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[彼女に『外の世界』という知恵の実を与えたのは、彼女の組織へと潜入してきたSchwarzes・Meteorの工作員だった。
その蜜は彼女にとってはあまりに甘く、魅力的なものだった。
蛇に誘われるまま、彼女は屋敷から脱走する。
もちろん、先を見通す彼女の目はそれが齎す災厄を見通していた。
だが、それを含めてもその禁断の果実はあまりに美味しそうだったのだ。]
表はドジっ子執事、裏では暗殺を請け負う影使い。
この両方を演じなきゃいけないのよねぇ。
でもめげないわぁ。
なんたってアタシ女優だ・も・の☆
暗殺の仕事はぁ、実際に請け負ってるから本職に近いけどぉ。
でもやっぱり異能者を探しながらイイオトコウォッチしてる方が楽しいのよねぇ♪
今回も何人か居るしぃ、悪くない仕事だわ。
…望まれるままに、ね。
[皮肉気に言って歩みを速めたから、その冷たい笑みには気が付かなかった。気付ければきっと違う感想を抱いていただろうけれど]
偶然が続いたら、奇跡とでも呼べばいいのかな?
[茶化すような言葉を紡ぎながら玄関の扉を開いた]
よしよし。
[頷いたのが見えて、頭を撫でてやりながらしばらく落ち着くまではそんな感じで。
アーベルが少女を"リーチェ"と呼んでいるのが聞こえて、少女を見ながら、首をかしげる]
…李雪(リーシュェ)?
─どこかの森─
[彼女は駆ける。屋敷暮らしの彼女に体力などほとんどなく。
彼女を連れ出した蛇はどこかへ消えてしまった。
そして、彼女を後ろから付け狙い追いかけてくる黒い影。
その距離は、あっけなく縮まって行き、あっという間に彼女はその影に押し倒される。]
[袋からの救出がなされる様子に、後は任せていいか、と思い。
何か、忘れていた事があったような……、と広間を見回して]
あ、と。
[放り出されたままの、イレーネの濡れた服。
それを拾って、持ち主の所へ。
後でちゃんと乾しておかないと、とゆっくり、諭すように話して。
玄関の方から感じた気配に、お帰りか、とぽつり、呟く]
[少女はおともだちを抱えたまま、黒い人の腕の中で息をつき。
柔らかい手の感覚に軽く目を瞑るも
不思議な音の響きに目をぱちくりと。]
…………?
[りーしゅ……?]
奇跡、ですか。
何度も続くようならば、そう呼ばれるかもしれませんね。
無いとは思っていますけれど。
何せ私運はあまり良くありませんから。
[他人事のように言って笑う。
玄関の扉が開かれると、ティルの後に続いて中へと入る]
あは。
[上機嫌に、浴衣の裾をひらひらさせながら広間をうろうろしていたが、玄関の扉が開く音が聞こえてふい、と顔を向ける。
そっと、広間の扉を細く開けて様子を見ると、外の風がふわりと流れてきた。]
誰か来たねぇ。
[乾かす、という行為の選択肢に難しい顔をする。
まあ、部屋に戻って窓の外に一晩でも干しておけば
良いだろうとあっさりと思考は放棄して
上着をスカートを受け取る]
――あ。
[ない、上着の内側に入れあるはずの短刀は?]
落とした――。
[きっと烏賊のところだ]
─何処かの森─
[彼女は駆ける。裏の世界で生きてきた彼女にとっては散歩のようなもの。
ターゲットを連れ出した男は喉を掻っ切られ既に事切れている事だろう。
追いかけるターゲットは既に息も絶え絶え。
呆気なく追いついたターゲットを押し倒し、見下ろす。
銀の髪に赤い瞳の華奢な少女が眼下でこちらを見上げている。]
……ナターリエ・ヘルゼーエンやな。ちょっと用事があるんやけど。ええな?
来た、というより、お戻り、ってとこじゃねーの?
[ユーディットの声に、返すともなく言いつつ。
微かな外の風に、目を細める]
一体、どこまで行ってきたのやら。
[呟く所に、聞こえた声に、またイレーネの方を見て]
落とした? 何を?
えーと、ちがうんかな。名前。
李雪?
[間違ってる?と首をかしげて少女に尋ねる。
心配になったので、アーベルのほうへと声を投げた]
ねーねー亜哥、この子「李雪」でいいんだろー?
[自分の発音そのものが違うという発想はないらしい]
ん、そうなのかなぁ、は、ふあぁ、ぁ〜ぁ。
[アーベルの言葉に返しつつ、そのまま大きく口を開けて大欠伸を漏らした。
細く開けた広間の扉を更に開け、一歩踏み出して]
ボク寝るねぇ。またね〜。
[広間にいる面々に、ひらひらと手を振って廊下へと出た。
オトフリートとティルと廊下で会ったならば、おやすみなさぁい、と声をかけ、階段を上がって*個室へと向かった*]
[名前……]
…………。
[少女は黒い人の上着を小さく引っ張って
ゆーでぃっとにしたように、腕についている
プレートを指し示して]
…………
[こちらを見下ろす黒い影は、逆光のせいでそのシルエットのみしか見ることができない。
そのシルエットも朧気で、ヒトであることはわかったが男なのか女なのか判断はつかなかった。
その影が、尋ねてくる。お前がナターリエ・ヘルゼーエンか、と。
問いにコクリと頷く。不思議と恐怖感はあまりない。
見えているからだ。この影が私を殺す未来がないことが。]
……はあ?
[ユリアンから投げかけられた問いに、思わず上がるのは惚けた声]
いや、お前、発音とか微妙に違うから。
[そこは突っ込んでおいて]
リーチェ……ベアトリーチェ、が、ほんとにその子の名前かは、わからんけど。
あんまりにも似てるから、つい、そう呼んじまうんだよ。
[似ているのが誰か、までは言わないものの。
早口にそう、言い放つ]
あはは、望んで起こせるものでもないだろうしね。
僕も運の良い方では無いな。
[奥へと進めば広間からユーディットが出てきたところで]
おやすみ、ユーディット。
[階段を駆け上がってゆく彼女を見送りながら足を止めた]
[落し物に気を取られて、外から入ってきた2人には気付かず。
両手で15cmくらいの長さを示し]
ちっちゃなね、このくらいのナイフ。
先生がくれた、大事なの――。
[一番最初に入った研究所で、最も懐いていた相手。
危なっかしいから護身用くらい持ちなさいと言われて
渡された、深い藍色の鞘の短刀]
[欠伸をひとつ。]
……また、誰か来たんですか?
[少女の名のつもりとは認識しておらず、ぼんやりと尋ねた。
誰にともないそれが、拾われるかはわからなかったが。]
…………。
[青い人は確かに”ベアトリーチェ”とも言った。
……その呼び方で少女を呼ぶ人もいて。
二つの呼び名を知っている青い人。
けれど、少女は相手のことをなにもわからないのだけれど。]
…………?
[片手をほほに当てて、小さく首をかしげ]
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