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[料理をおいしく食べること。とノーラに言われ、既に準備もされている状況とあわせて]
そうさせて…もらうか
[半ば降参といいたげにしながらも促されるままに食事を初め、まずミートローフに口にして]
……上手いな…
[ぽつりと感想をもらす]
[ナターリエの呟きは、周囲の会話に紛れて聞こえなかったらしい。
ただ、カラスは怪訝そうに首を傾げていたけれど]
いけずってなんだよ。
むしろ、そんなん俺に聞くなっての。
[口を尖らすユリアンには、素でこう返して]
……いや、そういう問題じゃないだろうが。
苦いの好きなだけでマゾっぽいとか、それいくらなんでも無茶だろ。
……折角なのでスープの御代わり、頂いてよろしいですか?
[さっきまで陰鬱としていたが、食事をしているだけそんな気持ちが氷塊していくのがわかる。
だから、御代わりをお願いする時、彼は普段通りの笑顔を浮べられていた]
―広間―
[にこりと笑って皆が料理を口に運ぶところに顔を出す。
スープ皿ではなく、平皿の用意をしようと食器棚に向かいながら]
いいにおいだね。
あたしにも鮭のムニエルをもらえないかな?
オブラート。
それがあれば苦くなくなるんですか…?
[ミハエルの言葉に砂糖でくるんだものを想像した。
期待に少し胸が膨らんだ]
紅茶とかは多少苦くても大丈夫だけれど。
[ユリアンに頷いて。
薬の苦いのは大嫌いだ。それが避けられないなら特に]
[ユリアンとアーベルの会話にくすくすと]
中がよろしいのね、みなさん。
…苦味のよさがわかると大人なんだそうですよ?
でも、お薬の苦さはまた別ですわね。
[わたくしも苦手です、と告白して]
[ナターリエにも頷いて]
…あ。急いで取ってくる。
先生、こんばんは。
[途中でアマンダに気がつくと小さく挨拶をして。
そのままパタパタと二階へ上がっていった]
[食事をしながら][薬の話を聞いている]
お薬はもともと苦いものなの。
お薬が甘かったり美味しかったら、患者さんや子供は、また病気になって美味しいお薬が欲しいって思っちゃうでしょう?
だから患者さんには、もう病気になって苦いお薬を飲むのは嫌って思わせないといけないの。
苦いお薬には、薬屋さんの愛がこもってるのよ。
[オブラートについては初めて聞いた][そんなものもあるのね、と驚いた]
へえ。
そんなものも、あるんですね。
[ミハエルの補足に、驚きを含んだ声を返す。
……けれど、液体も包めるのだろうか。幾らなんでも、無理だとは思ったが]
いけずって、意地の悪いひとを指すんだよ?
[知らないの?というように、アーベルを見上げた。
相変わらず暖炉の前から動いていないから、自然、そういう形になる]
アーくんに聞かなかったら、誰に聞くのさ。
それに、そういう問題じゃないのなら、どういう問題さ。
[わざと子供っぽい言い回しで、問いを連ねる]
無茶でもないと思うけれどな。
[シスターの声には嬉しそうに笑み。ありがとうございますと返す。]
[料理を褒められるのは嬉しい事だなぁと、改めてしみじみ思い。]
すきなひと…。
[こちらも空いた席に座ってパンとスープを取り口に運びながら。]
すきなひとって、どういう人なんだろう。
[ぽつりと呟いた。単純に分かっていない。]
[大雑把に好きか嫌いかを尋ねられれば。][この場にいる人は少なくとも嫌いな人ではない。]
[それくらいに自分の中で分け方は曖昧で。][むしろ未知の領域で。]
[アベルの言葉にも、無言。]
[限られた人との交流しかしない人生だったので、外に慣れていない事は否定できず。]
[そも、それ以前に…と、考えかけたが。]
[お腹がすいたのでとりあえずパンを齧った。][思考は再び藪の中。]
[オブラートに反応したイレーネに苦笑し、本当に苦いのが苦手なんだなと思いつつ]
ええ。
掌に乗るくらいの大きさなんですが、それに粉薬を包んで口に含み、後は普通どおりに水で飲み干すんです。原料が砂糖なので苦味は感じないで済みますよ。
鮭のムニエルなんですか?
[そんな匂いはしなかった、と思う――のだけれども。
アマンダに挨拶を返す前に、思わず、疑問の声が洩れた]
っと、
危うく忘れるところだった。
[しかし正解を知る前に、イレーネが階上に向かうのを見て、僕も立ち上がる]
それじゃ、ちょっと置いてきます。
……時には、厳しい愛も必要なんですかね。
[仕立て屋の女性――ノーラの言いようは、都会の母を思い出させる。
別に不仲になったわけでもないから、祖母の元に行くと言ったときには、大層泣かれたものだ。
懐かしさに目が細まるけれど、浮かんだのは苦笑染みた表情だった]
[アーベルとの子供っぽい会話を一方的に打ち切って(つまりは返答を待たず)、階段を上って、昨晩使った部屋に入った]
[マテウスの声が聞こえたので嬉しそうに微笑んで。]
[ミハエルに頷いて、彼の皿を取り一旦台所へと向かう。]
[降りてきたアマンダにはこんばんはと頭を下げながら。]
[鮭のムニエル、には不思議そうに瞬いて見上げた。]
えっと、ムニエルは今日は無いです…すみません。
代わりにミートローフならあるんですけど。
[言って一度台所へと向かい、スープを注いでミハエルの前にどうぞと置く。]
―二階・自室―
[小さな鞄を探って目当てのものを取り出す。
作業用の白い手袋。これだって多少の防寒にはなるはず]
でもこれじゃ小さいよね。
毛糸のなら私には元々大きいし、きっと伸びるから。
[薄い青の毛糸で編まれた手袋を手に取って。
すぐに下へと戻った]
―…→一階・広間―
[パンも野菜も満遍なく食べながら、薬の話題を何とはなしに聞いてると、自分の声が届いたのか。嬉しそうに微笑んでいる、森ですれ違った、ブリジットと呼ばれている少女。]
…君が作ったのかな?
[目が合ったので聞いてみた]
[男は、椅子の上で伸びをした。昨夜から動いていないようにも見えるが、ズボンの裾に新しい泥の痕がついているのを、気付いた者もいるかもしれない]
くぁー、よく寝たぜ。
おはようさん。
[あくびをしながら、首を回す]
いや、いけずの意味はいいんだけど。
なんで、俺に言われると素直に聞けない、っていう、お前の心情に関して、俺が答えられるんだっての……。
[どうやら、お互い様の自覚はないらしい。
思わず呆れたように呟いたものの、果たしてそれは届いたか]
……っとに、もう。
[軽い頭痛を感じていると、カラスが慰めるように短く、カァ、と鳴いた]
[戻ってきたところでミハエルに教えてもらって]
粉薬を包めるんですか。
水薬は駄目かもしれませんが、丸薬なら大丈夫ですよね?
[まるで魔法の道具の話を聞くかのように]
…でも砂糖が原料じゃ安くない、かな。
この村じゃそうそう手に入りそうにもないですし…。
[チラリと見るのはブリジットの方か。
薬といえば彼女の得意分野のようだから]
[小さく挨拶をして階上へと上がるイレーネとユリアンに手を振って]
イレーネもユリアン君もこんばんは。
だって鮭のムニエルの匂いがするんだもの。
間違いないわよー!
[ユリアンの背中にそうどなってから、ブリジットに正解を聞かされて]
ええ?違うの?!
ミートローフって、何?!
[平皿をじっと見た]
うまそうな匂いだな。俺の分もあるかい?
[男は椅子から立ち上がった。かけられていた上着が床に落ちる]
おっと、これは誰が掛けてくれたのかな?
[上着を拾い上げると、男はそこに居る人々に問いかけた]
[そのまま視線を巡らせる。
ユリアンも部屋に戻っているのか姿がない。
戻ってきてからでいいかとは思いつつ]
…おはようございます?
[目に入ったハインリヒへ反射的に返す。
時間が時間なので語尾は疑問系になってしまったが]
[オブラート、には不思議そう。そんなものもあるんだと思いながら。]
[ノーラの薬の話は、似た話を父が言っていた事を思い出し。]
[ほんの少しだけ、懐かしさと苦味が胸の中に宿る。]
[無論、表には出ないけれど。]
薬は使われる為にあるものだから。遠慮しないで。
[薬を必要ないと言うユリアンには、無理はしないように声をかけながら、上がっていくのを見送って。]
[じっと見つめていた手の中の平皿から目をあげると、
幾人か知らない顔が混ざっているようだ。金髪の少年に、
見知らぬ男が何人か。]
貴方たちも「被疑者」?
こんばんは、「被疑者その1」のアマンダ・モレルよ。
よろしくね。
[ふりふりと軽い調子で手を振って、
平皿にミートローフをよそってしまえと、料理の前へ]
[不意に聞こえた男──ハインリヒの声に、そちらを見やる。
昨夜は、彼が来るのと前後して飛び出してしまい。
戻ってきたら、既に眠った後だったので、言葉を交わす機会もなかったのだけど]
……あんた、ずっとここで寝てたの?
[良く身体持つな、と。
僅かな泥の痕に気づけば、そうではないのか、と察しはしたけれど]
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