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─繁華街─
[連れて行かれたのは見知った繁華街。
入り込む細い路地。
あれやこれやと物が置いてあったが、辛うじて通ることは出来そうだった。
だからと言って身体が小さいことに感謝はしなかったが]
……猫?
うわ、すごいいっぱい。
[辿り着いた場所には段ボールに入った子猫が居た。
生まれたばかりの子猫達に、オレは驚いて翠の瞳を見開く。
オレは従妹に倣うようにして、小さな生命に手を伸ばし、優しく撫でた]
…一回、持って帰ったのか?
動物を飼うには世話が大変だからな…。
[しょんぼりする従妹の頭を慰めるように撫でる。
従妹が牛乳を与えるのを眺めてから、揃ってその場を後にした]
[その後は繁華街を移動続き。
従妹が危機感無く色々貰っているのを見て、オレは少しだけ溜息をついた。
何が起こるか分からないこのご時世、もう少し危機感を持って欲しいところ]
すみません、ありがとうございます。
[従妹も礼はいつも言っているのだろうが、改めてその人達に礼を述べておいた。
あちこち従妹の先導で移動し続け、最終的には神社へと辿り着く。
石段を登り、神社の入り口まで来ると後ろを振り返った。
持久力はそこまで高い方ではないが、石段を登り切るくらいは何でもない。
オレは神社の入り口で従妹と共に、遅れ気味な幼馴染を待った]
─ →神社─
風もないのに、揺れる枝葉。
その音に紛れるよに、微かな音が響いていく。
鈴の音色と、もう一つ。
歌声のよな、笑い声のよな。
ささやかなそれは、今ははっきり聞き取れはせず。**
―繁華街コンビニ―
っと。
[保温庫に追加する缶コーヒーを取り落としかける。
幸いにも今回は未遂で済んだが]
本当に何やってるんだろう。
落ち着かない。
[中華まんのボックスの陰で目立たぬように深呼吸した]
─自宅─
……ま。
考えすぎ、と言えば、それまでなんだろーけどな。
[テキストエディタの上に連なるレポート。
それを眺めて、ため息を一つ。
滅多に見せない物憂げな様子でしばし、目を伏せた後。
パソコン横の写真立てをちらりと見やり、すぐに視線を逸らして電源を落とした]
……悩んでても仕方ない。
とりあえず、件の蕾とやら、見に行くのもいいだろ。
[そんな事を呟きながら、愛用のジャケットを羽織り、ふらりと外へ]
―中央広場→繁華街―
[駆け出す千恵に手を引かれて伽矢と顔を見合わせて、自分もわからないというように首を傾げた]
千恵ちゃん?
[その意図はまだ読めず狭い路地を行く二人を追いかけるようについていく]
待って、ちょっと、あっ、もう。
[ゴミ箱に足を引っ掛けて倒しかけ、新聞に足をとられ躓きそうになり自然と差は開いていく。
二人に遅れてついた場所、ダンボールの中には子猫がいっぱいで]
はぁはぁ、二人ともちょっと待って…。
[壁に手を着いて呼吸を整える。
体力がないわけではないが、道中が道中なので余分に消費するらしい。]
───神社───
[書庫の中には、山のように積み上げられた本がいたるところに出来ており、目当てのものを探すには一苦労だ]
はあ……いつ来ても整理する気が起きなくなるね。
[ぼやきながらも、埃の被った本の表紙を確認しながら、色々な本を読み続ける]
桜。桜ねえ。
そういう話は、本当ごまんとあるから、探すのも難しいな。
もうちょっと絞れる単語は何かあったっけな。
子猫、かわいいね。
[息が整ったところで自分も子猫の頭を撫でてから千恵ちゃんの頭を撫でながら伽矢の言葉に同意するように頷いて]
捨て猫なのかな?今度一緒に里親探してみる?
[その後の道中も自分は二人になんとかついていくような感じだった。
もはや知らないおじさんに飴をもらう千恵を注意する元気もない]
伽矢くん、はぁはぁ、先行って、追いつく、から。
[神社の石段を駆け上る千恵、伽矢には先に行ってもらった。
自分が登りきる時には二人で待っていて]
ごめんね、千恵ちゃん、伽矢くん、はぁ…はぁ…。
[鳥居に手をついて呼吸を整えながら二人に謝った]
―回想―
……ええ、まあ。
そんな感じ、ですね。
[微妙な間違いをわざわざ訂正するのも気が引けて、曖昧に濁した。
何となく気恥ずかしい気持ちもある。
それから2、3言葉も交わしただろうか]
すみません、そろそろ失礼しますね。
そのうちまた店のほうにも伺います。
[頭を下げて、樹を一度振り返ってから広場を後にした]
―神社―
[瑞穂が登りきったのを見ると、賽銭箱がある方にはいかず、その脇の方へと駆けてゆく。]
これ引くのー。
[古びたおみくじ販売機に、昼食のおつりの10円を入れるところんと転がり出る紙一枚。
あけると*凶*と大きく、手書きのような文字一言。]
─神社─
大丈夫か?
[どうにか登り切った幼馴染に声をかける。
もう少し従妹を抑えておけば良かったな、と後悔した。
幼馴染の息が整うのを待ってから、従妹が向かったおみくじ販売機へと近付く]
……まぁ、今悪いならこれから良くなるさ。
[しょんぼりする従妹の頭を撫で、慰めるように言った]
綾野さん。
フルネームなんていってたっけ。
[多少なりと会話をしていた記憶を引っ張り出す。
会話というよりも、一方的に神楽が話していたのがほとんどだが、それでも名前の交し合いぐらいはやったはずだ]
えーと、たこでなし、くらげでなし……いか……そう、いかだ。いか。
いか、るが。
いかるが。
斑鳩、綾野。
そう。『桜の覡』とかいう一族だったって記憶している。
それ、読んだのどの本だったかな。
[そこまで思い出すと、更にまたごそごそと本の山と格闘を始めた]
―神社―
[先ほどより長い時間をかけて呼吸を整えてから、
千恵の向かった方へ、途中の賽銭箱が視界にはいる。
迷った末に500円玉を中に入れておいた。
きっと神楽がいれば気持ちだけじゃお金は膨れないとかそんなこと言うから]
あ、千恵ちゃん。
[凶を引いてしょんぼりする様子に頭をやさしく撫でた]
占いとかって気休めって言うしね。
[神楽が聞いていたらなんと言われるだろうか]
─神社─
……………。
[従妹と同じく出た、手書きの凶の文字を無言で見た。
この神社に御利益はなさそうだ、と思ったのは仕方がないことなのかも知れない。
従妹のおみくじ共々、帯状にして傍の樹の枝に結んだ]
─中央公園─
[のんびり歩いて、たどり着くのは公園。
桜の前には、相変わらず紅の装いの女の姿。
警告を繰り返すことが返って人を集める結果になっているのか、周囲には野次馬らしき者の姿も多かった]
……ヒマなのが多いよなぁ。
[そんな呟きをもらしつつ、桜へと近づく。
向けられる、鋭い視線。
鬼気迫るものすら感じさせるそれに、かり、と軽く頬を掻いて]
ああ、はいはい。
必要以上に近づく気はないから。
[軽い口調で言いながら、視線は上へ]
[そこから、しばし時間が経ち、目当ての本を一冊見つけた]
お!
これだ、これ。
えーと、何々……ん?
[さて、腰をすえてじっくり読もうかと思った矢先、神社の方で声がした]
おおお!?
お客さん!?
やば!こんなことしてる場合じゃない!早速、対応にでかけなければ!
[本を適当に投げ捨てて、神楽は慌てて立ち上がると、神社の表に走っていった]
[表に出ると、見かけたのは先程の3人組。
何やら、2人ほど落胆しているような様子が見えるが、まあ気のせいだろう]
やあやあ。
いらっしゃい。
うちのおみくじは特別仕様だよ。
なんと、普段ならあまり入れてない凶もしっかりと入っているので、悪いことに目を瞑らずにしっかりと対応できるという大人のための仕様!
その他にも、良縁、学業上昇などのお守りもあるから、どうぞ買ってって。
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