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ええとね、確か、風邪薬。
っていうか、ええと、確か熱を下げるやつと、あとは咳を止めるやつ。
ほしいんだって。
だから、あとで届けるから、あとで下さい。
急ぎって言ってなかったよ。
はいはい。
[ぱっと手を離して、頭をぽんぽん、と叩いた。
こちらもこちらで、悪びれた様子はさっぱりとない]
妖精の環の危なさはどんなのなわけ?
ん、林檎のは、林檎のおかし?
名前なんだっけ。
エーリ君が作ってってヨハナおばあちゃんにおねだりしたんだって。
[本人が聞いたら怒りそうな言い回しで告げた。]
いっぱい、とりたての林檎を昨日あげたから、おばあちゃんの手ですごく美味しいお菓子になると思うよ。
リディちゃんの分も、ちゃんとあるかもね。
たくさん作れるくらいだったみたいだから。
うみゅう…
[頭をぽんぽんされて恨めしそうな目で青年を見上げる、聞こえて来た薄茶猫の笑い声にも、ぷう、と膨れて]
教えない、よ!
[あっち向いてぷん!]
お茶会でも、あったのですかぁ?
[リディの言葉に、首を傾げ。
勢い良く振り回される籠に、人事ながらすこーしだけ中身を心配した]
風邪薬……解熱剤と、咳止めですか。
急ぎでない、という事は、常備薬としての処方かしら。
それでも、一応、見には行った方がよさそうですねぇ……ブルーメのリボンの事もありますし。
[箒が落ち込んでいるなんて夢にも思わず、最後にぽつりとこんな呟き]
[オーブンから漂うのは甘い林檎とパイに似た香ばしい小麦とバターの香り。
焼き立てを大きなミトンを嵌めて天板ごと取出し、熱々の焼き立てシュトゥルーデルを切り分けていく]
よォし、いい感じに火が通ったねェ。
後は味だが…ぁちっち!
[一番端を口に放り込み、またもや目を白黒させた。猫舌の熱いもの好きはこの年だからもう治らない]
林檎のお菓子……焼き林檎かな、パイかな。
タルトもいいな。
エーリヒさんもお菓子が好きなんだ………。
[頭の中では青年の語るままのエーリッヒ像が出来上がっている。]
それは是非とも行かなければ。
ちょうどお使いに行くとこなんです。
雑貨屋さん自身は風邪っぽくなかったけどね。
もしかしたら隠れて風邪なのかもしれない。
[少し悩むように雑貨屋を見た。]
常備薬ってことじゃないのかな。
よくわかんない。
ほしいっていうから、お遣いに来たんだよ。
ほら、物々交換ってやつ?
ブルーメのリボン?
ミリィちゃん、新しいリボンつけるの?
[よくわからずに、きょとんとしている。]
また独りでうろうろしてるのな、お前。
[届けたのはやはり無意味だったか、とは思いつつ、警戒心を見せる薄茶の猫に対して呟き]
……なら、直接実験してみたら分かるかねえ。
[あっち向いた隙に、今度はティルの首根っこを掴みにかかる。
ツィムトにとっては昨日の自分を思い出させる動きだろう]
うみゃみゃ!
[実験という言葉に悪寒を感じて、掴もうとする手から擦り抜ける]
だめにゃー!あそこに近づくと、どこに飛ばされるか分からないにゃーっ!
[思わず薄茶猫の後ろに隠れてみたり]
[ちょうど良く漂い始めた甘い林檎とバターの匂いにはっと顔を引き締める。
早く行って自分の分を確保せねば。]
じゃ、あたし行ってきます。
お姉ちゃん、アーベルさん、またね!
[勢い良く片手を上げると張り切って駆け出した。]
[暴れて踏み潰される心配がなくなると薄茶猫は大胆にもティルの足元に来て匂いを嗅いでから見上げた。膨れた頬にも無頓着だ]
「ゥ゛ナァーゥ゛(昨夜、ミルクを飲んだのはお前じゃねえな)」
[昨日ティルへと踊りかかった猫は当然、少年が出した尻尾を見ていた訳で、妖精なら姿を変えて飲みに来たのかもと考えたらしい。
それからエーリッヒの方に視線を移し、説明してやら無いとまた抓られるぜと言う風ににやぁりとティルを見た]
ミルクは飲んでないにゃ?
[薄茶猫の声には、律儀に答えるあたり、猫同士の礼儀ということらしい]
だって、説明にゃんてできないし…
ですねぇ、御師匠様がいらっしゃらない状態で、体調を崩す人が増えると、ちょっと大変なのです。
[リディの呟きに、こちらも小さく呟き]
あ、はい、また後で。
[駆け出すその背を見送った]
物々交換でお使いなのですかぁ。
あ、リボンをつけるのは、ボクじゃないのですよ。
[リボンの話題には困ったように。
まさか、箒が動くところを目撃されていたとは思っていないから、どう説明したものかと悩んでみたり]
へえ。なるほど?
崖崩れやら森の違和感とやらとも関係あるのかね。
[隠れられていない少年を見下ろしつつ試すように問いを重ねた]
[誰も届けろなんて頼んでねえとか縄張り巡廻も仕事だとかでエーリッヒを睨んで鳴く間もなく、動き出した二人に尻尾を踏まれそうで棒立ちになる。
後ろに隠れたティルに「ミ゛ゥ(無駄だろ、それ)」と突っ込んだのはややタイミング遅め]
え、違うの?
ミリィちゃん似合うと思うけど。
[素でそんなことを言った。]
じゃあ、ミリィちゃんのお友達とか?
子供はいないだろうし。
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