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――ッ
分からない。
僕は、何も知りません・・・
気がついたら、僕じゃない誰かが――
[泣き出しそうな声が響く。人形はくすくすと笑うのみ。]
[コーネリアスに強く手を引かれ、バランスを崩して階段でつまずき、舞台に手をついた。
黒猫の声が聞こえた気がして、振り返る]
ウィッシュ…?
説明すると長くなるんだが……。
俺は、生まれつきなのかなんなのか、魂の姿が『視える』体質でね。
ここの敷地内に、姿を消したり昏睡状態になったりした人たちがいるのが『視えた』って事さ。
……ま、約一名、違和感が付きまとうんだが、もしかすると、ここの空気と近いかも知れんね、その違和感。
[詳細を省いて説明する。
黒猫の声と、走り出した事には気づいていた]
慣れた……ねぇ。
それだけにしちゃ、だいぶ目が虚ろに見えるんだが……。
体調は、良くなったんだろ、確か?
そう、聞いたけれど。
……まぁさ。
見世物の一番すごいのって言うくらいだし?
厳重に注意しておかないとねー?
そういうもの、先に見たら悔しがるだろうし。
……ヘンリエッタを返してもらうように、いえるしね。
[黒猫の名を呼ぶレベッカの肩に手をかけ、耳元に唇を寄せる]
気のせいですよ…ここには動物は多い。
さあ、レベッカ……行きましょう。
あぁ、えぇ。
ニーナを…ヴィンセントさんとアーヴァインさんを、助けなきゃ、ね。
[再び目を半分閉じ、コーネリアスの言葉に頷く。]
・・・・そうだったんですか。
魂の姿が。
約一名、とは?
[あっさりと頷き、碧の眼を細め――]
ええ、気分はすっかり。
虚ろって、――そんなに変ですか?
[黒猫はぴたりと足とめ振り返り。
大きな瞳に少年を捉えれば、促すように短く鳴くだろうか。
微妙な焦りが、その声にはあるやも知れず]
――。
貴方の中には、二人の人がいるのかしら?
私が話したのは、どちらだったのかしら…。
これも貴方がしたことなのかしら?
[銀髪の魔術師が、レベッカの手を引くのに声を掛けて]
……遅かったな。
[DOLLの囁きに返す声は冷たい]
まあ、いい…あの子供共々、取り込んでしまえば良いことだ。
昨日、呼び戻しに挑戦する、と言ってた当事者だが。
そして、どうやら誰も戻った様子はない……。
これは、俺の推論だけど。
……戻すつもりは、最初からなかったのかも、な。
ま、あの二人がどっちもサーカスの関係者だとしたら、ね。
魂抜かれたアーヴァインさんやニーナが、ここの新入り扱いで芸やってんだし。
[さらりと言いつつ、肩を竦めて]
まあ、元々ぼーっとしてるかな、って印象はあったけど。
……今の君の目、まともにこっちを見てるようには、ちょっと思えないかな。
ええ、私の力で成したことですよ。
けれど、私一人の力というわけでもない。
[エレノアの問いに、謎掛けのように答える]
うっわー、マジシャンさん。
思い人のいる女性の方をそんな風にするんじゃないって、教わらなかった?
あのね。
ヘンリエッタ、かえして。
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