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フリーライター 礼斗 に 2人が投票した。
ママ 百華 に 1人が投票した。
童話作家 雪夜 に 5人が投票した。
少女 千恵 に 1人が投票した。
童話作家 雪夜 は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、高校生 瑞穂 が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、フリーライター 礼斗、漫才師 史人、高校生 伽矢、ママ 百華、巫女 神楽、少女 千恵、女子大生 黒江 の 7 名。
一人じゃないからとか、そう言う問題じゃない!
[従妹の言葉に思わず声を荒げた。
手元からあまり離れて欲しくないのは、昔も今も同じ。
その理由は若干変わっていたけれど]
……ああ、せめて、ちゃんと言ってからにしてくれ。
[そう従妹に言葉を向けながらも、周囲の会話は耳にしていた。
これで全員。
誰が敵で誰を味方に出来そうか。
見極める最中、印象の悪い二人を見つけて眉根を寄せたりもした]
―中央広場―
[百華の問いに、少しの間黙り込む。
再び開く口は重かった]
……残ってるのは、もうここにいる9人だけらしいです。
『桜花』……桜の上にいた女の子が言ってました。
[『桜花』を彼女が知っているかは分からなかったから、少しだけ補足して]
―中央公園―
[怒られた。びくっと体を強張らせた後、だいぶしょげた。]
ごめんなさぃ……。
[しょんぼりしたまま、ぎゅぅとしがみついて謝る。
言ってからにといわれれば、こっくり大人しく頷いた。]
……せったん、それってどうしてそう思うの?
[少しだけ冷静さをまとい、雪夜にその言葉の真意を問うと、『桜花から、聞いた』のだと教えてくれた]
桜花、ね。
[神楽の視線が桜へと向かう]
……嘘を言って、私達を困惑させようとしてるのかな。あやのっちを困らせたように。ああ……でも、もしも真実ならば、それを言ったほうが困惑するのかな……。
この中に、それがいるんだって、思い知らせて、笑いたいんだろうね。
……気に食わない、なあ。
─中央公園─
……桜花、が?
[周囲が口にする名に、視線を桜へと]
相変わらずと言うか……何を考えてるのか、わからん、な、あれは。
[思わず、口をつくのは小さなため息]
9人だけ。他の人は皆、どこへいったの?
死体なんてなかった。どこにも。
[史さんの重い口調が気になって、つい早口でまくしたてる。
9人の中に司や憑魔が居る事等、知りもしなかった。
そして目を見開いたまま固まって]
桜花が?
何者なの、あの子。
[何故あんな童女が『見守る』のか。
謎は未だ解けていない]
……。
[冷静に、冷静に考えるべき時は今だ。
司としての役割を果たすべき時は今だ。
桜花が真実を話しているのならば、誰を信じればいい?誰が憑魔なのか?]
……。
[もう一度ぐるりと8人の顔を見渡した。
顔見知りもいればそうでない顔もある。
その中でも信じれるのは誰だ?誰なら見捨てることが出来る?
本音を言えば、誰も見捨てたくなんて無い。みんなと一緒にここから抜け出して、いつか一緒にお茶でも飲みたい。どこかまだ自分が見つけていない憑魔がいるのだと思いたい。
だけど、それこそ、罠だ。それは甘い罠だ。それは身を滅ぼし、ひいては全滅さえありうる罠だ。
さあ、どうする?どうすればいい?あやのっちの遺体を見て、私はどうしたいと思った?]
―中央広場―
[避けていた「死体」の言葉に表情を固くする]
……えーと。
オレは聞いただけだから、詳しいことは……
[自らが『還した』記憶は無い。
百華のまくし立てる声に、助けを求めるように礼斗を見た]
[百華の言葉が耳に届いた。
したい。死んだ人の事。しがい。
夏に地面に蝉が転がっているのは見たことがあるけれど、人の死体は、見たことがなかった。
どこかにしたいが、いっぱいあったんだろうか。
そんな事を思っていた。
うさぎはそんな事おかまいなしに、空の方をみている。]
[小さく謝罪が聞こえると、許すかのように何も持たぬ右手で従妹の頭を撫でた。
腕の中から従妹を解放すると、周囲で為される会話を自分の中で整理する。
整理すると言っても内容はほぼ知っていたものばかり。
けれどオレが実際に見聞きしていない部分の区別はつけておかなければいけない。
全ては周囲から猜疑の眼を向けられないようにするため]
……ここに居る人数しかもう居ない、のか……。
人の気配がしないとは思ってた、けど。
[そんなことに、と視線を落とす。
そうしながら、オレは帽子の影から一人一人の顔を見遣った。
司は三人、そのうちの二人をオレは知っている。
残る一人は誰なのだろうか、と]
[以前、遭遇した時も、やはり全く掴み所などなくて。
最後まで、静かに笑むだけだった桜の童女。
今は見えないその姿に嘆息していた所に向けられた、史人の視線。
はあ、と、一つ息を吐いた]
……他の、連中は。
恐らく……『憑魔』、に。
[食らいつくされた、と。続く言葉は、察しがつくか]
桜花が一体、何なのかは、わからない。
答えは、誰に聞いても、得られなかった。
[既に亡い『司』、そして、童女自身。
そのどちらからも、明確な答えは得られなかった]
……っ。
[何を成さねばならないか。
自分の役割は何なのか。
分かっていても、やはり、人を疑いたくないと思ってしまうのは、神楽の生粋の甘さなのだろう。
それは優しさなどではない。本当の優しさはもっと強いものだ]
……あやのっち……。
[殺されたのは、短いながらもそれなりに縁が結べたと思う人。その人が、この中の誰かに殺されたのだと分かっても、それでも、神楽は人を疑うということを怖がっていた。
その疑いは、当然のように自分にも帰ってくるものだから]
[口ごもる史さんの視線を追う。
そこには『腐れ縁』のH.A]
憑魔、に。
[彼の言葉を繰り返す]
そう、わからないのね……。
見えない壁があったの。
あれの中にいるのが9人なの?
壁は、まだあるの?
[周りを質問攻めにした]
憑魔。
それがこの中にいる。
それが分かっていても、私は……私は……。
[段々と思い悩むうちに、桜花の言葉は真実なのだと深く思い知っていくような気がした。
それは、司としての本能なのか。そして、今はそれに抗う神楽の弱さが衝突していた]
……それで。
9人のうち司は3、憑魔は2。
あともう1つ、違う何かがいるらしいです。
[礼斗の言葉を継ぐように言った]
恐らくは。
[壁は直接見てはいないから、他に視線を動かして]
…今の史兄さんには頼めない。
[史人を見ながら、桜の枝に伸ばしかけていた手を下ろす]
あの、一度だけ。
消えるのも見ました。水銀灯の下で。
[礼斗の説明に声を上げた。それが誰なのかを思い出すと、喰らい尽くされていない死体と詳しく表現するのは躊躇われた]
壁は、消えていないんじゃないかと。
[確かめるように礼斗を見る。
雪夜が相槌を打ったように聞こえて、そちらも見た]
[繰り返される言葉に、ああ、と頷いて]
……あの壁の中に、取り残されているのが、ここにいる九人……って、事なんだろうな。
そして、壁は……。
[言いながら、取り出すのはポケットにいれたままの携帯。
表示はずっと変わらぬままの、『圏外』]
……まだ、残っている、だろう、ね。
壁がなくなっているなら、桜は散っているはずだ。
[伽矢から放してもらっても、ぎゅぅと伽矢の服の端を握っていた。
今はおとなしく、人の話を聞いている。
礼斗の言葉が聞こえて、不思議そうに首をかしげた。]
……みんな、ひょーまにおうちに帰してもらったんだ?
[会話の邪魔にならないように、声はすこし頼りなかったが。
史人が暈した内容が、こんなところに影響していた。]
……神楽?
[ふと、視線を流した先。
思い悩むような様子に、微かに眉を寄せる]
……大丈夫、か?
[声に案ずる響きが乗ったのは、先の、綾野の亡骸の傍での様子を思い出したから]
9人の中に、憑魔が2人?
そいつらが。人を襲って、私達を閉じ込めているの?
[私は一同をぐるりと見渡す。様々な表情をした、顔、顔、顔。
その中の一つ、伽矢の顔に目を留める。
が、すぐに隣に移る]
違う。 絶対に、違う。
[千恵ちゃん? 瑞穂ちゃん?]
いいえ、違う。
[地面に白い布地が落ちる。
握り締めたペティナイフがきらり、月光を跳ね返した]
[順繰りに見遣っても、それだけでは判るはずもなく。
オレは周囲の会話から判別しようと耳を傾ける。
そんな中で従妹の呟きが聞こえ、そちらへと視線を向けた]
…………そうかも、な。
[家に帰したわけじゃないし、帰すつもりもない。
かと言って、それを言えるはずもないし、言うつもりもない。
ぽつりと呟いたそれは、従妹に希望を与えるため]
[身体が震え、声も震える。
けれど、お守りのナイフはしっかりと握ったまま]
誰なの? 誰に悪魔が憑いてるの?
[震えているのは、神社の巫女さん? 多分、違う。
皆を順に見て、私は見つけた]
そうか。 あんた、悪魔に憑かれちゃったのね。
だからそんなに白いんでしょう?
ねぇ、そうなんでしょう?
喰わせない。 子供達は絶対に、喰わせない。
[ふらり、一歩進み出る。
そのまま私の身体は走りだした。
ナイフを握る右手を思い切り後ろに引くと、
体重をのせ、悪魔に憑かれた哀れな男に突き出した。
柄まで刺さると引き抜いて、もう一度。もう一度。
白い身体に点々と、赤い牡丹の花が咲く]
……ひふみん。
[顔をそちらに向けることなく語りかける]
私は、あなたを信じている。
でも、もしあなたが憑魔ならば、浄化するかも知れない。それでも、信じているって言える?
せったんも、みずちーも信じてる。かやりんも、ちーちゃんも信じてる。
でも、憑魔なら浄化するのかもしれない。それは信じているって言えるの?
私は……私の役割は……桜花から与えられた役割は……。
[嗚呼。
どんどん悪意のループにはまり込んでいきそうだ。私は、何をすればいい?
現実逃避が出来れば、どれだけ楽なことだろうか]
[はらりと、母親が持っていた布巾が落ちる。
それに気付いて手を伸ばしたのは、オレの服の裾を握る従妹。
オレは従妹の視界を遮るように母親と従妹の間に身体を滑り込ませた]
おふくろ───っ!
[母親が向かう先。
それは、雪のように白い、白銀の髪を持つ人物。
従妹がウサギと称した、その人]
───は!
[ビクリと神楽の体が脈動した。
オトが鳴り響く。
鈴の音が、
鈴の音が、
鈴の音が、
鈴の音が、
鈴の音が、
鈴の音が、
一斉に、鳴り響いた]
……神楽……。
[振り返らずに告げられる言葉。
どう返すべきかの逡巡。
その空白は、月光を跳ね返す刃に気づくのを遅らせた]
……っ!?
[閃く刃。
舞い散るあか。
薄紅が、散ったあかに、触れて。
染まる]
[『視える』のは、黒い光が、弾け飛ぶ光景]
[嗚呼。
誰だ。
誰が、
誰の最後のオトだ。
───憑魔が滅せられた───
誰がやられた。
誰がいなくなった。
誰を悲しめばいい。
嗚呼]
そっかぁ?
[伽矢に不思議そうに見上げた。
礼斗は、憑魔をかえせばいいと言っていた。
でも憑魔は、みんなを家に帰してくれるかもしれない。
よくわからなかった。
そういえば司は何をする人だっけ?
さっきの会話を思い出そうと、眉を寄せる。
瑞穂がなにか言っていたような気がする。
でも、伽矢が来たので、耳には殆ど届いてない。]
[うぅんと、伽矢の裾を握ったまま、悩んでいたら、はらり、百華のおまもりが落ちた。]
ももおばちゃ、おまもり落ちたよ?
[百華の様子に気づかずに、落ちた布を拾ってかがむ。
百華を見上げようとすると、間に伽矢が立っていた。]
おばちゃ?
[隙間から、向こう側を覗こうと。]
……っ!
[ギリと、奥歯を噛んだ。
視界が戻る。
その目に映るのは、自分が信じていると言った人。
それが、憑魔に入り込まれていたのだと、そう、『司』としての自分は告げているのだ]
せったん……!
信じてた。信じてたんだよ!
なんで、憑魔だったんのさ!
私はこれで、何を信じればいいんだよ!
[叫ぶその顔は、まるで怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えた]
……私は。
[そして、神楽は口を開いた]
───『司』
散々明かしてきたけど、もう一度みんなに明かす!
私は、『司』!憑魔を浄化するもの!
死者が何者だったのかを、見定めるものです!
だから───
[みんなの顔をキッと見つめ]
───憑魔は全員浄化します!
少しでも多くの人を救いたいから……私は!あなた達を!疑います!
信じていた人に手をかけることになっても……私は、この役割を果たします!
[ひろがるあかは、牡丹の花弁の如く。
その上に舞い落ちる薄紅は、静かにその色を受けて]
……かぐ、ら?
[その色に、言葉を失していた時に、耳に届いた叫び。
倒れた雪夜と。
叫ぶ神楽と。
ふたりの間を、困惑した視線が交差した]
おまもり。そう、おまもり。
あんたたちを守らなきゃ。
彼と約束したの。 子供達は私が守るって。
[そのまま他の者に視線を流す]
あなたもなの?
あなたが笑わないのは、悪魔のせい?
[視線は笑わぬ娘に注がれた。
彼女の方へふらりと身体が動く]
え……
[ぎらりと光る凶器。
思っても見なかった色にたじろいだ]
ちょ、ももさん!
何考えてるんです……!
[動き出す女。
止めようと慌てて伸ばした手は届かなかった]
[視界は半分、よくみえない。動きはまるで、コマ送りのよう。
それでも、何が、起きたのか。垣間見るだけの時間はあった。
うさぎの人から、溢れた、まっかな、まっかな、水のような。
耳に届く、百華の声と、雪夜の声。
聞いたことのない、恐怖を掻き立てるような声。
ぱたり。目が瞬く。
でも次の瞬間には、伽矢と瑞穂と二人に阻まれ、何も見えなくなっていた。]
[今度はコンビニ店員へと向かおうとする母親。
オレはぎり、と唇を噛んだ]
───っ、お袋、止めろ!!
[力の限り叫ぶ。
実際のところ、他の誰が死ぬのは構わない。
けれど、立場上母親を止めないのは猜疑の一端となる]
[ひくっと、しゃっくりのようなものが出た。]
おばちゃ……?
[百華は守ると言っている。
だけど、どこか、怖い声。
匂いがあたりに広がってゆく。
鉄の匂い、嗅いだ事のある匂い。どこで?
そうだ、飴玉のおじさんに追いかけられた時も、同じ匂いを感じていて。
靴の先についていた赤。
それとおなじもの、たくさん、たくさん、流れ出て。]
きっ
やあああああああああああああああああああああああああああ!!!!
[高い高い悲鳴が、辺りに響き渡った。]
…………。
[神楽の宣。一つ、息を吐く]
……それが、必要であると思うなら、貫けよ。
[告げる言葉は、淡々と]
けどな、これだけ言わせろ。
……自分ひとりが、全部背負わなきゃならんような。
そういう考え方は、するんじゃねぇ、ってな。
[低い言葉は、如何様に捉えられるか。
それを確かめる暇もなく。
視線は、新たな*叫びの元へ*]
……。
[ギリギリと奥歯がかみ締められて、痛む。
綾野が亡くなった場所で、昔からの幼馴染が亡くなったことが悲しい。
それでもまだ、惨劇が終わらないことが悲しい。
幼馴染を殺した百華を憎めないのが悲しい。
このような役割を与えられたことが悲しい。
誰も信じられなくなってしまったのが悲しい]
桜花……!
シナリオ通りの物語になったことが嬉しい!?楽しい!?
望み通りの殺し合いになったことを喜ぶの!?
畜生……!なんで……なんで……!畜生!
っ!!
[耳を劈くような甲高い悲鳴。
庇っていた従妹からのもの。
オレは持っていた包丁をその場に取り落として、叫び声を上げる従妹を正面から抱き締めた]
千恵!何も見るな!何も聞くな!!
[従妹を抱えられるようなら、オレは惨劇の場所から離れるように移動しようとする]
伽矢? 千恵ちゃん?
[息子の声と、姪の声。
近しい者達の声に目を見開き、私の身体は動きを止めた。
誰かが飛んでくるのが視界に入る。
私は呆然と、止まったまま]
[礼斗の言葉に、神楽が吐き捨てるように返す]
新たな友達が死んで……幼馴染が死んで……背負うも背負わないも無い!
もう、走り続けなきゃいけないんだ!
雪夜……!クソッ!
[今にも全身が爆発しそうな足取りで、神楽が雪夜の死体のそばまで歩き出した]
……。
[その体から流れる血は白いその体と合わさってとても綺麗に見えた。
いまだに温かいその体から溢れる血は何かの冗談のようだ。それでも、先程感じた死のイメージは絶対で、彼がすでに旅立ち始めているということを知らしめている]
[怖い、は急に降りてきて、過去の怖いと混ざって増える。
自分の悲鳴が邪魔をして、伽矢の声も周囲の声もどこか遠い。
神楽が何か言っていた。つかさ?つかさって何?ワタシガツカサ?
ツカサはカグラ?じゃぁひょーまは 何?
かえれない、カエレナイ。
ツカサトヒョーマガイルカラカエレナイ。
パニックを起こした頭はぐるぐる回りつづける。
大好きな人から、何も見るな、何も聞くなと言われ抱きしめられて。
くたりと意識を手放した。
うさぎはじっと、舞い散る桜の花弁を*見つめていた。*]
[涙は出ない。涙は出ない。
こんなに悲しいのに、こんなに苦しいのに、それでも、涙は出なかった]
……。
[みんなに背を向けるように、ずっと雪夜の体を見下ろし続け、やがて、神楽が懐から扇子を取り出した]
……。
[顔は誰にも見せない。どんな表情をしているのかは分からない。
だがそれでも、その舞だけで、どれほど彼女が悼み嘆いているのかは、分かりすぎるほど分かった]
……。
[憑魔を浄化するため。黄泉への旅立ちへの餞のため。
最後の舞を神楽が、雪夜に向けてだけ舞い続ける]
[背後の悲鳴に一瞬足が鈍る。
けれど相手も動きを止めていた。
姿勢を低くし、目的のものを無理矢理に奪い取った。
普段からすれば機敏過ぎる動きであるけれど、本人は必死で気がつかない]
……く、
[生温い血の感触。
手が滑り、掌に痛みが走った]
[やがて、雪夜の体から立ち上るモノが神楽の元へと集まり、神楽がそれを『喰らう』
それは今までよりもずっと激しく、ずっと切ない、憑魔の浄化。
自らの体に宿し、そしてまた自然に帰れるように、神楽は舞う]
……神楽……舞う。
[小さく、途切れ途切れに最後に呟くと、雪夜の体は何処にも存在していなかった。
ただ、上気したような湯気のようなものがたなびいて消えただけだ]
……おばさん。
[背を向けたまま、神楽が百華に静かに語りかける]
憑魔を見つけ出し、滅してくれてありがとう。
だけど……しばらく、その顔は見せないでおいて。
私の幼馴染を殺したことを思うと……思わず復讐してしまいそうだから。
時間が経てば、少しは自分の中で折り合いがつけると思うから、今は近寄らないでよね。
[抱き締めていた従妹の身体から力が抜ける。
オレは抱えて、広場の隅にあるベンチへと駆けた。
後から幼馴染も追いかけて来ただろうか。
意識を手放した従妹をベンチへと寝かせる]
…くそ、お袋……何で……。
[オレは二重の意味で声を漏らし、拳を握った。
視線を遠くに戻すと、母親の得物は眼鏡の男に奪われていた]
……瑞穂、お前ん家、また貸してくれ。
[従妹を運ぶと告げると、幼馴染は頷いてくれる。
オレは母親を気にする素振りも見せながら、従妹を抱えた。
幼馴染は律儀にも、その場に残る者達に従妹を運ぶ旨を伝えている。
それを待ってから、オレは幼馴染と共に広場を後にし、幼馴染の家へと向かった]
……!
[飛んできた誰かが、右手の物をもぎ取った。
そして近くで新たな血の匂いを感じる]
あ。 あ。
やっちゃった……
[私はどうやら、人を殺めてしまったようだ。
先程の巫女さんの叫びは耳に届いていなかった。
私が彼に本当に憑魔が憑いていたと知るのは、
舞い終わった巫女さんに尋ねてからだろう。
彼らは怯えているだろうか、子供たちを振り返る。
そして傍の人物の方を向く]
あ。 史さん、手が。 手……
[彼は、私を止めてくれたようだ。
手当てしたくとも、やり方はすっかり*記憶の彼方*]
[それだけを言い残すと、そのまま神楽は正面へ向けて、何処へとも無く歩き出した。
何処へ?などとはどうでもいいことだ。
どうせ、危険などはここで見た顔の人間しか残っていない。
それならば、何処へ行っても同じ事でしかないから。
来るならば、来ればいい。それだけの覚悟をするつもりならば]
……嘘も空も……心の臓も……声も……時が動かすの……
きっと誰も……きっと今も……セイなど……知りえないの……
[ポツリポツリ。
途切れるように唄を歌いながら、神楽が*その場から離れていった*]
[巫女さんの静かな声が耳に届いた]
憑魔を、みつけ、だし。
[ああ。彼は本当にとり憑かれていた……。
私が刺したのは、幸運にも憑かれた人間だった]
幼馴染、だったの。
[それ以上彼女にかけられる言葉はなかった。
一つ頷くと、そのまま去っていく彼女の背中を*見つめた*]
[痛みで取り落としそうになる刃を握る手に力を込めた。
垂れる血は雪夜のものか、傷口からか]
……っそぉ!
[掠れた叫びを上げて、得物をできるだけ遠くへ投げた。
茂みの揺れる音]
[肩で息をしながら振り返った。
一応の警戒もあって、2人の間に立つ]
すいません、ももさん。
けど、瑶は昔っからこうなんです。
今に始まったことじゃない。
……もーちょい笑って欲しいなとは、常々思ってるんで。
[正気を取り戻したらしい相手に、頭を下げた。
笑みは上手く作れただろうか]
あー、大したことないんで。
[本当は結構深い傷だったけれど、気にされれば軽い調子で断った]
[百華が巫女の方へ目を向ける。
緊張の糸が切れたように、どさりと座り込んだ]
……怪我、ないか?
[瑶子に尋ねながらも、朦朧とし始めているのは己の方。
右手には固まりかけた雪夜の血。
――『憑魔』の血。
視界が捩じれ、歪んで、
掌に舌を這わせた]
……ク。
ざまぁ見やがれ。
[微かな声。
わらいを含むそれは、瑶子にだけは届いたかも知れない。
掌に作られたばかりの傷口は、既に*塞がり始めていた*]
─繁華街・瑞穂の家─
[鍵をかけ忘れたままになっていた幼馴染の家。
その中へと入り、二階へと上がる。
寝床を用意してもらうと、そこに従妹を横たえ、上掛けをかけてやった]
……千恵……。
[怯えた悲鳴。
至近距離でのあの悲鳴はかなり耳に来た。
それだけの恐怖を味わったと言うことなのだろう。
オレは口元をマフラーで隠し、ほくそ笑む]
[隠した笑みを消し去ると、オレはしばらくの間、従妹の傍についていた]
─繁華街─
[あの惨劇から数時間、各人が各々の行動を取った後。
オレは幼馴染を散歩と称し外へと連れ出す。
危険だ、などと言われたなら、護ってくれるんだろ?と強引に言い包めた]
[そうして中央広場が近付いた頃、オレは移動の足を止める]
……なぁ、瑞穂。
お前、本当にオレの事、護ってくれるのか?
[幼馴染の方を見ないまま、オレは訊ねる。
彼女はどんな様子で是と答えただろうか。
問いも唐突なもの、警戒されたかも知れない。
けれどそんなことはどうでも良かった]
護ってくれるんならさ……。
オレにそのチカラ、くれよ。
[風切り音を奏で、オレは鉤状にした右手を振るった。
見た目はそのままながら鋭さを持ったそれは、幼馴染の喉元を抉る。
柔らかい肉と細かい骨が右手に残り、幼馴染の喉からは鮮血が舞う。
その鮮血から逃げるように、オレは幼馴染の傍から飛び退いた]
……っは、流石、司は美味い。
溢れてきそうだ。
[抉り取った肉と骨を口へと放り込み、手についた赤を舐めとる。
噛むごとにゴリゴリと骨が砕ける音がした]
その源を喰ったら、どれだけのチカラが得られるかな。
瑞穂、お前の全て、オレにくれよ。
死んだらチカラをくれるって約束、果たしてくれ。
くはははははははは!!
[もはや物も言えないだろう幼馴染は、どんな表情をしていただろうか。
オレが憑魔と知ってどんな思いになっただろうか。
そんなことはオレが知る由もない。
愉しげな嗤い声が響く。
ただ、司を喰らえる悦びだけがオレを支配していた]
[その後の攻防は一方的に近かった。
司だけあってただやられてはくれない。
けれど先の一撃と、相手がオレであることからか、幼馴染の動きは鈍かった。
オレは特化された能力──スピードを活かしHIT&AWAYを繰り返していく。
時折反撃を食らったりもしたが、相手に比べれば大したダメージでもない。
身に刻む傷に構うことなく、オレは両手を──空気を圧縮した爪を振るった。
腕を、足を、腹を、背を。
接近する度にどこかを一か所ずつ削ぎ落としていく。
その度にオレは血肉を喰らい、チカラを増して行った]
苦しいか、瑞穂。
オレに嬲られるのは悲しいか?悔しいか?
そろそろ楽にしてやるよ。
あまり長引いて誰かに見られちゃ敵わねぇ。
あばよ、瑞穂。
[歪んだ笑みを張り付けて、オレは幼馴染に顔を近付けた。
その至近距離から軽く地を蹴り、脇をすり抜ける]
約束通り、チカラは貰ったぜ。
[そう言って、オレは右手に掴んだ生の塊に齧り付いた。
鼓動を失った幼馴染の身体は、ゆっくりと前のめりに倒れて行く。
幼馴染の左胸に空いた穴から大量の滴が零れ、地面を彩って行った]
一人でやらなきゃならなくなったのは面倒だが、愚痴ったって何も始まらねぇ。
次はどいつが良いかな。
[生の塊を喰らい切ると、手についた赤を舐めとる。
受けた傷は得たチカラも相まって既に塞がっていた。
ひゅん、と風が振り切れる音が鳴る。
あれだけ派手にやっておきながら、服や帽子、マフラーに赤の痕跡は無かった]
[こうしてチカラを増したオレは、演技にも更に磨きをかける。
その場に立ち尽くしているのを誰かに見られたら、こう答えることだろう]
さ、さっき、瑞穂が居ないのに気付いて窓の外見たら、何かを追いかけるのが見えて…。
様子がおかしかったから、後を追ったら……!
[駆けつけたら幼馴染が倒れていて他には誰も居なかった、と伝え、僅かに身体を*震わせる*]
「ひびきは、かわる。
おもいは、かわる。
ゆらゆら、ゆらら。
ゆらゆら、ゆらら。
まよい、まどうは、ひとのさが。
まどい、まようは、よのならい。
ゆらぎ、ゆく子ら。
ゆくさき、いずこ?」
―稲田家・二階→繁華街・広場―
[カーテンは少しだけ開いていて、その隙間が頬に当たって暖かかった。
ぱちりと目を開けて、ぐしぐしと目を擦る。
傍に人がいても、その人らは眠っているようで。
百華が居たとしても、その姿をぼんやりとした様子で見ていた。
誰も起こさないように、そばに置いてあったうさぎ背負い絵本を手にし、そっと一階へと降りてゆき、一人で外に出る。
ぽてぽてと、散歩するように外を歩いた。
朝日はゆっくり地表を暖めてくれるけれど、空気はまだ冷たく小さい体を包み込む。
はーっと、両手に息をふきかけ、まっかな指先を暖めた。
少し先にある広場に立つ。
そこで昨晩何が起こったかなんて知らぬまま。
どこかぼーっと、辺りを見ていた。]
―繁華街・広場―
[視界の隅に何かいた。
そちらへ動く。じっと奥のほうを見ると、そこには動かぬ小さな猫がいた。
あの時見つけた子猫なのか。
そんな事は、知らない。]
………ひょーま?つかさ?
[じ、と。子猫を見つめてそう問うも、もう、みぃという答えすらない。
きょろと辺りを見回して、地面に転がっていた少し大きな石を見つけると、大事な絵本を脇に置き、石を両手に持ってきた。]
ひょーま、つかさ。
[ぶん、と
石を
大きく
振りかぶって]
(―――――――――――ぐちゅり。)
『み゛ぎぃ、っ』
[小さな命が最後にくぐもった声をあげた―――ような気がした。
それで最後。
少し大きい石を持ち上げると、頭を潰され目が飛び出た肉塊が転がっていた。
ぺいっと、石をその上に捨てる。
どすっと鈍い音がして潰れて、血が反対側に少し飛んだ。量が少ないのは、きっと時間がたっていたから。]
いっぴき、かなぁ?
[無邪気な問いはうさぎしか拾わない。
そのままじーっと死骸を見ていると、それはふいにゆらりとした桃色の陽炎に包まれ消えていった。]
?
[きょとん。不思議そうに、石を持ち上げる。そこには血の痕跡が残っているだけ。
桜は正しく、子猫を輪廻の輪の中へと導いた。]
あっ!そっか!
これが『かえす』、なんだ!
[ぱぁと、理解できた事にとても嬉しそうに笑って、手についた血を石でぬぐって落とした。
そのままててっと戻り稲田家に入り、真っ先に洗面所で手を洗うと、した事の跡は綺麗になくなる。
そうしてそっと二階に上がると、うさぎを座らせ、もう一度布団に潜りなおした。]
……ちえおなかすいた。
[だれか居たなら、そう言い起こす。
昨日のことを大丈夫かと言われたら、ちょっとびくっとした後眉毛を下げ、小さく小さく大丈夫と言いながらこっくり頷くだろう。]
[こどもは賢くあざとい生き物だから。
そうしようと、本能が動く。
それは演技ですらもない、子供の仕草。
空腹も怯えも帰りたいも大好きも、全部嘘ではないのだから。
何かが変わってしまった、けれど何も変わらない。
うさぎは全部を見ていたけれど、なんにも言わずに*黙ったまんま。*]
―中央公園/夜―
[返される叫びに、微かに眉を寄せ。
始まる『還し』の舞、それをただ、静かに見つめる。
舞に込められているものはわかる。
わかるが故に、言葉はなく]
……は。
因果な、もんだ。
[口をついたのは、吐き捨てるような言葉]
…………。
[視線を巡らせる。
百華は一先ず落ち着いた様子。
ただ、今の一連の出来事の中でも表情の変わらない黒江の様子は、妙に引っ掛かった。
無口無表情は近所付き合いでそれなりに知ってはいるが。
それにしても]
……ま、とりあえず、だ。
[ため息一つ。
歩き出すのは、神楽が立ち去った方。
公園から離れた辺りで追い付き、声をかける]
神楽。
[声は低く、静か。
慰めるような響きは伺えない]
さっきも言ったが、『司』としての役目を貫くなら、貫け。
だが、『司』はお前だけじゃないってのは、意識にいれとけよ。
[同じ『司』を信じろとは言わない。
頼れとも言わない。
ただ、他にもいる、という、それだけははっきりと言える事実を告げる。
裏側には、先にも投げた言葉が潜んでいるのだけれど。それは、表に出す事なく]
[淡々と告げた言葉に、返る反応は如何様か。
それがどんなものであるにせよ、言いたい事は、結局は一つ]
……魔を滅する事に囚われ過ぎて、お前自身が魔に堕ちるなよ。
とりあえず、今は。
頭、冷やせ。
[一方的にそれだけを告げて、踵を返す。
再度、戻った公園には、まだ人の姿はあるか、否か。
いずれにせよ、一度足を止め、舞散る薄紅をしばし見つめる]
……『いのちのまつり』……か。
[ぽつり、呟くのは、桜の童女の紡いだ歌の一節。
歌った童女の姿は、今は見えない]
……どうせ、一度はなくしたようなもんだ。
有効に、使わねぇと、な。
[小さく呟き、マンションへ向けて歩き出す。
その後にそこで起きる事など、*知る由もなく*]
―回想・中央公園―
[最初は神楽の方を向いていた。
憑魔がいると確信できているのは力を持つモノのはずだから。
そして自分は。それが司なのだと知っているから]
2人目。
[短い呟きは誰かに届くことがあったか。
直後響いた伽矢の声に百華の方を振り返る]
……!
[迷うようでもなくその人を選んだことに驚いた。
その強い思いに打たれたように、表情一つ変わらぬまま百華の挙動を見ていた]
「あなたもなの?
あなたが笑わないのは、悪魔のせい?」
[緋に染まった銀を片手に近づいていくる百華へ答えることもできずに、ただじっと見つめていた。
そうではないと言いたかった。けれど言えなかった。
ならばどうしてなのかという答えを、瑤子は持っていなかった。
甲高い少女の悲鳴が空間を震わせた]
[反射的に背中をビクリとさせる。
一瞬にして誰かの影が視界を遮った]
史…?
[それまでとは調子の違う百華の声。掠れた史人の叫び声。
呼びかけた声は喉に張り付いたように小さくて。
深呼吸するよに吸って、吐く]
大丈夫。
史兄さんの方が怪我してる。
[座り込む史人に尋ねられて首を左右に振った。
ポケットを探ってハンカチを取り出し、応急手当に傷口を縛ろうと手を伸ばしかけ、止める。
緋色の浮かぶ掌に舌を這わせるのを見た]
司は憑魔を喰らい清める。
神楽さんが還してくれてよかった。
[微かな呟きを耳にして、溜息のように呟いた。
神楽の舞は視界の端に見ただけだが、百華に向けた声は聞こえていたし、気配の変化はもっと肌に近いところで感じていたからそれは分かっていた。
史人の隣に一緒になって座り込み]
そろそろ行こう。
休める場所ないなら、私の部屋使っていいから。
史兄さんもちゃんと休んだ方がいいよ。
[落ち着きを取り戻すまで待つとそう提案した。
緊急避難だよと続けるが、史人の返事はどうだっただろう]
次は、正当防衛手段も取らせてもらいますから。
[百華が残っているならそんな言葉も残して、マンションに向かい歩き始めた。
公園を出る際、ちらりと繁華街の方を窺ったことに一緒に誰かいたなら気づいた*だろうか*]
─自宅─
[帰り着いた後の記憶は、曖昧。
それまで溜まっていた疲れが一気に出た、と言うべきか、否か。
寝室にたどり着けたのは、ある種の奇跡と言えたかも知れない]
……ち……だるい、な。
[目覚めの後、口をついたのはこの一言。
起き上がり、サイドボードに置いたミネラルウォーターのボトルを手にして喉の渇きを癒した後、煙草に火をつけ。
立ち上る紫煙をぼんやりと眺めつつ、また寝転んだ]
……俺以外に、七人。
史さんと、神楽を抜いて五人。
あの、瑞穂って子は……外してもいい可能性が高いと見て。
残り、四人……四分の一。
[指折り数える。瑞穂に起きた事は、まだ知らない]
あのママさん……は。
読めねぇ、な……『憑魔』同士で殺しあわないって言い切れるかもわからんし。
……とはいえ、あの状況で、いきなり同類を刺す必要があるかって言うと……。
[特に、疑問を向けられていたわけでもない、状況。
そこで、敢えて同類を手にかける必要があるのか、と。
そう、考えると、可能性は薄くなる]
……暫定で、残り、三択、か。
やり難いっちゃやり難いが。
子供が『憑魔』化しない、とは言い切れんし、な。
何より、それで自分が死んだら洒落にならん。
可能性がある以上は、意識にいれとかねぇとな。
― 襲撃前・中央公園 ―
笑って欲しい……そうよ、黒江さんてばレジなのに、
客が来ても表情一つ変えやしない。
[顔を史さんのほうに向け、鼻で笑う。
嘲笑は誰に向けたものなのか。
視線は落ち着き無くあちこちを彷徨っている]
私、知ってるの。
こんな風になる前から黒江さんは変わらないって。
知ってたの。なのに。
[なのに、恐怖に負けた。
私は言いがかりをつけて雪夜君を襲い、黒江さんを襲おうとした。
雪夜君はたまたまアタリだっただけ]
……伽矢? 千恵ちゃん? 瑞穂ちゃんまで。
[守るべき子供達は、どこかにいなくなっていた]
[自分なりの状況整理。
それが終わった所でまたしばし、ぼんやりと天井を見つめる。
三年前は、ひたすらに動揺が先に立っていたが。
今は、どこか。
思考がマヒしているような感覚があった]
……まったく。
なんだって、こう。
二度も身近で起きるかね。
[想いが行き着くのは、そこ。
忘れたかった。
忘れていたかった。
記事にしたのは、自分以外の誰かに起きた出来事に。
他人事にしてしまいたい想いがあったから]
……は。なさけね……。
[零れ落ちるのは、自嘲の言葉]
― 襲撃前・中央公園 ―
正当防衛。ええ、そうしてちょうだい。
[私は新たな恐怖に怯えていた。
無実の人間を殺めてしまう事への恐怖]
正当防衛なら、仕方ないわ。
……仕方ない。
[私は、身を守るだけに留める事にした。
もう誰も襲ったりしない。襲われたら身を守るだけ。
憑魔や司にちっぽけなナイフが効かない事等、知りはしなかった。
伽矢が落としていった包丁を拾い上げ、握り締める]
花びら、いっぱい。
[柄や刃や布についた薄紅をふう、と吹き飛ばす]
……半端に、血だけもらったりしたから、こんな事になったんですかね……龍先輩。
そうだとしたら、恨みますよ……?
[しばし、間を置いて。
こんな呟きを漏らしながら、煙草を灰皿に。
ベッドから起き上がり、気だるい身体を引きずるようにバスルームに行ってシャワーを浴びる。
濡れた頭にタオルを引っ掛けたまま、次に向かうのはキッチン。
正直、食欲は余りないが、食べないわけにもいかなかったから。
パンとコーヒーでごく簡単な食事を済ませた後、寝室に戻る]
……さて、と。
さすがに、丸腰では出られんよ、な。
[呟きながら、手をかけるのはクローゼットの扉。
その、一番奥から出すのは、黒い布の包み]
誰もいない。 みんないない。
私、一人ぼっちね。
[誰が憑魔なのかわからない今、一人で居る方が安全なのかもしれない。
……けれど。私は手近な木にもたれ、幹にぺたんと頬をつけた]
怖いよ。 辛いよ。 ……寂しいよ。
[下唇を口の内側に巻き込んで、ぺろり、ぺろり。
紅が落ちたってかまやしない。
こめかみを木の肌に押し当てて、そっと擦り付けた]
[布を解けば、出てくるのはサバイバルナイフが一本。
ずしり、と重いそれは、今は亡き『司』の形見]
……普通のナイフや包丁よりはマシだろ。
[そんな事を呟きながら、それをジャケットの下に隠し持つようにして。
新しい煙草に火を点けると、部屋を出て戸締りをする。
しん、と静まり返った空間。
階段に響く足音は、やけに大きく聞こえた]
―自宅―
[洗面所の鏡に映った自分の表情を見る]
笑うって、どうすればいいんだろう。
[唇の端を引き上げてみる。他者に見る笑みの形。
貼り付けただけのような表情になった]
感情をそのまま出すって、どういうことだろう。
[診察を受けても理解することが出来なかった。
感情が無いわけではないけれど、その振れ幅はとても小さい]
強く思うって、どういうことだろう。
[引き攣るような笑みを消す]
桜が覆ってくれた場所。
私に足りないのは、何。
― 中央公園 ―
[木から身体を離すと、濡れた頬をぬぐう]
あの子達、どこいったんだろ。
稲田さんちかしら?
[けれど、子供達は、瑞穂ちゃんは。
憑魔とはいえ人を殺めた私を、どう見るのだろう]
……遠回りしよう。
[そうして、住宅街を経由して繁華街に向かう事にした]
―→ 住宅街 ―
― 住宅街・地蔵堂 ―
ここ、は。
[昼頃、常連の男に追われてきた場所。
殺しあったらしき男女が倒れていた場所]
あの二人、消えてる。
[巫女さんが舞った後、雪夜君の身体は消えていた]
あれと一緒なの?
[傍の地蔵に問うてみるも、地蔵はただ、ただ、慈悲深く微笑み続ける]
……あれ。
[はた、と瞬く。
目の前にあった手をじっと見つめて]
え、……あー、うん。
構わないなら、助かる。
[瑶子からの提案には素直に頷いた。
地面に手をついても、既に塞がっていた傷口から砂が入ることはない。
立ち上がり、もう一度右手を見て]
……。
[何か言うこともなく、百華には頭だけ下げて、後を追って行った]
─住宅街─
[階段を降りきり、通りに出る。
通りもやはり、静けさの帳の内]
……さて、と。
どこに行ってみるか。
桜の所に行っても……あれは何も、答えはせんだろう、な。
[あれ、がさすのは言うまでもなく、桜の童女。
なら、どうするか、と。
思いながら、ひとまず宛てなく歩き出した]
[公園から離れる後に聞こえてきた礼斗の言葉には]
……。
[何も答えることなく、ただそのまま去っていった。
そして、そのまま何処へ歩いていったのか自分でもよく分からない。意識は半分以上断ち切られていた。
気づけばそこは、何処かの建物の階段だった。
そこにうつむいたまま座ったまま、どれくらいの時間が経ったのか神楽は知らない。
頭の中は、あれから今までずっと憑魔のことだけだ]
……そーいえば。
[ふ、と歩みを止めて。
携帯用の吸殻入れに、灰を落とす]
しばらく行ってなかったし。
地蔵様の顔でも拝んでくるか。
[仕事に行き詰ったときによく出向いた場所。
宛もなく歩くなら、と。
そちらへ向けて、歩き出した]
―自宅―
[母親が泊まる時のためソファベッドの入っている居間。
コーヒーカップをローテーブルに置いた]
少しは疲れ取れた?
[一つは両手に抱えて一口飲んだ]
史兄さん。
もし、私が憑魔だったら、どうする?
[いつものように淡々と問いかけた]
― 住宅街・地蔵堂 ―
[手を伸ばし、地蔵の頬に触れようとする。
寸前で手を引っ込めた]
オン カカカ ビサンマエイ ソワカ……
オン カカカ ビサンマエイ ソワカ……
[店に来る客には本当に色々な人がいた。
私から客に素性を聞いたりはしないけど、彼は自分から坊主だと名乗った。
お酒を勧めていいものか、随分戸惑ったっけ。
私は手を合わせ、彼に教わった地蔵に願う時のおまじないを繰り返した]
……急にお願いされても、困るか。
[地蔵にかけた願は、平安。
子供たちと自らの、そしてあの場に集まっていた者達の。
困った時の神頼みというやつで、私は苦笑を漏らした]
───ぐ。
[そして、唐突にまた鳴り響くは鈴の音。
白い光が、黒い光に塗りつぶされていく光景と共に、瑞穂の姿が思い浮かんだ]
みず……ちー……。
[これがただの幻影ではないことはよく知っている。ただの幻影だったのならば、どれほど良かったことか]
次は、みずちー、か。
[それは、瑞穂が小さい頃からずっと見続けてきた可愛い妹分。
家族と触れ合う機会がほとんど無かった神楽にとって、まるで本当の妹のように可愛い存在だった。
その大事な子が、憑魔に殺され、何処かでその骸を晒しているのだと分かっても、神楽には動く気力は出てこなかった。
短い時間の中で起きた一連の騒動は、神楽の心をへし折っていきそうなほど、辛いことばかりだった]
─住宅街・地蔵堂─
[近づくにつれ、感じ取れたのは人の気配。
それを訝り、警戒も込めて足を止めるのと、声が聞こえるのとはどちらが先か]
……こりゃまた。
随分と、思いも寄らないというか、なんと言うか。
[まじないを唱えていたのが誰か気づいて。
最初に口をついたのは、そんな一言]
……雪夜。
[信じたいと願った人は憑魔だった]
……瑞穂。
[信じたいと願った人は憑魔に殺された]
……綾野さん。
[短い時間の中で触れ合った人も、憑魔に殺された]
……。
[誰が、何が、悪い?
今まで本気で人を疑おうと思わなかった自分か?
信じている人を奪っていく憑魔か?
一連の騒動を巻き起こしているであろう桜花か?
死者しか判断出来ない呪われた力を残した司か?]
……誰?
[しゃがんだまま振り返る。
膝には布に包まれた包丁が乗っているのが見えるだろう]
あ。
[立ち上がろうとしたが、しばらくしゃがんでいた為足がしびれ、
後ろに尻餅をついた。
余りに無防備な態勢に、口元が僅か引きつった]
えいち、えーの人ね。
[店で会ってから、彼の名を目にする機会はなかった]
―瑶子宅―
お蔭様で。
……あー、さんきゅ。
[瑶子が戻って来て、姿勢を正した。
女性の部屋ということで一応気も使っているのか、礼斗の部屋の時とは違い隅の方にいた]
瑶が?
……いや、そりゃねーだろ。
[問い掛けに瞬いた後、真顔であっさりと否定する。
テーブルの隅には水の入ったコップが一つ置いてあった]
[振り返り、倒れ込む様子。
いつもなら、軽口と共に手を差し出すような場面だが、今はそういう気にはなれなかった。
だから、その場から動く事はせず。
ただ、呼ばれ方にひとつ、瞬いた]
……はい?
ああ……そういや、名乗ってなかったか。
[呼びかけ方がイニシャルと気づいて、こんな呟きを漏らし]
礼斗緋文、だ。
[短く、自分の名を告げた]
―瑞穂家・二階―
[ご飯を用意したのはだれか。冷蔵庫にあったパンと牛乳を食べた。]
…あれ、みずねえちゃは?
[いない人のなかに瑞穂がいたので、誰となしに尋ねる。
答えは返ってきただろうか。
いなくなった、知らないと、どちらを言われればしょんぼりする。
だれも居なければ、うさぎが無言で返事して。
それから暫くは大人しく、本を開いて中を見ていた。]
――きみゃくはめぐる、ちからのままに。
――きざめ、きざもう、いのちのしるしを。
[雪夜の書いた、桜の絵本。桜花の事はそこにはない。ただ桜にまつわる綺麗な挿絵と、不思議な言葉が綴られている。]
きみゃく…。
[言っていたのは百華だったか。不思議な言葉だと思った。]
ああ。 それであやみん、なのね。
店でも言ってたけど、本当に変わったお名前。
[少し硬い笑顔を向ける。
相手が距離を置く事に、私は少し安堵していた。
そして同時に寂しさを感じていた]
お店で言ったかしら。百華よ。
なんとでも呼んで頂戴。
[足首をくるくる回すと、私はゆっくり立ち上がる]
―自宅―
言い切っていいの。
[首を傾げる。
水の入ったコップが視界に入った]
まあ、いいんだけど。
もし親しい人が憑魔だったら史兄さんならどうするのかなって。
そっちが聞いてみたかったんだ。
[精神が壊れて、狂ってしまえるのならばどれほど楽なことか。
それが出来ないのは、小さな頃からやってきた神社の修行。それから、それを許さない司としての治癒能力。
双方が合わさり、神楽にそのような逃げは決して許さなかった。
───逃げることが出来ないのならば、道は一つしかない]
憑魔。
[暗い目が、前方の暗闇を見据えた。
その脳裏に浮かんだのは、礼斗の言葉。
『魔を滅する事に囚われ過ぎて、お前自身が魔に堕ちるなよ』]
魔に堕ちる?上等じゃない。
お嬢様なことをして、憑魔を消せるなんて思わない。
私がやることで、魔に堕ちるというのならば、そうなればいい。
役割は果たし、絶対に此処から生き延びてやる。それが終わったら……桜花め。どれほどの時間がかかっても、今まで亡くなった人達の分も含めて……消してやる!
ま、漢字だけ書いて、まともに読まれた例はないな。
[珍しい、という物言いに、掠めるのは苦笑。
百華の心の相反する感情には気づかない]
……で、こんなとこで、何を。
[立ち上がる様子を見やりつつ。
素朴な疑問を投げかけた]
たまたまよ。たまたま通りかかったの。
[少し目をそらす。
わざわざ住宅街を通った理由が、子供のような現実逃避だったから]
お祈りよ。 元通りになりますようにって。
[血がこびりついた手に目を落とす]
―瑶子宅―
うん。
根拠はないけどな、信じていい気がする。
[一見すれば頼りない言葉。
傍らのコップの中では、白く色付いた氷の花がゆらりと揺れて、溶けていった]
親しい人が、か……
……その、『憑魔』ってのがいなくならなきゃ、出られないんだろ?
だったら、……倒さないといけない、だろうけど。
[「殺す」という言葉は避けた。
カップの中の黒い水面に視線を落とす]
……やっぱ、分かんねーや。
そうなってみないと。
……たまたま、か。
[目を逸らす様子。
深く追求はしない。
昨夜の出来事を思えば、精神的には参っているだろう、というのは伺えたから]
……祈り。
元通りに、か。
[あかの痕の残る手を、ちらりと見て。
は、と小さく息を吐く]
……ま、確かに、俺も。
このまま進んで……前の時のようには、なってほしくはない、な。
― 住宅街・地蔵堂 ―
[礼斗君の視線は私の手に。
赤い痕を隠すように、きゅっと右手を握った]
前の時?
貴方。 同じ目に遭った事、あるの?
[推測し、尋ねる]
─住宅地・地蔵堂─
[痕を覆い隠す手の動きに、視線をそこから外して。
投げかけられた問いに、一つ、頷いた]
ああ。
今から三年前に、ね。
だから、今起きている事については、多少は知っている。
……そして、あの時と同じ最悪の結果を避けるための方法も、ずっと、考えている。
[そのために、どうするか。
結論は一つ。
しかし、そこに至るための答えは見つかっていない。
ならもう一つ。
力あるものの隠れ蓑にはなれるか否か。
そんな思考も、意識の隅にはずっと、あった]
そう。 そうだったの。
[こんな恐ろしい事に二度も巻き込まれるなんて。
抑えきれずに、一度ぶるっと身体を震わせた]
最悪の結果を避ける……あの時と同じ?
[こんな事聞いてしまっていいのだろうか。
戸惑いながらも唇は質問を紡ぐ]
一体、三年前に何が?
貴方は、どうすればいいか知っているの?
[最後の一匹をみつけ、屠る為にはどうすれば]
[さて。
それで、残る1匹の憑魔を探すにはどうすればいいのか。
生憎と、自分にはそれを探る手段は持ち合わせてはいない。
最悪、自分以外の全員を殺すというのも手だが、それはまさに最終手段。現在考えうる手としては下の下だろう。
それは、人を殺すということを嫌がっているわけではなく、そのようなことをすることが現実的ではないということだ。
歴史を振り返ってみても、勝つのは一握りの能力があるものではない。大多数の能力も何も無いものだ。
それを考えるのならば、そんな行為は自殺行為と同等だと言うことはすぐに理解できる]
もし……そんな手段を取るのだとしても、これから先、もっと人が減ってからね。
[神楽が今まで持ち合わせていた甘さは、ほぼ無い。
それだけの変化が起きるほどの出来事だった。
だが、だとしてどうする?他の手段は?]
全面的な信頼はしない。
けど、それなりに信頼できるものを味方に、か。
司。後何人だったっけ?2人?
出来ることならば、それと手を組みたい。
けど……それの判別の手段も無いんだよね。
―自宅―
根拠ないのに。…そっか。
史兄さんは、史兄さんのままなんだね、本当に。
[溜息をつく史人を見る]
それならば、とってもらしい答えだと思う。
でもそれじゃ他の人の予想もつかないね。
─住宅街・地蔵堂─
……同じように、壁に取り込まれたものは。
俺を除いて、全員、死んだ。
[淡々と言い切る刹那、僅か、目を伏せる]
どうすればいいか、と言うなら、『憑魔』を全て浄化する、としかいえない。
……『憑魔』を探す術。なくはないが、何度も使えるほど、便利なものじゃないし、な。
[淡々とした口調のまま、小さく呟く。
物言いだけ聞けば、それをなせるのが自分か、他者かは曖昧なよに。
彼女にそう話す事が、どこにどう繋がるかはわからない。
だから、これはある意味では、賭け]
─繁華街・広場近く─
[オレは倒れた幼馴染の傍から逃げるようにして駆け出す。
時間の経った幼馴染の身体は、桜の花弁となり宙へと舞った]
(次の餌はどうするかな。
力あるものは早めに『処分』したいところだけど)
[もう一人、オレは司を知っている。
皆が憑魔であるオレを探す中、一人で生き抜くにはチカラが必要だ。
けれど憑魔と言えど、人の手でも殺される可能性があるのを先に見た。
人を侮ることも出来ない]
(ちっ、利用しようとした駒に痛手を負わされちまった。
けどまだ、オレの事には気付いてないはず。
やっぱ先に喰うとしたら──)
[考えながら、オレは先程喰った幼馴染の家へと駆け込んだ]
─繁華街・瑞穂の家─
[家へと戻ると従妹が丁度起きたところらしく、腹が減ったと言われてオレは冷蔵庫にあったものを出した。
料理なんて出来なかったから]
瑞穂は。
……いつの間にか、いなくなってた。
[そう答えると、従妹はしょんぼりしてしまった。
オレが喰ったと言えるわけもなく、言うつもりもない。
大人しく本を読み始めた従妹に気付くと、オレは窓辺へと行き窓を開けた。
何をするでもなく外を見遣る]
―瑶子宅―
どーいう意味だよ、それ。
[軽く睨むように見た後、苦笑に変わる]
ま、でもさ。
瑶とかあやみんがそんな風に……変になるとか、想像もつかねーし。
[本当はそうならないことを既に確かめてあるだけなのだけれど]
……だよな。
かと言って、他の人のこともよく知らねーしさ。
[コーヒーを一口、含んだ]
後は……疑わしきは罰せよ。
それぐらいなのかな。
それが、ひふみんでも、ちーちゃんでも、憑魔だと思ったのならば、迷わず、滅す。
ふふ……信じていた人が憑魔だったんだもんね。もう、誰が憑魔だったとしても驚かないよ。
[狂ってもいなければ、自棄にもなっていない。
それは単純に可能性の問題。
人としての情が、必要無いのであれば、そうするしかない]
───きっと。
これが終わっても、私は元に戻れないんだろうな。
こういう感情、欲しくなかったよ。
―稲田家・二階―
[きみゃく、もきになったが、その次に並ぶ言葉も気になった。
いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。
暫くながめてから、ぱたんと音をたててとじ、てててと歩いて伽矢の隣から窓の外を見た。
しんと静まった静寂の世界。
それはおとぎの国のようにもみえた。]
かやにいちゃ、ももおばちゃもいないね。
………ちえ、おそとに捜しに行きたいな。
[勝手にどこへも行かないと約束したので、下から伺うようにいとこを見上げた。
うさぎは好きにすれば?とでもいうように、くたりと首をかしげていた。]
─繁華街・瑞穂の家─
(あの巫女以外にもう一人司が居る。
それが誰なのかが分からねぇ。
判ってるやつより先にそっち探すのも手か。
当てずっぽうになっちまうが……。
…そうなると、あの辺喰っちまうかなぁ)
[思い浮かんだのは印象の悪い二人の男。
特に節穴の野郎には膨れ上がった憎悪にも似た感情がある]
(どこに居っかなぁ。
司かそいつか、二択だ)
さーて。
何処に行こうかな。
というか、此処は何処だ。
[これからの方針が固まると、神楽がゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡した]
適当に歩いてきたしなあ。
さっぱり地理が分かんないや。
ま。半径500m以内。そんなに変なところまでは行ってないでしょ。
同じく、適当に歩き回れば、知っているところに出るよね。
[軽い調子で語りながら、神楽が歩き出した]
─繁華街・瑞穂の家─
[遠くを探す様に窓の外を見ていると、従妹が隣へとやって来た]
ああ……落ち着いたら戻って来ると思ったんだが。
捜しに行くか、状況が状況だ。
[伺うように見上げられ、オレは承諾の頷きを返す。
窓を閉めると、従妹を促す様に右手を差し出した]
―自宅―
そのままの意味。
[睨まれても真顔で返す]
…礼斗さんは、信じていていいと思うよ。
でも、私は。確かに今は憑魔じゃないけれど。
[俯いてミルクの入った茶色の水面を見た]
桜花の力まで借りたけれど。
止めきれなかった。
ごめんね。
[最後の声は、いつもよりどこか幼いような]
全員……!
[私は言葉を継げなくなった。
礼斗君が目を落とすのを呆然と見つめる。
そうするうち、彼はぽつぽつと質問に答えをくれる]
見つける事、できるの?
そんな事、私に言っちゃっていいの?
[それは、経験しているから?
それとも、巫女さんの様に力がある人だから?
……それとも]
……貴方が憑魔で、私を謀っていたり。
なんて事、ないといいんだけど。
本当なら、こんなに、こんなに心強い事ない。
………………っっ!!
[しばしの間、痛みに耐えるようにうずくまっていたが、すぐに司の治癒能力が発現されて、その痛みは急速に薄まっていき、神楽が気を取り直すように立ち上がった]
結界傍じゃん!
ギリギリじゃん!
あぶねーな、クッソー!!
[愚痴を大声で掃き捨てて、逆を向き歩き出した。
さて、その足取りは何処に向かうのやら]
[聞き流すところだった]
……え?
[そこでその名が出るなど、思いも寄らない。
顔を上げた]
借りたって。
……なに、それ。
なんで、瑶が謝るの。
―自宅―
史兄さんを殺したりは、したくないな。
[最後に持てた思いにしがみつく。
自然と、微笑が浮かんだ]
だから。さようなら。
桜、力を貸して。大樹の下に。
[室内なのに風が吹く。
桜色の霞が身体を包み込み、その場から消え失せた。
テーブルの上に半分中身の残ったカップだけが残った]
三年前に、山奥で土砂災害があって、一人だけ生還した。
そんなニュースあったの、知らんかな。
……その時の、唯一の生存者が、俺。
あの時は、事故、って形で処理されたから、表沙汰には全くならなかったんだ。
[淡々と語る。
続いた問いと言葉には、肩を竦め]
……見つける術があるのは、事実。
神楽の力と対になる、生ける『憑魔』を見つける術がね。
謀っている可能性も、否定しない方がいいと思うぜ?
[ふ、と笑う。
確定はしない、させない。
語る言葉は、あくまで曖昧なまま]
―稲田家・二階―
[どこかぼんやりしていたいとこは、話しかけるといつもの様子。
いいと言われると、ぱぁと嬉しそうに微笑んで、差し出された右手にきゅ、としがみついた。]
いこういこう。
どこにいるかな?
[伽矢が不穏なことを考えているなんて知る由もない。
促されればいっしょになって、外へと捜しにでかけに行った。]
公園かなぁ
[なぜか、いつも思いつくのはそこだった。]
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