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― →談話室 ―
[アーベルと連れ立って談話室に戻ると、既に食事の用意は成されていた。>>7
談話室には何人かが居ただろうか。先客の赤い髪>>18には視線だけ、もし気付かれたとしても棘を向けることはしない。
そうして、食事をしながら、思い出したようにイレーネの事を尋ねた。
答えを返したのは誰だったか、もしかしたら棘もあったかも知れないが]
………あー、しまった……
[片手で顔を覆って、呻くように声が零れた]
俺のせい、だよな……
俺が、イレーネの側であんなこと……
あの子が一番年下なのに……
[溜息と共に落とす、深い反省の色。
あの時はそこまで気が回らなかった、イレーネの事は頭から抜けていたのだ]
………どうするか、なぁ。
[励ましに行きたいけれど、あの後ではかえって怖がらせそうで。
少し考えて、ふと思いついて]
ライヒ君、何処?
ああ、いいや、戻ってきたら、厨房借りるって言っておいて。
[そう言って、とりあえず使用済みの食器を持って、片付けてから厨房へ]
― →厨房 ―
[厨房へいく前に一度地下に向かう]
えーっと……あるといいんだけど、っと。
あったあった、えっと、何個くらいあればいいかな……
[見つけ出したのは林檎。そうして、レモンを一つ]
手の込んだ物は作れないけど、これくらいなら……
多少、胃が弱っててもいけるはず。
[そうして、それらを抱えて厨房へ。
まずは、鍋を用意して水と砂糖を入れて火に掛け、シロップを作る。
その間に林檎を櫛形に切って皮を剥いて、色が変わらないうちにレモン汁をかけておく]
本当は丸ごとが見た目もいいけど、人数分は大変だしなぁ。
[そんな事を言いながらも手は休めない]
― 夜中・回廊 ―
昨日のって、もしかしたら。
私、ちゃんとパパを………れるかな。
[まだ暗い内に目が覚めて、喉の渇きを癒すために部屋を出た。帰り道、中庭で空を見上げて呟いた。
声をかけられない限り、誰がいても気がつくことはなく。冷え切る前に部屋へと戻って]
─ 翌朝/自室 ─
[痛みに動けなかった時間は、どれだけだったか。
考える事を拒絶して深呼吸を繰り返し、痛みが鎮まるのを待つ]
……あっつ……っとに。冗談じゃない、ぜ……。
[力なく呟くと、頭の上からピリリリ、と声が降ってくる。
付していた天鵞絨を上げれば、目に入るのは円らな瞳]
ん……大丈夫だ。それよりも……。
[動かないと、と。口にするのと、声>>39が響くのは、ほぼ同時だった]
……また……何か?
[何を言っているのかは聞き取れなかった、けれど。
その響きには、ただならぬものが感じられたから。
外していた銀十字架を首にかけて服の内に押し込み、走り出す。
部屋を出る間際、小鳥がちゃっかり、肩の上に捕まった]
[絞ったレモンは、これもまた皮を剥いて、皮だけ使うからほかは脇へ。
シロップは煮詰めないように、煮立ったら火を弱め、林檎と、剥いたそれぞれの皮、あればシナモンスティックを入れて、もう一度火を強め、ひと煮立ちしたら火を弱め、煮立てないように気をつけながら5分置いて火を止める]
後は、冷まして、と。
冷やしたほうが美味しいけど、まあいいか。
クリームとかも流石にないだろうし。
[言いながら、今度は器を用意する。
ガラスの器が見た目もいいのだけれど、取り合えす深さのあるサラダボウルで妥協する。
もう一つ、一人分の小さな器を用意して]
ん…まだ冷めてないけど、いまだとちょっと温かくても美味しい、かもな。
[そんな事をいいながら、鍋の蓋を開ける。
出来上がったのは、林檎の皮でほんのりピンクに染まった『林檎のコンポート』
林檎やレモンの皮とシナモンを取り除き、林檎の実だけを器に盛り付ける。
柔らかく煮た林檎は、食が細くなっていても食べやすい、筈だ]
……少しは、気が紛れるといいんだけど。
[そんな事を言っては見るけれど、気を紛らわせたかったのは自分の方かもしれなかった]
― →談話室 ―
[出来上がったものを談話室に運んで、もし誰か女性がいれば、小さい器をイレーネの元に運んであげて欲しいと頼む。
大きい方はそのままテーブルに置いて、幾つかの小皿とフォークも添えて、誰かいれば好きに食べていいと伝え、居なければ、イレーネの事と共にメモに書いて残す]
いや…なんか、顔あわせづらいから。
[自分で運べと言われたらそう返して、自身は談話室を後にする]
― →客室 ―
[その後も、図書室に行って本を借りたりなどして時間を過ごした後、使っている部屋に戻る]
………疲れた、な。
[それは、今日起きたことへなのか、それとも]
………早く、終わればいいのに……
[暖炉の側、椅子に浅く腰掛けて、天を仰ぎ目を閉じて、呟く。
それがどういうことか、よく知っていたけれど*]
─ 聖堂外 ─
[>>57先に来ていたミリィに気付いたのは、新たに聞こえた>>61声に意識を戻された時に。
彼女達に中に戻りなさいと声を上げるより早く、>>60マテウスが身体を起こし荒い声を紡いだ。
今にもまた雪に倒れそうなその様子に、止まっていた足を動かして、傍につく。
シーツをという声に応じたカルメンにお願いと言うと、傍らの男に視線を戻して]
襲われたわけじゃなくても、大丈夫には見えないわよ。
団長はアタシ達が連れてくから、アンタは休んでなさい。
そんな所見せたら、心配させちゃうわ。
[>>71立ち上がって息を整える男は放っておけば休まず動こうとするだろうと、幼馴染からの伝聞による人となりで推測できたから。
言っても聞かないかもしれないが、それでも可能な限りは手を貸そうと声をかけた。
男の左手には意識は向かず、他に集まった者に視線を向けて]
[襲われたわけではないとマテウスの返事に過ぎるのは安堵。
それを見せたのはほんの一瞬だったけれど。
頼むの声にこくと頷いた。
呼びかけるエミーリアの声>>81には一瞬振り向き「一人で大丈夫」とだけ言う。
オクタヴィアン>>84にも頷きを返して、今度は駆ける。
使われていない客室に飛び込み、女は其処からシーツを拝借する。
綺麗に畳まれていたシーツからは石鹸の清潔な香りがした。
真白を腕に抱えると急いで聖堂外に戻る。]
マテウスさん。
これ、……団長さんに掛ければいい?
[畳まれていた白がふわと広がる。
マテウスの指示仰ぐように、声を掛け彼に視線を向けた。]
― 聖堂外 ―
[昨夜の談話室では先の気まずさもあって、碌に目も合わさず、本の貸し借りの際にも殆ど無言で遣り取りしていた。
彼の左手の具合は、幼い頃からの付き合いで良く知っている。
だがそれにしても、これ程までに痛そうに蹲る様は見た事は無かったが]
……。
[手伝いは大丈夫>>86と言われたから、そちらの傍へ向かった。
近くで司書も声を掛けていた>>88が、それで止まる事は無く。
眉を思い切り顰める]
……何してんだよ。
[言葉だけ聞けばいつものような冷たいものだったし、表情も不機嫌そうではあったが。
なるべく掴まりやすいような位置に、手を差し出した]
─ 聖堂外 ─
[自分と同じ宿の常連客である>>70青年の声に顔を向けると、丁度ずるりと崩れ落ちるところで。
けれど彼とは距離もあり、傍らの男の様子が気にかかることもあって駆け寄ることはできなかった。
彼の側には>>88ライヒアルトやミリィも居たから、というのもあったが]
…何が「良い」のよ。
アンタが嫌がったってアタシは構うわよ。
[>>87ぶっきらぼうな物言いはいつもの事、普段は自分もできる限り彼に関わることは無い。
だが、今の彼は傍目にも苦しそうで、なのに自身を蔑にしているように見えて]
アンタ一人が背負ってどうにか出来ることでもないし。
アンタが背負うべきことじゃないでしょう。
[自分の言葉は彼にどう受け取られただろうか。
カルメンが持ってきてくれたシーツが広がるのを見て、こちらからもありがと、と礼を言った]
―聖堂・外―
[後ろから雪を踏む音が近付いてきたのは聞こえた。
反応を返せる程の余裕は無く、乱れた呼気を繰り返すばかりで]
[それでも声を掛けられれば、殊更にゆっくりと頭を巡らせて、苦笑する]
……だいじょ、ぶ、……じゃ、ない なあ。
[大丈夫だと言ってもそうとは一切見えない自覚はあった。
躊躇いなく掛けてくる声とその肩の心配げな蒼の様子>>88に、安心させられるような言葉を紡ぐことはできなくて]
[そこに、落ちてきた言葉>>90。
見上げれば随分と不機嫌そうな色合いがこちらを見下ろしていた]
……ほんと、に ねえ……
[無理矢理に零した笑い声は酷く乾いていて。
それに情けないような、困ったような苦笑へと移り変わる。
差し出された手には素直に右手が沿ったけれど、未だ収まらぬ痛みに立ち上がることはできない]
─ 聖堂外 ─
[シーツを広げたカルメンの落とした疑問。
自分も老尼僧の姿は屋根の上、遠目にしか見ていなかったのではっきりとは見えなかった。
今此処で横たわっている自衛団長と同じ様に、彼女も胸と喉を裂かれていたのだろうか。
解らないが、もしそうなら。悪趣味だと思いながら眉を顰め]
マテウスさんもアーベルも、無理はしないで。
二人とも、中に入って休んで頂戴。
ライヒアルトさんは、悪いんだけど手伝って下さるかしら?
…アタシ、小父様のお部屋も、知らないから。
[休めと言いはしたが、マテウスとアーベル両者から否が返ればそれ以上は強く言わず。
ギュンターを白いシーツに包むと、何名かで中へと運び込んだ**]
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