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死ねば良い。
死んでしまえば良い、と思っていた。
勿論、そのときだって本気で生命が断絶してしまえば良いと思っていた訳ではない。
事実、自分がそう思った所為で誰かが死んでしまったら途方に暮れてしまうだろうし、しれは非常に困ったことになるという現実的な想像も認識も容易に出来た。そもそも、安易に他人の死を願うほど、生命というものを軽んじてはならないことはよく承知していた。
だから、ただの反抗心なのだろう。
それでもやはり、死ねば良いと思っていた。
時刻は少し遡る。
精霊界、翠樹王の居住地、緑の森には常と変わらぬ様子で木漏れ日が満ちていた。
「お母さまがしっかりしないからオヤジがつけあがるっていつも言ってんじゃん!
アンタ達二人、周りから何て呼ばれてるか知ってる?
『精霊界の割れ鍋に綴じ蓋』よ、恥ずかしい!」
ヒステリックな面罵を受けても、不遜に指を突きつけられても、翠樹王はただ、首を少し傾けて微笑むだけである。
そんな様子が益々腹立たしくて、
手の中でいまにも握り潰されんとしていた、赤いペンギンのぬいぐるみを地面に叩き付けた。ぼしゃり。
そば殻でも入っているのだろうか。重い音を立てて地面にめり込んだ赤ペンギンに、翠樹王の手がそっと伸びる。拾い上げようと屈んだとき、王の長い金髪が、柔らかく地面に広がった。
「リューディア。投げたら、可愛そう」
赤ペンギンをそっと胸に抱く翠樹王、もとい母親に対して、リディはかつてないほどの怒りを感じた。
時刻は少し現在に近付く。
精霊界、雷撃王の居住地では、常と変わらず乾いた風が岩肌のおもてを吹き抜けていた。
「ぬいぐるみなんか送って来るなって何度言えば判ンの?!
キモイっつってんじゃん!ていうかウザイし!
ていうか何でペンギンのくせに赤?!」
矢継ぎ早に罵声を浴びせられても、雷撃王は巌のように佇むばかりである。
そんな様子が益々腹立たしくて、
更に激昂して続ける。
「お母さまもお母さまよ、いつもヘラヘラして何の役にも立ちゃしないんだから、マジウザイし!馬鹿みたいだし!」
リディの矛先が余所へ向いたことを咎める為、雷撃王はリディの肩へ手を置いた。言葉を発する前に、諌めるような視線を送る。厳然とした顔付きは「裁定者」たる雷撃王に相応しく、有無を言わさぬ様相で厳しい。
しかし、リディは肩に置かれた雷撃王の分厚い手を払い除け
「触んなって言ってるでしょ!
オヤジ臭い!あたしまでオヤジ臭くなるし!ていうかキモイし!」
リディは、褐色の長い──母親/翠樹王によく似た──髪の根元を掴み
人間界へ遊びに行くようになってから護身用にと──父親/雷撃王に渡された──持ち歩いていた精霊鋼の小ぶりなナイフで切り落とし、
「もうこんな家、出てってやるっ!!
××××くそじじーっ」
雷撃王の反論の余地も無いまま、精霊界を飛び出した。
要するに、唯の反抗期だった。
余人に雷撃王の胸中に去来する思いを計ることは出来ない。
昔はあんなじゃなかったのに、というような内容の呟きが、吹きすさぶ風の切れ間に聞こえた気がした。
─機鋼界・中枢部外周区画へ連結する、エリア間通路のいずれか─
[いつものように(といっても今回は遊びに行くんじゃなくて家出のつもりだったけど)人間界へ向かった筈なのに、見たことの無い場所に立っていた]
あれぇ……。
ドコよここぉ……。
あの××オヤジ、何か細工しやがったな……!
ていうか意味判んないし!
もー……。
[未だ、誰にも発見されることは無く、進むことも戻ることもせずただ、広くも無い通路にぺたんと座り込んで、無理に切り落としたためにざんバラになってしまった短い髪を弄って*いた。*]
[此処より前に居た処を思い起こそうと、目を閉じて記憶を辿る。
瞼の裏に浮かぶのは、一面の空の青と白き雲海。
そう、私は――天を渡っていたはず]
……私は、悪しき夢に捕まったのであろうか。
否、夢であればいつかは覚める…それよりも、
[白金の蓬髪を緩やかに振り、薄布のように纏い付く雪を払う]
…せめて、天の青の見える処へと行かねばの。
/*
『精霊界の割れ鍋に綴じ蓋』
あまりの言い得て妙に連投が終わるまで待ってしまったとか。
真面目な文章を打つのが辛いの…。[中の猫は笑い転げている]
/中/
過去最長のOPだなこりゃ……(汗)。
中バレ万歳、でなきゃできねぇ。
と、言うわけで、ついに開演となりました、精霊演戯・第三演。
どんな形の物語が紡げるかはまだまだ全くわかりませんが、全力にて挑む所存。
お馴染みさんも今回お初さんも、皆、どうぞよろしくお付き合いください(礼)。
にしても、なんつーか。
いきなり来たメンバーがすげえな、おい。
/PL/
設定時点で何人かは予測されていたかと思いますが、
精霊王の子供設定は伏せておいたので
さっさと開示しないと困る方もおられるかもと
強行突破で、絡みに行かなくて申し訳ないです。
よろしくお願いします、nachtです。
[ゆら、と鎖が揺れる]
んー……取りあえず一つ、二つ……。
さて、どうしたもんか。
[ゆっくりと目を開けながら呟いて。
肩の白梟とすぐ側の少年、それぞれと顔を見合わせる]
研究生 エーリッヒ が参加しました。
研究生 エーリッヒは、聖痕者 を希望しました(他の人には見えません)。
< ぽかぽかお陽さまにあたためられた土の上、気持ちよさそうに猫が眠っていました。本当は猫とも少しちがう生き物のようですけれど、羽根があるほかは猫そのものなので、そう呼んでしまいましょう。みじかい毛並みに、細くながいしっぽ。太陽のようなこがね色がに混じっていて、この猫は美人――いいえ、美猫だと人が見れば思うでしょう。
だけれどここには人はいません。本当のはなし猫は“獣人”なので、一番それに近いのは気持ちよさそうに羽根を折りたたむこの猫なのです。
さわやかな風が吹くと、樹の上でうたっていた小鳥たちが猫のそばに下りました。えさを求めているのでしょうか。つくつくつん、つくつんつん。ついばむ音に白い耳がふるえ、やがてお空よりももっとまっさおな――それは深い水の色といえるかもしれません――目が、まばたきのあとにあらわれました。
猫が目を開けても、小鳥はどこへも行きません。猫も彼らをちょっと見ただけ、その後は樹の葉の向こう側をぼんやり眺めました。
猫はなんにもせずに、また頭を手の上におとしました。水の青はまた見えなくなって、つくつくつん、小鳥の土をついばむ音もやがて聴こえなくなりました。>
< 猫がまた目をあけると、どうやらそこも森の中のようでした。でも、なん十年もくらしているのです。ちがう森だということは、だれに言われるわけでもなくわかりました。
だって緑がとってもつよくて、どこかもぞもぞするんですもの。しめっぽい空気は、肌、じゃなくて毛によくなじみましたけど、それよりもなんだかぴりぴりとしました。毛が逆立ってしまうのは、とめられません。
すきじゃないと思ったように、猫はゆっくり目をあけました。青い目がはじめにとらえてしまうのは、このままだとちょっとぶきみな、下くちびるの大きい虫を食べる花―― >
< ……ごめんなさい。ほんとうは、猫の口から出たのは、残念なことになき声でした。でもおそらくそう言いたかったんでしょう。
気持ちは、顔がかわりに話してくれました。
みゃぁときこえる声で、猫はもう一度なきました。ちいさくちいさく、こまったようになきました。
だって、まわりは、あたたかいんです。ひんやりする風もありません。しめっぽさがちょっと落ち着かせてくれましたけれど。
まずは、ここがどこなのか、猫には知るひつようがありました。ジャングルっていうものだと、知ってはいましたけれど、なんでここにきたのかもわかりません。
それでも左の前あしに、目よりももっとふかい青の布があるのをたしかめると、猫は歩き出しました。
あたたかい陽をかんじて、やわらかい土をふみしめて、猫の足どりはしっかりとしています。
だけれど、どうしてでしょう? すすむにつれて猫はいやぁなにおいを感じたようでした。そっちに行ってはいけないような……。そっちに何があるかなんて、猫は知りませんけれど。
その場でたちどまると、しっぽをぴんと立てて、青い目にけいかいを映したまま、辺りを見回しました。>
[雪は大地を覆う真白の敷物となり、私は命を傷つける恐れなく歩を進める。
空から舞い降りる白の破片は、増えることも減ることもなく、淡々と降り積もってゆく]
………ふぅ。
[尽きぬ森に白い息を吐き天を仰ぐも、深緑の天蓋から垣間見えるは暗雲のみ。
森の上に躍り出て雲上へと思うも、詮無き事と目を伏せる]
私の脚が…無事であればの……。
[誰も居ない森、ゆえに私は心の内を零す。
切ない吐息が白く辺りを漂い、緩やかに広がって消えた]
青年 アーベル が参加しました。
青年 アーベルは、呪狼 を希望しました(他の人には見えません)。
" 130124: 01411 ... "
[何時から居たのか][何処から来たのか]
[何方とて定かではなく]
[唯、“其処に在る”][それだけが確かで]
[草臥れたシャツに] [色褪せたジーンズ]
[じゃら][じゃらり]
[素の足が地を踏み][千切れた鎖が鳴る]
" ... 30190 214171720151981413 "
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