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≪ふつり≫
[抱いた憧れに呼応するように『其れ』は奥底に広がり脈動す]
[『其れ』は憧れを渇望へと変え、想いを肥大させる]
─ →中央広場─
[従妹が待ってるからと、駆け足で広場へと戻って来る。
さっきまで居たベンチに戻ると、そこには幼馴染しか居なかった]
あれ、千恵は?
[訊ねれば一方を示されただろうか。
視線を向けると、一組の男女と話をしているらしい従妹が見える]
……………。
[その一方、男性を見て、オレは思いきり眉を顰めた。
先日ぶつかって、捲し立てた相手。
勿論、良い印象は残っていない]
≪ふつり≫
[抱いた嫉妬に同調するかのように、『其れ』は心を昏く包み込んで行く]
[『其れ』は嫉妬と嫌悪を綯い交ぜにし、想いを肥大させる]
千恵!
[節穴野郎から従妹を引き離そうとするかのように、オレは従妹の名を呼んでいた。
駆けて来る従妹には出来るだけの笑みを向ける]
それじゃあ、どこ行きたい?
[傍に来た従妹の頭を撫でながら、遊びに行く場所の要望を聞く。
返答を聞いたなら、言われるままに移動をする*だろう*]
―回想:中央広場―
[千恵の遠慮のない質問に喉を詰まらせる伽矢。複雑な気分でそちらの方を見る。
伽矢はこちらのことは気にしない様にしているので自分もそれ以上は変に意識しないようにした]
伽矢くん大丈夫?
[飲み物を渡そうとしたときには自分でコーラで流し込んでいて、
千恵が手についたケチャップを舐めるのを苦笑しながらナプキンでふき取って顔をも拭いてあげる]
千恵ちゃん、ほらちゃんと拭かないと。
[一度家に戻るという伽矢に頷いて千恵はここに残ると言えば]
わたしは千恵ちゃんとここで待ってるね。
[一人でここに置いていくのは不安だったし、自分はまだ食べ終わっていなかったのもあった。
そもそも千恵の行動力に自分はついていくことはできない。]
―回想―
[千恵が一人でどこかに行くのはとめなかった。
自分の目の届く範囲で動き回るのは問題ないだろうと思ったから。
そもそも子供にじっとしていろというのが酷な話だから]
千恵ちゃん、あんまり遠くに行ったら駄目だよ。
[千恵にそう声をかけてから自分はバーガーをはむり。
千恵は桜の方に寄っていったらしくそこに見えるのは先ほどの女性。
千恵を止めようとしたときにはすでに怒られてあわてて走り出したところで礼斗にぶつかっていた]
―回想―
あっ、千恵ちゃん。
[そちらの方に駆け寄ろうとするが神楽達と何か話している様子。
つぼみという言葉が聞こえると、その言葉がとても気になった。
なんでだろう?疑問に思っていると伽矢に声をかけられた]
千恵ちゃんは、あそこで静音さんたちとお話してるよ。
[少し複雑な面持ちで千恵のいる方を示しながら伽矢に答える。
見ておくといいながら結局面倒を見切れていなかった。]
[神社に戻る神楽にまたな、と手を振って。
もう一度、桜を見てから自宅へ向けて歩き出す。
何事か思案に耽っているのか、周りは見えていないようだった]
―自宅―
[独り暮らしのマンションに戻ると、買ってきたばかりのコーヒーを淹れてパソコンを立ち上げる。
検索するのは、過去の取材内容のデータフォルダ]
……『おうか』……『おうか』、なぁ。
あー……あんまり考えたくねぇけど。
やっぱり、『コレ』なのかねぇ。
[零れるのはため息。
ぐしゃり、と髪をかき上げながら額を押さえる]
……ったく。もし、そうだってんなら。
非力な一般人には、きっついっての……。
[過去に巻き込まれたとある『事件』。
それを思い返しつつ、また一つ*息を吐いた*]
[ベンチに座ったまま伽矢と千恵の様子を眺めている。
最後のポテトを食べて、千恵が伽矢に行きたいところを告げていた]
伽矢くんにとっては千恵ちゃんが一番なのかな?
[思わずそんなことを呟いているとこちらに伽矢達が来ていて自分はどうするのか聞かれた]
私はどうしようかな?
[きっと千恵に一緒に行こうと言われればついて*いくだろう。*]
―中央公園―
[神楽に頭を撫でられると、頬が嬉しそうにあがる。
そのせいか、礼斗の呟きは聞こえなかった。
伽矢に呼ばれて駆けてゆき、ぽふんと足に飛びつく。
勿論というか、礼斗に対し不機嫌だった事には気づいていない。
好きなところにいっていいと言われて、ちょっと傾げて考えて。]
ええと、ええと。じゃぁこっちー。
[瑞穂もいっしょとは言わずとも、当然のように二人の手を引き前を歩く。]
―繁華街―
[駆け出し行くのは繁華街。
二人の手を離れ、大人が通るには少しきつい、細い路地の間をくぐる。
ゴミ箱、新聞、なんのその。
背中のうさぎは、きゅうくつそうに壁に手足をぶつけるが、おかまいなし。
その先、高い建物に囲まれた隙間のような場所。やっと少し楽に動ける所に出ると、とてとて隅っこに走ってゆく。]
かやにいちゃ、みずねえちゃ、ねこ。
[隅っこには、古びたダンボールの中に、生まれて間もない子猫がみぃみぃ。(09)匹ほど。
統一しない背中の色は、立派な野良の証。親猫は、幸い出かけて留守のよう。
子猫をちょんちょん、撫で回し、暫く猫と戯れる。]
このこ、もってかえったら、ままに怒られたの。
[黒い子猫を指差し、ちょっとしょんぼりしながら言って。
うさぎリュックの背中から、小さな牛乳パックを取り出し、置いてあった皿にだばっと入れておいた。
ちょっとこぼれた。]
[その後。繁華街で探検中によく遭遇するのか、人の良さそうな老夫婦と出くわしジュースをもらったり。
少し怪しげなおじさんに、いつもどおり挨拶して飴玉をもらったりする。
だいぶ、危機管理能力は薄い。
それから人ん家の合間を通り抜け、他所の家にたわわに実った柿を見に行ったり。
同級生のお母さんと会うとクッキーもらったり。
高い所に行こうと丘をダッシュしたり。
とにかく、あちこち、動きまわった。]
かやにいちゃ、みずねえちゃ、こっちー。
[最後になるのか、丘の上の神社の入り口で手を振り。
おそらく少し遅れ気味の瑞穂を*待っていた。*]
―→神社―
─回想─
生命線ねぇ……吸わん俺にはまったく自覚は湧かんがそういうものなのかね。
[礼斗(>>0:192)の言葉にふむと軽く唸る。そうこうしているうちにお店に到着。]
俺も担当に教えられてここに来たんだが、中々のもんだぞ。
[そう言って入店。自分もカルボナーラを頼んで食べていたのだが、]
……『桜と童女の怪異』? ああ、あれか。
[そして、礼斗の饒舌な説明(>>0:193)を口を挟むことなく聞いていたが、]
……俺も昔そのことについて調べたことがあるが。
その時も、パターンは同じだったな。
おそらく、その少女も同一人物……いや同一存在といった方が適切か。
案外、その少女が「神隠し」として、行方不明者をここではないどこかの世界へ誘っているのかもな。
[饒舌に喋ることについては、こちらも同様であるだろうからあまり気にはしなかった。]
─回想・中央公園─
[公園の中央。そこにある桜の大樹。
その下に蹲る女性。
遠目から目を細めて彼女を見ていたが、]
まさか彼女が…………いや、それはないな。
怪異の話に来るのは決まって「少女」。あれは少女というのには、な。
……行くか。
[ポツリそう呟く。そうして、その場をあとにした。
その後集まった面々とは、顔を合わせることはなかっただろう。]
―繁華街コンビニ―
「ちょっと。お釣り間違ってるわよ」
[客から言われて目を瞬いた。
相手の掌には穴あき硬貨が4枚乗っていた]
…失礼しました。
[レジを開いて一回り大きい白銀硬貨を4枚取り直す。
頭を下げて交換させてもらった]
「誠意のない子。次は気をつけなさい!」
[感情の出ない謝り方が癇に障ったらしい。
睨みつけながら高い声で言い、女性は袋を提げて店を出て行った]
「今日はミスが多いな、珍しい」
店長。すみません。
[伝票整理をしていた人物に声を掛けられ、また頭を下げた。
お釣り間違い{1}回に反応遅れが(05)回、商品取り落とし{4}回までやると普段あまりしない分もあってかなり目立った]
「疲れてるんじゃないのか」
[気遣うような言葉には小さく横に首を振る]
「調子悪いなら夜シフト変わるよ?
そのかわり次の土曜日に朝から入ってくれれば。むしろお願い」
[茶髪のアルバイト仲間が笑いながら言う。
コンサートの準備に時間を掛けたいとか何とか話は続く]
分かった。じゃあ交代して。
[特に体調不良なわけでもなかったが受けることにした]
「それで、話変わるけど。白井先生の新刊が…」
[彼女は同じ作家の童話ファンという共通項もあったから。仲の悪くないバイト仲間の都合は聞いてあげてもいいだろう]
─中央広場─
[いつものように飛びついて来た従妹を受け止め。
行く場所を訊ねた返答は、行動で返って来た]
どこに行くんだ?
[聞いても手を引かれるのみ。
同じく手を引かれる幼馴染と顔を見合わせ、首を傾げた]
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