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…そうですか。
["神父"から状況を説明され、複雑な表情で彼の丸眼鏡の奥をみる。]
…義兄をあんな風にした犯人はこのなかに…。
[握った拳が小さく震えた。]
えぇ、敵を。
[もういちど、彼を見る。
昨日感じた不信も隠さぬままに。]
…あなたは、きっと…自分の家族や恋人でも、そうだと知れば殺すのでしょうね。
[思わずこぼれた愚痴は、彼に届いただろうか?
ごゆっくり、と言い残して母屋に*帰る*]
―自室―
[がちゃり。
重い音と共にケースの錠が外される。
中にぽつりと取り残された銀色の小箱。
少し重量のあるそれを腕に抱いた。中からは何の音もしない]
――…
――温室――
[ルーサーの手に引かれるまま訪れるは温室。
静かに扉を開ければ、銀糸漂う先客の姿が目に入る。
少女はその先客に軽く会釈をして、彼の手にある籠を見つめた。]
[籠から顔を出すのは、季節感がまばらな花――。しかしそれはどれも美しく咲き誇り…。零れ落ちる香りは死を嘆く溜め息のように思えた。]
―回想―
[一人でベッドを使うのは申し訳なくて、彼に手を伸ばすけれど。
それは断られてしまって、でも近くのぬくもりは、安心させてくれる。
自然な眠りに引き込まれたのはどれくらいぶりだろう。
暗闇の中で、目を覚まして。わたしは、起き上がって。
椅子で眠る彼に、近付いて。]
わたし……は、駄目、なのに
[目がひりひりとする。痛む。
だけれど先の、アーヴァインの様子が浮かんで、わたしは一度、ぎゅっと閉じた。
探さなくちゃ。
ママの声が蘇る。
早く狼を見付けないと、犠牲者が増えてしまうわ。あなただけは生きていてほしい。お願いよ、マリィ。
いつも穏やかな母の声は、そのときは悲しみに彩られていたから。
それでもわたしはしっている。母が最初に調べたのは……]
[わたしはそっと、自分の左手、小指の爪に、口付ける。
手を伸ばす。
目を覚まさない彼の、その口許に。
やさしい言葉。
ねぇ、でもわたしはしっている。言葉は嘘もつけるのを。
起こさないように指の腹で、そっと触れた。
暖かい。
ねぇ、こうやっても起きないのは……あなたが安心しているせい?
心のうちで問掛けながら、わたしは指を離す。
特別な指よ。こえを思い出す。
この指があした、かわっていたら。
わたしはどうなってしまうだろう。
時間にしては数瞬。
触れたあたたかさを受け取った小指に、もう一度、口付けた。]
[神父と青年の会話を、少女はただ黙って聞いていた。
繋いだ手は…離さず。ただ黙って――]
[途中、銀糸の青年の口から漏れた言葉に、僅かながらに反応する]
――敵…
[その一言で、少女には何が思い浮かんだのだろうか。
ゆっくりと立ち去っていく銀糸を見送りながら。
少女は、そっとルーサーの表情を*盗み見た*]
薬、とってこなきゃ。
睡眠薬と、それから……
[肌身はなさず持てといわれた薬を思い出す。
それは隠しておかなければ。]
[小さく呟いて、わたしはベッドに戻った。
久しぶりの睡魔を嬉しく思うと同時に
わたしは……*夢に引き込まれた。*]
[やがて小箱は元通りスーツケースの中に納められた。
来た時と同じように、それは部屋の隅に置かれる。
扉を開け、廊下へと足を踏み出した]
―自室→廊下―
[アーヴァインの私室]
[鮮烈な緋に染められた室内は]
[今は黒ずんだ絳へと変わり]
[寝台の上の盛り上がり]
[其処に無造作に掛けられた敷布も]
[亦同じ色に]
――温室――
[立ち去るコーネリアスの後姿と、ルーサーの表情を見比べても、少女には何一つ汲み取れる物はなく。
温かい手をすり抜ければ、温室に咲く花を一つ一つ見て回り、芳しい香りに顔を近づけては、思案するように指を伸ばす。]
静かにお眠り 可愛い子 バラの花に守られて
カーネーションもその眠りを優しく見守っているわ
夜が明けたら また神様が目を覚ましてくれるから
静かにお眠り 可愛い子 空に舞う白い天使が
色褪せない天国の花が咲く木陰に誘うから…
[薄紅色の柔らかい唇から、微かに子守唄が零れる。
それは誰に向けての歌声か。少女にすら*今は解らない*]
―ニ階・客室―
[ 食事を摂りはしたものの其の味は殆ど感じられず、唯、胃の中に流し込んだだけに近かった。読書をするでも午睡するでもなく、背を壁に凭れ掛けさせ仰いだ天井は少し黄色がかった古惚けた白。空虚な黒の眸が緩やかに下ろされ、見遣った足許の敷布は変えたばかりの真っ新な白。其処に赤の色彩は存在しない。
室内を見渡しても先日迄と変わった物は何一つ無く、嵌め殺しの窓の外に覗く天には夜の帳が降り始める。窓辺に立って崖の方を見遣れば、吊り橋の失われた谷間の闇は尚昏い。
此岸と彼岸、幽明の境を繋ぐ懸け橋は既に無く、此処から逃出す事は最早出来ない。彼の召使が麓迄辿り着けたか如何かは不明だが、半狂乱の女の譫言を聞けば態々来る者も居まい。否、メイやトビーの家族は別だろうか。何方にせよ、彼には其の様な者は存在しないが。]
[ 些か乱暴に椅子に座り込めば、青年は片肘を卓上に乗せ頬杖を突いた。其処に置かれた黒の手帳は既に乾いていたが、収縮した紙に乗せられたインクは滲み、何が書かれていたかは最早殆ど読み取れない。ペンケースの中からペンを一本取り出せば指の合間に其れを挟んでクルと幾度か回して弄んでいたが、軈て其れにも厭きたか、持ち替えて指先で摘むと机を軽く叩く。
トン、トン、トン。一定の間を置いて、規則正しい小さな音が鼓膜を打つ。母親は我が子を寝かし付ける為、其の小さな背を優しく叩くのにも似ていたろうか。]
[ 然し其の音も不意に止み感情の見えぬ眸が手帳に向けられたかと思えば、歪に変形した白の紙に再び純然たる黒のインクが乗せられる。縦横無尽に引かれた其れは文字でも何でも無く、唯の線の乱舞に過ぎない。全てを埋め尽くすかの如く只管に、黒く黒く黒く、無心で*塗り潰していく。*]
[摘み取った花を手に義兄の部屋へ。
佇む行き倒れの男の姿に軽く頭を下げ。]
…あなたは悲しんでくれるのですか。
[微かに声をかけると、遺体へと歩み寄り、花を手向ける。]
義兄さん。
姉さんを看取った時、あなたはどんな気持ちだったんでしょう…。
[物言わぬその遺体に、小さく問いかける。]
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