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そうなんだ…。
うん、ちえ大事にするね。
[神楽の説明に神妙に、こっくり頷くとおみくじと同じ手で、きゅ、と握る。]
かぐねえちゃ、ちえこれから公園行くから、またあそびにくるね。
[ばいばいと、握っていた手をおもいっきり振り。
伽矢と瑞穂と一緒になって、神社を出ていった。]
─神社─
[お守りの話で向けられている視線は気付かなかった。
その代わり、幼馴染に向けて「行くぞ」と声をかけた]
千恵、転ばないようにゆっくりな。
[急ぐとは言ったが、降りの石段で躓いたら大変なことになる。
幼馴染のことも考え、従妹には急ぎすぎないよう注意を投げた。
そうして石段を降り、中央広場の方へ]
[神楽から帰ってきた返答に少し動揺してみせながら]
もう、静音さん。
[言い返すことはできなかった。
なんだかんだとお世話になっていることに変わりはないのだから]
お願いします。
[神楽にそういい残して「今行く」と伽矢に返しながら、二人の後ろについていくように中央広場に向かった。
今度は伽矢が気を使ってくれたおかげで息切れするようなことはなかった。
途中何か鈴の音のようなものが聞こえた気がして]
んっ?
[千恵のリュックかなとそちらに視線を向けるがそれらしいものは見当たらず、
不思議におもううちに中央広場についた]
─中央公園─
……なんだ?
[不意に、聴こえた音。
一つ、瞬いて周囲を見回す。
周囲を巡った視線はやがて桜と、その傍の女へと。
突然の音色は、彼女の耳にも届いていたのか。
その表情は、更に険しさを増していた]
[3人の姿が見えなくなってから、神楽が思いを巡らせる]
そっか。
もう一つ、鈴の音があったか。
するとキーワードは、
桜。
斑鳩一族。
桜の覡。
鈴の音。
か。
[急いで書庫に引き返して、先程放り投げた本を斜め読みで読み進める]
ゆら、ゆらり。
大気が、揺らぐ。
街の中央、要なす場の桜の周囲で。
揺らめく大気はやがて、気流となり。
赤と緑に彩られた葉を、一際大きく揺らす。
……轟、と、鳴る、風。
それは、木の葉を揺らし、巻き上げ、その全てを天へと運び去る。
―繁華街コンビニ前―
[携帯を閉じてポケットに仕舞う。
ほぼ同時、小さな声が聞こえて足を止める]
……お。
何やってんの、瑶。
[振り返ると転倒したらしき姪の姿。
助け起こすより先に、揶揄い混じりな言葉を掛けた]
[響く音(ね)は耳を掠めるように。
一度翠の瞳を足元から前方へと向ける。
数度の瞬きの後、気のせいと捉えまた足元へと視線を落とした]
─ →中央広場─
[広場についてすぐ、母親の姿を探してみたが、そこには居たのだろうか。
それよりも目に入ったのは、険しい表情をする紅を纏う女性だった]
……何か、あったのかな。
─中央公園─
[中央公園は、昼より人が増えている。
不思議そうにしながら中へ入るものの、人が多くて百華の姿は見つけられない。]
ももおばちゃ、どこだろ…。
ももおばちゃー。
[伽矢の手を握ったまま、こてんと首をまげ。
声は人垣に散らされ、すぐに消えてしまう。]
─家までの道程─
[そうして公園から立ち去り、家路についていたのだが、]
……(ジロッ)
[視線を感じて、そちらにギロリと目を向ける。
その視線の先、好奇の目で見ていた男性は慌てて視線を外すと、そそくさとその場を去る。]
……くそっ、鬱陶しい。
折角、久しぶりに楽しい時が過ごせたと思ったらコレだ。
[チッと舌打ちし、足早にその場を去ろうとする。]
音に続き、小さな声が響く。
「いのちのまつり。
おもいのめぐり。
きみゃくはめぐる、ちからのままに。
きざめ、きざめ、いのちのしるし。
ゆくかいなかはだれもしらぬよ。
さくら、さくら。
はなはひらきてみまもるのみ。
さくら、さくら」
響く、歌。
大気が一際大きく震え、そして──
これ、かな?
[該当の箇所を読み続ける。
書いてあるのは非常に抽象的で、何のことだかよく分からなかったけど、それでも理解できた項目]
憑魔。
人の心の闇に巣くうもの。
司。
憑魔を滅するもの。
───ああ。そっか。なるほど。
この力ってそういうことだったのか。
って!
やば!?結界!?
急がなきゃ間に合わないじゃん!!
[叫び、読んでいた本も取り落として、急ぎ神社を出て、桜がある中央公園へと走る]
再び、強く、吹きぬける、風。
それが過ぎた後には──はらり、舞い散る薄紅。
今の季節にはありえぬはずの、満開の桜の大樹。
リン……と。
また、鈴の音が響いて。
満開となった桜の枝の上には。
同じ色の小袖をまとった、黒髪の童女の姿があった。
あ、千恵!
[従妹はオレの手を放し、人垣の隙間を縫って行く。
見失うと拙い、と考え、慌てて駆け出す]
ちょ、っと、すいません…!
[オレ自身も人垣を掻き分けるようにして桜へと駆けて行く従妹を追った]
―中央広場―
[伽矢の母親、百華の姿を探していると千恵が伽矢の手から離れて桜の方へかけていくのが見えた]
千恵ちゃん、一人じゃだめっ。
[あわててそちらに駆け寄っていく。
桜の前にはまだ前にも見た女性の姿が見えた]
[再び鮮明に聞こえる鈴の音]
「ホゥラ、始マルゾ。
貴様ハ選バレタノダ。
我ガ選ンダ。
能力(ちから)ヲ与ェルト選ンダ」
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