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瑞穂も俺と同じ……?
でも気配がしねぇ。
火事場の馬鹿力なんかでカバー出来るような運動神経じゃなかったはずだが。
[疑問は思念となり零れ落ちる]
…………ちっ。神楽の奴、よりによってそっちに連れ戻すのかよ。
[マーカーの示す二人の居場所は、桜の樹に戻る方向。
せっかく、アレを喜ばしかねない場所から連れ出したというのに……]
……はぁ、ほんと読めねぇ奴。
食餌の為とはいえ、あいつに預けたのは失敗だったな。
……まあ、『憑魔』の気配を感じない。でも、いつもと違う。
と来たら……続きは言う必要あるか?
[漏れ聞こえたコエに、にやにやと答える。]
―住宅街・路地―
[暗い段ボールの影に隠れて、とてもとても困っていた。
瑞穂の家を抜け出して、いとこを捜しに出かけたものの、さっぱり行方はわからない。
勝手知ったる街の中、迷子になることはないけれど。
何処まで行けば会えるかな、と、気がついたら、繁華街からはだいぶ離れた所にいた。]
う、ぅ、ぱぱ、まま、かやにいちゃ…みずね
[と、小さく泣き言を呟きかけて、ばっと両手で口を押さえる。
すぐ側で人の気配がした。]
……ああ、そう言うことか。
極上の餌でありながらオレらの邪魔をするもの、だろ?
[導くよな聲に溜息交じりの聲が返った]
傍に居れば良い餌になるかと思ったけど、ハイリスクハイリターンなのが居たもんだ。
バレる前に喰ってやりてぇところだけど……。
先に喰っときたいのも居るんだよなぁ。
[嗤う気配に、チッと軽く舌打ちをするが、]
……そうだな。背に腹は変えられねぇ。
さて、神楽からアレを引き離すには本気でどうするかねぇ。
………。
[こつ、こつ、靴の音。
たぶんさっき、ぶつかった人が、自分を探してうろついている。]
[何故、は、分からない。
何故かくれるのかも分からない。
ただ本能的に、『見つかってはいけない』と何かが警告していた。]
うん、そうだけど…
[幼馴染の質問には曖昧な返答しか返すことができず]
わかんない、私も何か起きてるのかな……?
[不安げな視線を伽矢に向けるが足は止めず]
うん、でも今は千恵ちゃんのこと、急がないと。
[すぐにその視線は前へ向けられた。千恵がすぐに見つかることを祈って]
[とはいえこのままではやっぱりいつかは見つかるわけで。というのは小さい頭でも簡単に理解できた。
本を置き、きょろと辺りを見回して、手が届くところにあった、小石を拾う。
ちらり、段ボールの影から様子を伺う。
真っ赤な靴が、近くに見えた。]
[足を見ると、どっちを向いているかが分かる。
足が向こうがわを向いたその時に、小石を思いっきり遠くに投げた。]
「そこかぁ〜ぃ?千恵ちゃあん」
[声にびくっとする。誰だか分かった、飴玉のおじさん。
おじさんは小石が転がった方に向かって走って行く。
その隙に、わたわた本を抱えて全速力で反対へと逃げた。
うさぎも全力でひょこひょこしている]
―礼斗宅―
お前ら失礼だろ。
……って言いたいとこだが、正直俺もそう思う。
コイツ物凄い使い辛そうだし。
[襟元を掴んで溜息]
あぁ、色々と制約があってな。
元々素質のない血を、無理矢理司にしようと色々無茶やった代償らしい。
力自体は薄れてんのに、負の部分はしっかり残ってやがる。
戻ったら恐らく、今のことも曖昧にしか覚えてないだろうさ。
[頭を指先で示した]
了解っと。
丁度傍からもう一匹の餌が逃げててな。
そいつの捜索頼めば動いてくれるかもよ。
あのおばさん、今どこに居るんだ?
― 住宅地・地蔵堂 ―
ひっ!
[目を向けた先には、倒れている男女。
男の身体には刃物が突き立ち、
仰向けの女の胸からはどくどくと血が流れていた。
周囲に襲い掛かる者がいないか確認し、そっと男女に近づく]
うぇっ……
[見なければ良かった。私は激しく後悔する。
男の口には、女のものと思しき心臓が咥えられていた。
私はその場を離れたくて、後先考えず傍の路地に足を踏み入れた]
そいつは重畳。
……あー、今、か?
[コエに応じて、気配を探り、]
あー…………まだ桜の樹の下、だな。
とりあえず、俺も向かうとするか。
―礼斗宅―
……まぁ、それを踏まえてだ。
少しばかり協力して頂きたいんだが。
「あやみん」とやら。
[常と少し違うイントネーションで、昔馴染みを呼んだ]
―礼斗宅―
…史兄さんであって史兄さんじゃない、のかな。
よく分からないけど。
何て呼べばいいの。司っていうのは総称でしょう。
[言いながら窓に近寄る。
外を見下ろすと、水銀灯の真下に倒れている姿]
あっ。
[遠目にもカチューシャが光を弾く。
窓ガラスに手を突いた。
交代してくれて今も店にいるはずの少女はピクリとも動かず]
さくら…。
[桜色の霞に包まれ、唐突に消えた]
…あいつらと同じ現象が起きてるなら、オレはこの場に居ないだろうけどな。
それとは違うってのだけは確かなんじゃね?
[こちらも曖昧だが、悪いものではなさそうだ、と言う旨を伝える。
続く言葉には頷いて、先を急いだ]
[以前従妹に連れられてきた場所。
子猫が居るはずのそこに、従妹も、子猫達も居なかった]
…子猫すら居ない、な。
一度ここに来て連れてったのか、それとも全く別のところに向ってるのか…。
その場合、子猫達が居ないのが気になるけど。
……仕方ない、一旦表通りに戻ろう。
子猫達には悪いが、千恵の方が優先だ。
[焦りが出始めたのか、その場から直ぐに移動し始める]
[そうして、とりあえず中央公園まで戻ってきたのだが、]
…………おい、神楽。何でお前らここにいるんだよ。
[桜の樹の下。そこにいた二人にはぁと頭を抱える。]
お前らには、俺を見失った奴らがここに戻ってくるっていう発想はないのか?
つーことは、広場か。
んじゃあ連れ誘導してそっち向かう。
ちぃとばかし時間かかるかもしんねぇけど。
[聲を返して、オレは移動を開始した]
あーあ、オレも餌にマーキングしときゃ良かった。
探すのめんどくせぇ。
─自宅─
[なされた説明。
ふむ、と言いつつ腕を組んで思案顔]
……龍先輩は、元々、『そうなる素質』を魂に刻まれていた……とか言ってたが。
そういうケースもあるんだな。
……まあ、『他者に引き継がせる』術もあるらしいし。
[呟きと共に、やや、陰る瞳。
だが、それは刹那の事。
ふるり、と首を横に振って]
……協力?
『司』の役目、とやらに関わる事か?
……まあ、俺に出来る事なら。
[いつもと違う呼ばれ方に、やや、調子を狂わせるものの。
拒絶する理由は思いつかず、素直に頷いた]
もっとも、俺はあくまで非力な一般人。
……限界もあるからな。
[予防線は、それなりに張っておいたが]
― 住宅街・路地 ―
『そこかぁ〜ぃ?千恵ちゃあん』
……千恵?
[そこそこ歳のいった男の声。
私はそっと声のする方に近寄った。
どなたかお探し?
そう声をかけようとすると、近くの物陰からひゅんと小石がとんだ。
男は小石を追っていく。
そして、物陰から見慣れた兎が駆け出した]
(千恵ちゃんっ!)
[私は慌てて姪の後を追った]
―礼斗宅―
すーちゃん。
[残っていたコーヒーを飲み干す。
カップをテーブルに置くと、礼斗に向けて頭を下げた]
…お邪魔しました。
私はこれで。
[協力の話を背中で聞きながら玄関へと向かった。
止められなければそのまま外に、水銀灯に向かうつもりで]
[伽矢の返答に少しだけ安心できた。
先を急ぐ伽矢についていく]
誰もいないね。
[そこには子猫の姿は見えず]
伽矢くん、その変なのって襲ってきたんだよね?
それがいっぱいいるなら、千恵ちゃんどこかに逃げてるんじゃないかな?
[すぐに伽矢の後についていきながら]
千恵ちゃん街のこと詳しそうだし、路地とか多い住宅街とか。
[少し考える余裕ができたのか自分の考えを先をいく伽矢に伝える]
[かけられた言葉に気づき、雪夜に顔を向ける]
なんでと言われても、あやのっちが此処に戻りたいという話なんで、付き添いで来たの。
一人でふらつくのも不安だし。
まあ、せったんを信用しておけば、なんとかなるんじゃないかというのも此処にいる理由の一つかな?
[そう言いながらも、少しだけ安心したような顔を浮かべ]
お疲れさん。
[短く、その言葉で締めた]
―住宅街・路地―
[たたたたと、全力で逃げるも足音はどんどん近づいてくる。]
や、やぁ………!
[まさか百華とは気づかずに、逃げるが所詮子供の全力。
あるていど行った所で、すぐに追いつかれた。
じたじた、うさぎと一緒に抵抗する。]
─自宅─
……え?
[黒江から向けられた言葉。
思わず、惚けた声が上がった]
いや、呼んだのは俺みたいなものだから。
……外に出るつもりなら、誰かと行った方がいい。
それで、全く危険がなくなるってわけじゃないだろうが。
[窓の向こうに何を見たのかは知らぬけれど。
念のため、こう声はかけておいた。
……もっとも、誰かといても、完全に危険を避けられるものではないのは、わかっているのだが]
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