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[エーリと話し確認していなかったら。送り出してくれたあの一声がなかったら、躊躇が残ってしまっていたと思う。
クレムが連れて来いと言ってくれなかったら。
名を呼ぶより先に、無力な絶望感に負けてしまったかもしれない。
そうしたら今もまだ半端な姿でいただろう。
深緑は敬意と感謝を乗せて、揺れる黒尾にもう一度目礼し、先程まで彼らが見ていた方へと視線を動かす]
……ル。
[意識を岬の方に向け小さく囁く。
コエとして届くことはなく、聲も返って来ない。
もう一人が本当は何を望んでいるのか、獣だった者にも分からない]
[ライヒアルトの応え>>+74に一瞬目を瞠り
そうしてふっと綻ぶような笑みを見せた]
私はね、誰かのゆるしが欲しいんじゃない。
ラーイのゆるしが欲しかったの。
だからね、あなたがゆるしてくれるなら……
[繋いだ手を離さぬようしっかり握り返す。
岬を眺める深緑が金へと変わる。
ゼルギウスと彼の争いの中、垣間見たのと同じ色]
ラーイ……?
[呼びかけるのは彼が遠くへ行ってしまいそうな気がしたからか。
見慣れぬ色を持つ彼は自分の知る彼と同じか否か。
確かめる前にその色は元に戻っていた]
……そう。
エーリッヒさんが、……え、違う姿、って?
[不思議そうに瞬くのは自分も似たものだったという自覚が無いから。
ライヒアルト>>+75の隠し事にも気付かぬまま歩みを進める]
ラーイは他の人に会わなくていいの?
会いたい人が居るなら会った方が良いと思う。
[辿りついた先で緩む手に躊躇いの色。
此方も手を緩めればそれはやがて離れてしまい]
あに離れもおとうと離れも未だ出来ないなんて
こどもたちに笑われてしまうわね。
[似たようなことを言われこどもたちにからかわれた事がある。
それから時折考えるようになったけど――]
[聞こえるのは猫の声>>+76。
気にしていたミーレのものかと一瞬思う。
けれど目に映るのは夜闇の猫。
一緒にいるのは見覚えがあるけれど]
――…え。
[問われたのは幼い少年がエーリッヒであると気付くと同時]
痛くないよ。
痛いのは、置いてきてしまったから。
[年下の、子供に接するように微笑んでそう答えた]
[>>+79ナータをゆるす、とは言わなかった。
そんな、おこがましすぎる。
代わりに手の力を緩めずに笑って。それが答え]
ちゃんと、ここにいるから。
[一時的になら手も放せる。特にクレム達のところにいくのなら。
途端にひんやりとする手を拳に握って。
何も見ず温もりの中だけにいたい気持ちを引き締めた]
月は……。
[夜の獣はその守護を受けるとされているけれど。
強いて見上げ、意識したことはなかった。
現実的にもどうだったかは分からないけれど。
それでもどこかでずっと感じてはいたように思う。
水面に揺れる、紅鏡を]
もう痛くないから大丈夫。
心配してくれてありがとう。
姿が違っても優しいのは変わらないね。
[夜闇の猫と少年>>+82に釣られるように和む空気]
……ん。
私もミーレが一緒にいてくれて嬉しかったから。
ありがとうは私の方。
あのこが無事に帰れるといいね。
[今、現の世に願うのはそれくらい。
白猫の行方を気にするように菫色が揺れた]
月のいとし子。
運命(さだめ)揺られて、紅散らす。
願いは何か。
想いは何処か。
導く紅月、ただ静かなり。
[ぽつり、と諳んじるのは青年が調べた古い謡。
その一瞬だけ、翠には大人びたいろ。
しかし、それはすぐに消えうせて]
[ライヒアルトの答え>>+83にふわりと笑う。
ここにいる、という言葉が嬉しい。
けれど岬の方を気にしているのを感じていいから
ここにいて、とは言わずにいた。
もう、何かを我慢させたり苦しめるのはイヤだったから。
聞こえる謡>>+87に意識が向けられる。
その傍にクレメンス>>+86が居る事にも漸く気付いた]
おにいさま。
[会えて嬉しいのと同時に哀しい。
おとうとと同じくらい生きていて欲しいと願っていたから]
[15年ほど昔の姿のまま、こちらに来た弟と妹に手を振って。
ナータに呼ばれれば、どこか哀しげに微笑む。
生きていてほしい、と内心で思っていたのは同じだから。]
……心配させるな。
俺たちは家族だろう?
[結局、言えたのはそんな事。]
[少年と猫のお揃いの行動>>+89にきょとんとして
困った様子にくすくすと愉しげに笑う]
私は違うことないと思うけど。
[一度だけそう返すけれど
あまり困らせるのも悪いと思ってかそれ以上は言葉を重ねず]
……ん。
寂しくないといいんだけど。
[ミーレの傍に仲の良かったエーリッヒは居ない。
寂しくないなんて事ないと思うけど
それでも願ってしまうのは寂しさが分かるからか]
私には何も出来ないから……
せめてあのこが無事に帰れるように祈ってる。
[祈りは願い。
それが叶う事を今は望む]
小説家 ブリジットが「時間を進める」を選択しました。
[立派な髭は何処にいってしまったのだろう。
若返ったクレメンスの姿>>+91は多少驚いたけれど
その姿もちゃんと覚えていたから誰かと思う事は無く]
ごめんなさい。
おにいさまには心配かけてばかりね。
[家族、と聞こえれば嬉しそうな笑みが浮かぶ]
家族でおにいさまにはかわりない、けど
その姿は如何したの?
同じくらいの歳に見える……。
小説家 ブリジットが「時間を進める」を取り消しました。
[いくらほど時がたったか。
岬ではなにが起こるのかは想像はついているけれど、見にいきはせず、元宿屋の自分の部屋へと向かっていて]
…自分を見るってのもなんだかおかしな気分だよな
[今更のように呟いた]
ごめんなさい。
[少し離れた場所からナータと同じようにクレムに謝る。
そういえばクレムも姿がと気づいたけれど、その質問はナータがしているから、そのうちには謎も解けるだろう。
心配されるのは嬉しくて、逆に心配にもなる。
自分よりも他人を優先させてしまう。>>+86>>+90
そんな兄であり姉だから甘えながらもハラハラすることが多くて。
どこまで続くか、この連鎖]
会いたい人……。
こちらで気になる人も、いるにはいるけど。
[ナータに言われた言葉を思い出して息を吐く。
喰らいはしなかったが殺しあってしまった人とは、ついぞすれ違ったまま、ここまで来てしまった。
今もって何を話すのかと言われれば困るには困る]
[そして、部屋から出る。人が居なくなり静まり返った元宿屋
ああ、もしかしたら、この元宿屋ぐらいはこの事件によって使われたことを少しは喜んでいるかもしれないなどとも思って]
ぁあ……ナターリエさんが…
[開け放たれた扉より覗いたそれをみて、死んだのか。なんて今更気づきながらも、階段を降りる。
そんな中、こんな風に律儀に歩く必要があるのだろうかなどとおもった。とはいっても見た目上黒い泥が張ってるようにしなみえないが]
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