自身が妖精と関わり…があったりな……
[そうなれば、この不可解な問題とにも何らかの対処方が…
……と、ほとんど、そうなれば良いと言う願望的な呟きをしつつ]
[少年の言葉に思わず噴出しそうになった。
どうにかこうにか衝動を押さえ込んで]
…そ、そうですね…
[震える声はきっと衝動を殺していた所為。
此方に気付いてしまっているユリアンとミリィには会釈だけして。
広場の方に立ち去ろうと、して。
取り残された鼠を発見]
[…すっかり聞こえなくなった声。
まぁ、落ち込んでいるのだろう、と、特に気にすることもなく…]
…金の光が王様…で。
銀の光が…
[………と………?
その手を止め…軽く頭を振る]
…もし、王様の檻とか言うのに…
入れに行こうとしたとして、その理由が分からないわ…
[髪の毛をくしゃり、とかき、そのイメージを頭の中から追いやる。
…銀の光はどんな形にしようか…]
う……。
[思わず上げた声に素で返されて。困った]
いやその、なんでそこでそういう言葉が出てくるのかとか。
[逢瀬とか……という部分は、ややかすれたか。
その一方で、相棒は呑気に騎士に向かって尻尾をゆらゆら。
挨拶しているらしい]
……………
[顎元に軽く握った手を当て。
ミリィを助け起こしたユリアンの姿。それに、少女の反応]
……見た儘を、簡潔に述べたまでだが。
[仔細な説明が必要なのか、と言わんばかり。]
[少女が心配だったから、施設のほうを訪ねてみようかと思った]
[そして広場を通り掛かり]
…あら。
[見慣れた数人を見掛け、更に逢瀬という言葉が聞こえ]
[思わず隠れて様子を伺ってみたり。丁度さっきダーヴィッドがいた辺りだったりする]
[店の戸が叩かれる音がして…顔を上げると]
…ぇぇ、開いてるわ…
入ってきてもらって良いわよ?
[…その声の主…話とは珍しい、と軽く首を傾げつつも、机の上に出していた羊皮紙を片づける]
…あの、私…これで、失礼します…
[消え入るような声で呟いて、少女は、なんとかその場を立ち去ろうと試みる。手足が一緒に前に出たりしているが]
[尻尾をゆらゆらさせている鼠を両手で掬い上げる]
雪の上では寒いだろう?
とはいえユリアンはあの状況だし…
暫く私の肩で我慢して貰えるかな?
……みたまんまって……。
[きっぱり言い切られ、反論のしようがない状態。
どうしたものか、と考えていると消え入りそうな呟きが耳に届き]
って、ちょ、待った!
そんな歩き方してたら、また転ぶだろっ!
[そういう問題でもないような]
……仕事中すまない…時間は大丈夫か?
[青年はそう言いつつ店内に入ると「…土産」と言って
マグカップの内一つをイレーネに差し出す。]
……………………昨日のこと…なんだけど
エーリッヒが消えた時のことなんだけど…
[どう話しを切り出せばいいんだか…
青年は、若干口篭もりながら話しを切り出そうとする。]
[青年のどたばたをどこか他人事のように眺めつつ。
その相棒は騎士の申し出を理解したように、きゅ、と鳴きつつ、こくりと頷いた]
[反論が無い事に、うむ、と何故だか頷いて]
では、失礼する。
[今度こそ立ち去ろうとして、]
[先程ダーヴィッドの居た付近に潜む女の影]
[何と無く、既視感。]
ぇぇ、大丈夫よ?
今、どんなのを作ろうか考えて…詰まってた所だし。
[マグカップを受けとると、ありがと、と微笑んで…]
…エーリッヒ…ね。
[少し考え…商談しにきた者に勧める椅子を持ってきて]
…立ったまま、話すのも…変だし。
わざわざ店に来たって事は、すぐに帰る気じゃないんでしょ?
…いいんです、私なんて、転んだ方が…
[とぼとぼと歩きながら、少女はそんな風に呟いた。ああ、空が青いと思ったとか思ってなかったとか]
[ああ、やっぱこいつ確定可愛くねぇ……とか思いつつ。
耳に届いたミリィの呟きに、ぐしゃ、と前髪をかき上げて]
っとに……もうっ!
どういう理屈だそれっ!
俺はお前が転んでも、嬉しくねーぞっ!
[それもそれでどういう物言いなのか]
詰まっていたのか…物を作る仕事は…大変だな
[青年はイレーネの言葉を聞けばそうポツリ。
続く言葉にはコクリと頷き、
勧められた椅子に礼を言って素直にかける。]
…………なんだったんだろうな…と思って。
昨日のこと…それに、団長のことも…
[ユリアンの言葉に、少女はぴたりと一度足を止め、ゆっくりと振り返って、青い瞳に、視線を合わせた]
ありがとう。大丈夫です。もう、転びません。
[にっこり笑って、そう言った]
…ん。
昨晩見た光…で考えてたから…
どうしても、自分のイメージを出したくて。
[ソコまで苦じゃないわ、と小さく笑って…
マグカップの中身に息を吹きかけ]
…って事は…夢じゃなかった、って事ね。
[軽く肩をすくめて見せる]
…簡単に言うなら、リディが言ってたとおり…
王様が悪い子を檻の中に入れようとしたの。
…でも、王様ご乱心みたいね。
[マグカップを少し傾け、啜った]
[こちらを見つめる瞳を、つい真剣に見返しつつ]
……なら、いいけど。
でも、心配だから……。
[他の連中と違って、と。付け加えた言葉はやや、小声で]
…ああ、残念ながら夢じゃない…ようだな。
昨日見た光りも…金と銀の…そう、その光球に関して…
光りをランプを通して扱うイレーネならなにか…
[そこまで言って、マグカップの蓋を外して一啜り
…しようとした所で、イレーネの言葉に噴きかける]
……悪い子…は、悪い妖精…として
檻…?王様も御乱心…?
[青年は目を丸くしてイレーネを見る]
……イレーネもリディのように……
なにか、妖精王とやらから話しをきかされて…いたりするのか?
こっそりと覗くのも、どうかと思うのだが。
[正論。]
……まあ。
まだ見るつもりならば、止めはしない。
[言って、今度こそすたすたと。ユリアンとミリィの傍から離れる。
屋台の数は少ないとは言え、広場でそんな事をしている二人は、否が応でも人目を引きそうだが]
…んー、あたしも金と銀の光についての文献は…
見たこと無いかな。
初めて見たけど、綺麗だったわね…困るけれど。
[マグカップを両手で持ち…アーベルの問いには小さく頷いて]
…んー、でも、妖精王自身からは話は聞いてないわね…
あたしもリディのように、遣いの者…の妖精から、話を聞いたの。
…でも、王様に報告できなくて困ってるみたい。
[平然と言うと、もう一度グリューワインを口に含み]
[心配だから、とユリアンに言われて、少女は、困ったような表情になる]
あの、私、そんなにドジに見えます?
[見えない方が、どうかしている]
いや、そーゆー直接的な意味だけじゃなくて。
[困ったように問われて、軽く頬を掻き]
なんつか……ほっとけないって言うか、うん。
色々と。
[何が色々なのかと]
…う。
[正論を突かれて小さく唸り、ミハエルの背中を見送った]
[幸いまだ渦中の2人には気付かれていないらしいので、もうちょっと見ておくつもり]
……そうか…特に文献なんかには…ないのか…
[専門分屋のイレーネが知らなければ
…後は妖精達本人…しか、わからないだろうな…と嘆息しつつ。]
綺麗なのは確かだが…人を攫う光球なんてごめんだ。
[嘆息に左手のマグカップに入った液体の表面が息で揺れる。
揺れた表面を口に含みつつ、イレーネの言葉を聞けば]
……遣いの妖精……か。
イレーネもリディのように、何か手伝っているのか…?
それに報告できないって言うのは……
…………現実なんだろうがわけがわからん…
[平然と話すイレーネに青年は混乱気味で。
本当に最近まで御伽噺だと思ったのものが
現実に越境している事体に溜息をつく]
[時計に目を落とすと、大分 時間が経っていて。
……別段、急ぐ用がある訳ではないから、構わないと言えば、構わないのだが]
こうしていると……
[昨日の出来事が、嘘だったかのようだと思いつつも。
現実だと再認識する為に、外套をしっかりと羽織り直して、*通りを歩く*]
ん…
[アーベルに頷いて…頬を掻き]
妖精は…あたしと波長が合ってるとかで、勝手に宿ってるだけよ?
特に手伝ってるつもりはないわね…
時々、頭の中に声が響いたり、夢の中で話してたけど。
[マグカップを置くと、はぁ、と息をつき…]
…なんでも、その悪い子を探すために来たんだけど…王様が気付かないんだって。
…このお祭に来ている妖精が多すぎて。
…まぁ、ね。
あたしも御伽噺だと思ってたけど。
…流石に、あーいうのを見ちゃうと、ね。
[少女は笑う。柘榴石色の瞳を潤ませて]
気にかけてくれて、嬉しいです。でも、本当に大丈夫ですから。
[ぴょこん、と、お下げ髪が跳ねる]
……そっか。
いや、大丈夫なら、いいんだ。大丈夫……なら。
俺が、一方的に心配してるだけだし。
[頭を下げる姿に、ぽつ、とこう返して。
青の瞳は何やら、複雑そうな光を宿していたけれど]
[イレーネの言葉に呆然と頷きつつ話しを聞く]
妖精が…宿ってる
……外見的に特徴が出たり…には見えない…な
[イレーネの言葉にマジマジと見詰める]
……その妖精との言葉だと……目的の”悪い妖精”以外にも
妖精が沢山…なんだな…そして、現在その妖精は”悪い妖精”はみつけてない…と
[イレーネの言葉をオウムのようにかえして、
なんとか青年自身の中で整理する。]
……俺としてはさ…なんかよくわからんけど…
人攫いとかは止めて欲しい…と、思ってるんだ。
リディが言うには死んではいないって言うけど…
けど、やっぱり心配だし…これから先誤認で攫われる人が増えないとも限らないし
[ここで、グリューワインを啜って喉を湿らす。]
んー、そうみたいね。変わったね、って言われてないし。
[変わってたら、外に出れなかったかもね、と小さく苦笑して…アーベルの言葉にきょとんと目を瞬かせる]
…まぁ…人攫いは辞めて欲しいけど…ね。
今のところ、王様が悪いようにしか見えないのよね。
[んー、と、顎に指を当て…視線は天井に]
一応…王様が言ってる目当ての妖精は見つかったんだけどね。
悪い妖精に、見えないの。
だから…あたしはコレについては言いたくないわ。
[少女は、じっとユリアンの瞳を見つめる。立ち去ろうとして、立ち去ることが出来なくて。言いたいことがあるような、そんな気はするのだけれど]
[そしてイレーネの目当ての妖精の発見…を聞き
続く言葉を聞けば難しい顔をし]
その”悪い妖精”…は悪くは見えない…か
まぁ…手当たり次第攫ってる王様が
良い王様…には見えないのは同意だけれど
ただ、正直王様と妖精のいざこざに捲きこまれて
これ以上攫われる者が出るのはいやだな。
その該当妖精を差し出すと言うわけじゃないが…
妖精の問題は妖精同士でなんとかして欲しいと俺は思う。
少なくても…王様が良い王様じゃなくて、
さっき言ったように御乱心?気味なら
黙ってろと言う約束を反古したことになる
リディが攫われる危険性があると思うと…
人攫いの方向が子供達に向くようなら俺は悠長には構えてられない
[言いたい事……というか。
言わないとならない事があるような気がしているのは、こちらも変わりないのだけれど。
それが上手く言葉としての形を結んでくれなくて。
結果として、こちらも柘榴石色の瞳を見つめ返すしかできず、沈黙]
[アーベルの話を、マグカップを傾けながら聞いていたが…]
まぁ、ね。
手っ取り早く、人攫いを止めるなら…見つけたのをどうにかして王様に教えなきゃいけない。
でも、その方法についてはどうしようもないわよね。
「この人が、悪い妖精です!王様、こっち見て!」
なんて言ったら、変な目で見られるのは当たり前だわ。
…しかも、その後、その人が消えたら、尚更、ね。
[前髪を一房つまみ…その一房に視線を移しつつ]
しかも…あたしは、あたしに宿っている妖精が、ホントに王様の遣いなのか…
まだ、分からないのよね。
実は良い妖精なのに、とか、してやられたりしたら…
その、悪い子って知り合いだし…あたし、後悔すると思う。
だから…やっぱり、まだ、言いたくない。
[楽しいような、苦しいような、嬉しいような、哀しいような…そんな時間が過ぎて、少女は柘榴石色の瞳を瞬かせる]
それじゃ、私、行きます。
[昨夜、子供がランプを買いに行くと言っていたのを思い出していた。きっと、あの騒ぎでは買う事が出来なかっただろうと思う]
確かにどう伝達するかは…問題だな…
……イレーネについている妖精やリディの所の妖精に
聞くのが一番手っ取り早いとは思うが……
[それから、イレーネの言葉に一つ溜息]
……イレーネの知り合いか……
…………それが誰だかわからない立場で
イレーネの知り合いの悪口を言うようで気がすすまないが…
俺はその妖精が悪いのかどうかまでは知らんが…いい奴とも思えない…な。
既に無関係な人間二人が攫われているのに黙っている奴だから。
もし、昨日エーリッヒがいなくなる場にいたのなら、
リディのはなしも聞いている筈…それでも出てこない奴なんだ。
イレーナについてる妖精が本物かどうかともかく、
何らかの関係者があの場いにいて、なにも動いていないなら
正直保身に走っているようにしか俺は思えない。
……少なくても、ただかくまったり手を拱いて見て
これ以上人が攫われる…のを放置するのも俺は後悔すると思う。
[青年はそう言うと、マグカプの中を啜る。]
…残念ながら、あたしの妖精は…伝える方法については見当も付かない、って。
[グリューワインを口に含み…]
それに…一番恐いのは、その、悪い子…が…
自分が悪い子と思ってない場合、なのよね…
あたしも、悪い子としか聞いてないから、何をしたのかとか知らないし…
説得しようにも、「これ以上、攫われて欲しくないから、王様の所に行って」、じゃ…ね。
みんな首を横に振ると思うわ。
[マグカップに視線を落とす]
…悪い子も、あたし達には悪い事をしていない。
言ってしまえば、人間の我が侭で、保ってきた調和を乱すようなことになる…
…それでも、良いのかな。って…
[歩み寄る気配に気付き顔を上げて。
鼠と戯れる前まで見ていた様子を思い出してか笑顔]
おかえり?
相棒を放りっ放しは感心しないな。
[肩の鼠を手に移し、彼の肩に乗せようと]
[向けられる笑顔に、何やら感じつつ]
ああ、どーも……。
って言うか、こいつが勝手に走ってったんだけど、ねー。
[つい言い訳がましく呟きつつ。相棒を受け取って肩に乗せ]
追い抜く時に拾えなくもなかっただろうに。
まぁ、そんな余裕はなさそうだったが。
[ある意味最初から見ていた男はくすくすと笑い。
その笑みも微笑ましげではあったが]
[――人知れず、姿を消した後。
彼女は独り、村のはずれを彷徨っていた。
さく。さくさく。
真っ白な処女雪を、ゆっくりと踏みしめながら、歩く。]
……はぅ…。
[吐き出す息は、白く…揺らめいて。冷たい風にほどけて消える。]
イレーネ……
妖精の我侭で今まで…何年も人攫いも何もおきてなかったのがおきている
ように、俺は思うんだが…それをどうにかしたいのは可笑しいか?
[青年は苛立ったように、右手で左目にかかる髪をかき上げる。]
その、妖精とやらは直接悪いことをしてないかもしれない
けど、間接的に悪影響は出ている…無関係の人が攫われているのだから
自覚がないなら、ただ被害は拡大するばかりだし…
結局被害が拡大していけば、いつかは捕まる…
[青年はいつのまにか声が大きくなってたようで、ここで1つ嘆息]
少なくても、知り合いが…エーリッヒが捲きこまれた以上
俺は、そいつ?そいつら?と、
直接この件に関して話しはすべきだと思う。
そこでそいつの事情を聞いて、
それから庇うのか、そいつを説得すべきなのか
…を、考えるべきじゃないのか?
う……。
[妙にわかってる、という様子で言われて、ふい、と目を逸らす。
……その、逸らした先にノーラの姿が見えて。
ますます凹みは加速したのだが]
「お祭りの時に逃げてこなくたっていいのに。」
[――無垢な少女の言葉が、静かに胸に突き刺さって。
耐え切れなくて、その場を、そっと逃げ出した事に、気付かれなかっただろうか。]
[目の前の青年が何処かを見た瞬間、纏う重さが激増した気がし。
何気無く視線を追えば先程まで自分が居たところにノーラの姿。
…妙な既視感が襲ったのは何故なのだろう]
こんにちは、今日は、お休みですか?
[少し緊張した面持ちで、少女は扉を開け、返事を待たずに、言葉を繋ぐ]
あの、昨日ベアトリーチェが、ランプを買いたいって言っていたんですけれど、買って帰れなかったと思うんです。だから私、代わりに買っていってあげようかと思って。
…あ。
[気付かれた]
え、ええと…、……ごめんなさい。見るつもりは無かったのだけど…
[その実見るつもり満々だったのだが]
[言い訳しつつも、やはり何処か微笑ましげな表情]
[苛立ちの色を見せるアーベルの言葉に視線は落としたまま]
…おかしくは、無い…と、思うわ…
でも…王様の…ただの、我が侭な行為なら…
あたしは、協力したくない。
間接的な被害、って言っても、その原因は王様。
悪い事言われてる人が自覚して引き起こした事じゃないわ。
それに、妖精は「見つけた」、って言ってる。にもかかわらず、王様は聞く耳を持たない。
だから…あたしには我が侭にしか見えないの。
[そこまで言うと、顔を上げ…]
エーリッヒが連れて行かれる前に…ちゃんと、一人、見つけていたわ…
なら、エーリッヒが連れて行かれたのは何故?
ちゃんと、下に遣わした妖精が居るのに、話を聞こうとしないのは何故?
…あたしには…我が侭にしか、見えない。
駄々こねる子供に、物を与えたら…つけあがることを覚えるだけ…
[言葉の途中で、ガラスのベルが鳴り…思わず身体を震わせ…
そのドアの方へと目を向ける。
ミリィの姿を見ると、少し堅い動きで]
ぁ…ぇ、ぇぇ、開いているわ。
ベアトリーチェちゃんは、どんな…ランプをお探し…かな?
[笑みを携え、ミリィに尋ねた]
[応対する店主のどこか堅い面持ちも、その理由にも気付いていたけれど、少女は気付かぬふりをして、明るい声をあげる]
施設の子供達のところに置くみたいなので、きっと色が綺麗で明るいランプがいいと思うんです。
みんなが楽しくなるような。
[――最初に、”王”が光臨した時。
彼女は”人間が”王を怒らせたのだと思った。
『違う』と言われたのに、帰ってこなかった団長が気になって、探したりはしたけれど。
リディのペンダントに触れて、妖精の気配を感じたりもしたけれど。
偉大なる”王”がされる事に、彼女が出来る事なんて思いつかなくて。ただ、黙っていた。
だけど。
エーリッヒが攫われて。
イレーナやリディの言葉を聞いて。
そこで初めて、”王”の探す”悪い子”が、妖精なのだと、知って。
ぐるぐるぐるぐる。
思考と共に、足跡も不自然に、うねっていく。]
…イレーネ、その妖精は
「伝える方法については見当も付かない」んだろ?
じゃあ、ちゃんと連絡が出来たいなかった可能性はないのか?
正直、俺は王様も隠れている妖精もどっちもいけ好かん。
どっちの協力もしたくない。
村の外で勝手に…人を巻き込まずに自分達でどうにかしろと言いたい。
ただ、王様側の話しはイレーネとリディを通して聞いたが
では、その該当妖精達の話しは聞けてな…
[そこで、ミリィの声に気づき口をつむぐ]
せっかくの妖精祭りなのに、ちょっと盛り上がりが足りない感じですものね。
だから、せめて綺麗なランプで楽しい気持ちになれたらいいなって思うんですけれど。
あ、そういえば、何かお話中だったんですね。お邪魔でしたか?
[畳み掛ける様に明るくおしゃべりする様子は、どちらかと言えば、普段の少女より、いつも元気な彼女の友達に近い]
明るい色…
[立ち上がると、棚の方に行き…明るい色ガラスで作られたランプを持ってきて、机の上に置く]
…コレ、なんて…どうかしら?
[ミリィには軽く首を傾げつつ…
アーベルにはメモ張を取り出し、ペンを走らせ…アーベルに渡した]
『妖精は、その王様に声を投げかけているけど、王様は気付く様子がない。
あたしも、正直勝手にやって欲しいわ。
でも、何故か此処を選んだ…コレについては、あたしは聞いてない。
多分、リディが言ってたことだと思う。
その妖精達に話は聞けてないけど、とても…自然に振る舞ってたわ』
[彼女は悪い事をした自覚は無い。
だけど、”王”が探しているのは妖精で。
他に妖精らしい存在を、彼女は……知らなくて。
だから、きっとベアトリーチェを悲しませた妖精は、自分なのだろうと思って。考えて、考えて、考え…て…]
……もしかして。
[渦になった足跡の、中心で……ぴたり、足が止まる。]
舞姫……私がしたのが、いけなかったのかなぁ……。
[だったら、彼女を勧誘した実行委員のエーリッヒが連れて行かれたのも、納得できるわけで。]
……そっか。
だったら…私がごめんなさいしたら、もう誰も攫われずにすむよね…。
[エーリッヒに間接的に協力したご主人様が攫われる事も、ベアトリーチェを泣かせる事もないよね。
そう、小さく呟いて。ようやく、別荘へと向きを変える。]
[ミリィの様子を見ながら…イレーネがランプを取り出すのを黙って見ている。]
[差し出されたメモを読み、青年はペンを借りてそこに書きつける。]
『……何らかの妨害でもされているのだろうか…声が届かないと言うのは…』
[そう書きつけながら…またペンを走らせる]
『今現在、俺はリディやイレーネの話しを聞いて…
妖精王が原因なのかとも思うが、けど、それは一方的な見解で
狙われている妖精の話しを聞いてから判断しても遅くは無いと俺は思うが…』
『正直なにも知らないでふりまわされるのはごめんだ。
イレーネの知り合いに話しを聞いてその妖精に分があるなら
手助けすれば良いし、そうじゃないなら説得すればいい。』
[ふと、空を見。施設に行こうとしていたことを思い出す]
嗚呼、そういえば…
…ベアちゃん見なかったかしら?
[2人に向き直り、尋ねる]
[昨日の様子と今日きこえたこえ。もしかしたら、祭りが終わるまで外に出ないつもりなのでは…と]
[少女は、目の前に置かれたランプを綺麗ですね、と言って眺めながら、ちらちらとメモで会話する二人の様子を窺っている。あまり上手に態度が隠せているとは思えない]
[別荘へと戻った時には、他の要因も含めすっかり蒼褪めて震えていて。イザベラに問答無用とベットに放り込まれた。
やや遅れて戻ってきた主には、合わせる顔も無くて。
ベットに潜り込んだまま、震える声で告げた謝罪の言葉は、届いたのだろうか――]
[ノーラの問いに、一つ、瞬いて]
……いや……俺は、今日は見てない、けど。
[それからふと、昨夜の様子を思い返し、ため息一つ]
……なんつーか……怒ってたみたいだし、ね。
[呟く言葉は何となく、苦笑を帯びていたかも知れない]
ベア…ベアトリーチェか?
いや、私は今日は見ていないが…
[子供らしいといえば子供らしい、はっきりとした言葉。
昨夜のそれを思い出して、少し表情は翳った]
『分かった。
でも、あたしに任せて貰うわよ?
話が聞けるまで、その二人の名前は教えない。
そうじゃないと、見る目が変わりそうだから』
[ソコまで書くと、メモを破り…アーベルに渡して…
ミリィの方を見ると、軽く首を傾げた。
…メモでの会話がおかしく見えることには気付いては居ないようで]
…どうかな?
もう少し、落ち着いてる方が良いかしら。
いいえ、とても綺麗です。これならベアトリーチェも喜んでくれるかしら…
[目を細めて、ランプを撫でてから、少女は、唐突に顔を上げる]
妖精って、普段は妖精の国に住んでいるんですよね。
妖精の国は、人間の世界とは時間の流れが違っていて、だから人間から見ると、妖精さんは、いつまでも年を取らない存在のように見えるんですって。
この村に妖精さんがいるなら、その妖精さんも年を取らない人なんでしょうか?
[渡されたメモに頷く]
そうそう…ベアトリーチェに渡すなら…
ギリギリまで内緒にしたら喜ぶかもしれない。
『彼女は俺以上に腹を立ててるから接触する際は気をつけて。』
[言っている言葉と、さらなる走り書きで意図が掴めるよう
頭を絞って書きつける。]
[それから「長居をした、すまない。」と、告げると、青年は外へ。]
嗚呼…
[やっぱり、と頷いて]
あれだけ楽しそうだったし、余計…ね。
[お祭りが早く終われば、と少女は言っていた]
[片頬に手を当て、嘆息]
……妖精、か。
…そう、良かった…
[小さく笑むと…ミリィの言葉に一つ瞬きをし…少し考える]
…んー…確かに、そうかも知れないけど…
妖精って、不思議な力も使えるでしょう?
それで、外見も年相応に見せることも出来るんじゃないかしら?
[分からないけどね。と軽く肩をすくめて見せ…
メモを受けとると、小さく頷いてポケットに入れ]
ん、気にしないで。
[ガラスのベルを聞きつつ、アーベルの背中を見送った]
[――そして現在。
彼女は体調を崩したと思い込んだイザベラによって、部屋に軟禁されている状態だったりする。]
………どうしよう…。
[心は既に決まっているし、元の姿に戻れば抜け出すのもさほど難しくは無い。
――ただ一つ、しかし決して無視できない問題以外は。
屋敷しもべ妖精の彼女にとって、既に主との契約は成り立っているから、勝手に此処を”出て行く”事はできない。
妖精の約束は、例え不本意なものであっても絶対で。
――だからこそ、昨日のリディの様子を思えば、早くどうにかしなければいけないのだけれど。]
何か…身に付ける物を下さいって…。
どうやって…言えばいいのかな……。
[理由をちゃんと言うべきか、言わずになんとかもらって(契約破棄)して出て行くべきか。
ベットに起き上がって、光の珠が消えた空を見上げ、*物思いに耽って――*]
まあ、ショックは大きかったんだろう、な。
[ぽつり、呟き。
それから、き、と空を見上げる。
青の瞳には何やら、決意を込めたような……そんな色彩]
……細工。
仕上げねぇと。
[それから、唐突にこんな呟きをもらして]
[ノーラの嘆息に、天上を仰ぐ。
金の光が掻き消えた、天の中央。
男もまた、息を吐いて]
…無事であれば良いのだが。
[目蓋を伏せ、呟く]
……私は一度宿に戻るよ。
また、夜に会えるなら。
[ユリアンとノーラに会釈を向け、宿の方へと歩き出す]
[少しぼんやりとアーベルを見送っていた少女は、イレーナの言葉に、頷いた]
そう、ですね。妖精の魔法で外見は変えることができるのかも…。
妖精の国って…どんなところなのかしら?
[ガラスのランプを持ち上げて、少女は呟く。煌めく色達を見つめる柘榴石の瞳は、夢見る色ではなく、どこか寂し気に揺れている]
[宿へと戻る道程。
長い黒髪、同色のドレス、浅黒い肌の女性と擦れ違う。
歩みを止めることのない女性と裏腹に、男は立ち止まる]
……そうか、彼女が…
[探し出す者か。呟く声は誰の耳にも*留まることはない*]
―裏通り―
[裏通りを通り新しく積もった雪に足跡をつけながら
さっきイレーネの所で聞いた話しを考えていく。]
……妖精の事情も、王様の言い分もなんでもいいが…
本当…子供達を巻き込まなければ良いのだが…
[腹を立ててたリディ、呆然としていたミハエル、ふくれてたベアトリーチェ]
[その様子から妖精にも見えず…ただ、振り回されているように見え…]
振りまわすなら、楽しいことで振りまわしてやって欲しかったな…
[青年はそう呟くと視線を足元に落とし、
なんとなく小さな雪だるまを*作り始めた*]
…妖精の、国…か。
[ミリィの言葉に小さく呟き…]
…少なくとも、綺麗な所、だと…思いたいけどね。
[ランプを持ち上げる少女を少し見て…その表情に何とも言えなくなる]
[お気をつけて、とダーヴィッドを見送って]
…嗚呼、お店ね。
ごめんなさい、何だか引き止めちゃったみたいで。
[今度寄らせて頂くわ、と笑ってユリアンに]
[彼の秘めた決意までは読み取ることはできなかったけれど]
[空から視線を下ろし、いつもの笑顔をノーラに向けて]
いや、店に出すのじゃないんだ。
どうしても、創り上げたい細工……祭りが終わるまでに、ね。
忘れてたのは俺だし、引きとめとか、気にしないで。
[にぱ、と笑いながらこう言って。
じゃ、工房に戻るから、と言いつつ、ゆっくりと歩き出す]
これ、頂いていきますね。
[少女はランプの代金を置いて、イレーナに微笑みかける]
どんなに綺麗なところでも、きっと妖精さんがその国に帰ってしまったら、二度と会えなくなる気がするんです。
誰が妖精だったとしても…私は、そうなってしまったら寂しいと、思います。
[そう言うと、少女はペコリと頭を下げる。赤いお下げ髪が、小さく跳ねた]
[念の為、祭り本部に行きはしてみたものの、エーリッヒの姿はなく。
団長も行方不明の儘――との事だった]
[しかし不思議なのは、誰もそれを深く気に留めた様子がないということで。彼に尋ねられ、ああ、そう言えば、と思い出した様子だった。祭りが終わる頃には、ひょっこりと戻って来るのではないか等という、気楽な会話すら聞こえて来る]
……全く、悠長な……
[これもまた、妖精の力とやらの所為なのだろうか。
かと言って、彼が妖精云々だなんて話題を口に出しても、まともに取り合っては貰えないだろう。彼自身、半信半疑にも満たない程の心情だったのだから]
[リディの言が真実ならば、二人に危害が与えられる事は、無い。
そして単に妖精達の問題なら、放っておけば勝手に解決するかもしれない]
[が、だからと言って、じっとしていられる彼ではなく。
宛ては全く持って、無いのだが――足は自然と動いて、賑やかさを増して来た通りを抜け、行った事の無い、村の外れへと]
[――村と森との、境界。
数日前、母が此方の方角を見て、僅かに困惑の表情をしていたのを思い出す。
何故だか、それ以上先には行く気になれなかった。まるでその先は、行ってはならない異世界であるかのように。彼にしてみれば、この村の方が、余程“異世界”であるのだが]
[雪の降り積もった地面には、彼以外の足跡が、疎らに見えた。
唯の足跡にしては、奇妙にくねったものも。しかしそれも、殆ど消えかかっている]
……………
[吐く息は、今日も白い。雪のような美しさは無いけれど。
すっと大気に溶けていく様子は、昨日見たひかりをも思わせて]
――……妖精、か。
[小さく呟いて、*瞳を閉じる*]
[代金を受けとると、ありがと、と小さく笑んで…]
…そう、ね…
[ミリィの言葉に視線を落とし…冷めたマグカップが視界に入る。
ミリィの言葉、アーベルの言葉…どっちも、頷けて…
溜め息を一つ。
ガラスのベルが鳴り響き、店内に一人残されたことが分かると、羊皮紙を取り出して広げ…*頬杖を着いた*]
嗚呼、そうなの。
完成すると良いわね。
[目を細めて見る。初めて村に来た時とは違い、職人らしい気質が感じられた]
[それから頑張ってね、と見送り]
[ゆっくりと、ゆっくりと、工房への道を歩いて行く。
表情は珍しく、俯きがち。
彼を見知った者であれば、その様子に違和感を感じるだろうか。
珍しく伏せられた目には、翳りめいたものが浮かんでいたが──]
…………。
[工房の前で、立ち止まり。
再び、きっ、と空を見上げる]
……バカ親父……てめぇ、後で覚悟しときやがれ……。
[低く呟きつつ、空を睨む瞳。
そこには翳りはなく、あるのはやや、物騒な感もある、決意。
その瞳の青がわずかに銀を帯びていた事に、*果たして誰か、気づいたか*]
…
[1人になると、また空を見上げる]
[何か忘れてしまっている様な気がする。祭りが始まって、“こえ”が交わせる様になってから、ずっと引っ掛かっている事]
[思考を巡らせるも。暫く後、緩く頭を振り広場を後に]
[――悩んだ末の、答えは。……非常に弱気なもので。
ぱさり。ぱさ、ぱさ。
ベッドを整えてから、借りていた大き目の侍女服を脱いで、きちんと畳み、その上に置く。
元の服に着替えて、かがられた靴下と片方だけの靴は……少し考えてから紙に包んで、胸に抱える。]
……お世話に、なりました。
[馴染みつつあった部屋に、*ぺこり、頭を下げて。*]
[熊を抱いていたらいつの間にか眠っていたようだ。
子供は目を覚まして、幾度か手の甲で擦る。
外はもう暗い。
他の子らもお昼寝している。
子供はそっと抜け出して、
二階の、一つの部屋に辿り着く。]
[子供がやってきた部屋は、裁縫の部屋のようだった。
ミシンなどを横目に、探し出す。
音を立てずに、戸棚を開けて、
子供は目当てのものを見つけた。]
ここ、きてから……切ってなかったなぁ。
[楽しくて、つい忘れていた。
子供はそう思って、その鋏を、
金色の髪に、あてた。]
[刃物と刃物の触れ合う音が響く。
ちゃきちゃきと髪を、同じくらいの長さで切っていく。
手馴れてはいるのだろう。
何歳から髪を切っていたのか、子供に記憶はないけれど、
床に落ちた金糸と、子供を飾るものは、
とても綺麗になっていた。]
[やがて子供は、頭を振った。
飛び散る金糸。
床にちらかるそれを見て、小さく頬笑んだ。]
僕はまだきょうだいになれる。
だから、大丈夫。
僕はぜったい、忘れないから。
[手早く箒とちりとりで、
ちらばった細い髪を集める。
子供はそれから、鋏を戻して、
てとてと、部屋を越え、
とことこ、ギィ。
小さな音を立てて、外への扉を開いた。]
[道行く途中で、苺飴を1つ買った。最初の日に貰ったものと同じそれ]
[朝に1度、それ以降は何となく呼びかけるのは躊躇われて。ずっと何も言わないままだった]
[時折空をちらりと見上げて、また歩を進め]
……
[やがて、さくり、と小さな音を立てて。足は止まる]
[外は今日も綺麗だった。
子供は大通りの方を見るけれど、
あまり行くのに乗り気ではない。]
妖精なんて嫌い。僕はきょうだいと親と施設のひとしか好きじゃない。あと……
[一人の名前を言おうとして、目の前にその人がいるのに気づく。
子供はにこりと笑った。]
こんばんは、ノーラさん。
[その声は耳に慣れたもので。笑う顔も何時ものもので]
[けれど]
その髪…
[何となく、不自然なものを感じたのは何故だろうか]
[挨拶を返すのも忘れてしまった]
…そう。
……そうなの。
[同じように笑顔を作りはすれど、…やはり何かが違うと思う]
…うん。似合ってる。
[それでもその金糸に向けて、手を伸ばそうと]
[その手をよけることはしなかった。
子供は、コエが届く彼女を、
仲間だと認識しているから。
乾いた髪を切ったくせに、
それはとても綺麗に、揃っているだろう。]
それなら嬉しいです。
久しぶりだけど、ちゃんと切れて、良かったです。
[その問いに、子供はこくりとうなずいた。
それから不思議そうに首を傾げる。]
自分で切るのはおかしいですか?
僕は昔から、自分で切ってました。
そう、昔から。
僕は、ひとりじゃないから
[にこにこと笑って、子供は言った。
それはおかしいことだと、気づかずに。
それからまた首を傾げる。]
ノーラさんはどうしたの?
何か、用事があった?
[どきり、とした]
[彼女のいなくなってしまった“きょうだい”のことを言っているのだろうか]
え…
あ、…これ。
[子供の声に、はたと思い出して]
[左手に持ったままだった苺飴を差し出す]
今日はお祭り行ってないって、聞いたから。
[渡された、苺飴。
子供はきょとんと瞬いた。]
僕に?
ええと、ありがとうございます。
今から少し、行こうか、悩んでました。
[お祭り、と、口に出して。]
[素直に受け取って貰えて。違和感はあったけれど]
…あら、そうだったの。
[閉じこもってしまうのではという懸念があったから、少しほっとして]
なら、一緒に行きましょうか?
[子供はこくり、とうなずいた。
違和感をもたれているなんて、当然気づかずに。
だって子供は、
この村に来る前は、
ずっとこんな感じだったのだから。]
一緒に、行きます。
ありがとう、ノーラさん。
―大通り―
[ボンヤリと人の行き交う様を眺めながら
先ほど屋台で買った苺飴を頬張れば、ぱきんと音を立てて表面の飴が欠けた。
祭りが始まって数日。通りの賑わいは衰える様子を見せなかった。
――――自衛団長や、エーリッヒが居なくなった事が無かったかの様に]
―――そーんな王様の怒りなんて、怖くないし?
[何となく、昨夜の会話を思い出して―――ぽつりと呟いて。
…それから、まるで自分に言い聞かせた様だと気付いて苦笑する。
……身に付けていたペンダントは、ポケットに入れてある。
本当は、家に置いてこうかとも考えたのだけど
…ただ、何となく]
[手が暖かくて、
子供は嬉しそうな、頬笑みを浮かべた。]
ランプ、買わなきゃいけなかったです。
イレーナさんのところで。
[当然、ミリィが買っていることなど、
知りもしないわけだが。]
[少女はランプを両手に抱えて、ゆっくりと歩いている。施設へ持って行こうかと思いながら、なんだか足が進まない]
あ、リディ!
[視線の先に友達の姿を見つけて、思わず声をかけた]
[嬉しそうな顔は、やっぱり何時もの少女に見え。勘違いだったのだろうか]
嗚呼、そうね。
綺麗だものね、あそこのランプ。
[相槌を打ちながら、ゆっくりと*歩みだす*]
─工房・自室─
[かたん、と音を立てて、道具が作業台に置かれる]
……よしっと、もう少しだな。
[小さな呟き。青の瞳は、手の中で形を変え始めた紫水晶へと向けられて]
……俺にとっての、光……導き……。
[小さく呟いて、細工途中のそれを、そっと台に置く]
……さて、少し出るか、ヴィント?
[作業台の上を手早く片付けると。相棒を伴い、外へ]
[ポケットに手を入れて。
シャラリとチェーンが音を立てれば少しだけ安堵する。
自分が連れて行かれる可能性を否定する要素は
言ってしまえば……手の中の、この石しか無いのだし]
―――? …あ、ミリィ!
?ランプを抱えて、どこか行く途中?
[自分を呼ぶ声に、ふと顔を上げれば見慣れた顔で。
ポケットの中で石から手を離せば、ひらりと手を振りつつも
彼女の方へと歩み寄る]
[リディの方に歩み寄り、手にしたランプの事を尋ねられると、少女はどこか困った様に微笑んだ]
ええ、ベアトリーチェが昨夜ランプを買いそこなったみたいだから届けてあげようと思って。
リディは…大丈夫?
[笑顔に少し、いつもの元気が足りない気がして聞いてみる]
うん、とても綺麗だから、
施設の大人の人にあげようと思いました。
[にこりと笑った子供は、
ノーラと一緒に大通りの方に向かおうとする。
その手の苺飴を*舐めながら*]
あぁ、なるほどっ!
ベアちゃんに届けるんだ、あたしも着いてっていーい?
[困ったような笑顔に、首を傾げながらも
事の次第を聞けば、問いつつも答えを聞く前に少女の隣へと並んで
続く言葉に、きょとんと一瞬立ち止まる]
……ほえ?あたし?
あたしは……大丈夫、なつもり。―――だったんだけど。
[…大丈夫に見えない?、と眉を寄せつつ、ぺちぺちと自分の頬を軽く叩く]
[此処に来てから一度も着ていなかった、緑の外套。
それを白の装具の上に纏う]
…居るだろうか。
[出店があるとはいえ、離れないわけではない。
不安気に小さく呟き、宿を出る。
目指す先は――ランプ屋『Fairy's fire』]
[隣に並んだリディに、少女は嬉しそうに微笑んだ]
ええ、一緒の方が嬉しいわ。
なんだか、少し疲れてるように見えた気がしたの。
でも、夜更かししたから仕方ないかもしれないわね。
…ありがと…
[軽く笑んで、そのお客に軽く手を振り…小さく息を吐く。
どうしよう。どちらの方が、話がしやすいだろうか…
しかし、その二人が何処にいるのかも分からないし…もう一度、息を吐いた]
…………ふぅ
[小さな雪だるまを作るつもりが…
気がついたら。180cmの青年と同じ身長の雪だるまが通りの入り口に]
[その辺のバケツを乗せ、墨で目をいれて枝を刺したら出来あがり。]
…………腹…減ったかな…
[ランプを見に行ったときと同じ道を辿る。
それなりの時を過ごした体は頭よりも道を理解して。
そう迷う事は無く、目的の出店には着いた]
[途中誰かに見られたような気はしたが、それはわからないまま]
…こんばんは。
今日も忙しそうだね?
[笑みを浮かべ、店に立つ彼女へと声をかけた]
[一瞬、ダーヴィッドに声をかけようかと思ったが、急いでいるような様子に機会を失い、ランプ屋の方へ向かう、その背を見送る。見た事の無い緑の外套が目に鮮やかに映った]
んーと…ベアちゃんだと、施設に居る、かなぁ?
[嬉しいというミリィの言葉にへらりと笑みを向ければ、
目的の相手が居るであろう場所を思案して。]
疲れてる…、いつの間にか疲れてるの、かな?
最近、色んなこともあったしー。
祭りで出店を巡ってたら、夜更かししまくっちゃったし。
[指折り数えて、候補を羅列しながら。
ミリィの視線を辿れば、同じようにダーヴィッドの姿を発見。
相手は気付かなかったのか、視線があう事は無く]
[は、と声に顔を上げる]
…こんばんは、ダーヴィット、さん…
んー…初日の方が…忙しかったですし。
[小さく笑みを浮かべると、少し視線を落とし…]
……うー……。
[何か、唸っている。妙に悩み顔。はっきり言って、らしくない]
さって、どーしてくれっかな、あのバカ親父……。
[ぶつぶつぶつぶつと、何か呟いている。
……傍目には、かなり、不気味]
[落とされる視線に、その理由は察して。
浮かぶ笑みは苦笑へと摩り替わっただろうか]
そう…。
話があったのだけど…少し、長くなるかもしれない。
今お願いしても大丈夫だろうか。
[できれば、中で。と付け足して]
[少女は足を止め、友達の横顔をじっと見つめる]
ねえ、リディ…もしも、妖精王の探している悪い妖精が、私だったら、あなたどうする?
んあ、もう、俺にどないせーって……って!
[苛立たしげに言いつつ前髪をぐしゃ、とかき上げた直後に、肩の相棒が警告めいた鳴き声を上げ。
同時にアーベル声が届いてふと前を見る。
……目の前には、白いだるまさん]
[…どうやって話を持ちかけるべきか。
そう思っていたのだが…]
ぇ…ぁ、はい。大丈夫、です…
少し、待って下さい…
あの…はい、お願い、致します…
[思わぬ申し出に小さく頷き…周りの出店の人々に頭を下げると、出店の後ろにある店の扉に手をかけ…]
…どうぞ…
…………良かった…雪ダルマが無事で…
ついでに、ユリアンも大丈夫か?
[青年は雪ダルマの無事を確認する為駆け寄った後
ユリアンの方を振り向き、右手を差し出す]
ああ…ユリアンは雪ダルマにぶつかっても姿を留めるが
雪ダルマはそうはいかない。
[ユリアンの言葉にコクリと頷き。]
……けれど、珍しいな…悩み事か?
[両隣の出店の人々に申し訳なさげに会釈を向けて。
イレーナの後に続いて店の方へ]
…店があるのに、すまないね。
[かける言葉が上手く見付からず。
零れて落ちたのは謝罪の言葉]
……まあ、それはそーだけど。
[はふ、と一つ息を吐いて。悩み事か、と問われれば、ああ、と頷く]
ちょっと、なー……。
どうしようもなくはた迷惑な事を大真面目にやらかしてくれる大馬鹿野郎を身内に持ったヤツは、どーすればその収拾をつけられるのかとか。
そんな思案をねー。
[店の中に入ると、ランプに火を灯し…]
…いえ、気にしないで下さい…
その、あたしも…少し、話が…ありましたから…
[椅子を用意すると、勧めて…]
…その。ダーヴィット、さんの…お話とは…?
[まずは…相手の話を聞いてからにしよう。
意図せず、逃げの方向に入っていた]
[どれ程の時間、其処に佇んでいたのか。
とさり、と木の枝に積もった雪の落ちる音に、は、と瞳を見開いて、顔を上げた。
同時に、流れていたボーイソプラノの音色も途切れる]
……しまった……
[家を出て来た時には中天に在った太陽は疾うに沈み切り、月が煌々と辺りを照らしていた。幾ら防寒具を身に纏っているとは言え、寒さを全く意識しなかったというのは、我ながらどうなのかと思う。それでも身体には堪えているらしく、指先の感覚等は大分無くなっていたが]
[くしゃ、と星あかりを受けて煌めく金の髪を掻いて、小さく息を]
[静かにドアを開けて。するり、部屋を抜け出す。
ぱた、ぱた。ぱたた。
彼女の分まで仕事を片付けてくれているのか、イザベラの姿はなく。
誰もいない廊下を抜けて、フィリーネの部屋へと。]
?…ミリィ、どしたの?
[友人の歩みが止まった事に気付けば、そちらを振り返り。
投げかけられた問いに、僅かに目を見開いて
一瞬考え込むように視線を巡らせば]
んーとねぇ…あたし、妖精の言うことは信じないって昨日決めたのね?
だから悪い妖精が「自分は"悪い妖精"です」って言っても、信じるつもり無いの。
悪いか悪くないか、は私が決めるから。
…けど、"ミリィ"の事は信じるから、
ミリィが追いかけられてるなら―――ミリィは、守るよ。
あんな"王様"?の言うこと聞くとか、シャクだし?
[小さくへらりと笑めば、答えになってる?と首を傾げて。]
どうしようもなくはた迷惑な事を大真面目にやらかしてくれる大馬鹿野郎
[ユリアンの言葉を復唱する]
……エーリッヒのような奴が身内にいるのか?
エーリッヒがはとこだと言うミハエルも大変そうだが…
収拾と言うことは…身内がなにかしてしまったのか?
[話しの主軸が掴めず首を傾げながら。
白い息で手を温めつつ]
[勧められる椅子に礼を告げて腰を下ろし。
少しだけ、悩むように視線が彷徨った]
……確認をしたかったんだ。
君が…探し出す者だと、聞いたので、ね。
もう、見付けてしまっているのかい?
[視線は合わせ難く、自然、床へと落ちた]
……言われてみれば、似てるかもしれねぇな……。
[ふと、こんな事を呟いて。疑問の声には、ああ、と頷く]
ああ、やらかした。はっきり言って劣悪な状況。
いや……責任の一部は……俺にあるんだけどな。
[――くしゃみひとつ]
……む。
[風邪を引いたのだろうか、と思う]
[無論、そんなところで名を挙げられているなんて気付いていない]
[「守る」と言ってくれた友達の言葉に、少女は、一瞬、泣きそうな顔をして…それでも涙は零さずに頷いた]
うん、解った。
ありがとう、リディ。大好き…!
[そのまま、両腕を延ばして、ぎゅっと抱きつく]
私も、リディを守るから…あの人も…きっと…。
[囁くように零れた言葉。手にしたランプが揺れる]
[自分も椅子に腰掛けると、ダーヴィットの返答を待つ…
…びく。
小さく身体を震わせ…恐る恐るダーヴィットの方を伺うように見て…]
…なんで、知って…?
[少し、心音が早くなった気がする…
息を吐き出すと、小さく頷き]
…はい…見つけ、ました…
似てるのか…それは難儀だな…
[ユリアンの言葉に、同情するように肩を叩く。]
劣悪な状況…犯罪でもやらかしたのか…?
よくわからんのだが…その責任が一部ユリアンに…?
ユリアンがそそのかしたとか…煽ったとか…言うことなのか?
[エーリッヒがやらかしそうな犯罪を考える…覗き?等と思いつつ]
……このままじゃ寒いから屋台で食いながら話さんか?
[と、なる腹を抱えつつ、クレープの屋台を指さす]
[ノーラと歩いている途中、
子供は、輪投げを発見した。
どうやら実行委員がやっているようだ。
ここにはそのメンバーである、エーリッヒはいないけれど。
景品には、「苺一年分」があった。
……子供はみなかったことにしたかった。]
[目前に、彼より頭一つ分は大きな雪だるま]
……………
[確か、昨日までは……というか、昼間では無かった気がするのだが。
丁寧にバケツの帽子を被せられ、雪だるま特有の少し間抜けな顔。腕代わりの枝も、ちゃんとある]
難儀だな……しかも、同じ血が流れてるときてるしよ。
[同情するような口調に、はふ、とため息をついて。
クレープ屋を示されれば、そだな、と頷く。
気疲れしているせいか、甘い物が欲しかった]
犯罪……ある意味、犯罪だな。
んー……俺が煽ったというか、俺が逆らったからというか……なんて言えばいいんだろうなー……。
いずれにしろ、ヘタすりゃ一族全体の権威にも関わるオオボケなのは、確かだ。
[一年分って365個入っているんだろうか、とか、
そんなことを子供は考える。
いやしかし
一日一個換算でいいんだろうか?
よくない気がする。
子供は真顔で悩む。
ノーラが不思議そうな顔で屋台を見る。
でもまだ悩む。
ノーラはなんとなくわかったようだった。]
……ほえ? え、わ…!?
[一瞬見えた、友人の泣きそうな表情に、
何か悲しませる様な事を言っただろうかと慌てふためいて。
そうして突然腕を回されれば、混乱も相まって小さく声があがる]
……えへへー、あたしもミリィの事大好きっ!
[告げられた言葉と、小さな囁きの深い意味までは判らなくても
へらりと笑ってぎゅう、と抱き返し。]
[おそるおそる向けられる視線に、ゆるりと顔を上げて]
ルートは私よりも有能でね…色々と調べて貰っていたんだ。
黒い長髪で肌の黒い女性…覚えはあるだろうか?
ランプが出来ていたと伝えたら喜んで見に行ってしまったのだが。
彼女がルート……本当の名はリネットと云うのだけど。
[そんなことは関係ないかな、と苦笑する。
作り物めいてしまうのはどうしようもないのか]
……見付けたというのは…私だけ?
それとも…もう一人もだろうか。
[ミリィに見つけられていることには気づかずに、
苺一年分、について考えている。
とても難しい、大きくて太い棒の向こう側にあるけれど、
きっと手に入れる人は出るだろうと思った。]
同じ血……
[クレープ屋に向いながら、
仮想身内エーリッヒと血がつながってるユリアンを同情する]
[が、続く言葉に首を傾げつつ、キャラメルアーモンドのクレープを注文すれば]
……逆らった?一族…?
ユリアンはやんごとなき家柄か何かで、家出でもしているのか?
[と、屋台傍の席を2つ確保して訪ねる。]
[少女につられて其方を見れば、苺一年分の文字が目に入る]
…一年もどうやって保存するのかしら。
[主に夏とか。…別に狙っている訳ではない。多分]
わからないです。
[でもおそらく
一日一個のつもりだと、子供は思った。
それはきっと、とても間違いの元だと、
思ったけれど、
彼らに伝えるのは、やめることにした。
予算だってあるだろうから。]
…
[すっかり、失念していた。
彼が妖精ならば、彼女も…
その、人物像に見覚えがあるのか、小さく頷き…]
…あの人が…
[自分がランプのモチーフにした…妖精。
その後の言葉には、視線を落とし…]
…はい…ダーヴィットさんと…もう一人…
同じ血もいいとこだろ。何せ、親父だ。
[ため息混じりに呟いて、自分はトリプルベリーのクレープを注文し]
ああ、謎の夫婦喧騒の果てに、長子でもないのに跡取り指名されてなー。
ざっけんな、ってんで、おんでて来た。
……挙句まさか、こんな騒動にしてくれるとは……あのバカ親父……。
[抱き返してくれたリディに、微笑みかけて、少女は腕を外した]
ベアトリーチェが、いたわ。ランプ渡してくる。
[そう言って、ふわりとスカートを翻し、金髪の少女の方に駆け出す]
[窓辺に佇み、こちらへ視線を投げるその女性は、同性である彼女から見ても美しく。
ほんの少し、見惚れてしまったのを不思議に思ったか。
訝しげに名を呼ばれ――主とよく似た抑揚に、はっ、と我に返る。]
「……出て行くつもりなの?」
[彼女が口を開かずとも、その姿が物語っていたようで。こくり、一つ頷く。
「どうして?」という問いには首を横に振り、答えぬまま。まっすぐに――真剣な瞳を向けて。]
勝手に出て行く身で、こんな事を言うのは失礼だとは…わかっているんですけれど…。
今までの働きの…お給料の代わりに、何か…マフラーとか…防寒具をいただけませんか。お願いします……。
[きっと、これくらいなら…優しい方だから、ダメだとは言いにくいはず。
――そんな思惑も込めて、深く深く頭を垂れる。]
[ミリィがこちらにやってくる。
見ているものについてリディに聞かれて、
子供は、]
『あぁ、この屋台、つぶれたなぁ』
[と、思ったとか思わなかったとか。]
如何するのでしょうね…
[此方は此方で結構真剣に悩んでいる様子。一日一個とか考えに上らない]
[赤いお下げの少女が此方に向かってくるのを見ながら]
[リディの声には店のほうを示した]
[仮想エーリッヒの息子が目の前に…]
…親があれなほど子はまとも…
[と、呟きつつ、出されたクレープを一噛み。]
……家出してきたら、
その仮想エーリッヒが犯罪をまがいな手を使って来た…でいいのかな…
[もぐもぐ]
…………話し…あえそうもないのか?
[そりゃ、相手はエーリッヒ(仮想)じゃ大変だろうけどとは思いつつ。]
[少々急ぎ過ぎたろうか、息を切らして、少女はベアトリーチェの前に辿り着く]
あの、ベアトリーチェ…
[ランプを差し出す前に、金色の光が短くなっているのに気付いて、思わず目を丸くする]
髪を切ったの?あんなに綺麗だったのに。
きっと、どこかの保冷庫に入れるとか……
あとは、
……
[店の方を示すノーラの様子に、
子供は再度、おかねが大変だなと思った。]
[頷くのを見届けて、ゆっくりと息を吐き出す]
…ああ。
色々と…騙してしまっていたことになってしまうな…
[もう一度、息を吐いて]
もう一人も、か。
私は何時見付かるのも覚悟はしていたんだが…。
できれば彼のことは、もう暫く気付かないで欲しかった。
うん、わかった。
[腕を外しながらもふわりと笑みを返せば、
ベアトリーチェの方へと駆け出す少女の背中を見つめつつ。
自分もゆっくりと其方へと近寄っていく。
そうしてノーラの示すほうへ、視線を向ければ
―――――見える文字は『苺一年分』。]
ああ。そーゆー解釈で間違いねぇな。
[はむ、とクレープを齧りつつ、頷く。相棒には、隅っこをちぎって齧らせて]
今までは、俺の方が話し合い避けてたんだけど、こんな事になったんで、前向きに対処しないとな、とは思ってる。
あっちがどーか、わかんねぇのが問題だが。
……ていうか、さ。お前……疑問、感じねぇの?
記憶喪失のはずの俺が、いきなり親の話とか始めてさ。
[ミリィの言葉に、子供はうなずく。]
切りました。
ずっと切り忘れてたので、きょうだいが悲しがります。
[そして、頬笑んだ。]
ミリィさん、疲れてますか?
ええと、そこの輪投げで……も
[リディの目が、苺を捕らえたのに気づいて、
子供はすすめるのをやめた。
大変なことになりそうだと思った。]
…騙す、って…そんな…
[軽く首を振り…]
…ごめん、なさい…あたしの意志で…
調べた、わけじゃないですから…なんとも、言えませんが…
[顔を上げ、ダーヴィットを見つめ…]
…その。
なんで…ダーヴィット、さんは…
その、王様に…追われているんですか?
[別荘に辿り着けば、服に付いた雪を払って、扉を開く。
あたたかな空気に、強張っていた表情が、少しばかり柔らかくなる。
それを聞き付けたイザベラがぱたぱた(もとい、ばたばた)と駆けて来て、お帰りなさいませと礼をする。そうして、彼の脱いだ、濡れたコートを受け取ろうと]
ああ、遅くなった……母上は?
[そう問えば、自室にいらっしゃいます、と返されて。]
そうか。
[頷き、一つ]
きょうだい?
[その意味は解らなかったけれど、なんだか踏み込んではいけない気がして。少女はそうなの、と頷いた]
ちょっと勿体ない気もするけれど、短いのも可愛いわ。
…それでね、ベアトリーチェ、昨日ランプを買い損ねたでしょう?だから、私が選んでみたんだけれど…これ、どうかしら?
[子供の前に、ランプを差し出す]
保冷庫…。
[成程、と思うものの。しかし一年も保つのだろうか。凍らせたら凍らせたで解凍は面倒だ]
[そんな如何でも良い事で延々と悩んでいたが、ベアトリーチェの“きょうだい”という言葉が聞こえ]
[一瞬、思考が止まる]
本当は、ずっとずっと短いままのつもりでした。
切り忘れてたのです。
[そして、目の前に差し出されたランプを見て、
子供は頬笑みを、ともす。]
とても綺麗です。
皆、喜びます。
ええと、おいくらですか?
[鼠が食べるのを眺めつつ]
……うん、避けずに話しあった方が…こじれないと思うんだが…
[と、言いながらクレープを食べ進めれば…]
ああ…確か…ユリアンがこの村に来た時そう言う話しをチラッと聞いたような…
[ユリアンのつっこみに淡々と。
たいして人と深く関わらない青年には
その影がないユリアンの過去を憶えていなかったようで]
…俺は記憶喪失じゃないが、
この村に来る前とか話す気ないから…そんな類だと思っていた。
記憶喪失のわりに社会順応速かったし…
で、ユリアンは本当の記憶喪失で今思い出したのか?
……そうは見えないが……
どうして君が謝る必要がある?
君は…間違ったことはしていないよ。
私たちからすると、困ってしまうことではあったけどね。
[口調は冗談のような軽さがあったが、浮かぶのはやはり苦笑。
その表情は、次の問いに掻き消えた]
…そうだね、巻き込んでしまった以上、言うべきか。
私は、妖精王と己の王の友好の証とされた生物を……誤って、殺してしまって、ね。
我が王に命じられて此方の王の下に参じていたんだ。
なのに…こうして逃げてしまったから。
[こじれない、という言葉に、だよなぁ、と呟いて。
記憶についての質問に、はふ、と息を吐く]
来たばっかりの頃……最初の一ヶ月くらいは、実際に記憶喪失だった。
でも、戻ってからも、そのままで通してた……。
[ふ、と言葉を切って、空を見上げる。
青のはずの瞳は、何故か銀色の煌めきを帯びて]
その方が。
『人間として』生き易いのを知ってたから、な。
…友好の証…生物?
[ダーヴィットの言葉には、やはり、視線を落としていたが…
話を聞けば、なぞるように言葉を紡ぎ…]
…逃げた…ですか?
[…頭が話に追いついていない…
二つの王。ダーヴィットは妖精ではなかったのだろうか…?
ソレも分からなかったのだが…逃げた、と言う言葉が。一番の問題点なのだろうと]
…
[端々に聞こえる言葉に、やはり違和感を覚える]
[熊のぬいぐるみを貰っていた時の迷う様子と、今の少女のきっぱりとした様子が何だか噛み合わない]
[横目でちらと、少女を見た]
[信じられない、といった顔で見つめる彼女に、フィリーネは優しい笑みを浮かべたままで。]
「防寒具をあげるのは、別にいいのよ。
でも、貴方を連れてきたのはミハエルだから……」
[それ以上は口にせず、ただ静かに微笑まれる。]
それは…わかっています。けれど……。
[ミハエルが主なのは…よくわかっている。妖精の契約は、とても重んじられるものだから。
だからこそ、ここを出るためには契約破棄が必要で…けれど、彼に説明して解き放ってもらうのは彼女には出来なくて。
だから、この別荘の女主人の…フィリーネに。”屋敷”しもべ妖精の彼女を解き放ってもらおうと――契約を重んじると同時に、その裏や穴をつくのは、妖精の常套手段でもあるから――そう、考えたのに。]
逃げても追われるだけのようだし…
……親子とか…俺にはいないからよくわからんのだが。
[なんだか追いかけエーリッヒとか想像して眉を顰めつつ。
相変らずクレープをモグモグと。]
そうか、わりとすぐに記憶が戻ったんだな…
無くしっぱなしよりもずっとい……
[そこまでいって、ユリアンの発言にクレープを食べるのを止める]
人間として……って…
[…まさか…妖精…と、言う言葉は半ば溶けるように空へ]
しっかりしてるわねえ、ベアトリーチェ…
[ほう、と吐息をついて、少女は、肩をすくめた]
それじゃあ、こうしましょう?
ランプの代金は、毎年一個ずつ、苺チョコで、分割払い。
私、その方が嬉しいわ。
それもだめです。
[子供はそう言って、ミリィを見る。]
だって、悪い妖精がつかまるまで、
どこにいっちゃうかわからないんだから、無理です。
私の種族の住む場所では珍しい生物だったから、ね。
[それを思い出してか、目蓋を伏せ息を吐き]
……ああ、逃げたんだ。
此処の人たちは温かくて…せめて、祭りの間だけは。
その間だけは、この中に居たいと思ったんだ。
それが、逆に皆を巻き込むことになるなんて考えもしなかった。
……巻き込んだと知ってからも…怖くて、言い出せなかったがね。
[空に消えた言葉は、しっかりと拾っていたから、一つ、頷く]
……正直なとこ……こんな騒動になるとは、俺も思ってなかった。
バカ親父のせいで……チビどもにとっての祭りが台無しになっちまって……。
……自分が情けないやら、親父が恨めしいやら……。
それは、大丈夫。
妖精以外の、いなくなった人はきっと戻って来るわ。
きっともうすぐに。だから、安心して。
[少女は、微笑んだまま断言する]
…そう…でした、か…
[やはり、悪い人ではなかったのだ、と。
罪を犯したと悪い者はイコールでは結ばれない…]
…その…それで…ダーヴィットさんは…
いかが、する…おつもり、ですか…?
[じ、とダーヴィットを見つめる。
…この返答で…考えようと]
[頷かれれば目を丸くし…続くユリアンの言葉に]
……ユリアンが妖精なだけじゃなく”悪い妖精”…なのか?
そして、エーリッヒが…まさか妖精王…?
[驚きに”仮想”が取れてることには気づかず。]
…………夫婦喧嘩に端を発した親子喧嘩
…に巻き込まれているのか、この村は
[と、ユリアンを呆然と見ながら…机にクレープの中身が零れる]
[どうやら365個では満足しなかったらしい。
ぶつぶつと文句を言いつつも、輪投げへの参加は断念して]
[ミリィとベアトリーチェの会話に挟まれる、断言系の言葉に
僅かに首を傾げつつも、訳が判らずに静観]
[声が返って来るまでには、少し間があって。
……それでも、どうぞ、と何時も通りの、母の声]
失礼します。
[扉を開ける]
[窓辺に立ち、此方を見詰める金髪の女性――と、栗色の髪の少女]
……ユーディット? 体調はもういいのか。
[そう声をかけ、遅れて母に向け、深く礼を。
話中だったのかと問うも、大丈夫だと微笑を浮かべ首を振って]
[その問いの答えは、疾うに決まっていた。
昨夜、少女の言葉を聞いた、その時から]
…大人しく捕まるよ。
これ以上無関係の人たちを巻き込みたくはない。
数日共に居られただけで私は満足だ。
[告げながら、何故か自然と笑みが浮かんだ]
まて、仮定形が取れてる。
なんでエーリッヒが俺の親父で妖精王なんだよ。
まあ……なんか、気にいられたかなんかはしてたっぽいけど。
[冷静な突っ込みを入れつつ、呆然とする様子に、深く、深く、息を吐いて]
……正直……すまん、としか言えねぇんだけどな……。
いや、言うより行動せにゃならん訳で、その方法で悩んでたりする訳だが。
他人を信じることはできません。
村のひとでも。
[子供は頬笑んだ。
それが当然であるように。
少し前とは、決定的に違うところ。]
[ふと気になって、屋台をもう一度見た。
リディがすごい。と思った。
その後、子供は、
その横に小さな文字を見つけた。
明日はココア一年分。
その文字が躍っていた。]
…そう…ですか…
[ダーヴィットの言葉に、顔は下を向き…顔を上げ]
…ごめんなさい…
お祭は、みんなが…楽しめる…はず、なのに…
[…やはり、ソレは犠牲なのではないか。
その思考が出てきて…]
[入ってきた主の顔をまともに見られないまま、帰宅の挨拶を交わす様子を黙って聞いて。
彼女の体調を気遣う声に、やや俯いたまま、]
はい…もう、大丈夫です…。
[消え入りそうな声で、微かに頷いた。]
[とりあえずリディは諦めてくれた様で。実行委員の財布は救われた]
[ふと]
…如何して、帰って来るって…
[断言できるのだろう]
[呟いた言葉は、続いたベアトリーチェの言葉にかき消され。本人には届いただろうか]
あ、あぁ…すまん……エーリッヒとユリアンじゃ年齢があわないな
[呆然と論点がずれた理解をしつつ…類友…と小さく呟く。]
[目の前に零れたキャラメルシロップのかかった生クリームを
紙ナプキンでふきつつ。]
事情は飲み込めたが…
[空いてる手で額を覆いつつ。]
しかし、なんで数年放置した奴を今さら…
よりによって祭りの時に…
[謝罪の言葉に首を横に振る]
どうして君が謝る?
謝らなければいけないのは私の方だ。
楽しめる筈の祭りがこんな騒ぎになってしまったのは、イレギュラーな私の存在が原因の一端だ。
…本当に、すまなかった。
[頭を下げて。
ゆっくりと起こした瞳は時計の方を向く]
……そろそろ時間かな…。
……ならば、いいが。
[小さな小さな彼女の声に、余り大丈夫ではなさそうな気もしたのだが]
[母に帰りが遅くなった事を詫びるも、彼女は気にした様子もなく。
何時もの――よりも、些か楽しそうな微笑を湛えているように見えた。
そうして、フィリーネはユーディットに向け、彼に話したい事があったのではないか、と問い掛ける]
話したい、こと?
なんで祭りに合わせてなのかは、俺が聞きてぇよ……。
[がくん、と脱力しつつ、息を吐いて]
……まあ何ていうか。身内の恥だからあんまり言いたくねぇが……勢い任せだからな、親父。
祭りで、力が強くなるタイミングに、何にも考えずに乗っかってきたとしか思えねぇ……。
[はふ、とまた息を吐いて。
それから、表情を引き締めて]
……とにかく、時間を巻き戻す力は、俺にはねぇ。
だから、これから状況を打破してかなきゃならねぇんだけど……。
……どうにも、な。周りを巻き込むのを、避けられねぇのが悩みどころでよ……。
[…イレギュラー。
その言葉と共に、頭を下げるダーヴィットをじっと見つめ…]
…その…ユリアンは…どう、思ってるでしょうか…
[…彼とは接触しているはず…ならば、と。
先に彼と話したダーヴィットに話を聞きたかった]
……その、親父さんの力とやらは…止められないのか?
俺は…正直親子喧嘩や夫婦喧嘩は…どっちもどっちだと思う方だから
どっちの味方をする気が起きない…
けれど…これ以上人が攫われるのは
…万が一にでも子供達が攫われるのだけは…
それさえ阻止出来るのなら、正直どうでもいいと思っているんだ。
当の本人のユリアンを目の前にして言うことでは無いが…。
[肩の力を落とすユリアンに、青年は淡々と
付き合いが短いわけではないけど、
それでもどちらの味方にもつけない気持は本音で]
…ユリアン、か。
さて…今はどう思っているのだろうな。
生憎、あまり沢山話しているわけではないんだ。
ヴィントとは今日色々と話しはしたのだけど。
[椅子を立ち、窓の向こうのランプの灯を見詰めて]
…彼のことだ、無関係の人たちを巻き込むような現状はどうにかしたいと思っているだろう。
…私よりも、彼の気質は君の方が知っているのではないかな?
[フィリーネの言葉に、もう誤魔化せないと知って。
不思議そうに問う主の顔を見ないまま、早口で言葉を紡ぐ。]
あの、私。もう此処にはいられなくて。
行かないと、ダメだから。
お給金の代わりにマフラーか手袋か、何かいただけないかなって…お願いします。
――もう、時間がないんです!
[窓の外に、一瞬視線をやって。見えた光に、焦る。]
……残念だが、バカ親父の誤爆だけは、俺にはどうにもできねぇ。
つーか、ちゃんと狙ってるのかどうかすら、怪しいと来てやがる。
それと……バカ親父が張ってる、この結界。
これをぶち破るためには、誰かを隔離結界に放り込んで、綻びをつくらなきゃならねぇって厄介な状況だ。
とはいえ、そのために、俺の方で、チビどもに手ぇ出す気はねぇよ。
恐らく、もう一人も、それは同じはずだ。
[味方につけない、と言う言葉には、僅かに苦笑して]
それでも、いい。いや、味方についてくれなんて、言えた義理じゃねぇからな。
…ヴィントと、ですか…
えぇ…ユリアンが…変わり、ないなら…
[小さく頷くと、椅子を立つダーヴィットを見つめ…
立ち上がる。そして、棚へと向かい…一つのランプを手に取った]
持ってって、ください。
元々…ダーヴィットさんにしか、譲るつもりは…有りませんでしたから…
[その手に持つランプは…闇に奔る風…
本当の妖精をモチーフにしたランプ…]
[子供はミリィにうなずいて、
ランプを受け取る。
もしこのまま持っていかせようとしたら、
イレーナのところに返しに行こうと思った。]
[唐突かつ、支離滅裂なユーディットの言葉に、眉を顰める]
[説明を求めようと母に視線を向けるも、彼女は翡翠の瞳を細めて微笑したまま。自分は関係ないのだとばかり、窓の外を見遣った。何かを追うようにして]
[理由は解らずとも、ユーディットの真剣な様子は解った――が]
……何故だ?
[ぽつりと、問いかけの言葉]
何か、不満でもあったか。
[淡々とした声で、問い掛けは続いて]
……あったとしても、僕に聞く権利はないか。
君が僕の下で働くのを、止めたいと言うなら。
確かに…団長にエーリッヒ…全然ユリアンに似ていない…
[青年も金の光りのターゲット先に嘆息]
隔離結界……?それは檻とか言う奴か?
それとも最近村の外に出られない原因なのか…?
その結果いと隔離結界は別なのか…?
それにもう一人って…兄弟でもいるのか?
さっきそう言えば長子でもないのにと言っていたが…
[ユリアンの口をついて出る言葉についていけず首を傾げつつ。]
……子供には手を出さない…なら、敵にもまわらん
[と、ポツリ]
[イレーナの手の内にあるランプと、その言葉に瞬いて。
静かな笑みを浮かべ、それを受け取る]
…ありがとう。
[それだけを告げて、店を出た。
色取り取りのランプに照らされた道を広場に向けて歩き出す。
人混みは相変わらずの量ではあったが、纏う緑はきっと見える筈。
見えたならば間違える筈もない。
ディナ・シーがフェアリ・ライドの時に纏う緑の外套]
[…誤爆さえなければ、だが]
[…ランプを持って、彼は出ていった]
…せめて、お祭が終わるまでは…
夢を見ても、良いじゃない…?
[闇を奔る風、白銀の甲冑…
その場に佇んでいたが…出店を任せていたことに気付き、店を出る。
店にはガラスのベルの音と、淡いランプの光だけが残った]
近眼じゃなかったはずだが……。
身体は三歳児っつー厄介モンだからな。
[なんかさらっと、とんでもない事を]
隔離結界は檻。
村から出られないのは、俺ともう一人を押し込めるための結界。
その二つの接点。そこに衝撃を与える事で、ぶち破ろうって作戦なんだよ。
……その上で。
バカ親父を引きずり出して、ぶん殴れれば、と思っちゃいる。
[一息で言った後、ぽつりと付け加えられた言葉に、笑んで]
……さんきゅ。それで、十分だ。
困った親父だな…さすが仮想エーリッヒ
[青年はそう苦笑し…ユリアンの視線を追えば……]
なるほど…作戦は考えているんだな…
…………上手くやることだ…そうじゃないとあの子が泣く
[――――そこにはミリィ――――]
[理由なんて、ゆっくり答えている時間はなくて。]
―――私が、妖精だからっ!
[説得している時間はない――ならば、見せればいい。]
『ぽふり』
[元の姿に戻り、主の首からタイをしゅるり解いて。
たんっ、と後ろに飛び、振り向きざま大きく窓を開け放して。叫ぶ。]
お願い――もう人間を連れて行かないで!
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