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それはそうねぇ…。
それくらいは期待しても良いかしら。
[そんな少し楽をしようという心持くらいはいいだろう、
相手が相手だし。そんな事を思い。
喰いきれない、には至極真っ当な理由だと思って頷いた。]
ふふ、リヒトはブリジットちゃんとベッティちゃんの二人がお勧め?
[そう楽しげに一度笑ってから、再びコエは真剣な物へと変わる。]
ん……最悪、悩みすぎて決めきれなくて一日見逃してしまうくらいなら、
二人で方々を見て、襲えそうな人を見つけ次第、襲いましょうか。
[同時の方が効率と安全はあるが、
好機を捜すのなら手を分けるのも悪くはないかと思い提案した。]
それは、そうね。
[ミハエルが何物か。
少なくとも占い師ではないというリヒトの判断には同意した。]
伝承では能力者は一人が常、なんだっけ?
私はあまり、詳しくはないのだけど…
[その辺りの知識の大半は、ヴァイスから伝えられた物で。
多少記憶がおぼろげで、周囲の言葉から思い出したり
補完したりした部分も多く自信がなかった。]
……うん、まだ時間は有るのだし
急ぐ必要はない…かしら。
[結局の所、こちらも保留のまま
少し考え込むように、青い目は伏せられた**]
もう少し脂がのった方が好みではあるんだがな。
[お勧め、と訊ねられれば僅かに首を傾げる。
自らの歳と同じか少し上を獲物として好む獣は
少しばかり不満を漏らす。
当て嵌まるのは同胞とカルメンくらいだが
同胞に関しては無論喰う気になどならない。
カルメンは未だ村に来て浅いという事もあり
いざとなれば時間稼ぎにでも使う心算なのか
其の名を紡ぎはしなかった]
ブリジットは煙草の匂いが気になるから
ま、ベッティの方が味は良さそうか。
[提案には少し考えてから頷く]
それも悪くねぇ考えか。
一応考えがまとまったら知らせるつもりだ。
[伝承の話となれば本の知識を引っ張り出し]
伝承では其々一人が多いようだな。
他のパターンも無いとは言えないようだが。
[ふと考えるのは結社を名乗った翁の事]
結社の方でも能力者の把握できてねぇのかな。
そういや、結社員は二人一組で動くって話も見た事があるが
今回は如何なのかねぇ。
[だとしたら厄介かもしれぬ、と暗に示し
伏す青へと眼差しを向けた**]
─翌朝・宿屋─
ん…あ、れ?…そっか、ここ、ベッティんちだ。
[疲れ果て着の身着のまま眠りについたものの、起床はそれほど遅くはなく。
見慣れぬ部屋に首を傾げるも、すぐに昨日ベッティに頼んで泊まらせてもらったのを思い出した。
体を起こしベッドを軽く直しているところに空腹を感じ、そういえば昨日はサンドイッチ以外食べてなかったと気付いてベッティに何かもらおうと部屋を出たのだ、が。]
?なんか、あったのかな…?
[扉の方がやけに騒がしいのに気付きそちらに向かえば、自衛団員とアーベル達が話しているのが見え。
その会話の内容に、目を見開いた。]
ギュン、じいちゃんが。
[殺されたの、と続けることも出来なくて。
動くことも、赤毛の男が飛び出ていくのを止めることも出来ぬまま立ち尽くした。]
ぁ…、ゲル、ダ…!
[自分も哀しいし、恐ろしかったけれど、彼女の様子を見れば放っておけるわけもなく。
ゲルダの叫びと泣き声に、ようやく時が動いたように足が動いた。
ライヒアルトが彼女の頭を撫でるのを見れば安堵の色を浮かべて、そっとゲルダの隣にしゃがみこむと肩を支えるも、名を呼ぶしかできなかった。
彼女が顔を覆う手首の包帯が乱れているのを見れば、ライヒアルトの顔を見上げるが何も言うことはなく。
彼女が落ち着くまでは、傍にいようとしたけれど。]
・・・ベッティ!!
[扉がまた開き。幼馴染が投げ込まれるのを見ると思わず立ち上がった。
ユリアンとアーベルが彼女の傍についてくれたのを見れば、そのまま心配そうに見つめるも先程飛び出ていったはずの赤毛の男の言葉に思わずきょとんとして。]
…え?
―朝方・宿屋食堂―
[ゲルダ>>268の声にも少し煽られていたかもしれない。
彼女の声より先に自分の心の重さに囚われ、切り替わってしまっていたからその過剰さには気がつけなかったけれど]
気にしない。大丈夫?
[助け起こしたベッティ>>254に尋ねて、痛めてそうな所があればアーベル>>261の言うとおりだと治療を勧めて。
立ち上がったのにあわせて周囲を確認すればゲルダが蹲っていて]
……ライさん。ゲルダちゃんの手も。
包帯ぐしゃぐしゃ。
[毒気を抜かれたおかげで態度を取り繕うことはできるようになったけれど。今の気分のまま接するのは良くない気がした。
ライヒアルト>>272があやすのを見ながら、さてどうしようかと思案しているとアーベルからの小声が届いた]
助けて、くれたの、かな。
[ベッティの代わりという訳ではないのだろうが、自衛団員に連れていかれる赤毛の男をぽかんと見送った後、ぽつりと。
だが、すぐにベッティが投げ込まれたことを思い出してライヒアルトに彼女の手当てを、と頼んだ。]
ベッティ、朝ご飯のしたくなら私でも手伝えるから。
無理しちゃダメだよ。
[ゲルダの背を撫でながら、男勝りで女の子らしい幼馴染を心配して見つめた。]
[そうして、ゲルダが落ち着くまでは傍にいようと思った時。
先程とは違う顔ぶれの自衛団員がきて、自分の名を呼ばれ。
なんだろうとそちらを見るも、今しがたの事があった為表情は強張り睨むようになっていた。]
私に何か用ですか?…ギュン、爺ちゃんが?
…わかりました。行きます。
[自衛団長の遺した指示の中に、自分に何かあった時には骸をクロエに見せるように、というのがあったと言われると、表情は硬く変わり自衛団員の後についていこうとして。]
ゲルダ。ごめんね、ちょっと…行ってくる。
─宿屋─
[幼馴染が泣くゲルダを慰めるのを、少し離れた場所で見ていた。
彼女の傍にクロエもいたため、助け手は足りているだろうと
自分はそこに行く事も出来ず。
一人椅子に座ったまま、ここで成された会話などを思い出していた。
結社、人狼、占い師、霊能者、守護者、あとは…なんだっけか。
元々そういった御伽噺の類は、夫に幼い時ねだった物語でしか聞かされておらず
何をすることが最善なのか、考えてもよく分からなかった。
夫が隣に居ない。
いつも傍立つ夫の存在を支えにしているのはこちらも同じで。
その為か、やや不安定な心を抱えて少し落ち着きなく周囲の様子を見ていた。]
[本当は彼女の傍を離れるのは心配だったけれど。
幼馴染達や宿に居る者に視線を向けて微笑み、ゲルダの髪を撫でた後そっと離れた。]
大丈夫。すぐ戻るよ。
…触らないで。
引っ張られなくても一人で歩ける。
[そういって微笑むと、自分を連れていこうとする自衛団員の手を拒んで自分の足で宿屋を出、詰め所へと向かった。]
―宿屋 食堂―
[一人になりたいというユリアンを>>279、頷いて見送れば
ふと昨晩世話になった事を思い出し、
そういえばどことなく夫を注視していたような>>224
そんな事も思い出したが、別段何かと告げる言葉は思いつかなかった。
程なく夫がミハエルを連れ帰ってくれば>>274、不安な表情はいくらか和らいだ。]
おかえりなさい。
[無事だった事にほっとしたように、彼の傍へと。
隣のミハエル様子はどうだったか。
どこかおかしい様であれば、大丈夫?と声をかけた。]
……自衛団の人になにかされた?
あの人達、ちょっと殺気だってたから……
[様子がおかしい原因はそんな所だろうかと思いながら]
─宿屋・食堂─
……ライは、そっち頼むわ。
[ベッティの手当てと、泣き出したゲルダの世話。
特に後者は自分の最も苦手とする所だから、他の者に任せて自分は皆がすぐに食べられるように、と食事の準備を整えておき。
ユリアンが部屋へ引き上げた後、呼び出されるクロエに気をつけろよ、と声をかけ]
……っと、お帰りー。
あ、俺、ちょいと用事あるんで、説明はライに任した。
[戻ってきたゼルギウスたちには、こんな言葉を投げて。
自分は蒼鷹を伴い、奥へと引っ込んだ]
[蒼鷹がこちらを見ていれば、少し表情を和らげて微笑んでみせ。
大丈夫だよ、と口だけ動かしてから宿を出ていくだろう。
瞳を閉じた状態で前後を自衛団員に囲まれた状態で歩いていき。
詰め所の中、自衛団長の骸が安置されている場所まで連れていかれればその眼を開く。
酷い傷をシーツで隠されたその姿を映す刹那、瞳から流れ込む感情は。]
あ、あ………ああああああああああ…っ
[疑念が本当だった事の悲痛、一人では太刀打ち出来なかった無念。
そして何より強い想いは、辛い思いをさせることになる自分達への謝罪。遺されゆく者への、激励。
白く透き通る光を纏った骸は、優しく厳しく不器用な自衛団長の心を雄弁に語っていた。]
じい、ちゃん………私、がんばる、から。
何を見ても、絶対、くじけない、から。
だから…だから……っ…!!!
[どうか、安らかに。その言葉は涙に塗れて消えていった。]
[そのまま自衛団長の骸にすがりついて泣き崩れ。
しばらくそうした後、一旦自分の家に戻って身なりを整えてから宿屋へと*戻るだろう。*]
―宿屋自室―
開いてるよ。
[窓の横に寄り掛かった姿勢でノックに答える。
机の上にはワインの瓶と、前にゲルダから貰ったチョコレート、ではなくチョコ風味な煙草の箱]
んで。話ってのは何だよ、一匹狼。
[火をつけないままの煙草を片手に、蒼を見据えて問いかける]
う…あ、 っく… ぅ…
ふ、ぅ…うぅ………
[大粒の涙をぼろぼろ零しながらしゃがみ込み、娘は嗚咽を漏らしたまま。塞き止められない感情溢れさせ其のまま泣きじゃくって。ライヒアルトの手が髪を掠めた時、一瞬だけ何事か呟くが、直ぐにすすり泣く声に変わり。クロエにも撫ぜられながら落ち着くまでそうしていた。]
(おじいちゃん…
――――…僕は本当に、一人ぼっちになってしまったよ。)
[貌を覆いながら涙は枯れるまで続く。ややして声が途切れる頃には肩を震わせるだけになり。]
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