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千恵ちゃん、一人で行っちゃったの?
早く探さないと。一階?ううんリュックがない。
[焦る気持ちの中考えはまとまらず、すぐに探しにいこうとして]
伽矢くん、連絡…
[携帯は繋がらず、電話も繋がらない。いる場所も当然わからない。]
置手紙、気づいてくれるといいけど。
『伽矢くんへ
千恵ちゃんどこかに行ったみたい。
探してくる。
ごめんなさい。』
[部屋の中に置手紙を残し、鍵はいつもの隠し場所郵便ポストの中の上部に貼り付けて隠した。
伽矢なら何も言わずともそこだとわかるはずだ]
───回想>>249───
名前というのは言霊が宿るから、勝手にでも何でも、意味は篭るんだけどね。
私の「神楽」にも、せったんの「雪夜」にも。
まあ、その話はいっか。あまり関連性は無さそうだし。
綾野さんは知り合いというか、茶のみ友達?いや。飲んだこと無いけど、将来的にはそんな感じの仲になる予定でいるかな。
現在は、何度か話したことがあるだけの仲かな。
何を懸念しているのか知らないけど、知り合いなんて考えてなるもんじゃないでしょ。なんとなくだよ。なんとなく。
[あまり実りの無い会話を続けながら、桜の見える場所まで辿り着き、雪夜と共に満開の桜を眺めた]
あらま。見事に咲き誇っているわね。
……困ったもんだ。
……さて。
ある意味では、ここからが本題なわけだが。
命に関わるっていうのは、この壁の中で起きるのが文字通りの生存競争……人と人との喰らいあいだから、だ。
人を喰らう、『憑魔』というもの。
そして、それを喰らって清める、『司』というもの。
一体、どういうモノなのかはわからんけど、そういう、特殊な力を持った連中が、この壁の中にいる。
龍先輩……この騒動に一緒に巻き込まれた、俺の仕事の先輩は、『司』としての力を持ってて。
『憑魔』は、自分の最も強い願い、それを叶えるために人を喰らって力をつけるんだと言っていた。
そして、『司』は、それを阻むために、森羅万象の力を借り受けて倒した後……喰らう事で、清めるんだと。
[ここで言葉は一度途切れ。
は、と小さなため息が零れる]
……ま、あんまり気分のいいモンじゃないらしいが。
─路地裏─
…………。
[オレは立ちつくしたまま眉根を寄せていた。
オレを追いかけていたはずの同級生が、目の前で地に伏せている。
頭を潰され、ところどころが欠けた状態で]
…………。
[言葉が出なかった、むしろ押し殺した。
人を喰らっていたモノが喰われていると言うことは、他にも居ると言うこと。
折角拾った命をまた危険に晒すわけにはいかない]
───回想───
[少しだけ眉根を寄せながらその桜を見つめていたが、不意に雪夜が綾野へと向かって歩き、乱暴に問いただすのを見てさすがにその目が険しくなった]
ちょっと!せったん!
女の子に乱暴なことしちゃダメ!私と同じような感覚で他の子も扱うのはさすがに失礼よ。
[そんな言葉でたしなめてみたが、あまり声は届かず効果は薄いようだ。
神楽の言葉に迫力が全く無いというのも起因しているのかもしれないが。
それから、綾野から語られた内容に、指を口に当てて考え込む]
ふむ。
大体本で読んだとおりの内容ね。っても斜め読みだったからあんまし覚えてないけど。
まあでも、役割は果たさなきゃいけないかなあ。気乗りしないな。
まぁまぁかな、腹の足しにはなったか。
[手についた赤や口の周りは綺麗に拭き取って。
オレは”人”のスピードで走る]
もっと力つけたいんだけどなぁ。
何喰えば良いんだろ。
桜が咲いたから始まるのか、始まるから桜が咲いたのかは、知らん。
……『桜花』は、始まるから咲いた、とか言ってたが、実際はどうなんだか。あれも、単純な怪異の枠には収まらんようだし。
騒ぎと桜の関連性は、龍先輩にもわからなかったらしい。
身も蓋もない物言いをすれば、超自然の法則。
俺たちの考えうる常識で図ろうとするのが、無意味なんじゃないかって、レベルの事なんだろうけど。
[そこは、考えても考えても結局答えのでなかった事だから、到達した結論でしめて。
だいぶ冷めたコーヒーを口にする]
……ま、後わかってるのは。
生き残るには、『憑魔』をどうにかせにゃならん、って事だけだ。
『憑魔』から見れば、他は全て『餌』扱いらしいからな。
[それは、実際に『憑魔』に──『憑魔』となった、茶髪の仕事仲間に言われた言葉]
とはいえ、非力な一般人には、きつい話ではあるが。
[その時の事を振り払うよに、小さく首を振って。
最後は、冗談めかした口調で、話をしめた]
───回想───
[考え込んでいる間に、雪夜は綾野の襟を離し、怒りの形相と共に桜を殴りつけたが、神楽にもそれは気持ちは理解できたので特に何も言うことは無かった]
[風が揺れ、
ワラい声が、
鈴の音が、響いた]
……知った話を総合すると、「桜花」にとって私達は単なるモルモットだもんね。
そりゃ、笑いもするわ。
んー……気にくわないなあ。
筋書き通りの物語の演者になると思われているのが。
[桜に近づくと、更に自身の内から湧き上がる衝動の一つ一つが、その力が、神楽には気に食わない]
生憎と、貧困暮らしを続けていてもお恵みで生きていくほど落ちぶれてはいないんだよ。
アドリブの激しい役者の底力見てなさいよ。
―礼斗宅―
壁が出来て、外からは様子が分からない。
中にいると出られなくなるわけですね。
[道が通れなくなったという話に確証のようなものを得る]
生存競争。
[呟いた後、返す声も途切れていった。
桜花の名前に史人はまた反応したのだろうか。
窓の外へと顔を向けたから、それにも気づかないまま]
桜花。
見届け…る、だけ?
―礼斗宅―
[礼斗の過去体験告白が始まると、意識はそちらに戻された]
たった一人の生存者。
礼斗さんは、喰らわれなかったんですね。
[喰らいあいという言葉は実感できているのかどうか。
じっと礼斗の顔を見た。穴が開きそうなほどにじぃっと]
清める司。
求める憑魔。
力を持つ、者。
相手を喰らって力を得るモノ。
[短い言葉で確認するように、刻み込むように呟く]
[桜と怪異の関係性は礼斗も把握してはいないようで。
ただその説明をじっと聞いて]
どうにかしろと言われても。
こんな事態、どうすればいいのか。
[冗談めかされた言葉に、どうにか頷いた。
同じく冷めてしまったミルク入りのコーヒーを一口飲んだ]
RPGみたいに、街に武器調達へ行けばいいですか。
[一息ついて言った内容は冗談らしいのだが、真顔で淡々と言うと微妙だったかもしれない]
─ →繁華街─
[幼馴染の家へと向かう最中、運良くあのイキモノに出会うことは無かった。
オレは周囲も眼に入らぬまま、目的の場所へと辿り着く。
開いているはずの扉、けれど手をかけても動くことは無かった]
鍵?
何で……確か鍵は…あった。
[隠してあった鍵を引っ張り出し、扉の鍵を開ける。
閉めるのもそこそこに幼馴染の家へと駆け込んだ]
千恵!瑞穂!
……居ない……?
[名を呼び探すも、返事は無い。
しばらく探した後に視線を落とすと、テーブルの上に置手紙を見つけた]
………ったく、何で一人で……!
[それは従妹と幼馴染、両方に対して。
今、ここが危険な状況にあることを知っているため、焦りと不安が募る。
思わず置手紙を握り潰していた]
あーくそ、眼ぇ離すんじゃなかった。
他に喰われちまうのは癪だな。
[零れる舌打ち。
苛立ちにチカラの制御が利かなくなりそうになったが、どうにか抑えた]
─自宅─
……俺が、喰われなかったのは、龍先輩のお陰だ。
珠……最後の『憑魔』に俺が狙われたときに、護ってくれた。
……二人はそのまま、相討ちになったんだけど、な。
[喰らわれなかった、という黒江の言葉に、小さく呟く。
視線がふ、と、写真立てへと逸れた]
……街に武器調達、なぁ。
それでどうにかなるならいいんだが、それこそ。
[真顔で淡々と言われた言葉には、一瞬どう答えていいかわからず。
言葉が返るまで、だいぶ間が空いた]
/*
一応、現状は余裕がないわけではない。
俺も匂わす行動しとかないとな。
とりあえず、俺がやるかは兎も角、綾野を桜下から動かそうと考え中。
/*
了解、そっちは任せる。
襲撃は二人でやっても良いっちゃ良いんだよな。
今回超人みたいなもんだから、多少の無理は通る。
─繁華街・瑞穂の家─
千恵が家を抜け出して、瑞穂が探しに行ったなら…。
まだ瑞穂が近くに居る可能性の方が高い、かな。
後は千恵が行きそうなところ……。
[子猫達に会いに行ったのだろうか、それとも脱出口を探しに行ったのだろうか。
しばらくの間考えてみたが、答えなんて出るはずもなく。
オレはひとまず外に出ることにした。
入れ違いになる可能性もあるが、じっとしているよりは探した方が良いと考えて]
─ →繁華街─
─中央広場・桜の樹前─
[神楽の言葉にちらりとそちらに目を向け、]
…………おいおいおいおい。
[その向こう。目を細めて見ると、生気ない様相のニンゲンに見える何かが数体、こちらへとやってくる。
その服はべっとりと紅いもので濡れており。]
……これはひとまず逃げた方がよさそうだな。
[ポツリそう呟くと、]
おい、神楽。それと……綾野だったか。……走るぞ!!
[そう言うと同時。二人の手を強引に引いて、その『何か』の来る方向と逆に走り出す。]
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