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[部屋の中に居たのは今まで連行されたか浚われ姿を消した人物]
…一堂に介してる、ってか。
議会の上役辺りも絡んでそうだな。
[捕まって尚考えるのは事件の裏側について]
[街の有力者が関わると言う証拠になり得る状況にくつりと笑いが漏れた]
[無事な右手で胸ポケットへと手を伸ばす]
[けれど目的のものは没収され、咥えていた媒体用の手巻きタバコも無くなっていた]
ちっ……流石に馬鹿じゃねぇか。
[忌々しげに舌打ちが漏れる]
―大通り―
どうしてこのタイミングでそれがまず浮かぶかね。
[頭痛を堪えるように左手を額に当てた]
[丁度自衛団員の一人が見えた]
犯人が一人分かりました。
今頃アーべルもそちらに向かっているかもしれません。
ちょっと失礼。
[そして自衛団員を呼ぶ]
急いで教会に向かってくれ。
ライヒアルト、彼が犯人の一人だ。
すぐに行けば今回は隠す暇もないだろう。
う、ううん。
[小さな礼の言葉に、小さく首を振る。壁際に行ってしまった彼女に言えるような気のきいた言葉は、あいにくもってない。…ちょっと、途方にくれる。]
…ああああ!怖いけど悪くない人!!
[が、先の男性が部屋につれてこられていたのに気付いて、思わず声をあげる。非常に残念だが、時と場合を考えない元気さだ。]
怪我がそれ大変そうなの…。
[心配げにするのは、大の男相手でも同じか]
[アーベルに続いて、礼拝堂の中に飛び込んでみれば、中にいるのはただ一人]
……ライヒアルトの兄さん、か?
失踪事件の犯人……アンタなのかい?……いや、答えなくていいや。どうせ、アタイの頭じゃ判断つかねえし。
今までアンタという人物にあまり会ってねえから、信じれるかどうかもわかんねえ。
ただまあ……犯人の疑いが高いって話なんで、大人しく捕まってくれねえかな?
[言いながら、軽く拳を握る。
剣は抜かない。剣の機嫌が悪いこともさることながら、死傷沙汰にする気も全く無かったから]
「唐突になんだ」
[相手は当然の疑問を返してくる]
[時間は無駄に出来ない][スッと息を吸う]
『急げ!』
[二つの声を一度に使って炊きつけた]
[直後咳き込んでしまうが相手は走り出すだろう]
……ライヒ、さん。
ヴィリーのにーさん、は……。
[何処、とは問わない。答えが得られるとは、思わないから。
代わりに、口をついたのは]
……一年前も、『そう』だったのかな……?
だとしたら俺、どんだけ。
[間抜けなんだろね、と。刹那に掠めたのは、自嘲]
一緒、来て、もらうよ。
……終わらせたいんだ、俺は。
[決意を込めた声。合わせる場所を失した風は、繰り手の周囲を揺らぎ、巡る。
答えはあったか、否か。
何かしら、言の葉を交わすとしても、決意が揺らぐ事はないけれど]
[部屋の隅に行くベッティの背中に目を向けて
それでも少女はかける言葉が見つからなかったから。
只、水鏡へと目を向けて
少女にも養父にも近づく事はなく、
扉が開けば顔を向ける事は*あるけれど*]
……んだそりゃ。
[面識の少ない女が挙げた声に真顔で返した]
[己以上に緊張感が無さそうだとも思ったかもしれない]
この程度、どうってことはねぇ。
…が、これで気ぃ失うとは俺も鈍ったな。
[止血した腕を上げてひらひらと手を振る]
[顔の傷もさることながら]
[男には身体のあちこちに傷が残っていたりする]
[破り取って晒された左腕も]
[今回以外の傷がいくつか残っていた]
え? 犯人が?
[わけも分からぬまま、瞬きを繰り返す。
自衛団員が呼ばれ、会話を交えた後に駆け出すのを、呆然と見ていた]
ちょ――…大丈夫、なの?
[咳き込むハンスに近づく]
[ハンスが自衛団を呼び止め、教会へ向かいよう伝えるのを口を挟むことなく傍観していたが]
(………流石にこれは庇い立てするわけには……いかないよねぇ)
[心中で嘆息を吐く]
/*
あ、間違えた。初期の設定の方で書いてしまった(汗
二つの声でなくて呪歌に通じる声というだけで良かったのに。
分かりにくいことになってしまってごめんなさい。
[アーベルが風を巻き上げる様子には]
ほ。
[と、小さく驚きの声を上げた]
なんだ。そんな特技持ってたのかい、兄さん。
……けど、落ち着いてやれよ。
平常心忘れたら、どんなときでもロクなことにならねえぞ。
一時の感情は、暴走を促すからな。
[喉の痛みにきつく眉を寄せる]
[もうまともに使うことなどできるはずのない発声]
[勢いで使えばこうなることは分かっていた]
……大丈夫。
[咳はそのうちに収まるものの]
[エルザに答える声はまだ掠れたものだった]
[ゲルダにも非礼を詫びる様に小さく頭を下げる]
……わかってる。無駄に傷つける気なんて、ない。
[レナーテの諌めの声に、短く返す。
直後、礼拝堂の外から騒ぐ声が微か、聞こえて来た。
教会に残っていた誰かが、騒動に気づいたか。
何れにしろ、それが生じさせるのは、隙]
……『押さえ』て!
[不意に上がる、声。
巡る風が一瞬止まり、空白を経て、ライヒアルトの周囲を高速で舞う]
動かない方が、いいと思うよ。
それ……触ったら、切れるかも知れないから、ね……?
[わかってる、と言ったわりに、やっぱりちょっと落ち着いていないらしい]
[聞きなれない声に、一度顔を上げた]
煙男……。
[そこにあった意外な顔に驚いたが、またパーソナルスペースへと*沈む*]
ううん、あのねレナーテと話してる時に、
あなたが犯人だったらとっくに捕まってるだろうから、
犯人じゃないんだろうなーって、思ったことがあるの。
[水盤で見ていた分相手の事を知っている気分で、しかもなぜか自分も知られているような気分でいる。]
ほんと?なんでもないの?よかった!
[両手を合わせて。ねーよかったねーと振り返れば、ちょっと重たい雰囲気に自分の軽さを確認してしまい、あはぁ…と、また隻眼の男を見る。]
………ふええなんだそれ…。
気絶するのに十分にみえるの…。
[なんか見えた傷だらけの肌にそんな感想。]
大丈夫じゃなさそうね。
[息を吐く。
憂いを帯びた眼差しは消し切れない]
どうしてわかったの、って訊きたいけど。
貴方のことだもの、少なくとも考えなしには言わないでしょ。
[駆け出して行った自衛団を追うべきかと迷い、視線を転じる。
浮かんだ色を隠すためもあったけれど]
……あの子、どうしたかしら。
[思わず小さく、呟く。]
……まあ、ギリギリ及第点か。
[アーベルのおこなった方法論を見て、レナーテが呟く。
こちらとしても、完全無傷で抑えこめられるとはあまり思った無かったと言えば、レベルとしてはかなりマシな部類ではあったが]
……いいけど、コントロール失って、アイツをズタズタにでもすれば、思いっきりブン殴るから、ちゃんと集中してやれよ、兄さん。
[最後にそんな物騒なことを言って、程なく現れた自警団と共にライヒアルトの身柄を*押さえるだろうか*]
[向けられる方々からの視線には隻眸で一瞥を返すのみ]
[紫煙も、今は男の周囲には漂うことは無かった]
…くく、そんな話か。
道理ではあるが、必ずそうとも言えん。
良い悪いは犯罪に限らんからな。
[己は善では無いとでも言うような言葉]
[事実、善も正義も振りかざす気は無く、またそうだとは思っていない]
……ああ、こっちの傷は昔の傷だ。
今ついたもんじゃねぇ。
[指摘されたものに隻眸を向け]
[昔の傷口を右の人差し指でなぞる]
[当然紅い色がつくことは無い]
……心します。
[物騒な一言に、零れ落ちたのはこんな言葉だったとか。
それでも、傷つけたくないのは本意。
それが、甘い考えだと言われても。
ともあれ、そうしてしばらく風を手繰る事に集中して。
やがて、自衛団がやって来たなら、風の束縛を解き、後はそちらに任せる]
…………。
[連行された黒衣が礼拝堂から消えた後、ふ、と下に視線を落とす。
蒼が捉えたのは、床に滴り落ちた紅の跡]
大丈夫、かな……。
[口をついたのは、案ずるような響きの呟き]
―大通り―
[持っていた水袋で喉を湿す]
[痛みは消えないが声は少しずつ戻ってくる]
ヴィリーが掴んでいたんだよ。
確認のためにライヒアルトの所に行っていた。
結果はどうも芳しくなかったようだが。
[予想できても止めはしなかった]
[あわよくば記者が相手を捕獲してくれればと甘く思いもしたが]
[犯人が一人捕まえられれば良いとも割り切る]
アーベルも向かった可能性が高い。
一人で行かれてたら拙いから自衛団にも頼んだんだ。
卑怯な方法を使わせても貰ったけど。
/*
……せんせー(誰。
こ い つ 何 で 懐 い て ん で す か 。
おかしい。
……深夜テンションのせいか、そうか。
[なんか違う]
えー?
[良い悪いは犯罪に限らないと言われれぱ、文句を言いたそうな顔になる。…まぁ、いいたい文句もないから、そういう顔をするだけだが。]
じゃあ、怖いけど悪くない人じゃなくて、
怖いけど良くも悪くもない人って呼ぶ。
…それも長いの。名前教えて!私はローザだからね!
[そう話しながら、古い傷をなぞる指をまじまじと見る。]
…ほんとだ、痕だけなの。
[けんか怖い。とか思ってる。]
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