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うん、帰りたいね。 おばちゃんも帰りたいよ。
[目の前で人を刺したというのに、まだ近づいてくれる姪。
憑魔の演技?
そんな事は考えたくなくて、姪の髪に頬擦りをする]
うん。 そうね、さがそう。
伽矢と、彼らと会って話したい。
……瑞穂ちゃんは。
[しばし躊躇い、伝える]
瑞穂ねぇちゃんはね、壁を通り抜けて、遠い所にいっちゃったの。
[千恵ちゃんの手を握ると、意を決した。
礼斗君が命がけで成そうとした事を引き継ぐ為。
彼が何か痕跡を残している事を祈りながら、公園へ歩いた。
包丁は、姪と繋ぐ手の反対に握り締めたまま]
─ビジネス街上空─
[見えぬ壁側から中央に向けて虱潰しに捜して。
途中にあるビルの屋上へと降り立つ]
……上から捜すにしても、時間食うな。
入れ違いに移動してたらいたちごっこだし。
……音は、空気の振動、なんだったか?
[オレが扱えるチカラ、空気を操るチカラを応用して、オレは可聴範囲を広げようと試みる。
慣れない使い方でもあるため、調整には時間がかかるだろうか]
同じ存在?
[史人の言葉に鸚鵡返しに答える]
司……ってことかしらね。
その言葉が本当ならば、嘘から出た真実だったってことかな。
良ければ、司として何をしていたか聞いていいかな?
見つけるモノならば、誰を判断していたのか?
守るモノならば、誰を守護していたのか?をね。
[答えてくれたとしても本当かどうかは知らないが、それなりの判断材料にはなりうる]
それから、誰かが来るかも知れないから早めにすませておくけれども、私とあなた以外は、3人しかいないの。
伽矢。千恵。それとあのおばさん。どう見ても強固なグループでしょ?一応、揺らがせておいたけれども、どうなるか分からないから、私とあなたで手を組んでおけば少しは対抗できる手段にならないかしら?
[百華が雪夜を殺した事実は、心の奥の奥に自然と潜めていた。
それよりも、嬉しいが先だし、大きいかった為。
子供のこころは上手に出来ている。
ほお擦りが嬉しくてほふりと微笑んだ。
繋いだ手の反対には、絵本を持って。
百華と一緒に歩き始める。
足はやっぱり遅いから、急いた神楽とはだいぶ距離が離れてしまうのだが。
比喩された表現は、そのまま受け取ってしまいきょとんとして。]
……ねえちゃ、ひとりでさきにかえっちゃったの?
いいなぁ……。
あれ、でもみずねえちゃのおうち、そこなのに。
[へんなの?と小さく首をかしげる。うさぎもいっしょに首を傾げた。]
[問いにすぐには答えず、水道の蛇口を捻る。
温い水が流れ出した]
……。
[ポケットを探り、流れる水の真下へ置いた。
すいと目を細め、手を翳す。
――ぴし、と音が鳴る。
ナイフの上に咲く、白い氷花]
と、見ての通りだが。
[そこで漸く、巫女を振り返った]
最初は礼斗緋文。次に黒江瑶子。
どちらも白。
回答はこれでいいか。
手を組む、ねぇ。
……囮になれって意味なら、お断りだが。
[探るように、その目を見る]
……まぁ、確かに厄介じゃぁあるな。
[ぽつぽつと歩く。
神楽を追うのは、こころの何処かが『つかさ』と囁いているからでもあった。
つかさ、ひょーま、どちらもわるもの。
少なくとも、自分の中ではそのままで。
さっき聞こえた言葉も、ちらりと首をもたげる。
千恵か、伽矢がひょーま。
かやにいちゃがひょーま?
ちえも、ひょーま?
頭の中ではてながたくさん飛んでゆく。]
ううん、違うの。
瑞穂ねえちゃんは帰ったんじゃないの。
おしごと、しにいったんだよ。
[せめて、安らかな最期だったらいいのだけれど。
姪が一生懸命歩いているのはわかっていたから、彼女に合わせて歩む。
が、私は途中ではたと立ち止まる。
この子は瑞穂ちゃんの死を知らない……?
いえ、憑魔が死を知っているとは限らない。
それとも知らないフリをしているだけ?
でも、この子が憑魔なら、何故二人きりなのに私を襲わない?
……いいえ、伽矢だって私を襲わなかった。
そうよ、子供達はきっと憑魔じゃなくって、残る彼が……
立ち止まったまま、頭をぐるぐると思考がめぐる]
[史人の行動を眺め]
───そういう芸当ね。
[納得はした。
憑魔がそういうことが出来ないという可能性は無いのだが、とりあえず信用はしよう]
ええ。
私もそのどちらかで考えていた。
もし、あなたがどちらかを判断していれば、分かりやすかったんですけどねえ?
ま。泣き言はいいわ。
あなたはどちらが怪しいと思う?少し判断材料があるならちょうだい。
ああ。私の能力からの判断材料もあげる。
無表情な女の子───黒……江って言ったっけ?あの子は普通の子じゃなく、憑魔には殺されなかった。
ひふみんとみずちーは憑魔に殺された。
さて。思い浮かぶことはあるかしら?
─ビジネス街・ビルの屋上─
[周囲の空気を細かく震わせる。
その震わせる速度を速めたり遅めたりしながら、オレは調整を取って行った]
………あまり遠すぎるのは無理、だな。
人が居そうなのは……中央広場か。
[はっきりした声や音は掴むことが出来なかった。
かろうじて捉えたのは、人が動く時に空気を震わせる、物理的なもの。
翠の瞳は、先程立ち去った中央広場へと向いた]
…近くまで行って様子見るか。
[再びオレは足元で圧縮した空気を破裂させる。
宙を翔け、中央広場傍の高めの建物の上へと降り立った]
─ →ビジネス街・中央広場傍─
それから、囮になんてしないわよ。
手を組むってのはそのまま、後ろを預けるに近いまでをお願いするの。
……もしも、あなたが憑魔ならば、他の全員がいなくなってから改めて勝負しましょう?
はん。
んなこと言われてもねぇ。
憑魔はお前が全て浄化するんじゃなかったのか。
[どちらかを見ていれば、などと言われれば鼻を鳴らす]
……そうかい。
[瑶子の名前が出され、内側に揺れる気配。
軽く息を吐いた]
……あぁ。
あの女のガキはよく知らねぇが。
礼斗緋文を殺したのは、男のガキの方だった。
おしごと?そっかぁ……じゃぁ、しょうがないね。
[言われると納得したというように、微笑んで見上げる。
百華の表情の変化は、不思議そうにきょとと見上げるだけ。
胸中を窺い知る事が出来るはずもなく。
途中で足が止まったので、自分も一緒に足を止める。
何やら考えている伯母をじっと見つめて。]
ももおばちゃ?
[くいくいと、繋いだ手を引いて呼んだ。
じーっと、伽矢と同じ色の大きな瞳が百華を覗き込んだ。]
─ビジネス街・中央広場傍の建物─
[屋上から中央広場を見下ろす。
桜から離れた場所に、二つの人影を見つけた]
……眼鏡の野郎と巫女か。
一人だったら隙をついて喰ってやるんだが。
[短い舌打ちが漏れた。
彼らの会話までは耳に届いていない。
先程の方法は慣れないのもあって、酷く体力を使う。
ここでチカラを使いすぎるのは抑えておきたかった]
浄化はともかく、判断には困るってことよ。
私だって、無駄に人を殺して確かめたいわけじゃないわよ。
[そう言い返した後に、聞こえる答えには]
充分すぎる判断材料ね。
憑魔に殺された。
伽矢に殺された。
=に近いなら、伽矢を憑魔だと仮定するにはおかしくない。
後は、他の人が納得してくれればいいんですけどね。邪魔が入るようならば、多少厳しいかな。
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